相乗りで何処までも 【 〆 】

___…っ、フィリップ！！
(送られてきた映像から相手がいる位置を割り出し最短ルートでその場所へ向かう。息が上がるのも忘れ全速力で駆けていけば、やがて人気のないエリアへと入っていき微かに人の声が聞こえて角を曲がれば依頼人である彼女が居た。その向こうに相手の姿を見つけて思わず叫ぶ、同時に相手の隣で腕を掴む大柄の男があの違法バーでこちらを襲ってきた集団の一人であるのを思い出すと一気に肝が冷えた。この場にやってきたこちらに驚いた様子だった彼女だったが、探偵が探し物のカバンを手に持っているのをみれば目の色を変える。『やっと見つかった』だの『時間かかりすぎ』だの電話口の怒りそのままなのかこちらにキツイ言葉を投げてくる。当然それに応じる気はない、彼女の事情を聞かなければと「その前になんでこんな事してるのか教えてくれ」と声をかけるが、素直に渡さないこちらにイラつきを隠さない彼女は『そんなの金になるからに決まってんでしょ！』と声を荒げ一蹴されてしまった。彼女は自ら罪を重ねる人間だった、取り付く島もない様子に顔を険しくする。だがそこで、膠着状態となった所を見かねたのか大柄の男が不意にニヤリと笑うと掴んだままの相手の腕を引っ張ると『カバンとこいつで交換だ。俺がこいつを連れていったらどうなるか分かってるな？』と交渉を持ちかけてきて目を見開いて)

翔太郎！ …っ、そのカバンの中身が渡ったらこの街の人を泣かせることになるのは分かっているだろう？ 僕は平気だからそれは警察にでも届けてきたまえ。
(掴まれた腕を振り解こうと藻掻いたり先程相手の腕から抜け出した方法を試してみるが上手くいかない。聞き馴染みのある声で名前を呼ばれ、振り向くと相棒の姿があって思わず名前を呼び返す。だが相手は家を飛び出す前に見た格好に加えて大きな無地のカバン、つまり依頼として頼まれた違法の物が入っているであろう物を持っていた。既にカバンが見つかっていた事も驚きだがこの状況は不味い。彼女達にとっては鴨が葱を背負って来たのも同然だろう。予想通り相手は彼女に事情を問うがもう本性を隠すつもりは無いのか先程の素の口調のままで返答する。彼女は金に溺れ罪を重ねた人物だったのだ。相手の顔が険しくなったのが見えたが不意に腕を引っ張られ身体がぐらつく。男はニヤリと不気味な笑みを浮かべたかと思えば相手に向かって最悪の交渉を持ちかける。あのカバンの中身が彼らに渡ることはそれが街に広まることを意味する。街の人達を泣かせない為にこの街で探偵をしている自分達がそれに加担することはあってはならない。相手にさせるなど以ての外だ。だが相手が自分を見捨てることが出来ない人間なのも分かっている。だとすれば何かしらの方法で一瞬の隙を作りその状況に賭けるしかないだろう。ドライバーで意識の共有をしていない言い合いをしたばかりの相棒が乗ってくれるかも未知数だが。普段通りの態度を装って見開いた目をした相手に渡してはならない理由を語り交渉に乗るべきでないと告げる。加えて挑発するように警察というワードを口にすれば彼女は『はぁ？』とこちらを向き男も『随分と偉い口叩くみたいだな』と不機嫌を露わにして胸ぐらを掴んできて)

…………っ、……そいつに、触んじゃねぇッ！！
(無意識に息を止めていたのに気が付き無理やり息を吐き出す。このカバンを渡す事は街を泣かせるものを世に流すということ、そんな信念に反したことは絶対にできない。だが一方で相手を失うなんて考えられなかった。街を泣かせない事か、相棒で恋人である相手か、どちらも譲れないものを天秤にかけられ動きが止まる。だが相手を失えば二度と取り戻せないかもしれない、対してこのカバンなら一度向こうに渡して取り替えせるかもしれない。僅かに天秤がぐらついて手に持つカバンを強く握りしめる。だがその直後に相手がこちらに視線を向けいつも通りの理屈を叫んでくれば、堂々巡りしていた意識を手中に取り戻す。そしていつもならばそんなことは出来ないと叫ぶ所だったが、相手が『警察』というワードを出すことで二人の注目が相手へと注がれる。そこでこれは相手が作り出してくれた隙なんだと理解した。また弾かれるようにして体が動き出す。ギ.ジ.メ.モ.リ.を取り出しス.パ.イ.ダ,ー.シ,.ョ.ッ.ク.に挿入するとライブモードへと切り替える。カバンを託しス.パ.イ.ダ,ー.シ,.ョ.ッ.クを依頼人の方に向かわせ、ワイヤーを発射させて彼女を拘束した。同時に自身は真っ直ぐ相手と男の元へ走ると、その勢いのまま男に拳を叩き込んでその体をぐらつかせる。体勢が崩れた所で間に割って入り、男と相手を引き離すと相手を背中側に回して男の前に立ちはだかり)

…っ翔太郎、証拠は確保済みだ。 ここは一旦逃げるよ
(二人の視線と意識がこちらに向く。特に男の方は掴まえている方が取引に乗らないように告げたことや警察への通報をチラつかせたことにイラついているようで胸ぐらを掴まれたまま凄まれていた。そうなれば相手への関心は少しの間薄くなる。ワイヤーに絡め取られた彼女があげた声で男も異変に気付いたようだが反応するには遅い。視界端に相手を捉えると男の身体は攻撃を受けたのがぐらついて手の力が緩まる。その瞬間男の胸板を力いっぱい押すのと相手が割り込んでくるのが重なれば手は離れていき距離をとる事に成功する。交渉が決裂したことに男は顔を真っ赤にして怒りを表に出しているが必要な情報を入れたここには用はない。幸い先程のやり取りも含めてバ.ッ.ド.シ.ョ.ッ.トがずっと録画を続けてくれている、証拠としても申し分ないだろう。今度はこちらが相手の手を掴めば撤退を告げてから走り出す。当然男も追いかけてくるが呼び戻したバ.ッ.ド.シ.ョ.ッ.トに至近距離でフラッシュを焚いてもらったりと妨害を挟めば徐々に距離を離していく。やがて息もすっかりあがってしまいながらも人通りのそこそこ多い道に出てくれば人混みに紛れ逃走を果たして)

______…………意地張って悪かった。お前が正しかった
(相手と男との間に割って入ったは良いもののここからはノープランだ。違法バーの時と同じく拳を交える構えを見せるが、その前に相手に手を掴まれそのまま走り出す。バ.ッ.ド.シ.ョ.ッ.トのフラッシュを至近距離で浴びて唸る男の声を聞きながら走っていれば、そのうちス.パ.イ.ダ,ー.シ,.ョ.ッ.ク.が追いついてきてガジェットモードへと戻ると同時にカバンを受け取った。人通りのある道にたどり着けば軽く息を整えつつ息絶え絶えになっている相手の方をみる。無事あの場から逃げる事は出来たが現在相手とは喧嘩中だ。しかも一人で外に飛び出し再度誘拐されそうになる危ない橋を渡ったばかり。何事もなかったから良かったものの、思わず安堵と呆れが混ざったため息が出る。だが今回に関しては結果的に相手の方が正しかった。いろいろと言いたい事はあるものの、こちらも気が立っていてあのまま意地を張り続ければ取り返しのつかない事になっていた可能性だってある。ゆっくり深呼吸をしてからようやく謝罪の言葉を口にして、カバンの口を開けてやると相手の方へとみせた。中には文具に紛れてカラフルな錠剤が袋に入れられている。つまり相手の読みは正しく、相手が想定したあらゆる可能性もあったという事だ。そうなれば言い訳も何も無い、カバンの中身を見せたまま相手を真っ直ぐ見つめ様子を窺っていて)

＿……、これはこの前の錠剤だね。…僕の方こそ、急に事務所を飛び出してすまない。彼女のシロクロを知る方法は他にも色々あったはずなのに焦って先走ってしまった。…それと、来てくれてありがとう。
(何とか人通りのある道にたどり着けば後ろを振り向いて確認をする。どうやら人前で騒ぎを起こすつもりは無いのかもう彼らの姿は無い。今日何度目かのダッシュに荒く呼吸を繰り返しながらも危機を脱した安堵感を覚えれば次に隣の相棒から先程逃げるように事務所を飛び出したことを思い出す。組織に捕まるのも可能性に過ぎないと啖呵を切ったにも関わらず危険な目にあったのだから合わせる顔もない。隣の相手から溜息が聞こえてくるといよいよ身構えてしまう。流石に今回の件で愛想つかされてしまっただろうか。相手との仲を考えればそんな事はないと思いつつも不安は尽きることは無い。ゆっくり深呼吸をしているのであろう時間がやけに長く感じて無意識に視線は伏せられていく。だが予想に反して紡がれたのは謝罪の言葉で思わず顔を上げて目を瞬かせる。同時に開かれたカバンの中にはよくある文具や書類の底に隠されるよう見覚えのあるカラフルな錠剤がパッケージされた物が入っていた。これと彼女の会話からするに違法な物を流通させる手数に巻き込まれそうになっていたのは間違いなかったようだ。結果だけ見れば自分の主張が正しかった訳で相棒にその事実を認めさせる当初の目標は達成出来たが嬉しい気持ちには一つもなれない。それがずっと心を占めていたモヤモヤのせいなのは明白で恐る恐る相手と目を合わせればこちらからも謝罪を切り出す。目的は同じでもそれこそ2人で調査したりすれば良かったのに自分が正しいはずだと焦って危険な橋を選んでしまった。相手が映像の転送を無視していたら、異変に気付かなければ、来てくれる事が無ければどんな目にあっていたかは想像もしたくない。掴んでいた腕を解き真っ直ぐと相手を見据えると今度は喧嘩したにも関わらず自分の為に行動してくれた感謝を伝えて)

依頼人の事を信じるのは当然だが、それで相棒の言葉に聞く耳持たなきゃ探偵失格だ……なんせ俺たちは二人で一人の探偵だからな。それに……俺の一番大切なもんを放り出したままにするわけねぇだろ
(相手の顔は何かネガティブな事でも考えていたのか暗く沈んでいたが、こちらから謝罪を切り出せば顔が上がって目線が合う。これからも依頼人を最後まで信じぬきたいという気持ちが変わることはないだろう、だがそれに拘って一人で動こうとすれば失敗は目に見えている。二人でやっと一人前なのだ、相手が欠けた状態では今回のように真相にはたどり着けない。そもそも相手なくしては真っ直ぐとまともに立っていることさえできないのだ。その事実を改めて噛み締めるように口にすれば、相手がいなければ探偵業も生きていくのだってどうしようもないのだと改めて思い知って、観念したように口元に笑みが浮かぶ。やはり相手はどうしたって自分から欠けてはいけない存在だ。一度解かれた手を取ると両手で包む。ここは人通りが多く相手に触れるのはこれが限界だが、代わりにその手を目一杯包み込んで向き合う相手と目線を合わせ力強い口調で当然のことをしたのだと告げて)

ああ。君と僕、違う人間で違う考えの二人だからこそ今までも真相に辿り着けた。僕には君の優しさと甘さが必要だ。…そうかい。君の元から逃げ切るのはどんな依頼より難しそうだね。
(元はと言えば事の発端は捜査の方針が合わなかったことだ。だがそれも今思えば当たり前の事でもある。二人とも違う人間で違う価値観と考えを持っている。だからこそ相手の欠点を補う事が出来て自分の知らない視野を得ることが出来る。それこそが二人で一人の探偵である意味でもあり、強みでもある。相手の口元に笑みが浮かべば自然とこちらも口角があがる。この世が理屈や確率だけでは無い事は目の前の優しくてハードボイルドを名乗るには甘過ぎる男にずっと教えて貰ってきたことだ。改めて自分には相棒の存在が欠かせないと素直な想いを口にする。一度解いた手は再び相手によって取られ包み込むようにして握られる。事実と知ってもなお真っ直ぐと視線を向けられながら一番大切と言われると照れ臭い。思わぬ素っ気ない返答になってしまうが逃げるように数秒迷わせた視線と口角の下がらない口元でこの感情もバレてしまっていることだろう。きっと相手ならば何処までも探して追いかけてくれるに違いない。逆の立場ならば自分もそうするのだから。冗談めかして家出の難易度を述べるも「離れるつもりは微塵もないけど」と直ぐに言葉を続けて)

誰が甘い探偵だ！……まぁ、俺にもお前の理屈に沿った考え方と先々を予測する力が必要って事だ。……なら早く帰ってこいよ相棒。家出少年の帰還ってとこだな
(『甘い』という単語には条件反射のごとく突っ込んでしまうが、今回自分が甘すぎたのは明白だ。相手かカバンかの選択を間違っていれば、それか依頼人だった彼女に上手く嵌められてしまえば、街を泣かせる人間にさえなってしまう可能性があった。そこに至らなかったのは相手の視点があったからに他ならない。素直な気持ちを受け取れば照れくささはあるが悪い気はしない。そしてそれは自分にとっても同じだ。じっくり考える脳はまだ足りない、だからこそ相手と共にいれば補えあえる部分となる。こちらからも照れくさい顔のまま素直な気持ちを伝えておいた。二人であれば走れる上、二人でしかいけない場所へ行ける、その事実は何度確かめても強固で揺らぐ事は無い。その上で相手が何よりも大切な恋人となれば手を離す事なんて決してないだろう。相手の返事は最初こそ素っ気ないが表情をみるに自分のエゴを加味しても嬉しそうに見える。離れるつもりがないならば後は待つだけだ。茶化したように言いつつも、その目は相手が帰ってきてくれる事に嬉しさの色を隠しきれていなくて)

褒めているんだよ。…ん。どうやら一度決めたら頑固になり意地を張ろうとする所は似た者同士のようだからね、お互いをフォローする体制の方が上手くいくようだ。 君がそこまで言うなら仕方ない、家出は中止することにしよう。
(相手が甘いことは事実ではあるが理屈だけの最適解を選びがちな自分にとっては新鮮な視点でもあり風.都.を守る探偵としては大事な要素だ。先程だって特にメッセージも何も伝えてないのに危険を察して駆けつけてくれた、それが欠点となりかけるのなら自分がフォローすれば良い話だろう。相手の似たようなことを思ってくれているのだと知れば自然と口元が緩む。考え方こそ違っていたが衝突すると意固地になってしまう所は似ていたと何処か楽しそうに語る。一人では視野が狭くなってしまうからこそ考え方の違う相手の存在が必要なのだと改めて噛み締めていた。お互い照れ臭そうにしつつも相手の瞳には分かりやすく嬉しそうな色が宿っている。それに乗っかるような形で相手の元へ帰ってくる旨を得意げな顔で伝えつつも「まずはそのカバンを何とかする所からだね」とカラフルな錠剤が詰まった鞄指さして)

だな、意地張る前に互いをフォローするってのを今後の課題にしとこうぜ。……そうだった。ひとまずこのカバンとお前が取ってくれた映像をジンさんに渡して……あ、やべ
(ハードボイルドを目指す身としては甘いと褒められるのは不服ではあるが、今回に関してはそれが事実で、だからこそ相手と一緒にいる意味となる。頑固者で似た者同士と言われれば心当たりはあって同意するよう笑うしかない。相手の言うように互いの持ち味を互いの足りない部分を補うように使っていかなければ。相手との相乗りの仕方がひとつ決まった所で無事相手も帰宅することにしたようだ。必ず戻ってくると分かってはいた事だが、相手の口から聞くと改めて安心したように息を吐く。これで晴れて元通りといった所だろう。あとは依頼の事後処理だ。基本はジンさんに任せればいいと伝えたところで頭にすっかり忘れていた顔が浮かぶ。事務所を飛び出す際に所長に相手を探すよう頼んだのをすっかり忘れていた。今この場にいないということはまだ相手を探してここらへんを彷徨いているはずだ。慌てて所長様に電話をかけ相手が見つかった事を告げれば安堵の声が聞こえてくる、所長も相手のことを心配していたようだ。だがその直後に『もっと早く連絡しなさいよ！』と叫び声が聞こえてきて、思わずスピーカーから顔を離していて)

…翔太郎？ …、アキちゃんすまない、色々ゴタゴタに巻き込まれてね。…ああ、二人とも無事さ。 アキちゃんにも心配をかけてごめん、事後処理が終わったら事務所に戻るよ。 ありがとう、じゃあまた。…こんなに心配してくれる人がいるなんて僕は幸せ者だ。
(あるべき場所に戻ってくれば後は依頼の自己処理を済ませれば完了だ。このカバンだけ渡せば自首とも勘ぐられそうだが十分な証言も確保済みだ。顔馴染みの彼らに任せておけば小言はあれど何とかしてくれるだろう。そうと決まれば早速署の方へとも思ったのだが不意に相手が焦ったような声を出す。思わず何か懸念点でもあったかと顔を覗き込むが相手はそれに反応することなく何処かしらへ電話をかけ始めた。そのまま様子を伺っていれば電話先が所長であり相棒と同じく自分を探してくれていたのだと知る。足止め係をお願いしたにもかかわらずだ。直後に隣にいてもわかるくらい大声で怒鳴る所長の声を聞けば何時もなら傍観する立場だが自然と相手のス.タ.ッ,グ.フ.ォ.ンを手にして代わりに応対する。連絡出来なかった理由を告げれば電話口から心底安堵したような声が聞こえてきて聞かれたまま怪我の有無や状況を伝える。相手が共にこの街で探偵する為に必要であるのと同様に所長も大切な存在だ。所長にも謝罪と感謝を伝えてから電話を切る。心配と迷惑をかけてしまった申し訳なさも勿論あるが、衝動的に飛び出してもこうして探してくれる人がいるのだと感じれば胸が暖かい物でいっぱいになる。ス.タ.ッ.グ,フ.ォ.ンを相手に返しながらも思った事を言葉にして噛み締めるように伝えて嬉しそうな笑みを浮かべて)

っ、電話で大声だす……お前は、それにアキコも、鳴.海.,探.偵.,事.務.所.になくてはならない存在だからな。どっちも一筋縄じゃいかねぇやつだけど
(スピーカーから聞こえてくる所長の叫び声をダイレクトに受ければ鼓膜が揺さぶられそのまま電話口に向かって文句を言おうとした。だがその前に相手がス.タ.ッ,グ.フ.ォ.ンを取ってしまって文句を最後まで言うことはできずに終わる。相手が話す言葉とその表情で二人がどんな会話をしているのかは何となく察しがついてそのまま黙って電話のやり取りを聞いたあと、最後に相手の感謝の言葉で締めくくられ電話が切れる。こちらにス.タ.ッ,グ.フ.ォ.ンを返しながら向けられる笑みを見るに所長からもたくさんの想いを貰ったのだろう。幸せそうな顔を浮かべる相手に当然だと返事を返す。相手も所長も、あの事務所にいなければ困る人間だ。所長には恥ずかしくてきかせられないが、互いが互いにもはやなくてはならない存在になっている。あえて問題をあげるとすればその二人がどちらも違う方向でコントロールの効かない暴走列車という点だろうか。言い慣れない素直な気持ちを言ってしまい恥ずかしさを誤魔化すように茶化した後「じゃあ警察署寄って事務所帰るか」と声をかけて)

…ああ、三人で鳴_海. 探.偵.事務所だ。自分は対象外みたいな顔をしているようだけど、君も一度火が着いたら止まらない所があるじゃないか。お互い様だ。
(あの夜の出来事をきっかけに集まった三人だが今では誰一人欠けてはならない大事な仲間だ。そして二人からも同じだけ大切にされているのだと思えば顔が緩んでしまうのも仕方ないだろう。相手の言葉に同意を示すように同じ意味のことを自分なりの言葉を繰り返す。帰ったら相棒が言っていたことも含めて所長に伝えることにしよう。温かな気持ちに浸っていたが何処か自分は振り回されてばかりと主張したげな相手の言葉にツッコミを入れる。頻度やプライベートも含めてならばこちらの方が暴走していることは否定出来ないが相棒だって直情的なことも多い。街の人に被害を及ぶことや自分に何かあった時は尚更だ。そういう時は自分と所長がブレーキに回るのだから一人だけ他人事みたいな態度を取られたら困ると相手の茶化しに真剣な様子で応えておく。相手の声がけに頷くと今度は二人で肩を並べて署に向かう。刃.野刑事に鞄を渡せば中から出てきた違法薬物に驚いた様子だったが証拠を渡す前から依頼関係で得たものなのだと分かってくれたようだ。相棒がバッグを受け取ったという男性からも証言が取れ、映像のデータも渡すと署内でも問題視されていた犯罪組織の特徴と一致するようで大変感謝されてしまった。手続きを終え進展があったら連絡するという刃.野刑事と相変わらずの真倉刑事に後を任せて署を出る。「さて事務所に戻ろうか」と声をかけて)

(/いつもお世話になっております。衝動的に飛び出してからの意固地な2人や危機が起きれば即座に連携出来る所など2人ならではの家出話が出来てとても楽しかったです。お付き合いして頂きありがとうございました！
依頼も解決しそろそろ締めも近いかなと思ってお声がけさせて頂いたのですが、探偵様が次にやりたい展開やシチュエーションなどはありますでしょうか？ 何でも構いませんので良ければお聞かせください)

、……まぁ今回に関してはそうかもしんねぇな
(当然のごとく自分が保護者の立場で暴走気味な相棒と所長とをコントロールしている気でいたが、こちらも同じようなものだと言われてしまえば言葉に詰まる。いつもの如く俺はハードボイルドな探偵だからとキメ顔でも浮かべようとするがつい今しがた意地を張って突っ走ろうとした事実がある以上否定のしようがない。しかも相手は真剣な顔を浮かべていて茶化して返事をできる雰囲気でもなく、ひとまずは今回限りの事としてハードボイルドから遠くクールではなかったと認めておいた。ジンさんの元へいけばマッキーからいつもの突っかかりがやってくるが事件を解決しているというなら問題もない。ほどなくして入れ替わってしまったカバンも届け先近くの茂みの中で見つかって元の持ち主に返され万事解決だ。あとは犯罪組織が大人しくなってくれれば文句もないだろう。署を出たところで声をかけられれば頷き返事をする。所長がまた怒り出す前にと二人で事務所へと歩き始めて)

(/お世話になっております！喧嘩を通してまた二人が特別でかけがえのない存在だと絆が強固になって、ピリついた空気から和やかな空気まで楽しませていただきました。こちらこそありがとうございます！
それでは満を持してになりますが、Fメモリのお話を今の二人でやるのはいかがでしょうか。どちらかが記憶喪失になる話やどちらかの探偵としての信念等が失われて人格が変わってしまう話など思いついていたのですが、今回でお互い補いあって必要だと思いを抱いたところでのFメモリのお話が上手くハマるかなと思いまして。いかがでしょうか？)

(/区切りが良さそうなので一旦こちらだけで失礼します。
ではFメモリの話をしましょうか。依頼人なども含め本編の流れや内容に則って行う形にするかそこからも改変するかなどご希望はありますか？ 個人的には組織の罠に引っかかり探偵が人質となってFメモリを使わざるを得ないみたいな状況さえ踏まえれば変えても良いかなとも思っています。また他に上げてもらった2つも凄く興味があるので次の機会にでも是非やりたいなと思っております。)

(/こちらは本編の流れベースにやり取りを今の二人だからこそのものにする想定だったのですが、検索様の言うようにFメモリを使う部分だけ押さえて他を変更するのはより二人ならではになって良いですね！何か検索様が考えられている流れなどあればぜひ教えていただきたいです。)

(/といっても本編の流れが完璧なので所々変える程度なのですが、今回の件や以前の流れから検索を組織に戻すには探偵君が最大の障害兼弱点と判断、本編と同様仮.面.ラ.イ.ダ.ーを自称するド.ー.パ.ン.トが街で暴れている話を情報を得て二人で駆け付ける(検索は事務所でも可)→戦闘になるもやけに遊んでいたり逃げていたりと時間稼ぎや場所を離れようとする動きに意識のない検索が目的だと気付く→躊躇しながらも変身解除、予想通り来ていた追っ手から逃げ切るも今度は探偵君を人質に呼び出されて……みたいな流れとかかなと思ったのですがどうしてもゴチャゴチャしちゃいますね。当初の予定通り本編と同様でも良いかなとも思うのですがご意見聞かせてください。)

(/話の流れ考えてくださりありがとうございます。ミュージアムに繋がる末端の組織みたいなのは度々描写してくださっていたので、まさにこれまでの積み重ね的な流れでFメモリを……と熱い流れになりそうです。今回はお姉様が痺れを切らして末端組織を脅しにかかり、そこから探偵を人質にすることに、みたいな流れだと真の敵に肉薄する感じになってより緊張感が生まれそうですね。違法バーで捕まったはずの男が復讐のために再度立ちはだかる、とかも熱くなりそうかなと！大まかな流れ考えてくださったのであとはいつも通り好きなようにやり取りしていけば上手くまとまるかと思います！他に何か決めておくことやご要望などありますか？？)

＿＿…仮.面.ラ.イ.ダ.ーが街で暴れている？
(違法薬物を警察署に届けた件から1週間、提供した映像とこれまでの証拠から依頼人を装っていた彼女を含め運搬に関与した数人は逮捕に至ったが男の行方は未だ分かっていないと刃.野.刑事から報告があった。話はそれだけでは終わらず『本来は警察外に話してはいけないんだが…』と前置きの後に続けられたのはあの違法バーの件で逮捕した男が脱走したという内容だ。その話を聞いてからはますます相棒からは外出を禁止されてここ数日は家と事務所の往復しかしていない。そんな不穏な空気に反して街は平和そのもので依頼も今週は殆ど入っていない。いつものように興味のあることの検索に明け暮れ、あと数分もすれは始まる若.菜.姫のラジオに備えて椅子を前に置いて待機していると前番組であるニュースキャスターが『緊急ニュースが入ってきました。』と緊迫した声を上げる。その内容は怪物が街で暴れて店のガラスや柱を攻撃し負傷者も出ているという物で加えて特異的なのはその怪物が仮.面.ラ.イ.ダ.ーと名乗っている点だ。思わず立ち上がると奥のデスクにいた相手に目を向け「翔太郎、これって」と困惑と焦った声を漏らして)

(/まさにそんな感じを想像しておりました！ お姉様経由の命令と私怨を動機にあの時の男がメモリを貰って拘置所から逃亡、今回の件の実行犯になったみたいな背景で行きましょう。不穏の種や信頼の積み重ねと一つの総まとめみたいなお話に出来たらなと思っております。 今の所は特に思いつかないのでやりたい描写や展開が出来ましたら打ち合わせが必要な展開なら相談、それ以外なら好きに動かすといったいつものパターンでやっていきましょう。軽く導入の展開を回しましたので乗って貰えたらと思います。)