鳴上 悠 2022-07-06 12:59:58 |
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(彼は未だ笑い続けている。
自分が唆したくせにそんなにこの行動が面白かったのだろうか。
……もしかしてこれも遊びだった?
ふと浮かんだ疑念も『信じる』という言葉で消えてしまった。
彼の唯一の仲間、共犯者。
その言葉だけで胸が甘ったるい何かで満たされていく。
彼の言葉に暗い笑みを交えて言葉を返すくらいには)
あ、りがとうございます。
…、ッ! な、にして…
(ご褒美、と聞きなれない言葉共に抱き寄せられる身体。
抱きしめられるのかと言う予想はまた外れ、今度は首筋に落とされる口付け
普段人に触れられることのない場所への行為にまた体温上昇させ、後退りしそうになりながらも困惑の声あげて)
……やめていいの?
(目線を困惑の声をあげる彼に移し、口角を上げながら問いかけた。
体温を熱くさせた悠君を逃がさまいと、
後ろへ下がろうとするその身体をもう片方の腕で抱きしめる。
暗い笑みを浮かべていた彼の顔は、
先程のように再び赤くなり始めていて)
かわいくないね。素直に受け入れなよ。
(薄く笑いながら、耳元で小さく囁いてみせる)
(まるでさっきの巻き戻しのようだった。
もう片方も抱きしめるように回された腕からは逃げられずに楽しげな彼に目線を送る)
だって、まだそういうのじゃないですか、ら
(こういう事をするのは恋人同士で今の自分達には当てはまらない。
律儀に順序や規則を守ろうとする所を見せつつもろくな抵抗はなく。
まだ、に密かな期待が詰まっているのも無自覚で近い距離の彼に動揺見せて)
(『まだ』という言葉を聞けば、彼は今以上の関係に
なりたいと期待しているように思えた。
僕は首筋から顔を離し悠君の目の前まで近づけて)
じゃあ――今からなろうか。
こんな事に順序もルールも、なんもないんだよ。
(と言った途端に、台所の方からしゅうう、と
鍋が吹きこぼれたような音が聞こえ)
(彼がまた近付く。
彼の言葉は全て悪魔の囁きのような危うさと魅力を秘めていて。
また誘われるまま頷きそうになって)
…、っ、もう、そんな冗談ばかり言ってたら朝食無しにしますよ
(鍋が吹きこぼれそうな音が意識を現実に返す。
彼の身体を押し除けて拘束から逃げれば彼の言葉を冗談と称して文句を言い。
気持ちを落ち着けるために彼に背を向けると吹きこぼれた鍋の始末を始め)
痛っ。 ……
(鍋の音に反応した悠君に身体を押しのけられる。
後ろがすぐ壁だったのを忘れていてごん、と音が鳴った。
ぶつけた腰の辺りをさすりながら
僕は鍋の始末と朝食の支度を再開する彼の後ろ姿を見ていた。)
……冗談のつもりじゃ、ないんだけど。
(ぼそっと小さく一言吐けば、テーブルの傍に
もう一度座ってぼうっと虚空を見上げる)
(ごん、と鈍い音が聞こえた気がするが気遣う程の余裕はない。
一瞬チラ見してから調理を再開するが今の心境では彼の呟きは耳に入ることが無かった。
雑念を考えぬよう卵焼きを焼き、パックご飯を温め、キャベツを煮込むなどをテキパキとこなせば簡単ではあるが朝食は出来た。
彼の持ってきて器にそれぞれ盛り付けるとテーブルに運んでいき)
…出来ましたけど、食べますか?
(何処か虚空を見る彼に話しかけつつもテーブルには2人分の朝食が並んでいき)
(悠君が朝食を持って来るとテーブルに並べていく。
確かに簡単なものではあるが美味しそうだ。
声をかけてきた彼に僕は我に返って)
……ん、食べるよ。君がせっかく作ってくれたんだし。
いただきまーす。
(早速箸を手に取って次々と口に入れる。
どうやら消えていた空腹感が戻ってきたようで、
箸は自分でも驚くほど進んでいった。
キャベツは後のお楽しみにしようと敢えて残し、
先に主食に手をつけていく)
あともう少し経てば、君ここから都会に戻っちゃうんだっけ。
っはは、良かったねぇ?……事件が終わって、さ。
(闇に葬られたが、事件は終わったのだ。未解決という結末で。
そして、それを選んだのは目の前の彼。
普段通りに笑いながら最後の一言だけ、僕はトーンを落としてそう言った)
いただきます。
(彼が食べると言えば何処と無く嬉しそうにして自分もテーブルにつく。
表情と食べるスピードを見る限りそれなりに好評のようだ。
自分も礼儀正しく手を合わせれば箸を手に取り食事を始めた。
日常、って感じがした。)
あと二ヶ月くらいです。
…、…そうですね。警察の方もそろそろ落ち着いてくる頃じゃないんですか?
(春が来て新学期になれば自分はこの街を去る。
その時には共犯者となった彼ともお別れなのだろうかとモヤモヤした気持ちを抱えて。
そんな中でトーンの下がった彼の言葉に思わず箸が止まる。
事件は終わったのだ。真実を見ないことにしてこの手で終わらせた。
思わず目線が伏せる。吐き出しそうになる罪悪感を何とか咀嚼した卵焼きごと飲み込んで、静かに彼に合わせて嘘をついた。
その現実をあまり直視したくなくて、淡々とを努めた声色で彼の仕事に話を振って)
二ヶ月ねえ、短いような長いようなビミョーな感じ。
ま、そうだね。僕もそこそこ羽を伸ばせるっていうか。
とりあえず堂島さんに連絡を入れとかなきゃな……
……って、君を泊めてた事言うの忘れてたよ。やば。
ちょっとゴメン!
(僕と同じように卵焼きを咀嚼する悠君の顔色と
声の雰囲気から、必死に罪悪感を消し去ろうとしているのが伺えた。
けどこういう時にからかうのは止めようと思い
僕は彼の話に合わせる。
その途中、堂島さんの名前を出した事ですっかり
連絡する事を忘れていた事に気づき
僕は携帯を出すと慌てて堂島さんへ番号をかけた)
あー、もしもし堂島さ……って、いきなり怒鳴らないで下さいって!耳痛くなりますから!!
スミマセン、悠君は昨日夜中に出歩いてたんで……心配になってウチに泊めました。
え?……いやいや、僕だってちゃんと子供の面倒くらい見れるんですからね!?
いつまでもダメ刑事扱いしないで下さいよ。
今までの事件で何回ご一緒したと思ってるんですか、もー。
……あ、菜々子ちゃんが心配してました?ああ、じゃあ
丁度そばにいるんで、代わりますよ。
(そう言ってから、携帯を悠君の方へ差し出し)
菜々子ちゃんが話したいってさ。出てあげな?
…あ。
(そういえば彼の部屋に招かれたという珍しさからすっかり連絡をすることを忘れていた。
小さく声を漏らし携帯を確認すれば幾つもの不在着信。
このご時世、朝起きたら居なかったなど心配でしかない。
彼が電話をかけるのを心配するように見つめていると案の定こちらまで聞こえる怒鳴り声。
申し訳なさはあるが、彼の話す内容だけでもどんな会話なのか容易に想像がついて思わず笑ってしまった。
いつもの足立さんだ。
そう思いながらすっかり傍観者としてその様子を見つめていたが不意に携帯差し出されると一瞬キョトンとするも素直に受け取り耳に当て)
菜々子?うん、俺だ。
心配させてごめんな、今足立さんの家にお泊まりしてて。
…うん。じゃあ今日はお詫びに昼ご飯、菜々子が好きな物を作ろう。何が食べたい?
分かった。もうちょっとしたらオムライスの材料買って帰るから一緒に食べよう。じゃあ1回おじさんにも代わってくれるか?
…すみません、連絡するの忘れてました。…ええ、足立さんの家にお邪魔になってて。
(従姉妹の拗ねたようなそれでいて心配した声に、申し訳なく言葉を返す。だがお昼ご飯の約束をすれば途端嬉しそうな声に変わる可愛らしい様子に安心したような一際柔らかな笑みに自然となって通話を続けた。
そのまま堂島さんに代わって貰えば連絡しなかったことを真摯に謝罪した。彼との会話である程度怒りは冷めたのか小言程度で済んだが彼との仲について聞かれると一瞬目線を彼の方に向け)
仲良くして貰ってますよ、話も合いますし。
今一緒に朝食食べてるのでこれが終わったら買い物して帰ります。
…はい。じゃあ代わりますね
(そう告げれば彼に携帯差し出して)
(差し出された携帯を受け取り)
はい、代わりました足立です。……いや、本当スミマセン。
バタバタしてたもんで、連絡を取るタイミングがなかなか。
はい。はい……ああ、はいはい。調書の整理、明日からですか?
分かりました、それじゃあ明日、署で。……はい、大丈夫ですって。
任してください。はいー、お疲れ様です。そんじゃ切りますね。
(色々とグチグチ言われたが、『悠を頼む』と言われ
堂島さんには携帯だから見えないと思いつつも笑みを浮かべて返し、
通話を切った)
……ふう。ダメ刑事のフリは疲れるねぇ。
(頬杖をつき、片手でキャベツをつまみながらぼやく)
あ、ご飯終わったら帰っちゃうの?
(先程、菜々子ちゃんや堂島さんと通話していた時の悠君の
言葉を思い出した僕はそう言いながら彼に目線を向ける)
…、足立さんの場合半分くらい素じゃないですか?
(携帯を受け取った彼は相変わらず叔父にこき使われているようだ。
ある意味仕事上の彼を見たような気がして物珍しそうにその様子を眺めていて。
通話を切った彼は行儀悪く頬杖をつくが、それを直接指摘せずに失礼なことを告げ)
そうですね、約束したので。……嫌でした?
(彼の問いに肯定示しながらも『帰っちゃう』という言い方が何処か居てほしそうな印象を受ければ真意探ろうと問いかけ)
うるさいな。この皿のキャベツ、全部突っ込ませるよ?
……なんてね。
(一瞬ムカついて、その失礼な口を閉じさせてやろうかと思った。
しかし図星ではあるのですぐに軽く笑う。
彼はこのまま店に寄ってから帰るつもりのようだ。
僕としては、本当だったらまだ家に居てもらいたいのだが
悠君は可愛いいとこと昼を過ごしたい気持ちもあるだろう)
菜々子ちゃん寂しがらせちゃうでしょ。
それに堂島さんも心配するし。今日は帰ったら?
(此方の真意を聞いてくる彼に、僕は何の意図もなく気遣う様子を見せ)
好物くれるなんて優しいですね
(どうやら図星だったようで悪態が飛んでくるが不思議と怖くはない。
先程からからかわれてばかりだったのもあり、反撃とばかりに彼の好きな食べ物を絡めながらもわざと好意的に解釈して笑い。
彼の意見を尋ねたのに一般論で返ってくればあまり面白くもなく)
…足立さんの意見聞いたつもりだったんですけど。
まあ帰りますよ。…次、いつ来ても良いですか?
(食事しながらもこれが終われば帰ることを告げ。
本来ならばこのまま帰って終わる話。だけどまたこの部屋に来て食事を囲みたくてはこの次についてを話題にだして)
そこさぁ、好意的に取っちゃうトコ?
もう少し困った顔してよ。
(つまんねえの、と一言付けたしては
両手をやれやれと言わんばかりに振った。
悠君の顔を見るとどうやら引き止めてほしいようでもあるような、
複雑そうな表情をしている。
なんだ――僕と一緒じゃないか)
僕は休みならいつでもいいけどさ……その前に。
さっきの言い方、もしかして僕に帰らないでほしいって言ってほしかった?
(意見を聞いたつもり、だったという言葉に
僕は少しだけ口角を吊り上げさせて問いかけ)
困った顔の方が好きなんて、ホント性格悪いですよね
(自分の思い通りにならなければつまらないと投げ出す態度。
性格が悪いのは間違いないが、これがダメ刑事の面の下を自分は見れているのだと思えば機嫌は悪くない。
寧ろその誰かに影響されてかちょっとずつではあるが言い返すようにもなっていた。
次について問えば休みならいつでもという応え。
その休みがいつなのか分からない訳だが、『いつでも』に含まれた許容は何だか心地好かった。)
…足立さんがそう思ってくれてるなら。
(彼を見れば少しだけ愉快につり上がった口角。
それに図星だったと素直に返すのも何だか癪で、まどろっこしい言い方をして)
言うようになったねー、君。
まぁ、性格の悪い僕につかまっちゃったのが
いけないんだから諦めな。
(にや、と笑っては昨日同じ部屋で似たような事を言っていた
悠君の言葉を真似て一言。
僕の問いに素直に答えなかった彼の発言に、
今度は僕が試されているのかと思った。
――やはり生意気だ。)
……、ちょっとはね?
(悠君の顔を見ず、目線を逸らしてぼそりと答える。
僕だって素直にものを言うのはハッキリ言って嫌いだった)
(/突然の背後出し失礼します。私事で予定が詰まりはじめ
掲示板を見る余裕がなくなりましたので、申し訳ありませんが失踪します。
無言失踪は非常に悪いと思ったため、予め連絡しました。
今までありがとうございました。主様に良い縁が再び訪れることを願っております〆)
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