相乗りで何処までも 【 〆 】

誰がハーフボイルドだ！…、……あぁ。ここが俺が生きてく世界だ。呼び戻してくれてありがとう、フィリップ
(辛気臭くなるのを避けていつも通りの事をいえば、相手の顔は緊張が解けたように崩れ笑顔が見えて今度は小さく微笑む。ついでにいつも通り半熟探偵と評されると、またいつも通りに突っ込んでおいた。相手が不意にこちらを抱きしめてくる、その温かさは何よりも心地の良いもので確かにこの腕の中にあって欲しいと望むものだった。同時に心から安らいだからこそ、押さえ込んでいたあの世界との、おやっさんとの別れの寂しさを感じて僅かに震える息を吐き出す。だが後悔はしていない、こちらからも腕を回して相手を抱き締めながら目を覚ましてくれた相手へと礼を伝えた。自分の罪を忘れるわけにはいかない、それに今目の前にいる相手をなくしたくない。変わりそうもない思いの中心に相手がいることに気がつけば「やっぱり俺はお前がいねぇとダメみてぇだな」と零していて)

…ん、僕がこの元の世界で君と生きていきたいと思っただけさ。それは光栄だね、僕をこうして形作ったのも今の君だ。 …さて、元に戻った所で僕達のやるべき事をしようか。
(いつも通りの返しのはずなのにあの世界を経由しては酷く懐かしい物に思えて口元が緩んだ。抱き締めた相手の体温に残った緊張も不安も解けていく。一方で相手から震える息が零れると背中をぽんぽんと撫でる。幻とはいえ再び一番尊敬する人と会話してそして別れたのだ、無理は無い。そんな選択を取らせてしまった自分に出来るのはその辛さや責任を共有し自分はここに居ると伝えることだろう。礼に自分の選択だと返せばまたぎゅっと腕に力を込めた。そんな中で相手が零した言葉を聞けば微笑みを零す。あの世界の自分も自分であることには変わらないが多分性格も考え方も違っていたはずだ。今の自分があるのはあの夜を共に乗り越え相手が自分と向き合い続けてくれたおかげだ。相手によって作られたといっても過言では無いだろう。そんな自分が側にいることを望んでくれたことは素直に嬉しいことだ。そうして少しの間相手を感じて戻ってきたことを確かめていたが鳴.海.荘.吉の意思を受け継いだ自分達にはまだやることはある。メモリの影響下からは抜け出したが肝心のメモリはまだ見付かっていない。また別の人に使われてしまえばその人にも同じ目に合わせてしまうことになる。腕を緩めて少し距離を離せばいつもの調子でその事を切り出して「メモリの影響を受けた時のこと、覚えているかい？」と尋ねて)

お前もこの世界を望んでくれてるなら良かった……あぁ覚えてる。公園通りがかって神父に話しかけられた時だ。楽園に行きたくありませんかって不気味なこと聞いてきやがってな
(バレぬよう静かに寂しさを吐き出したつもりだったが相手には筒抜けだったらしい。慰めるように背中を撫でられると無意識に相手を抱きしめる腕に力が籠る。だがこの選択に後悔はない。相手も同じ選択を望んでいたというなら尚更だ。記憶を失っている相手が今の形に収まっているのは間違いなくここで暮らしたからだが、こちらだって同じだ。相手と一緒に良い事も悪い事も経験して覚えているから、半熟だがここに探偵として存在している。そしてこの街の探偵として、まだやることは終わっていない。相手の呼び掛けにこちらも少し腕を緩め顔を合わせる。これ以上同じ事が起こらないようにメモリの使用者を捕まえなければ。相手の問いかけに頷き答える、今回自分に起こった事を思えば目星を付けるのは簡単だった。にこやかな老齢の神父に問われた鮮明に記憶しているほど不気味な質問、簡単に受け答えして断ったはずだったが、その後の記憶が曖昧であるのを考えればきっとあの時にメモリの力を使われたのだろう。メモリ使用者ならば力を施した四人共が影響下から抜け出したのを察しているだろう、そして不測の事態が起こった時犯人は大抵現場に戻るものだ。相手を抱き締めていた腕を解いて相棒として立てばハットの位置を直して「公園いくぞ」と声をかけて)

楽園…それが今回影響を受けた人が作り出した理想の世界ということだろうか。 ああ、更に被害が拡大する前に食い止めよう！ ＿＿ …あの人で合ってるかい？
(どうやら相手も同じ事を思っているらしい。今からメモリの持ち主を特定しなければと思っていたが今回は相手が当事者だ。この現実での最後の記憶、つまり相手に話しかけてきた神父が犯人と見て間違いないだろう。その神父が語った楽園は恐らく4人が望んだあの理想の世界を指している。確かに嫌なことを忘れて理想だけがある状態は幸せだが良い事も悪いこともその人を構成する大事な要素だ。あの世界で相手が語った回答を思い出しながらも二人で一人の探偵となった相手の顔を見ればこちらも力強く頷いて早速公園へと向かう。事務所を出る直前、何となくデスクの方に視線を向ければ薄らと残る鳴.海.荘,吉の幻影が二人を優しく見送ってくれているようにも見えた。相手の案内へ最後に訪れたという公園へたどり着く。他にも複数名公園の利用者がいる中で奥へと入っていけば通りかかる人に話しかける神父の姿があった。大抵の人は軽い会釈をするか無視で通り過ぎていくが気の弱そうな学生が声掛けに引っかかってしまったのを見れば若干の焦りと共に相手に確認を取り)

全ての悩みから解放されるとか理想郷とか散々言ってやがったし多分そうだろ。____あぁ間違いねぇ……都合のいい環境が理想の世界とは言わねぇよ。それに他人から与えられた世界には絶対に綻びが生まれる、俺みたいにな
(相手と話しているうちに段々と神父との会話を思い出してくる。話しかけられれば邪険にできない性格だがその内容は眉を顰める様な内容だったはず。楽園に行くという事がすなわちメモリによって理想の世界を作り出してやるという意味だったのだろう。早速公園に向かおうと事務所スペースに戻れば相手の目が奥にあるデスクの方に向かう。そこには今誰もいない、だがそこに居た人の魂は自分と相手の中にある。ハードボイルドの探偵は後ろを振り返らない、ハットに軽く手を乗せておやっさんの想いを受け取り外へと出た。公園にたどり着けば目的の人物は特徴的な格好をしているおかげで直ぐに見つける事ができる。新たなターゲットを探しているのか学生が神父の話を聞いていた。相手の焦った声に押されて足早に二人へと近づけば、神父が『あなたに理想の世界が訪れますように』という言葉と共に手を頭へと伸ばした。すかさず二人の間に割って入り神父の手をはたく。神父はすぐにこちらが先日メモリの力を与えた人間だと気がついたようで『何故理想の世界を壊したのか』だとか『望む幸せの中にいるのが一番だ』だとかそれらしい事を言う。だが最後に『理想の世界を見せた後に本当の楽園へ、死者の世界へ連れて行ってやったのに！』と本性を表し、ド.ー.パ.ン.ト.メ.モ.リ.を取り出した。『Paradise』とガ.イ.ア.ウ,ィ.ス.パ.ー.が響き、掌にメモリが飲み込まれると神父は天使の姿をした化け物へと変わる。「そんなことだろうと思ったぜ」と呆れた声と共にドライバーを腰に装着する、二人で一人の探偵の見せ所だ。「いくぜフィリップ」と声を掛けると切り札のメモリを構えて)

姿は天使でも中身は悪魔のようだね。 ああ、地に足を着けた人間の強さを見せ付けよう、翔太郎。＿＿ メモリの効果を考えれば、あの光には当たらない方が良さそうだ。
(今正に勧誘中ともいえる人物がメモリの持ち主なのだと分かれば間に割って入る。相手が以前メモリを使った人だと分かれば少し驚いた後にあの世界に居ることが幸せなのだと講釈を垂れる。だが現実に戻ってきた相手には響かない。それに痺れを切らしたのか真の目的を告げれば懐からメモリを取り出した。ガ.イ.ア.ウ,ィ.ス.パ.ー.が響きメモリが掌に飲み込まれるとみるみるうちに神父は天使のような姿の怪物に変化した。それを目撃した公園の利用者が悲鳴をあげて逃げていく。見た目こそ神々しい天使だが所々黒ずんでいて本性も含めて堕天使か悪魔といった方が近いだろう。自らの腰にもドライバーが出現すれば相手の掛け声に軽く笑って疾風のメモリを構える。この現実で生きることを決めた人として神父の理想を打ち破ると高らかに宣言すればメモリを装填して意識ごと相手の元に転送した。二つのメモリの揃ったドライバーを開けば風と装甲を纏い二人で一人の姿となる。いつもの決めゼリフも決めまずは様子見に拳で攻撃をしかけるが怪物は大きな翼を使って空へと飛び上がる。『愚かな貴方達にも救いを』などと言いながら翼を広げると羽を模した白銀の光線がこちらに向かって降り注ぐ。素早く後ろに下がってそれを避けるも怪物の言葉とメモリの効果を考えれば当たれば厄介な事になるに違いない。回避をしっかり行うように相手に伝えながらも空中戦に適した青と黄色のメモリに切りかえて)

当たったらさっきの状態に逆戻りだ。…あんたは射撃が下手みてぇだが、こっちは百発百中だぜ？一気に決めるぞ
(理想郷だ楽園だと言って、さながらそこへと導く天使の造形をしたド.,ー.パ.ン.ト.だが、理想の幻を見せてから死へと導くなんてそれこそ堕天使の所業だろう。この街の人をそんな悲しくて虚しい結末にさせるわけにはいかない。風と共に装甲を纏って化け物と対峙する。見た目に違わず背中の翼で空へと逃げた敵を見上げる。未だ迷える人を救う天使の気でいるのか恍惚な声が聞こえてくるが、それと共に放たれたのは見覚えのある白銀で相手に同意してその場を離れる。拳は届かないが攻撃が届かないわけじゃない。メモリが対空戦に適した黄色と青に変えられると光線をかわすのを続けながらト.リ.ガ.ー.,マ.グ.ナ.ム.から光弾を発射する。ルナの超常的な力によって光弾は光線の合間を抜けて化け物へと次々に当たり宙に浮かぶ体にダメージを与えていく。少々煽るような事を言ってやれば化け物はムキになって更なる光線が降り注いできた。だがその分隙は多くなる、相手に声をかければスロットにメモリを装填して銃口を化け物へ向ける。天使を傷つけ地に落とすなんて罪深い響きだが、そいつがまやかしの理想郷へと連れていこうとするならば迷いなくこの引き金を引ける。ガ.イ.ア,ウ.ィ.ス.パ.ー.のあと「ト.リ,ガ.ー.フ.ル.バ.ー.ス.ト.！」の声と共に引き金を引けば、次々に発射された光弾は白銀の光線を縫うように避けて全て化け物へと当たりその白銀の羽を焼き尽くす。叫び声と共に不気味な体は地へと落ちて化け物は元の神父の姿へと戻るとメモリが飛び出し粉々に砕け散って)

君の理想もここまでだ。…ようやくこれで事件も解決だね、翔太郎。
(自在に動く光弾は光線の間をすり抜け怪物に当たる。あのやり取りで神父の性格を掴んだのか煽るような言葉と共に軽快に攻撃を避けると怪物はムキになってより多くの光線を降り注ごうとしてくる。だがその分隙は多くなって死角から光弾をぶつけるのを続けダメージによって怪物の高度を落としていく。メ.モ.リブ.レ.イクが可能な範囲まで引き寄せれば「ああ」と短く返事をしてト.リ.ガ.ー.,マ.グ.ナ.ムを構える。十分にエネルギーを充填すれば相手と声を合わせて引き金を引いた。発射された光弾は全て怪物に命中して白銀の翼を焼き尽くして羽と共に地に落ちた。メモリが排出された神父は地面に横たわり苦しそうに唸っている。もしかしたら最初に自らの理想の世界に囚われたのは彼なのかもしれない。だがメモリが作り出すのは本当の楽園や幸せではない。罪を償う中でそれを分かるようになってくれたらと神父に視線を向けていた。 変身を解いて元の体で立ち上がる。そろそろ逃げた人たちが警察などを呼んで戻ってくるだろう。また刃野刑事に鉢合わせればからかわれてしまいそうだ。だが今は少しだけ事件解決の喜びを感じていたくて相棒の方を向けば安堵したような笑みと共に声をかけて)

あぁ、夢みたいな理想の世界ともこれでおさらばだ。……俺はあんな世界を理想だと思ってんだな
(理想を求めた堕天使は地へ落ちてその理想ごと砕け散る。あらゆる人を救済するはずの神父も願いが肥大すれば悪魔に落ちるといったところだろうか。何にせよこれで事件は解決だ。変身を解いて相手の方へと振り返る。あとはジンさん達の到着を待つだけだ。安堵したような笑みにこちらも小さく笑みを浮かべながら返事をする。今回は自分が被害者にも当たる訳だが、それこそ夢でも見ているような時間だった。もちろん神父の言葉からすればあのままあの世界に生き続ければいつか命を奪われていたのだろうが。瞬く間の儚い時間を思い返す、あそこは自分のことをある種苦しめる事実が全て取り払われた世界だった。それらの悪い事と、一緒に起きた良い事があったからこそ今の自分があるはずだと理解しているのだが、心の底ではそれらを全て投げ打ちたい願望が眠っているという事だろうか。手をハットに添える、幻とはいえ一時的に再開出来た彼の事を思い出しながらポツリと呟いて)

鳴.海.荘.吉が生きていてメモリ犯罪もあまり起きない世界…君が望みそうなことだ。 ……だけど、今更相乗りの途中下車は許さないよ。
(相手も小さく笑い返してくれるがハットに手を添えてぽつりと呟く。あのメモリが作り出した世界はその人の望みを叶えた理想の世界だ。あの夜に亡くしてしまった鳴.海.荘.吉がいて共に探偵をしていて組織もあまり活動せずに時折所長が遊びに来るような平和な世界を相手は心の底では願っていたということだろう。現に彼の後ろをついてまわる相手は楽しそうで幸せそうに見えた。あの夜に歯車が噛み合っていればあんな光景を今も見られたのかもしれない。だが天地がひっくり返りでもしない限りもう叶わない夢だ。それは相手が1番分かっていることだろう。こういう時に相手のようにその人が欲しがる言葉を送るのは得意では無い。ならばいつも通り自分の思ったことを伝えるだけだ。少し考え込んでからハットに添えられた手首を掴みそっと降ろさせる。理想を見せるのが天使ならば自分本意な悪魔らしく。まっすぐと相手を見据えてこちらの現実に縛り付ける言葉を告げて)

まぁそれだとお前が一番安全な環境だし、な………、……降りるわけねぇだろ。お前とは最後まで相乗りするって決めてんだからな
(久々に目の前にいたおやっさんは自分の記憶の中にいたそのままで、強くてかっこよくて最高にハードボイルドな探偵だった。そんな頼りになる男がいて組織も弱体化していれば相手が外出するのを躊躇ったりすることもなかったのだろう。自分の願望には相手の身の安全も練り込まれていて、結果あの形になったのだろう。当然もう一度あの世界に行きたいとは思わない、理想の世界を強く望んでいるわけでもない。しかし心の内に確かに叶わぬささやかな願いとして、想いがあったのは確かなようだ。そうやって思いを馳せていると不意に手首を掴まれてハットから手が外される。そして告げられたのは一見相手本意の言葉で、しかし確実にこの心を掴む言葉。目を見開き瞳が揺れる。逃がさないとばかりに手首を掴まれ紡がれる悪魔のような言葉だ。だがそれは自分があの夜に選び取った選択、そして今は自ら選んでいたい選択だ。この先がどれだけ悪路であろうと共に過去を背負って並んで立っていたい。正直抱き締めたい気分だが白昼の公園でそれはマズイ、代わりにキメ顔でこちらの心境を誤魔化しつつ返事をしておいた。少しして遠くからはパトカーのサイレンが聞こえてきて「ジンさんにこいつ引き渡して帰るか」と声をかけ)

…、なら良かった。 ああ、それに何だか君の入れたコーヒーが飲みたい気分だ。
(手首を掴まえてハットの下を伺うような目線と共に言葉を告げる。そうすれば相手の目は見開かれて分かりやすく揺れる。今更相手を手放せるわけが無い。一緒に過ごすのだとしても今の相手と自分でなければ意味が無いのだ。それが例え一番尊敬している彼が相手だとしても、今隣にいるのは自分でこの場所は譲れない。そんな自分勝手でもある言葉を向けると肯定の言葉が返ってきた。自分が望んだことではあるが相手の選択でもあると分かれば少しの間その瞳を見つめた後安堵したように緩く笑みを浮かべる。漸くここに繋ぎ止められたような、そんな気がした。遠くからパトカーの音が聞こえる。誰かが通報してくれたのだろう。警察に神父の身柄を引き渡せばこの件も終わりだ。ふとあの世界で夜も朝も習慣となったコーヒーを口にしてないことに気付く。そう思えば無性にあの味と心地良さが恋しくなって解決の祝いも兼ねて相手にコーヒーを入れて欲しいとリクエストする。そうしてるうちに見慣れた二人がパトカーから降りてきていつもの軽口を交わした後身柄を引渡し事務所へと帰路につき)

(/いつもお世話になっております！探偵君の理想の世界で初期よりも微妙な関係でのやり取りを行ったり非情な選択を迫ったりと今回ならではのやり取りが出来てとてもドキドキしながらお返事させて頂きました。一番盛り上がるところも緊迫しながらも信頼関係が読み取れて最高の場面だったと思います。
ひとまず犯人も確保され一段落と言った感じですがこの後はいかがしましょうか？このままエピローグ的なやり取りを続けても良いですし新たにお話始めるのも有りだと思いますのでご意見お聞かせください！ )

お易い御用だ。お前仕込みのコーヒー入れてやるよ。ゆっくり休むために豆はフルボディのやつだな
(こちらが返事をすれば相手は安堵したような笑みを浮かべる。あの幻を見たせいで随分とおやっさんの事を考えてしまっていたが、その隙間を許さない程に相手は自分を隣に縛って起きたいのかもしれない。底の見えない独占欲だがそれを向けられている事実がこの胸を満たして止まない。今や自分の隣は相手以外考えられないのだ、おやっさんには後ろから見守ってもらうくらいがちょうど良い。相手からコーヒーのリクエストがあると二つ返事で了承する。あの世界では出来なかった事のひとつ、相手と共に歩んだからこそ出来るようになったのがコーヒーを美味しくいれることだ。しかも今なら状況に合わせて豆を選択することだってできる。それも相手の知識の受け売りだが、今の自分にとってはこれが相手と歩んできた証拠にも思えた。程なくしてパトカーが到着しマッキーといつものやり取りをしてからジンさんに別れを告げて帰路へつく。穏やかな時間を過ごすためコーヒーの入れ方を頭の中で思い返していて)

(/こちらこそお世話になっております！今回図らずも出会ったばかりの二人ができ、if要素も含めていつもと違ったやり取りができてとても楽しかったです。かなり好き勝手やらせていただきましたが、探偵が幻想に引っ張られそうになる度に引き戻す検索くんがかっこよくて意地らしくて、こちらもめちゃくちゃ楽しく返信させていただきました。
この後ですがこのまま理想の世界について振り返るのも良いですし、場面展開してしまってもいいかなと迷っているところです……場面展開するなら以前提案してくださった検索くんが久しぶりに知識の暴走特急になる話か何かきっかけで結婚指輪買うお話とかいかがでしょうか？)

(/こちらも続けるか場面転換か迷ってお声がけさせて頂いたのですが、丁度帰宅でキリも良さそうなので場面転換といたしましょう。結婚指輪を買いに行く話はとても楽しそうかつ節目ともなりそうなイベントですので個人的にはもうちょっと取っておきたい気持ちがあったりするので検索がどハマりする話をさせてください！
早速初回を回そう！と思ったのですが探偵君を暴走に巻き込んで振り回す展開を考えるとハマってる対象を決めきれずにずっと悩んでしまっているのでご相談させて貰っても宜しいでしょうか。今の所浮かんでる候補としては紅茶、カクテル、香り、飛行機、サウナ(減量)、吸血鬼などなのですがその中でもそれ以外でもこんな対象で暴走してる所が見たいやこんなことをやりたいとかありますか？ 思い切りギャグっぽくしても良いかなとも思ってるので良かったらご意見頂けると助かります。)

(/それでは結婚指輪の方はもう少し寝かせることにして検索くんがどハマりするお話でいきましょう！
検索対象ですがあげていただいた中だと香りが話として展開しやすそうかなと思いました。こちらもギャグっぽいのを想像していたのですが、コーヒーや先日の泡風呂で香りの効果に疑問を抱いてそこから抜け出せずに色々な香りを求め始めて……という流れはいかがでしょうか？最初は探偵も止めようとするも最終的に諦めて街の知識を活かしていろんな香りを求めてウロウロする、みたいな事も出来るかなと。話の流れ次第ですがその中で紅茶やカクテルなんかを出しても良いかと思います。)

…やはり事務所内の物だけでは検証に限度があるみたいだ。 やはり外に出てみるしか…
(無事に現実に戻ってきて相手の入れてくれたコーヒーを嗜んだ数日後。特にメモリ関係の依頼や事件もなく相手と所長は久々に舞い込んだペット探しの依頼に朝から出ていて事務所には自分一人だ。そんな環境で若.菜.姫のラジオを独占して聞いていると番組の中で『最近は夏の匂いもしてきましたね』と楽しそうに彼女が話す。夏の匂いという聞き慣れぬ言葉が頭に残ればラジオが終わり即座に検索をする。夏の匂いとは新緑の匂いだったり蚊取り線香のような夏によく嗅ぐような匂いを指すらしい。そしてそういう香りを感じると人は落ち着いたり安心する効果があるという記述も見受けられた。思えば先日のコーヒーや泡風呂は良い香りがして気分が落ち着いた気がするし、相棒は過去に香水をつけて大人っぽく気取ろうとしていた。改めて目に見えない香りの種類や効果について関心を持ち興味が湧いてくればあとは満足するまで突き詰めるのみだ。食事をとるのも忘れて検索結果をホワイトボード一面に書き出し香りの主成分となれる有機化合物や香りを感じるメカニズムをまとめて理解すれば今度は止める人が居ないのを良い事に事務所中から香りに関する物をガレージにかき集めてくる。コーヒー豆にペンのインク、本や洗剤、観葉植物、メンテナンス用のオイルなど一堂に並べると一つ一つ香りを検証していく。ブツブツと感想や受けた印象を呟きながら結果をまとめて行くがやはり室内にあるものだけでは傾向に偏りがあり検証として十分とは言えない。更なる興味のため外に出ることを検討しながらもペンのインクの匂いを熱心に確かめていて)

(/それでは香りにハマった検索の方で初回回させてもらいました。ご意見ありがとうございます！依頼から帰ってきて事務所と検索の状態に驚くみたいな所から街に探しに行けたらと思います…。探偵君を随分と振り回すことになりそうですがこちらもいつも通り好きに話を展開して行けたらとおもってますのでよろしくお願いします！ /蹴り可能です。)

____なッ、……フィリップ、お前なにしてんだ！久々にやってんな…
(夢から醒めて再び事務所のデスクを使うようになってから暫く、今日は朝からペット探死の依頼だった。品のいいマダムが『ペット探しのプロなんでしょ？』と言って事務所にやってきて、そこは全力で否定したかったのだが所長様が彼女の身なりをみて全力で肯定して仕事を請け負う構えをみせ、口を挟む間のないままペット探しが始まった。いろいろ話を聞いて回り、途中でそのペットがイグアナであることが発覚してからまた一悶着あってなんとかしてペットのジェシーちゃんを捕まえたのだ。無事にジェシーちゃんを家族の元へ届け終われば所長はゲッソリとした顔をして『今日はもう…帰る……』とそのまま帰宅してしまった。四方を探し回りついでに所長と共に行動して散々二人で振り回されたのだから今日はもう事務所を閉めて良いだろう。相手を迎えに行こうと事務所に帰ってくるとハットを金具にかける、その時点で違和感があった。事務所にあったはずのものが所々なくなっている。荒らされたというよりは何処かへ持っていったという印象だ。嫌な予感を覚えながらガレージへの扉を開くと、その予感は的中する。ホワイトボードいっぱいの文字に、事務所内のあらゆる物が一箇所に集められていてその中心に相手がいた。久しぶりにみる光景に絶句したあと、声を荒げながら階段を駆け下りる。相手に近づいて集められたものと相手とを交互に見ながら、状況を把握しようとして)

(/初回ありがとうございます！検索くんに振り回されてワイワイするの大好きですので今回も楽しみです。休日ということにしてしまいましたので検索欲を満たす一日としましょう/こちら蹴りで大丈夫です！)

翔太郎！良い所に来たね。…これはいつもの洗剤の匂いと、草や土の匂いかな。 犬や猫によく聞く匂いは感じられない。…それに若干汗の匂いもする
(インク特有の匂いを確かめているとガレージの扉が開かれる。そちらに目線を向ければ相手が驚いたような顔でこちらを見ては声を荒げながら降りてくる。いつもならば相手を出迎え依頼の結果を聞いたり成果を労ったりする所だが探究心に駆られている今では新たな匂いのサンプルが出来た事に嬉しそうな笑みを浮かべては立ち上がりこちらからも近付く。そのまま抱きつくようなしぐさで相手の胸元の服に顔を埋めると早速匂いを嗅ぐ。家で使っている洗剤の香りに加えて観葉植物から感じられた物よりも青っぽい草と土の匂いが感じられた。頭の片隅でペット探しの依頼が来ていたのを思い出すが汗腺があり毛の多いある犬や猫に多くみられる匂いが感じられない辺り別の種類だったのだろうか。分析するような口調で感じられた匂いを呟きながらも顔を肩口に移動させ深く呼吸する。その中に汗の匂いが感じられると率直にそれを口にして更に検証を続けようとして)

おま、ッ……さっきから何してんだ！土とか犬とか……今度の検索対象は匂いか？
(様々な物に囲まれながらペンを嗅ぐ姿は奇天烈過ぎて一体何をしているのか全く理解できない。最近は検索意欲を示してもそれをコントロールしていたようだったが、久しぶりに今日はそれが爆発しているらしい。一体なにに興味を持ったのか探る前に相手がこちらに笑顔を向けて近づいてくる。てっきり抱きついてくるものだと思って、瞬時にここが事務所である事と、しかしもう所長は帰宅した事を思い出し、それならば構わないかと心構えをした。だが相手はこちらに密着するもその接触の仕方は抱きつくのとは少し違う。そして間近で相手がこちらの匂いを嗅ぐ音が微かに聞こえてその匂いを次々に分析されればこちらの事を暴かれているようで段々と恥ずかしさが募った。極めつけに汗の匂いに言及されると羞恥の方が勝って相手の肩を掴むと叫びながら相手の鼻とこちらの体に距離を作る。そこでちらりとホワイトボードの方を見やれば夏の香りだのコーヒーだの香水だのそんな言葉が並んでいて、相手の先程の発言を加味すれば検索対象は大方予想が着いた。目線を相手へと戻せば何をしているのか知るためにキーワードを確認して)

何って検証さ。 ああ、君は匂いの奥深さを知っているかい？ 香気成分を始めとする香りの主成分は様々な化合物の集合体だが、例えばコーヒーなら800種類程度の成分が関与してるとされているんだ。実際の風味に関する成分は60種類程度とは言われているけどその一つ一つの配合の違いによって全く違う匂いに感じられるらしい。今まで何気なく感じてきたけど実に興味深い内容だ。
(相手の匂いについて分析していれば突然叫んだかと思えば強制的に引き離される。邪魔が入ったことに不服そうにしながらも検索対象について問われると一日中調べて分かった匂いについての知識を相手にも共有したい欲の方が勝つ。得意げな顔をして頷けば相手に問いを投げかけつつもいかに匂いという検索対象が興味深い物かをホワイトボードに書いた文字を時折指さしながらも説明していく。複雑な化合物の集合体によって普段感じている香りは作られていてそれが植物から動物、鉱石や人工物まで全て違う匂いがするのだから興味は尽きることがない。きらきらと興奮と興味に瞳を輝かせながらも語っていると相手が共にいれば外の香りも嗅ぎに行ける事に気付く。再び相手の元に戻ってきて肩に手を置き「翔太郎、外の香りも確かめに行きたい！」とお願いして)