光梨 2022-03-09 19:01:29 |
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「……!? …………余計なお世話だ。しかし、確かに真宵くんにも助けられたからな、また彼女にも礼を用意するとしよう。」
自分の気持ちを真摯に伝えたはずなのに突然声は抑えているものの大いに笑い転げ始めたので、言葉を失って呆け顔でその様を眺めるしかなかったが、後に語られた理由からして言い方に問題があったらしい。特に小粋な皮肉を言ったつもりはないのだが、その"施し"という辺りがツボであったようだ。それに加えて勤め先は良好なクセに女性には悪印象であるという助言までされてしまって、口を噤むと拗ねたようにそっぽを向いた。しかし、女性関係…か…そういえば私はそのようなことに見向きもしなかったな。とこれまで出会ってきた女性の顔を思い浮かべてみるも、思い浮かぶ言葉はただの同職、証人、etc……それ以上親密な関係は有り得ない。ほんの少しへそを曲げていると彼と共に助けてくれた女の子の名前が耳に飛び込んできて、横目ながらに彼を盗み見るとそれはとても楽しそうに笑っているではないか。無防備に笑う姿…わ、悪くない…。そんな感想を心の内に流してから大きく息をついてそっぽ向けていた顔を戻し、彼女へも何か礼をせねばなと考えたものの彼女は未成年なようなので、また彼とは別のプランが必要だなと結論づけて発言した。今回は最貢献者である彼にどうしても礼をしたくて……そこまで考えてから自分の礼のプランとしては随分と杜撰であることに気がついた。普通は相手の都合を聞いて店を予約するのが自然な流れ、だが今回は………これは、礼にはならん…突然の訪問をした上に連れ回すなど最も失礼にあたるのではないか…?それに今更気がついて「な、成歩堂……」と焦りを含めた声色で名を呼ぶと今すぐにでも穴があったら入りたい心地に苛まれながら頭を下げて
「すまない…私は…どうやら間違えたようだ。
これは礼にカウントしないでくれ、無礼を働いてしまったこと謝罪する。
なので、その……またの機会にやり直しをさせてほしい」
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