相乗りで何処までも 【 〆 】

あぁ全然気づかなかった。これはこのまま封印だ___そうだな、叫んで体力も使ったし。食べ歩き出来るやつだけでも種類多いんだよな。チュロス、ホットスナック、ポップコーンは何種類も味あるし…食べたいヤツあるか？
(こちらの心配はまったく要らなかったようで、アトラクションを思いっきり楽しめたのなら選んだこちらも嬉しくなるというものだ。呪われたホテルを楽しんだ証拠たる写真を二人で見上げれば相手からも笑い声があがる。落下の瞬間はその高さに気を取られ撮影されたかなんて気づく余裕もなかった。このホテルの世界観にどっぷり浸かった二人の珍しく不本意な顔、思い出と言えば思い出だがとても他人に見せられるものではなくて心の中に、特に相手の引き攣った顔をしっかり心に刻んで覚えておくことにした。建物を出て小休止を提案されれば直ぐに賛成する。ジャングルの冒険に呪われたホテルの洗練とまだたった二つしかアトラクションに乗っていないのにずっと騒がしくしていたせいで一息いれたいところだった。ガイドブックを取り出すと食べ歩きフードのページを開く。キャラクターを模した可愛らしいものから説明書きをみるだけで美味しそうなフードまで様々な種類があり、特にポップコーンは力を入れているのか数種の味に加えて専用のバケツまで売っているらしい。フードのページを相手に見せながら気になるものがあるかと聞いて)

…ほんとだ、こんなにも種類があるんだね。この中だと期間限定のコレが気になるかな、それと様々な味のあるポップコーンも順番待ちの間に食べることが出来て良さそうだ。 君は気になるものはあるかい？
(相手の取りだしたガイドブックを横から覗き込めば食べ歩きも楽しみ方の1つのようで大々的に見開きに渡って特集が組まれていた。園内の様々なところでオリジナルの物が売り出されているようでその種類の多さに多少驚いた反応を示す。その中で食べたい物を問われると少し迷った後、期間限定と大きく書かれた肉まんを指さす。どうやら周年記念として普段は浮き輪の形をしたものがカチューシャとしても買ったネズミのキャラクターを模した物に期間限定でなっているらしく、中身も2種類のチキン味で説明書きを見るだけでも美味しそうだ。加えて場所によって味が異なるポップコーンにも興味惹かれると待ち時間にも食べられる点を考慮して相手に強請る。早起きしたのと未知の経験を二度した事もあって多少の空腹を感じながらも相手にもどれを食べてみたいかと目線を向けながら尋ねて)

期間限定か、ならまずはこの肉まんだな。俺もポップコーン食いたいと思ってたんだ。このブラックペッパー味ってのが気になる。甘くないのなんて珍しいし………これも買いてぇな
(食べきれないほど種類のある食べ歩きフードの中で相手が興味を示したのは肉まんだ。今だけ普段とは違う造形らしく、浮き輪に二つ丸がくっついたフォルムはこのパーク特有の肉まんだ。肉まんとなれば食べ応えもありそうでまずはこれをとあたりをつけておく。こちらが気になるのは今しがた相手に強請られたポップコーンだ。映画館くらいでしか食べることのないポップコーンだがこのパークを歩く中でちらちらと専用の売店を見かけ、しかも定番の塩とキャラメル以外の味が豊富にありそれらを選ぶだけでも迷ってしまう。ガイドブックにはポップコーンだけを取り扱うページもあってそこを開ける。パークのどこにどんな味があるのかを図示しつつ、傍らにはポップコーンを入れる専用のバケットが描かれていてまたそれも種類が多い。どうやら首から下げて持てるらしく、その情報を見れば自然と相手がバケットを持つ姿を想像してしまう。その中で目に止まったのは蜂蜜のツボを模したバケットだ。クマのキャラクターが乗っているのも相まってかなり可愛いデザインだがこのバケットを首から下げる相手を見てみたいと願いが生まれる。今日は自分の願いを止めるものもなく視線を相手へ戻してバケットを購入したい事を告げた。肉まんとポップコーンを買えば暫く腹のもちは大丈夫だろう「とりあえず肉まんの方買いに行くか」と声をかけ)

風.都で聞いたことがあるのは塩味とキャラメル味だから確かに珍しい。…なるほど、ポップコーンを入れる専用のケースも売っているのか。色々な味のポップコーンを食べ比べするならこれも買っても良いね。＿＿ こっちが期間限定の物で、コレが普段のやつだ。
(自分の出した案は採用され、もう片方のポップコーンには相手も興味を示す。風の街で今まで聞いたことはあるのは塩とキャラメルだったが、相手の開いたガイドブックにはポップコーンのページが存在するほど力を入れているようだ。字面を追えば美味しそうなバター醤油やカレー味から始まりベリーチーズ味やガーリックシュリンプ味など聞いたことない味まで多数存在していてどれも好奇心を刺激する。それらに興味惹かれていると相手が隣などに書かれている容器を指さす。どうやらポップコーンを入れる専用のケースとしてキャラクターグッズがあるらしく、食べ終わったあとも違う味を買いに行けばこれに詰めてくれるらしい。お得になるに加えてこの場所ならではのグッズとなれば反対する理由はない。こちらを見た相手に目を合わせれば笑顔で肯定を返す。食べるものが決まれば早速移動だ。目的のものは海をイメージしたエリアにあるらしく、呪われたホテルから今度は水の豊かなシーサイドのような場所へ歩いて移動する。水を使ったアトラクションに目を奪われながらも目的地のショップに辿り着くと期間限定ということもあってそれなりに人が並んでいるようだ。その列に並び待ちながらも目的のネズミの形をしたヤツだけではなく通常の物もあると聞けば迷わず1つずつ注文することにした。そうして手元に2種類の肉まんを手に入れると嬉しそうにしながら説明し、ひとまず通常の物を相手に渡して)

だろ？今日は列並んで待機時間も多そうだし色んな味食おうぜ。___ん、ありがとよ。……んんっ！美味い！
(珍しいポップコーンの数々に相手に負けず劣らずこちらも興味を唆られている。各所で待ち時間が発生することを思えば列に並びながらポップコーンを楽しめるのだから一石二鳥だ。いろいろと考えはありつつも結局は相手にあのケースを持たせたいというのが一番の本音ではあるが、相手からも好感触の返事が返ってくれば色々な種類を食べることを名目にケースを買うことを決めていた。ガイドブックに従いエリアを移動する、レトロフューチャーの港をイメージしたらしいそこは幾何学的なシンボルや櫂を組み合わせた用途の分からないモニュメントやらが並んでいてまた独特な雰囲気になっている。そんな港を横目にショップに並べば程なくして2種類の肉まんを買うことができた。通路の端の方に寄って通常販売されている方を渡されれば相手が被るキャップのキャラがちょうど浮き輪に入っているようなデザインになっていて見た目にも楽しいフードに気分も上がり思わず口元が緩んだ。早速一口かじればしっかりとしたエビの餡の味が広がり思わず声をあげて相手の方をみる。こういう見た目にこだわりのあるものは味が疎かになっている事もあるがこれは味も食べ応えも文句はない。通常がこれならば期間限定の方にはさらに期待がかかるもので「そっちのも食べてみろよ」と相手の持つ方を指さして)

何故色んな所に店がバラけているのか不思議だったけど、エリアごとの特徴を踏まえた商品を展開しているようだね。なら、こっちも…ん、美味しい。 勿論だ、…あーん、
(ポップコーンの味は場所によって限定の物などもあるようで色々な所を回るついでに買うことが出来るだろう。その為にもバケットを買うことにも賛成で新たな楽しみが出来たことにご機嫌で港のエリアへと向かう。無事に目的の肉まんを2つ買うことが出来れば期間限定の方を持ちながらも周りを眺める。この肉まんはここでしか買うことの出来ないメニューだ。園内にはそういう食べ物が多く、単なる人混みの分散なのかと思っていたのだがショップの外装と周りの景色を見ればそんな感想もひっくり返る。風.都.の海沿いともまた違ったレトロらしい港とその場所をモチーフにしたであろう浮き輪の形をした肉まんは特別感を演出すると共にこのエリアを満喫した気分になる。意図はしていなかったが2人の被っているキャラクターに関わりのあるデザインのようでその統一性もここならではだろう。感心したように呟いていると早速相手が肉まんに齧り付く。声を上げる程の好意的な反応を見れば更に食欲がそそられて自分も耳の部分に齧り付いた。もっちりとした生地と照り焼きチキンの濃い味が絶妙で体力を使った身体にガツンと来る食べ応えで口角をあげながらもしっかりと味わう。そうしていると期間限定が気になったのか相手から声がかかる。肉まんごと渡そうとしたがふとここが夢の国でやりたいことをやろうと言い合ったばかりなのを思い出す。外であるが思うがまま動こうと決めれば上機嫌に笑みを浮かべ手に持った肉まんをそのまま相手の口元に運んでみて)

フードもフードを売ってる店もそれぞれのエリアに合わせてあるし、ほんと隙がねぇな。…、………ん、こっちの方が濃くてガッツリしてんな
(景観がそれぞれのエリアの世界観に合わせて作られているのは十分に堪能出来ていたが、それがフードや道中にある露店にまで適用されているとは。今しがた肉まんを買ったショップも独特な佇まいでそれを売る店員の格好もレトロな趣で徹底的に世界観を統一している。相手と同じく感心した声を漏らしながら、世界観を構成するひとつである浮き輪に舌鼓を打っていると、次は相手のもつ期間限定のものをと手を差し出そうとする。だがその前に相手から肉まんを差し出されてしまうと目を瞬かせた。風の街ではないこの夢の国で欲張ってやりたいことをやろうと言いはしたが、思わぬ恋人らしい行為に不意打ちくらって軽く動揺してしまった。とはいえそれで目が泳ぎに泳いでしまった一昔前とはもう違う。差し出された肉まんに多少硬い動きながらも齧り付いた。ピンクのものよりも濃い味付けのそれはしっかりと腹に溜まりそうだ。食べ歩きフードだけでもそこそこ腹を満たせそうな気さえしてくる。肉まんを美味しく味わってはいたが不意打ちをやられっぱなしでは腑に落ちない性格だ。こちらも自分が持つ肉まんを一口大にちぎって相手の方へ「…あーん」と差し出す。だがそのまま素直に渡す気はなくて相手が食べようとした瞬間を狙って手を引っ込め、ちぎった一欠片を自分の口の中に放り込んでしまえばしてやったりの笑みを浮かべていて)

だろう？ 今の僕たちにピッタリな食べ物だ。 …あー、っ…そういう事するのかい？……、…
(細部にまで行き届いた世界観を更に楽しもうと購入した肉まんであったが恋人らしいことをしようとして差し出した行動に相手は目を瞬かせたりと動揺を見せる。食べかけにすら顔を真っ赤にしていた時からは慣れたからか多少ぎこちない動きながらも齧り付くのを見れば自然と笑みが浮かぶ。周りの目が気になるようになったこともここでは思い切ってすることが出来る。今日は一日中精力的に動くつもりだから食事量も多くても構わないだろう。上手くいったことに上機嫌に話していると相手が通常タイプの肉まんを一口分ちぎって差し出してきた。丁度こちらの味も気になっていた所で素直に口を開けてそれを食べようとする。だが予測に反して相手に肉まんを引っ込められると空気を食べることとなり、目的の一欠片は相手の口の中に消えてしまった。目を見開いた後、何をされたか理解すればじとりと据わった目線と拗ねたような声を向ける。せっかく楽しんでいたのに、意地悪な相手には仕返ししないとならないだろう。ちょうど辺りには人がいないタイミングだ。被り物の耳付近に垂れ下がっている部分を軽く引っ張って相手の顔を周りから見えないようにしながら口内に消えていった肉まんを追うように顔を近付けていく。そのまま距離を詰めていくも唇が重なる数センチ前で寸止めすれば直ぐに顔を離してがら空きの相手の手元の肉まんを一口齧る。具が詰まっている部分だったのもありぷりぷりとしたエビの食感を存分に味わえると「こっちも海鮮中華って感じがして絶品だね」と何食わぬ顔で感想を告げて)

…ッ！___ゴホッ！ンンっ！……お、まえ…馬鹿ッ！こんなとこで！！
(タイミングよく手を引っ込めてやれば相手の口は空振りして差し出していた肉まんの欠片はこちらの口の中へと入る。あからさまに不服を示し拗ねた顔はとても可愛らしく肉まんを含んだ口は楽しげに三日月の形を描いた。いつもとは違う顔を見たくてついついちょっかいを掛けてしまう心理は好きな子程イタズラしたくなってしまう心持ちと同じだろう。企みが上手くいって上機嫌なまま口に入った一欠片を咀嚼しようとしたが、その前にキャップが引っ張られ片方にズレてしまう。ちょうど他人が通る側が隠れるようになったそこに相手の顔が近づいてきて息を飲んだ。相手と少なからず恋人の経験を積んだ身体は相手が何をしようとしたか瞬時に察して思わず身を固める。悔しいのはそれを甘んじて受けるように口を僅かに開いてしまった事だった。だが唇が触れる直前で相手の顔は突然方向転換して手元にあった肉まんをまんまと奪われてしまう。最初は呆然と何食わぬ相手を見つめたが、相手がした事とこちらがそれに対して期待してしまった事、ひと時の間を置いた後それらをいっぺんに理解すれば一気に顔が熱くなった。思わず声を上げそうになるがそうすれば口の中にあった肉まんが喉を通ろうとするわけで、肉まんが詰まって激しく咳き込んでしまう。なんとか飲み込んだものの顔は息苦しくなったのも相まって真っ赤に染まってしまった。なんとか叫ぶだけが精一杯だ、こちらが仕掛けたはずなのにまんまと相手にしてやられてしまえば悔しさやら恥ずかしさやらが入り混じって、頭に乗ったアヒルのクチバシを引っつかみ目深に被るように引っ張ると顔を隠してしまって)

なんの事かさっぱり検討も付かないな。 そもそも素直に食べさせてくれなかった君が悪い。
(ある種の仕返しとして行ったこれらの行為。すっかり身体に馴染んだ一連の動きで顔を近づければ相手もその唇が薄く開く。そこに触れたい気持ちは山々だが真昼間の屋外でするのは良くないだろうと常識という言い訳で顔を離して代わりに相手の手元の肉まんを食べる。思っていた行動ではなかったせいか呆然とこちらを見ていた相手の顔が何かに気づいたような表情を浮かべたかと思えば火がついたように一気に赤くなった。慌てて何かを言おうとしたが口に含んだ肉まんが喉に詰まったのか激しく咳き込んだかと思えば抗議するように叫ばれるが反撃が出来た事にご機嫌で涼しい顔でしらばくれる。顔を近づける意味も相手が何を期待したのかも勿論分かるから多少棒読みになってしまってはいるが。実際、唇を合わせていないから屋外でのキスとしてはノーカウントだろう。それにそもそもは悪戯を仕掛けた相手が悪いのだと勝手な自論を展開していた。あの頃とは違った理由で真っ赤になった顔を女性キャラの被り物を深く被る姿に口角がにやけてしまいながらも「翔太郎、」と機嫌伺うように声をかけては唯一ちゃんと見える口元に1口大にちぎった肉まん差し出して)

……元はと言えばお前が食べさせてきたのが始まりだろ……、…美味い…
(実際に起こった事は手に持っていた肉まんを取られたとそれだけだ。だがこちらとしては不意をつかれすっかり口の中の物ごと奪われるのかと思ったわけで、その時に跳ね上がった鼓動はまだ落ち着きをみせない。いつものようにハットで顔を隠そうとしたのだが今頭の上に乗っているのはリボンをつけた可愛いアヒルの女の子の被り物で余計に締まりが悪い。こちらがちょっとしたイタズラをしようとしたきっかけだって相手の方が先に仕掛けてきたからだったのに。責任転嫁するようにボソボソと呟きながらアヒルの下で顔の熱が引くのを待っていたが、恋人からこちらを伺うように名前を呼ばれてしまえば反応してしまうのが性というもの。クチバシの片方を上げ片目で向こうの様子を伺えば口元には先程こちらがやったのと同じくちぎった肉まんが差し出されている。まだいろいろと言いたい事はあるが、素直に差し出された一欠片を口に入れればそれらも丸ごと飲み込むことにしておいた。「これで全部チャラじゃねぇからな」と悔し紛れの一言は発するもののようやくキャップを元の位置に戻せば相手と目線を合わせて)

(/お世話になっております。本日なのですが夕方から夜まで予定が入っておりまして日中にはもう一度くらい返信できると思うのですがそれ以降は明日になってしまいそうです……長い時間反応出来なくなってしまうのですが、お待ちいただければ幸いです/こちら蹴り可です！)

デートでのはんぶんこの仕方と言えばコレだろう。 ああ、まだまだ一日は長いし楽しみにしておくよ。 ＿＿ 食べながらポップコーンの方も買いに行こうか
(いつもの癖かハットで顔を隠そうとしているようだが今頭に乗っているのは可愛らしいアヒルのキャラクターの被り物だ。それが余計赤い顔を際立たせていてつい口元が緩んでしまう。それに外ではないにしろ今までも何度か相手に食べさせるという行為はしてきたのだから悪戯で返される動機としては弱いはずだ。恋人と味を比べ合うなら先程の行為は当然のことだと個人的な理論を振りかざしながらも機嫌を伺うように肉まんを差し出せば素直に食べてくれて更に笑みが深まる。まだ納得がいってないのか苦し紛れなセリフを聞くと共に目線が合うとこちらは相変わらず余裕そうに挑発的な言葉を口にしておいた。こうやって悪戯を仕掛けたり仕返しをするのも恋人のやり取りの一つだろう。仕返しされぬよう警戒しなくてはと心を踊らせながらも肉まんにかぶりついた。そうして賑やかに食べていたが半分程食べたところで相手の食べたいと言っていたポップコーンがここから少し離れた所であったのを思い出す。入れ物を含めて買うためにもそろそろ移動した方が良いだろう。相手の服のポケットからガイドブックを取りだして場所を再度確認しつつも移動を持ちかけて)

(/お世話になっております。また、ご連絡ありがとうございます。今夜の状況把握致しました。リアルの生活第一にお互いのペースというのが大前提ですのでお気にならさずゆっくりとお返事して頂ければ幸いです。よろしくお願いします！/蹴可です。)

ったく、余裕かましやがって……___だな。ここにいきゃ目的のもんが手に入りそうだ
(反撃の意思は伝えたものの相手は余裕綽々といった様子だ。確かにお互いのものを食べさせあうのも、ちょっとした不意打ちも恋人ならば当然やる行為ではある。だがそれらに慣れる日がくるとは思えない、想いを寄せる相手から心揺さぶる行為を受ければ相応に動揺するというものだ。これも惚れた弱みなのかもしれないがそれはそれとしてやられっぱなしは気に食わない。相手の言うようにまだ一日は長い、パークを楽しみつつ隙を見つけなければと心に固く誓いを立てていた。そんなことを思いながら肉まんを食べ進めればポップコーンを買いに行こうと相手から提案される。相手が広げたガイドブックを覗き込みつつ、目的地を指すと移動を始めた。手軽に食べ歩きを出来るのもここのいい所で時折相手のもつ肉まんと味を交換しながらレトロフューチャーな港から離れていく。やがてたどり着いたのは正真正銘の未来の街だ。白と青を基調とした建物を背景に円柱や真四角に整えられた木々がまた非日常の空間を作り出している。周囲に流れる音楽もピコピコと電子音が混じるものだ。惑星や星を掲げた看板が多い中、ビッグバンの如く弾けたポップコーンを掲げた建物を見つけると「あれだな」と声をかける。露店でも売られているポップコーンだがこの店はポップコーンだけを販売している専門店舗でパーク内で取り扱っているバケットはここにほぼ揃っているらしい。当然目的のものがあるのはガイドブックで確認済みだ。店内に入れば宇宙空間のような淡い青色に包まれ中にはポップコーンの香ばしい匂いでいっぱいになっていて)

(/お待たせいたしました。昨日は結局あれから返すことができずすみませんでした…本日はいつもの週末くらいの頻度でお返事できそうです。あと上の描写でクマさんバケットと黒胡椒味のポップコーンの組み合わせで売られている店舗はないらしいのですがそこはご都合主義ということでここでさらっと購入しちゃいましょう！/こちら蹴りで大丈夫です！)

これだけ沢山の種類のポップコーンは初めて見たよ。この建物の中にあると星屑のようだ。味はブラックペッパーだとして…入れ物の希望とかはあるかい？
(目的のブラックペッパー味は他の場所にもあるようだがポップコーン専門店に行く方が確実ではあるだろう。相手の指さした地点に向け2つの肉まんを交換し合いながらも歩き始めた。時間も昼近くになってきたのもあって何処も人が多く賑やかだ。それぞれが被り物をしたりフードやガイドブックを手に持って楽しそうに過ごしていて自分達もその内の一組なのだと実感すれば心が穏やかになっていくようだった。そんなことを考えながらも肉まんをちょうど食べ終わった頃、景色は未来をイメージしたような宇宙基地らしい場所に変わっていた。その中にあるポップコーンの弾けたような看板の店に入ると青を貴重とした宇宙のスマートな印象をうける店内とポップコーンの香ばしい匂いが出迎えてくれた。専門店ということもあり、店内のケースには様々な種類のポップコーンが詰め込まれていて星屑のようにも見える。店内を見渡しながら呟きつつもバケットの見本が並べられたコーナーに向かう。最初の味は先程相手の言っていたブラックペッパーにするとしてバケットは今日一日使う物だから慎重に決めたい。ネズミの形をしたものから宇宙船のようなもの、キャラクターの乗った物など様々あるが1人だけでは決めかねて隣の相手に意見求め)

星屑か、宇宙空間みたいな場所だし確かにそう見えるな。あー入れ物は……これとか食べやすそうじゃねぇか？
(ポップコーン専門店なんてそうそうにお目にかかる事もなく、これも様々な種類のポップコーンがあるからこその店だろう。食欲を唆る匂いを嗅げば誘われるようにカウンターに組み込まれたケースにぎっしりと詰め込まれた色とりどりのポップコーンを見やる。それを相手が星屑だなんて少々ロマンチックな例えをすると思わず笑みが零れた。天井にはポップコーンを天体模型のようにしたオブジェも飾られているし、案外間違った例えではないのかもしれない。バケットが並べられた所で二人並べばその種類の多さもガイドブック通りで目移りしてしまいそうだ。どれも見た目に楽しい作りばかりだが自分の中ではどれにするかは決まっている。相手に持たせたいと一番思えるのが購入の決め手だがそれをストレートに言うのは何となく恥ずかしい。しかし理由も言わずに可愛らしいクマが乗った蜂蜜ツボを欲しいというのも恥ずかしく、形状的に一番良いという理由をこじつけて狙いを定めていたバケットを指さして)

色とりどりで他の種類を食べるのも楽しみだ。 …君にしては意外なチョイスじゃないかい？ でも確かに、口が大きくて食べやすそうだね。これにしよう。
(硬い種皮が弾けてひっくり返った形や味によって色とりどりなポップコーンは日頃見るものとは違ったように見える。それを星屑と例えて表現してみると相手から笑みが零れるが大まか同意してくれているようだ。それらを味わうのを楽しみにしつつもポップコーンを入れる為のバケットを見に行くとこれまた種類豊富だ。被り物と同じキャラクターの物か比較的シンプルなデザインの物を選ぶかと思ったのだが予想に反して相手が指さしたのはクマのキャラクターの乗った蜂蜜のツボのデザインをしたものだ。意外な選択に思わず相手の方を向いてきょとんと瞬く。だが理由はどうあれ今の相手が選んだのなら異論はなく、二人で分け合うためにも食べやすいという理由に乗っかるように同意すれば今日一日のポップコーンのお供はこのバケットにしようと棚から一つ取る。入れ物と味が決まれば早速カウンターに向かい両方を購入する。その場で可愛らしい蜂蜜のツボにブラックペッパー味のポップコーンが詰められていき店員に手渡される。バケットには持ち歩き用にストラップがついていて試しに首から提げてから相手の方を向けば「これでポップコーンの準備もバッチリだね」と微笑んで)

だろ？ハードボイルドな俺には似合わねぇけど、お前が首から下げてりゃ問題ないしな___あぁ……味も気になるしちょっと食ってみねぇか？
(お目当てのバケットを指定するとらしくないチョイスだと言われ思惑がバレたかとギクリとするが、後付けの方の理由に納得したのか購入することが決まりひと安心する。それらしい返事をしつつ、自分が身につけるものではないとアピールしておけば作戦はバッチリだ。バケットに出来たてのポップコーンが詰め込まれて手渡されれば、早速相手が首から蜂蜜のツボを下げる形になった。頭に大きなキャラクターのキャップを被り首からは蜂蜜のバケットを装備したその姿はさらにこのパークを思いっきり満喫している姿となって可愛らしさも増すというもの。想像以上の仕上がりに思わず口元を緩めながら店を出る。列に並んでいる間の時間のため買ったものだったがどうせなら暖かいうちに少し食べておきたい。それに最も見たい姿は相手がこのバケットを使っている姿だ。人の流れを避けた所で立ち止まればバケットを指さし味見を提案して)

悪くない案だ、出来たては今しか食べられない特別品だからね。 じゃあ早速…。…スパイシーだけど辛すぎない絶妙な味付けだ。出来たてで暖かいのも黒胡椒の風味を引き立てている。君も食べてみたまえ
(ハードボイルドさに関しては可愛らしい被り物をしている時点でないに等しいと思うのだかこの場所ならではのバケットが持てることには異論は無い。店員から受け取ったバケットを首からさげてみるとよりこのテーマパークに相応しい姿になり馴染めたような気がして、視界に可愛らしいクマの姿が入る度に嬉しそうに口元を緩ませる。新たな物を手に入れ早速次の目的地を決めようとした所で相手から味見の提案がなされる。待ち時間の為に買ったポップコーンであったが今しかない出来たての物が食べられるという魅力と興味の方が上回ると深く頷いて邪魔にならない道の端に寄る。わくわくした表情で首にさげたバケットの蓋を開け、早速一つ摘んで口に入れてみる。ブラックペッパー味という響きから相当辛い物を想像していたのだが、実際はピリッとした香辛料の味は感じるもののそれ程辛く無くどんどん食べたくなる味だ。出来たてで暖かいとよりその風味と旨みが強調されていて満足げに感想を述べつつももう一つを摘んで口にする。その味を是非相手とも共有したくなればバケットごと差し出して食べるように促し)

なんでも出来たては特別に美味いからな。____お前が気に入ったんだったら良かった。じゃあ俺も……ん！美味いな！
(こちらの願望で選んだバケットだったが相手も気に入ってくれているらしく、蜂蜜に手を伸ばそうとしているクマを見て口元を緩めているのをみれば伝染するようにこちらの口元も緩んだ。またもそれらしい理由をつけて今すぐ食べる事を提案すればすぐに了承され相手が首から下げたバケットを開ける。クマと同じようにツボの中を覗いてポップコーンを取り出しバケット片手にそれを口にする姿は想定通り絵になって可愛らしく、こちらも楽しげにその一連の行動を見守っていた。そうしているうちにバケットごと差し出されれば相手の大切なものをわけでもらっている気になって胸は幸せに満ちていく。勧められたままブラックペッパー味のポップコーンを食べれば相手の言うよう程よいピリ辛さで思わず声をあげた。塩味とはまた違う刺激のある味でこれは次々と口にしたくなる味だ。もう一つと手を伸ばそうとしたところで、相手がまたひとつポップコーンを手にしたのが目に入る。相手が摘んだそれとバケットの中にあるものはまったく同じものであるはずなのに、相手が自分でもつバケットから選んで摘んだそれは特別に美味しそうに見えて、相手が今まさに摘んでいるそれが欲しくなってしまった。口に吸い込まれそうになっているポップコーンを追うように顔を近づけるも勢いがあったせいかポップコーンは相手の唇に触れて同時にこちらの唇にも触れる。ポップコーンを挟んではいたものの口づけるような距離まで瞬間的に近づき、すぐに相手の唇に触れていたポップコーンを奪い去って顔を離してしまう。特別な一粒を咀嚼しながら「いくらでも食えるな」と何事もなかったかのようにすました顔を浮かべていて)

ガイドブックで特集を組まれるだけあるね。…っ！？ だめだ、もう味見は終わりにして次に行こう！
(店では通常の紙の容器での販売をしているようだがやっぱりこの特別な容器の方が自分のモノという感じがして気分が上がる。相手の選んだブラックペッパー味も濃すぎて飽きやすい様なものでもなく、通常の塩味とも違う手が止まらない味だ。これまで見掛けた客の中にも同じくバケットを首から下げている人は居てこのテーマパークの中でポップコーンが一つのコンテンツとして特集されるだけある。そんなことを考えながらポップコーンを口に運んでいたせいで近付く相手の顔に気付くのが遅れた。認識した時には既に目と鼻の先で、思わず硬直して目を見開く。ポップコーン越しに唇が重なり、それが奪い取られてしまえば漸く何が起きたか理解して急激に顔を赤くする。動揺にバケットから手を離してしまうが首から下げて居なければ入れ物ごと落として一面にポップコーンをぶち撒けてしまっただろう。対する相手は何事もなかったように澄まし顔をしていて先程の意趣返しとわかりつつも恥ずかしいのは変わらない。この空気を誤魔化し切り替えてしまおうとバケットの蓋を閉めると一方的に味見の終了を告げ、行先が決まってないにも関わらずどこかへ向かって逃げるように歩き出して)