愛を謳う　【 ホスト/BML 】

>62　神崎さん

──初めまして、神崎さん。初回のお客様は俺のこと指名するのがルールなんで、よろしくお願いします。
(　ふいに頭上に影が差し顔を上げる。そこに佇んでいたのは常連客のうちの1人で、人覚えの悪い己でもパッと名前が出てくるほど頻繁に店に出入りしている人物だ。ここで他のキャストだったら甘い台詞の1つや2つ囁いて丁寧にもてなすのだろう。しかし自分は白々しい誘い文句に興が乗り、薄く口角をつり上げ。涼しい顔でさらっと嘯いたのなら「どいつ目当てだったかは知りませんが、今夜はそいつよりも楽しませてやりますよ。」と若くして数々のライバルを蹴落としてきたからこそ瞳には絶対の自信が浮かび、飄々と微笑んでみせて　)


>67　フユさん

どうも、結構腹減ってたんで助かります。
(　深夜であっても途切れない人の波をぼんやり眺めていると誰かから声を掛けられ。緩慢な動作で振り返ると先輩のホストが立っており軽く頭を下げ。空腹中ということもあり、無表情の中に喜びを薄く乗せありがたくペットボトルを受け取る。先輩が来たから真面目に働く…なんてことは無く、他のスタッフの目が届かない外に解き放たれたことでいつも以上に奔放で。此方を見下ろす相手のお腹に急にごすっと、痛くない勢いで頭突きをすれば「客引きの仕事って最初は楽しいんですけど、段々飽きてきません？コンビニ行きたいです。」なんて正直過ぎるくらい正直に不満をこぼして　)