相乗りで何処までも 【 〆 】

(/それでは一旦上は蹴らせていただきまして、本体のみで失礼します。
これからの日常の中で頻繁に使えるマグカップをお揃いにできたので、二人の生活に彩りが加わってこれからの楽しみにもなりましたし、本当によかったです…！
そして沢山候補だしていただいてありがとうございます！Fメモリずっとやりたいと思っているのですが、今回のパークへのお出かけがそこそこ長期でしたし、ここは一旦2の検索くんが家出する話でいかがでしょうか？二人でのお出かけは探偵は許してますが検索くんが一人で出かけようとするのを頑なに禁じててそこで衝突する流れか、調査を進めていくうちに依頼人の犯罪の片棒を担がされている可能性が出てきて捜査を続行するか中止するかで対立する、とかどうでしょう？)

(/では家出する話に致しましょう！ どちらの対立理由も魅力的ですので後者をベースに怪しい依頼人の行動に懐疑的な検索とまずは疑わずに信じている探偵君で対立、埒が明かないと一人でも外へ調査に向かおうとする所を当然止められ普段の不満も相まって爆発→家出の流れはどうでしょうか？家出の雰囲気ややりたい流れとかありましたら合わせてお聞かせください。)

……お前の検索結果はよく分かった。でもまだ可能性の話だろ？困ってんのは確かなんだから探してやる分には構わねぇだろ
(贅沢な朝食を楽しんだあと事務所に向かい所長に夢の国のお菓子を渡せば反応は上々で、土産話もしてやればなかなかに満足した様子だった。これで次回のパーク訪問も許されるだろう、そこからはいつも通り二人のやり方で風.都.の笑顔を作っていく日々がしばらく続いた。そのうちに舞い込んで来たのが今回の依頼だ。友人がなくしたカバンを探して欲しいという内容のそれは一見いつもの依頼かに思えた。しかし今日一日調査した結果、カバンをなくしたという友人がなかなか見つからず、相手の検索によれば依頼人自身の周りがきな臭いことが顕になってきて一筋縄ではいかない空気が漂う。ホワイトボードいっぱいに書き連ねられた情報を前に相手の検索結果を聞いていたがまだ何かがハッキリしたわけではない。ここで放り出すにはあまりにも早いだろう。相手の方に視線を戻せば調査は続行すべきだと告げて)


(/上手くまとめていただいてありがとうございます！それでは盛大に喧嘩して家出の流れといたしましょう。ざっくり事件の流れとしては依頼人兼犯人が道行く人に声をかけ、急用が出来たからこのカバンを駅前にいる友人に渡して欲しいとか、バスに乗った先にいる取引先の人に渡して欲しいとかでカバンを渡し、人の善意を利用して違法物が入っているカバンの受け渡しルートを撹乱していて、とあるカバンは不注意で無くされてしまったので探偵にカバン探しの依頼が舞い込んだ、みたいな感じでどうでしょうか？カバンをなくしてしまった人が消されかけている所を家出した検索くんが目撃して真相に気づく、とかも面白いかなと。思いつきのままで書いておりひとまずロル投下しましたが、上記の内容に構わず検索様のご希望の流れ等ありましたらお聞かせくだ！)

そもそもカバンを無くしたのなら普通は警察などに相談する案件だ。それをわざわざ友人が探偵に依頼してくる時点で真っ当な依頼とは思えない。 …彼女は何かを隠している、僕らを利用しようとしてるかもしれない。信頼のおけない依頼人からは手を引くべきだ。
(風の街で舞い込んできた依頼は無くし物探しだ。これだけならこれまでも何度か受けたことのある依頼だが調査していく中で怪しいと思える要素が幾つもあがってきた。物をなくしたという友人の名前が地.球.の.本.棚で見つからないこと、カバンを運んで欲しいとお願いされた人が何人かいたこと、ココ最近違法薬物やメ.モ.リの検挙数が跳ね上がっていること。これまでの話をまとめただけでも怪しいと言うには十分すぎる状態だろう。検索結果を踏まえて依頼人は信頼に値しないと相棒に伝えてみたが良い顔は返ってこない。人の善性を疑わず依頼人を信じ抜こうとする所は相手の美点ではあるが同時に欠点でもある。これだけ材料が揃っても尚調査の続行すべきと言う相手に真摯に向き合えばこちらは反対に調査からは手を引くべきだと語気が強めになりながらも意見を述べて)

(/初回ロルありがとうございます。背景としてはそんな感じに行きましょう！勢いに任せて思ってもみないことを言ったり意地を張ったりなど普段はあまりできない喧嘩や衝突が出来たらと思います。 いつも通り好きなように動かしてもらっていいので楽しんでやりましょう！ なにもなければこちら蹴り可能です。)

確かにお前の言ってることは一理ある。だがな、仮に彼女が何かしらの犯罪を犯していたとしても依頼を打ち切るのは情報が確定してからだ。彼女にも何か事情があるかもしれねぇし、まずは依頼人を信じなきゃ探偵は勤まらねぇだろ。だから調査は続ける
(相手の検索結果をみれば確かに彼女は怪しい。だが怪しいだけだ。不審な点は多くともこの鳴.海.,探.,偵.事.務.所.を頼ってドアを叩いた依頼人である以上は最後まで彼女に向き合うべきだ。語気を強める相手にこちらも毅然とした態度で相手に向き直り、相手とは真っ向から反対する意見を述べる。警察に頼れないのだって何かしらの理由があるかもしれない、そんな事情を知らずしてただ怪しいからという理由だけで依頼を断っては救えるものも救えないだろう。それにもし彼女がクロだったとしても、その時はその時に考えて動けばいい。街を泣かせないためにもここは譲れない点だ、いつもより鋭く真剣な眼差しで相手と対峙しながら首を振って)

お人好しもいい加減にしたまえ。 カバンの中身が違法なモノだとしたらそれを探すことは犯罪の片棒を担ぐことになる。 君に罪を着せて行方をくらます可能性だってあるだろうね。…そんな調査に僕は協力するつもりはない。
(どうやら相手も譲るつもりはないらしい。相手の依頼人をどこまでも信じることで救ってきた人は確かに何人もいるが今は状況が状況だ。検索結果と証言を聞く限り彼女がカバンを介して違法な物の運搬に関わっている可能性は高い。依頼内容の捜し物であるカバンがそれであったならばカバンを探すことは犯罪の手助けをしているのも同義だ。相手がそのカバンを持った状態で彼女が警察に通報したなら全ての濡れ衣が相棒にかけられる可能性だってある。そんなリスクを取ってまで依頼をこなす義理はないだろう。そんな考慮も頭になく彼女を信じると言い切る相棒が無性に気に障るとその様子を隠さずに声をあげる。調査を遂行する上でのリスク説明するがこれでも目の前の相棒は納得することはないだろう。相手の事を知っているからこそ返ってくるだろう言葉も容易に想像がつく。それでも調査を続けるのなら彼女がシロであることが確定してからだという自分の考えを曲げる気はなく、真正面から相手の目を見つめ突き放すような言葉を告げればその横を通って螺旋階段で事務所スペースへとあがる。足で稼ぐ相手と意見が合わないのなら自分で情報を得るしかないだろう。何も言わずいつも使っている本やバ.ッ.ド.シ.ョ.ッ.トを手に取り身支度を整えると事務所のドアに向かおうとして)

っ、だから！彼女が犯人って決まったわけじゃねぇだろ！……おい待て！もしカバンの中身が違法なものだったとしてそれを野放しにはできねぇ。どっちにしろカバンは探さなきゃならねぇだろ。お前がその気なら俺が一人で……おい、どこ行く気だフィリップ
(お人好しだとハッキリ言いきられてしまうとさすがに苛立ちを覚えて眉間の皺を深くさせる。普段から散々甘いだのハーフボイルドだの言われているが、困っている依頼人を可能性だけで切り捨てるだなんてそれこそ許すことが出来ない。彼女は必死になってこの事務所にたどり着いたかもしれないのに。螺旋階段を登っていく相手を追いかけるように登りながら、こちらの考えを包み隠さず伝える。仮に彼女が何かしらの犯罪を犯していたとしてもそれを止めるのだって街を泣かせない自分の役目だ。カバンに入れられた何かがこの街にとって害をなすものなら、それこそ放置なんてできない。どちらにせよカバンの中身が安全かどうか確かめるためには当のカバンを探し出さなければならないのだ。最近はすっかり丸くなったと思っていたが、妙なところにこだわり始めるとすぐにこれだ。捜査に参加しないというならば一人でやるまでだと相手を置いていこうと考えるが、その前に相手は妙な動きをする。必要なものをかき集めて事務所の外へ通じるドアへ向かおうとする腕を素早く掴むと、その意図は十分理解しながらも静かで低い声で問いかけて)

カバン探しは警察に任せればいいじゃないか、やましい事がないのなら僕達で探すよりずっと効率的だ。 …要は彼女がクロである決定的な証拠を見つけてくれば文句は無いのだろう？ ならば色眼鏡をかけた君とは別に調査するまでだ。
(これだけ言おうとも彼女の肩を持つ相手を置いて螺旋階段を昇っていれば呼びかける声と後ろからついてくる足音がする。ありふれた事も意見の合わない今では鬱陶しい物に思えて軽く一瞥した後は顔を合わせないまま言葉を返す。危ないものが入っている可能性があるのなら尚更警察のようなちゃんと組織に任せるべき案件だ。ただの探偵がリスクを負ってやることではない。誰でも分かるような理屈であるはずなのに相手には通じない依頼人のために何でも出来る長所もこうなれば融通の効かない頑固さと同じだ。簡単に支度をして外に出ようとすれば相手に腕を掴まれ行く手を遮られる。二人で外に出る機会はあの約束の日から増えたが一人で出掛けることは殆ど無い。おおよそその事が言いたいのだろうと予想は付くが意見の違う相手と情報収集するつもりもここで引くつもりはない。わざと嫌味っぽい言い方で一人で調査に出掛けるのだと告げれば腕を掴む相手の手首を掴んで「離してくれ」とだけ告げて)

警察に頼むのはいいがな、それは俺が捜査を止める理由にはならねぇよ。……ダメだ。お前が組織に狙われてる以上一人で外に出すわけにはいかねぇ。俺と一緒に行動できねぇってんなら大人しくここで待ってろ
(こうなれば信念の戦いだ。相手はこちらの言うことを一切聞く気がないようで先程から目線がこちらに向かない。相手もこちらが折れない事は薄々分かっているのだろう。こちらが相手も意見を曲げるつもりがないのを分かっているように。その相手が取ろうとした行動は予想外のものだったが決して看過できるものではなかった。相手を事務所に閉じ込める気はなくなったがそれはあくまでも二人で出かけるなら良しとしているだけ、一人で出かけるなんて拐ってくれと言っているようなもので見過ごすわけにはいかない。色眼鏡だなんだ嫌味な言い方をされジリジリと胸に苛立ちが募る。こちらの手をはがそうとしたのか相手が手首を掴んでくるがそれくらいで動かされるほどやわでは無い。今の状況と一人で出かける事は切り離して考えるべきなのにどうしても語気には苛立ちが乗ってしまって、まるで当てつけにこの事務所から出さないようにしているように話してしまう。別で調査するというならばこの事務所の中からしか認められず、相手が逃げないよう腕を掴む力を強めていて)

それだって可能性の話だろう！ 僕が何でも君の言うことを聞くと思ったら大間違いだ。ッ…僕は、僕なりに行動する
(予想通り一人で出掛けると告げれば反対の声が上がる。外に行くのを止める理由は組織に狙われていることを考慮した相手の優しさであることは頭の片隅では分かっている。だが荒っぽい言い方で言われるとまるで相手に不都合だからこそ自分を事務所に閉じ込めておきたいようにも聞こえてこちらも荒っぽく言い返す。彼女が犯罪に関わっている可能性と自分が組織に拐われる可能性、どちらもそれなりにあるはずなのに扱いの差が相手の矛盾のようにも思えた。苛立ちでヒートアップした頭には素直に相手の言葉や行動が受け止められない。自由に出かけられない事への煩わしさを実感すれば口が勝手に動いていた。手のひらの跡が付きそうなほどの強く掴まれた腕は引っ張るだけではびくともしない。だが力では負けてもこちらには知恵がある。逆に一歩踏み込んで近づき手首を回転させて隙間を作ってから真上に上げればするりと手は抜けた。一か八かの作戦が成功すれば相手から離れることしか頭になく直情的に声を張り上げ、逃げるように扉に走り寄る。扉を開けちらりと後ろを振り返るが止まるつもりはない。外に出て階段を降りれば丁度警察に情報を尋ねにいっていた所長が帰ってきた所だった。「アキちゃん、翔太郎の足止め頼んだ」とだけ告げれば困惑している彼女の横を走り抜け風の街の路地に逃げ込んで)

それとこれとじゃ事の重大さが違ぇだろ！子供みたいに屁理屈捏ねてねぇで大人しく、……なっ！ちょ、待っ…、バカッどけアキコ！フィリップッ！！
(相手は組織に狙われてるいる危険性も恐ろしさも十分分かっているはずなのに、揚げ足を取られるように荒っぽく返事をされればさらに声を荒らげてしまった。警察の方はジンさんもいるしある程度話が分かる人間がいるが組織の方は問答無用で相手を拐おうとしてくるだろう。まったく同列で語るべきではない話だ、相手を守るための措置だというのにこのままでは危険に真っ直ぐ突っ込んでいくのと同じだろう。ひとまずガレージに戻して気が落ち着くまで待とうかと考えていた所で相手がまた妙な動きをする。一種の護身術の動きだろう、相手が近づいてきて不意をつかれた隙に拘束していた腕は簡単に手から離れてしまう。驚いている間に相手は出入口へ向かいこちらを一瞥したあと事務所を出てしまった。慌てて追いかけるも直後所長と鉢合わせる。所長は意味は分からなくとも頼まれた事は素直にやる人間で、相手の言う通り両手を広げて通路を塞いできた。当然それ以上進むことはできず怒りの声をあげている間に相手は階段を降りていってしまう。視界から消える直後に相手の名を叫ぶが戻って来る可能性は限りなく低いだろう。追いかけようとするもやはり所長が邪魔で通れず、しばらく互いに叫びながらの応酬が続いていて)

＿…逃げてきたのは良いけど、ひとまずどうしようか。
(後ろから二人が争う声と名前を呼ぶのが聞こえてくる。どうやら所長はお願いした通りの事をしてくれているようだ。心の中で所長に感謝を伝えながらも足は止めない。事務所に閉じこもっていた頃はこの辺の道についてあまり知らなかったが二人で出掛けるようになってからは大体は覚えてきた。幾らこの街が相手の庭だといえ距離を置けばすぐに見つかることもないだろう。今のうちにと横道などを通って距離を稼ぎ、相手が追いかけてきていないことを確認してから走るのを辞める。衝動的に逃げてきたがいざ相手から離れると他のやり方があったのではないかとじわじわと罪悪感に似たようなものが沸く。だが飛び出した手前今更戻れる訳もなく、自分の話を聞いてくれない相手が悪いのだと頭を切り替える。それに相手が認めてくれるような証拠を持って帰れば良いだけの話だ。その為には現場を抑えるかカバンを追えば良いだろう。街には相手の顔見知りも多く誰からか居場所が割れる可能性もある。その前に済ませてしまおうと裏道を通ってカバンを託されたという証言の多かった中心街に向かい始め)

あ゛ーーー！ったくどいつもこいつも！！____……早くケリつけねぇと
(しばらく事務所の前で所長と言い争っていたが、相手が一人で出ていった事を告げるとようやく所長の動きが止まる。一通りを説明すると『なら早く見つけなきゃいけないでしょ！』と怒鳴られ誰のせいでこうなったのだと怒りのまま叫んでいた。だが叫んでいてもどうにもならない、ようやく階段を駆け下り外に出てみたが相手の姿は当然見当たらなかった。相手に何かある前にすぐにでも追いかけたいが、今顔を合わせた所で結局はこの依頼を続けるか手を引くか、彼女がシロかクロかで意見が衝突してしまうだろう。依頼対象であるカバンの中身がハッキリしない限りはどうにもならない。そこへちょうど所長も外へと出てきて一人でパニックになっている。所長も危険な目にあわせたくはないが相手の消息がまったく分からなくなるのも困る、ここはアキコに相手を任せることにした。相手は検索結果の検証をするはずだと踏んで中心街へ向かうよう頼むと、こちらはカバン探しに集中することにする。昨日の調査で最後に消息を経った中心街の外れにある公園へと移動し始めて)

……アレは、
(覚えのある道を通って中心街へと向かう。依頼人が無くしたといっていたカバンは宿泊に適しているような無地の大きめの物だ。普通の道ならば多少目立つはすまだがホテルや店の立ち並ぶこのエリアでは大きな荷物を持っていても不自然ではない。そういった所も計算づきなのだろうと考えながら辺りを見渡していると依頼人の姿が見えた。あわてて物陰に隠れてカバンでも持っていればすぐに中身を確認して証明も出来たのだろうが残念ながら手ぶらで何かを眺めた後に立ち去っていく。こちらの予想が正しければ彼女は違法な物の受け渡しの組織などに一枚噛んでいる。行動を追えば何か掴めるだろうと予想すれば適度な距離を取りながら後をつける。相棒に状況を報告するか一瞬悩んだがまだ彼女が犯人だと決まっていないのにプライベートが云々と言われそうで開きかけたス.タ.ッ.グ.フ.ォ.ンを閉じる。全てが終わってから伝えれば良いだろう。彼女は誰かと電話をしながらも迷いの足取りで進んでいく。細心の注意を払いながら進めば見覚えのある辺り、苦い経験をした違法バー近くであることに気付く。自分の仮説の方が正しかったことを証明するような場所に近づいていく彼女に若干勝ち誇ったような気持ちになりながらも尾行を続けて)

……どうかしましたか？
(依頼人の友人が最後に目撃されたという公園には来てみたものの、正直なところ手がかりとしてはかなり少ない。友人の容姿は軽く説明されたが『スーツ姿の男』程度の特徴的なものでもなく、依頼人から立ち去った方向を聞いて『多分ここで電話をしていた人だと思う』という曖昧な証言をもぎ取って特定したのがこの公園だ。そもそも友人なのに写真を持っていない事も違和感のひとつだが、相手と言い合って意地になっているせいかそれも何かの理由があるのだと問題を先送りにする。茂みや物陰は一通り探したがそれらしいカバンはない。どうしたものかと考えていたところで、周囲をキョロキョロと見まわしながらスーツの男が無地で大きめのカバンを手に公園へと入ってきた。もしやと思い声をかけて事情をきけば、先日ここに休憩にきた時に同じスーツ姿の男にカバンを取り違えられたようで、思わぬビンゴに目を開く。男は電話をした後慌ててこの場を去ったらしいが、その時にこの男のカバンを持っていってしまったらしい。外観が似ていて男自身も気づいていなかったらしく、今になってようやく取り違えに気づいたそうだ。つまり男が持っているのは依頼対象のカバン、事情を話して男のカバンを返すことを約束して依頼対象のカバンを受け取る。ここで中身を確認すればこの依頼をどう扱うべきか決着がつくだろう。だが、これは依頼人の友人のもので勝手に中身を覗くわけにはいかない。ひとまずは依頼人に連絡をしようと電話をかけるが話し中のようで「待つしかねぇな…」と呟き渦中のカバンを見つめていて)

(/いつもお世話になっております！ 家を飛び出して単独行動を始めてこれから盛り上がっていく最中で申し訳ないのですが背後の方が体調を崩してしまいまして今日中の返信が難しい状況です…。体調が戻りましたら直ぐにでもお返事させてもらいますので今暫くお待ち頂けたらと思います。すみません、把握のほどよろしくお願いします。返信不要です。)

(/こちらこそお世話になっております！体調悪い中ご連絡くださりありがとうございます。背後第一ですし何より検索様の体調回復が何より大事ですので、ゆっくりお休みになってください。こちらもゆっくりお待ちしておりますので！体調不良続くようでしたら返信今日中といわず明日以降もまったりお待ちしておりますので、回復されるまでゆっくりお休みください。どうぞご自愛くださいませ。/こちら返信不要です！)

……やはりビンゴだ、
(人気の殆どないエリアに来れば彼女が電話口に何やら怒っているのが聞こえてくる。会話内容を聞こうと物陰に隠れてギリギリまで近づきバ.ッ.ド.シ.ョ.ッ,トを近くの屋根に飛ばす。その映像を相棒のス.タ.ッ.グ.フ,ォ.ンにリアルタイムで転送するように設定すれば準備完了だ。彼女の裏の顔さえ分かれば相手だって考えを改めるだろう。狙い通り『あの中身だけでも売れたら数百万はくだらない』『探偵も使って探しているけどまだ見つかっていない』『最悪警察にバレそうになったらカバンをお願いした時の写真は撮ってあるからそれで罪を被せる』等の会話を電話先としていてカバンの中が普通の物でない事は明白だ。決定的ともいえる証言を得られたことに安堵するがそれで気が抜けてしまったのか物音を立ててしまい『誰かいるの？』と鋭い声を向けられ冷や汗かきながら息を潜め)

(/優しいお言葉ありがとうございます。少しは症状は落ち着きましたのでゆっくりとしたペースになるかもしれませんがお返事させて頂こうかと思います。引き続きよろしくお願いします！ 返信不要です。)

あいつなんてとこに…___これは……
(繋がらない電話に次の一手をどうしようか考えつつ、アキコから相手をみつけたという連絡が無いのが心配で気が散っているとス.タ.ッ.グ.フ,ォ.ンが鳴った。画面を見ればバ.ッ.ド.シ.ョ.ッ,トからの映像で相手がこちらに送ってきているものであることを察する。周囲の街の景観をみればそこがすぐにあの違法バーの周辺であるのが分かって冷や汗が出た。相手がまさに拐われかけたあの場所に相手はたった一人でいるのだ。焦りを覚えながら画面を眺め彼女の発言を聞いていれば、さすがに純粋に探偵を頼った依頼人には見えなくなってしまった。画面を眺めながらベンチにカバンを置いて口を開ける。一見文具や書類が詰まったただのカバンだが、カバンの底の部分に厚みがあって中に詰まったものを引っ張り上げる。そこで目を見開いた。手の中に収まっていたのはカラフルな錠剤がたっぷりと詰まった袋。あの違法バーで無理やり口の中に入れられた苦い経験が頭を過ぎる。だがこれで彼女は完全にクロだ、だがやはりここで全てを切り捨てる気にはなれない。まずは彼女を問い詰めなければと思った矢先に彼女は何かに気づいた素振りをみせた。嫌な予感がさらに加速する、彼女はあの時違法バーにいた連中と繋がっているかもしれない。そうなれば相手の行く末を想像するのは難しくない。弾けるようにして走り出すと「クソッ、絶対に見つかんじゃねぇぞ」と半分祈るように呟いていて)

…やるしかないか。
(ひとまず彼女が純粋な思いで探偵を頼った訳では無いことが伝わっただろうがハーフボイルドな誰かさんはそれで依頼を投げ出したりしないのは身に染みて知っている。クロであることを知ってもなお相手は彼女と直接話をしようとするだろう。どうするかと考えていた所で不本意に物音を立ててしまい、彼女がこちらの存在に気付く。ジリジリ近づいてくる気配と足音。誰かと連絡を取り合っているような声もする。この辺は雑居ビルのようなものが立ち並んでおり、中に入って身を潜めれば時間は稼げるだろうが追い詰められれば一巻の終わりだ。幸い今は彼女一人だけ、覚悟を決めたように呟けば敢えて表に飛び出して反対方向へと走り出す。彼女も自分が事務所に居た人物だと気づいたのだろう。『逃がさないわ』と声を張り上げて追いかけてくる。大きな道を目指して来た道を戻るように走り抜けていれば彼女の姿は遠くなっていくが不意に横から出てきた人物にぶつかる。顔を上げると大柄な男が不機嫌そうに立っていて『おいたが過ぎるぞ、お坊ちゃん』と腕を強く握られてしまい)