相乗りで何処までも 【 〆 】

いい組み合わせだ、アキコが喜びそうなパジャマになったな。俺は買うものねぇから会計済ませちまおうぜ
(何かと縁のあるお好み焼きTシャツとモスグリーンのハーフパンツが組み合わされば立派なパジャマの完成だ。くまさんよろしくインパクトがあり可愛いテイストで、しかも大阪名物のひとつであるこのパジャマは所長様がかなり気に入りそうなチョイスだ。笑みを隠さずこれで良しと頷く。買うものはないかと振られたが今は心当たりがなくて買い物カゴを手にレジへと向かった。代金を支払い袋に詰めてもらえば袋の中のパジャマは正式に相手のものとなる。お揃いで何かを持つのも嬉しいが相手の物があの家に増えるのも二人の家の色が増して嬉しいものだ。店を出れば次の目的地を考える。買うのが決まっていて嵩張らないとなるとシャンプーを先に買った方が良いだろう。となれば次はこちらの行きつけに行くことになる。「次はシャンプー買いに行こうぜ」といつものバス用品専門店へと歩き出し)

確かに、今度機会があれば見せに行こうか。 ＿ 家にあるのは…コレだね。ずっとこれを使っているのかい？
(お好み焼きといえば確かに大阪名物のひとつで気になったきっかけも所長由来だ。今日休みをくれたお礼ではないが、このTシャツをパジャマとして選んだと報告すれば喜んでくれるに違いない。何かしらの方法で見せることを考えつつも相手に買うものが無ければレジへと向かう。会計を済ませて袋に詰めてもらったのを受け取ると正真正銘自分のモノとなって口元に笑みが浮かぶ。しっかりと持ち手を握って店を出ると相手に次の目的地を提案されて頷いた。毎日使うものだから忘れない内に買っておいた方が良いだろう。相手に連れられてバス用品専門店へと入れば石鹸の類にも似た良い匂いが2人を出迎える。先程の服屋よりも狭い店内の案内を見てはシャンプーのコーナーへと向かう。これまた多くの種類のシャンプーが並べられているが風呂場に置いて使っているパッケージを見つければ手に取る。間違ってないか表記を確認しつつも興味本位に尋ねてみて)

そうだな、暫くこれしか使ってねぇ。なんかの調査の時にやたらこれを気に入ってる人に会って気になって買ってそれ以来だな。……シャンプーは同じのでいいよな？
(目的地へとたどり着けばまずはお目当てのもののコーナーへと足を向ける。パッケージを見るだけで家にあるシャンプーが分かる位には相手にも馴染みの品になっているのがまた胸を暖かくさせる。自分の匂いのひとつだと言われたシャンプーだが、使い始めた理由は些細なものだった。たまたま聞き込みをした男性が持っていたのがこのシャンプーで、熱をこもったプレゼンをされたあげく売っている店まで教えてくれたのもいい思い出だ。手が出せない値段でもなく試しにと買ってみて香りや使い心地が気に入り今に至る。棚には他にもシャンプーが並んでいる、相手のものを増やすという目的ならここで好きなのを試してみるよう勧めてもいいのだろう。しかしそうなれば相手はもう自分と同じ香りではなくなってしまう、せっかく染め上げたものがなくなるのには抵抗があった。独占欲を擽る同じ香りのもと、それは変えなくても良いはずだと窺うように相手に聞いて)

なんというか、君らしいきっかけだね。 …？ああ、勿論。 僕もこのシャンプーの香りは気に入っている。 ここで買うのはこれだけ、…、
(てっきり鳴.海.荘.吉が使っていただとか雑誌で取り上げられていたとかの理由だと思っていたため、調査の最中で勧められてというのは意外ではあったが何とも相手らしい理由だ。それを気に入って今の今まで使い続けているのだからお勧めした人も嬉しく思っていることだろう。思わず笑みを浮かべながらも相手と街の人の繋がりを感じていると当たり前の確認をされてキョトンとした顔を見せる。今までも同じシャンプーを使ってきたのだから今更違うのにしたいという要望もない。近頃は鼻も慣れたのか強くシャンプーの匂いを感じることは無くなったがそれでもふとした時に感じる香りは相手と同じなのを感じられて幸せな気持ちとなる物だ。自分の毛先を触りながらも微笑んで肯定の返事をした。お目当ての物も確保出来てレジに向かおうとするが良い物を見つけてその足が途中で止まる。立ち止まった入浴剤と書かれた棚には沢山の小袋のようなものがあってそれぞれ効能や香り、イメージ画像などが書かれている。最近は事件や依頼が立て込んでいてシャワーで済ませてしまう事が多かったが今日はせっかくの休み、お湯を張ってゆっくり入るのも良いかもしれない。それらしい建前が出来れば「翔太郎、これ欲しい」と強請って)

そうか、ならシャンプーはそれで決まりだな。あとは会計……ん？入浴剤か。いいな、今日はゆっくり湯船浸かれるだろうし買ってみようぜ。……温泉の成分が入ってるやつとかアロマのやつとか、泡風呂もあんだな
(相手を自分の香りのままにしておきたいという邪な考えのもと聞いた質問だったが、相手は当然とばかりに同じシャンプーを使うと回答が返ってくる。相手の指が毛先に触れる、あの場所まで今二人同じ香りをしている。それが失われずに済んだと思えば小さく笑みを浮かべて返事をした。たまたま巡り会ったものだったが風.都.の人に教えてもらったこの香りを相手も気に入ってくれて何よりだ。さっそくレジに向かおうとするが相手の足が止まってその目線の先を追う、陳列されていたのは入浴剤だ。あまり使うことのない入浴剤だが休日を思いっきり過ごすならばいいお供になるだろう。相手に並んで陳列棚を眺めるがこれもなかなかに種類が多い。効能は様々で実に色とりどりなパッケージが並んでいる。それらに順に目を写しながら「気になるヤツあるか？」と隣の相手をみて)

やった、若.菜.姫が以前紹介していて少し気になってはいたんだ。 せっかくなら普段は出来ないものが良いな、…この泡風呂の奴とコレも良さそうだ。あとは……
(期待を込めてお願いすれば肯定的な返答がされる。以前ラジオで若.菜.姫がリラックスの手段としてあげていて気になってはいたがなかなか機会に恵まれることが無かったのだ。相手からの許可が降りると早速どれにするかを悩み始める。売れ筋の商品なのか入浴剤も種類が多く相手と隣に並んで大きくジャンル分けされた陳列棚を眺めていたが入浴剤ならではの物珍しさとリラックス出来るような効能という点に焦点を置くことにする。相手に問われまず手に取ったのはシャワーの勢いを利用して泡風呂を作ることの出来る入浴剤と体の芯まで暖かくなると効能の書かれた炭酸系の入浴剤だ。それぞれフローラルとシトラスの香りでゆったりとした休日のお風呂にはピッタリだろう。再び陳列棚に目を向けても気になる香りや効能の物ばかりで更に追加で買おうと迷っていて)

なるほど、お前が興味を持つわけだ。……これも買おうぜ。スッキリした香りってのも良さそうだろ？
(どこで入浴剤の情報を仕入れたのかと思っていたが若.菜.姫が紹介していたと聞けば合点がいく。以前は気になる事を地.球.の,本.棚.に篭って調べつくせば興味を無くすの繰り返しだったが、今はこうして外に出て実際に体験する相手をよく見る気がする。悩むように入浴剤を見上げる相手をみれば外出を一切禁止にしなくて良かったと心底思った。そうでなければこうやって悩み好奇心を輝かせている相手を見ることはできなかったのだから。悩みながら相手が選んだのは泡風呂と爽やかなシトラスの入浴剤だ。まだ悩む素振りをみせる相手に、知識欲や好奇心を満たすならと別のタイプのものを手に取る。バスボムタイプの入浴剤でミントの香りが特徴的なものらしく、さっぱりとした清涼感ある入浴ができるそうだ。バスボムはお湯に溶ける様をみるのも目に楽しい、相手の好奇心を十分刺激してくれるだろう。丸くて青いバスボムを手に取りながら「他になんか買っとくか？」と興味のあるものがないか聞いて)

ああ、これから熱くなる時期にもピッタリだ。 まだまだ買いたい物はあるけどこれくらいにしておこう。 また来るだろうからね。
(次はどれにしようかと悩んだところで相手が差し出したのは袋詰めされたのともまた違う球状のバスボムだ。丸っこいフォルムは興味を引くには十分で分かりやすく目を輝かせて食いつくとそれを受け取る。ミントの香りが特徴的で清涼感のあると書かれているバスボムはこれから気温の高くなってくる季節にピッタリな選択だろう。楽しみな様子でバスボムも手に抱えると他にを問われ、少し悩むも今日の所はこれだけだと告げる。正直に言えばまだまだ欲しいものはあるが試しに使う分にはこれくらいでいいだろう。それにきっとこれから生活する中でまた買い出しに来る事もきっとあるはずだ。その時の楽しみはとっておかなければ。相手の方を見て得意げにそう告げれば手にあるものを持ってレジへと向かう。会計を済ませ手提げ袋を1つ増やすと未来への楽しみを残しつつ店を後にした。パジャマとシャンプーとが揃えば事前に決めていたものはあと食器だけだ。だが商店街にはそれ以外の店があって時間もまだ比較的早い。辺りを見ながらも「君は何処か寄りたいお店とかあるかい？」と問いかけて)

加減して買うなんて成長したもんだな。____そういや珈琲豆を買おうと思ってたんだ。豆の違いでコーヒーを楽しむのもハードボイルドってもんだろ？
(こちらが選んだバスボムも加われば買う予定の入浴剤もそこそこ彩りに満ちてくる。相手の言うようにこれからも何度だって二人が使ういつものシャンプーを買いに来る事になるだろう。その時にまた少しずつ新たな入浴剤を試せばいい。ひょっとしたらお気に入りのひとつが見つかるかもしれない。そんな次の機会の予感に浮つく心を誤魔化すように相手にからかいの言葉を投げておく。実際知識の暴走特急状態になれば端から端まで全部試したいと言い出す可能性だってあるのだ、常識の範囲内で収めているのはいい変化だろう。店を後にして他に買うものはと言われ記憶を巡れば買い物リストにあげ忘れていたものがあるのを思い出す。相手に教わりようやくまともなコーヒーがいれられるようになり、豆をひく粗さによる味の違いも何となく掴めてきたところだ。となれば次は豆の種類の違いを確かめる段階だ。『違いの分かる男』なんていかにもハードボイルドだろう、その違いを理解するためにもまずは様々な豆を試すべきだ。となれば次に目指すべきは国内外の食品を扱う店舗、あそこには様々な珈琲豆が揃えられていたはずだ。スーパーで買えるような種類をすっ飛ばしてそれっぽいものを買おうと食料品店へと歩き始め)

ハードボイルドかはともかく、違う豆を確かめてみるというのは悪くない。 早速見に行ってみよう。＿＿ キリマンジャロ、ブルーマウンテン、グァテマラ、モカ・シダモ…有名どころは揃っているようだね。それに焙煎度やブレンドも様々なようだ。確か今事務所にあるのはコロンビア産のミディアムローストだったはずだからそれに近しいのならブラジル産かそれとも違う風味のフルボディの物を買ってみるか……
(何処か子供扱いしたように言われるが一度に全て買っても風呂に入る回数は決まっているのだから少しずつ試して好みの傾向を掴む方が効率的だ。それに今日のように生活に必要なものを一緒に見て回るという機会を設けるためにもそれらしい口実は必要だろう。入浴用品を手に入れ次を問えば朝や事務所で飲むコーヒー豆の名があがる。理由こそいつものハーフボイルド節だが相手も大分コーヒーを入れるのに慣れてきたようだし豆による味わいの違いを確かめるのは賛成だ。表情を明るくして賛成を示すと相手に案内されたのは少し変わった食料品店だ。中は比較的狭くオシャレな内装の棚には日頃行くスーパーでは見かけないような様々な国の食料などが並んでいる。見慣れない物の数々に一日中居ても飽きないと興味深く目を向けながらも目的であるレジ前のコーヒー豆の並んだコーナーへと向かう。コーヒーについては既に検索済みだ。並べられている名前やPOPと得た知識を照合しつつも口元に手をやりながら饒舌にそれらを語っていく。だがそれだけでは決めきれずに相手にも意見伺おうと「君はどんなタイプが好みだい？」と問いかけ)

珈琲豆って言ってもこんだけ種類あんのか……ブレンドまで加えたらすげぇ種類だな。味の好みは分かんねぇけど……ライトよりかはフルボディの方がハードボイルドって感じだろ
(探偵をやる上で一番大切なハードボイルドかどうかの部分を軽く流されてしまうと「とにかくって言うな」と軽く文句を言いつつ目当ての店へとたどり着く。珈琲豆だけでなく普段は目にしない食料品が所狭しと並べられており相手でなくとも好奇心が刺激される場所だ。いろいろと見て周りたいところだが、まずはと珈琲豆のコーナーを覗いてみる。コーヒーのいれ方さえまともでなかった為そもそもどんな珈琲豆を使っていたかはハッキリと覚えておらず、相手が事務所で使っているものをさらりと言っていたのを感心して聞いていた。違う豆を、といったものの下調べをした訳ではなく相手が語るのを聴きながら陳列された場所に貼り付けられている味わいのチャート表と睨めっこする。コーヒーの味の好みも整っておらず暫く考えたが、最終的には味ではなく言葉の響きを重視する事にした。ハードボイルド論にひっかけてとりあえずフルボディのものを買うのを決めるとチャートを眺めて「これか？」とグァテマラを指さし)

…まあフルボディの方が重量感があって濃厚なコクがするからコーヒーって感じは強いだろうね。ならばグァテマラにしようか。フルボディはゆったりした時間を過ごすには良いけど軽い食事と合わせるには不向きだから朝食用にはこのライトローストにしよう。
(ハードボイルドの件に文句が入りつつも店内でコーヒー豆を見て回る。暫く熱中しただけあってコーヒーは奥深くここに並べられているものだけでも全体から見ればごく一部に過ぎない。購入者に分かりやすいように酸味や甘み、口当たり等がまとめられたチャート表を見ながら相手も悩んでいたが言葉の響きをアテにするような発言に笑みが零れた。確かにフルボディは濃厚で味わい深いため相手の言うハードボイルドらしいコーヒーには近いのかもしれないと肯定の補足を伝える。その反面油脂分が多く好き嫌いが分かれやすい味をしている不安はあるがその時はミルクでも入れるかアイスコーヒーにしてしまえば幾らか飲みやすくもなるだろう。相手の指さしたグァテマラも比較的日本ではメジャーなコーヒー豆だ。新しい味を知るという意味で相手の意見を採用すると朝食用には今のものと近しいブラジル産のものをチョイスする。ライトボディに近い物とフルボディで飲み比べという意味でも良いだろう。お試しということで少なめの量を店員に言えばそれぞれ袋に詰めてもらい)

依頼の合間に事務所でゆっくりコーヒーを楽しむ、か……いいな。場面に合わせて珈琲豆を選ぶってのもハードボイルドな男の嗜みってやつだな
(語感を頼りに選んだ珈琲豆だったが、相手から説明が入れば目指す対象に近しい単語が次々に並び調子良さげに笑みを深める。コーヒーをじっくりと味わう時間なんていかにも探偵らしい仕草だ。あのデスクで報告書を作る手を休めコーヒーを堪能する時間を想像するだけで顔がニヤケてしまう。さらに相手はもうひとつ珈琲豆を選んでいてそちらは朝食用らしい。さすが散々検索しただけあって知識豊富だ、相手の入れる解説に軽く頷きながら感心する。その場に相応しい珈琲豆を選んでコーヒーをいれるなんていかにも大人っぽくカッコイイ。目指す姿とは反対に興奮を隠しきれない様子のまま珈琲豆が詰められて行く様子を眺める。今日はコーヒーに入浴剤と家で試したいものが多い、充実した休日を過ごせそうだ。こちらの買いたいものは選び終えたが、そこで相手に何か買い物の用事はないか聞いていなかったのを思い出して「お前はなんか買いたいもんあるか？この店でも、他の店でも」と問いかけ)

ああ、今から味わうのが楽しみだ。 買いたい物…、ならほかの所でも良いから甘い物を買って帰りたい。 コーヒーに合わせるならばチョコレート系のケーキか菓子か、それかアイスクリームがいいかな。
(こちらの説明を聞けば相手にご機嫌な笑みが浮かぶ。真のハードボイルドならば語感でコーヒーを選ばないしかっこいいコーヒーの飲み方を公言したりもしないと思うのだが楽しそうな相棒に水を差すのも野暮という物だろう。それに相手と共にコーヒーを味わう時間は至福とも呼べる一時で楽しみなのはこちらも同じこと。店員から受け取った紙袋越しでも僅かにコーヒーの良い香りが感じられて頬を綻ばせながら言葉を口にした。ひとまずこの場所での目標は達成した訳だが相手から買いたいものを問われると少し悩みこむ。気になるものは沢山あるのだが、今は買ったものを早く試したい気持ちの方が強い。かといって何も買わないというのも勿体ない気がしてほかの棚を見ていると外国のお菓子のようなパッケージを見つける。コーヒーは勿論単体でも楽しめるが今日のような休日には何かを合わせたい気分だ。コーヒーのペアリングについての知識を思い出すと相手のチョイスしたグァテマラに合うとされる甘味を所望して)

甘いものか……それならアイスにしようぜ。家帰ってから体冷やすのにちょうどいいだろ？ちょっと行った先に専門店があんだ
(少量ながら二種類の珈琲豆が入れられた袋が相手に手渡される。この二種類の珈琲豆の違いが分かる男になるのも楽しみだが、それよりも相手と一緒にコーヒーを飲み交わしながら感想を言い合う時間が楽しみだった。相手に買いたいものを聞けば返ってきたのは甘い物の購入だ。ハードボイルドに甘いものは似合わないのだが相手が言い出したのならセーフだろう。この店にもチョコレート系の甘いものはいくつかあるだろうが今日は冬の気配が薄れ少々蒸し暑くも感じる天気、濃厚に甘いだけよりも涼しさがあった方が良いだろう。暫しの思考の後選んだのはアイスだ。甘く冷たいチョコアイスはコーヒーとはまさに対極にある存在で相性が良さそうだ。それに歩き回って体温の上がった体を家に帰って冷やすのにもちょうど良いだろう。近くに店があると指さしつつそちらの方へと歩き始めて)

ああ、君の言う通りこの商店街は何でもあるみたいだね。 行ってみよう。 ＿＿ コーンもあるようだけど今回はお持ち帰りのカップだね。僕は…バニラにしよう、コーヒーと一緒に食べるならイタリアのアフォガート風にもなりそうだ。
(買い出しの為に与えられた休暇ではあるが同時に最近立て続けに受けていた事件や依頼の疲れを癒すための日でもあるはずだ。疲労の回復には糖分も欠かせないだろうとの考え方で相手に提案してみると候補の中からアイスの返答がされる。確かに少し蒸し暑くもなってきた近頃なら冷たいアイスはより美味しく感じるに違いない。加えてアイスの専門店があると聞けば紹介された当初の相手の言葉通りなんでも一通り揃っている商店街を褒めつつも楽しみな笑みを口元に浮かべながら相手の後に続いて店へと向かう。こじんまりとしつつもオシャレな見た目の専門店は人気のようで店内には何組かの客が並んでいたりアイスを食べたりしている。店内に入りメニューを見ればそれぞれカップとコーンが選べるようだが家で食べるのなら自然とカップの選択になるだろう。ショーケースにはアイスやジェラートが並んでいて種類も豊富だ。組み合わせを考えるか気になるものを選ぶか、どちらを優先するかで悩んでいたがコーヒーに関するデザートが頭に浮かぶとシンプルなバニラを選択する。アフォガートはエスプレッソのショットをかけたスイーツで厳密には違うのだがちょっとした気分は味わえるはずだ。良いことを思いついたことにご機嫌そうな笑みを深めつつも「翔太郎はどれが良い？」と問いかけ)

だろ？買い物すんならやっぱここだ。____あぁ、それにコーヒーと一緒に食べるならカップの方が良さそうだしな。…王道の組み合わせってやつか。なら俺はラズベリーのジェラートにすっか
(相手が挙げた候補の中からアイスを選べば、この商店街を褒めるような言葉が返ってくる。自分が愛すべきこの街をまたひとつ気に入って貰えたのが嬉しくていつもよりも無邪気な笑みを浮かべながら自慢げに通りを歩いていった。店に入ると外よりも僅かにひんやりとした空気の中また相手と並んでショーケースを眺めた。今回は家でゆっくりコーヒーと食べるためカップにする選択に同意しつつアイスを選び始める。相手が暫し悩んだ後に選んだのはバニラアイスで、アフォガートという単語には聞き馴染みがなかったが例にあげられるくらいには定番の組み合わせなのだろう。それに相手が機嫌良さそうにこちらに笑みを浮かべているのだから、それで十分だ。あとはこちらの分だが、フルボディのコーヒーが重厚感のあるのらしいとなれば組み合わせるのはさっぱりとしたものが良さそうだ。となればと濃い紫赤のジェラートを選ぶ。店員に欲しいものを告げてそれぞれカップに詰めてもらい、ドライアイスも入れて貰えればバッチリだ。袋詰めしてもらったアイスを受け取る。アイスがある以上あまり長く外に出ているわけにもいかないだろうと「あとは食器買って帰るか」と声をかけ)

フルーツ系も美味しそうだね、ああ、アイスが溶けてしまう前に帰らなければ。 ＿ ひとまず必要なのは茶碗と平皿と箸ぐらいかな、
(専門店とだけあって種類も豊富で一番目立つ位置には期間限定との表記のついたアイスも並ぶ。今回は一番スタンダードかつコーヒーに合うバニラを選択したがどれもカラフルなアイスは全て食べてみたいと思わせる魅力がある。その中で相手が選択したのはラズベリーのジェラートだ。ミルクたっぷりなバニラとは対照的にさっぱりしてそうなそれに興味惹かれるが、いつもの流れならばきっと口にすることが出来るだろうとほくそ笑む。会計を済ませてドライアイスも入れてもらった袋を受け取ると店を後にする。そこでようやくアイスは後回しにした方が良かったのでは、と気づくが買ってしまったなら仕方ない。溶ける前に食器を決めてしまおうと相手を急かすと販売店へと向かう。店内には基本的な皿やグラスなどからユニークな形の食器まで様々なものが並んでいる。それらを観察しつつ、良く食卓で使っている食器を思い出しながら上げていき)

だな。他のが必要そうになったらまた買いに来るとするか。……お、この茶碗なんかいいんじゃねぇか？
(アイスを買った事で帰宅の時間は決まってしまったがもう買い物も終盤と言ったところだ。これから買う食器も一気に買うと荷物になってしまうことを考えれば相手が挙げた日常的に使うものを買い揃えれば十分だろう。形も色も様々な食器を見ていればついつい尖った個性を持つものを手に取ってしまいそうになるが毎日使うことを考えればマグカップと同様シンプルなデザインの方がいいだろう。暫く順番に商品を流し見ていたが一角で足を止める。そこは風.都.出身のアーティストがデザインした食器を集めたコーナーだった、この街に生まれた人によってこの街にまつわるデザインが食器になされているらしい。興味深そうに目を向ければその中のひとつに目を惹かれて手に取った。一見すると濃紺にドットが施された茶碗だが、よくみるとそのドットが小さな風車になっているのだ。この風.都.を想って作られた食器はこの街の探偵にはピッタリだろう。相手の方に茶碗を差し出せば反応を窺って)

これは、街の風車だね。ドットなのが良い表現になっているし街への愛が感じられる茶碗だ。…これに決めた。
(アイスが溶けるというタイムリミットはあるがこれから家で長い付き合いになる物だ、なるべく納得して真に欲しいと思えるものを買いたい。そんな思いで食器を吟味していたが別のコーナーを見ていた相手に声を掛けられるとそちらに向かう。差し出された茶碗は濃紺に塗られているがよく見ると細かなドットによって何個も風車が描かれている。そのうちの一つは他のものよりも大きく表現されているあたり風.都.タ.ワーだろうか。それほど主張も激しくなく気付けば思わず口元が緩むような秀逸なデザインだ。同じ人が作った同じデザインの茶碗は何個かあるか絵柄は手描きのようでよく見れば一つ一つ違う。相手の手に持っているものが一番強く風が吹いているように見えることに気付くと答えはすぐに出て相手の手から受け取ってコレを自らの茶碗にすることを決めた。この街を守る為に英気を養う食事をするのにピッタリな茶碗が見つかれば同じ人が作った他の食器も見る。この人はこの街の風をアピールポイントと捉えているようで風に揺れる草葉をイメージした青柳色の箸や茶碗と同じく風車が小さく描かれた平皿などが並ぶ。この街の良い所でもある気持ちの良い風とメインメモリが宿した風の力。それが自分の使う食器にピッタリに思えてはほかの普遍的な物よりも少し値段の近い食器を手に取ると「コレにしても良いかい？」と確認取り)