検索 2022-07-09 20:46:55 |
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………あれくらいどうってことねぇよ。もうほとんど痛みもねぇし。お前の方は首とか大丈夫か?
(後ろから抱き締めれば柔らかな体温の宿る手がこちらの腕に添えられる。相手が力強く頷けば、二人の場所に帰ってきたのだとより強く感じた。互いの体を接触させれば嗅ぎなれた相手の香りが鼻腔を擽る。あの薄暗く煙たくて甘ったるい空間では感じられなかった、いつでもそこにあって欲しくていつまでも感じていたい香り。それを一緒に吸い込むようにゆっくりと深呼吸すればあらゆる緊張感から解放されて安心感と一日緊迫した時間を過ごした反動の疲労感とが押し寄せた。腕の中で相手の体が反転して向き合う形になる。縋るように抱きつく相手を受け止めていたが、やがて眉が下がってこちらに心配そうな目を向けてきた。まだ腹部に僅かな痛みは残っているが問題はない。その心配を振り払えるように小さく笑みを浮かべ安心させるように背中を軽く叩いてやった。だが危害を加えられたというなら相手も同じこと、首を掴まれ持ち上げられた光景を思い出せば首に跡がついていないかとそこに手を軽く添えて覗き込み)
なら良いのだが…。僕の方も特に問題は無いと思う。それよりもファングを使ったことによる明日の筋肉痛の方が心配だ…。
(あの場所では十分に感じとれなかった相手の感覚を補うように確かめる。それに当たって怪我の度合いを聞けば平気そうな答えが返ってくる。抵抗の出来ない状態で2度も攻撃を受けた事を考えれば中の臓器が傷付いた可能性だってある。何かとカッコつけたがる相手の性格を考えれば怪しい所ではあるが今は軽く訝しむ視線を送るだけに留め、小さな笑みを見せる姿を信じて傍で経過観察するしかないだろう。自分も人ならざる力で首を掴まれたが今の所呼吸や脈などに異常はない。覗き込まれる首元に少し跡が残っていたとしても数日もあれば綺麗に消えることだろう。それに今は自らの傷の度合いよりもファングを使いボディ側として暴れ回ったことによるの反動の方が心配だ。明日は満足に動くことが出来ない事だろう。苦笑い混じりに言葉を零すと自由に動ける内にと相手の肩口に擦り寄って)
ん、そこまで酷いやつはねぇな。俺の有難みが分かっただろ?どうやら明日は一日大人しくしてそうだな
(腹部に痛みが全くないといえば嘘になるが表立って何か変化がある訳でもないのだから体は無事だと言えるだろう。その点はこの丈夫な体に感謝する他ない。一方で相手の方も首に傷はなく、薄らと指の跡はあるもののそこまで目立つものではない。以前違法バーに侵入した時よりも外傷は少なくすんだようだ。だが相手の心配を聞けば思わず笑いが漏れる。好き勝手に暴れ回り大技まで決めたのだ、普段事務所で検索を担当する体にとっては相当の負荷がかかっただろう。明日は強制的に事務所からは出られない状況になりそうだ。和やかな空気の中相手がこちらに擦り寄ってくる、愛しい人と触れ合う幸せを噛み締めながら相手の頬に手を添えすくい上げるようにしてこちらを向かせる。目線があったところで「フィリップ、さっきの続き」と暗がりで未遂に終わった口付けのことを示唆すれば、誰にも邪魔されることなくゆっくりと唇を重ねて)
ああ、普段の役割分担がいかに効率的か実感したよ…。……ん、…
(容易に想像が着く明日の状況について心配していれば相手から笑い声が漏れる。戦闘のハードさを考えても普段ボディ側をしている相手の丈夫さや強さが分かるような経験だった。やはり普段の役割の方がそれぞれの負担が少なさそうだ。それにまたファングを使うとすれば、それは相手が何かしらの理由で身体が使えない時くらいだろう。そんなピンチな状況が訪れないことを祈るようにと呟きを零していた。そんな話をしていると頬に手を添えられ自然と顔が上がり目線が重なる。そこで先程及ぼうとした事の続きを示唆されるとどちらともなく顔が近づいて瞼を閉じながらそっと唇を重ねる。恋人だからこそ知ることの出来る感触を確かめるように唇を滑らせ、時折少しだけ離すと角度を変えてもう一度触れ合わせたりと長めのキスを続け)
……、…やっぱ俺はもう、お前から離れられねぇよ
(こちらが体を使って相手が頭を使う、それぞれの得意とする分野を受け持ち補い合うからこその二人で一人の探偵だ。それにあの暴走車を乗りこなすのには相手もこちらもそこそこ体力を消耗する、何かがない限りはこれまで通りの役割分担が一番だろう。慣れない事をして互いに疲れているはずなのに、疲れているからこそなのか、相手を確かに感じたくて口付けを交わしていた。柔らかな感触とそこから伝わる相手の息遣い、それらに安らぎを感じて口付けを繰り返す。自分が最も安心できる感覚に加え、今日どんな事があっても相手と共に居てもいいのだと確信してしまって、ますます相手の隣から離れる理由はなくなってしまった。もっと深い意味で行き着く果てまで一緒なのだと思えば愛おしさとも執着とも思える感情が胸に溢れかえる。胸に満ちたものをそのまま口にした後、わざとリップ音を立てて再び口づける。その後口の端、頬、目尻と同じくリップ音を立てながら愛でるように口付けを落として)
…、それは好都合だ。 元より君を離す気は更々ないからね。 …僕は君のいない生き方なんて知らないし、これからも知るつもりもない。…翔太郎がいないと生きていけないよ。
(二人きりの部屋には邪魔するものは何も無い。触れる唇の柔らかさや温度、ちらりと覗き見た口付けに集中する顔に至近距離で感じる匂いなど相手の発する情報の全てを得ようと何度もキスを繰り返す。そんな中で聞こえてきたのは甘えにも執着にも近い言葉で直後に響いたリップ音と合わせてぐらりと脳内が揺らいだ。、今回の一件で二人で目指す未来だけではなくその果てである最期の一秒の時でさえも隣に居たいという願望を自覚することとなった。合理性からはかけ離れ、時には破滅的な結末を迎えることになるのだとしてもきっと相手と同じであることを望むことだろう。降り注ぐリップ音混じりの口付けに少し擽ったそうに目を細めながらも素直な胸の内を明かす。何も知らなかった自分に色んなことを教えてくれたのは相棒だ。相棒か自分を形作ったといっても過言では無いだろう。そんな相手がいない生活など今更考えられるわけが無い。探偵の象徴でもあるハットを相手の頭から外してテーブルに退ける。そのまま優しく頭を撫でながら情に訴えるような狡い言い方をしてはこちらからも短いリップ音を鳴らすように唇に口付けて)
、フィリップ……馬鹿お前………俺も、もうお前なしじゃ生きていけねぇ……俺が死ぬ時まで傍に居てくれ
(胸から溢れだしそうな愛情と執着の混じった感情を発散するように何度もリップ音混じりの口付けを繰り返す。それを擽ったそうに受ける相手の顔をみれば同じ感情がさらに募って逆に肥大していく気がした。ハットが頭から外れると一旦動きを止める。そのまま頭を撫でられ柔らかな心地良さに浸っていたが同時に告げられたのは甘美な毒のような言葉だ。これまでも同じような意味の言葉を二人で交わした事はあったが、ここまでハッキリと生きる死ぬの言葉を含ませ必要だと言われれば胸が乱暴に掴まれるような心地だった。こちらと同じくもう二人でなければ生きていけないと、そんな事を言ってくれるのが堪らなく嬉しい。だが深く深く相手にのめり込み依存にも似た想いを抱くのは健全では無い。それを口にした途端にさらにもう一段階深い場所へ堕ちてしまいそうな気がして首を振ろうとする。しかしその前に弾ける音と共に口付けが降ってきて頭をひと撫でされると、その最後のブレーキさえ壊れてしまった。相手に強く抱きついて首元に顔を埋める。弱音を吐くようにもう相手から離れる事はできないのだと口にして堕ちていく。今日感じた死の予感、あの時にさえ相手にいて欲しい。決して綺麗ではない薄暗い願いを口にしたあと、懇願の意を込めて首筋にリップ音と共に口付けを落として)
もちろん、命尽きるその時まで君と僕は一緒だ。……翔太郎、
(頭を撫でながら胸に溢れる思いの丈を口にすれば一瞬相手の動きが止まる。もうどうしようも無く相棒が大切で必要で、傍から居なくなってしまえばまともに息すら出来なくなってしまうのでは無いかと思うほど依存していることを今日痛感してしまった。決して健全とは言えないお互いを蝕んでいくような関係を匂わせる言葉に相手の表情に僅かな躊躇が浮かぶ。だがきっとそれを望んでいるのは自分だけではないはずだ。普通の枠に留まろうとする理性や常識を崩してこちらに引きずり込んでやろうともう一度口付けを交わしてやれば観念したように強く抱きしめられ、首元に顔を埋めながら甘えるようで弱々しい願いが託される。首筋に触れる柔らかな感触も含めてつい口角が上がってしまうのを感じながらも頭を優しく撫でて肯定の返事を告げる。組織の件も含めこの街を守るために身を投じている自分達はいつのその時が来てもおかしくない。それでも最後まで相手がそばに居てくれるのなら幸せに違いない。溢れる想いは言葉にするだけでは消費しきれなくなってしまい、首元に埋まったままの相手の頭にキスの雨を降らせながらその存在の大切さを確かめていて)
フィリップ……、……好きだ、フィリップ……ん、……この世で一番、何よりも……好きだ……
(相手へのありったけの好意と執着と独占欲がぐちゃぐちゃに混じった感情、その不健全さとは裏腹に優しく頭を撫でられて全てを受け止められてしまえば溢れ出す想いはさらに止まらなくなる。時にそれが相手を闇へ引きずり込んでしまうような選択でも、それこそ地獄の果まで相手と共にいたい。悲惨な結末だとしても、ひとりでそれを迎えるよりも相手と一緒にいたい。そうすれば最後の瞬間がどれだけ苦しくとも幸せだと言い切れる。頭に優しいキスの雨が降ってくる、柔らかな感触は心を暖かくするがそれだけではもう足りない。顔を上げて間近で目線を合わせると軽く唇を重ねる。それだけでは胸に溢れる想いを昇華するには足りなくて言葉で伝えようとするが、想いを言葉にしようにも結局はシンプルな「好き」の一言しか出てこない。もう一度唇を重ねる、さらにひとつ、重ねるだけでは足りなくなってさらに相手を感じられるよう擦り合わせるような口付けを送る。その間にも胸に溢れた想いを口にするが出てくるのは飾らない言葉だけ。幼い告白を繰り返しながら唇を何度も擦り合わせて)
…ん、……僕も好きだよ、 君の全てを愛おしいと思う。……、
(相手の顔が上がり間近で目線が合わさる。何も言わずとも唇が重ねられてその心地良さに胸が暖かいもので満たされるようだった。相手の口から聞こえるのはシンプルかつ一番嬉しい言葉で、口元に微笑みを湛えながらもこちらからも同じ言葉を返す。触れるだけだったキスは段々とお互いを求めるように擦り合わせるような動きに変わっていく。撫でていた手を後頭部に添えて相手への素直な想いを口にすればより相手を感じようと下唇に優しく噛み付いた。こんな事が許されるのも自分だけだろう。そんな優越感を覚えながらも噛んだ箇所を慰めるように舌先でなぞれば相手の唇はこちらの唾液で濡れていく。マーキングし終えた唇を水っぽいリップ音を響かせながら離せば「好きだよ、翔太郎」と想いを吐き出しながら相手を見つめ)
ッ……ん、…フィリップ……もっと、噛んでほしい……もっとお前のものにして欲しい
(余裕なく口に出した言葉が相手からも送られてくる。その二文字は何度聴いても胸が華やぐ心地になるものだ。触れ合わせるだけでは足りなくなった口付けはより相手を求めるものとなってその行為に夢中になっていく。不意に下唇に相手の硬い歯が軽く刺されば小さな痛みに体を強ばらせる。しかし直後軽く痛みの残るそこにさらに存在を刷り込むよう優しく舌が這えば、その感触のギャップに頭はクラクラと揺れた。痛いのに快楽を感じて暴力的なのに甘美な行為、相手に今しがた望んだ最大の好意と執着が入り交じった願いに似た心地にさらに胸中が掻き乱される気がした。この背徳的な悦楽がもっと欲しい、もっと深くまで堕ちてしまってもいいのならば、ここで我慢する必要もない。頭を撫でられ願いを言うにも素直になっていて、艶めく唇を動かせばお強請りを口にする。相手とより密着できるよう腰に手を回して軽く引き寄せると、唇を重ねてから誘うように相手の唇へ舌先を這わせて)
…っ、……ん…癖になりそうだ、……もっと口開けられるかい?
(下唇に軽く歯を立てると腕の中の相手が強ばったのがわかった。同じ箇所を舌でなぞれば悦びの混じった息遣いが聞こえてきて頭に熱が上る。こちらの唾液で艷めく唇は色っぽくその口で続きを強請られると脳がぐらりと揺れた。腰を引かれさらに密着した状態で生暖かな相手の舌が唇を這うと小さく肩が跳ねる。誘われるまま舌を伸ばして先端を擦り合わせると今度は舌先ごと軽く噛み付いた。自由に動くそれを捉えた支配欲と滅多に人に見せることの無い場所に軽い痛みを与える加虐心が満たされるとゆっくりと離すも背筋を走る興奮に熱い息と呟きを零す。一度火のついた欲はそれだけでは収まりがつかずに再び唇を重ねる。もっと奥深く、自分にしか許されない場所まで支配してしまいたい。開いた隙間に舌を差し込めば無理矢理侵入することも可能性はあるが今は自らの意思でそれを望んで欲しいと傲慢な欲が疼く。至近距離で相手を見つめお願いする形で行動を促しては焦らすように開かれるのを待ち)
……、……んんッ……ぁ……これやべぇ、……あぁ……
(誘うように伸ばした舌先はやがて相手のものと擦り合わされ柔らかな感触がそこから伝わる。直後柔らかかった舌は硬い歯に変わってこちらのものへと突き刺さった。今までにない強い刺激に体を跳ねさせ腰に回していた手で相手の体を縋るように握る。普段人目に晒されない舌を囚われもっと力が加われば生命の危機さえ感じる場所なのに、相手に与えられた刺激というそれだけで体がゾクゾクと快楽で疼く。自分でも分かるほどに心臓は早鐘を打って体の芯から顔まで熱が上がってくるのが分かった。ゆっくり歯が舌から離れれば痛みは去ったはずなのに切なげな吐息を漏らす。全く健全ではない行為なのにこの痛みはどうしてもこの体を甘く蝕んで熱い息と共にクラクラする頭で呟いた。相手がこちらを見つめお願いが告げられる、その目も熱で揺れていて共に堕ちている感覚に陥れば余計に劣情が煽られる。そう思うこちらも頬を上気させ熱で蕩けそうな目で見つめながら、軽く頷いてそこを明け渡すように口を開ける。刺激を受けた口内は十分に濡れていて、鈍く光を反射する舌を相手の方に差し出して)
……ン、ぅ……、は………、
(強請られた通り舌先を噛めば分かりやすくそのカラダは跳ねて熱を増したのが伝わってくる。きっとこの後も喋る度に僅かな痛みが相手に走るのだと思えば仄暗い感情が心を満たす。ゆっくりと舌を解放すれば相手の熱い息が頬を掠めた。相手の瞳はすっかり熱を帯びていて欲に蕩けそうになっている。それが自分の所為なのだと思えば口元が弧を描いて仕方ない。こちらのお願いに素直に頷きこちらに明け渡すように口を開く様子を見ればどうしようもない気分になって、小さな子を褒めるように頭を撫でながらも舌を差し入れる。口付けと甘噛みのせいか口内は十分といえるほど濡れていて歓迎してくれているようにも思えた。他人が普段踏み込めない場所に招かれている特別感。そんな口内に侵入して差し出された舌同士を触れ合わせるとその場に水音が響く。呼吸の度に熱い吐息を零しつつそのまま器用に舌を絡ませ相手の領域を支配することに夢中になっていき)
……ん……っ、…ぁ……ン、…ッ…
(口を開けば相手の手が伸びてきて頭が撫でられる。それだけでどうしようもなく心地よくて頭が溶かされる感覚を覚えれば、相手に何をされようとも幸せなのだと行き過ぎた思考が脳内を支配する。相手しか入れたことがない口内へと舌が差し入れられて、舌同士が絡み合うと水音が弾けて脳内を直接揺らすようだった。口内に舌が這えば相手のもので染められ相手のものになっていくような気になって愛おしさで胸が溢れる。その最中で未だじわりと痛みの残る舌が相手のものでなぞられて、唇と同じく痛みに反してその存在を刷り込むような優しい刺激に頭がクラクラとする。唇よりも直に頭へ響くような甘い痛みに、いつも深い口付けを交わすときよりも格段に多く甘い吐息を漏らしながら相手を受け入れる。脳を直接揺さぶる甘美な刺激が絶えず与えられれば快楽か痛みかはもう判別がつかなくて、ただ生理的な涙を一筋瞳から零していて)
ん、…っ、ふ……、…翔太郎
(招かれた口内は抱いている相手の身体と同じかそれ以上に暖かい。舌同士を触れ合わせ絡め取るような動きを交えると甘い吐息がお互いの口から溢れるが今日はいつもよりも多い気がする。それが別離の不安を味わったからなのか噛み付いたことによる物なのか分からないが、どちらにしろ深く相手を翻弄出来ている結果ならば嬉しい。しっかりと後頭部を固定してから今度は舌先を食むように唇で挟む。そのまま濡れたそこに吸い付けば高めな水音が響いてまた一つ何かが溶けていく感じがした。薄く目を開くと我慢強い相手の頬には一筋の涙が零れていてその姿にぎゅっと心臓が掴まれる。相手の舌を解放し、僅かに顔を離すと涙の伝った頬から目尻へと慰めるようなキスを落としていく。 だがそれだけでは昂った熱は治まりが付かなくて今度は耳元に口を近付け囁くように名前を紡ぐと耳朶にがぶりと噛み付いて)
は、……ふ、ン……ぁ……、……あッ、ンんッ!っ、ふぃり、っぷ……
(口内の深くまで相手を受け入れて熱に浮かされ不安定になった後頭部が支えられ、今度は舌に唇の感触が加わった。柔らかく上下から挟まれるまた違った刺激、加えてより妖艶に水っぽい音が周囲に響けば噛み跡への刺激も相まって相手に抱きつきながら体を震わせる。より深く相手を受け入れたくて自ら舌を差し出せばさらに弾ける水音は大きくなってゾクゾクと腹の奥底が揺さぶられるようだった。唇が離れていけばまた切なげな吐息が口から漏れる。自分のものに塗れて濡れる相手の唇が目に入れば心臓がまた強く脈打つ。涙の筋を辿るようにキスの雨がふれば、薄く膜の張った瞳で相手を見つめながら応えるように腰の筋をゆっくりと撫でていた。耳元に顔が近づき名前を呼ばれると、それだけで熱い吐息が漏れ出す。こちらからも名前を呼ぼうとしたが、その前に耳朶に硬い歯が食い込むと体は強く跳ねて特段に甘い喘ぎ声が口から溢れ出た。ぐずぐずに溶かされた脳と身体ではもはや痛いと気持ちいいは同義になっていて、確かに痛いはずなのに相手からのものならばこれは幸せだと脳が判断する。甘い毒に犯され未だ食い込む歯に体を震わせながら舌足らずの口で相手の名前を呼ぶことしかできず、せっかくキスで拭われた頬には再び涙の筋が出来ていて)
…っん。…ふふ、こうも良い反応をされると色んな所を噛みたくなってしまうね。……だけどそろそろ辞めないと。
(唇を離すと切なげな吐息が相手の口から零れる。それが今の行為を受け入れ悦んでくれた証拠のように思えてますます止まれなくなってしまう。口を征服すれば今度は耳へ、腰部に相手の感触を覚えながらも顔を移すと湧き上がる衝動のまま耳朶に噛み付いた。すると腕の中の身体は大きく跳ねて一段と甘い声が聞こえた。噛み付くというファングと同じく相手を傷付けるだけの行為、現にその痛みのせいか相手の瞳は濡れて涙を流しているというのに辞める所かもっと噛みたいとさえ思ってしまっている。それを異常と思える理性すら熱のせいで上手く働かずに耳にかかる形で笑い声を零して頭に浮かんだままの願望を口にした。だが今日は散々な目にあって心身ともに疲労してしまっている。明日から普通の日常に戻るためにも自制すべきだという一抹の理性がその線を超えるのを留めさせ、熱暴走を始めそうな自分に言い聞かせるように呟く。それでも相手から離れるという選択肢は頭に無く、首元に顔を埋め欲と熱を発散させるように首筋に短いキスを落としながら縋り付くように抱きしめて)
…っ、…ぁ、フィリップ……、…いやだ…もっと噛んで、お前が欲しい……お前もまだ足りないだろ?
(歯がゆっくりと耳朶から離れ鋭い痛みはじわりと余韻の残る痛みへと変化する。そこに相手の笑い声と共に吐息がかかれば、舌でされた時と同じく慰められながらその存在を刷り込まれているようで上擦った声と共に名前を呼ぶ事しか出来なかった。次を予感させる言葉が聞こえればそれだけで体はゾクリと震えて無意識に強く抱きつく。だが次に聞こえてきたのはここでブレーキをかけるような言葉だった。今日受けた負荷と明日のことを思えばここで止まらなければならないのは分かる、だがその思考の一方で胸が堪らなく切ない気持ちに襲われる。首元に顔が埋められそこに口が近づき再びあの鋭く甘い刺激が貰えるのではと身構えるが、そこに振ってきたのは短いキスだけ。そんなものではもう到底足りなくなってしまっていて、相手の後頭部に擦り寄りながら子供が駄々をこねるようにお強請りを繰り返す。それに辞めないと言いながら一向に体が離れないのを見るに、相手だってブレーキを踏むのは不本意なはずだ。ここまで来たのならばもう我慢も何もいらない。まさに今日ブレーキを踏むよりも一緒に堕ちていくことを選んだばかりなのだ、それならこの行為だって同じことだろう。もっと、何処までも、相手と共に堕ちていきたい。先程の子供のような口調とはうってかわり相手の耳元で低く唸るような声で深みへと誘う。そして今度はこちらから無防備に晒された耳朶に強く噛み付いて)
…しょうた、ろう…、は…ァ、ん! …、ぁ、足りない、 もっと君が欲しい…っ
(自分が自分で制御出来なくなる体験は今日したばかりで負担のかかった相手に何をしてしまうか分からない不安が衝動にブレーキをかける。今なら歯止めが効くからとその欲を押さえ込もうとするも首元の相手特有の匂いと擦り寄られながらお強請りを繰り返す姿に熱は冷めるどころが滾る一方で堪えきれない欲の孕んだ息と共に弱々しく相手の名前を呼ぶ。堕ちきれない状態に自らの手で焦らされていると痺れを切らした相手に耳元で低く誘い込まれるように囁かれ、ギリギリで保っていた天秤がぐらりと揺れる。そのまま耳たぶに鋭い歯が突き刺さると大きく身体は跳ねて痛みとそれだけでは無い甘美な悦びの混じった声をあげる。茹だった頭はもう正常では無くて、相手にされることなら何でも受け入れたいと思っている。そして相手も同じことを望んでいるのだとこの身をもって実感してしまえば最後のタガも外れてしまった。もっと相手が欲しい、自分のモノだと実感したい。小さく声を漏らしてから偽りのない心の底から望むことを口にすると触れるだけのキスをしていた首筋に今度は強く歯を立てるように噛み付いて)
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