光梨 2022-03-09 19:01:29 |
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「そうなのか!…………コホン……キミの心遣いとても嬉しく思う、望んでくれるのならそのような機会も設けよう。しかし、今日は私のことは気にしなくて構わないので私からの気持ちとして受け取って欲しい」
ワインが好きだと聞くなり、一つでも好みのものを注文できたことに嬉しそうな声を上げたが、すぐに咳払いで興奮を収めてから、お酒の席は同等の立ち位置がいいという彼の言葉に、またこのような機会を望んでくれているのだと嬉しく思い、自分もそのように思っていると不器用ながらにも伝えたつもりだ。だが、今夜は感謝の気持ちを受け取って欲しかった。自分がどれほど彼の弁護で救われたか…悪夢から飛び起きることがなくなって穏やかな起床を果たせるようになり、腫れ物が落ちたかのように心が軽い毎日があったなど知らなかった。それに、自分自身すらも信じられなくなっていたというのに彼は……彼だけは本気で信じて、手を振り払っても振り払っても離さずに諦めることなく無罪を証明してくれた。あれだけ強く他人を信じきれるとは、本当に凄い弁護士だ。私の恩はこれだけじゃ足りそうもないが時間の許す限り伝えていきたい所存である。そんな決意を秘めて料理のチョイスは好みなのかという質問に答えてから注文する前に彼にも確認すべきだったなという反省点を見いだし、注文したものを伝えてからワインは問題ないだろうし、麺類を選択したのもいいだろう。しかし、食後はデザートよりもコーヒーなどのものがよかっただろうかなど不安が振り積もって心配そうに聞いた
「いや、今までの会話からキミが好みそうなものを推測して頼んだので私が特に好んでいるものではない。
パスタやワイン、食後に日替わりのデザートを注文したのだが…大丈夫だっただろうか?」
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