相乗りで何処までも 【 〆 】

もちろんねぇな。定番でいいチョイスだ
(お祭りの会場につけば前回同様そこには食べ物の匂いと人々の期待や浮かれた気持ちが漂っていて嫌でも気分のあがる空気が漂っている。相手にとっては二回目の夏祭りだが、初回に比べ見た目は落ち着いてはいるものの人差し指をたて得意げに笑うのをみれば相当浮かれているのが分かる。こちらも大体同じような状態ではあるのだが。仰々しいもの言いで最初に選ばれた出店ははし巻きだ、今年こそ全制覇するという相手の宣言に巻き込まれこちらも昼ご飯は控えめにしていてすっかり腹の虫が鳴いている。ニヒルな笑いを浮かべて当然同意を示すとはし巻きの出店へと歩き始める。程なくして派手な色のテントにはし巻きの文字が踊っているのを見つけ出店に近づけば、店員にひとつ注文した。様々なものを食べるならば二人で分けて食べるものだろうと自然とひとつだけを注文すると、たまたまできあがりの頃合いだったようで黄色い生地にソースとマヨネーズがたっぷりかかった暖かいものを受け取ると「熱いうちに食べようぜ」と相手へと差し出し)

出来たてが買えるとは幸先が良いね。 ああ、こういうのは温度感も重要だ。…ん、お好み焼きみたいな味だけど食べやすくて安定の美味しさだ！
(こちらの意見に相手もすっかり乗り気のようで出店の中からはし巻きの店を探そうと歩き出す。西日本、特に九州が発祥の地らしいが前回もこの祭りで見掛けた記憶があるから今回も何処かにあることだろう。その推測通り少し歩けば出店を見つけて自然な流れで一つだけ注文する。丁度出来上がりのタイミングだったようで直ぐに出来たてが用意され始めると上機嫌に笑みを零す。これからの全制覇に向けて良い滑り出しだ。暖かい生地にソースとマヨネーズがかけられた状態は見るからに美味しそうで相手から受け取るとそのまま先端の方からかぶりつく。お好み焼きと同じ外さない味でありながら満足感のある食べ応えで思わず口角が上がる。しっかり味わってから感想を口にすると「君も食べてみたまえ」と差し出して)

ん、やっぱ定番の美味さだ。……イカ焼き食うの躊躇ってたのが懐かしいな
(幸先よく出来たてのはし巻きを手に入れると相手は早速アツアツのそれを食べ始める。お好み焼きとだいたい構成は同じものだがこの祭りの中で手軽に食べられるのがはし巻きの良い所だろう。相手が満足気に食べるのを見守っていればはし巻きがこちらへと差し出され、受け取るとアツアツのうちにかぶりついた。柔らかな生地にソースとマヨネーズが加わればいつも通り安定の美味しさだ。汗ばむこの季節に塩っけのあるものは身に染みる。自然とはし巻きを口にしていたが、ふと前回最初に購入したのがこのはし巻きに似たイカ焼きだったのを思い出す。あの時は相手が口につけたものを食べるのさえ意識してしまっていてイカ焼きを味わうどころの話ではなかった。懐かしさに浸りながら今は当たり前となったひとつのものを分ける喜びを改めて噛み締めながら小さく笑っていて)

そういえばそんなこともあったね、変な空気感だった。ん、…今では随分と慣れた物だけど。
(豪快な食べ方と好意的な感想にこちらまで嬉しくなる。どうやら初っ端に選ぶ食べ物として正解だったようだ。何処か誇らしげな顔をしながらも話題が前回のイカ焼きの件に移るとこちらもその時のことを思い出す。初めての夏祭りに浮かれていたが相手は何かと様子がおかしかった。今では当たり前となった行為も当初は変に意識をしてしまって妙な空気になっていたのを覚えている。間接キスでやけに動揺していた事を思い出してくすくす笑いながらもわざわざ渡して貰うのも面倒で相手の手を掴んでこちらに引き寄せれば直接そこから一口かぶりつく。一番ボリュームのある所を食べれば口端などにソースやマヨネーズがつくがそれも気にせず味わい、今ならではの距離感に嬉しそうに言葉告げて)

そりゃお前、あの時は一番微妙な時で……っ、…全部に慣れてるわけじゃねぇからな！
(変だったと言われてしまえば思わず言葉に詰まる。あの時は相手と相棒のままでいるべきかボーダーラインを超えてしまうべきか最も迷っていた時期で、それはすなわち相手をめちゃくちゃに意識していた時期ということだ。些細な一挙手一投足に動揺してしまうのも仕方がないというものだろう。ぎこちないながらも言い訳を述べようとするがその前に相手の手はこちらの腕を掴んで向こうへと引き寄せられそのままはし巻きが口の中に消えていく。今や二人の境界は随分曖昧になって、しかしそれが全く恥ずかしくないかと言われればそうではない。むしろそうやって当たり前に二人で一人であるのが不意に照れに変わる時がある、今がまさにその時だ。しかも相手の口の端には無防備にもソースがついていてもし二人きりであれば絶対に顔を寄せていた。しかし群衆の中でそれは許されない行為で照れ隠しも含め声を挙げながら親指で相手の口端を拭ってやると目を逸らして親指についたものを舐め取り)

ハーフボイルドに磨きがかかった時期だったってことだね。…ん、ありがとう。
(それ以前も動揺したり妙な反応をしたりする事も多かったが夏祭りの日はそれが顕著だった。ハットが無い分相手の素の顔をよく見ることが出来てもっとそれが知りたいと思った日でもあった。それを若干揶揄い混じりに話しながらはしまきを食べる。こういう行動も慣れた物だがなんとなしに相手の方を見るとその顔はほんのり赤い。何か照れる部分があったのかと見つめていると照れ隠しの言葉と共に口端を拭われると漸くソース類が付いていたことに気付く。流石に群衆の中だからか直接舐められることは無かったが拭いとった親指を舐めとるのを見れば関係性の変化を感じるようで照れ臭そうに笑う。色々と満たされるのを感じながらも「君は食べたいものあるのかい？」と問いかけて)

違ぇよ！ったく、間違いねぇ選択できたんだからいいだろ…、……あれなんてどうだ？
(総まとめにしていつもの揶揄いの言葉が飛んでくるといつもの如く素早く突っ込む。あの時は理性と本能が全く違う方向を向いていて自分で自分を制御出来ていなかった自覚はある。今だってそういうことは多々あるが。しかしあの時にハットを被らない地に足つけた自分でいいと言ってくれた相手に本能に従って想いを伝えたのは何一つ間違っていなかったと何度でも言える。それを照れ隠しでぶっきらぼうに言うも、自分で言っておいてこの浮かれた空気の中で浮かれた事を言ってしまった事実とつい先程こんな人通りの多い場所で相手の口端についたソースを舐めとってしまったこととが恥ずかしくなってきて、目線を思いっきり逸らして気持ちを落ち着けるように軽く深呼吸した。目を逸らしているうちに次に食べるものを相談され、そのタイミングでちょうど見慣れない文字が目に付いた。掲げられているのは10円パンという名前で『今話題！』だとか『大人気！』だとかチープな文字が並んでいるが店員が渡している大きな10円玉を模したパンは目を引かれるものがある。見た目のインパクト重視なものだがそれも祭りならではだろうと出店を指さして)

そういうことにしておこうか。 10円パン…初めて見る単語だ！ 人気なようだし食べてみよう。
(揶揄うような言葉を向ければ素早いツッコミが入る。まあそんな所が好きな所ではあるし、こういう反応が見られるのならあまり慣れて欲しく無い部分かもしれない。色々な状態を経て今の関係になったのだが分かりやすく照れ隠しの様子を見れば余裕そうな表情と共に話をまとめておいた。思い切り目を逸らす様子を楽しげに見つめながら次の話をすれば少し離れた所の店を相手が指さす。検索では引っ掛からなかった食べ物ではあるが、話題であることをアピールする看板と若い人々を中心にほかの店よりも行列が出来ている辺り流行の物なのかもしれない。渡される実物と看板からもどんな物か想像出来なければ余計興味そそられ肯定的な返事をすると早速その列に並んだ。少し待って自分たちの番がくれば様々な味があるようだが一番人気だと言うチーズをチョイスする。紙のケースに入ったそれを受け取ると10円玉を模した形を興味深く観察しながら相手に差し出して)

なんつーか、そのまんまの名前だな
(見た目に引かれ店に近づいてみれば並んでいる客層は若めだ、いつかクイーンとエリザベスが食べに行きたいなんて話していたような気がする。過去何度か夏祭りには来ているがこんな出店があった記憶はなく、最近出てきたものなのかもしれない。自分たちの番が回ってきて相手から10円パンなるものを受け取った。こんがりと焼かれた見た目は確かに10円の色をしていて見た目も実際の硬貨と同じでまさに10円パンの名前に相応しい。パンは手のひら大ほどあり、これほど大きいなら二つに分けた方が良いだろうと半分になるようパンをちぎろうとする。しかし中にはこれでもかというほどチーズが入っていて割ろうと伸ばせど伸ばせどチーズが切れず伸びていくばかりで、両手が塞がっている状態では次の一手を打つこともできずだんだん焦ってくれば「ど、どうすんだこれ？！」と相手に助けを求め)

下手に凝ってる物よりシンプルで分かりやすいよ。凄い、初めて見る伸びっぷりだ…！ 何処まで行けるかな、
(こんがりと銅貨のように焼かれた見た目はシンプルな名前も相まって話題になるのも納得の出店だ。受け取った商品はそれなりに大きく相手が半分に割ろうとするが中にはチーズが詰め込まれているようでびょーんと伸びていつまでも切れない。今まで餅やチーズなどで見たことよりもずっと長く、焦ってる相手とは反対に目をきらきらさせながら感心の声をあげる。恐らく間をはし巻きの刺さっていた割り箸で切れば何とかなりそうだが好奇心は何処まで伸びるかという点に移る。嬉々として相手から片方を受け取っては慎重に引っ張っていく。かなり伸びた所で流石に切れてしまって慌てて垂れるチーズを落ちないように取るも「新記録だ」と嬉しそうに呟きながら一口齧り付いて自分の口元との間でもチーズを伸ばして)

ちょ、バカバカお前ッ！！、あぶねっ！
(手をいくら伸ばしてもチーズが切れる気配はなく助けを求めたわけだが、相手はそれをキラキラとした目で見つめていてこちらの焦りはまるで伝わっていないようだ。片方が相手の手に渡りこれでどうにかなりそうかと思ったが相手はさらにチーズを伸ばしていき、もはや食べ物の域を超えた長さを見せている。二人の間に渡されているチーズはだんだんと垂れ下がってきて相手を静止するような声をだすが当然それで止まる相手ではない。その目はどこまでこのチーズを伸ばせるかという一点に注がれていた。これでもかとチーズが伸びきったところでようやくチーズは切れて、落とさないように慌てて手をそえた。遊んでる場合かと文句を言おうと思ったがその前に嬉しそうな呟きが聞こえてくればそれも途端に引っ込んでしまう。パンを割るだけで大騒ぎだ、だがこれも相手といるからこその喧騒で呆れたように「何が新記録だよ」と言うもその声色に嬉々とした感情が見え隠れしている。パンを一口食べればやはりチーズが長く伸びて、伸びた分を端から食べ、また伸ばしてを繰り返しながらパンを食べ進めていて)

ギリギリセーフだ。恐らくこのパンのチーズはよく伸びるモッツァレラチーズが使われているのだろうけど、せっかくなら何処まで伸びるか検証したいものだろう？ 見た目もだけど中々楽しい食べ物だね。
(相手の静止する声も無視してチーズを伸ばし続け、途切れて垂れたそれを相手が慌てて手を添える。何とか地面に落ちずに済めば小さく笑いながらもその判断力をほめておく。それに周りもチーズが伸びていく様を楽しんでいる友人同士やカップルも多くこのパンの楽しみ方の一つなのだろう。呆れたように相手からツッコミが入るもその声色は周囲と同じく楽しそうに弾んでいてこちらもチーズの種類を推測しながらも思う存分チーズを伸ばせたことに無邪気な笑みを見せる。なんだかんだ言いながら許容して一緒に楽しんでくれるところが相手の良い所だ。半分に割れたパンにかじりつけば再び手元と口元の間でチーズが伸びる。それを食べてまた一口食べて伸びてを繰り返していると隣の相手も同じことを続けていて思わず笑い声が零れた。普段ではあまりできない経験、実にお祭りらしい状態かもしれない。「…そうだ、」と何か思いついたように呟くとバ.ッ.ト.シ.ョ.ッ.トを取り出し自撮りができるように設定してからこちらに向け、伸びるチーズに奮闘している様が映るように調整して撮影を試みて)

検証すんのはいいけどお前はいっつも突然なんだよ。ん、……んん？………っ
(好奇心を優先させ突然チーズを伸ばし始めたこともそれを全く悪びれないことも文句はあるのだが相手の無邪気な笑顔を見れば全てが吹っ飛んでしまう。何処までいってもこうやって相手に振り回されることが楽しくて心地好いと思っているのが事実なのだ。一人では知りえない相手といるからこそ出来上がる思い出、呆れるように返事をするもやはり弾んだ心は隠しきれずじまいだった。見た目にも楽しく味も悪くないが問題があるとすればやはりチーズだろう。伸ばしても伸ばしても切れないチーズになかなか食べ進めることが出来ず悪戦苦闘していれば相手がカメラを構えたことに気づくことはできなかった。次の一口と共にこうなれば思いっきり伸ばしてやろうとパンと口とを思いっきり離してチーズが目一杯伸びている瞬間に相手がカメラを構えているのに気が付き目を向けて、その瞬間にシャッターが切られればまさにチーズと格闘している情けない瞬間が切り取られてしまい)

…うん、なかなか良い写真が撮れた。 話題の10円パンを食べたという証拠にはピッタリだ。
(相変わらず呆れたような返事が成されるが振り回されることが楽しい事も心地よく思っていることも知ってるからこそ軽く躱すだけだ。思いつきでカメラを構えると全く気付かない様子を一枚、チーズを目一杯伸ばして格闘している姿を画角に収めながらシャッターを切る。早速写真を確認すれば軽くチーズを伸ばして余裕げに映る自分と伸びるチーズに悪戦苦闘している相手が映る写真が綺麗に撮れていて満足げに口角をあげる。更に一口食べながらも撮れた写真を相手に共有する。これを見れば一目で話題の出店を楽しんでるのが伝わることだろう。前回は写真を撮る余裕なんて微塵も無かったから夏祭りの写真として良いものが撮れたとご機嫌に告げて)

っ、変なタイミングで写真撮んじゃねぇ！ったく……まぁ良い夏祭りの写真だな
(こちらが10円パンに悪戦苦闘しているまさにその時を撮られたのだと思い相手が撮った写真を見せてもらうが撮られた写真は二枚あったらしく、一枚はチーズを限界まで伸ばしている写真、もう一枚は知らぬ間に撮られた10円パンと格闘している写真で、どちらも隣で優雅にポーズを決める相手とは違い随分間抜けな姿で写っている。急いで口の中のパンを飲み込めば即刻文句を叫んでいた。だがこの写真は風.都の夏祭りを思いっきり満喫しているのがよく分かる一枚でもあって、眺めていれば思わず笑ってしまう。消せなんてことは到底言えない写真で、またひとつ思い出深い写真が増えたようだ。伸びるチーズに四苦八苦しながらもようやく片割れを食べ終えると見た目通りのボリュームに「十分腹ごしらえ出来たな」と呟いて)

よろしくおねがしします

よろしくおねがしします

写真を撮るのも大分上手くなっただろう？まだ食べられはするけどせっかくだし少し歩こうか。
(撮った写真を見せれば鋭いツッコミが入るがそのまま写真を見ていると相手の口元に笑みが浮かぶ。ハードボイルドらしくないかは消せと言わない辺り案外気に入ってくれたのかもしれない。相手と関係を築く中で思い出となる写真を撮る機会も増えて事件の捜査に使った物以外のデータも増えてきた。また1つ増えた思い出深い写真に嬉しさを感じると共にその撮影の腕を得意げに誇っておいた。伸びるチーズと甘いパンの組み合わせを十分に味わって食べ切ると相手の言葉に頷いた。初っ端から飛ばしすぎたチョイスかもしれないが全制覇を目指すならこれくらいの器量は必要だろう。とはいえ夏祭りは食べ物だけが魅力ではない。胃を落ち着かせる為にも辺りを見て回ろうと提案して歩き始める。陽が暮れ始めたせいか会場内の人も多くなってきた。はぐれないようにしながら進んでいると『金魚すくい』と書かれた屋台の前に小さな子供を中心にしゃがみこんでるのが見え「翔太郎、次はアレやりたい！」と相手にお願いして)

調査意外でも写真撮る機会増えたからな。いい加減アルバム買わねぇと。____夏祭りのド定番といやアレだな。やるか！
(文句やら突っ込みやらは多々ある写真に仕上がったものの、相手が撮った写真は画角はバッチリ決まっており二人の様子がよく伝わる写真になっている。これも二人で紡いできた時間の成果といったところだろうか。二人の写真も随分増えて前にアルバムをと言っていたがまだ買えていない。今度出かける時にでも写真の整理を兼ねて買おうと記憶に留めておいた。腹にそこそこ溜まるチーズとパンという組み合わせを食べてそろそろ遊戯系統のものをと思ったところで相手が次に興味を示したのは金魚すくいだ。夏祭りのド定番な出店であるならこちらの腕を見せる良い機会だろう。もちろんだと頷けば早速店へと近づく。二人分の代金を払って器とポイを受け取ると相手へと渡した。ここは初心者の相手に教えるべき場面だろうとポイを構えると「ポイをなるべく水の中に漬けないようにして金魚を掬うのがポイントだ。水面近くに寄ってきた奴狙えばいい」とコツを話す。ちょうど手元に水面近くにいる金魚を見つければポイと容器とを近づけポイの端っこで素早く金魚を掬いあげるとそのまま素早く器へと入れて「よし！」と声をあげて)

まずは君のお手並み拝見だ。…おお！流石だね翔太郎。 ポイを破かないように素早くがコツのようだね…
(近々アルバムを買いに行くことを思い出しながらも次の場所へと移動する。こちらが目をつけたのは金魚すくいで検索によれば夏祭りの定番の出店らしい。相手に強請ると好意的な返事が返ってきて共に店へと近付いた。丁度遊び終えたカップルが去っていった隙間に入ると代金を払って相手越しに器とポイを受け取った。水槽の前でしゃがみこんで相手からレクチャーを受けるが未知の遊戯にイマイチピンと来ない。ひとまず相手のやっている所を見た方が良いだろう。隣でその様子を見ていると水面近くで泳ぐ金魚にゆっくりとポイと器を近づけ端っこで器用に金魚をすくいあげ器に入れるのを見れば感心した声をあげる。自信たっぷりなだけある腕前に尊敬したように呟き、金魚すくいのポイントを自分の中で纏めると早速ポイを片手に一番手元に近い金魚に狙いを定める。相手のように端っこですくいあげようとするも金魚は警戒心が強く直ぐに逃げてしまい思わずそれを水中で追いかけ慌てて掬いあげるも濡れたポイは破けてしまい、その穴から金魚が抜け出せば「あっ」と思わず声を漏らして)