狐の面 2022-06-16 12:41:30 |
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ありがとうございます…。
とっておきの場所………行きます
(邪魔にはならない、ここが家だと言われれば、これまでかけられた事の無い言葉に困惑も混じるがそれでも自分を必要としてくれていると感じられてどこか胸がほんわりとするようなそんな感覚になる。今の現段階では御言様は悪い狐では無いし自分の欲しい言葉を投げかけてくれる少しだけ心が休まる気持ちになるが、油断は禁物。明日から行われる躾はきっと厳しいものだと想像は容易い、自分に耐えられるだろうか不安だし、ここで御言様に気を許して泣いたり口調を崩せばそれはいつか使用人の人達に伝わるかもしれない、それを考えれば気を許すのはまだまだ先だと思って。とっておきの場所と聞けば、この庭だけでも十分綺麗だと思うが、この庭を見慣れているだろう御言様の言うとっておきなのだ、きっと凄く綺麗な光景が見れるのだろうと思うと自然と目が輝き、行ってみたいと素直に思う。せっかくの好意だし見てみたいと言う自分のちょっとしたこれくらいの我儘なら咎められないだろう、行くと即答すると自分も近くにあった自分用の小さな草履を履いて御言様に近づき)
(/ 1度上げさせて頂きますね。通信障害のせいで返せない、中の人が多忙など事情はあるかと思われますのでこちらは気長にお待ちしております。もし私の文面で至らぬ部分があり、相性が悪いと思われたのなら遠慮なく仰って下さいね。)
(/ 埋もれてしまったので1度上げさせて頂きますね。暑い日が続けていて体調を崩しやすい日々が続いておりますね。本体様の事情はあると思いますのでこちらは気長にお待ちしております。
もし、相性が合わないと思っておられましたら、言いにくいかと思いますが一言仰って下さればと思います。)
(/ 埋もれてしまったので再度上げさせて頂きますね。これ以上の上げはご負担になるかもと思い今回の上げで、こちらからの上げは最後にさせて頂きますが、こちらはいつまでもお待ちしておりますので、リアルが落ち着いてまたやり取りしたいと思って下さった時はまたお返事を頂けたら幸いです。)
( / 大変遅くなって申し訳ないです…。
背後の事情により全く手をつけられず…。何回も上げてくださっていたようで大変感謝致します。
若し、もしもまだ此方のトピックに顔を出せれているようでしたらお返事頂きたく、しばらく待ちましてないようでしたら勝手ながら閉鎖いたします。 )
(/ お帰りなさいませ!そしてお久しぶりです。
セイチャを開いたら更新がありとても驚いたのと同時に大変嬉しく思います。
こちらとしては幼少期時代しかしておらず、御言様との距離感もまだまだ遠く名前だけの夫婦の状態でしたので、本体様さえ良ければ続けて下さると嬉しいです!
ただ、菖蒲を動かすのは久しぶりなのでちょっとキャラ崩壊や言動が以前と少し異なる可能性も出てきますが、それでも宜しければ是非ともまた御相手下さればと思います。
最近は寒暖差が激しくなり体調を崩しがちな日々が続いておりますね。本体様が体調を崩されないようにリアル優先で返せる時に返してくださればと思います。どうかご自愛くださいませ。)
草履は慣れないだろう。すまんな、この邸はどうも古臭い仕来りやら昔のものに拘る気がある…後でサンダルを贈ろう。嗚呼それから服も、和服には拘る必要はないよ、普通に現代の服を着ると良いそれから──とと、あまり話をしても疲れてしまうね、さて行くとしよう。
(相手が疲れているのは安易に想像できたし無闇に誘うのも如何なものかとも思ったがもしも無理をしているならばまた後日にでもと考えていたが何処か楽しそうな色を見せた相手の反応には少しばかり驚いたものの嬉しさは隠しきれず思わず尾が揺れる。適当にあったサンダルへ足を通し、相手の準備が終わるのを待っていれば手近にあった草履へ足を通すのを見てはてとひとつ。昔と違い現代の今となってはこの邸内では変に目立ちもしないが草履等些かそういうのに拘る気質の人間ばかりで今の時代に合わないものばかりで揺らした扇子を閉じては口元に当てつつ緩やかに小首を傾げながら相手の足元を見下ろし言葉を紡いでいくがはた、と我に返ると話しすぎたかと扇子を袖の奥にしまいこんでは反省と。ひとつ咳払いをしては近寄ってきた相手の頭をひと撫でしてやれば慣れないものでは大変かと相手の身体を片手で抱きかかえては右腕に軽々と乗せ)
お前が望めば携帯も持てる…スマホと言ったか。学校へも行けるが基本は家庭教師が付く──堅苦しい毎日が明日からあるだろうが、息抜きは何時でもして良いんだ。それを忘れてはならないよ。
(正面の庭を抜けて、正門を軽々と地面を蹴り上げて飛び越えるとどこまでも続く竹林、その中を迷いなく進んで行けば少しして見えたのは狭いながらも開けた場所。月明かりに照らされた小さな池、可愛らしい小ぢんまりとした滝、池の周りにある色とりどりの花々。相手を池の近くで降ろしてやると近くにあった岩に腰掛けて『綺麗だろう?私のとっておきの場所なんだ』と付け加えて)
( / ありがたいお言葉…嬉しい限りです。此方も久方ぶりですので駄文が多くあるかと思われますが少しずつお返ししていけたらなと思いますので、よろしくお願い致します。 )
いえ、何事も慣れと聞きますから練習になって大丈夫です。
………洋服も普通の靴も良いのですか?
わっ……え、えっと…自分で歩けますよ…?
(確かに草履も寝間着用にと用意された服も和の装いしかなく、教育の一環として引き取られて直ぐに自分で着れるようにと着物やそれに類する服の着方の教育があったのとこの家の雰囲気や造り、そしてこの屋敷にてお勤めをしている人達は和服のみだったので、てっきり和服のみしか駄目だと思って居たので御言様の言葉には驚きが隠せず、和服も和服でいい物が有りはするが着慣れた洋服に靴もそこまで拘らなくても良いと聞けば、やはり着慣れた物というのは動きやすい等好印象になりやすいもの。驚きの中にもほんの少しだけ期待と嬉しさが瞳に出てその色を覗かせ。そして歩こうとしていればフワリとした浮遊感と共に少しすれば御言様に抱き上げられていると理解すれば、いくら名目上の嫁とはいえ不敬なのではと思って自分で歩けると言うが、身長差もあってか自分の1歩よりも大きな1歩でスイスイ歩く御言様とほぼ同じような身長になったのもあり、普段とは違う景色の見え方に口ではそんな事を言いながらも少しだけ楽しく感じている自分もいて)
スマホまで……明日から始める勉強は自分の為になるので、頑張ります。
……たまに……本当にたまにだけ、息抜きにここに来ても良いですか?とても綺麗で心が洗われるような感覚すらして……とてもいい場所だと思ったので…。
(明日から始まる勉強の中には学校で習うような読み書きや算数、その他の教科にプラスして御言様の嫁として相応しい振る舞いをと言ってきっと厳しい教養の勉強時間もあるだろう。読み書きなんかは本が好きだったのもあり他の子供よりも多く読めて多く書ける自信はあるが、他の教科は分からないし、何より憂鬱なのがほぼ確実にあるであろう教養の勉強時間である。着付けの時でも厳しいと感じたのだ。嫁となった今、着付けの時以上にその指導方針や指導の仕方は厳しいものだろうし毎日のようにあるだろうとも思う。本来なら歯を食いしばって耐えて耐えて耐える日々でそれらを習得するべきなのだろうが、連れてこられた場所を見れば月明かりに反射する綺麗な水に池の周りを彩る花々、小さくても滝と言える水の音にその水の落下した時に跳ねた水が池周りの花々にかかり、その水が月の光に反射するので花々が輝いて見える程その景色は幻想的でしばらく見とれてしまえば、毎日続くであろうそれらに耐えられなくなったら息抜きに来てもいいかと、言うつもりのなかった言葉がポロリと口から零れ出れば、ハッと我に返りこんな事を言うつもりは無かった、御言様の機嫌を損なわせるのではと思い弁明しようと御言様へと視線を移して)
──────────
(/ いえいえ!こうして帰ってきて下さっただけでも感謝ものですので!
リアル優先で返せる時で大丈夫ですのでまた物語を紡げたらと思います。
改めてよろしくお願い致します!)
──お前は“望むもの”を与えられる立場だ。我儘を言うくらい、誰も咎めやしない。若し、そんな輩が居るなら私に言いなさい……喰ってやるからね。
(驚いている様子の相手もどこか、嬉しそうな色を見逃さなくては少し心踊り尾が左右に揺れる。まだまだ慣れには遠いし、今までと異なる環境下に放り込まれて直ぐに慣れろと言うのも無理は話。今までは教養のあった無駄に“好い自分”を見せようとする者ばかりでその馬鹿馬鹿しさにうんざりとさせられたこともあったなと少し影を重ねてしまうが、相手はそれとは違う。背伸びはしているものの、きっとそれはそういう境遇で育った為だろうかその“殻”に閉じ篭もる事で身を守るのは今までも何人も見てきたが、今までのそれとは違う。僅かに目元を細めては下ろした相手を横目で見遣りつつクツリと喉を鳴らして小さな笑みを浮かべ。息抜きに来たいと言う相手、ハッと我に返る様子から失礼な事を言ったのだと思っているのかやれやれと吐息を吐き出しては小さな頭を優しく撫でてやり上記述べ、少しだけ間を開けては黄金色に眼を染め冷たい表情になると鋭い犬歯を覗かせるもふといつもの表情に戻れば月を見上げもう遅いかと内心思うと、再び相手を抱き上げてふわりと風が少し舞うといつの間にか邸の敷地内に戻っており、相手の部屋のある縁側の前で相手を下ろしてやり)
遅くまで付き合わせてすまなかったな、もう寝なさい。よく食べ、よく寝て──“ここ”がお前の家だ、胸を張っていなさい。
(はらりと頭の上にいつの間にか付いてしまっていた笹の葉を細い指先で摘んで取ってやると、身を僅かに屈めて目線を合わせると目元に弧を描いて笑みを浮かべて最後に頭を撫でては『おやすみ』と付け加えて緩く手をひらりと靡かせてはサンダルを脱ぎ捨てて再び素足のまま庭を後にしてはその場を後にして)
そうなんですか……?
じゃあ、そんな人が出ないように頑張ります。
(自分は望むものを与えられる側であり、望むものを取り上げられる側では無いと聞けばこれまでの教育方針からしてもそう言った我儘や物を望む、どこかに行きたいと強請るといったものは一切なく御言様の為に嫁として相応しい立ち振る舞いを学び、勉学を学んで御言様を楽しませ嫁として扱われる物だと思っていたので真逆の言葉を御言様の口から出てくれば、一瞬キョトンとした顔を見せるとまだどこか実感がわかないのか、疑問形で首を傾げ困惑顔でそういうものなのかと問いかけては、その言葉が本当に出来るのだろうかと少しの不安を胸に抱くも頭の片隅には覚えておこうとほぼ無理やりに自分が中に落とし込んで。そしてユラユラと揺れる尻尾に目を取られ、モフモフできっと触り心地の良さそうなその尻尾の動きに目で追っていれば、不意に頭を撫でられた事で御言様の目と見つめ合うことになり、どこか月の色を思わせるような、秋になって風に揺れる稲穂のような神秘的で人ならざるものと思うには十分な妖艶な色さえ見える黄金色の瞳を見ると、自分に対して不敬を働いた者は喰ってやるの言葉に自分の事を思っての言葉に、思わずその様子を想像してしまうと凄惨の一言でしかない光景が頭の中に浮かぶとそんな人が出てこない事を祈ると口を開いて)
ありがとうございました。
おやすみなさい。
(一陣の風がフワリと自分と御言様の周りを囲うように吹き荒れると思わず目を瞑れば、風が収まるとそれなりの距離を歩いたと思うのだがあっという間に屋敷へと到着しており、やはり人では無いのだなと再認識していれば頭に乗っていた笹の葉をそっと取り、自分の部屋近くの縁側へと降ろされて頭を撫でられれば、去っていく御言様の背中に上記を言って頭を下げた後、自室へと入ると撫でられた頭の温もりや感触を思い出すように自分の頭を触れると「あんな風に頭を撫でられたの今日が初めてかも」と呟くと、頭を撫でられるのはいいものだなと思いながら時間も遅い為、寝てしまおうと布団に横になると今度はすんなりと眠りにつく事が出来て)
(夜の海に浮かぶ満月は幻想的で、人々が寝静まるこの時間帯は厭な話も好奇の目もないまるで自分独りだけのように思えてしまうのがとても好きだった。以前の嫁を亡くして長い年月が過ぎたが、このまま嫁なんぞ貰わずにひとりでも良いとさえ感じていたのに今日邸にやってきた震える幼子、畏怖と恐怖と興味を交えた瞳の色のなんと美しきことか。やけに良い耳には使用人のもあの幼子の寝息さえ聴こえてきてしまうが今は何故かそれが心地好いと感じるのだから不思議なものだと思えてしまう。自室へ戻り、開け放たれた窓から中庭を眺め暫くの間物思いに耽っていると徐々に白み始めた空と共に使用人達が早々支度や朝食の準備に取り掛かる音が聞こえてくる。今日も、今日とて大きな籠からは逃げられはしないが新しく転がってきた小石、誘われるように迷い込んだ蝶のようなあの幼子の存在はきっと大きな変化をもたらしてくれるだろうと思うと口元に弧を描く。そうこうしているうちに、襖の向こうから声が掛かればやれやれと窓を閉めて入室の許可を出し)
──嗚呼、柊に伝えておくれ…あの幼子に靴を買え与えてやってくれと。そうだな…庭を散策するのに歩きやすいサンダルを買えと。一等美しいものをな。
(使用人に挟まれながら邸の奥、御簾で囲まれた大きな部屋は清めの場。真ん中辺りに檜の大きな湯船があるそこは常に湿気で覆われていて湯気が立ち篭る。禊用の白い和服へ着替えるとそのまま湯船へと浸かり、縁に頭を乗せては外へと長い髪を垂らしそれを使用人が何人かで櫛を使い梳いているのを少しばかり心地好さそうに笑みを浮かべていれば近くで控えていた別の者へと声を掛けて。ひとつ返事で別の使用人へ伝達をしてはそろそろ上がる時間かと湯船からあがると体を拭いていき。長い髪は緩く肩口で1本の三つ編みにすると、肩から前に掛け並べられた和服から適当に選んで紺色のそれに袖を通すと帯を緩く締め、相変わらず着崩したそれに小言が飛んでくるがそれを耳を伏せて聞こえないふりをしては食堂へと案内を。無駄に広いのに真ん中辺りにあるテーブル、今まではひとりであったが今日からは嫁となったあの幼子と食べることになる。朝からにしては無駄に豪勢で二人にしては多いが並べられたそれらを見つつ座布団に腰を下ろすとまだ相手は来ていないので、近くの肘置きを引き寄せては肘を置いて寝転び片手を差し出すと控えていた使用人から煙管を渡されてそれを吸うと天へ紫煙を燻せ相手が来るのを待ち)
すみません、遅くなりました。
お料理冷めてませんか?御言様も待たせてしまってすみません。
(御言様が食堂へと着いて煙管を吹かせながら待つこと少しの時間が経ってから、昨日寝る時間が遅かったのもあり世話役になった柊さんに朝ですと起こされるまで爆睡し深い眠りに入っていたのもあり、本来ならほぼ同時か自分が先に入って待っているべきタイミングで寝過ごし、起こされてようやく目が覚めてそこから髪を梳いたり着物を着付けて貰ったりと身支度を手早く、御言様をなるべく待たせない為に柊さんが支度をして。初めてご飯を共にすると言う大切な時に寝坊してしまった自分を責めつつも見苦しくない程度に柊さんに案内されて食堂へと辿り着き、柊さんが一声かけた後障子を開けられると遅れた事をまず詫びて頭を下げればこれ以上待たせるのも申し訳ないので、見た事ないほど広くそして広さゆえか調度品なんかがあって華やかな食堂の筈なのに、どこかこの広さをこれまで1人で使うなんて寂しさが募りそうだと思いながら用意されていた座布団へと足を進めて座布団にちょこんと正座をして座り。今日の装いは昨日とは違い和服ではあるものの、紫色の瞳がより引き立ちどこか紫陽花のような印象を受けられるような装いをという事で薄水色の着物に帯は薄い赤紫色のものと涼しげで着物と帯の色が薄いが故に目の色の紫色がより鮮明な色に見えるような服装で、髪は丁寧に櫛で梳かれたからか昨日よりはどこか艶があるように見え。座布団へと座れば自分達が食べる食べ物へと視線を落としてどんな食べ物なんだろうとちょっとした好奇心や興味が隠しきれずチラッと並べられた朝ごはんを見て)
(縁側の方の開け放たれた襖、その向こうに広がる庭の情景に目元を細めつつ何度目か紫煙を燻らせた所で先に来た使用人にそろそろ到着するとの旨を伝えられては垂れていた耳が思わずピンッと上がる。嬉しそうに揺れる尾はさておき起き上がれば煙管を渡して下げさせ、丁寧な動作で開いた襖の向こうで佇む相手の姿に目元を細めて。淡い色合いの着物、梳いた黒髪は艶を増してこっくりとした瞳ととても相性が良く満足気に頷きつつも向かい側の方で腰を下ろし、興味があるのかまじまじと料理を見つめる相手に次から次へと料理が運ばれ食事の時間は使用人は部屋の外で待機するのが決まり、軽く手を振るうと頭を下げた後に部屋から出ていき襖が閉まるのを見計らっては胡座をかいて座り直しポンポン、と軽く自身の膝を叩いて)
ほれ、ここにお座り。もっとよくお前の顔を見せておくれ。
(テーブル1枚挟んだ如き、無駄に良い目なんて正直相手の顔は良く見えているし離れていても問題はないが年の差がある過ぎるせいかそれとも初代を除いて今までに1番と気に入っているからなのか、楽しそうに目元を細めると今度は両手を広げて来てくれるだろうかと少し待って)
え、えっと………じゃあ、お邪魔します…。
重たかったら申し訳ありません。
(次から次へと運ばれてくるその料理は施設では見なかった料理ばかりで、きっと食材にもこだわり、味付けも一つ一つの味付けを引き立てるようなそんな味付けなのだろうと予想すれば、施設でも勿論、ご飯はきちんと3食出ていたがその質も量も桁違いにいい物なのは間違いない。施設での暮らしは少し貧しかったが楽しい所も勿論あったが、初めて見るご飯にどんな味なのか、食材には一体何を使っているのか興味津々で、自分から見たら光り輝いて見える。昨日、御言様は自分は「奪われる側」ではなく「与えられる側」と仰っていた。それならこれまで食べた事が数える程で、その量も少なく手作りだったので味も悪くは無かったが、ずっと食べてみたらどんなに美味しいのだろうと思っていたケーキと言ったスイーツも食べられるのだろうか。言ってみたいとは思うが、自分はここに来てまだ2日目で夫婦らしくも無ければ御言様の隣に座るに相応しい立ち振る舞いを習得した訳でもない名前だけの嫁。今はまだケーキの話はしないで置こうと考えていれば、何やら上機嫌な様子で膝に座るようにと示す御言様の言葉と行動に困惑し、良いのかなと言う表情を見せるが、言ったのは他ならぬ御言様だし、御言様の言葉を拒否して今の機嫌を損ねたくは無いし、言ったのは御言様だ。他の使用人達も下がっていて誰も居ないし、それならと少し恐る恐ると言った様子で近付くと御言様の膝に座るも、その座り方はちょこんとした少し遠慮した座り方をし、本当にこれで良いのかと御言様を困惑を隠しきれない様子で見上げて)
──重くなどない。人の子なんぞ風船を持つのと同じよ、もう少し近くに来なさい。
(拒まれれば無理にしないが待っていると遠慮がちに膝の端っこに座る相手。重くは無いのかと心配する相手だが、そんなことを心配するものかと意外に思えてしまう。人間なぞ軽すぎる、否この無駄な怪力は何でも軽く人の子、ましてや子供なんぞ片指ですら吹き飛ばすことさえ簡単なこと。重いなぞ思う事もないが、こうも心配する相手は遠慮からくるものかとも考えるが愛いところもあるものだとなおのこと気に入ってしまう。満足気に頷くも左腕を伸ばし左膝に座る相手の腰へ伸ばせば引き寄せて、その際に香るそれに僅かに目元を細めつつ空いている右手を頬へと持っていくと、柔く少しばかり血色の悪いそれは今までの生活であまり良いものを食べさせて貰えなかったせいか慈しむように長い爪で怪我をさせないよう気をつけながら指の腹を使ってひと撫でしては満足したのか手を離して目の前に広がる料理へと目をやり相手へ箸を差し出して渡すとだらしは無いが近くにあった果物へ手を伸ばすと指先で器用に持ちひとつ口に運びながら笑みをひとつ)
好きなものをお食べ。私は人間の食べ物の美味は感じられないが、きっとお前の舌に適うものだと思うよ。
ありがとうございます。
えっと……いただきます、人間のご飯が美味しくない……それは……とても食事の行為そのものが億劫になるのでは…………何なら、美味しいと感じるのか聞いても良いですか?
(まるで慈しむように頬を優しげに撫でられれば、親の愛は勿論誰かからこうして優しい言葉を投げかけられたり、触れられたりなんてこれまでの生活には無く、施設の人達も決して悪い人達ではなかったが、あそこは自分よりも幼く小さな子達もおり、どうしても施設の人達は赤子や自分よりも幼い子供に付きっきりになりがちになる。だからなのかこうして誰かに触れられるなんて思っても無かったし、何より自分は本来子供が親から受ける無償の愛を知らない。そんな自分が親よりも育むのが大変だと書物で読んだ夫婦の愛を知るのか、しかもその相手は人では無い者。飼っていた犬や猫が不意に野生の本能で飼い主を傷つけるように、何らかの不敬でこの方の機嫌を損ねて嫁としての役割を果たせないと判断され、離婚。及び施設に逆戻りするのでは無いかと不安で仕方ない。今日から始まる教養を含めた勉強もきっと身も心もすり減らすには十分な程厳しいのは、引き取られてすぐの教育で容易に想像出来る。気分はやや落ち込むが、目の前には見たことの無い豪勢な朝食。人間楽しみがあればある程度は乗り越えられると読んだ事があるし、これからはご飯を楽しみに生活しようと決めて差し出された箸を受け取り、年齢とは不相応な丁寧かつ綺麗な所作で滑らすように箸を持ち直し、頂きますと挨拶して、いざご飯!となった所で御言様の言葉を聞けば、美味しさが分からないということは食に関して興味もなければ、その楽しさも分からないという事。それは楽しむ為の食事ではなく、単なる作業でしか無い筈。初代花嫁からの習わしなのか分からないが、美味しくも無いものを毎日食べると言うのは意外と辟易するものだ、それを何百年と続けてきている目の前の彼は一体何なら美味しいと感じるのかと味覚の違いがどのようなものか気になり、遠慮がちに問いかけて)
──そうだなぁ、私には人間の食い物は美味いとも不味いとも思わなんだ。いわば“普通”としか思えない……強いて美味と感じるならば、人間の“生気”だ。
(柔い肌は吸い付くようで餅のようだと感じてしまえばいつまでも撫でていられようがそれでは相手もいつまでも飯にありつけないかと判断して器用に箸を持つ姿を見つめながらいくつか口にものを運んだところで、肘置きに肘をついて相手の食べている様子を見ようとした所、掛けられた言葉にはなんて答えようか悩み。味覚が違うというのは必ずしも正解で、最初こそこの家に憑いた時はあれこれ出された食い物を突っぱねて抵抗したものだが、それを“赦さない”者たちのおかげで何度も嘔吐を繰り返しながら食べる日々が続いたのを今でも昨日のことのように思える。次第に慣れてはきたものの、味についての評価など出来るはずもなく取り繕ってきたが今ではそれは慣れに近い。目の前に並べられた豪勢な食事、所詮味が分からない者に出すならばその食材を買う金で慈善でも何でも行えば良いものを、無駄に浪費する人間の考え方は未だに理解に苦しむ。悲劇、妬み、憎悪、好奇、嫌悪、怒り、あらゆるものがこの屋敷にはすみついており幾度も耳にした恭しい声、何度も見た冷徹な態度。たくさんの矛盾がある邸は時折、息が詰まりそのまま死んでいくのかとさえ錯覚する程に苦しい場所であるが、こうして何度も嫁を迎え入れ何度もその終わりを告げたくさんの死と向き合う中でも唯一の愉しみは正しくそれ。視線を外して少し考えてから、くつりと喉を鳴らして笑いをひとつ零すと崩していた上体を起こし相手の身体を軽々しく抱き寄せては空いている片手でとん、と子供のまだ小さい心臓部分を黒い爪で軽く叩いて)
(/ いつもお相手下さりありがとうございます。
中々顔出しが出来ずお待たせして申し訳ありません。本体のリアルが少々バタついてまして返信が遅くても明日まで出来ないかもしれません。時間を見つけ次第返信を致しますが、ご連絡までに顔出し失礼しました。本体連絡のみなので下げにてご連絡致します。
明後日には返信出来ると思いますので今暫くお待ちくださいませ。)
生気……?
えっと……それは、昔あったとされる生肝信仰と似たようなものですか?
(美味しいとも不味いとも感じないと聞けば、それはやっぱり御言様にとって、今では何度も何度も食べてを繰り返したことでようやく咀嚼し、飲み込むという動作が出来るようになったのかもしれない。だが、御言様は言うならば普通と言った。人では無い故に味覚の違いや娯楽の違いがあるのは仕方の無い事だろうし、あっても何も不思議では無い。初代花嫁様からの習わしの可能性が高くはあるが、それでも味の善し悪しが分からないということは、食べ物によってはゴムを食べているように感じたり変わった食感のする食べ物だって出されるだろう。風邪を引いた時に熱と鼻詰まりで味が分からなくなる時があるがそれに置き換えてみるとなんとつまらない、無駄な時間なのだろうかと思う。嫁がいる時ならこうして食事を共にすると言うのは何となく夫婦円満の為にと言う理由付けになるのでまだ理解はできるが、流石に嫁入りもそんなに頻度が高いと言うか、今代が亡くなったら数ヶ月もしないうちに次代花嫁が来るのか、どの位御言様1人の期間があるのかは分からないが、今こうして目の前の御言様は平然とした様子で物を食べている。味の違いも美味な物も違うのなら何度も繰り返し食べると言う作業に慣れる為の食事が必要なのは想像に容易い。この家に来てまだ数日ではあるが、敬って神として祀り、一見したら御言様を敬っているように見えるこの家での御言様の扱いを初めとして、嫁がいるからと施設から自分を引き取り、稽古や着付けをしておきながら昨日の披露宴で送られてきた嫉妬や部外者如きがと言いたげなあの視線の数々。この家は矛盾が多いお家だと思うと、再び抱き寄せられ、御言様が美味しいと感じるものを聞けば、妖怪が跋扈する平安時代では、女子供の生肝には特別な霊力が宿り、妖怪なんかに狙われやすい。なんて事が書かれた本を読んだ事を思い出し、それに近しいものかと問いかけて)
(/ 大変お待たせしてしまい申し訳ありません。
本体のリアルが少々多忙+寒暖差による体調不良で返信が遅くなってしまいました。
現在もまだ体調不良の為、返信するのにお時間が掛かるかと思いますが、最低でも2週間に1回は返したいと思っておりますので、まだいらっしゃいましたら、お相手下さればと思います。)
( / お久しぶりです。体調の方はいかがでしょうか、無理をなさらずご自身の体、ご自愛くださいませ。私生活あってこそのものですので、此方の返信は気が向いた時で構いません。
こちらの方も年末に向けて忙しくなるので、のんびりのんびりの返信になってしまうかと思いますが、何卒宜しく御願い致します。
取り急ぎ、ご報告まで。 )
肝……?──ぶはっ…!!はっはっはぁっ!!生肝ときたか!ははっ…!──今代の嫁は些か博識で叶わんなぁ!
(爪先からでも伝わる心音のなんと心地の良いことか。人間特有の香りも温度も匂いも、鼓動さえ愛おしく思えるのは長生き故の性なのかはあまり分からないが子供の小さな鈴の音を転がしたような音は一層聞いていて気持ちが良いもの。つい、と手を離して目の前にある料理の果物を器用に指先で摘んで口に運び一つ二つと咀嚼をしては嚥下。したところで問われたそれにはた、と何処か不思議そうに狐につままれたようなまるでそれで、ひとつ間を置いた所で吹き出しては腹の底から笑いが溢れて止まらない。言い方が悪かったし今どき生気などと言われてもピンとこないことなんて当たり前、否“ここに”当たり前なんてものは存在しないがそれでも少しは怯えてしまうか脅かしてすまないと揶揄う気持ちも露知らず返ってた言葉は想像の斜め上で心底可笑しくて仕方がない。何度も肩を揺らして口元を覆い隠すと口が裂けそうなほど大きく開いたそこからは笑いと歪な犬歯が覗く。暫くして呼吸を整えてはひとつ咳払いをしてまだ微かに震える肩を何とか抑えようと必死になればなるほど口の端が持ち上がって再び大笑いしそうになってしまうがそれでは可哀想かともう一度大きく咳払いをしてはポンポンと頭を撫でて)
──、いやすまないね。存外面白い娘で私は嬉しい限りだ……私の言う生気はね、そうさなぁ…人間のエネルギーとも言うべきものか。“氣”とも言うか。それを摂取するのが真に美味よ……強いて言うならば、欲をひとつ言うと──“魂”が一等品だがね。………、ゆっくりお食べ、無理して全ては食べなくて良い。また会おう。稽古だのつくだろうが頑張るんだよ。
(考えるように指先を顎に持ってくるとどう説明した方が分かりやすいものかと思案する。簡単にも思えるが上手く言葉に表せられないのは自分にとっての当たり前が人間にとっては普通では無い非常識故に、選ぶ言葉に迷ってしまうが魂だけはどんな言葉でさえ譲れないものがある。最後にとん、と先程と同じように相手の心臓部分を爪先で軽く叩いて笑みを浮かべた所で使用人が入ってくれば少しだけ目元を細めつつ膝に抱えていた相手をそっと下ろしてよっこいせと立ち上がれば相手の小さな頭を撫でてやり片手を握ると掌にいつの間にか狐のような模様や古代文字のようなそれが書かれた札を1枚握らせ『“御守り”だ。肌身離さず持っていなさい』身を屈めると声を潜めて耳打ちし、何処か名残惜しそうな相手を悲しんでいるようなそんな目で見詰めるとそのまま使用人と共に部屋を後にして行き)
………あんな顔で笑うんだ…。
…私、これからもあの笑顔を何回見られるのかな…ううん。見られるように頑張ろう。
……「気」……本で読んだのだと霊力みたいな事だよね、確か女の人は陰の気を持っていて男の人は陽の気だったような。
神様は血とか穢れを嫌うって言うけど、神様扱いはされていても神様じゃないって事になるんだろうけど…………お稽古、厳しくないと良いなぁ。
(何処か寂しげな名残惜しげな眼差しでこちらを見つめて「お守り」を渡して広間を後にした御言様の姿を見えなくなるまで見ていれば、どこかポカンとした表情で先程見た御言様の新しい面、表情を思い出すように頭の中でその表情を鮮明に思い浮かばせると尖った犬歯が見えるくらい口を大きく開き人ならざる者らしい黄金の──秋の実りを知らせる稲穂のような綺麗な金色の目の縁には涙まで浮かばせていたのを考えると、自分としては知識で得ただけの事を問いかけただけなのだが、それが彼の琴線に触れたのだろう。こちらとしてはそんなつもりが無かっただけに呆気に取られもしたが、双眸を細めて笑う御言様の先程の表情はどこか人ならざる者ながらもどこか親近感が湧くようなそんな気持ちになる。これからもあの顔が見れるかなと不安になるが、すぐに首を横に振って自分の考えを否定すればあの笑顔がこれからも見れるように頑張ろうと拳をグッと小さく握ると、すぐに目の前に並べられたご飯を食べられる範囲で食べ出すと食材を咀嚼しながら飲み込み、以前暇つぶし程度で読んでいた日本神話の内容を思い出しており。神様扱いされてはいるが、彼の正体は見たとおり妖狐とかその括りなのだろうと考える。神様と言うのは血や穢れを嫌い清らかなものが好きで、白色も神様の色として有名だろう。白色は他の色と混じりやすいだけにその色を維持するのは人の身では難しく、それこそ神様のような凄い存在でなければ維持できないという事なのだろうともぐもぐご飯を食べながら考え。そんな事を考えながら食べていれば、自ずと咀嚼する回数が増えた事で元々あまり食べられない自分の満腹中枢が身体と脳に満腹を知らせた為、半分どころか1/3も食べれていない目の前のご飯に勿体ないと言う感想が出るが、食べられないのは仕方ないと思い、少し申し訳無さそうな表情で箸を置けば「ご馳走様でした」と手を合わせて挨拶をすれば、ポツリと今日から始まる稽古について呟き憂鬱な気持ちになるが、こればかりは仕方ない事だし、弱音を吐いても無くなる訳でもない。きっと厳しいだろうが、食らいついていこうと決意すればスッと座布団から足を退けて立ち上がり、色とりどりの花が咲き誇る綺麗な縁側へと足を進めて稽古の為に待っているであろう使用人さんの前に着くと「よろしくお願いします」と頭を下げれば、稽古の為に場所を移動して早速とばかりに稽古が始まり)
(/ お待たせしてしまい申し訳ありません!!
体調は何とか回復したのですが、年の瀬も近いからか忙しく今日まで時間がとれませんでした。
これからは以前ほどではありませんが、少しは返信速度が早くなるかと思います。
こんな本体ですが、これからもよろしくお願い致します!!)
────、菫よ。あの生娘にはまだ“儀”は早いと思うがね?いい加減その考えを改めよと以前も言ったはずだが…?『妖狐の力を使役してこそ一人前の嫁』、『日本の表の政ではなく、裏の政を支配するのが役目』……なんぞ、現代に合わないだろうに。
(サラサラと鼓膜へと届いてくる音は竹林の笹が風に揺れる音、鼻に擽る香りは庭に咲き誇る花の香。無駄に広い邸の廊下を足袋の音を響かせながら歩いて数歩後ろを歩く数人の使用人は無駄口はたたかない。布の擦れ切れる音だけが無駄に届いていてどこか冷たさも感じる程。自室へ戻り使用人に取り囲まれながら冬の花、椿のそれを思わせる季節の狩衣へと着替えてはずしりと重さを感じるようなその重ねに些かうんざりとするが、結っていた紙紐を解きそのまま自室を後にすると謁見の間へと赴いて。少し高くなった上座、御簾で区切られた境は絶対的なもの、許された者しか此方の顔を伺うことも出来なければ顔をあげることさえ許されない。ドサッと荒々しく用意された座布団へ腰を下ろし片膝を立てては左側にある肘置きに肘をついて緩く姿勢を崩しては隅に控えていた使用人に右手に持っていた扇子で合図を出せば、仕切られた向こう側で人の呼吸を聴いて。スーツに身を包んだ男から紡がれる言葉は所詮上辺のものばかりで毎度毎度同じもので聞き飽きて欠伸が思わず零れてしまうが、いつの間にか隅に居た現当主の女に気が付けば眉間へ皺を寄せその刺すような視線に困ったように吐息を吐き出しつつ一度開いた扇子をパチンッと音を立てて閉じると客は帰っていき。やっと終わったと大した話でもないのに所詮用があるのは当主と『嫁』だけだろうに、こうしてご機嫌取りをするのは人間の悪い癖だと溜め息が零れる。ごろん、と横に寝転んでは現当主の一族の血を無駄に大切にする女─名を、菫─が近寄ってくれば見下ろされ、あれこれと愚痴を零されるも欠伸の返事で返しては聞き捨てならない言葉に耳がぴくりと動いては眉間へ深く皺を寄せ、上体を起こしては量の眼を透き通るような黄金色に染め上げては、立てた膝に手を置きながら鋭い犬歯を覗かせては怒気を孕んでみせるも仮面のように表情ひとつ変えない女には効かないようで、『躾の中に、儀のための修行も入れます』と一言残して去って行く背を見送れば持っていた扇子を軽く握るとそのまま折り、床に放り投げては揺れる尾のたびに苛立ちが込み上げてくるもひとつ吐息を零しては立ち上がり、部屋を後にすると縁側へと出向くと足袋を脱ぎ捨てて腰を下ろし片膝をたててはそこに両手をを乗せて顔を埋め)
……、短命になるのは修行のせいか私の嗜好故か、些か怪しいものだな。
( / とんでもありません。お返事できる時で構いませんのでのんびり進められたらなと思います。
現当主の名前を出しましたが、個々で動かしてくれても構いませんし、他にもモブキャラなど出して頂いても構いません。思考や感情が絡まり蠢いて波乱もある、そんな物語に出来たらなと思いますのでよろしくお願い致します。 )
…………やっと午前のお稽古が終わった…。
えっと…これからの予定は、ご飯食べて…学校で学ぶ勉強、その後にお琴のお稽古。
………お稽古ばっかり。早く稽古が無くなる日が来れば良いなぁ…。
(朝食を食べ終わり、自分の教育係になった例の女性の後について部屋を移動すれば、この屋敷の造りがそう思わせるのか部屋の入口はどれも同じでまるで狐に化かされているかのように同じ道を歩いているのではないかと錯覚する程、似たような景色と部屋の入口を盗み見ると、ただでさえ広い御屋敷なのにこうも同じような景色ばかりで部屋の前に○○の間みたいな形でこの部屋が何の部屋なのかの表記も無い以上覚えるしかないが、少しの恐怖感も覚える。本当なら前を歩く女性の着物を握って恐怖感を和らげたいが、この人は自分の教育係であって母親では無い。服を握ればはしたない等で怒られるのは目に見えているため恐怖感を抑えようとグッと手を握って我慢する。そして部屋へと付けば、着物は朝に着替えた物をそのままで舞のお稽古が始まり、お手本として先に舞う彼女の動きの一挙一動を目に焼き付けんと見つめ、舞ってみるが腕の上げる高さが違うと扇子で手を叩かれ、動きは合っていても着物の裾を踏んでよろければきちんと舞えばそんな風にはならないと厳しい叱責を受ける。そんな事を数時間休憩も入れつつもしていれば、自然と息も上がり汗もかく。数時間後やっと納得のいく舞で今日のノルマ分の踊りの部分まで終えた事で舞のお稽古は終わったが、さっさと部屋を出る教育係の女の人を見送って赤くなった手の甲や足を見れば小さな声で「痛い……。」と呟き、赤い手足を見ていればその景色が水の中に入ったように歪み始めた為急いで顔を上げれば零れかけた涙をゴシゴシと手の甲で強引に拭うと、立ち上がって部屋を出て縁側から見える太陽の位置を確認すれば、太陽は屋敷の真上近くにあり、その事からもうお昼の時間とやっと気付けば上記をポツリと零して。こんな家に引き取られなければと悲観しても現実は変わらない。それなら稽古が一日でも早く無くなる日が来るように反復練習をして、稽古の物全てを習得する他無いだろう。一体いつになるのかなとため息が零れるが、頭を1つ振れば手を使って午後の予定を指折り確認すれば、稽古開始初日とは思えない……と言うか、同い年の子でもここまで稽古、マナー、座学と言った教養も含めて勉強させられている子は居ないだろうなと思いながら、朝ごはんを食べた間まで人に聞きながら何とか戻って来ると、縁側にちょこんと座り念の為縁側から室内へ向けて自分が来たことと入室する事を一声掛ければ、障子に手をかけてスッと音をさせないように気をつけながら障子を開けて室内へと視線をやり)
(/ ありがとうございます。
こちらもモブキャラを出して御言様に絡んだり、菖蒲を疎ましく思う人が居たり、かと思えば歓迎する人も居たりと様々な感情や思考の違い等を描写して、濃密なやり取りになればと思っております。後ほどこちらからもモブキャラを出させて頂きますね。
これからもよろしくお願い致します。)
(ぼんやりと閉じていた意識が段々と鮮明になったのは人間には到底理解出来ない─ましてや現代では特に─頭の上に生えた耳へとあの幼子の聲が聴こえた為。ハッと我に返るように顔を上げては鼻に燻る“微かな血の香り”に腹の底から湧き出る憤怒の色を隠す事は出来ずに、普段は鈍い黄金色の瞳も煌めくものへと色を宿してはざわりざわりと血が騒ぐのがよく理解出来て。眉根を深く寄せて顔に現れたのは不機嫌と怒りの色、立ち上がり瞼を伏せては微かに聴こえる心の音に音も立てずにその場から姿を消しては気がつけば相手の座っている縁側の前へと姿を表すと室内へと顔を覗かせている相手の元へ大股で近づくとようやく気が付いた様子の相手だが声を掛ける前に棒切れのような細い手首へと腕を伸ばしては掴んで立ち上がらせては半ば引き摺るような形でその場を後にして、無言のままざわつく胸に届く相手の早鐘のような心の音を無視して邸の奥の更に奥にある己の部屋まで着くとかたてで乱暴に襖を開けては、相手を押し込むように中へと腕を強く引いて放り込んでは己も入り後ろ手で襖を閉めると日が当たりにくくやや暗い室内は丸窓からの光が頼りで。煌めく金を動かして、相手の手の甲にある“小さな赤み”、普通ならば血の滲みなど分からないがよく効く鼻には噎せ返るほど分かるもので、身をかがめてては相手の腕を掴んで引き寄せてその甲をじっと見つめてはやっと言葉を発して)
───誰にやられた。
あ、えっと……これは、その。
私が上手にお稽古が出来なかったからなので、誰も悪くありません。強いて言うなら上手く出来なかった私が悪いので怒らないで下さい。
(グイッと手首を取られ引っ張られれば、そこには隠しきれない赤みと叩かれすぎて皮膚が少々裂けたのか僅かに滲んでいる血を見れば、バレてしまったと罰の悪そうな表情を見せ。そして目の前にいる御言様から隠しきれない怒気を肌で感じれば、背筋が凍るようなヒヤリとした感覚がして、ゾワゾワとしていて、畏れかはたまた恐れからか肌が泡立ち怒気を顕にしている彼に正直に誰がやったと言ったが最後、その口から見え隠れする鋭い犬歯でお稽古をしてくれたあの人の喉元に噛み付いて亡き者にしてしまうのではないかと考えると、それが起こったら自分はどんな扱いを受けるのかわかったものでは無い。それだけは避けようと彼が望んだ答えでは無いと頭では理解しながら、あの女の人を庇い自分を自虐するようなそんな言葉を口にすると、この言葉を受けて更に怒り狂うだろうかと震えそうになる体を気力で抑えつけ、無駄に力が入った体で彼の反応を見守り)
【女中】
……失礼致します。
昼餉を用意致し………いかがされましたか、御言様。
(品数はだいぶ揃っていたが、これだけは出来たてを食べてもらわねばその味を損ねてしまうという事で、暖かく湯気を燻らせて出来たてで暖かな料理である事を示し、匂いも食欲が唆るようなそんな汁物を広間にと言われてお盆でそれを運び一旦縁側の板へと置いて入室する事を告げた後にやや視線を下へと向けながら障子を音もなく開けて用件と汁物を手に1歩入室した後に、いつもなら入室に対して答えがあるのにと不思議に思って視線を上げれば、花嫁の手首を引いて怒りを顕にしている御言様が目に入れば、どうしたのかと問いかけて)
そうか──お前は、狐に嘘をつくか。いいか私は………、嗚呼──、“お前”か。菖蒲よ、この女だな…?同じ“香り”がするなァ……私の鼻は誤魔化せんよ。
(じっと見つめた小さな手の甲、微かに滲む血の香りはとても芳醇でまるで薬物のように魅惑的で刺激的。“印”をつけたその日から、毛髪の1本に至るまで自分のモノましてや花嫁となった者の血などに惑わされないわけが無い。しかしこのまだまだ赤子も同然な娘は優しさで嘘をつく。見ていなければ気が付かないとでも考えているのか否かは今知る由もないが、自分を守るためではなく他人を守るためにつく嘘のなんとも醜いことだろうか、この家の者が今回の花嫁として選んだ娘を良いとする者もいれば反対の意見を持つ者も多いのは知っているしそれが使用人にも広がっているのは理解していた。平気で嘘をつく娘にも腹が立つが“自分の”嫁に対する態度もとてつもなく気に入らない。僅かに細めた瞳をさらに煌めく黄金色へと変化させると、少しだけ口の端を持ち上げて意地の悪い笑みをひとつ浮かべては鋭い犬歯がちらりと覗く。ほんの少しだけ叱ってやろうかと口を開きかけたが静かに横へと動いた障子に其方へ視線を向けると、昼はどうせひとりだから要らぬと何度も言っているのにわざわざ飯を用意して持ってくる健気な使用人の姿、顔をあげて視線がかち合うと微かに鼻に香るそれに眉を酷く寄せては今まで掴んでいた娘の手を離し、部屋と廊下の境目のそこへ片膝をついて座ると扇子の先で使用人の顎を持ち上げさせては緩やかに小首を傾げた後に、立ち尽くす娘へと問いかけて)
【菖蒲】
ご、ごめんなさい……。
………えっと…そうです、でも……私がもっと上手く舞が出来れば良かったので……怒るのは程々に…。
(しまった、自分はどうやら受け答えを間違えたらしい。それは自分の発した言葉の後の御言様から発せられる冷たい─背筋に氷を入れられたような冷たく静かな、それでいて苛烈な怒気を身に浴びればすぐに分かる。どうしよう、目の前の彼の機嫌を更に損ねるのは良く無いのは明確。焦っているのかいつもよりも回らない思考を張り巡らせて言葉を考える。考えに考えて出た言葉はいつもよりも弱々しい声音で御言様に謝罪をし。次いで問われた言葉には肯定を示すも、嘘は付きたくない。嘘と化かしは昔から狐と狸の領分。狐である彼の領分を人である自分が踏み潰してもいけないし、何より人と彼とでは言葉通り格が違うのだ。ここは素直になろうと、言葉を連ねるが彼がその気になったら人なんてそれこそ火を息で吹き消すようにその命も散らせるだろう。流石にそんな事はしないと思いたいが、自分も悪かったのだと一応のフォローを入れて)
【女中】
御言様?
…………あぁ、「それ」は確かに私がやりました。
ですが、私は本家より仰せつかった花嫁様の教育係でございます。
花嫁様は御言様の隣に立っても恥じることの無い美しい立ち振る舞いや言葉遣い、知識。
それらを身につけて頂くための通過儀礼にございません。
(ただ食事を運ぶだけで終わる筈だったのだが、扇の先で顎を上げられ半ば強制的に顔を上げれば、目に入るのは月と見紛うばかりに美しい黄金の瞳にどこか激昂している表情の御言様。何かあったかと思い、視線を巡らせれば青い畳が何畳も敷かれた大きな広間にその中央に置かれた大きな食事机、その上に置かれた栄養バランスも取れた和食でいて、品数も豊富な豪勢な食事。その部屋でどこか居心地悪そうにしている花嫁として選ばれた、施設から引き取ったあの少女。御言様から匂いと言われ、少し小首を傾げて考えた後、何を示しているのか察すれば、なんの悪びれも無くむしろ必要な事であり、それは回り回って御言様の品を下げない為だと顔色も変えず、どこか淡々とした口調で説明をして)
菖蒲、お前は口を噤んでおれ。──良いか、女よ。この娘はまだ年端もいかぬ赤子同然。これから義務教育の小学校にも通うことになる…学校に家でも躾ばかりでは息も詰まる。それに──こんな幼子が傷を作って外に出てみろ、“我が一族も堕ちたもの”だと思われると考えぬか………もうよい、下がれ。菖蒲、お前も昼を食べてきなさい。
(顎の先に触れた相手の体温、鼓動、纏う気でさえ手に取るように伝わってきて愉快なもの。後ろで必死に女を庇う健気な娘、確かに最初は誰でも完璧にこなせはしないし覚えることも出来ない。無駄に位やしきたり、名を重んじるこの一族したら早く一人前になってもらいたいという気持ちも分からなくはないがそれはあくまでもこちらの一方的考えであり押し付けである。普通ならば引き取られることもなかった娘が、箱を開けてみればこんな普通とはかけ離れた世界に放り出されて不安に押し潰されそうになりながら必死に食らいついていこうとしている娘の心も露知らずとは、無礼にも程がある。わたわたと言葉を口にする娘にピシャリと言い放てば黄金の瞳をすうっと細め僅かに歪んだ口元から覗いた犬歯、そっと耳打ちするように顔を近付けては鼻で笑うように小さく鳴らしては直ぐに離して扇子も離すと軽く手を振り下がれと)
【女中】
しかし………いえ、なんでも御座いません。
花嫁様、午後の稽古に遅れる事が無いようにご注意下さいませ。
では、失礼します。
(人外故か目の前の彼から放たれる怒気は苛烈で冷たい炎のようにも感じる。だが、自分とてこの家で生まれ育ち巫家の者に相応しいと思われるだけの──それこそ、花嫁として選ばれたあの少女と同様に稽古や座学を血の滲むような努力をして今こうしてその結果が認められて、花嫁様の教育指導係にまでなれた。それなのに目の前の彼女には自分の時と違って「味方」がいる。たったそれだけの違いなのにザワザワとした胸のムカつき、思考は負の螺旋へと落ちていく。そして何より彼が放った【学校】と言う単語。学校なんて行かないに決まっている。いくら義務教育期間とはいえ、あの少女は既に巫家の者。義務教育で受けられる以上の教育をここなら受けられるし、そもそも稽古で忙しくなる彼女にそんな時間を取らせるなら稽古を1つ増やした方がマシと言うもの。それを口に出そうとして1度口を開いたが、唇は何の音も出さずに再度閉じる。これ以上は不毛な言い合いと言うやつだろう。ここは引き下がろうと頭を恭しくさげ、黒い髪が肩を伝って音もなく滑り落ちるのを視界の隅で認めながら最後にチクリと釘だけ刺して広間の外へと出ていけばスっと障子を滑らせて閉めると、背筋を伸ばし綺麗な所作で立ち上がれば広間を後にし)
【巫 菖蒲】
えっと……あ、ありがとうございます。
それと嘘をついてしまって申し訳ありませんでした。ご気分を害されたと思います……次からは御言様に嘘を付かないように心に留めておきます。
(女中が広間を去って再度御言様と2人きりになれば、しばらくはモジモジとして何処か居心地悪そうに視線を泳がせていたが、覚悟を決めたのか作法も何も感じられない─ただ、謝らなければと言う気持ちが急いてしまいガバッとだいぶ勢いのある仕草で頭を下げれば、所作とは裏腹に言葉はツラツラと出てくるが心の中にあるのは「嫌われたらどうしよう。出ていけって言われたらどうしよう。」である。自分のどこか艶を取り戻しつつもまだまだパサついた髪が重力に従って下へと流れるのも気にせず、御言様の次の言葉はどんなものかと緊張と焦りとで肩に余計な力が入っていると気付きながらも頭を下げたまま反応を待ち)
……もうよい。私は暫く寝ると使用人に出会ったら伝えておいてくれ。夕餉も要らぬと。風呂の時間に起こせともな。
(部屋から出ていく様子を目元を細めて見送れば鼓膜へ届く人の話し声や物音が些か今の状態では余計に苛立ちを覚えてしまい、尾が素直に揺れている。しかし細く聞こえた声に其方へと視線を向けると、小さな頭を下げる姿が見て取れて。空気から伝わる感情は手に取るようによく分かり、今までの嫁だった者たちとは違うのだなと呑気に考えているが軽く頭を撫でてやればそれでもどこかまだぶっきらぼうな言い方は拭い去ることは出来ずに、口早に説明すると「ではな」と短く言葉を掛けてはふわりと風が吹けばその場から姿を消していて。邸の奥のさらに奥にある小さな小さな中庭を望める縁側へと音もなく着地しては定位置に置いてある煙管と灰皿を引き寄せてはごろりと横になり、右手で頭を支えながら横向き縁側を見つめ、左手に持った煙管は火を付けなくとも吸い込めばいつの間にか灯火が。ふぅ、と紫煙を中庭へ吹き込んでやれば微かに虹色に輝くそれが包み込んで何も無いそこに花々が咲き誇り、それをぼんやり眺めると大人気ない態度であったかと先程までのやり取りを思い返してはいつもはピンッと立っている両耳も力なく項垂れ。ひとつ溜息を零すとカンッ、と灰皿に灰を落としてはそのまま置いて、仰向けに体勢を直しては近くにあった座布団を引き寄せてふたつに折ると枕替わりに。木目の天井を見上げながら気にもせず襲ってくる睡魔には適うこともなく、そのまま眠りに落ちていき)
(御言様を見送って自分ももぐもぐとお昼ご飯を食べ、施設よりも豪華で使っている食材達もきっと比べ物にならない位良いものなのだろうが、味の違いなど分かる訳もなく、本来なら美味しいと笑みを浮かべて食べれる筈なのに、広いこの空間にポツンと1人で、部屋に響く物音も自分が立てる食器を置くものだけと言う心寂しいこの時間。施設では必ず皆が揃ってからご飯だったし、ここに来てからも食べる必要は無いとはいえ御言様が一緒だったから、こうして完全に1人でのご飯は初となる。昨日はきちんと美味しいと感じた筈なのに、今では味がわからない。と言うよりも美味しいという気持ちよりも時間に置き去りにされたかのようなこの静か過ぎる空間に対して、寂しいという気持ちが勝ってしまっている。しばらくはご飯を食べていたが、昨日よりも量が少ないご飯の量でお腹がいっぱいになってしまい、大半を残したそれらを見て勿体ないと思いつつも箸を置いて、手を合わせ「ご馳走様でした」と挨拶をする。そうして立ち上がり、部屋から出れば稽古の時間がと言ってまた稽古部屋へと移動をし、今度は学校で習うような座学を中心とした時間。食後なのもあり、うっつらうっつらとして眠気と戦いながら午後の稽古を終えれば、あとは夕食とお風呂で一日は終わり。縁側で足をプラプラさせながら、真っ赤な彼岸花に青紫色が美しい紫陽花が織り成す、色彩豊かな美しい庭園に響くのは水音。池の水は透明に透き通り、中で泳ぐ錦鯉達は悠々気ままに泳いでは跳ね、たまにポチャンと言う音をさせているのをじっと見つめており。しばらく縁側を眺めていたが、ふと御言様は眠りにつくと言っていた。昨日来たばかりなので当然ではあるが、自分は御言様について知らない事が多すぎる。あのお狐様はよく寝るのだろうか?どんな風に寝ているのか、あの狐耳は柔らかいのかな?と気になってしまえば頭の中を占めるのはその事ばかりになってしまった。すこしソワソワして悩むも、あのモフモフしていそうな狐耳は大変魅力的である。寝ているならその間にほんの、ほんの少しだけ触る事が出来ないかな?と考えれば、女中の人達に御言様の寝ている部屋の場所を聞けば、その部屋へと足を進め、そっと障子を開けて足音を立てないように部屋の中に入れば、畳の上で寝ている御言様を見つめ。そして畳の上に広がる綺麗な髪の毛を見るとむずむずとちょっとした好奇心と悪戯心がわき、その髪をそっと触れてみればサラサラとした手触りにやや興奮気味になりながらもう一度だけ髪に触れると、次は起こさないようにと気をつけながら髪の毛を三つ編みやら編み込みやらで編み出し、髪の毛で遊び出してはちょこちょこ御言様が起きる気配は無いか確認しながら編み込み作業を続けて)
──寝込みを襲うとは、なかなかにやるものだな。…、何を悪戯していんだ?
(縁側では体を痛めるために中庭を眺められる何も無い空き部屋の畳に寝転んで天井の木目を見つめていたがいつの間にか眠っていたようで、ふと無意識の闇の底から引き揚げられるような感覚に意識が少しづつ覚醒しているのだと気付くもまだ眠っていたいと思う葛藤があるせいか、瞼が重い。正直睡眠も食事もさして必要はないのだが全く眠らないとそれはそれで精神的に疲れを感じるため時々こうして眠るのだが、ここ云十年としっかり眠ったことがなく久々にこうして眠ったものだと考えながらさて散歩でもしてこようかと思っていた矢先、近付いてくる小さな足音が耳へと届いて。何だろうかと起きて出迎えようかと思ったが少しばかりの悪戯心が働くとそのまま眠っているように装い、襖が開いた音と近付く息遣いは間違えようのない小さな小さな花嫁。起こしに来たのだろうかそれとも、と考えていると不意に髪に触れる相手の温度に珍しいものなのかただ触れたいだけなのだろうか暫くの間好きにさせてやろうかと、何やら毛先の辺りが時折引っ張られる感覚に驚かせてやろうかなんてパッと目を開けては呟いて。飛び上がるかもしれない相手を片腕で軽々しく抱き寄せては、横向きに寝転んでそのまま両手で小さな相手を包みこむと眼下に埋まる顔へ視線を落としては全てを知っているにも関わらず優しい声色で問い掛けて)
ひゃ!
え、えっと………か…髪がお綺麗だったので編み込みしたりして遊んでました…。
(ほんの少しだけ髪で遊ぶつもりが、編み込めば編み込むほど髪型が綺麗になっていくその様が男の人に言うのには相応しく無いだろうが、綺麗になっていくのが楽しくてついつい夢中になってしまった。ここには無いので無理だが、人外特有の美しさとどこか精悍な面差しのお狐様だ。本で見たラプンツェルのように花を所々に編み込んでみてもきっとまた表情を変えてその美しさを魅せるだろうと髪を編み込みながら考える。自分の髪はここに来てからバランスの取れた食事と質のいいケア用品、睡眠時間の確保によりパサパサして指通りの悪いゴワゴワした髪だったが徐々に改善されてきて少し艶が出て指通りも少しだけ良くなったが御言様にはまだまだ及ばない。と言うか比べるだけ烏滸がましいと言うやつだろう。鼻歌でも歌いそうな程楽しそうに編んでいたらいつの間にやら御言様が起きられて声をかけられる。初めは驚いてビクッとぴょんと飛び跳ねそうになる体を支えて横にさせ、隣で顔を合わせるように横になっている御言様の優しげな様子に、起こしてしまった!と慌てるが怒っては居なさそう。ここは正直に言おうと髪を編んで居たと答えるも声をかけられたのもあってその髪結い作業は中断され、畳には中途半端に綺麗に編み込みの成された御言様の髪が広がっており)
はははっ。怒りやしない、お前さんのお気に召したようで光栄だよ。──先程すまなかったな、怖い思いをさせただろう。だが、お前はこれから、お作法や学校で習うような勉学とは程遠いものを身に付けるための“修行”がある……辛い時はいつでも私に言いなさい。厭だと感じたらいつでも私を喚びなさい。
(紙風船のような軽さを覚える相手は簡単にすっぽりと大きな体と腕の中に収まってしまう。片手で自身の頭を支えながら、空いている片腕の力を少しだけ緩めてやれば、素直に話す相手に思わず笑いが溢れてしまい。機嫌を損ねぬようにと教わったのかどこか恭しい相手の態度はまだまだ致し方ないがこうして遊び心があるのだから、今との頃は問題ないかと考えられる。少しでも息抜きの時間を提供が出来たのならば万々歳で年相応の言動が見れたのもこれまた嬉しい限り。横目で散らばる髪のうちの少しだけの束が確かに編み込まれており、しかし途中で止まっていて今でも解けてしまいそうだがまたいつかの楽しみにとっておくとしよう。満足気にうんうん、と頷いたところで不意に緩めていた目元を元に戻してはどこか真剣でそれでいて悲しそうに目尻をほんの少しだけ下げると、そっと相手の後頭部を背中へと回していた片手で撫でて。何も聞かされずただきっと最初は新しい生活を夢見て引き取られて来たかもしれないのに、蓋を開けてみれば嫁だのお作法だのと言われ普通からはかけ離れた世界に放り込まれ、受け入れてくれる者とそうでない者の間に挟まれて、どれだけ心細いことだろうか。しかしそれでも迫り来るそれらから逃げることを許されないのならばと何度も思ってきたこと。ひとつだけ吐息を吐き出しては困ったような笑みを最後に浮かべ、再度軽く頭を撫でては「さて、意外と寝てしまっていたようだ。そろそろ夕餉の支度が出来たと人が呼びに来るだろう…私も食べるとしよう。久方ぶりに怒ったからな、腹が減った」よっこいせ、と片腕で相手を抱きながら起き上がれば、相手を床へと立たせてやり名残惜しそうに散らばった髪を方指で梳いたところで襖の向こうから声がかかり)
【巫 菖蒲】
いえ、私の事を思ってだと理解してますし
少し…驚きましたけど、怒ってくれてありがとうございます。
(申し訳なさそうに昼間の事を謝罪する御言様に、確かに初めは答えを間違えたと思って焦ったし彼の一言で処遇なんてあっという間に、それこそ弁明も無く決まってしまうだろう。だが、彼は永く生きている狐の化身。狐の本分である化かしや知恵、悪戯好きといったものはあるのかどうかまだ分からない。でも永く生きているという事はそれだけ余裕というものがある筈。本当にしでかさない限りはこちらの言い分を聞いてくれる人だと今日のやり取りで学んだ。勿論そんな事が無いのが1番ではあるが。
それに昼間の事は自分を思っての発言だ、この家で自分の為に言葉を尽くしたり、心を砕いてくれる人はほぼ居ないと言っても良い。そんな中家の中でも上位の立場に君臨する御言様は自分を今の所気に入ってくれている様子で、それに胡座をかくつもりも無いし、彼の迷惑になるような事はしたくない。嫁としてこの家に選ばれた以上は1日も精神的安寧の為に教育や教養を身に付ける事だろう。それでも御言様の言葉は嬉しかった、本当に味方なのかもしれないと思った。ここに来てまだ数日、完全に心を許すのはまだ早いが、今日あったことはきちんと覚えておこうと思う。
そのまま抱き上げられるように床へと立たされれば、少しだけ着崩れた着物を見苦しくないように整える。今日の着物は薄い水色の絵画風の花々があしらわれた手触りの良い着物である。皺になったらいけないとも思うが、自分が持つ紫色の瞳もあって何だか紫陽花みたいだなと感想を抱く。
畳の井草の匂いがして、これと言って特に物も置いていない殺風景な部屋。物が無いこともそうだが、部屋が広いのもあって余計に広く感じるのだろう。そんな部屋がこの屋敷には多い。広く、美しい日本屋敷で使われている部屋はきっと片手で収まる程であとの部屋は空き室に近い特に用というものは無い、見栄と繁栄を目に見える形で見せたい。そんな気持ちの表れだろう。
そんな事を考えていれば、声がした方へ振り向き)
【女中】
御言様、花嫁様。
夕餉の支度が出来ましたので、ご連絡致します。
広間へといらしてお食事を。
(縁側へと座り、誰にもその姿は見えないし部屋の中にいる2人との間には白い障子があるのみで見えるのはこちらの体勢の影だけだろう。それでも指を床へと付き、正座をして背筋を伸ばし綺麗な所作で礼の体勢を取り、視線は床へと注がれている。そしていつものように、淡々とした抑揚の少ない声で業務連絡をしては御言様と花嫁様は今は一緒だと別の女中から聞いている。仲睦まじいのは良い事だが、案内役は自分にと割り振られた為、スっと立ち上がると2人が部屋を出てきても邪魔にならず尚且つ案内をする際にすぐに動ける場所へと移動すれば、2人が出てくるのを待ち、出てきたのを確認すれば「こちらです」と御言様にとってはいつものウンザリした業務で、花嫁様にとってはまだ数回の案内を無表情で失礼のないようにしずしずと言った歩き方で2人を先導するように広間へと歩き出して)
なに、気にするな。些か戯れの一種にも過ぎん──目の色と着物が似合っているな。着物ばかりでは窮屈だろう、洋服を頼ませよう。後で付き人の柊にでも頼みなさい。
(無駄に広く使わない部屋の多いこの家は昔こそ大人数の人々が居たもののそれも今はもう過ぎた話。無駄に広いのに嫌なほど息が詰まるような感覚に陥るのは、この箱の中にある重い思いが塵に積もっているからこそなのだろう。重くまとわりついて誰かの思いは次第に念へと変わり、時折“その姿”を現すこともあるが新しい花嫁がやってくるとその人々の念はさらに重くのしかかり余計に息が詰まるがこればかりはもうどうしようもなく致し方ない。しかしその念が、花嫁にまとわりついて気が触れてしまわないかだけか心配の種。それでも今はまだ大丈夫なのだから余計な心配というものは良くないものだと雑念を振り払ったところで相手の着物姿に手を伸ばして軽く皺を直してやりながら、こうも堅苦しいものばかりでは体が疲れてしまうかと考えて少し天を見上げながら提案をひとつした所で、襖の向こうで感じていた気配がひとつ動く。掛けられた声に短く返事をしては立ち上がり固まった体を伸ばしては眼下にいる小さな相手の片手を引いて部屋を後にすると数歩前を歩く使用人の後ろをついて行き。向かった広間へと入れば庭が眺められるように開け放たれた襖と窓、テーブルに並ぶ料理はこれまた無駄に豪勢で量も多いが幾分腹が減った今の状態ならば全て平らげてしまえる程に少なく思えてしまうのだから不思議なもので。いつもの定位置に腰を下ろしては胡座をかいて、軽く手招きをして相手を引き寄せると左足の上に乗せる形ですっぽりとそこに収めてしまえばどうやらこの体勢が気に入ったようで満足気に頷き相手を軽く支えていた左手を離しては顔の前で両手を合わせて、ぽつと言の霊に載せてそれを呟いては箸に手を伸ばして)
では頂こうか。──いただきます。
…ありがとう、ございます。
御言様のおかげで綺麗に直りました。
(着物を直すのを手伝ってくれれば、自分で直すよりもやはり着物に触れる機会が多いからか幾分か早く着物の着崩れを直すことが出来、見栄えも自分1人でやるよりも綺麗な気がする。自分でもどこか着崩れていないか見下ろしてみても自分では苦手意識があったお端折りが自然な形で出来ており、女中の人が支度してくれたと言っても納得されそうだ。手伝ってくれた事にお礼を言い、自分でやるよりも綺麗だと手を広げて振袖部分を見せながら御言様の器用さを凄いと尊敬し。
そしてそのまま声がかかった事で御言様に手を引かれながら部屋を移動する。大人と子供なので当然なのだが、手の大きさが全く違う。自分の手なんてすっぽり隠れているし、このまま御言様が少し力を込めれば骨なんて簡単に折れるし、爪でも肌を切り裂けるだろうが不思議と恐怖心は出てこない。この家では堅苦しい躾や礼儀作法、座学と息の詰まる事ばかりだが、今包んでくれているこの温もりはほんの少しだけ気持ちが楽になる魔法の手だ。と繋がれた手を見つめてそう感じると、少しだけ力を込めて握られた手を握り返してみる。そんな風に歩いていれば、いくらこの屋敷が広いとはいえ案内役の人も居るからか広間へと辿り着く。
用意された紫色の座布団に座ろうとすれば、手招きされた為、近寄ればお気に入りの人形を常に持った子供の人形のように何故か御言様の左膝に座る体勢に。始めはえっ?となり、少し固まると我に返って手を合わせて挨拶をすると箸を手に取る。御言様の食事に邪魔にならないように気をつけてご飯を食べ出し)
…………ご飯、美味しいです。
お昼よりも美味しく感じます。
(昼間はちょっとしたゴタゴタで1人で摂ることになったが、その時よりも味も質も量も何も変わっていない筈なのに昼よりも美味しく感じる。心細いと言う気持ちが無いだけでここまで違うんだと思いながらも少し表情を和らげてモグモグと食事を食べ進めていき)
ははは。美味いか、それは良い事だ。お前が美味いと云えばここの料理は充実していくだろうよ。言は魂だ…大事におし。
(怒りを覚えたあとはやたらと腹が減るのは何故だろうかと考えたことがあった。別に大して力を使ったわけでもなければ、激昂したのだって片指数える程度、少量の怒りでさえ何故か普段は幾らだって我慢の効く空腹が言うことを効かなくなるのはきっと、精神的な面なのだろうと。あまりこの娘の前で怒るのは控えようと少しだけ肝に銘じたところで、美味しいという言葉に意識をそちらへと向けてひとつ人あたりの良さそうな笑みを浮かべてはうん、と頷き手前にあった里芋の煮物を器用に箸先でつまみ上げては口へと運んで。味の程度はやはり理解は出来ないが今の飢えを凌ぐのにはちょうどよく、箸置きにそれを戻しては相手の小さな頭をひとつふたつと撫でてやり。人の膝の上では食べにくいかと軽く抱えては胡座をかいた足の間に座らせてやり、先程と違い後頭部は拝めるが顔が見えないのは少しばかり残念さを覚えるものの小さな頭が食事をする度にほんの少し揺れるのは後ろから見ていてもとても愛いく思えてくるのだから、歳をとったものだと理解する。空いた皿や茶を持ってきている使用人に声を掛けて神酒を持ってきて貰えば、小さめの赤い盃に注いで飲み干していき。あっという間に空になってしまえば縁側に面した開け放たれた大きな雨戸の向こう、しんといつの間にか降り始めた雪に目元を細めては揺らりゆらりと尾を揺らして)
(/ いつもお相手下さりありがとうございます!
連絡が遅くなり、申し訳ありません。
現在、背後が少しバタバタしているせいでお返事が遅れてしまっております。
今月中には必ずお返し致しますので、今暫くお待ち下さいませ。)
言葉は魂…………昔の、平安時代にあるとされていた言霊野事でしょうか?
陰陽師やお坊さんが妖怪退治に大切にしてた中に、見鬼の才と真言に霊力を乗せる言霊だと本で読んだ事があります。
(モグモグと食事を見苦しくない程度に程よく咀嚼して飲み込んでいけば、和食がメインの為粒の立った白米に出汁が美味しい白味噌のお味噌汁、そして御言様も口にした里芋の煮物、ほうれん草の胡麻和え、魚の塩焼き等他にもたくさんの料理があるがこの料理を作る人はよくこんなに沢山の料理が作れるな。と思うと同時に大変じゃないのかなと少しだけ心配になる。これだけの料理が机を埋め尽くさんばかりに並んでいるのに一つとして同じ料理は無いし、同じ食材を使っていることも無い。施設に居た時にこの食事を見ていたら、きっと自分は羨ましく思っただろう。あの時は食うにも困るという程では無かったが、他の子達に回す為に自分のようなある程度の年齢の子達は満腹までは食べずに居たのだから、これらはきっとお宝を見つけたように黄金に輝いて見てただろうと考える。そして、ここにいる人達の服も施設に居た時とは比べ物にならないくらい肌触りが良く、質が良いものだとわかる。まさに格が──敷居が高いと言うのが正しいだろう。まさかそんな家に狐の嫁として引き取られるだなんて1年前の自分では考えもしなかっただろうし、過去に戻れて過去の自分にそれを言っても、何を言っているのかと鼻で笑うに違いない。ここでの暮らしはきっと息が詰まる事だらけで我慢の日々が続くだろう。それはもう嘆いても悔やんでも変わることの無い確定した事項だ。ならば少しでも息を抜ける時間が早く来るように稽古に精を出して身につける他無い。幸いな事にここでも格段の影響力と発言力を持つお狐様の御言様は自分を気に入り、それなりに心を砕いてくれるのが分かるのが本当に不幸中の幸いだ。彼は狐なので、まだ心の全てを開くのには勇気も信用も足りないが、これからの生活でそれらは観察して決めればいい事。そんな事を考えながら食べていれば、御言様の言葉が耳に入る。男性らしい低くて聞き心地の良い声が発した言葉を少し考えれば、口の中の物を飲み込むと、以前暇つぶしで読んでいた本にも似た様な言葉の1文があったことを思い出し、古くから生きているお狐様だ。そんなような特別な妖力と言われるような、神通力とも言うべき力があるのかもしれないと興味が出てきて。自分を抱えて後ろに座る御言様を見ようと振り返って顔を見上げて質問すれば、視界の隅にチラつく綺麗な尻尾。その尻尾がふわふわとしていて如何にも手触りの良さそうなそんなフサフサ加減に気を取られ、目線が御言様の双眸から尻尾へと移り)
( / お返事遅れてすみません。
リアルがバタバタとしておりなかなか時間が取れず…
今週中にはお返しできるように致しますので、申し訳ありませんがもう暫くお待ち頂けると幸いです。 )
(/ ご連絡ありがとうございます。
こちらは気長にお待ちしてますので、お気になさらず!
本体様の無理のないペースで物語をと思っていますので、大丈夫ですよ。
これからもよろしくお願い致します。)
……──ぷっ、ははははっ!!お前は物知りだなぁ、今代の嫁は博識でかなわなんだ。いやなに、すまないね。……そんな堅苦しいものじゃァないさ、言葉には少なからず想いが集まるものだからね、出したものは引っ込めないのと同じだ…だから、大事におしよ。
(久方ぶりの空腹を満たすのにこの食事量では物足りないし、人間の食べ物で満腹になることはもちろんないがこうして嫁として迎え入れた者と食事をするという行為自体が今は何よりも楽しくて仕方ない。いくつのも料理を口へと運んでは飲み込んでいく中で返ってきた相手の言葉に思わず箸が止まる。ポカンとしたようなどこか気の抜けたような表情をしばらく浮かべていたが言葉の意味を理解して数秒後、込み上げてくる笑いを我慢出来ずに表へと出していく。箸が落ちそうになるのを堪え、片手で腹を抱えては肩を揺らしながら笑いの中でなんとか息を吸おうと懸命になる。少ししてからようやく落ち着きを取り戻すと目の端に浮かべた涙を爪の先で拭いさると、こうも笑われては可哀想かと謝りながら相手の頭を軽く撫でてやり。さてどう説明しようか悩むも、あまり重苦しいものとして捉えて欲しいものではないと判断し、右隣に置かれた肘置きに片腕を乗せ、姿勢を崩しては開け放たれた縁側の向こう側、庭を見遣りながら僅かに目元を緩めるとぽつりぽつりと言葉を紬、上手く言葉に表せないのがもどかしいが致し方なしかと言いつつ嘘でもないそれに一つ笑みを浮かべては再度相手へと見やったところで視線が己の尾の方へと向かれているのに気がついては器用に尾を持ち上げてその先で相手の頬を撫でてやり「触りたいなら遠慮せずに言いなさい。嫌とは思わないからね、触るか?」と小さな頬を包むように毛先でふわふわと軽く叩いてみては緩く首を傾げてみせて )
( / 大変遅くなってしまい申し訳ありません。また時間が取れるようになったので、相変わらずマイペースですがよろしくお願い致します。)
そう、なんですね。
てっきり、御言様にはそう言う不思議なお力があるのかと…
(思った事を口にしただけなのだが、後ろにいる御言様は耐えられぬと言った様子で大きな口を開け、その笑い声を広間に響かせる。
金色の目が涙で滲みながらも細められ、大きく開かれた口からは鋭い犬歯が覗く。
ここに来てから、御言様に笑われる回数が多いような気がしてならない。
こちらは現代生まれ、現代育ちの生粋の現代っ子。施設暮らしという一般とは少し環境が特別だったが、それ以外は普通の人の子だ。
平安時代に重宝されていた陰陽師や巫女様のように見鬼の才も霊力も、言葉を言霊にする能力も無い。普通の子供。
それが突然、永く生きるお狐様の嫁として引き取られて、今こうして御言様が目の前にいる。
平安時代には安倍晴明の母、葛の葉や傾国の美女、玉藻の前。と狐との接点は多い。
そんなお狐様が実在しているのだ、もしかしたら人には無い能力、妖力や霊力なんかを扱えるのかも、それらを見れるのかもと期待してしまうもの。だが、それらを悉く否定するように笑われる事が多い。書物で読んだ、摩訶不思議な能力。見てみたくないかと言えば嘘になる。
流石に笑いすぎでは無いかと、ここ最近で少し丸みを帯びてきた頬を膨らませて少しぶすくれる。
見れるのかもと思ったのにまた笑われた。
暇だったから本を読んでいたのだが、それのどこに御言様の笑いのツボがあるのか分からない。
頭を撫でられれば、艶を取り戻しつつある自分の黒髪に御言様の細く長い指が通るのを感じる。
これまで何人ものお嫁さんが居たからなのか、その力加減は絶妙で痛くない。
体勢を崩した御言様を見れば、何を言おうかと口を開けては閉じを繰り返していた時に、自分の視線の先にあるものに気付いたらしい。
ふわふわな尻尾が頬を撫でれば、ふわふわ!と表情が明るくなり、嬉しさからか瞳もキラキラと輝いて頬も興奮からか赤くなる。
ふわふわといつもの語彙力も無くして、箸を置いたままなのを良い事にそろそろとその金色の魅力的な尻尾に自分の小さな手を伸ばす。
軽く撫でてみれば、まるで絹のように手触りの良い尻尾。
わぁ……と笑みを浮かべれば、尻尾を抱っこするように抱えてみて)
───ほぉ。私に言霊の力があると見破っているのか。ならばどれ…、まだ完全には落ちていないその心を私への想いで溢れさせてやるとしようか。
( くつりくつりと喉を鳴らし、些か不満気味の相手の様子を楽しそうに見つめながらも指の間を抜ける髪はあともう少しできっと以前のような絹糸のように滑らかになることだろう。今代の嫁は少し特殊だと聞かされていた。身辺調査を依頼し諸々と調べさせてはいたが余程孤児院も特殊なのかどうか、あまり良い環境とは思えない場所で育ってきたのは明白。大人びた言動はもしかしたら脆い脆い心を守るためかもしれない。やけにつけた知識もきっと少しでも強く見せるためのものだったのかもしれない。真意を聞いていない故に憶測でしかないが、滲み出る言葉の節々に込められた思いや動作は隠しきれないもの。畳に頬杖をつきだらしなく横になりながらも、ちょいちょいと尻尾の先で相手の頬を撫でてやればぎゅっと抱きついてきたそれは年相応のもの。目元を細めて慈しむような視線を向けていたが、相手の返答にピクリと頭の上の耳を動かして。狐ゆえの悪戯心かそれとも、ギシと畳が軋む音と共に生温い風が緩やかに吹き抜けたかと思えば開け放たれていた襖が全て閉じ広かった部屋も些か狭く思える密室へとなっており。昼だったはずがやけに暗いのは襖が閉じたせいか、いつの間にか部屋の隅にぼんやりと灯りがあるのみ。ゆっくりと上体を起こして、胡座をかいては相手の細い腰へと腕を回し軽々と足の間へと運ばせてしまえば、卑しくも畏怖と煌めく金色の瞳、口の端から覗く犬歯を躊躇いもせずに小さな頬を片手で鷲掴みにしては「ごらん」と付け加えて無理に襖の方へと顔を向けさせる。閉じられたそこはゆらゆらと揺れる炎の灯りで朧げながらもしっかりと映る9本の尾を持つ4本足の獣の姿 )
いいか…お前の相手は“狐”だ。どんな悪戯をしてくるか分からないよ、もしかしたら気が猛ってその細い喉元に噛み付いてしまうかもしれない。───なんて、理性があるうちは大丈夫だがね。
( 再び自分の方へと向きを変えさせては頬を掴んでいた片手をするりと滑るように細い首元へあてがってやれば、身を屈めて大きく口を開ける。これだけだってその首は食いちぎれてしまいそうだと内心思いながら、歯先が触れるか触れないかのところで口元に笑みを浮かべるとポンポンと頭を優しく撫でてやれば辺りもいつの間にか先程までの和室と変わりなく。ちょうど部屋へとやってきた使用人に食事を片付けるよう添えてはそのまま片腕で相手を抱き上げて部屋を後にし。「お前さんに見せたいものがある。少し散歩しようか」とそのまま玄関へと向かえば適当にあった小さなサンダルを相手の足へと履かせてやり、自分は裸足のままだが今度は手を繋ぎたいのか優しくもあまり有無を言わさないそれのまま手を引いては外へと出て )
( / 遅くなってしまい申し訳ありません。バタバタとしていて、せっかくの時間もなかなか取れずに……落ち着いてきたので早めの返信になるかと思いますが、よろしくお願いいたします。 )
(/ 少しセイチャを離れている間に更新が!!
上げてくださってありがとうございます!
本体が少しバタバタしておりまして、今週中にはお返事を致しますので、今暫くお待ちくださると嬉しいです!)
( / お久しぶりです。
こちらもなかなか忙しく、顔を見せることが出来ずに申し訳ありませんでした。
お返事は急ぎでないので、お手隙の際で構いません。 )
(/ まだいらっしゃいますか?
以前の顔出しから半年以上ぶりで大変申し訳ございません。
2度も顔出しが遅くなってしまい信用ならない!と思われていても仕方ありませんが、もし、まだ物語を紡いでくださるのなら是非ともまた一緒に紡ぎたく存じます。
こんな私ですが、もしお許し頂けるならと思い顔出し失礼しました。)
( / お久しぶりでございます。
久方ぶりに覗いて見れば更新があったようで、気が付くのが遅くなってしまい申し訳ございません。
此方、まだまだのんびりとお待ちしておりますのでお気になさらず。 )
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