検索 2022-07-09 20:46:55 |
通報 |
おやすみ、フィリップ…
(眠りに入る前に送る何気ないいつもの言葉、今日これを相手へ向けて言えて心底良かったと思える。体はダメージを負いすぎていて決して無事だとは言えない、しかしこうやって二人並んで互いの名前を呼んで眠りにつけば明日からまた二人の日々を始められる。相手の暖かな体温を感じながらゆっくりと深呼吸すれば胸に広がるのは特大の安らぎで、同時に疲労で悲鳴をあげる体には一気に眠気が襲いきた。最後に相手の頭をゆっくりと撫でるとそのまま深く眠りに落ちていって)
(/こちらこそお世話になっております。検索くんの黒い過去が追いかけてくるようなお話になりましたが、ただ探偵が助けにいくだけではなくお互いにお互いを守りながら危機を切り抜けていくお話に出来てとてもとても楽しかったです!こちらこそついつい書きたいことが多く長文になっておりましたがそこはご愛嬌ということで…二人で一人の探偵らしいお話ができました。こちらこそありがとうございました!
次のお話ですが、事件が続きましたので一旦日常なお話をするのはいかがでしょう?まだ今回の事件のダメージが抜け切っていない状態で以前上げていただいた熱帯夜で食欲もなくなってうだうだするお話なんていかがでしょうか?検索様がやりたいお話などあれば是非教えてください!)
…、あれ。…エアコンが付かない。
(過労で貪るように眠りに落ちた翌日、深く深く眠ったせいか相手の体内時計も働かずに始業時間を過ぎても目覚めることなく、出勤してきた所長が自分達の姿を見て驚きの声をあげるので漸く意識が浮上した。予想通り酷使した身体のダメージは一晩寝た程度では回復しきれずまともに動けない状態で昨日あったことを説明する事となりその無鉄砲さに対して入ったスリッパのツッコミがやけに身体に響いた。午後は刃.野,刑事と真.倉刑事がやってきて事情聴取と昨日押し付けた形となった後処理の報告がなされた。どうやら男は捕まってあの研究所も調査が入ることになったらしい。色々話した後『暫く大人しくしとけよ』と帰っていく二人を椅子に座ったまま見送り事務所を閉めたが事務所から家に帰る気力もなくその日も事務所に泊まって一夜を過ごした。一日休養を挟んだおかげで動けるようにはなったがまだ身体は妙に重い。午前中は事務仕事を中心にしていたが二人を見かねた所長の鶴の一言で急遽午後から休業が宣言された。半ば追い出されるような形で事務所が閉まると数日ぶりに家に帰ることとなった。まだ日が高い状態で帰宅するのは珍しく変な感じを覚えながらも家にたどり着いた。ピークは過ぎたとはいえまだ若干暑い中、リモコンで冷房をつけようとするが反応がなくて首を傾げる。近付いて操作しても別のボタンを押しても電源がつく気配はなく困ったように視線向けて)
(/日常的なお話良いですね!色々活動的なことが多かったので本調子じゃない夏バテ気味のような二人でもやりましょうか。ひとまず仰って貰った感じが出来るような状況で回させて貰ったのですがやりにくさや希望シチュがありましたら色々変更・修正して続けて貰ったらと思います!)
え……嘘だろこんな日に?!
(泥のように眠る中で目覚ましにしては体に悪すぎる所長の声で起き上がってからの一日も中々に長かった。所長様のスリッパは昨日の今日の体には良く効いて叫び返すのが精一杯だった。午後からはマッキーに絡まれるもいつものように本調子でやりあう事が出来ぬまま調子に乗ったマッキーの顔を見送ることになり余計なイライラが溜まることになった。その間隣にいた相手の顔は酷いもので疲労が顔から常に滲み出ていた。こちらも大概同じ顔をしているだろうが。結果一日休むはずがずっと騒がしい日を過ごし疲労は回復しないまま翌日へと至る。二人ともよっぽど酷い顔をしていたのだろう、所長様から追い出されるように事務所を出たが昼間に追い出され日の照りつける中帰り道を歩けばまた体力は削られてようやく家へとたどり着く。あとは涼しい部屋で寝るだけだと思った矢先に相手から絶望的な言葉が聞こえてくれば一瞬固まってしまった。ここ最近で一番疲れて家に帰ったこのタイミングでエアコンが動かなくなるなんて思いもせず、相手からリモコンを受け取りボタン操作したり電源プラグを抜き差ししたりしてみるが全く動く様子はなかった。思わずガックリと項垂れるがこのままでは暑さでへばるのも時間の問題だ。急いでクローゼットへ向かうと奥から長らく使っていなかった扇風機を引っ張り出して「これつければちょっとはマシだろ」と扇風機の前に座り電源ボタンを押す。左右に首を振り風を送ってくれるのはいいものの、送り出される風はどことなく蒸し暑いものでクーラーには及ばない風に微妙な顔を浮かべていて)
(/ぜひぜひそんな感じで二人でゆったり過ごす時間としましょう!そして導入まわしていただいてありがとうございます。夏の終わりに二人での時間を過ごすことにしましょう!/こちら蹴りで大丈夫です!)
まあ、陽が落ちれば少しは気温も下がるはずだ。今日はこれで過ごすしかないね。
(こちらの言葉に声を上げたかと思えばリモコンを操作したり電源プラグを抜いたりと思い付く限りの対処法をしてみるが動く気配は無い。午前に流し聞きしていたラジオでエアコン修理の依頼が立て込んでるというニュースをやっていたがまさか当事者になるとは。呆然としていると相手がクローゼットから扇風機を出してきてコンセントを繋げる。隣に座った所で相手が電源ボタンを押すと左右に首が振りながら風が送られてくるが室内の空気をかき回しているだけで無いよりかはマシといった程度だ。事務所に戻るという手もあるが鍵は残った所長が閉めたはずでなによりもう一度炎天下を歩く気力はない。同じく微妙な顔をしながらも願望混じりの推測を口にする。まだ真夏じゃないだけマシだと思うしかないだろう。そのまま生温い風を浴びていたがふと「ご飯はどうしようか」と相談持ちかけて)
これが壊れたら終わりだな………飯か…何も思いつかねぇな
(ひとまず修理の依頼はするとして、それでも今日中の復旧は絶望的だろう。隣に座った相手と共に扇風機の風を受けるがエアコンには程遠い涼しさだ、体が冷えきらず額にじわりと汗が滲むのが分かる。蒸し暑い空気の中で食事の相談をされると考えるように宙へと目をやる。部屋の空気がなかなか冷やされない環境である以上あまり手の込んだ料理を作れば室温が上がってしまうから却下だ。そもそも体温をあげるようなものを食べたくもない。もんもんと思考を巡らせるが食べたくないものは浮かんでも食べたいものが浮かばず、ぼんやりとした口調のまま返事を返す。隣に相手がいればその存在を感じたくなるもので身を寄せてくっつくも、そもそも互いの体温は熱く「あちぃな」と勝手な事を呟く。その呟きの時ちょうど扇風機が目の前に通って発された声は扇風機の風に巻き込まれ震えて響いて)
僕も暑さのせいであまり食欲自体ない気がする。強いて挙げるなら冷たくてさっぱりした物…、ゼリーとかどうだい? …、変な声だ。
(扇風機の風を浴びながらも食事について問えばはっきりしない返事が返ってくる。いつもならばその時の気分や気になった料理を強請る事が多いがそもそも食べたい料理が浮かばない。食事はちゃんと摂れと煩い相棒も今日は似たような感じらしい。隣で同じく悩んでは今食べたくないと思う特徴から食べられそうな食べ物の要素を口にする。ふとそれに当てはまる食べ物が浮かべば得意げな顔で相手の方を向いて候補として挙げてみる。そんなことをしていると相手が距離を詰めてきて身体がくっつく。高まった体温を共有するのは今の状況では逆効果ではあるが当然離れるつもりはない。それよりも相手の呟いた声が変に震えて聞こえてくると一瞬驚いたように固まるもすぐに仕組みを理解してくすくす笑う。自分でと検証してみようと相手の方で折り返しこちらにゆっくりと首を振る扇風機に顔を寄せて「あーー」と声を出せば羽によってロボットのような声になって部屋に響き)
ゼリーか。それなら貰ったのが冷蔵庫にいれてあるしちょうどいいな。……くく、お前もこれの使い方が分かったみてぇだな
(相手も大体同じような状態らしく導かれる言葉にうんうん頷いていると、やがて相手はひとつの答えへとたどり着く。食欲もなく食べる気も起こらなくて食べたいものが思い浮かばない状態だったが、相手の上げたゼリーならこの部屋と体の状態にぴったりの食べ物だろう。普段ならばそれだけでは栄養が足りないともっと食事らしいものを食べさせようとするが今日だけは特別だ。体を存分に冷やしてこの熱い夜を乗り切るしかない。そうやって返事をしているうちに相手が何やら驚いた顔を見せてそちらへと視線をやる。だが直後相手は楽しげに笑っていて、扇風機が目の前にやってくると夏の定番をやってのけていてこちらも笑みが零れた。最近はエアコンに頼りがちでお役御免気味だったが、今日の扇風機は風と変な声とを提供してくれそうだ。扇風機がこちらへ向いた所をあえて見計らい、まるで扇風機をマイクのようにしながら「どのフルーツのゼリー食べるんだ?」とロボットの声で問いかけて)
まさかこんな使い方があるとはね。僕はごろごろとミカンの入っている奴にしよう。君は?
(条件を満たす物としてゼリーを提案してみたがよくよく考えればあまり食事とは言えない部類の食べ物だ。そんな事もあって反応を窺っていたが今の状況が状況だけに肯定的な返答が返ってきて小さく笑みを浮かべる。今日だけの特別メニューだと思えば楽しみと食欲が湧いてきた。そして目の前の扇風機の存在もエアコンの効かなくなった今ならではだろう。風を送る機器という知識はあったが声を震わせて遊ぶというのは初めて知る使い方だ。首を振るのに合わせて相手が扇風機に向かって話しかければロボットのような声で質問される事になり何だか面白い。ワクワクした表情で相手の方を見て扇風機がこちらを向くのを十分に待ってから顔を近付け返答を返す。その声も加工でもしたような物になっていて「これが出来るなら扇風機も悪くない」と気に入ったように述べて)
なら俺は具だくさんの桃ゼリーだ。今日はこいつが頼みの綱で俺たちのお供だな
(扇風機で声を振動させて質問をしてみれば、疲労が滲んでいた顔は途端に期待溢れるワクワクの表情になって釣られてこちらも笑みが溢れてしまう。相手の方に扇風機が向くのをじっと待ってから満を持してロボット声で返事が帰ってくると軽く吹き出してしまった。再び扇風機がこちらに向くのを待ってからまた返事をする。クローゼットに眠っていた扇風機が不運な日の助けになるだけでなくこんな和やかな一時を提供してくれるとは思わなかった。扇風機の土台を頼りにしているとばかりに軽く叩きながら立ち上がるとキッチンへと向かう。みかんと桃のゼリーを取り出しスプーンを携えまた相手の隣へと座った。いつかの依頼人が解決のお礼にと夏にピッタリのゼリーをくれて冷蔵庫で冷やしていたが、今の二人にとっては救世主のような存在だ。よく冷えたゼリーを渡す瞬間に悪戯心が芽生えて「ほら、」と声をかけつつ頬にゼリーを押し当てて)
ああ、丁重に扱わなくては。…ありがと、っぅ!
(扇風機をマイク代わりにロボット声で会話が続いていくと生温い風への不満よりも楽しさが勝って機嫌も良くなる。エアコンが動かなくなった時はどうなるかと思ったがこうして工夫したり今ならではのことを見つければ何とかなりそうだ。そんな扇風機を相手がお供だと称すればこくりと頷いて今日一日の活躍を期待しておいた。相手が立ち上がりキッチンに向かうのを見ればゼリーは任せて扇風機を一時独占する。回転する羽に向かって声を高くしたり低くしたりしながら変化を楽しんだり強弱を切り替えて扇風機を堪能する。そうしているうちに相手が隣に戻ってくれば礼を言ってゼリーを受け取ろうとする。だがその前に冷蔵庫でよく冷えたゼリーが何も言わず頬に当てられると体温との差に思わず声が裏返って肩がぴくりと跳ねる。すぐに相手の方を見ては「急にするのは反則だ」と短く文句を口にする。若干拗ねながらもスプーンも受け取り蓋を剥ぐ。そこそこ値が張るものなのか透明なゼリー液の中にみかんがゴロゴロ入っていてきらきら輝いているように見えた。表面を一口分すくって口に運ぶとつるんとした食感と冷たさ、そして甘さが十分に感じられて口角をあげては「美味しい」と感想呟き)
ハハッ、良いリアクションだ。…ん、……あぁ、この暑さにちょうどいい
(完全な思いつきで悪戯を決行したわけだが、相手の声は見事に裏返って体が跳ねるのが見えて声をあげて笑う。作戦成功といったところだろう。拗ねた顔を向ける相手を宥めるように背中を軽く叩いたあと、こちらも蓋を剥がして早速ひとくちめを口へ運んだ。品のいい甘さと冷たいゼリーの感触が口いっぱいに広がり、ホロホロと崩れていったゼリーを飲み込めば口はもちろん喉までスッキリとする。暑さにうだっていてすっかり忘れていたがこの暑い部屋ではなるべく軽装の方がいいだろうとネクタイを取って近場におき、シャツのボタンも二つほど外して襟元をあけて服の中に扇風機の風を通すようにした。すっかり探偵の装いを崩して今度はゼリーの中に埋まる桃へとスプーンを入れて口へと運ぶ。どちらかといえば控えめな甘さだったゼリーに対して桃はしっかりと甘みのあるもので「桃も美味いな」と噛み締めるようにして言い)
まったく…。…ん、ゼリーのチョイスは正解だったね。
(何かと子供っぽいと言われがちだがこうして悪戯を仕掛けて喜ぶ相手の方がよっぽど子供だろう。年上である相手のそんな一面に呆れたように溜息をつくがその声は柔らかく満更でもないことを隠し切れないでいた。さっきまでは食欲は殆ど無かったがゼリーの上品な甘さと涼やかな口当たりは暑さに参った体でも美味しく感じられて更にもう一口とスプーンを動かす。その間に相手はネクタイとシャツのボタンを外していて涼しげでくつろぐ格好になったのに気づけば自分もロングパーカーを脱いでそこの辺に置いておく。ごろごろと入ったみかんをすくって口に運ぶと程よい甘さと酸味が感じられて満足げに口角が上がる。条件に当てはまるものとして挙げた選択肢だったが結果的にはピッタリなチョイスだっただろう。少し自慢げにその事を話していたが隣で好意的な桃への感想が聞こえてくればその味が気になってしまうのが性だ。ぽんぽん腕を叩いて「そっちも食べてみたい」と期待の宿った目で強請ると軽く口を開けて見せ)
あぁ、お手柄だぜフィリップ。……しょうがねぇな
(隣の相手からは呆れたような声が聞こえてくるがそこに含まれているのが呆れだけでないのは明白で上機嫌なままゼリーを頬張る。特に意味もなくこんなことをするのは相手だけだろうしそれを許容されるのもこの関係だからこそだ。何気ない時間に小さな幸せを感じながらまたひとくちゼリーを口にする。あれだけ何も食べる気が起こらなかったが今やスプーンは進んでいてこれも相手の選択が最適解だったおかげだ。そんな状態で桃味のゼリーを強請られて断れるわけがない。腕を叩いてこちらを呼んで、もうゼリーを貰う気でいるのか口を開けている仕草に愛しい気持ちが胸に溢れる。口では仕方がない風なことを言いながらもお互いのものを交換するのも最早既定事項で、桃の果肉とゼリー両方を掬うとスプーンを相手に差し出そうとする。しかしゼリーも桃もかなり不安定で、「っと、」と少々バランスを崩しながらもなんとか落とさず相手の口へとスプーンを運んで)
…ん、桃は初めて食べるけど甘くてみずみずしいね。食べ応えも十分だ。
(こちらを向かせて相手のゼリーを強請れば言葉こそ仕方ないといった体裁だがすぐにその用意がされる。関係が深まる前は嗜好性の相違から別の物を選ぶ事が多かったが今はお互いの物を交換するという前提で違う種類の物を選ぶことが多い。すっかりお約束ともなった状態に居心地の良さを感じていると相手がスプーンで桃とゼリーの両方をすくって差し出す。どちらも乗せたせいで不安定で零れそうなゼリー達が落ちないようにスプーンごと口にするとミカンゼリーとは違う味わいに表情を明るくするとそのまま噛み締めるように味わう。思えば桃を食べるのは初めての経験だが想像以上の甘さとジューシーさに好意的な感想を告げる。みかんと違って柔らかくもしっかり形があるおかげで食感もバッチリだ。また一つ経験した初めてに顔を綻ばせながらもしっかりとこの味と幸せを記憶に刻む。今度はこちらの番だとゼリーをスプーンでみかんがたっぷりある所を掬いあげると答えは分かりつつも「要るかい?」と問いかけながら目の前に差し出して)
そういやそうだったか……食べ応えもあって美味いだろ?
(不安定なスプーンは相手の口の中へと吸い込まれていきなんとかこぼさずにすむ。スプーンに乗るギリギリの量を口へと運んだがその分桃ゼリーを堪能するには十分な量あったようで、満足気な表情にこちらも口元が綻んだ。桃が初めてだという相手に記憶を辿るも確かに今まで相手と桃を食べたことは無い。果物は普段なかなか手が出ない部類のものだ、事務所や家にあるのは依頼人から貰うのが大半で案外相手は果物を食べたことがないかもしれない。今度何かしらのフルーツ狩りにでも行こうかと考えながらまたひとつ相手の初めてを記憶に刻んでおいた。相手が終わったのならこちらの番でスプーンを差し出されると「もちろん」と返事をする。スプーンの上ではたっぷりのみかんがゼリーに包まれていて瑞々しい果実を見ているだけでも唾が出てしまう。体を乗り出して差し出されたスプーンを口にするが、目測を誤ってしまい一欠片のゼリーが口の端を伝って落ちてしまって「やべっ」と声をあげて慌てて手のひらでゼリーをキャッチして)
ああ、優しい甘さのゼリーと相性ピッタリだね。 …あ、…これでセーフだ。
(経済的に安定しているとはあまり言えない事務所並びにこの家で出てくる果物と言えば依頼人か知り合いから貰った物だ。その中で桃は出たことは一度もなくて相手の手によって味わう初めての味は確かに美味しくて問いかけに嬉しそうに頷く。また新たな経験をした所でお返しにこちらのみかんゼリーをすくって差し出した。事務所や外では決してしないだろうか二人きりなら当たり前のように承諾の返事がされて、その幸せをかみ締めながら口に運ぶ。相手が身を乗り出して口にするが欲張って沢山乗せたのと少しズレた角度で口に入れたせいで欠片が口端から落ちてしまって思わず声を出す。落ちたゼリーは相手の手によってキャッチされるが細かくなあったゼリーは口端の辺りに残ったままで光に反射してきらきらと輝いている。それがやけに美しく宝石のように見えると気付けば身体が動いていて口を寄せるとその部位をぺろりと舐める。そっと離れると無事に口端からゼリーは取れたようで口の中で甘さを感じながらも悪戯に笑ってみせ)
な、…何がセーフだ……せっかく体冷やしてんのに熱くしてどうすんだよ
(二人きりの空間であれば周囲の目を気にすることなく心のままに動くことができて差し出されたスプーンを口に入れようとしたが思わぬ誤算だった。ゼリーは柔らかい分床に落ちて広がってしまえば厄介になるもの、なんとか零れ落ちた欠片は捕まえることができたが口の端には妙なベタつきが残る。どう処理しようかと考えていた所で相手の顔が近づいてきてひとつ目を瞬かせる。その間に口の端についたゼリーを舐め取られてしまって思わず小さく体を跳ねさせたあと固まってしまった。直後何が起きたかを理解すると体の芯からじわりと熱が上がってくるのが分かって咄嗟に文句を口にする。扇風機とゼリーによって冷やされていた体はたちまち熱を取り戻してしまった。相手はというと満足気な笑みを浮かべていてさながら悪戯成功といったところだろう。先程の仕返しをまんまとされてしまったことにまた文句を言いながら手のひらに落ちてしまったゼリーを舐め取っていて)
せっかく貰った物なんだし零したら勿体ないだろう。 へぇ、今ので熱くなったのかい?
(心のおもむくままに顔を近づけて口端を舐め取って見れば分かりやすくその体が跳ねてカチカチに固まる。触れたのはほんの一瞬だったが効果は絶大だったようでその反応に満足げにしながら元の位置に戻る。確かこのゼリーはそこそこ値の張る有名な店の商品だったのを思い出せば飛んできた文句にもそれらしい事を言って先程の行為を正当化しておく。頬に冷たい物を当てられた仕返しも果たせればご機嫌にスプーンでゼリーをすくって次の一口は自分へと運ぶ。そんな中でまた飛んできた文句の言葉尻を捉えるとニヤリと笑って揶揄う様な問いを投げかけ)
、おかげさまでな…
(瞬間的に熱が上がってしまって今は扇風機の生暖かい風さえ心地良い。対して相手はそれらしいことを言ってご満悦な表情を浮かべている。早く体を冷やさねばとゼリーをひとすくいした所でさらに揶揄う言葉が飛んでくれば思わず声を詰まらせるもなんとか返事をかえした。小憎たらしい笑みまで浮かんでいればふつふつと仕返しをしてやりたい欲が浮かびつつゼリーを口に含む。その時にふといい事を思いつくと口端を軽くあげて今度はこちらから相手へと近づいた。楽しげに笑う口を唇で塞ぐと僅かに開いていた隙間に舌を滑り込ませる。隙間を確保すると、口の中で崩れかけていたゼリーをトロリと相手の口内へ注いだ。こちらの舌から相手の中へ滑り落ちるゼリーは器の中にあるものより随分熱いものになっているだろう。ゆっくり口を離しながら唇に残った分を舐めとると「桃のゼリーも好きなんだろ?」と涼しい顔で問いかけて)
ならば早く冷やした方が良い。…、っ……、好きだけども、今のはそういう事じゃないだろう、
(更に追撃するような問いに声を詰まらせる姿を見れば自分が主犯でありながらも楽しそうにアドバイスを施す。再びゼリーごとみかんを口にすれば桃の後だからか程よい酸味が感じられてより涼やかな気分だ。ご機嫌に味わっているといつの間にか相手が近づいていて唇が重なる。相手の性格を考えれば同じようなことをしてやり返そうとするのは想定の範囲内だ。そこまでは平然とした態度で受け入れていたが舌が唇の間に入り込むと想定外の動きに目を見開く。出来た隙間から相手の口内で熱く崩れかけたゼリーが流れ込んでくると身体は強張って底の方から熱が募る。ゆっくりと唇が離れていく頃には顔がほんのりと赤くなり、ゼリーの味もイマイチ分からない。見事仕返しが果たされ涼し気な顔で問いかけられると似たような文句を返し、がら空きの相手の手元から勝手に桃のゼリーをすくうとそのまま口に運んで)
トピック検索 |