人魚 2022-05-24 10:29:57 |
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ふむ、なる程な…(相手の記した説明の言葉に少し自分の顎に軽く手を添えながら呟いて。勿論相手と今後を共に過ごすのであれば、居心地の良い海水を用意してあげるのが当然ではあるものの、運悪くも今の地域から近い海水の水域は南方にある相手の住んでたと思われる地域、そこは距離としても遠い為にそう易々と用意は出来なくて。どうしたものかと少し頭を悩ませていたが、ふと少し前に雇ったばかりの少年使用人は水の魔法を少年がよく知る水を出すだけしか出来ない程度だが扱えると聞いたことがあるのを思いだし、その上で確か普通の真水ではなかった事を思い出して)
……海水、かどうかまでは覚えてないが、もしかすれば用意が出来るかも知れないな。ただ俺はそこまで詳しくないから、ノアに判断してほしい
『我儘を言っていいなら…海水が一番嬉しいです』
(相手の言葉に少し反応を見せたが果たしてこんなにいい待遇を受けているのに我儘を言ってもいいのかと思って少しだけ迷いを見せる。本音を言えば海水が一番いいけれど本当にどんな水でも多少は居心地の悪さを感じることはあれど慣れていることもある、そう考えてから我儘を聞いてもらえるなら言ってもいいかなと思い、紙に書き)
分かった…ある使用人を呼んでくる。待っていてくれ(まだ寝巻きのままではあるが、今日は特に出掛けたり人と会う約束もしていないからこそこのままで良いか、と思い相手の願いに応えるように頷き使用人室のベルを鳴らすボタンを押して。魔法具で作られたそれは押すと同時に使用人の待機している部屋のベルがなる仕組みであり、一人で暮らすからこそ必要と判断し取り入れたもので。それを鳴らして数十秒後、駆けてきた別の使用人に淡々と少年使用人を呼び、彼に水を張れる桶を持ってくるよう伝え。そして少年使用人を待つ間、再び相手の傍に歩み寄り質問をしていた時のように穏やかな調子でまた質問をして)
ちなみに水槽の水は海水であれ他の水であれ…定期的に変えた方が良かったりするのか?
『冷たい水の方が嬉しいです』
(相手のしていることが初めてみるものでぼーっと見ていると質問をされたので素直に答える。先ほどまでどこか冷たくかったが、自分と話すときは穏やかで、もしかしてそんな姿は自分だけが見れるのだろうかなんて考えながら、今から何をするのかと思い水槽から少し身を乗り出して待ち)
なるほど、冷たい方が…なら定期的に変えた方がいいかもな…入れ(相手が常に身を置くのであれば、定期的に入れ換えれば冷たい水を常に用意はできるからこそ、相手からの希望にそう言葉を呟いて。そうしてればノック音が聴こえ男児の『失礼します!』の声が聴こえれば端的に入室を許可し。ドアを開けて入ってきたのは見た目は10歳程の使用人服を身に付けている小さな桶を持った男児であり、何処か緊張をしている様子であることが容易に想像でき、彼に近くに寄るよう促せばオズオズと歩み寄ってくる姿を見つつ相手にこれからする事を伝えて)
…これからコイツが桶に出す水が海水かどうか、ノアに見極めて欲しいんだ
『分かりました、触れさせてくれたらわかります』
(緊張気味にやってきた少年に少し微笑んでから少し身を乗り出す。海水に触れるのと、他の水では矢張り違いがわかるので少年の方へ手を伸ばして、触れさせてもらえますか?と言うかのように首を傾げて)
(別に少年使用人が出す水が海水でなくともまだ見習いである彼を捨てたり私刑に処す予定はないが、緊張の面持ちのまま頷き簡易の魔法で桶に海水を張った少年使用人はそれを相手に差し出しており。勿論それが海水であるかどうかなんて自分は分からないため相手の反応を見逃すまいと相手の方を静かに見ていて)
!
(手で触れると、矢張り海水は今自分が入っている水とは違いどこか心地が良く、それでいて陸に来てからはずっと触れることの出来なかった懐かしいものでもあり、嬉しさと矢張りホームシックのような寂しさから涙が目から流れて両手でなんとか止めようとするが止まらずこのまま泣いていたら目の前の小さな子が心配してしまうと思って涙は流しているが微笑み、紙に書き)
『ジルさんも心配かけたらごめんなさい、ひさしぶりに触れて思い出しちゃって。海水で間違いないです』
っ…そ、そうか。なら…ルメールだったな?(涙を流す相手に驚いて歩み寄ろうとするも、涙を流しつつも書き始めた相手の様子に一度歩みを止め。いくら私刑に処す予定は無かったとは言え相手が泣いてしまうのは想定外であり、これが相手が傷付いたという意味の涙ならば話は別で。しかし、どうやら海水に触れた事で昔を思い出しただけのようで安堵し、改めて少年使用人の方を振り向き。相手が泣いて何か書いてそれを見た自分が視線を向けたことでビクッとしていた少年使用人の名を呼べば緊張から上擦った声で返事をした彼にある仕事を言い渡し。それを伝えれば机に桶を置いて去るよう伝えれば、元気に仕事受諾の返事をし深い礼をしたかと思えば相手にも最敬礼をして、海水の入ったままの桶を置いて部屋を去り)
ルメール、お前には今後ノア用の新しい水槽が出来た際の水槽管理、そして俺が不在時のノアの相手をする仕事を与える。勿論、使用人見習いとしての責務も果たすこと。分かったらその桶をノアの机に置き部屋から出て良いものとする
『はじめての人間のお友達ができました。ジルさんもありがとうございます』
(桶を置いて行った少年に見えていないだろうが手を振ってから桶に入った海水に手を入れながら嬉しそうに笑顔を見せる。相手の命じた自分の相手をすること、と言う言葉にも反応し、友達になれると言うことだと思い嬉しそうに紙に書いて相手への感謝も述べ)
…お友達、か。ルメールのことは好きに扱って良いから、友達として扱うならそうしとけば良い(自分としてはあの少年使用人は自分が居ない間の世話役という意味合いで言ったのだが、相手がどう彼を扱おうとも気にする必要は無い筈なのだが、何故か心の奥にモヤリとした何かが渦巻く感覚を覚え。それは相手からの感謝の言葉が記された紙を見ても晴れる事はなかったが、それを悟られぬよう笑顔を浮かべそう伝えて)
『はい、また声が出たらお話とか、ジルさんのこと聞いたりしたいですね』
(相手の笑顔に同じく笑顔で返してから、使用人から見た貴方の印象も知りたいと少し頬を染めながら言う。自分の中で相手は命の恩人であり人間の中で大事な人となっているので、もっと知りたい、だからあの少年にも聞いてみたいなと思いながらふと桶の海水で波を立てるのをやめて相手を見つめて聞いてみたかったことを紙にゆっくり書き)
『もし僕が海に戻りたいって言ったらジルさんは僕を手放しますか?』
海に、か…(相手の頬を染める姿にやはり美しい、そう思いながらも、相手と少年使用人が仲良くなるのが少しだけ許せない、と考えてしまう自分もいて。そんなタイミングで書かれた言葉、もし海に帰りたいと言ったら手離すか、その言葉に自分の心臓に鋭い何かを突き刺されたような衝撃を受け、ポツリと言葉が漏れ出て。確かに相手は本人の不注意とは言えど無理やり捕まりこの陸地まで連れてこられており、自分が落札し自分の傍に置いておける事となったが、相手からすれば帰りたいと願うのもまた事実だろうと考えて。それでも、ここまで美しい存在である相手を手離したくない、生涯をかけて自分の隣にいて欲しい、そんな自分勝手な想いが相手の願いを叶えたいという言葉を告げる邪魔をしてしまい、結局明確に答えることはなく自分の願いを暗に込めた問いを返し)
…もし、俺がノアをこの地に縛り付けたい、そう言ったら、ノアは俺を嫌うか?
『わからないです』
(相手の言葉に少し言葉に詰まる。心の隅で優しい相手ならと期待していたので少しだけ傷ついており、けれど何故か嫌いにはなれない自分がいて分からないと呟く。もし相手が手離なすといってもきっと素直に喜べてないと思う気持ちがありただ一言書いてから少し眉を下げてから笑顔を見せて続けて書き)
『でも今のところジルさんと一緒にいるの好きなので、言いません』
そう、か…すまない。正直、今の俺はノアと居れることが事が嬉しくて仕方ないんだ。だから、絶対に海に帰せるとは約束出来そうにない。ただ、俺に何かあった時等ノアを海に帰したい時が来たら…その時は、ノアを海に帰す事は約束する(相手の…人魚の寿命がいつまでなのか、それは全く知らないがもし自分に万が一の事があったり、相手と居ることに飽きが出てきたらその時は…その思いがあることも確かで。だからこそ、相手からの返答が記された紙を見て安堵したようにポツリと呟いては一先ずの謝罪とその理由、そして今はまだ確約は出来ないが何かしらの理由で帰したい場合には帰す事は約束すると伝えて)
……『いえいえ、それまでの間は僕も楽しみます』
(告げられた言葉はいつかは帰れるかもしれないと嬉しさとは対照的にいつの日か飽きられたと言う理由で捨てられるかもしれないという何故か不安のような気持ちが出て少し書く手が止まるが何もなかったように笑みを見せてその間は楽しむと書き、心の中では飽きられないこと、相手の身に何もない起きないことを願い)
そうか、ならコッチでは沢山旨い飯を毎日用意しよう。それだけじゃない、俺のお気に入りの店の人間を呼んでノアのお気に入りの宝石とか装飾品を選んだり…色々陸地でも楽しめるようにするさ(ここにいる間は楽しむ、相手のその言葉にやはり相手は帰りたいと願っているのだろうか、と薄々ではあるが感じ取っていて。ならば自分の傍に居続ける為には、そう考えれば海の中にまつわるもの以外で相手の心を掴めればと考え至り。幸いにも料理人は腕利きを抱えている上に、特に気に入ってる宝石店や装飾品類の店は呼べば屋敷まで来てくれるらしいから呼んで相手と共に品定めをしてみるのも悪くない。正直金の使い道もあまり無いから無駄に貯まりつつあるからこそ、相手のために国内に金を回らせるのも悪くない、そう感じてきていてニッと笑いながら色々提案し)
『ありがとうございます、でもジルさんにも選んで欲しいです』
(毎日美味しい料理、そして相手の好きな宝石や今髪に留まっている装飾品、相手の好きな美しいものに入る自分をもっと綺麗に着飾ったら相手も飽きないだろうか、そう考えて笑顔で頷く。きっと美しければ…と相手のそばに居ることを考える自分のこの気持ちは何なのだろうと思いながらペンから手を離して笑っている相手へ手を伸ばし)
勿論さ…どうしたんだ、ノア?(相手の笑顔は窓から射し込む光でより美しさが際立っているようで、少なくとも相手に飽きる事はまず無いだろう、その結論に至るのは最早必然的で。そんな相手がペンを手離し此方へ手を伸ばす、その仕草にどうしたのかを問いつつも一切躊躇うこと無く相手の水槽のすぐ傍まで歩み寄り)
……『もう少しの間はそばにいさせてください、なんて』
(本当はぎゅっとしたいけれど今は濡れているため、相手を朝から濡らすわけにもいかず両手を相手の頬に添えて額をくっつける。なぜそうしたいのか自分では分からなかったが、目を瞑って心の中で呟いてからまた瞳を開けて相手に微笑む。ただ、相手に触れたかっただけだが触れただけでなんだか幸せに思って手を離し)
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