訳アリ少女の不安な情緒（〆）

…ぁ…えと、おれ……いや、自分は神谷って言うんだけど……う、うん。よろしく

( 大学生活初日。同じ学科の人達と初めて顔を合わせることになった。この容姿だからか、まずは女の子からよく話しかけられる。そして次に彼女を作りたがっていそうな男たちからよく話しかけられる。
しかし誰から話されてもぎこちない返事しかできない。今しがた新しく声をかけてくれた女子も例外ではない。するとその女子は自分を変な人だと思ったのか、挨拶もそこそこにすぐにその場から離れ、他に出来ていた女子グループの方へと混ざり楽しそうに話し始めている。)

はーっ……どうすりゃいいんだ……。

( 男と絡むにもこの女の身体じゃ彼女候補として見られそうだし、かと言って女の子たちに混ざるにも騙しているようで嫌だ。それにいつか戻ると思えば……その時にややこしくしたくないから今友達を作るべきじゃない。
そんな言い訳を自分に言い聞かせ、決して今の状況が寂しいわけじゃないと心の中で説得しながら顔を机に伏せる。)

いいんだ、大学は勉強するところだし。

( 色々な言い訳を考えては小さな声で口にして、そんなことを繰り返しながら……。誰かこんな俺でも相手にしてくれる人がいないか、そんなことを考えてしまわないように。他の考えで塗り潰そうとしていて。)

──グループ？ うんうん、じゃ私も…… うおっ、そのアイコンのヤツ何？ めっちゃいいじゃん
──あっ、じゃ私行ってくるよ～。 イイってイイって。 けどちゃんと取っといてよね～
(大学生活初日。 張り切って臨んだのはいいものの、蓋を開けてみればそう大したものでもなかった。 ポップコーンが初めに勢いよく弾けるみたいなもので、最初の内に混ざっておけば人付き合いなんて些細なものだ。 )

うーん、やっぱり損だよなぁ。 こういうの……
(言伝の用事を押し付けられたくらいで大袈裟だけれど、そうして結局、またいつも通り。 周囲の人が変わっただけで、それぞれの役割は変わらず。
そんな事を巡らせながら戻る最中だ、机に伏せる彼女をみとめたのは。 )

ねぇ、おーい。 大丈夫？ 具合悪いかな。

(放って置くこともできたけど、そうして声を掛けたのはきっと、隅に追いやられて弾けなかったコーンの種みたいに見えたからなのかもしれない。 )

(/先レスありがとうございます～！ 何卒よろしくお願いします！)

うん……？

( 呼ばれた気がしてふと顔を上げてみると……そこにはまだ話していないが確か学科内の子である女子がそこに立っていた。
あぁ……まだ居たのか、俺のおかしさに気がついていない人が。
そんなことを思えばまだ友達を作るチャンスがある……という想いと、いやいや大学は勉強するところだし友達なんていらない、元に戻るまでいらない、という偽りの想いとが交錯していく。そんな葛藤に苛まれたその少女の表情は少し険しいかもしれない。)

いや…具合は悪くない……大丈夫。

(葛藤によって作られた少しの間を制したのはその言葉。心配してくれた相手に対して、いくら事情があるとはいえあまりにも素っ気ない対応をしてしまったことをすぐに激しく後悔しながらも……取り繕うにもどう言葉を紡げばいいか分からない。)

…やっぱり、浮いて見える…よな？

(あまりにもどうすればいいか分からない中、心の中で思っていた言葉を小さい声で無意識に口にしてしまう。それは相手に聞こえているかどうか分からなかったが、口にしてしまったことを自覚すると慌てて恥ずかしそうに口を抑え……。
何言ってんだ俺はーーッ！　と激しく心の中で自分を叱咤して。)


(/ サンプルロルの時から感じていましたが、本当にとてもとても素敵なロルですね…！語彙も多くて羨ましい限りです)

(/ あ、23見えてなかった…。
こちらこそ改めてよろしくお願いします！)

ホントに？ いや…うん、それならいいけど……
(顔を上げた彼女とぱちりと視線がぶつかって、暫しの間。
それから続けて、絞り出したように出た言葉を真実、鵜呑みにできる人間がどれほどいるものか。 実際に大丈夫な人は、そもそも大丈夫だなんて言ったりはしない。
聞いたのはこっちだけど。
ここでもう少し深く首を突っ込むより、そっとしておいた方が良いのかも、と程々に切り上げようとした時だ。 周りの喧騒に掻き消されかねないような、小さな声を聞いたのは。 )

…………ん～、なるほど、うん。
(ああ、なんだ。 簡単なこと。 こうして新しい環境に放り出された中で、周囲と馴染めずにいたってだけ。 考えていたよりずっと答えはわかりやすくてふっ、と軽く笑い声が私の口から漏れて。
丁度、彼女も自分が口に出していた事に気付いたみたいで、その恥じらう仕草もやけにかわいい。
浮かないようにしがみついて、沈まないようにしてる私も、石の下に隠れて沈もうとしていたこの子も、あんまり変わらないな。 そんな同族意識を感じたのかはわからないけど、私は彼女の隣にあえて無遠慮に座って。 )

どうだろ、浮いて見えるもなにも……私はまだ何にも見てないし。
あ、私安田 汀花だよ、よろしくね～。
(そうして、声をかけた。 )

(/ ウオーッありがとうございます！ 自分の文体が若干スタンダードから外れてる自覚があるので、そうして言ってもらえると嬉しい気持ちがあります！ )

…なっ……！
(また机に突っ伏したところ、ふっとした笑い声が聞こえてくると今の漏らした言葉が聞かれてしまったのだと気がついて更に急激に顔を赤くしてしまう。
不意に口をついて出てしまった言葉。決して聞かれたくなかったのに不覚にも聞かれてしまっていたらしい。
また変な人に思われる……そんなことを考えながら頭を抱えて恥ずかしさのあまり結局顔を机に伏せてしまうが、隣に人が座った気配を感じれば、そこには先程の少女。
今のを見てなんで隣になんか座ろうと思えるんだ…？と驚くような表情をして)

…ぁ…え、えと…おr…じゃなくて……自分は神谷…し…ほ…だけど……。
(ただ自分の名前を名乗るだけなのに、ところどころ言葉を詰まらせながら。特に自分の名前を言うところなんて何か言いにくそうにしながらか弱く小さな声で口にする。
それは当然女の名前、一人称なんて全く慣れてないからだ。特に自分の名前を志穂と名乗るなんて恥ずかしくてたまらなく、消え入るような声で名前を口にした後はまた頬を真っ赤に染めていく。

しかし……よく考えてみればこれは友達ができるチャンスなのではないか？
一度は諦めたはずだった。しかしさっきの変な会話でも引かずに隣に座ってきた彼女を前にまた友達の欲しい気持ちが、押し潜めたかった寂しい気持ちが蘇ってきてしまう。
この子ならもしかして……そんなことを思いながら)

なぁ……。なんでおr…じゃなくて、自分なんかに…？
みんな気持ち悪そうに引いていくのに……。

(そんな、この十数分で起きたことを思い起こしながら、それでもほかの人とは違う反応を見せた少女に救いを求めるかのように。
そんな羨望と言うべきか、神様を見るようなと言うべきか、そんな光るような目線を隣の少女へと向ける)


(/ 本当に安田さんがお相手でよかったです。それくらいドンピシャで好きなロルですね)

神谷…志穂ね、うんうん……
(注意深く、口吃りながら呟かれる声を聞き逃さないように拾っていく。
私の事を怖がっているのかとも思ったけど、それよりはどうにも、こうして自己紹介する事自体に何らかのハードルがあるようで。
そうして恥ずかしそうにどうにか自己紹介を済ませたのを見届ける私の脳裏に、子犬とか子猫が覚束無い足取りで転げながら歩くVTRとか、そういう類のイメージがぼんやりと浮かんできた。 )

えっそりゃ別に、気持ち悪いだなんて思う理由もないし。
……私にそうしてほしいなら、そうしてもいいよ～？
(勿論、きっとそんな訳はないだろう。 こんな様子を見て、あっこの子は誰かに嫌われたいんだなぁ。 だなんて受け止める人間がいる訳が無いのだ。 )

残念だな、せっかく仲良くできるコを見つけたと思ったんだけど…… ごめんね、邪魔して。
(だからそうして溜息を吐き、ついっとそっぽを向いてみる。
……横目でちらり、と様子を窺いながら。
要は、志穂ちゃんはお腹の減ったハリセンボンとか、そういう類のヤツなのだ。 精一杯チクチクしてみせても、元から疲れているからそんなに怖くはないし。
目の前にわかりやすい餌を投げられても、このチャンスを逃せるほどの余裕もないってこと。 出会って数分で何を知った気になっているんだ、って感じでもあるけれど。 )

(/ wow！ そこまで言っていただけるとは……！
ごめんなさい、自信ない志穂ちゃんがなんだかかわいくてちょっといじわるしたくなっちゃいました……)

ぁ…ぇ…？　そうするって……？

(もちろん気持ち悪がって欲しいと思っているはずはない。けれど、まるでそう受けとったかのような、いじわるめいた言葉を聞けば、おそるおそるまさか？と言うように相手の様子を伺って。
するとそっぽを向いた彼女。まるで自分から興味を失ったかのようなその態度。
「仲良くできる子を見つけた」
今日関わってきた誰からも感じ取れなかったその言葉を口にしてもらえたのに、自分のせいでやっと見つけた関わってくれる相手を失ってしまう。そう思えば口をパクパクとさせ露骨に慌てる様子を見せ)

や…違うっ！　邪魔じゃないっ…！

(ガシッと相手の腕を掴んで捻り出したその言葉を口にしながら、さっきのは違うんだと言うような視線を向けて。
どうか、こんなにおかしなことをしている俺に関わってくれるこの子がどこかに行ってしまわないように。
そう思いながら、腕を掴んでいる。

……腕を、掴んで？)

ぁ…ま、待って！　これはちがくて……別にやましい気持ちとかなくて……！

(傍から見れば女子同士のスキンシップ。しかし志穂から見たこの現状は違う。
男が、女の子の身体へと簡単に触れる行為。
どう考えたって気持ち悪いその行為。どさくさに紛れて女の子の肌を触りに来た男、本当にそんなつもりはなかったが、そう見られてもおかしくない。
せっかく友達になれそうだったのに……自分がつい変なことをしてしまったせいで、そんなことを考えていれば先程からずっとあわあわして落ち着けず。
そんな冷静さの欠けらも無い彼女に、これは客観的にはただの女子同士の触れ合いに見えるだなんて、一切考えられるはずもなく。)

(/ ロルの中の喩えがすごくいいんです！(その良さを伝える語彙力が私にないのが悲しい限り)
全然大丈夫です！むしろ楽しい。
ちょっと暗くしすぎちゃったかな～って心配してたのもあってとても助かります～！)

ん！ そうそうそう、それだよそ、れ……？
(気持ちがそのまま表れたように私の腕を掴む手、続く言葉。 やっと本当の気持ちが聞けたみたいでほっと胸が軽くなったみたい。
にっ、と笑いかけて続けようとした私の言葉は、その後の志穂ちゃんの様子に徐々に尻窄みになって。 )

えっえっ、ちょっ…… 大丈夫だよ。
痛かったとか、そういうのもないから！ むしろほら、そういうのええと……好きだし、ね！
(わたわたわた……と、戸惑いながらも、とりあえず安心させようと声をかけて。
やっぱり、なんだか彼女の気にしているポイントはどこか私の想像しているものとは外れているような気がする。
強く握りすぎたのか、とかそういうことを心配して狼狽えているというよりは……体に触れたことに気が向いているような。 )

ねっ、ほら。 私別にそういうの、ヤじゃないよ？
だからさ、ほら。 １回深呼吸しよう、落ち着いてー、はい。
(私の腕を握った手の甲を、そっと空いた手で触れて宥めるように語りかけて。 )


(/ あっ良かったです、安心しました……！ )

ぁ……！えと…えっ……！

(いきなりスキンシップに走ってしまった、と後悔して慌てふためいていれば、それに驚く様子の目の前の少女は逆にこちらの手に触れて宥めるような言葉をかけてくれる。
しかし……女子に手を撫でられているという状況、冷静に受け止めれるはずもなければ顔がまた真っ赤に染まりあがっていく。
女子特有の細い指、ひんやりとした手のひら、ごつさの欠片もない優しい肌触り。
そんな感覚が自分の手の平へと伝わってきて、興奮しない男がいるものか。
どうしてこの子はいきなり初対面の男に対してこんなに無防備なのだろうか、そんなことを考えながら恥ずかしくて目線を下げてしまえば、自分の膨らんだ胸元が目に入る。
そこでようやく自分の立場を理解する。そういえば俺は……そう思えば少しずつ冷静さを取り戻しながら、汀花に言われるがままにふぅっと深呼吸をして……)

ご、ごめん……そ、そっか、女同士だもんな……。

(そんな感想をつい口にしてしまう。そう、よくよく考えたら今は女同士なのだから、これくらいのスキンシップならなんでもないのか？
高校時代、女子同士がよくキャッキャと触れ合ってたのを思い起こせば……。いや、でも結局あんなテンションで当たり前のようにキャッキャと出来る自信はない。
それに……結局これが傍目に普通に見えていたとしても、男の俺としては心中穏やかでない。
先程までよりは落ち着いているものの、手を触れられている間ずっとドキドキと鼓動が早くなるのを抑えることはできず、顔も多少は引いたもののまだ赤いまま。)

うんうん、そうだよー。 全然フツーの事だって！
……志穂さんとちゃんと話したかったからさ、いきなりこんなことしちゃった…あっ！
(若干力技だったけど、先程までよりずっと話せる状態になったみたいでほっと内心胸を撫で下ろす。 そしてそろそろ大丈夫かな？ と様子を見ながらそっと手を離す。
はにかむ表情や、ほんのりと赤くなった頬…私の一挙一動を窺う雰囲気がなんだか子ウサギみたいで愛らしいけれど、同時に段々と心配になってきた。 この調子だと本当に、私が話しかけなかったらずっとそのままなんじゃないかって。 )

とりあえず連絡先とか欲しいんだけど、いい？LINEとかやってるー？
(まるっこいフォルムのオバケのキャラクターのスマホケースに収められたケータイを取り出し、志穂みたいな内気(勝手な判断だけど)な雰囲気のコなら、案外文上のやり取りも悪くないんじゃないかな、という狙いを込めてそう訊ねて。
机にコトリ、と置いたスマホの画面には、『ダテ』というネームのアカウントが表示されており。 )

さ、さんって……。よ、呼び捨てでいいよ、同じ年なんだし……。

(唐突なさん付けに若干戸惑っては少し距離を感じてしまってそんなことを言って。
チラリと目の前を見ると、曇りのない表情で気軽に接してきてくれている彼女の姿。それは今まで初対面だった女子からは感じたことのない雰囲気。ああ、やっぱりこの子は俺のことを完全に女子だと感じて接してきてくれているのだろう。
実際見た目にはそうなのだが……もし俺が男だと知ったなら、その時はどんな表情をするのだろうか。
せっかくできそうになった友達。そんなことを打ち明けてまた離れられたら嫌だな、なんて。
このまま騙していくしかないのだろうか……、そんなことを考えていると、LINEの交換を提案されて。
新しいクラスメイトや友達ができたときの恒例行事。もちろんと、真っ黒の特に柄もない手帳型のケース、あまり女の子が選ばなさそうなそれの中に入ったスマホを取り出して開いたところでぎくりと身体を震わせる。

まずい……アイコンとか名前とか何も変えてない。

でもここで女の名前に変えたら、逆に俺がこうなったことをまだ知らない昔の友達にバレる。どうすれば……と数秒考え、とりあえず応急処置として名前を「かみや」に変える。
アイコンは……アニメの女キャラ。男っぽくも女っぽくもないものに変えたいけど……そんなの思いつかないし、探してる時間もない。
とりあえずこのままでも一応顔が映ってるわけでもないし……！
そう考えればまたドキドキと緊張しながらようやくLINEの友達検索画面を開いて)

え、えっと……こ、このダテだよなっ……！　い、今すぐ送る……！

ん、そう？ ふへへ、わかったよー。
(距離感を探る為に呼び名を色々試して見るつもりだったけど、思ったより早く成果が出たのに思わず軽く笑みを零して。
それから、暫し通知が来るのを待つ。 )

……お、来た。
これね、あん「だ」 と「て」いか、の間の二文字くっ付けて『ダテ』なの。 別の名字みたいになっててイイでしょ。
(多少の間が空いたけれど無事滞りなく行えたらしく、追加の通知が来たのを確認してトークの画面へ移動し、『よろしく～』と手を振るスタンプをシュポシュポと送信して。 )

よーしよし、よろしくね～！

(/ 若干時間が取りにくくてお待たせしちゃってます、ごめんなさい！ )

う、うんっ……

(ふへへと笑ったその少女の笑みは柔らかく、普段あまり見れないような女子の表情にドキッとしてしまう。男の時だったらなかなか見れなかったな、なんて考えながら。
IDを打ち込めば出てきた「ダテ」に友達申請を送り、適当なスタンプを送る。
それを見る彼女の様子は…。特に何も怪しんでる様子はない。ホッと心の中で一息ついていると、アカウント名の説明をされて。)

なるほど……確かにいいな。おれ……じゃなくて、えっと、こっちだったら……ヤシ？

(危ない危ない。油断したらついつい俺と言ってしまいそうになる。ギリギリ言い直せたかな？と不安にはなりながらも平静を装って、何事も無かったかのように、自分が彼女のようにしたらどうなるかを口にして。
それにしてもヤシかぁ……。別の苗字っぽくは全くならないけど、なんかそれはそれで意味のある文字になったな、なんて考えると少し面白い。
そんなことを考えてると、無意識のうちに穏やかな表情をしてるかもしれない。ずっと付きまとっていた緊張は、不思議と彼女との触れ合いによって少しずつ和らいできているよう。)

ん、よろしく。


(/ いえいえ、全然大丈夫です。リアル優先にどうぞ。
楽しんでさえいただけてたら十分ですよ。)

あっはは、真似っ子だ。 著作権とか取っちゃおうかな～？
それにしても……
(くるっ、と指先に髪を巻き付けて遊びながらへらりと笑う。 やっぱり途中でじゃなくて、と言い淀んでしまったりもするみたいだけど、さっきよりずっと良い。 ようやくホントの志穂をちょっとずつ出してくれるようになったみたいで一安心といったところで。
最初はちょっとお節介かな？ だなんて思ったりもした。 人付き合いを厭ってるのに、無理矢理踏み込んでいるのはお互いに幸せにならないから良くないんじゃないかって。
でも、そんなのは杞憂だった。 みんな、勿体ないことしちゃったね？
こんなにかわいい子の事見逃しちゃったんだから。 )

よかったよー。 関わって欲しくないみたいな、そういう感じだったらちょっと迷惑だったかな……？って思ってたからさ。
うん、志穂ちゃんは今みたいな顔してる方がかわいいよ～！


(/ ワッワッ、そう言って貰えるとありがたいです……
志穂ちゃんを無限に可愛がりたい気持ちがあるので、バリバリ楽しませてもらいますー！ )

え！　えっと……別にパクろうって訳じゃ……！

(あわわと慌てふためきながら何とか弁明しようとするけど、彼女のその言い方、表情を見ると全然何も気にしてない冗談だったのだと気がつくと無性に恥ずかしくなる。
ちょっと緊張しすぎたというか、変な警戒しすぎてんな。と、今の自分を少し冷静に見れるようになった自分に驚きながら、不思議な力を持った子だな、なんて見つめて。

……っと、危ない危ない。あんまり見ても変か……。
そう考えて少し気まずそうにふいっと目線を逸らす。
自分が女の身体になったことは分かっているのだけど、だとしてもまだまだ女の子を正面からじっと見ることには慣れない。……あぁ、これ俺男として頼りなくない？)

べ、別に……！　関わって欲しくなかった訳じゃなくて……その、どう関わったらいいか分かんなかったっていうか……。
みんなもなんか、女っぽくないお…自分のこと気持ち悪がったりしたっていうか……。

(だんだんと声が尻すぼみするようにもじもじと少し言いにくそうな雰囲気でそんなことをごにょごにょと。
本人の言う通り見た目はオシャレのオの字もないような服に化粧もしているのやら。話し方もほとんど男の時のまま、一人称も定まらず。
何よりどう話せばいいか分からないが故の吃り具合。
まあそりゃこんなの近付きたくないよな、俺も近付きたくないもんな、誰も寄ってこないよな、と思いながら。)


(/ うれしい～！
ぜひぜひ無限に遊び倒してください！！)

……んー、うん。
(ぽつぽつと口に出される言葉になるほどねー。 という風に相槌を打ちながら、改めてじーっ、と頭から爪先まで志穂ちゃんを見て。
確かに、なんだか「ちぐはぐ」だ。
男らしさ、女らしいなんてのはこうだよ、って誰かに教えてもらうものじゃない。 小学生、中学生、高校生、って環境が変わりながら育っていく中の集積で自然と身に付いていくもので。
そうしてみると志穂ちゃんの今までの立ち振る舞いは、5分前に記憶だけ持って、今の姿のまま産まれてきたとか、そういうものに近い感じなんだから。 )

……志穂ちゃんはさ、どうなの？
女の子っぽくない自分が気持ち悪い～！ってみんなに思われるってことなら、志穂ちゃんが最高に完璧な女の子になっちゃえば誰もそう思わないんじゃないかな。
それで、もし志穂ちゃんがそうなりたいなら、私も手伝ってあげてもいいよ～？
(面白そうだしね、とくすりと笑い。 志穂ちゃんのぱっちりとした瞳を顔を近付けて覗き込んで。 )