名無しさん 2022-02-01 12:27:49 |
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「 ん、…、こいつがもう少し痩せててくれれば楽だったんだが」
( 麻袋の塊と化した標的を、帰ろっか、という相棒の言葉に頷きながら担ぎこんだ。死体というのは実に重さのあるものである。おまけに中年らしい体型をした奴だったもので、落とさないように注意しながら、またそっと裏口から外へ出た。
車の後部座席に麻袋を放り込めば、運転席へと乗り込み、次の目的地は“ 肉屋 ”だ。そこまで運びさえすれば、とりあえず依頼は達成されるし一休みできる。)
「 コイツに触られてよく我慢してたな 」
( 車を発進させながら、助手席へと座る相手にひと息ついてそう声を掛ける。普段から表情に出やすい相手が、嫌な顔を我慢しながら接待に徹底していたのは分かっていた。 )
「すごいでしょ?リョウマから貰ったお守りのおかげかなー。」
(自分でもそれについてはよくできたと思っている。カーウィンドウに反射して見える、自分の髪飾りにそっと触れるとそう言った。相棒からのプレゼントが自分の気持ちを支えてくれたのは確かだった。それに、プレゼントを貰う経験が少なかったから、純粋に嬉しかった事もある。目線をを正面に移すと、背もたれに背を預けて、大きく息をつくと両手を上にあげて伸びをした。静かな車内で緊張が解けたのか、ひとつ欠伸をする。少しだけ眠くなってきた目を擦ると、相棒の方を見る。)
「本当にこれ、ありがとね。...髪飾りのお礼、ちゃんと言ってなかったから。」
「……別に、ちゃんと着飾った方がいいかと思っただけだ 」
( 運転している為、目線は常に前を向いていたが、隣からの視線を感じつつ、ボソリと上記を述べる。自分のあげた髪飾りのおかげだと礼を言われても、自分の実力だろ、なんて照れているのか褒めているのかよく分からない言い方をした。
まぁ、何はともあれ、相棒に何事もなかったのが1番だ。しかし、それも決して口には出さないが。)
「 ほら、着いたぞ。あとひと仕事だ。」
( 改めて礼を言われたことにより、なんだかこそばゆい気持ちになりながらも、目的地につくと裏路地に車をゆっくりと駐車した。決行日は予め依頼元に連絡してある為、向こう側も承知しているはずだ。
車の後部座席の扉を再度開ければ、引きずるようにして麻袋を取り出した。 )
「....ふあ...そうだね。早く帰って寝たいな..。」
(そんな事を言いながら、とっとと用事を済ませてしまおうと、ぴょん、と車から降りる。相棒が麻袋を取り出すのを手伝ってから、先に"肉屋"の扉をノックをすると、すぐに扉が空いた。中から登場した血の着いたエプロンをつけた大男は、私に「おう」と短く挨拶すると、相棒が運んでいる麻袋に目線をやる。「あれ、今日お願いしたいやつです。」そう言うと男は頷き、相棒から麻袋を受け取ると軽々と肩に担いで、再び店の奥に入っていった。彼の後ろ姿を眺めながら...よく担げるものだな、といつも関心してしまう。「あれくらい体が大きかったら、今よりももっと強くなれるのかなー...」と呟いた。)
「 まぁ、強いだろうが…、お前も十分強いだろ。 」
( 麻袋を引渡し相棒と共に男を見送れば、隣から聞こえてきた呟きに、あの荷物のせいで凝った肩を鳴らしながら上記を述べた。
確かに、体が大きい分力は強そうだが…突然あんな大男が目の前に現れたら警戒で済むはずは無い。おまけに緻密な戦略に向かなそうだ、なんて…非力な自分と比較し皮肉になったのか偏見紛いにもそんなことを胸の内で考える。
隣の相棒へも流れで思ったこと口走れば、ハッとしてそのまま車へ乗り込んだ。体は大きくなくとも、あれぐらいの大男とも張り合える彼女は十分強い。)
「……とにかく、早く帰ろうぜ。風呂入りてぇ。」
( 早く車に乗るよう相手へ催促しながらそう言葉を続けると、身につけていた手袋を外してエンジンを賭ける。
どうにも、あのような店にいると酒やタバコ、香水の匂いが付いて取れない。 )
「え、ほんと?もっかい言って!」
(自分のつぶやきに、珍しく素直に褒めるような事を返したため、目をキラキラさせると、車に乗る相棒の背中にそう強請った。褒められるのは誰からでも嬉しいけれど、自分の事をよく知っている相手から言われるのはとびきり嬉しいものだった。車の中でまた褒めてもらおうとしたようで、自分も急いで車の中に乗り込むと、「で、私の事、どう思ってるの?」と前のめりになって、先程の褒め言葉を粘り強く求めた。)
「 う、うるせぇ!1回でいいだろッ、2度は言わねぇ」
( 背後から強請る相手に、暫く聞こえないふりをしつつ車を走らせるが、執拗い相手にいよいよ誤魔化せなくなったのか、片手で彼女の頬を軽く引っ掴まえると、照れの裏返しなのか強い口調で要求を断った。
先程はつい本音をそのまま口走ったが、改めて求められると途端に口篭り、素直な言葉を表現するのは難しい。あの手この手で話題を変えようと試みたり、大人しくするようにせっつく。
_そのまま車内では、永遠と攻防戦が続きながらも事務所へ帰っていくのだった。 )
「いいじゃん、減るもんじゃないだし!ケチ!!」
(頬を掴まれて拒まれると、こちらもつい強い口調で負けじと言い返す。あれこれ話題を変えようとしているけれど、しつこく粘り続けていたが、事務所に到着するのと同時にその攻防戦は終着を告げた。...車の中でずっと騒いでいたから、疲労感に改めて気がついた。)
「....なんか余計に疲れたんだけど...。」
(事務所に入ると、そのまま倒れるようにしてソファに寝転がる。体を丸めて、クッションを胸の前で抱き抱えて顔を埋める。ため息をつきながら、そんな事を不満げに呟いた)
(/最近ちょっと色々立てこんでいた関係で返信遅れました...!申し訳ないです...)
「 おいおい、横になるなら着替えてからにしろよ」
( 彼女の後に続いて事務所へ入って来ると、上着を脱ぎ眼鏡を外しながらソファーへと倒れ込む相手の姿を見て、せっかく買ったドレスが、とでも言いたげに、呆れたように上記を述べた。こうした所がいちいち細かくて面倒臭い事だろう。)
「 …疲れたのだってお互い様だ。
そんなに褒められたきゃ次の仕事も頑張るんだな。」
( そして、ため息混じりに不満そうな相手に対し、此方も言い返さんとため息をつきながら近くの椅子へと腰掛けた。言い合いによる体力消費もそうだが、何よりも、此方は羞恥心による消耗が激しかった。
褒められたきゃ次だ、と続ければ、大きな伸びを1つして、項垂れるように背もたれへ全体重をかける。)
( / いえいえー!
私もあまり浮上できていなかったので、ナイスタイミングでございました!! )
「わかってるってー...。」
(起きてシャワーを浴びてから寝なければ、と思っているものの、体はソファに深く沈んでしまって、なかなか体が動かない。横になったのは間違いだったかも、なんて思いながら相棒の忠告に返答する。あともうちょっとだけ休んだら、動こう....。なんて思っていたけれど、相棒の言葉を聞いて上体を起こす。)
「ほんと?次も頑張れば褒めてくれるの?」
(先程よりも活力のある声で、じっと相棒を見つめる。まるで「言質を取ったぞ」と言っているような眼差しだ。本人はただ純粋に褒められたいために、期待を込めて質問しているだけなのだが。)
「お、おう……まぁな。」
( あまりにも期待の籠った眼差しで見つめられると、思わず頷いてしまう。といっても、此方が素直でないことを承知の上でそんな事を期待してくるのだからタチが悪い。…いや、普段素直ではないからこそなのか。
直後、頷いてしまったことに後悔しながらも、ゆっくりと立ち上がり、2人分のコップに水を注ぐ。)
「 兎にも角にも、お疲れさんだな。
明日には依頼元から確認の連絡も来るだろ。」
( 水の入ったコップを片方相手に差し出せば、もう片方をゴクリと飲んで上記を発した。
今回は一般人も多くいた中への潜伏任務だった為、色々と気を遣うことも多かっただろう。先程の言い争いを無しにしても、普段より疲れているのも当然だ。)
「ん、ありがと。そうだね。明日の連絡を見たらさ、ここでパーッと飲むのなんてどう?」
(水を受け取れば自分も同じように口にする。仕事が終わったのだし、お互いに余暇を楽しんだっていいだろう。ただこの街にある娯楽はかなり限られる。せっかくだし美味しい酒でも飲みたい、そう思った彼女はそんな提案をする。外で飲むと、仕事柄色々気にしなければならないため、事務所でという条件つきではあるが。)
「リョウマもすごく頑張ってたし、お疲れ様会...みたいな。」
(それからゆっくりと立ち上がって、飲み干したコップを台所の方へと片付けた。ひとつ欠伸をすると、「シャワー、先浴びていい?」と問う。)
「 お、いいじゃんそれ。
日中はゆっくり休んで、夜に飲みまくるとするか。」
( 再度椅子に座りながら、相手からの提案を聞くと、直ぐに同意するように深く頷いた。
相棒と飲む酒は比較的好きだし、なんせ仕事が終わりともなれば尚更楽しいものだ。今日まで仕事漬けだった分、明日はのんびりと過ごしつつ、買い物なんかに行って、相手の言うようにお疲れ会をするのも悪くは無いだろう。此処でやるとなれば、余計な気も遣わなくて済むし一石二鳥だ。
そうと決まれば、どんな酒を買おうかすぐさま携帯を取り出して操作し出す。
途中、先にシャワーを浴びていいか聞いてきた彼女に「あぁ、行ってこい 」と声を掛ける。ついでに、浴びながら寝るなよ。なんて付け加えて。 )
「もー、私の事なんだと思ってるの」
(自分の提案に同意をえると、小さく「やった」と声を漏らす。軽い足取りでシャワールームへと向かうと、相棒からのからかいにはむっとした顔だけをそちらにのぞかせて答えた。シャワーを浴びながら、明日は何を飲もうかなんて考えていた。その後しばらくして、タオルを肩にかけ、ラフな寝巻き姿で事務所に戻っていく。)
「ふー、スッキリした。次どうぞー」
(髪の毛の水分をタオルで拭きながら、後ろから相棒が携帯で何を調べているの覗き込む。そこには酒のショッピングサイトが表示されていて、彼も明日が楽しみなのだと分かると、機嫌良さそうに笑みを浮かべる。)
「 ん、おかえり。
………なんだよ。ニコニコして。」
( 相手がシャワーを浴びている時、ずっと同じ位置で携帯をいじっていると、いつの間にか相手のシャワーも終わり事務所へと戻ってくるのが視界に入った。
帰ってきた相手にひと言 声を掛け、流れるように 次どうぞ、の言葉に席を立った。その時、後ろで画面を覗いていたらしい相手の顔を見て、怪しむようにして目を細める。あと、自分が楽しみにしていることを曝け出してしまった様な気がしてなんだか悔しかった。
小さな悔しさの残るまま、自分もシャワーへと向かえば、相手同様に明日のことを考えながらパパッと済ませる。
相手がシャワーへ向かう際にあんな事を言っておきながら、実は自分の方が睡魔に襲われかけているのだ。
途中で寝てしまわないように、早々に全て洗って出てくれば、眠たい目を擦りながら、スウェットとヘッドホンのいつもの寝巻きスタイルで出てくる。 )
「んーん、別にー?」
(目が合えば訝しむような目線に、表情を変えずに口元を緩ませたまま答える。結構楽しみなんでしょ、とからかっても良かったのだが、さっきも車内で騒いだばかりだから、直接口に出さない事にした。改めて素直じゃないなあ、なんて思い直してしまう。そこが面白いところでもあるんだけど。
相棒がシャワーを浴びている間、ソファに背中を預けて少しだけ目を閉じることにした。部屋で寝てしまってもいいけど、「おやすみ」を言わなければ、なんだかしっくりこない。相棒がシャワーから出てきたら、部屋で寝よう。今は目を閉じるだけ。
....そんな事を思っていたのに、気づけば眠りに落ちてしまっていた。部屋に相棒が戻ってきても気づいていないようで、規則正しく寝息を立てている。)
「……リン?
…おいおい、ここで寝てんのかよ。」
( 事務所に入ってきて、携帯を弄りながらも一言二言声を掛けたが、一向に返事が無く眉をしかめる。
ソファーの正面に回ってみれば、どうやら寝息を立てて既に夢の中らしい。呆れたように上記を呟くが、その声も心做しか静かだ。
名を呼び掛けながら優しく揺すってはみるものの、起きる気配は全くなく、どうしたものかと頭をかいた。相当疲れてる様だったし、寝てしまったものは仕方ないのだが、このままでは体を休めようにも休めないだろう。)
「 しょうがねぇなぁ…、…よっと 」
( 暫く考えてはみたが、やはりそのままソファーに寝かせるのは良くないと至り、相手の体へゆっくりと手を伸ばす。起こさないように静かに抱き上げれば、相手の自室へと向かいベッドへ寝かせるのだった。
布団をしっかりとかけてやれば、なんとなくベッド傍の床に腰を下ろしてその寝顔を眺めていた。「 お疲れさん。おやすみ 」と小さく呟いたところまではよかったが…
いつの間にか、自分もそこで眠りに落ちてしまった_ )
(.....ふと目が覚めて、まず視界に入ったのは眠っている相棒の顔で、眠気が綺麗に覚めてしまう。驚いて大声を出しそうになるけど、ぐっと堪えた。一体この状況は...なんて昨日のことを思い出すと、ソファで目を閉じた以降の記憶が無い。
隣で眠っている相棒を起こさないように、ゆっくりと体を起こした。多分、彼が気を使って私をここまで運んでくれたのだろう。それで、彼も私と同様に力尽きて眠ってしまった...、とか。
いくら相棒でもこの状況は若干恥ずかしいし、どうしたものか困ってしまう。珍しく慌てた様子で、きょときょとと目線を忙しなく動かしている。起こそうかと思ったけれど、眠っている私を起こさないでくれた相手をここで起こして、出てけ、なんて言う事はできない。とりあえず相棒に自分の布団を半分掛けて、どうしようか考えた。
私が寝ている間に、相棒の目が覚めて出ていってくれれば、この状況をなかったことにできるだろうか?そう思った彼女はもう一度眠ろうとする。...結局変に意識してしまい、目を閉じているだなのだが。)
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