狐の面 2022-06-16 12:41:30 |
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揺れる窓の向こうは、煌びやかな都心からは離れていて鬱蒼と茂る竹林だった。
さらさらと葉の鳴る音が少しだけ開けた窓から聞こえてくる。
立派な門構えの大きな日本家屋、整えられた庭は時折、鯉が池の中で飛び跳ねる。少し離れた所にある蔵が少し怖かった。
女中に案内され、表と見違えるほどの立派な中庭に面した縁側を歩き奥の部屋へと通される。
現代では少し似つかわしくない御簾の掛けられた大きな部屋、鼻に掛かる季節外れの椿の香りが印象的だった。
畳の真ん中、座布団とお茶を用意されて1人にさせられると暫くしてから御簾の向こうで何かが動く音がした。
小さな声が聞こえたような気もしたが、緊張している自分の心臓の音が煩くて聞き取れない。
すると、流れるような音をたてながら御簾が巻かれ上がっていく。その向こう側、上座に鎮座するのはだらし無く和服を着崩した不気味な程に整った顔を持つ男だった。
「 狐の屋敷へようこそ 」
視界の隅であるはずのない彼岸花が風に揺れていた。
──────────
募集版でお声掛け頂いた方のみ。
(/2回も声掛けをするという失礼をしてしまい申し訳ありません。
御相手に選んで頂き本当にありがとうございます。
これからよろしくお願い致します。)
>>2
早速のお越しをありがとうございます。御足労いただきました。
こちらこそ、再度お声かけして頂けて大変嬉しく思います。
さて、それでは早速ではありますがpfの方を練り練りとさせていただければなと思います。
時は現代ですので、それに見合った見た目であればファンタジー要素はもちろん可能です。
また引き取られた家の苗字を“巫(かんなぎ)”と設定させて頂きたいので、そこだけはご了承ください。
これだけは外したくない、この要素は入れても可能か等質問等ありましたら気兼ねなくお申し付け下さいませ。
白髪、或いは銀髪の狐耳(耳は常時でも、特定時だけでも)が好きなのですが、大丈夫でしょうか…?解釈違いであれば無しで構いません。それ以外は自由に考えてくださって構いません
こちらのPFに追加要望がありましたら、なんなりと申し付け下さい。改めて貼っておきます。
鬼灯(孤児院での渾名)/10歳/120cm代
艶のある黒髪をおかっぱにし、まっすぐ揃えられた前髪は睫毛のすぐ上まで長さがある。肌はうっすら青白く、簡素な服から覗く手足は骨が少し浮き出る程細い。顔つきは目が大きく鼻が小さく、日本人形のように整ってはいるのだが、整っているが故に左右でやや色の違う瞳の不完全さが目立つ。左は光悦茶、右は漆黒のその瞳は長い睫毛を少し伏せるとやや妖艶さや人間離れした雰囲気を持ち、見つめられた並の人間は自然と恐れてしまうだろう。両親に産まれてすぐ捨てられた為名は無く、偶孤児院に捨てられたのが鬼灯の時期だった事や、鬼灯は堕胎の薬として使われた過去を持つ事もあり、鬼灯という渾名で呼ばれていた。瞳を他人に見られないよう、常に顎を引き、斜め前の地面を見つめている。その為、根暗な印象がある。声は年相応に高いものの甲高くはなく、良質な鈴のように耳障りの良い物。しかし最低限度しか話す事は無い。本人は非常に真面目な性格で、齢の割には幅広い知識を持つ。「忌み子」と言われ続け生きてきた為、自身の人生を諦めた様な言動(命令されれば迷わず自死出来る)をとりつつ、その言動には人間に対する怯えが滲む。
>>4
改めましてpfの方把握させて頂きました。
そうですね、渾名として『鬼灯』と呼ばれていたとありますが、何分現代が背景ですので名前はなくとも渾名ではなく現代味のあるお名前をつけてもらえると呼びやすいのかなと感じました。
勝手ながら綺麗な黒髪をお持ちとの事で一例ですが『夜美(よみ)』等。また、先にて明記致しましたが、苗字の方も付け加えて頂けると幸いです。
真面目な性格と人への怯えもあり自らの命等を軽薄視している様子が見てとれますが、命を投げ出せなんて命令は致しませんので是非ともその辺りはもう少し明るめでも宜しいのかなと。
年相応の子供さを滲ませつつも強かさなどが垣間見れるような形の幼子ですと大変好みでございます。
さて、諸々と申し上げてしまいましたが此方のpfの方も出させていただきます。ご希望通りになっていますと幸いです。
[主pf]
名前 御言 みこと
年齢 外見20後半
容姿 月を思わす白銀の髪は指通りの良いストレートで長さは太腿辺りまであり床に座ったりすると着いてしまう程。前髪は目にかからない程度でやや斜めに切りそろえられており、横毛は後ろ同様に長い。切れ長の涼しい印象とどこか人を寄せ付けぬような雰囲気を漂わせる目元、人では有り得ぬ黄金色に輝く瞳を抱く睫毛は長め。通った鼻筋は先が少々つん、としており薄い唇から覗く鋭い犬歯が特徴的。細身だが程よく筋肉のついた身体はどこか骨張ったく、両手の爪はやや長く伸びており紅く染まっている。肌の色は白くあまり健康的とは言えないが、それを気にせんと普段着ている和服は着崩していてだらしがない。いつも素足で庭を散歩する時などは草履を履いている。身長は182cm
性格 どちらかと言えば騒ぐ方ではなく物静かかつ、物事に対しての受け取り方が良く言えば楽観的悪く言えば無頓着。口数は決して多いとは言えないがコミュニケーションに必要な能力が欠けているわけでもなく、会話に問題はない。人当たりも良く比較的温厚で物腰柔らか、長い時を生きてきたせいなのか爺さんのような言動も多々みられる。人を揶揄うことや悪戯を仕掛けるのが好きだったり、分かりやすく感情を表に出したりと時折子供らしい面が見えたりもする。しかし腹のそこでは何を考えているか露知らず、時々見せる冷たい表情や言動が獣の本能のよう。
他 一人称「私」二人称「お前さん、呼び捨て」
狐を神の遣いとして大切に崇めてきた“巫”(かんなぎ)家に憑くお狐様。狐に嫁を捧げれば一族は永遠に幸せが訪れると。何代にも渡り一族から嫁を差し出してきたが、とうとう息子しか産まれず途絶えようとしていた為、孤児院から女の子を養子として貰い受けた。
都心の郊外、竹林に囲まれた大きく立派な日本家屋、整えられた庭に大きな蔵。いくつもある部屋の奥、中庭に面したそこに部屋はありとても広く娯楽の本が沢山ある。屋敷にいる間は頭に生えた白の狐耳も二本ある尻尾も隠す事はせず近場の竹林への散歩なども隠す事はないが、時折許された都心への外出時は耳と尻尾を隠して行く。
屋敷の中は自由に行き来できるため、たまに割烹着姿で台所で和菓子を作っている姿なども見えるとか。
名前も“そう呼ばれている”だけであって本当の名は本人も知らないという。
新しくやってきた“嫁”にとても興味を抱いているよう。
キャラ設定の変更や、PFを1から書き直しも考えてみたのですが、トピ主様の求める者と提供出来るものがどうしても違うなと感じた為、縁を解除させてください。
申し訳ありません。
>>6
申し訳ありませんが、話し合いの段階でその内容等受け入れられない場合があるのであれば厳しい言い方ではありますが、初めからお声掛けなさらないでください。
此方は真面目に御相手様を選ばさせて頂いておりますので、万が一他の方がお声かけして頂いた場合に其方の方々にも迷惑が掛かりますので。
この度はお相手に選んで頂きありがとうございます!
これから末永くやり取りが楽しく出来ればと思っております。
募集板にて簡単なpfを提出させて頂きましたが、これだけは外せない設定など御座いますでしょうか?
一応失礼かなと思いつつ、前の御相手様とのやり取りを見させて頂き、現代ファンタジーかつ苗字に巫をとのご指定があったのは拝見させて頂きましたが、他にもあればキャラを練る際の参考にと思っております。
改めましてはじめまして。
こちらこそ、気になっていたと更にお声かけまでありがとうございます。
そうですね…苗字の“巫”は我儘ですが入れていただくと前提として、子供さながらの好奇心や年相応のそれらしい言動が見えつつも、どこか大人びていて背伸びしているようなそんな要素があればいいなと考えております。
人外×少女って良いなと思っていただけにこれからやり取りが楽しみです。
なるほど。
こちらとしましては、提出したpfをベースとしつつも、初めはやはり居場所を無くないようにと気を張りつめていて、人に物事を聞かずに我慢、迷惑はかけないという気持ちでいますが、環境やお狐様と共に過ごす事で慣れが出てきて、徐々にあれは何か、これは何かと聞いてきたり、お狐様の耳を触らせて欲しいや髪に触れてみたいと言った礼儀は弁えつつもそんな我儘が言えるようになれたらと思っているのですが、どうでしょうか?
素敵だと思います。
孤児院という特殊な環境、都心(東京)から離れた郊外に急に佇む現代離れした立派な日本家屋が出迎え更にはまだ齢も幼い子供が嫁にと連れてこられれば萎縮してしまう事でしょう。
張り詰めた空気の中(きっとお作法等厳しい教育もあることでしょう)、必死に取り繕っていて急に緊張の糸が解ける時などそういった辺りも見れたらなと思います。
子供らしい我儘、大歓迎ですのでそういった相応の顔が見られるのを楽しみにしております。
また、此方のpfは上記の方にあるのを参考にして頂ければなと思います。
ありがとうございます!
では、そちらも設定に組み込ませて頂きますね!
お狐様のpfについて拝見、把握させて頂きました。とても魅力的なキャラで今から絡めるのが楽しみです。
下記より少女の詳細なpfを記載させて頂きます。
訂正や書き加えて欲しい等ありましたら、遠慮なく仰って下されさればと思います。
ーーーーーー
名前 巫 菖蒲(かんなぎ あやめ)
年齢 10歳
容姿 黒い髪を無造作に背中ほどまで伸ばし、瞳の色は紫色にやや特殊な色をしている。
鼻筋はスッと通っており、唇は薄く目を伏せれば影が出来るほどには長く幼いながらも将来有望性が垣間見える位には整っており、これまでの環境故に体つきはやや細く身長は120cm。顔立ち故か瞳の色ゆえか分からないが、どこか儚げな印象を持つ。
服装は嫁ならば白無垢がとも意見があったが、仕えるという意味で1番初めのご挨拶の時は巫女服が採用された。
尚、服に関しては巫家から御言様の機嫌を損なう事が無いようにと上質な着物を支給されており、日によって様々な着物へ着替える。
性格 これまでの環境から人の顔色を伺う癖がついてしまい、我慢が得意になってしまった。
かと言って心細い時、苦しい時、寂しい時は1人邪魔にならないように部屋の隅で声を押さえて泣くような繊細な部分もあり、本来の性格の名残か人や環境に慣れ、ある程度の弁えるべき部分が把握出来るようになると、元々の本好きで知的好奇心旺盛な部分や子供らしい我儘を言ったりと年相応な部分も勿論あるし見られるようになる。
備考 孤児院から巫家へ御言様の嫁にと引き取られた。
孤児院では別の名前で呼ばれていたようだが、瞳の色が紫色であったこと、曲がりなりにも我が家が崇めている御言様の嫁にと選んだのだから名前もそれらしいのをとの理由で、縁起の良い花である菖蒲が良いのではと言うことで改名。
突然、引き取られしかも狐の嫁だ、名誉な事だと言われ目を白黒させつつもそれを受け入れるしか自分の居場所は無くなってしまうと、初めの内は気を張りつめており、やや堅苦しく表情も硬いし、厳しい躾(着付けも含めて)も嫌な事で嫌いだが我慢をし続けているが、環境や御言様との距離の取り方が分かれば表情も明るく、子供らしい一面を見られる可能性は大いにある。
口調は常に失礼が無いようにと敬語を使い、その言葉の言い回しや所作は巫家から引き取られてからのものにしては綺麗なもの。
本好きとあるように年齢には割に合わないくらいの知識量、語彙力がある。
巫家へ引き取られた理由として、
・年齢の割に知識量、所作、語彙力が他の子よりも頭1つ抜けていた
・そこそこ見た目が良く、大人になったとしても気に入ってくださるだろうと思った
・厳しい稽古の中多少加減を誤っても、泣き叫んだりするような性格や子ではないと判断された
という大人の都合によるもの。
(/ こんな感じになりましたが、いかがでしょうか?)
とても素敵なpfをありがとうございます。
あべこべのように見えてどこか歯車のあったような性格でどのように変化していくのか、またその口から紡がれる言葉がどんなものかとても楽しみでございます。
もし、ひとつだけ挙げるとするならば背景は現代ですので着物に拘らず、シンプルな洋服等を着ても問題はありませんのでその辺を頭のすみーっこのほうに入れておいて頂ければなと思います。
他は特に問題等もありません。
さてそれでは開始のロルに回りたいと思いますが、希望する場面はありますか?此方と致しましては出会いも大切にしたいなと思うので、募集の際に付けて頂いたロルとは別に初めて“家”となる巫家に引き取られ当伽羅と出会う場面なんかをまた出来たらなぁと考えております。
こういう所からが良い!等ありましたら遠慮なくお申し付けください。
Pfを褒めて下さりありがとうございます!
服装に関しては、巫という家の名前と役割からして着物かなと思っておりましたが、洋服も大丈夫なのでしたら、基本は和服でたまに洋服といった感じで洋服描写もいずれ入れさせて頂きますね。
特に開始場面にこだわりはありませんので
主様が希望される御言様との出会いからで大丈夫ですよ。
もしかしたら、ロルの回しが似たようなものになる可能性もあるかもしれませんが、精一杯別の場面をイメージさせる描写をさせて頂きます。
ただ、初回文を回すのが苦手でして…申し訳ないのですが初回の絡み文をお願いしても宜しいでしょうか?
(朝露が朝日に照らされる前の事、まだ霧の煙る肌寒い朝は竹林の笹を揺らす葉の音が静かに響き渡り心地が良い。現代においては珍しくも古き良き大きな日本家屋の奥、無駄に広い畳の部屋、御簾の向こうで布団から起き上がる影がひとつ。ひとつ欠伸を零すと鋭い犬歯が覗く。着崩した寝巻き用の和服を軽く直しながら起き上がればすたすたと素足のまま縁側へ。腰の下と頭の上に生えた白い耳と2本の尾がこの世の理では到底理解出来ぬものと告げている。まだ寒い朝方、庭を眺めてはそのまま外へと出ていき、足の裏に感じる冷たい葉や土の感触がとても心地良い。揺らりゆらりと尾を揺らしながら無駄に広い庭を散策し、池にいる鯉を見下ろしては落ちた葉で揺れる水面の美しさに目元を細め。庭を横切り、そのまま門へと向かえば木の門は固く閉ざされているものの、簡単に開けることは可能で、開け放てばそのまま敷地の外へ行き囲むように広がる竹林の中へ。さらさらと音色の良い音に耳をすませつつ散歩をしていればどれくらいの時間が経っただろうか、遠くより香る匂い、慌ただしく動く足音にやれやれと腕を組むと家の方へと戻り。門を潜った所で世話人の女が何人も慌てた様子で飛び出して来るのを見ては支度やらなんやらと忙しいのだと告げられ、そう言えばなんて頭の隅で思い出しては僅かに口の端を持ち上げて)
私の“嫁”が来る日か─
/ 僭越ながら初対面の朝の場面から初めてみました。ざっと次のロルで場面を進めて頂いても構いませんし、菖蒲ちゃんの方も急に来客で引き取られ、諸々と着飾り等をされている場面でも構いません。
お好きに練って頂いて大丈夫ですので、お手隙の際にポチポチして頂ければなと。
それでは改めまして宜しくお願い致します。
………引き取られるなら、普通のお家が良かった…
(数日程前に自分が入れられていた孤児院の施設に巫家の者と名乗る人達が女児を1人引き取りたいとやって来た、施設の人も施設の人で大喜びし、まぁ、普通なら引き取る理由を聞くものなのか自分では分からない、それでもそれなりに子供が居た中で自分の何がこの人達に気に入られたのかは分からないが引き取られた。それからはとてもではないが耳を疑うような言葉ばかり言われた、曰くお前は我が家_巫家が代々崇める狐、御言様の嫁になる。曰く御言様に失礼があってはならない、これから作法等の教育、躾がある。曰く御言様に気に入られる事だけがお前を引き取った理由になる、し損じたらどうなるかわかっているな?と……確かに日本古来より狐とは密接な関係だ。例えば平安時代、帝を誑かしたとされる傾国の美女であり九尾の狐とされた玉藻の前、同じく平安時代で活躍をした大陰陽師安倍晴明の母は葛の葉と名付けられた狐と言われている。確かに日本と狐は密接だ、だが…それはあくまで昔の話であり本当かどうかも分からないフィクションに近いものだと認識していた。それがどうだ実際にこの家には長い時を生きてきた所謂妖狐と呼んでも良いような人ならざる者が存在し、崇拝されてきて、自分はその嫁にと選ばれた。笑い飛ばしたくもなる内容だが、それらを話した人達の真剣な顔と今されている身支度、どう考えてもそれが本当だとしか言えないようなそんな雰囲気の中、嘘だ、まやかしだなんて言える程自分は馬鹿ではない。見知らぬ人が自分の髪をブラシと梳いて髪を整え、また別の人は自分に所謂巫女服と呼ばれる白地に裾に赤い糸で縫われた上の服に、赤い袴、足袋を着せて着々と支度が終わっていく。彼等の言う御言様がどんな方でどんな性格でどんな事で逆鱗に触れるのかそれすら教えてくれたなかった以上、自分が一緒に暮らす中でそれらを手探りで探る他ないだろう、それはきっととても気を張りつめて生活しなければならないし、とても息が詰まるだろう。でもそれをしなければ自分の居場所は無くなくってしまう、やるしかない。それでもつい誰にも消えないように気をつけた大きさで零れ落ちた本音は間違いなく自分の気持ちそのものでしか無かった。そうこう思考を巡らせている内に支度が終わったらしい、これから御言様の所へ向かう、顔を上げても良いと言われるまで決して顔は上げるなそんな事を言われながら、前を歩く厳格そうな女性に着いていき、竹林を抜け大きな日本屋敷へと辿り着く。見た事ない大きさのお家、古き良き日本屋敷と言った整えられた庭や池周りを見渡して見たくなるが、きっとそれは前を歩く女性にバレてしまう、それは出来なかった。そうして歩いて奥の部屋へと着けば、大きな御簾が自分の前にあり、その真正面に1枚の座布団を敷かれた所に1杯のお茶が置かれそして自分は正座をし、いつその御言様が現れるか分からないため三つ指をついて頭を深く下げた状態にしておく、こうすればいつ現れても失礼にはならないだろう。だが気にかかるのは視界の隅に目に入るあの赤い彼岸花だ、彼岸花は日本でも咲く、咲きはするが咲く季節が夏であり、今の季節では咲かないはずの花が何故咲いているのか__そういえば、彼岸花はあの世とこの世の境、もしくはあの世で咲く花とされているから彼岸花と言うのは思い出した。ここはどこなのか現世なのかもしくは鳥取にあるとされる道反神社の大岩ような黄泉比良坂の境のような場所なのか、もしくは黄泉の国なのか……考えても考えてもその答えは見つからない、途端に恐怖心から体が強張り、床へ着く手がカタカタと小さく震える。怖い。自分は失敗すればあの世へと送られてしまうのではないかと思考が定まらず負の感情へと引っ張られる。とにかくそうならない為に御言様に気に入られなければ強くそう思いながら、その御言様が現れるのを頭を下げ続けながら待ち)
(/ 初回文をありがとうございます!
ロルがマンモスロルになってしまいましたが、身支度を整え終わり、御言様との謁見前まで進めさせて頂きました。これからよろしくお願いします。)
清めだのなんだのと面倒なものだ──
(立派な日本家屋、巫家。先祖代々より妖狐と契約し繁栄を齎してきた一族。昔はこの家にもたくさんの人間が居たが今となっては“現”当主の年老いた無駄に気の強い婆さんと数名の分家連中に使用人の女中ぐらいだけで次期当主を継ぐはずだった、子は息子で妻を持ちさっさと外へと出て行ってしまった。しかしながら今日は違う、やけに屋敷には車が止まり離れていた親戚や本家の連中も集まり活気がある。屋敷の奥にある禊場で白装束を着て湯に浸かっていれば扉の向こうで使用人が装束の用意をしているのに気が付き。さっさと出ていこうかと湯から上がると軽く耳と尾を振り水気を飛ばし、脱衣所へ出ては身体を拭かれ無駄に重ね着をされている狩衣へ着替えるよう促されるもそれを断りいつものだらしのない和服へと袖を通し、困惑しているとも諦めているとも取れる使用人の連中を置き去りにしては謁見の間へと足を運び。まだ準備が等と制されるも構わず襖を開けて入れば下がった御簾の向こうで小さく丸まっている少女の姿。用意されている座布団に腰を下ろしては肘置きに左肘を着いて、身体を崩し影に控えている使用人へ軽く手を上げてはスルスルと静かな音を立てて御簾が上がっていき。無駄に良い目と耳には、震えている指先も早鐘のような小さな心臓の音さえも捉えていて。右手に持った扇子をパチリと閉じては一言)
狐の屋敷へようこそ──地べたを這うようにしていては無様だ、面を上げよ。
………私は巫 菖蒲と申します。
名誉な事に貴方様の嫁にと選ばれました。
これから先、不束者ですがよろしくお願い致します。
(表をあげよとの言葉がどこか威圧感に似た何かを伝えてくる、これが畏怖と言うものなのだろか。神や神の御使いと呼ばれるモノはいるがこうして自分の前に現れ言葉を交わしたことなんて当然無い。怖さや緊張からか分からないがそのまま顔を上げるのは失礼になるのでは無いか?色々と悩んだ結果自分の事を軽く紹介した後に、見苦しくないようそっと顔を上げる、本来であれば顔を上げると言っても相手の顔は見ずに目を伏せ、相手の胸元辺りが見れる位まで顔を上げて自分は相手の顔を見ないが相手は自分の顔が見える位置までなのが古来の礼儀なのだが、そんな事も忘れてつい相手の顔を見てしまった。人ならざる者だからかその顔立ちは不気味と言っても良いくらいに整っており、極めつけには頭についた本来人にはない狐の耳、これだけ証拠を見せられれば巫家の者達が言っていた事が本当なのだと理解せざるを得ない。そんな事を考えていたせいで短時間ではあるが相手の顔を見つめ過ぎていた、すぐに目を伏せ相手の顔を見ないようにする、こんな方なのか……せめて外見だけでも教えてくれて良かったのでは無いかと支度をしていた者や自分を引き取りその理由を説明した巫家の者に対してちょっとした苛立ちに似たような愚痴を心の中で呟くも、次に思ったのはこの方に気に入られるだろうか?この方をなんとお呼びすれば良いのか?と目の前に体を崩して座する相手の事ではあるが、まだそれらの疑問を口にして良い頃かは分からない。とりあえず相手の許しが得次第呼び名については聞く事にしようと心に決めながら、相手が自分をどう評価されるのか、それを耳を澄ませ一言も聞き漏らすことが無いように未だにカタカタと小さく震える手も耳元で鳴っているのでは無いかと思うくらいに高鳴り五月蝿い心臓の音も無視して、大人しくじっとしていて)
(/ こんにちは。1つ質問が出てきたのですが…これから先共に過ごせば時も移ろい、少女も時と共に大人の体へなると思うのですが、その時に嫁として夫婦らしい事はあるのでしょうか?私個人としてはあっても無くてもどちらでも良いですが、気になりまして)
──そう震えるな。何も捕って喰おう等と思ってはいない。
(しゃらりと再び開いた扇子。僅かに上がった顔、余程礼儀を弁えているのか今まで出会った嫁とは程遠い大人びた印象を受けるのは言葉遣いとその仕草故か。菖蒲と名乗った少女は、女中が話していた齢十に無しからぬ知識の持ち主のようで。かちあった視線の先、名と同じ菖蒲を連想させるような瞳の色、身支度をし綺麗に結えられた濡れ羽色の髪。抱く睫毛の下に見た色は少しの恐怖か畏怖か、閉じてしまった瞳に残念に思いながらもふ、と風が吹き。いつの間にか相手の前へと移動していては片膝をついて持っていた扇子をパチリと閉じるとその先で相手の顎先を持ち上げ、紡がれたそれは安心させたくてか揶揄いたくてか否かはさておき、すぅと細めた目元と緩く弧を描く口許、着いていた膝から左手を離すと扇子の先に乗る小さな顎、どれだけ大人びようとまだまだ幼さを残す顔。もう一度だけその睫毛に抱かれた菖蒲の華を見たくて離した冷たさのある左手を相手の片方の方へと伸ばし鋭利に伸びた紅い爪の先、骨張ったさのある細い親指ですりすりと頬を撫でて)
眼を開けてごらん。私にその“華”を今一度魅せておくれ。
(何処か意地の悪い、狐特有かと取れる程に口の端を持ち上げてみせては僅かにその隙間から赤い舌と鋭い犬歯が覗かせては大人しく従うか否か相手の返答を待って)
( / そうですねぇ…。少しずつ成長していく過程、夫婦の描写は個人的には大変好み故、是非取り入れていきたい所ではありますが負担にならない程度で構いません。
追追そういった所も出来たらなぁと考えております。 )
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