匿名さん 2022-03-26 23:39:33 |
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( 舟が少し揺れて、小さく波紋が広がる。再び鏡のように凪いだ水面には、こちらを向いた彼女が映っていた。ちらりと目だけでそちらを見ると、彼女が感謝の言葉を述べる。何も感謝されるようなことはしていないけれど、何の礼なのだと問いただすのも気が引けて、「うん」とだけ返事を返す。それからは何も発することはなく、沈黙が続く。沈黙にも、何もすることがない状況にも慣れていた。何の気なしにぼうっと彼女の顔を眺めながら、ただただ時間だけが過ぎて )
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