匿名さん 2022-07-01 23:15:18 |
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…さっきノート運ぶの手伝ってもらったからお返しはいらないよ。──向坂くんって優しいね。( 姿勢を戻し少し俯き加減でオレンジを見つめては返答をし。一口でオレンジを頬張れば飲み込み、ノートを運ぶのを手伝ってくれた事やお礼の事など彼の言動が心に刺さり小さな声で呟けばお弁当の蓋を開けて )
そんなことないよ。月岡さんの前だから格好つけてるだけ。( 焼きそばパンと同時に、彼女からの言葉を咀嚼する。いつもの味がいつもより美味しく感じるのは、きっとその褒め言葉のせいだ。最後の一口をじっくりと味わってから飲み込めば、少し眉を下げ、悪戯がばれた子どもみたいにはにかんで見せる。ノート運びを手伝ったのも、彼女のことを何かと気遣うのも、全く下心が無いかと聞かれればそうではなく )今のだって、半分はただ月岡さんの好きなもの知りたくて聞いたし。
( お弁当のおかずを食べていれば相手からまた思いがけない言葉を聞き箸を止め、不意にはにかむ彼を見つめれば再び心臓の鼓動が鳴り自分の身に起きたこの感情は何なのか分からずにいるも直ぐに視線だけ反らせば言葉を紡ぎ )でも皆言ってる、向坂くんは優しいって。…好きなもの…知っても得しないよ?
だったら、月岡さんこそ優しいよ。オレンジ見るたびに月岡さんのこと思い出しそう。( 褒められてばかりでは居心地が悪く、横に置いたデザートケースを見遣りながら彼女の心遣いに思いを馳せる。こんな彼女を一体クラスメイトの何人が知っているのだろうと頭の端に浮かんだ優越感に気がつくと、遠慮がちな返答に「しなくてもいいよ」と笑って )
ありがとう…逆に私を見たら顔がオレンジに見えるかな?それなら…教えない。私は向坂くんに得してほしいから…。( 食べてもらえただけで無く彼の言葉を聞き少し嬉しそうに目尻を和らげては冗談っぽく述べて。得をしなくてもいいと笑う相手に自分は笑えず、こんな好い人に損させる訳にはいかないと顔を背けたまま再びお弁当を食べて )
……え。……ええー……、難しいな、月岡さん。( 思いがけない彼女の冗談に小さく吹き出して笑っていると、更に思いがけない彼女の返答に目を丸くする。この手の質問で回答を断られた経験は初めてで、しかも断られた理由も今までに聞いたことがない。弱ったような苦笑を浮かべつつ天井の方へ視線を上げると、自分が〝得する質問〟を暫し考えて )んー……じゃあ、好きな人いる?
…好きな人はいないよ。( オレンジの顔の私は相手にどう写るのだろう、なんて考えながらお弁当を食べていると"好きな人"の言葉を耳にし再び箸を止めて。恋愛に関しては経験が全く無く、ましてやその手の質問もされるのは初めてに近く考えても仕方ないと思い即答し。しかし何故そんな事を聞くのか疑問を抱き )…いないけど、どうして聞くの?恋愛相談とかなら私には無理だよ。
そっか。( 彼女の返答にほっとするのと同時に、これには答えてくれるのか、と実験中の科学者のように冷静に考える。きっと彼女の中で何か基準があるのだろうけれど、今の自分に推し量れるはずもない。今はこの会話を楽しみつつ、彼女への理解を深めようと割り切れば、質問に正直に答えて )俺が得する質問なら答えてくれるのかなって思って。
今のが向坂くんの得する質問…?好きな人がいるなんて聞かれたの初めてだったから…ちょっと驚いた。…恋愛話とか好きだったりするの?( 相手の返答に頭の中で疑問だった事が更に疑問になり小首を傾げながらも少し動揺して。この手の話は女子となら解るが男子と話した事が無く素直に思った事を聞いて )
好きでも嫌いでもない、って感じ。( 友人と恋愛関連の話をする時のことを思い返す。彼らの話を聞くのも、自分の話をするのも楽しいけれど、彼らほどにははしゃげない自分がいることも自覚していて。『結月は気になる人とかいないの?』友人の声が頭の中にこだまする )でも、月岡さんの恋愛話には興味あるよ。
私の恋愛話に?…私は今まで恋愛した事が無いから話す内容なんてないよ。向坂くんの方が好かれそうだし…告白とかされた事があるんじゃないかな。( これまでの日々を思い返しても恋愛など遠い世界で、少し自信の無い感じで俯いては容姿端麗な彼の方が自分より豊富な感じがし )
たぶん、月岡さんが思ってるほどはないよ。( 告白されたことが無いと嘘をつくわけにもいかないが、あまり多く見積もられて敬遠されるのも避けたい、という計算のもと、当たり障りのない返答を返す。俯き加減になってしまった彼女に、この話題はあまり触れない方が良いかと思い直せば、いつの間にか空にしたデザートケースを屈託のない笑顔で差し出して )これ、ありがとう。美味しかった。
そう…なんだ。自慢できる話があれば良かったんだけど…。( 彼がどんな人生を送ってきたかなんて自分は到底わからず、ただ信じては頷き。デザートケースが視界に入れば顔を上げ再び見る相手の笑顔が直視出来ず視線を反らしケースを受け取り会話を続けようと )よかった…もうすぐお昼休み終わっちゃうね。次の授業ってなんだっけ…。
すみません、自慢できる話があれば良かったと言うのは自分の事ですので!勘違いされてしまうかもと感じレスをした次第です。こちらは蹴りで大丈夫ですので。下げレス失礼しました。
いつか自慢できる話ができたら聞かせて。( 話題に沿う話を探してくれる彼女の律儀さにふっと笑みを洩らすと、これからの付き合いを思わせる一言を返し。スマートフォンで時刻を確認すると、この時間が終わることを名残惜しく思う暇もなく慌ただしく立ち上がって )選択授業じゃなかったっけ? ……あっ、移動しないと。月岡さんは選択授業、音楽? 美術?
向坂くんも…また話せる機会があったら教えてね。…そうだった、私は美術だよ。向坂くんは?( 自分の話が出来るのはいつか分からないのに、また聞いてくれる彼の優しさに微笑みその日が近くなるように参考にしようと。相手の言葉に次の授業を思い出し、お弁当とデザートケースを鞄に入れながら顔を上げ訊ねて )
うん。お昼一緒に食べよう、また。( 素直な気持ちを贈れば同じだけの気持ちが返ってくることに頬を緩ませながら、気負わない調子で次の誘いを。返答を聞いて腑に落ちたような顔をすれば、未だ座ったままの彼女へと手を差し出して )どうりで選択授業で見ないと思った。俺は音楽だよ。──行こ。
また一緒に?…うん。別々なんだね。音楽の授業…どんな感じなのかまた聞かせてね。──あの…自分で立てます。( 初めて一緒に食べたお昼はどんな印象を与えたのだろうと考えるも彼の表情を見ては今はその言葉に甘えようと頷き。立ち上がろうとすれば手を差し出され驚き顔と手を交互に見つめ、異性の手など握った事も無く戸惑いを隠せず敬語になり )
( 頷いてくれる彼女に、この昼休みで縮まった距離を実感して破顔する。次はどんな話をしようかと早くも頭の中で楽しい想像を繰り広げる中、戸惑った声が耳に届くと空想の世界は完全に閉じ。一瞬きょとんとした後、恥じらうようにほんのりと顔を赤くすると、何も考えずに差し出してしまっていた手のひらを引っ込めようと腕を動かして )ああそっか……
( 頬を染める彼に思わず目を凝らし、きっと普通の女の子なら手を取り立ち上がっただろうと考え相手の行為に泥を塗ってしまったと思い、手では無く控えめにズボンを掴み少し震えながら素直に思った事を述べようと )ごめんね…初めてだったからビックリしちゃって。男の子の手とか握った事も無いし…ましてこんな面と向かってお話したの初めてだったから…上手く出来てたかな?
いや、こっちこそごめん。( 申し訳なさそうな顔をさせてしまったことに罪悪感を感じると、こちらも謝罪を口にし。頭の片隅で廊下の曲がり角でぶつかった時のことをぼんやり思い返すと、その場に屈み、目線を合わせては安心させるように微笑んで )上手い下手はよく分かんないけど、俺は月岡さんと話せて嬉しかったし、楽しかった。
( 謝罪する相手に首を振り否定し、しゃがんだのと同時に手を離せば不意に目線が合い優しく微笑む姿に目頭が熱くなり、昼休みと言う短い時間で彼の優しさをたくさん知り今度は此方が立ち上がり微笑み返し )向坂くん…やっぱり優しいよ。私もお話が出来て嬉しかった、ありがとう。教室行こう?
背後より失礼します。この後の展開をご相談させて頂きたく、考えたシチュエーションなのですが。下駄箱で会い帰り道を一緒に帰る。町で偶然会い一緒に買い物へ行くもしくは約束をして買い物へ行く。いずれ結月くんのお弁当箱を一緒に買いに行けたらな、と思いました!もし、こんなシチュエーションをやりたいとかありましたら仰って下さいね。
そうだった、急がないと。( 彼女の微笑む顔を目にすると心の中が温かくなるのを感じ。意識して持ち上げなくとも自然と弧を描く口元をそのままに、すくと立ち上がると長い階段を下りて次の教室へと急いで )
一旦〆とさせていただきました。素敵なシチュエーションのご提案ありがとうございます。まだ休日に一緒に出掛けるような間柄にはなれていないかと思いますので、次は優菜ちゃんと帰り道をご一緒させていただけると幸いです! いずれ、お弁当箱を選びに行ける日を楽しみにしておりますね。
( 帰りのHRが終わり席でノートなど鞄に入れていると友達と話している彼の姿が視界に入り、振り返れば一緒にお昼を食べた事が未だに信じられずデザートケースを手に取り見つめて。気持ちが落ち着かないまま帰宅しようと席を立てば教室を出て廊下を歩き )
〆て頂きありがとうございます。放課後へ場面転換しました。此方こそ結月くんと一緒に帰れるなんてドキドキと初々しさが全開しそうです。少しずつ距離を縮めていけたらなと思います。また何かありましたら仰って下さい。此方は蹴りで大丈夫です。
おー、部活頑張って。じゃあまた明日。( 放課後、教室に居残って友人と談笑していれば、あっという間に部活動が始まる時間になり。一緒に昇降口まで下り、手短に挨拶を済ませて部活へと向かう彼らに挨拶を返すと、下駄箱に今日一緒にお昼を食べた彼女を見つけて声を掛け )月岡さんも今帰り?
( 下駄箱にて靴へ履き替えようとすれば声が聞こえ、その方へ顔を向ければ今頭の中で考えていた人が目の前に現れ思わず手を止めて驚き。しかし今日2回目の会話と言う事もあり少し落ち着きを戻し )うん…今から帰るところ。向坂くんは?
俺も。( 上履きを脱ぎ、ローファーと取り替えながら人好きのする笑顔浮かべて。落ち着きがなく見えない程度に急いで靴を履き替えたのはある企みのためであり、すぐに歩き出せる状態になると早速切り出して )良かったら一緒に帰らない?
( 帰宅が同じ今日は彼と会話する事が多いなと思いつつ再び靴へと履き替えようとすればまさかのお誘いがあり、上履きを落とし明らかに動揺してしまい。相手の笑みを数秒間見つめては頭の中で言葉をリピートし、もしや自分の聞き間違いかと思えば )今…一緒に帰るって…向坂くんが私と?
( 彼女の手から落ちる上履きをつい目で追い、もう一度視線を上げた先には驚き顔。これ以上踏み込んで良いものかと一瞬躊躇うも、嫌がられたら大人しく引き下がろうと心に決めながらもう一押しして )え、……うん。帰ろうよ、一緒に。
……あっ、うん。( 彼の言葉をもう一度聞けば間違いでは無かった事を認識し頷き、慌てて落ちた上履きを拾い上げ靴へと履き替えては少し遠慮がちに隣に並び )帰りも一緒にって言われるなんて思ってなかったから…向坂くん家は駅の方?
月岡さんのこと気になるって言ったじゃん。( 彼女が靴を履き替えるのを待って、歩き出す。自然な会話の流れで再度自身の淡い好意を滲ませれば、目的地を確認するために校門の辺りで一度立ち止まり )そうだよ、徒歩圏内だから電車には乗らないけど。月岡さんは?
気になるって…私って何か珍しい?周りの子と比べると地味だし…。( 同じく歩幅を揃え歩き出し彼の言う気になると言うのは果たして意識して良いものなのか探るような言い方をし。門の所で止まれば同じく駅の方を指差して )私も駅の方だよ。家は駅の近く。もしかしたら向坂くんと家が近いかもね。
珍しいっていうか……つい気になっちゃうって感じ。今何考えてるのかな、とか、俺のことどう思ってるのかな、とか。( 視線を空の方に向ければ、自分の心中に合致する言葉を探すも結局あまり差異のない言葉選びになり。補足のために具体例を挙げる最中に彼女の方へと視線を戻せば、まるで具体例の文言をそのまま問い掛けているかのように数秒目を合わせて。帰る方向が同じだと分かれば表情を緩め、彼女の指差した方へと再び歩き出し )そうかもしれない。もしそうだったら、家まで送るよ。
( 相手の視線を追えば同じく空へと向け自分なりの返答を探していれば目が合い暫くその瞳に吸い寄せられ彼の言葉の意味を理解しようと慎重に訊ねて。一緒に歩けば隣に異性が居る事、自分が隣に居ていいのかと意識してしまい少し俯き )そんなに考えてくれてるんだね…その答えって今言った方がいい…?途中迄でいいよ…こんな私の家まで時間割いてもらったら悪いから。
今聞いても気を遣わせちゃいそうだから、いいよ。( 見つめ合ったまま答えを焦らすようにほんの僅かな無言の時間を設け、ふっと息を洩らすと元の笑みに戻って。気になる彼女と並んで歩く最中、自身も少し前の地面に視線落とせば相手だけに聞こえる声で )……俺が、月岡さんとちょっとでも長く話してたいんだよ。
嘘…ついてるように見えたかな。私は向坂くんの事…本当に素敵な人だって感じたよ。( 相手が息を洩らした時、過去を振り返り何か引くような事をしてしまったのかと考え再び誤解を招かないように本音混じりに述べて。俯いていれば耳許から彼の声が聞こえピタリと歩みを止めて )……それなら、ゆっくり歩きますか?
じゃあ、この先があると思っててもいい?( 微かに目見開くと、表情は穏やかながらも真剣さを灯した瞳で問い掛け。彼女が足を止めたことに気がつくと自身も足を止めて振り返り、驚きを滲ませながらも素直に頷けば、一歩一歩を踏みしめるようにゆっくりと歩き出して )……うん。
この先…どうなるかわからないけど、私は向坂くんの事をもっと知りたいって思ったし私の事も知って欲しいと思った。( その表情はとても真剣で彼の言葉の意味に重さを感じ自分なりに応えて。止まって見つめていれば頷きゆっくりと歩き出す相手に歩幅を合わせるように自分も歩み出し然り気無く話題を振り )……今日の選択授業どうだった?
……俺も同じ気持ち。色んな話、たくさんしよう。( 予想していたより何倍も好意的な色良い返答に、綻ぶような安堵の笑みを浮かべ。わざと歩みを遅らせる可笑しさと彼女からの提案のおかげで自然と口角を上げていれば、上機嫌なまま振られた話題について語り出し )今日はいくつか曲聴いて感想書くだけだったよ。月岡さん、「G線上のアリア」ってどんな曲かわかる?
うん、もしかしたら3年間じゃ足りないかもね。( 彼と同じ気持ちと今日一番の笑顔を見た気がし茶目っ気な返答をすれば此方も自然と口角を上げ微笑み。ゆっくり、ゆっくりと歩みを意識すれば振られた話題に空を見上げ考え )色んな音楽が知れて楽しそうだね。……知ってるよ、よくバレエとかで使われる曲だよね?
足りなかったら卒業後も話そう。( 軽口を言い合うような和やかな雰囲気を感じ取れば、それに乗せて願望を口にし。この時間が続くようにと願うあまり、意識せずとも歩調が緩む中、ちらりと彼女の横顔を盗み見ながら )すごい、物知りだ。俺は曲名と曲を別々にしか知らなくて、今日初めてあの曲が「G線上のアリア」なんだって知ったよ。
そうだね…向坂くんは夢とかある?( 穏やかな時間が続けばいいなと思いながらも現実的且つ自分が興味のある質問をし。相手の言葉に何回か頷き彼の顔の方へ顔を向ければ瞳が合い少し間が出来るも優しい眼差しで見つめ話を続けて )私も最初はそうだったよ。曲を知ってから曲名を知って……クラシックって意外と知らない曲名ばかりかも。
夢…とはちょっと違うけど、うち家が和菓子屋だから、それ継ぐかな。( 悩む素振りもなく、幼い頃からぼんやりと想像していた将来像を口に出し。目が合って、彼女の優しく微笑む表情に一瞬見惚れるように言葉を失うも、すぐに我に返って )だよね。聴いたことあるけど曲名知らないとか、その逆とか。……美術は今日どうだった?
家が和菓子屋なんだね…凄い…向坂くんの作った和菓子を私も食べたい。( 初めて聞く内容に目を見開き、彼の事を知った第一歩と同時に未来を想像しては珍しく力説し。相手の表情が少し変わったような気がし暫く不思議そうに見つめるも今日の出来事を話そうと )うん、本当にそんな感じ。…今日は外に出て風景を書いたよ。空にも色んな色があってね、私には難しい。
…あ、そうだ。今日時間あったらうち寄ってってよ。( 彼女の言葉で思い出したかのように眉上げると、邪悪さは無いものの何かを企むように口元に弧を描き。何気なしに空を見上げれば、発言の意図を理解しようとじっと目を凝らして )…空?
向坂くんの家に?えっとね…予定は無いから行けるよ。( 彼の誘いと表情を見つめると突然の事に少し間を起き予定など無いのに頭の中で考えてしまい、そのせいか慌てて応えて。空を見る相手を見ては同じく空の方へ視線を向け指を差しながら )うん…空って青だけじゃ無くて雲だったり今は夕焼けだったり夜は星と月があって…色々あるんだ。
うん。…あ、他にも寄ってくところあったら言って。どこでも付き合うから。( 返答を聞けば、嬉しそうににっこりと表情緩め。そのままの調子で続ければ、瞳を覗き込むように見ながら尋ね。彼女の語る言葉に空に向ける瞳を大きくすると、感心したような声を漏らして )そっか、虹が架かったり曇り空だったり雪が降ったり…確かに色々だ。…月岡さんはどんな空が好き?
…今日は特に用事は無いから大丈夫。( 瞳が合い笑顔をと思うも行くと言ったその瞬間から緊張が走っていた為か少し表情が強張り。彼の質問に深く考えどの空が好きか少し黙った後に )──私は…星と月が好きだから晴れた夜かな。特に冬の夜は空気が澄んでて夜空が綺麗に見えるから好き。向坂くんは?
分かった。じゃあ真っ直ぐ俺の家に行こう。…あ。( 思いつきを実行しようと逸る気持ちから歩調が少し速まり、それに気がつくとぴたりと一度立ち止まってから元の速度へと戻して。よく晴れた濃紺の夜空と輝く星々を青空に描くと、無邪気な子どものように自然と口元が緩み )──冬になったら見てみようかな…。…俺、は、朝方の晴れた空と、教室の中から見る夏の空、かな。何となく。
あっ…うん。……ごめんね、普通に歩いた方が良かったかな?( 隣に居るはずの彼が前へ前へと歩き出したのに気付けば視線を斜め先の相手の方へ向け歩幅を合わせようと少し足早になるも立ち止まってくれた相手の隣に再び並び歩き出しては訊ねて。相手の指先を見つめ、描くものを想像しては此方も自然と笑みを浮かべて )きっと綺麗だよ…でも寒いから暖かくして見てね。向坂くんの好きな空…私も見てみる。同じクラスだから向坂くんが窓を見てたらこの時なんだなって思うかな。
ううん、このままがいい。…って言っても、もう着いちゃうんだけど。( 気遣わしげに尋ねる彼女に、ゆるりと軽くかぶりを振って答え。しかし、先の方に慣れ親しんだ看板を見つければ僅かに眉下げて。ようやく視線を空から地上へと戻せば、その時を夢想しながら ) その時は月岡さんのところまで教えに行くよ。…授業中だったら、合図送る。
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