禁断の恋 〆

俺はシエテ。シエテ・カル。医者だ。医者は人を治す。ただそれだけだよ。
（背中の相手はカタカタと震えている。人間に対してトラウマを相手は抱えているのに少し強引すぎたかと後悔すれば、まずは自分の身分を相手に告げて少しでも歩み寄ろうとして。そして医者だからこそ、怪我で困っている人を見過ごせなかったと告げては「まだ治療してない怪我もあるし、栄養も足りてない。しばらくはうちで面倒見るから。」と、徹底的に相手を治療するつもりの様でそう息巻いていればしばらく歩いた先にのどかな村が見え始め。）

シエテ……私はティファと。
見ての通りエルフで人間が嫌いです
医者というのはエルフも助けるのですか…あぁ、それとも同情からですか?
(名前を名乗られた以上こちらも名乗らなければと思い、物凄く渋々と言った様子で自分も名乗れば、医者といのは物好きなのかそれとも同情されたのかと嫌味を言うことで威嚇をしており、家で治療と聞けば、治った暁には体を差し出せとでも言うのだろうかとこれまでの人間にされたことから考えは最悪な方向ばかり転がっていき、見えてきたとの言葉に布の間からほんの少しだけ村の様子を見れば、どこか自分たちの故郷を思い起こされ目を細めては微かに懐かしさから微笑むが、布に隠れて見えず)

ティファさん…ね。
（仕方なく、渋々といった感情が聞いてとれる声色で名前を教えてもらえるとその感情に苦笑しながらも「綺麗な名前だ。」と、その澄み渡る様な響きの名前にそう呟いて。「医者の前にエルフも同情もないよ。さっきも言ったけど目の前で苦しんでる人がいたら助けるのが医者だよ。」と、威嚇されるように問いかけられた言葉に対して、自分はただ治療するだけと、医者としての使命を全うするだけだと意志の固い言葉を述べていると己の自宅兼診療所に到着して。まずは診察室のベッドに下ろして外套を外してやり「ちょっと待ってて。」と、部屋の奥の方へと薬や包帯などを取りに行き。）

医者………貴方は変な人ですね
(こちらが渋々名乗ったことにも嫌味を言った事にも気づいている筈なのに、医者は人を救う事で名前は綺麗と褒めたりと、今までの人とは何かが違うとは思うものの、変な人位の印象でしか無く、名前も呼ぶつもりは今のところはなく、ベッドに下ろされ部屋の奥に行ったのを見送れば、この内に逃げようかとも考えたが、どうせこの体ではまた捕まるだろうしと大人しく待っているも、ベッドの上というのは嫌な記憶を呼び起こす為、部屋の隅の方に行きそこで蹲って待つことにして)

たまに言われる。
（背中から聞こえる相手の言葉に、村のみんなからもその様なことを言われた経験があるため、今日出会ったばかりの相手からそう言われてしまうなら自分はもうそういう人間なのだろうと半ば諦めた様に笑いながら上記を述べて。薬などを保管してある部屋から消毒液、包帯、そしてさまざまな薬草を持ち出してから相手がいる先ほどの部屋へと戻ると、相手を下ろしたはずのベッドにその姿がなく、まさか逃げたのだろうかと焦りながら周りを見渡すと何故か部屋の隅に蹲る相手がおり。何故そこにいるのかはわからないがひとまず治療を行うために相手をベッドに連れ戻そうとして。）

ベッドは嫌です
ここで治療をして下さい
(薬や包帯消毒液などその他諸々の物を持って部屋に戻ってきたシエテがベッドに戻そうとすれば、未遂で終わったとはいえ知らぬ男に体をベタベタ触られたり服を剥がされたりと、嫌な経験が豊富な為、ベッドは嫌だから治療ならここで、ここでしないなら治療は受けないとまで言い出しつつこの受け答えにどう出るとシエテをわざと試しているのかこのようなわがままを言って出方を観察しており)

…わかった。
（ベッドに連れ戻そうとするために相手を抱き上げようとするが、はっきりとベッドを拒絶されてしまえば少々戸惑ってしまい。しかし、ここで相手を無闇に刺激するのは悪手だろうと、相手のことを第一に考えれば少々やりづらいが部屋の隅での治療を了承して。まずは先ほどの応急処置では対処しきれなかった傷を消毒するために消毒液に浸したガーゼを取り出せば「少し染みるぞ…。」と、言いながら相手の傷を消毒していき。）

………連れ戻さないのですね
(てっきり強引にでもベッドに連れ戻すかと思っていたが、そんな事はせず部屋の隅での治療を受けさせてくれれば、意外に思ったのか上記を言い、消毒をされれば流石に少し沁みるも顔には全く出ず、痛いことや苦しいことを言葉にするのが怖い、しても意味が無いと思っている様が良くみてとれる様子で「服は脱いだ方が良いのですか」と背中やお腹といった服で隠れた部分にも怪我はあり、それの治療のために服は脱いだ方が良いかと問いかけて)

連れ戻した方が暴れそうな気がしたから。それに、ここでなら治療されてくれるんだろ？
（連れ戻さないのかと問いかけられれば、別にベッドでなくとも処置はできるから。大事なのは、ちゃんとした治療を施すことであり、それに先ほどまでは離せ、放っておけ、人間が嫌いだとあれほだ拒絶に息巻いていた相手がここで治療をしろと言ったことをしっかり聞いており、それはすなわちここでなら治療を受けてくれるということだと、言質をとっていることを告げれば意地悪そうに笑みを浮かべて。先ほどの相手はどこへやら、治療を受けるために服は脱いだ方がいいのかとやたら素直になれば「あ～…。そうだな、お願いします。」と、服を脱ぐということは相手の裸体を見てしまうということで少しばかり躊躇が生まれるが、これも治療のため。邪な感情の一切を捨て去りながら服を脱ぐことをお願いして。）

治療を大人しく受けた方が早く解放されると思っただけです
(意地悪そうな表情を見ればそんな顔もするのかと思わずまじまじと見つめては、確かに先程までは拒絶しまくっていたし、今でも嫌なものは変わらず、出来るなら今すぐ逃げたいが、それをしてもすぐに捕まるのは目に見えているしそれならさっさと治療を受けて解放される方を選んだだけだと言うと、服をさっさと脱げば胸は腕を交差させて隠すと、服で見えなかった殴ったあとや蹴った跡などが現れて)

そう、それでいいんだよ。
（早く治療をして、早く治れば解放される。それは事実であり、その考え方は間違ってはいないとその言葉を肯定するように上記を述べて。服を脱いで貰えば、薄布ゆえに隠せなかった相手のプロポーションが顕になり。充分な栄養が取れていなかったのだろうが、痩せ細った体ではあるのだがそれでも出ているところは出ているため女性としての魅力を感じずにはいられなくて。しかし、元は宝石の様な白だったであろう肌は殴られたら蹴られたりしたであろう打撲痕、火傷の痕や切り傷などが浮かんでおり、誰がこんなことをしたのかと怒りを覚えながらもそんな邪な感情を浮かべている場合ではないと首をふるふると振り、気を取り直して服で隠れていた胸、肩、背中を消毒していけばその上に傷に効くとされる薬草を貼り、そしてその上をガーゼ、包帯で保護していき。）

…………貴方も欲情はするのですね
(医者だとか患者とか言っていたが、ほんの一瞬だけ瞳の奥に見えた欲の色を見てとり、立派な事は言いつつもそんな欲はあるのだなと少しだけ侮蔑の声音で上記を言うも、意識を切り替えた相手を見れば大人しく治療を受けており、消毒やガーゼを巻かれれば、これで良いだろうとばかりにさっさと服を着ると、自分の中で治療は終わった事になっているのか礼も言わずに立ち上がり出ていこうとして)

…い、いやっ。そんなことはない…。
（相手の体に見惚れていたところが表情に出たしまっていただろうか。相手の侮蔑が入り混じった声色に焦りを見せ、しかし実際に見惚れていたことは事実なため、最後の方は否定できずに口ごもり気味になってしまい。治療が完了すれば後片付けをしていると、当の本人はさっさと服を着て診療所から出て行こうとすれば「待て待て、まだ終わってない。」慌ててその腕を掴んで引き止めて。いくら治療を施したと言っても治ったわけではない。今体を無理に動かせば傷がまた開いてしまうだろう。「傷が癒えるまで、ここで絶対安静だ。」と、相手が何を言おうとそれは譲らないと決意の固まった表情で相手を見つめながらそう言って。）

私としてはこれで十分です
私は人と触れ合いたくない、貴方は私の怪我を治療した。
十分だと思いますが?
(もごもごと口篭りながら見とれていた事を否定するシエテにやっぱりどの人間も特に男は変わらないのだと再確認出来てしまえば、完治していないと引き止める事に対して掴まれた腕を振り払い、治療も受けた、これ以上の触れ合いは不必要だとこちらも聞かず「それに、傷の完治までと言うことはそれなりの期間共にいるのでしょう?それはストレスになりかねませんし、噂もたちましょう」と何とか言いくるめようとしており)

傷が完治するまでが治療だ。まだ治療は終わってない。
（相手はよくても、こちらは医師としての使命をまだ全うできていないため退っ引きならない。まだ自分の役目は終わっていないと臆することなく言い返せば「ティファさんが俺と関わりたくないなら俺も最低限しか関わらない。でも治療はしっかりやる。これでいいだろ？」と、相手の人間嫌いに配慮して必要以上には関わらないことを約束してはまだここにいるよう説得して。）

わかりました。
その条件なら飲みましょう
(怪我が完治していない以上体は上手く動かせず逃げても捕まり最悪監禁状態になりかねないと思ったのか、本当に渋々、不本意ですと顔に出ながらもその条件で了承すれば「ここは貴方の家なので貴方はベッドで私は床で寝ることにします」となんか勝手に決め事を増やせば、ご飯も食べずに床に体を横たえ寝ようとし目を閉じれば、その美貌は本物で口さえ閉じて怪我さえなければ極上の女と言っても良く、それだけに余計怪我や見え隠れするガーゼが痛々しく、無理な体制で横になっているのにくもんの表情ひとつせず)

（こちらの交渉に相手が渋々と折れてくれればひとまず目先の心配事は去った様だとほっ、と胸を撫で下ろして。まぁ必要以上に関わらないというのはこれから破っていくことになるのだが、とどうやら先ほどの言葉は相手がここに滞在するようにするための嘘のようで。自分はまだ相手のことを知らない。初めて見たエルフという存在をもっと知りたいと好奇心を持てば、これからおいおい知ることになるだろうと今は落ち着いて。相手は早速必要以上に関わろうとせず、先ほどと同じ部屋の隅で横になって眠ろうとすれば寝づらいだろうなと心配すれば、部屋の奥から毛布、そして布団を持ち出してくれば相手の目の前に置くだけで、先ほどの約束を守るために必要以上に関わろうとしなくて。相手が寝ている間になにか栄養のつくものを作ろうと台所に立って調理を始めて。）

んん………?
(エルフ特有の民族衣装はかなり薄手のもののせいか家の中でも少し肌寒く、体を伸ばして寝るという行為も今まで無かった為、体を丸くして眠っており、ふといい匂いがしたからか元々の眠りが浅すぎるのかもう目が覚めてしまい、目の前にある毛布と布団を頭からすっぽり被って顔だけ見える状態にすれば、やはりいい匂いがし、これは何の匂いだと嗅いだことないそれに興味があるのか、匂いの出処を目指してトコトコと歩き)

（相手の体を見て察するに、相手の腹にはしばらく何も入れていないのだろう。そんな状態の胃袋に刺激物を入れてはかえって体力を落としてしまうため胃に優しいスープを作っていて。米、芋、卵、香辛料などのスパイスとともに塩を加えてあっさりとした特製のスープ。もうすぐできると言ったところで背後から足音が聞こえれば寝ていたはずの相手がおり、まさか匂いに釣られたのだろうかとふふっ、と微笑みながら「もうすぐできるから、待ってて。」と、声をかけて。）

それはなんですか
もしかして、物で釣ろうとしています？
(見たことも無い食べ物らしき物に警戒を抱いては、いい匂いがしていても実は毒入りとか催淫薬入でこれまでの男のようにするのではと懐かない猫のように警戒、威嚇しており、微笑んだ相手の顔にほん一瞬だけ気を緩めてしまった自分を戒めれば、絶対食べないと言いつつも、相手の挙動一つ一つを気にしており警戒と好奇心が入り交じっており)