うたいてしぼう 2022-01-21 21:39:28 |
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ぁ……おはよう西園寺くん!
お昼休みなら空いてるよ!…二人きりがいいなら屋上にしよう。あそこお昼休みなら誰もいないから。
(キョロキョロしていたところに西園寺くんを発見、相手の軽い挨拶に自分も返し西園寺くんが沈黙になってしまったので困惑してしまうがクラスの人には聞こえないだろうけど私ははっきり聞こえた。お昼休みに何か聞きたいことがあると言われ小さい声や沈黙になっていた事から二人でしか話せないのかと思い、相手の耳にそっと近付いて誰にも気づかれないよう耳打ちし場所を指定して。)
…分かった。じゃあ昼休み、屋上で。
(突然の誘いにも関わらず、相手の方から場所まで提示してくれたのは有難い。その提案には賛成だと小さく頷いて、じゃあもう言うことは言ったから、のスタンスで自分の席へ戻ろうと)
『キーンコーンカーンコーン』
「ここまでの復習をしておくように。また次の時間に。」
終わったぁあ…。あの先生無駄に緊張感走る授業するから怖いのよ…。
あ、屋上行かなきゃ。そういえば聞きたい事ってなんだろう…?
(昼休みの前の授業。学校に一人入る怖い先生の授業だった為チャイムが鳴った瞬間クラスの雰囲気が和んだ……気がする。昼休みに西園寺くんとの用事があるのをしっかりと思い出し屋上の階段を一段一段軽やかに上がり屋上につく。風が丁度心地よくてお昼寝に最適だが寝てたら話は聞けないので勿論寝たりはしないと心に決めて。西園寺くんはどこにいるだろうとゆっくり歩いて探していて。)
灰鈴。
(昼休みが始まる少し前。先生には申し訳ないが、授業を途中で抜け出して一足先に屋上へと向かっていた。雲ひとつない晴天。職員室から自分の姿が見えないよう、陰に隠れて授業終了のチャイムをバックに屋上からの景色を眺めていた。それから少しして聞こえてきた屋上の扉が開く音、自分を探すために周りを見渡しているであろう彼女の前に姿を現して)
わぁ!?西園寺くんか…。
……聞きたい事ってなに?
(急に視界に入ってきた西園寺くんにびっくりして体が跳ねるが、西園寺くんだと認識して落ち着いて。本題に入ろうとする前に他の人には聞かれない方がいい、屋上で二人きりで聞きたい事ってなんだろうと沈黙の間考えてしまい。そうしたらもっと聞きたくなってしまったので慌てずゆっくりと微笑みながら本題を切り出し)
……お前さ、配信とかしてる?
(呼び出したはいいものの、一体どうやって本題を切り出そうか。笑顔で問い掛けてくる彼女を前に、やはりノープランで声をかけるべきではなかったかと、完全に勢い任せで行動してしまった過去の自分への後悔が残る。ぐるぐる思考を巡らせ、一番最初に出てきた質問は本題とはまだ少し遠く)
してない、よ…?
どうして急にそんな事…
(全面的に否定するのもおかしくかと言って本当の事を簡単に言う訳にも行かない。けどこの状況で嘘をつく事もダメだともやもやしてしまった結果、しどろもどろに嘘をついて否定して。話を変えようと急に何故そんな質問をするのかと聞いて。)
あー……悪い、俺の聞き方が悪かった。
(帰ってきた返答は予想通り……否定された。やはり此処は回りくどく話を進めるより、単刀直入に聞くべきだったと決まりが悪そうに後頭部を掻いて謝って。ここで話を変えられる訳にはいかない、改めて彼女と向き合うと、今度は躊躇うことなく本題を切り出して)
あろー。って、お前……灰鈴のことだろ。
っ……
(さっきより単刀直入で直接的な表現をされて言い返す言葉がなくて。頭の中はこれからどう話せば疑いが晴れるか、ここから抜け出す方法はないか、西園寺くんに言い返せる言葉はないのか探したが緊張状態で何も考えられずただ黙って突っ立ってる事しか出来なかった。これはもう完敗だと思い俯くととほんの一粒だけ、悔しさと恥ずかしさと複雑な感情が混ざった涙が頬を伝う。精一杯笑顔を作りたくて、相手に弱い自分を見られたくなくて、ここは潔くカミングアウトしてやろうと)
ぁあ、ついにバレちゃった…はい、私があろー。こと灰鈴花です…
……ぁ
(やっぱり。仮説が確証に変わると同時に、一筋と言えど彼女の瞳から溢れた涙に気付いて思わず声が洩れる。それでも変わらず笑顔を見せる彼女に、ここは彼女の意思を尊重して触れないこととして。敢えて別の話題を)
……昨日、たまたまお前の配信見ててさ、料理とかするんだ。
昨日の配信見てたんだ…ありがとうって言いたいけどちょっと複雑だな。私の料理は味が保証出来ないから他の人には作らないんだよね、作れって言われたら作るけど
(涙をぶっきらぼうに吹いて配信を見てくれた事に素直にありがとうと言いたいがちょっと複雑なのははっきり言って笑いにしてしまおうと。料理するのが意外だと思ったのかな、でも他の人に料理は作らない事を暴露して。さりげなく話を変える西園寺くんはどこまでも優しいなぁなんて思っちゃうのは気のせいじゃない。目が乾いてきたのか、それともさっき一粒だけ流したからか目が痒くて擦りながら)
んん、今日部活なのに目痛くなったら的に当たんないよ…。
でも昨日は結構美味そうにできてたじゃん。…気が向いたら俺にも作ってよ。
(昨日の配信を見た限り、彼女は特別手際が悪いようにも見えなかった。家庭の都合上他人の手料理を食べる機会も珍しいため、場の雰囲気和らげるためにも冗談半分でそう言って。その後、なんとも言えない空気感にもうこの話は終わりにしようと)
これで言いたかったことは終わり。早く弁当食べないと昼休み終わるよ。
へへ、そう言われると照れちゃうな、ありがとう。
へぁっ?全然いいよ、明日にでも作るよ!
あ、そうだね。……一緒に食べる?
(西園寺くんに褒められるとなんだか嬉しくて口角が上がってしまう。素直に喜んでいると気が向いたら料理を作ってくれと頼まれたのだが意外だと思いながら明日にでも作ると言って。話が終わってお弁当を食べないとと相手に同感し、これを機に仲良くなりたいなと思ってしまい恥ずかしいが少し照れながら一緒に食べるかと聞いてみて。後々恥ずかし過ぎてやっぱり冗談って事でなかった事にしようかなと考え言おうとする)
え、……灰鈴がいいなら。
(もう要件は済んだ、立ち去ろうと背中を向け一歩足を進めたところ、予想もしていなかった誘いに反射的に足を止め。この後特に予定があるわけでもない。折角誘ってくれたんだからと彼女の隣へ移動し)
あ、えと……ごめんね…
よかった、お弁当持ってきておいて。
あ、そういえば昨日の残りだけど配信で作った卵焼きじゃん。明日作らなくても今あるからいいよね?
はい、口開けて?あー…
(言おうとしていたがまさかの了承で今更断る訳にもいかず、西園寺くんとお弁当食べられるならいいかと思い、急で申し訳なかったなと誤って。ここでありがとうと言えないのが花の癖であり悪いところ。お弁当は持ってきていたのでパカと開けると…お母さんが作ったおかずや塩御飯だが目に入ったのは昨日の残りの卵焼き。明日作らなくてもこれを食べてくれれば大丈夫かなと思い、一口サイズの卵焼きを箸でしっかり掴み西園寺くんの口は持って行く。)
?!…………っ
(彼女が弁当箱を取り出したのを横目に、自分も今朝コンビニで買ったおにぎりを開封。そのまま一口齧ろうとしたところ、いきなりつきつけられた卵焼きの存在に戸惑った。確かに、「作ってくれ」なんて頼んだのは自分だが…口を開けば何か言葉を発する余裕もなく卵焼きを詰め込まれるんだろうか。そもそも、「はい早く食べてください」と言わんばかりのこの状態。大人しく口を開いてそれを受け入れ、もぐもぐと咀嚼した。ふわりと口内に広がる卵焼きのいい香り。久し振りの手料理ということもあり思わず呟いて)
……んま。
わぁ、ありがとう!へへ、西園寺くんと私新婚さんみたいだね
あむっ。あ、もしかしてこれ間接キス……、!?
ご、ご、ごごごめんなさいッ!!
(昨日の残り、それに加えて自分の料理で自信がないというのに美味しいと言ってくれた西園寺に感謝して。自分も卵焼き食べてみようと一口サイズの卵焼きをぱくり。西園寺くんに卵焼きをあげるために使った箸と今食べるために使った箸はまったくもって同じなので俗に言う「間接キス」にあたるだろうとこの展開にぼふっと赤面になり慌て始める。よくよく考えたら俗に言う「あーん」と同じ事をしてしまっているではないか。それに新婚だなんて本当は深い意味はないのだが思った感想が余計な口からぽろぼろと出ていた。まずは相手に一連の流れを謝らなければと思って頭を下げる。)
……あ、ごめん。
(指摘されて初めて気が付いたのか、彼女と同じように真っ赤になって顔を背けて謝罪をし。必死で謝る相手に「俺は気にしていないから」とフォローを入れ、恥ずかしさを紛らわすようにおにぎりを齧り)
う、うん…。(嫌われちゃったかもしれない…。うわぁー!最悪だー!)
『カーンコーンカーンコーン』
じゃ、じゃあ私今日部活だから!また明日!
(気にしていないと言われ安心するが、目を逸らされてもしかしたら嫌われたかもという恐ろしい仮説が立ってしまい心の中で叫ぶ。丁度いいところでチャイムが鳴って今日はもう話せないからと挨拶をして騒がしく荷物をまとめて屋上を出る。授業中、全然頭に入ってこない話。何故?そんなのは西園寺くんとのことがあったからに決まっているじゃないか。考えたら思い出してしまうので何も考えるなと頭に言い聞かせてはいるのだが、考えてしまうのが人間、そして花。
__不意に、疑問が生まれた。
「私は男性と関わった事があまりない、しかもセンサーで逃げてしまうのに何故西園寺くんなら一定ではあるが過ごす事が出来るのか。」
謎だ。…これを考えたら疲れてしまった…。部活、しっかり出来るかななんて不安を抱きながら先生の話に耳を傾けた。)
(普段女子と会話なんてしないせいでどっと疲れた。同性の友人と話す時には意識していないような変な神経を使う。そのため昼食後はうつらうつらと半寝落ち状態で授業を受けることになったのだが、授業終了のチャイムと同時に現実に引き戻された。机にもたれ掛かっていた身体を強い意志で起こし、ぐっと大きく伸びをする。この睡眠のお陰で眠気は殆どゼロに近い状態へとリセットされており、今夜は普段より夜更かしできそうだと)
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