白む空に燻る紫煙 ---〆

白む空に燻る紫煙 ---〆

刑事A  2022-01-18 14:27:13 
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  • No.4219 by ベル・ミラー  2024-05-03 09:57:29 





( 静かに手を合わせ祈りを捧げる相手を一瞥する。その表情に今は後悔や苦しみは見られず穏やかなもののように思え安堵が胸に落ちた。再び墓石と向き合い瞳を閉じれば野薔薇の優しい香りや、小鳥の囀り、頬を撫でる風の柔らかさが鮮明に感じられて切なさを感じる場所の筈なのに不思議と温かな気持ちになるのだ。相手も、少しでもそうであったらいい。__静かに瞳を開け視線をまた隣の相手に。妹とどんな話をしているのだろうか。きっと一番初めに来るのが遅れてしまった謝罪をして、もしかしたら日々の生活の中にあった他愛無い出来事を共有したりしているかもしれない。今だけは、この場所でだけは、何もかもの苦しみから一番遠い所に相手の心が在って欲しいと、そう思わずには居られないのだ )




  • No.4220 by アルバート・エバンズ  2024-05-03 14:03:26 

 





( 仕事に復帰したのは、相手と共に墓参りに行った日から1週間ほど経ってからだった。新たな事件捜査を担当する事になったのは、其れからさらに数ヶ月後の事。---19歳の女子学生が失踪し、彼女の乗っていた車だけが発見されたという。当初強盗誘拐事件と睨んでいたが、要求の電話なども無いため殺人事件に切り替えて捜査をする事になったと話が降りて来たのが今朝の事。執務室にやって来て状況を説明すると、君に捜査を引き継いで欲しいと言った警視正だったが、近頃は“ミラーと2人で行ってくれ”と言うまでもなく資料を2部渡すようになり、此方もまた其れに特段の疑問を感じる事もなくなっていた。「______ミラー、出掛けるぞ。女子大生が失踪、殺人事件として捜査を引き継ぐ。」執務室の扉を開けてフロアの自席に居る相手へと声を掛けると、コートに袖を通しつつ必要最低限の説明を。 )







 

  • No.4221 by ベル・ミラー  2024-05-03 14:42:22 





( __相手から声を掛けられたのは、自席にて証拠品の纏めを打ち込みそれに丁度一段落が着いた時だった。手渡された資料に目を通し、聞かされた必要最低限の説明と共に今回の事件の概要を頭に叩き込む。強盗誘拐事件から殺人事件へと切り替わっての引き継ぎ捜査と言う事は、既に被疑者として浮上している人も居るだろう。今わかっている人達にもう一度直接話を聞くのと、失踪した女子大生の家族にも会う必要があると思いつつ頷けば「先に彼女の家に行きますね。」と、相手と共に署を出て )




  • No.4222 by アルバート・エバンズ  2024-05-03 15:51:46 

 






( 相手と共に女子大生の家へと向かうと、両親は憔悴した様子で自分たちを家の中へと迎えた。『どうか娘を見つけてください!何処かで1人閉じ込められているかもしれない…監禁されて助けを求めているかもしれないでしょう?!』此れから自分たちが捜査に当たる旨を伝えると、母親はそう語気を強めた。捜査は殺人事件として動いているものの、確かに彼女が何処かに監禁されている可能性もある。殺人事件だと断定する事は出来ないが、未だ生きているかもしれないと期待を持たせる事も得策とは言えず「…全力で捜査に当たります。」とだけ答えた上で「ここ数日、お嬢さんに何か変わった様子はありましたか?」と尋ねて。『変わった様子なんてありませんでした。本当ならあの子が居なくなった翌日、リリーの恋人が挨拶に来る予定だったんです。幸せだったはずなのに、どうして…!』と、母親は顔を覆った。 )







 

  • No.4223 by ベル・ミラー  2024-05-03 16:45:11 





( 言い方こそ悪いが遺体が出て無い以上確かに母親の言う通りまだ生きている可能性は0では無い。突然失踪した娘の安否を信じ語気を強める彼女の肩を軽く擦り相手の言葉に同意するように数回頷いて。続けられた供述を手帳にメモする中“恋人”の単語が出ればペンを走らせる手を止める。両親への挨拶を翌日に控えて居た幸せな女性の失踪__彼女の恋人が何かを知っている可能性が強いと思えば「リリーさんの恋人は“ジェイ・マレック”さんで間違い無いですか?」と尋ねる。予め受け取った資料には【ジェイ・マレック】の名前と共に、付近にあるペットショップの店長と書かれていて。母親が肯定すれば次に話を聞くのは彼だろうと )




  • No.4224 by アルバート・エバンズ  2024-05-03 18:16:09 

 






( 相手の質問に母親は『…えぇ、ジェイと呼んでいました。バイト先の店長だって。』と答えて。---ジェイ・マレックは彼女が働くペットショップの店長。相手と共にペットショップを訪れると、子猫や子犬、鳥などがゲージに入った店内に足を踏み入れる。「_____ジェイ・マレックさんですね。レイクウッド署のエバンズです。此方はミラー。リリー・ブラントさんの件で少しお話を伺えますか。」と、声を掛けて。ジェイは少し気落ちした様子ながら、要件を直ぐに理解すると奥の事務所へと案内され。『リリーは未だ見つかっていないんですか?彼女が失踪する理由なんて…』ジェイは椅子に座ると手元へと視線を落として。 )






 

  • No.4225 by ベル・ミラー  2024-05-03 19:09:52 





( __動物特有の香りがする店内の奥、事務所へと案内されれば開口一番リリーの安否を確認するジェイに頷き「今、全力で捜査にあたっています。」と答え。それから手帳を取り出し彼を真っ直ぐに見詰め「貴方とリリーさんは恋人同士で、ご両親の家に挨拶に行く筈だったとお聞きしましたが、彼女と最後に会ったのは何時ですか?」続けた質問を。リリーの姿を最後に見た場所を、人物を、特定し早急にと思うのは、捜査こそ殺人事件として進めているが生きている可能性の希望がまだ残っていると思っているからで )




  • No.4226 by アルバート・エバンズ  2024-05-04 00:57:31 

 





( 「僕が最後にリリーに会ったのは、ご両親に挨拶をしに行く日の朝です。」と、ジェイは答えた。此れまではその前日の目撃情報が最後だった為、少なくとも彼女は挨拶を予定していた日の朝までは事件に巻き込まれる事もなく過ごしていた事になる。---両親への挨拶の朝、リリーはジェイを家まで迎えに来たと言う。しかしジェイは体調が悪かったため、リリーは一度1人で両親の元へ向かったと言うのだ。しかしその日リリーは家に戻っていないため、ジェイの供述が正しければ、彼の家を出た後に何かしらの事件に巻き込まれた事になる。 )





 

  • No.4227 by ベル・ミラー  2024-05-04 10:37:48 





( 彼の供述が正しいのならばリリーは両親への挨拶の朝、ジェイの家から両親の家に行く迄の少しの時間で失踪した事となる。ジェイは本当にリリーと朝会ったのか。両親は本当に朝娘に会って無いのか。__今の段階では何方の供述も確実では無く情報が足りない。一先ずジェイの話を手帳に書き記しはするがこのまま次なる情報を取りに行くか、署に戻り先の進みを話し合うか。「…エバンズさん、」その判断は指揮官である相手に従おうと小さく名前を呼び軽く視線を向けて )




  • No.4228 by アルバート・エバンズ  2024-05-04 11:42:14 

 





( ジェイからはそれ以上の供述は出ず、同時に体調不良で家で休んでいたと言う以上アリバイも立証されない。もう少し他の被疑者についても調べる必要があると思えば「…また改めてお話を伺います。」と告げ、一度署へと戻る事とし。---「被害者に好意を持っていた人物がジェイとの関係を知り、暴走して連れ去った可能性も考えられるな。」署の執務室で相手と向かい合い、考えられる他の可能性について言及し。 )






 

  • No.4229 by ベル・ミラー  2024-05-04 12:20:46 





そうだね。…ジェイの話が真実か確かめるのと同時に、もう少し情報が欲しい。
( 相手が言及した“他の可能性”に頷き同意を示せば次なる被疑者に話を聞く必要があると書類を捲り。__署を出る前、証拠品の纏めを終わらせてからと思っていた為に後回しにした昼食をとり損ねた事を思い出したのは小さくお腹が鳴ったから。「何か食べないと頭が働かない。」と一言呟きデスクに置かれている相手のマグカップを勝手に持ち部屋を出れば、給湯室に置かれている自分のマグカップと二つに紅茶を注ぎ。一度デスクに立ち寄り引き出しの中に入れて置いたチョコレートを掴み再び相手の部屋に戻る。相手にマグカップを手渡しつつ、「5分だけ休憩させて。」と、チョコレートの包み紙を破いて )




  • No.4230 by アルバート・エバンズ  2024-05-05 10:39:51 

 






( 先ずは彼女に好意を持っていた人物が居ないか、最近何か悩んでいる事はなかったかなど、大学とバイト先でそれぞれ聞き込みをすべきだろう。同時にまだ見つかっていない本人を早急に探す必要もある。そんな事を考えながらパソコンの視線を向けているとマグカップを差し出され、視線を相手へと向けると温かな紅茶を受け取る。自分もデスクの引き出しからアーモンドチョコをひとつ取り出すと其れを口に放り込んで。---先ずは大学で聞き込みをしようと、その後再び相手の車に乗り彼女が通っていた大学へと向かい友人を探し。 )






 

  • No.4231 by ベル・ミラー  2024-05-05 11:44:39 





( __大学に着けば正面玄関で教授が出迎えてくれた。リリーの失踪の件で生徒達に話を聞きたいと告れば既に大学間では周知の事実で、教授は然程悩む事も無く『彼女のクラスでしたら後数分で授業が終わりますので、その後なら。…そこの突き当たりの教室です。』と答え廊下の奥に視線を向け。広い大学内、手分けした方が効率が良い筈だと思えば「私は他の生徒達に話を聞いて来ます。」と、彼女のクラスは相手に任せ別の階へと進む事とし。__授業終了のチャイムが鳴ったのは丁度相手が教室の前に来た時。ザワザワと騒めく生徒達の中、数人のグループが相手の姿を見てヒソヒソと何かを話、続いてその内の1人が不謹慎にも何処か楽しげな笑みを浮かべ『ブラントの失踪事件を担当してる警察ですか?コイツ、ジョンって言うんですけどブラントに好意があったんですよ。』と話し掛けて来て。彼に話題とされた男子生徒は何処か困った様な表情で相手を見上げ )



  • No.4232 by アルバート・エバンズ  2024-05-09 22:39:08 

 






( 授業が終わり教室から出てくる学生たち。学校のような場所では、普段校内では見掛けない刑事の姿に好奇の目が向けられる事も多いため、其の反応には慣れていた。しかし不意に声を掛けられると、ニヤついた表情の男子学生と視線が重なる。リリーに好意を持っていたという男子学生は何処か気弱そうで、彼に言い返す事も出来ない様子だった。「…そうか。君自身はどうだ、何か彼女に関して知っている事______彼女とはどう言う関係だ?」ジョン、と呼ばれた男の存在を把握し話を聞くと決めた上で、何処かヘラヘラしている男に視線を向けたまま話を聞こうと、にこりとする事もなく問いを投げ掛け。 )







 

  • No.4233 by ベル・ミラー  2024-05-10 13:23:57 





( 微笑む事も無く、誰がどう見ても極力話し掛けたくは無い無表情の相手を見て流石に男子生徒も口元のだらしない笑みを引っ込めた。そうして相手の圧に何処となく居心地の悪そうな表情で『…まぁ、俺は別に何も無いですけどね。』とぼそり呟くと、もうこれ以上話は無いとばかりに先程までの威勢の良さは何処へやら、そそくさとその場から離れて行き。一方取り残されたジョンは相変わらず困った表情のままに去って行った男子生徒と相手を交互に見遣った後、『__リリーに好意があったのは本当です、』と控え目ながら話を切り出し。この場を去る事も出来たのだが、結局後々話を聞かれるだろうと思っての事で )




  • No.4234 by アルバート・エバンズ  2024-05-12 11:27:53 

 






( 友人を面白おかしく差し出しておいて自分は何も語らないのかと冷ややかな目を向けたものの、引き留める事をしなかったのは現時点で被害者との繋がりはかなり薄いだろうと判断したから。逃げる事をせず、彼女への好意を認めたジョンと向き合い手帳にメモを取ると「彼女に恋人がいる事は知っていたのか?」と尋ねて。ジョンは、恋人が居ることは知っていたと答えた上で『…でも、リリーは時々僕とデートをしてくれました。誕生日の日やバレンタインデーの時だって、花やプレゼントを受け取ってくれたんです。』と告げて。果たしてそれは純粋な好意だったのだろうか。いつしか彼女が自分の物にならない事に怒りを覚え、手を掛けるまでに至った可能性はないか。_____相手の供述をメモに取りながら、急に刺すような頭の痛みを感じこめかみ辺りを抑える。ズキズキとした痛みは思考の邪魔をして、彼に何を尋ねれば良いのか一瞬分からなくなった。「……彼女はどういう反応だった。」と少しの間を置いて尋ねると、『とても幸せそうでした。僕もリリーが隣にいてくれて幸せだったんです。…でも、恋人がいるからと告白に答えてくれる事はありませんでした。』と。 )






 

  • No.4235 by ベル・ミラー  2024-05-12 12:29:06 





( 相手の表情が一瞬僅かに変わった事で、ジョンは何か気に触る様な事を言ってしまっただろうかと不安げに瞳を揺るがしたのだが、調子の悪さまでを感じ取れる事は無かった。__一方ミラーは他所のクラスの人達や教員に話を聞きに回っていた。教員達はリリーの事を“優しくて真面目な生徒。”と答え、生徒達は“可愛い人、結構モテてる印象。”と答える人が大半だった。これと言って特別彼女の行方に関係する証言は得られなかったものの、一先ず聞き込みした情報を引き連れ相手の所まで戻れば、話を聞かれている男子生徒と目が合い軽く会釈をし。相手の半歩後ろで話の続きを聞こうと )




  • No.4236 by アルバート・エバンズ  2024-05-12 14:51:51 

 






( 失踪した彼女の遺体が見つかっていない以上詳細な犯行時間は絞り切れないが、彼女が失踪したと見られる日の朝の行動を尋ねるとジョンは『その日は休みだったので、お昼頃まで1人で寝ていました。』と答えた。一人暮らしのためアリバイの立証は出来ない。「…また話を聞きに来る。何か思い出した事があれば連絡してくれ。」そう告げると彼を残して踵を返し、隣の相手に「…ジョンとリリーの関係に対する客観的な意見が欲しい。」と、クラスメイトに聞き込みをしたい旨を伝えて。それと同時に「_____鎮痛剤を持ってないか、」と相手に尋ねる。普段薬が必要なほどの頭痛に悩まされる事は然程多くないため、市販の鎮痛剤は持ち合わせていなかった。 )








 

  • No.4237 by ベル・ミラー  2024-05-12 15:22:07 





( アリバイの立証が出来ない以上彼もまた被疑者の枠から除外する事は出来ない訳で。次の授業の準備の為小走りで去って行く背中に数秒の視線を向けた後、相手の要望に首を縦に振れば「わかりました。…彼女、結構人気だったみたい。ジョンの他にも好意を寄せていた人がまだ居るかもしれません。」先程の聞き込みの中、多くあがった“モテる人”と言う情報を伝えつつ。続けられた問い掛けには思わず「え、」と声が漏れた。それは安定剤以外の薬を求められた記憶があまり無かったからかもしれない。「あるけど__、調子悪い?」取り敢えず常備している市販の鎮痛剤を鞄のポーチから取り出し、2錠を手渡して。その際最早癖のようなものになっているのか、相手の顔色、それから頭の天辺から足の爪先までザッと視線を流して )




  • No.4238 by アルバート・エバンズ  2024-05-13 00:45:52 

 






( 相手から手渡された鎮痛剤を受け取りつつ礼を述べると「_____いや。気圧か何かの影響だろう、頭痛がする。」と、体調には問題が無い事を告げて。普段頭痛に悩まされる事は然程多くはないものの、今日はこめかみの辺りがズキズキと痛む。痛む箇所に指で軽く圧を掛けつつ、車に戻ったら薬を飲もうとジャケットのポケットへと薬のシートを滑り込ませて。---その後、食堂で先程のヘラヘラしていた男子学生の姿を見つけ、談笑しているグループの元へと近づいて行くと彼はギョッとしたような、バツの悪そうな表情を浮かべた。ジョンとリリーの関係性について尋ねると、彼と話していた女子学生が『…正直ちょっとキモかった。だいぶしつこく言い寄ってたから、あの子も断りきれなかったみたいだし。』と答え、彼も自分の証言は間違っていなかったとばかりに頷いて。その後数人のクラスメイトに話を聞けたものの、ジョン本人の感じ方と他の学生からの意見はあまり一致しない結果となり、署に戻るべく相手と車に戻って。 )







 

  • No.4239 by ベル・ミラー  2024-05-13 13:29:21 





明日から雨らしいし、その影響かな。…無理しないでね。
( 頭痛とはこれまた珍しい、とは思うのだがそう言えば今朝のニュースで此処数日は雨が続く予報だとやっていたのを思い出し特別重要に捉える事も無く。__ジョンとリリーの関係についての客観的な意見は彼が話したのとは掛け離れているようだった。彼にとっては純粋な好意だったのかもしれないがそれが行き過ぎた可能性は拭い切れ無い。相手と共に車に戻り先程の錠剤を飲む様子を見ながら「…自覚の有る無しに関わらず、ストーカー行為に発展してた可能性もあるよね。」と、告げ署へと車を走らせて。__相手専用の執務室にて2人で聞き込みの内容を整理する。証言を書き留めた手帳を捲りながら「ジェイはジョンの存在を知ってたのかな?……もし知ってたなら、自分と付き合っていながら確り断る事も無く曖昧な接し方をしてたリリーと口論になって、思わず殺害してしまった可能性も。怒りが男性側に向かない人も居るし。」考えられる可能性を口にし、言葉の終わりに顔を上げ相手に視線をやり )




  • No.4240 by アルバート・エバンズ  2024-05-14 22:01:17 

 






( 署に戻り聞き込みして得られた情報を整理している最中、相手が可能性のひとつとして上げた一例に手元のメモから視線を上げ、少しばかり興味を引かれたように相手を見つめる。もっとも其の些細な表情の変化に気付く者はごく僅かなのだが。「…彼女に言い寄っていた男じゃなく、言い寄られていた女性の側に怒りが向く_____確かにな、」何処か納得したような言葉を紡いだのは、自分自身の考察にその可能性が漏れていたから。相変わらず恋愛事には疎く、女性に対する男の心情も自分に置き換えて考えた所でもっぱら“興味がない”のだから、なんの参考にもならないのだ。相手の言うようにジョンに言い寄られていた事を知ったジェイが、彼女の曖昧な態度に激昂した可能性は考えられる。「……お前は、男女の痴情の縺れには詳しいな。」と、手元に視線を落とすとかなり語弊のある言い方で冗談混じりに告げて。 )







 

  • No.4241 by ベル・ミラー  2024-05-14 23:21:33 





( 此方を見詰めた相手の表情がほんの僅か変化したのを見て直ぐに、興味が唆られた様で何よりだ、と言いたげに肩を竦めたのは“恋愛事”に余りに疎過ぎると言っても過言ではない相手の事を長く見て来たからか。「お前の曖昧な態度が相手を付け上がらせるんだー、みたいなね。」全くと言って良い程感情の籠らぬ棒読みで男側の意見を勝手に代弁し、再び手元の手帳にその可能性を書き記すのだが。その最中珍しい冗談が相手の口から飛び出せば思わず顔を上げ。「…ちょっと、それは語弊がある。」片眉を僅かに持ち上げあからさまに不満そうな表情を浮かべるが勿論本気で気を悪くした訳では無い。「私は何時だって円満なお付き合いをして来たんだから。」相手にとっては此方の過去の恋愛事情など別に興味無いであろうが、態々わざとらしく“円満”を強調した辺り軽口で。続けて「そんな冗談が言えるなら頭痛は心配無いようだね。」と、密かに心配していた大学での相手の頭痛の話を持ち出し再び小さく肩を竦めて見せて )




  • No.4242 by アルバート・エバンズ  2024-05-15 04:11:30 

 





( 語弊がある、と言い返されるも反応を示す事はなく無視を決め込む。しかし、自分のこれまでの恋愛は円満だったという言葉には呆れたように顔を上げ「_____お前の話は聞いてない。捜査の役に立つような経験じゃない事は分かった。」と告げて。関係が円満なのは当然良い事なのだが、捜査の役に立つものではないと穿った視点からのなんとも失礼な返答を。頭痛の事を持ち出されると、今は強い痛みではないため「…薬が効いてる。気圧にやられたんだろ、」と頷いて。刺すような痛みを感じた瞬間もあったものの、今は鎮痛剤により抑えられる程度の痛み。少量の毒は症状を引き起こしはしたものの、未だ水面下で蓄積するのみで異変に気づく事はなく。 )







 

  • No.4243 by ベル・ミラー  2024-05-15 09:45:32 





__本当0か100なんだから。何でそんなひねくれちゃったんだろ。
( 経験の全て、何でもかんでも“捜査”に重要か否かに結び付けバッサリと切り捨てた相手に不平不満を漏らすが勿論相手に届かない事は承知している。捲っていた手帳をパタンと閉じてから鞄の中のポーチを漁り取り出したのは先程相手の飲んだ物と同じ鎮痛剤。「明日も天気悪いし、念の為持ってて。」此処暫く天気が安定しないと言う予報ならばその頭痛が長引く可能性もあると薬を手渡した後「後でもう一度ジェイに話聞いて来る。…紅茶淹れるけど、何か飲む?」新たに生まれた可能性の有無を確認すべく、また、何か他の情報が得られる可能性の為に一息入れてからの予定を告げて )




  • No.4244 by アルバート・エバンズ  2024-05-15 15:52:55 

 







( “捻くれている”と言われるのはいつもの事、当然気にする様子も見せず視線は既にパソコンのモニターへと向いていて。明日からも天気が悪いと鎮痛剤を渡されれば其れを受け取り、礼を述べるとジャケットのポケットへと入れておく。「…あぁ、同じものをくれ。」と、デスクに置いていたマグカップを相手に手渡し。ジェイに話を聞いた後、次に探るべきはペットショップだろう。ジェイが店長を勤め、リリーが店員として働いていたペットショップで新たな証言や関係者が見つかれば良いのだが。 )







 

  • No.4245 by ベル・ミラー  2024-05-15 20:05:58 





( 相手からマグカップを受け取れば執務室を出て給湯室へ。警視正の趣味か、はたまた誰か他の人の拘りか此処には紅茶もコーヒーも結構な種類が揃っていて、今日は何にしようかと少し思案した後にダージリンに決めそのティーバックで紅茶を作り。__今日エバンズとミラーが大学に聞き込みに行っていた間、執務室には1人の男性が訪れていた。彼は総務課の派遣事務員で控え目で余り目立つタイプでは無いのだが、エバンズに書類を渡しに来たのだ。けれども相手は捜査に出ていて不在の為直ぐに出て来た。…のは建前。彼がデスクに置かれているエバンズのマグカップの縁に薄く塗ったのは紛れも無い“毒”で、それは時間を掛けてじわじわと相手の身体を蝕むもの。それを勿論の事知らないミラーは出来上がった紅茶を片手に再び執務室へと戻り、「お待たせ。」と、マグカップを相手に差し出して )




  • No.4246 by アルバート・エバンズ  2024-05-15 22:35:50 

 






( 生憎、仕込まれた毒は全くの無味無臭で摂取していることにすら気付かなかった。効き目も未だ激しいものではなく、僅かな異変に留まり少しの不調として片付けられてしまう程度のもののため、直ぐに外的要因を訝しむ事などできずに。---相手に淹れて貰った紅茶を飲み、ジェイへの聞き込みへと向かうと、ジェイは”彼女の大学の友人は知らない。好意を抱いている友人がいる事も知らなかった“と証言した。それが本当であれば、ジェイとジョンの間に関係はないことになる。一方で店で気になる事を尋ねると、少し言い辛そうに”彼女に好意を持っている店員がいる“と話した。店員の名前はクリス、明日は出勤予定の筈だという。彼への聞き込みは明日にしようと署に戻る途中、再び強い頭痛に襲われた。キリキリと締め付けられるような痛みに眉を顰めこめかみを押す。昼から時間が経っているため構わないだろうかと、明日のためにと貰った鎮痛剤を口にして水で流し込んで。明日出勤前にでもドラッグストアに寄ろうと思いつつ目を閉じて。 )








 

  • No.4247 by ベル・ミラー  2024-05-15 23:17:05 





( 聴取の結果、彼の話が本当であるならジェイはジョンの存在を知らない事になり署で話した“可能性”は当てはまらない事になるのだがそれはあくまでもジョンに対してだけ。新たに名前の上がった【クリス】には“可能性”が適用される状況の為結局何か変わる事はなく。クリスが2人が恋人同士だと知っていた場合、自分の所へ来てくれないと逆恨みの末リリーを殺害した可能性もある。全ては明日クリスに聴取してからだろうと署へ車を走らせるも、その道中で先程渡したばかりの鎮痛剤を服用する相手に一抹の不安を覚え。「…今日は早めに休んだ方がいいかもね。気圧じゃなくて風邪かもしれないし。」次の薬の服用時間的には少しばかり間隔が空いていないが、一度時間を守らなかったくらいでは然程酷い問題が起きる訳では無いと、そこには何も言う事無く代わりに早すぎる鎮痛剤の効果切れと相手の体調に心配そうに眉を下げて )




  • No.4248 by アルバート・エバンズ  2024-05-17 00:18:32 

 






( 締め付けるような頭痛に加えて車酔いのような気分の悪さがあり、相手に断りを入れることはせずに少し座席の背もたれを倒す。普段の不調とも違う感覚のため「……そうだな、」と、相手の提案に大人しく返事を返すと鎮痛剤が早く聞く事を願いながら目を伏せて。---翌日、起きた時には頭痛は治っていたものの昨日までは感じていなかった身体の重怠さがあり、やはり風邪だろうかと思いつつ出勤途中にドラッグストアで鎮痛剤を購入し。未だ容疑者は絞り込めておらず、同時に失踪した彼女についても身代金の要求もなければ遺体の発見も出来ていない状態。ペットショップで働くクリスに話を聞き、彼女の捜索に当たっている捜査員にも痕跡の発見を急ぐように伝えなければと思いつつ、頭をクリアにしておこうとマグカップを手に給湯室へと向かいコーヒーを淹れるとシンクの前に立ったままひと口飲んで。 )







 

  • No.4249 by ベル・ミラー  2024-05-17 09:40:17 





( 今日はペットショップでの重点的な聞き込みをする日。此処で重要な手掛かりや証言を得る事が出来ればリリーを見付ける大きな一歩にもなり得ると気を引き締め昨日聴取内容を記録した手帳を確認し。数分後、席を立ち給湯室へと向かう。頭をクリアに、は相手と同じ考えだった。シンクの前に立ちコーヒーを啜る相手に視線を向け「おはようございます。」と先ずは朝の挨拶をすれば、自身のマグカップにコーヒーを淹れつつ「…具合はどう?」と続けて調子を尋ね。目下に住み着く隈は何時もの事、後他の不調は…と、無意識に思考は巡り。もし相手の調子が余り良くないのだとしたら今回の聞き込みは1人で行く事も視野に入れての事で、返って来る返事はわかっていながらも暗に滲ませた“行けそう?”を問として )




  • No.4250 by アルバート・エバンズ  2024-05-19 22:42:26 

 






( 足音が聞こえ振り向くと、そこに居たのは同じくマグカップを手にした相手。捜査前に頭をクリアにしておこうと、自分と同じような理由で此処に来たのだろうと思えばコーヒーや紅茶のパックが取りやすいように一歩横へとずれて。続いた体調を問う言葉には「…あぁ、問題ない。」とだけ答え、当然捜査には行けると頷いて。鎮痛剤は持っている、捜査に支障を来たすほどの不調に悩まされている訳ではないと自分自身にも言い聞かせつつ「10時に署を出てペットショップに向かう。」と相手に告げ、部屋へと戻って行き。 )







 

  • No.4251 by ベル・ミラー  2024-05-19 23:31:41 





( “問題無い”と言う相手の言葉を信じたのは、特別酷い顔色や不調が目に見えなかったから。当然その不調が毒物によるものだと思ってもいない訳だから矢張り気圧の関係や風邪の引き始めを疑うのは当然で。腕時計に視線を落とし時間を確認し頷いてから部屋に消える背中を見送って。__約束の10時。相手と共に署を出て予定通りペットショップへと向かう。中には数人の客と店員、それから店長であるジェイの姿が在り。「クリスさんに話を聞きに来ました。」と告げると、ジェイは軽く頷いた後に裏でケージの清掃をしているクリスの元まで案内してくれて )




  • No.4252 by アルバート・エバンズ  2024-05-22 04:04:15 

 






( 一見しただけの印象ではあるが、ジェイとクリスには互いに気不味さを抱えているような、僅かなぎこちなさがあった。恐らく店長であるジェイに対するクリスの対応が事務的でやや冷たい事も、そう感じさせる要因だろう。ジェイがその場を離れると簡単に挨拶をし、単刀直入に質問を投げ掛けて。「_____あなたが、リリーさんに好意を抱いていたと聞きました。店長のマレックさんとの関係は知っていたんですよね?」クリスはほとんど間を空ける事なくその言葉に頷くと『勿論店長との関係は知っています。でも俺はずっとリリーが好きでした。彼女もその事は分かってくれていました。』と答えて。 )







 

  • No.4253 by ベル・ミラー  2024-05-22 08:48:06 





( 相手の問い掛けに間髪入れず答えたその言葉に申し訳なさの様なものは感じられなかった。もしかしたら店長より自分の方がリリーを愛していると言う自信やプライドもあったのかもしれない。クリスの表情を黙って見ながらその話をメモに書き留め、矢張り大学で聞き込みをした印象通り、彼女は結構モテるタイプだったのかと思案して。「__リリーさんに店長と別れて欲しいと伝えた事は?」想いが強いあまり、リリーがジェイと付き合っている事が納得いかず自分の元に来て欲しいと願い口論になり殺害した可能性も視野に、続けて「もう一つ、最後にリリーさんと会ったのは何時ですか?」と、質問を続けて )



  • No.4254 by アルバート・エバンズ  2024-05-22 12:46:13 

 






( 相手の問いにクリスは『…別れて欲しいと直接的に伝えた事はないですけど、“俺の方が幸せにできる”とは言いました。10も年下の、しかも未成年に手を出すなんて信用できないですよね。リリーは盲目って感じでゾッコンだったのであんまり強くは言えませんけど。』と答えて。その答えからも、先ほど感じたぎこちなさのようなものの理由が分かる気がした。クリスはジェイを良く思っておらず、店長という立場で10歳も年下の女性に手を出した事にも不信感を感じているという事だろう。『最後に会ったのは…バイトの時です。リリーが失踪したと言われている日の2日前ですかね。』クリスはゲージの中の子猫を触りながら、そう答えて。 )







 

  • No.4255 by ベル・ミラー  2024-05-22 16:09:20 





( その返事からは、自分の方に来て欲しいのに来てくれないリリーへの怒りや恨みよりも、10歳も年下の未成年に手を出した店長への怒りや失望の方が強い様に感じられ、もし本当に殺害したいと言う気持ちがあるのならばそれは多分彼女では無く店長の方に向くのでは…と直感的に思った。勿論あくまでも推測の域を出る事は無いが。その話も手帳に書き留め、クリスに撫でられどこか気持ち良さそうに目を細めた子猫に無意識に視線を向け、それから直ぐにその視線を持ち上げると「…その時に普段とは様子が違ったり、何か気付いた事はありませんでしたか?」と質問を重ねる。その答えを聞きながら頭の片隅で考えるのは、クリスの言う通りリリーがジェイにゾッコンだったとして、それならば何故他の異性に好意があると言われた時確りと断らないのか。それが出来ない性格なのか、はたまた何か別の理由があったのか )




  • No.4256 by アルバート・エバンズ  2024-05-23 03:40:32 

 






( 『疑われてるんでしょうけど、俺が犯人ならリリーは狙いませんよ。好きな子を殺したりしたら元も子もないじゃないですか。』と、相手の思考を察してかはたまた偶然か、クリスは冷静に言ってのける。未だ被害者の生存確認も出来ていなければ遺体も見つかっていない状況。『いつもと変わったところは特に。…まだリリーがどこに行ったか、手掛かりはないんですか?』と問われ。彼はリリーが失踪したと思われる日の朝、前日から夜通し友人と飲み明かし、友人の家で寝ていたと証言した。一緒にいた友人らが証言できるはずだと。---そんな供述を聞きながら、突然視界がぐにゃりと歪むような強い目眩に襲われ思わず近くにあったゲージを掴む。独特の金属音が鳴ったものの平衡感覚が分からなくなってしまうことはなく、額に冷や汗が滲むのを感じながらも立ったままで話を聞いて。 )







 

  • No.4257 by ベル・ミラー  2024-05-23 08:51:46 





( 此方の思考を察したのだろう彼の言葉に一瞬僅かに眉が微動したのはその冷静さに対してでは無い。恋愛感情のある相手を狙うか狙わないかはその人の性格やその時の状況で幾らでも変わる為問題はそこでは無いのだ。好きな相手ならば、心を向けている相手ならば、何故“殺したりしたら”なんて言葉を選んだ。少なくともまだリリーの遺体は見つかっておらず殺害されたと断定された訳では無い。失踪では無く事件だと思っているとしても“誘拐したりしたら”が妥当では無いのか。クリスをじっと見詰めたまま、次いで今度は彼からの問い掛けに「__今全力で捜査をしています。」と答えるに留めつつも、果たしてアリバイがあるのならば犯行は難しいか、それとも友達も共犯、もしくは口裏を合わせてくれるよう頼んでいる可能性もあるのかと思案し。__事件の事でぎゅうぎゅうに圧迫されていた脳に金属音が響いたのはその時だった。突然の音に周りの動物達が忙しなく動き、反射的に音の鳴る方へ視線を向ければそこにはゲージを掴み立つ相手の姿があり。クリスは不思議そうな表情を浮かべただけだったものの、長く相手を見ていればその不自然な行動が不調と結び付くのに時間は掛からない。「…また何か思い出した事があればご連絡下さい。失礼します。」このまま長く此処に居るべきでは無いと、話はもう十分聞けたとばかりに話を終わらせては、相手に目配せをして店内へ、そうしてジェイにも軽く頭を下げ車に戻るや否や「__調子悪いね。」助手席に座る相手の手首に触れ脈拍を見つつ、問い掛けでは無い決定の言葉と共にその表情を伺って )




  • No.4258 by アルバート・エバンズ  2024-05-24 01:33:52 

 






( クリスに聞きたい事は未だあった。ジェイに直接リリーとの関係について問いただしたり口論になったりした事があるのか。他にリリーを誘拐する動機のある者に心当たりはないか。しかし自身の体調が思わしくない事に当然すぐに気付いたのであろう相手は話を切り上げ、車へと戻る。もっと話を聞く必要があったと不服の声を上げようと思ったものの、目眩が酷くそれは叶わなかった。助手席の椅子を深く倒し首元を緩めるのだが、異常なまでに汗をかいていて背中を汗が滑るのを感じた。相手が触れた手は小刻みに震えて脈もかなり早く、自分で鼓動を感じるほど。ただフラッシュバックを起こす感覚とは違うのだ、体調を崩す時に胸の内に残る不安定さのようなものは無いはずなのに。 )







 

  • No.4259 by ベル・ミラー  2024-05-24 11:09:22 





( “可笑しい”と瞬間的にそう思った。脈は触れただけでわかる程に早くその手も小刻みに震え、何時その震えが全身に回り痙攣と言う形になっても不思議では無いと思える程。額にたまのように浮かぶ汗も異常事態を物語っており、こんな状態じゃまともに捜査など出来る筈が無いと。気圧の変化や風邪では無いと思ったが矢張りそれ以上の…毒には結び付かなければ、考えられるのはこれまで幾度となく見て来た状態から導く“フラッシュバックによる発作”で、だからこそ必要なのは鎮痛剤では無く安定剤だと誤診した結果、相手の鞄の中から普段服用している見慣れた薬と、ミネラルウォーターのボトルを取り出し「大丈夫、大丈夫、」と落ち着かけるように声を掛けつつ肩付近を擦り、少しでも飲み込む事が出来そうならば薬を、と )




  • No.4260 by アルバート・エバンズ  2024-05-27 21:57:23 

 





( 相手から差し出されたペットボトルは受け取ったものの、安定剤には首を振り口にする事はなかった。これまで幾度となく発作に苦しめられて来たが、だからこそ今の症状が過去のフラッシュバックに起因するものではないと直感的に感じたのだ。ほんの少量の水を口に含んだものの、未だ手は震えていて目眩によるものか、視界が日差しの強い外から屋内に入った時のように可笑しな色をしている。「…っ、…少し休ませてくれ、」と辛うじて言葉を紡ぐと深く倒したシートに身体を預け、少し背中を折るようにして目を閉じてしまい。捜査を進めなければならないのに、この状況では到底動けない。少し休む事で体調が戻れば良いのだがと思いつつ、以前目眩が酷い時に飲むようにと処方された目眩止めの薬があるのを思い出す。今は鞄の中を探る動作さえできそうになく「_____鞄から薬を取ってくれ、…ピンク色の小さい錠剤だ、」と相手に頼み。 )






 

  • No.4261 by ベル・ミラー  2024-05-27 22:34:57 





( 普段の相手ならば捜査に支障をきたす事が無い様にと直ぐに安定剤を服用する筈が、今回はどういう訳かそれを拒否した。額に滲む汗や手の震え、脈の速さは何か別の理由から来るものなのかと僅かに眉を寄せ考えるも、その間に相手は倒した背凭れに身体を預け休憩の体勢に。余程辛いのだろう苦しげに吐き出される呼吸音を聞いて今のベストが何かを思案すれば、先ずは相手の要望通りに安定剤を鞄にしまい代わりに奥の方にあるもう一つの袋を取り出し、中からピンク色の錠剤を相手に渡し。__様子を見る限り、明らかに風邪や気圧の変化、少しの体調不良などでは無い。こんな状態で捜査の続行は当然不可能な訳で、目眩止め薬が効き、落ち着くまでの間車の中ではろくに休む事も出来ない筈だ。そうしてそれは署の仮眠室でも恐らく同じ事。仮眠室に行くまでに何人の署員に調子の悪い相手を認識されるか。この場所からなら相手の家より己の家の方が近い…となれば。「__エバンズさん家で休もう。そっちの方がちゃんと休めるし、私1人此処に戻って来ても良い。」辛うじて、と言った言葉がピッタリな程に何とか身体を起こした相手が目眩止めを服用したのを確認してから、今一度軽く肩を擦りこの先の行き先を。これは提案では無く己の中では既に決定事項だ。なるべく車を揺らさぬ様運転に注意を払いつつ自宅まで向かう事として )




  • No.4262 by アルバート・エバンズ  2024-05-27 23:19:58 

 





( 捜査に注力すべきだと思いはするものの、今は相手の提案を拒絶する事はしなかった。出来なかったと言う方が正しいだろうか。この状態では何も仕事が手に付かないのは目に見えているし、署に戻った所で他の署員の目もある。少し落ち着くまでの数時間だけでも家で休むのが最善だと思えば、頼む、とだけ答えて目を閉じて。---車が停まると相手に支えて貰いながら家に戻ったものの、相変わらず視界は嫌な揺れ方をしていて目を開けているのが辛い。ジャケットも脱がずにベッドに横になると、メールを打つことは出来そうにないため何かあれば電話をするとだけ伝えて目を閉じて。「…悪いが、他に怪しい人物に心当たりがないか、被害者のクラスメイトやバイト先の人間に聞き込みをしてくれ。今捜査線上に上がっている被疑者ももう少し絞り込みたい…アリバイの確認も頼む、」頭は正常に働いているからこそ、やらなければならない事は整理できるのに何も出来ない事がもどかしい。少し落ち着いたら署に戻ると告げて。 )






 

  • No.4263 by ベル・ミラー  2024-05-27 23:50:00 





( 身体を起こしておく事は疎か、目を開けて居る事すら酷く辛いのだろう、ベッドに身を横たえた相手は視界を閉ざしたままに身体の不調とは裏腹に正常に働く思考で捜査の指示を出した。それに軽く頷き「大丈夫、クリスにももう少し詳しく聞き直すから__何も心配しないで。」掛け布団を相手の肩付近まで掛けてサイドテーブルに一応の安定剤と目眩止め、それからミネラルウォーターのペットボトルを置いて家を出る。不調の相手を1人残してこの場を離れる事に不安が全く無い訳では無かったが、今は少しでも早くリリーの居場所に関する情報を得る事が優先だった。__車を走らせ先ずはペットショップへと戻ると店内へ。お客の出入りを知らせる扉に取り付けられた鈴の音が鳴り、此方の姿を見たジェイに、クリスともう一度話がしたい、と言えば再び店の奥へと案内してくれて。__クリスは先程と同じく小動物のゲージの掃除をしていた。「…先程確認しそびれた事がありまして、お忙しいとは思いますがもう少しだけお時間を下さい。」と話を切り出した後、「リリーさんとの関係について、直接店長と揉めた事はありますか?…それと、例えばリリーさんが誰かと揉めていたとか、彼女に好意を抱いていた人が別に居たとか、誘拐の動機がありそうな人物に心当たりは?」2つの質問を問い掛け手帳を開いて )




  • No.4264 by アルバート・エバンズ  2024-05-28 04:06:17 

 






( クリスは掃除の手を止め再びやって来た相手に視線を向けると、相変わらず淡々と聞かれた事に答えた。『店長に直接何かを言ったり言い合いをしたりした事はないです。まぁ、特別仲良くやってるって訳でもないですけどね。_____あ、それなら1人思い当たる人がいます、よく来る客で。動物を見に来てるとかそういうのじゃなくて、あからさまにリリー目当てで迷惑してたんです。最近では待ち伏せ?かなんかをされたらしくて、その客が来たら彼女には裏の作業を任せて表に出さないようにしてましたよ。店長の方が詳しいとは思いますけど、あいつは調べた方が良いです。』_____クリスが挙げた男は、ジェイによるとマーティン・スコットという男だという。トラブルになった時に免許証で名前などを控えたのだと言うが、警察に届け出る事まではしなかったらしい。 )







 

  • No.4265 by ベル・ミラー  2024-05-28 09:55:40 





( クリス、ジェイ共に【マーティン・スコット】と言う名前の男性を怪しい人物として挙げた。新たな容疑者の登場で絞込みは更に範囲を広げる事となり彼にも話を聞く必要が出て来たと思えば、ジェイから過去の防犯カメラ映像を見せてもらいマーティンの顔を確認し。後は署にてマーティンの前科の有無やリリーとの関係について話を聞く事が最初。それが終わり次第クリスの証言したアリバイが本当かを確かめる為に彼の友人に会いに行き、もう一度大学での聞き込みの必要性もあるだろう。__クリスに話を聞き終わりペットショップを出る際、ジェイに向き直り軽く頭を下げてから「ありがとうございました。…あ、最後に一つ。これまでリリーさんとの関係でクリスさんと揉めた事はありますか?」と、先程のクリスの話の真偽を確かめて )




  • No.4266 by アルバート・エバンズ  2024-05-29 01:32:48 

 






( 相手の問いに、ジェイはクリスと同じく“揉めた事はない”と答えた。互いに何となく嫌悪感や気まずさのような物を感じているだけで、直接的な不和があったわけではないようだ。---相手が署に戻って来る頃、1人の男がエバンズの執務室へと足を踏み入れた。刑事課のフロアは人が行き交い各々忙しなく業務が行われているものの、警部補専用の執務室の電気は消えていてパソコンも閉じられている。捜査に出ているのか、はたまた彼に盛っている毒の効き目が出始めたか。マグカップは定期的に使われているようで目論見通り順調に事が進んでいるのだが、たったこれだけで根を上げられては困る。違和感のない自然な動作でマグカップの縁に毒を塗り付けつつ、資料を彼の机の上に置き。 )








 

  • No.4267 by ベル・ミラー  2024-05-29 11:09:09 





( 2人の話が一致した事で大きな揉め事は無かった事が一先ず証明された。着実に絞り込みを進める中署に戻る前にスマートフォンを確認するが相手からの連絡は無く、静かに身体を休ませる事が出来ているだろうかと思案するが、連絡も出来ない程に苦しんでいる可能性もある。何にせよ兎に角急ぎ聞き込みを終わらせ相手の様子を見たいとスマートフォンを鞄に戻し署へと車を走らせて。__やれ強盗だ、やれ事件だと刑事課のフロア内は相変わらず署員が忙しなく動き回っており時折疲弊した溜め息も聞こえて来る。自席に鞄を置きノートパソコンの電源を入れて何となしに頭を向けた先、暗い警部補専用執務室に気配を感じた気がして首を傾げる。体調が良くなった相手が戻って来たのかとも思うがそれならメールの一つ送られて来ていても可笑しくは無い筈だ。数秒間執務室を見詰めた後、静かに歩み寄り軽いノックに続き直ぐに扉を開ければ果たしてそこには暗い部屋の中男性の姿があり。「っ、」流石に驚いたと双眸が見開かれるが、フロア内の光を受けてその人物がたまに廊下で擦れ違う事のある別のフロアの派遣職員だと気付くと、口元に小さな笑みを蓄え「…お疲れ様です。警部補に用事ですか?」と、問い掛けて )




  • No.4268 by アルバート・エバンズ  2024-05-29 16:08:58 

 






( 相手が執務室の扉を開けた時、ちょうど資料を置いて部屋を出ようとしていた所で男も驚いた表情を浮かべる。相手がいつもエバンズと行動を共にしているベル・ミラー刑事である事は当然知っていて、直ぐに同じように微笑むと『お疲れ様です。すみません、エバンズ警部補に捜査経費の書類を渡しに来たんですがご不在だったので。デスクの上に置いてあるので、確認後総務部に戻して頂くよう伝えて貰えますか?』と告げて。怪しまれないための下準備は念入りに行っているため説明にも淀みが無ければ、刑事課に関する業務を率先して請け負って来ているため書類も普段から彼が処理しているもの。怪しまれる要素はひとつもなく、説明と共にデスクの上に置いた書類を指差して見せ。ついでに『今日中に貰えるとありがたいんですが…何時ごろに戻られるか分かりますか?』と付け足し、彼の様子を間接的に窺い。 )






 

  • No.4269 by ベル・ミラー  2024-05-29 19:21:15 





( 彼が派遣社員として雇われたのは確か数ヶ月前と、期間こそ短いものの度々捜査経費等の書類関係で刑事課のフロアで姿を目撃していた。だからこそ普段と変わらぬ様子でエバンズの居ない執務室に居た所で特別怪しむ事も無く、デスクに置かれた丁寧に端の揃えられた書類を一瞥した後に「わかりました、伝えておきますね。」と、快く頷き。己の横を通り過ぎて部屋を出て行くと思われた相手はどうやら書類に関してたっぷりの猶予を持っている訳では無いようだ。問い掛けのその裏の真意に気が付く事は出来なく、相手の奥の壁にかかる時計に視線を向けると「そうですね__…、」と考える素振りを。今のエバンズが何処まで調子を戻したのかがわからない以上下手に勝手な返事をする事も出来ず、少しの沈黙を置いた後。「…今日中に聴取をしなければならない被疑者が多くて。もしかしたら遅くまでかかるかもしれないんですけど……」エバンズはあくまでも今聞き込みに出ていると言う体で、やや眉下げた申し訳無さそうな、それでいてどうしたって曖昧になってしまう返事を返して )




  • No.4270 by アルバート・エバンズ  2024-05-30 03:58:25 

 






( 案の定、彼の部屋に居たことを怪しまれる事はなかった。実際に相手の言う通り聴取に追われているのかもしれないが、エバンズの戻り時間を明示しない事を考えると身体に不調が出始めている可能性も十分にある。既に継続して毒を盛っているため異変が出るのは想定通りだが、彼が署に来なくなって毒を盛る機会がなくなるのも、今病院に行かれて毒物が検出されるのも困るのだ。『そうですか…分かりました。そうしたらなるべく早めにお願いします。』とだけ伝えて軽く会釈すると刑事課のフロアを後にして。---一方のエバンズは、目眩を抑える薬を飲んで休んだ事が功を奏したのか、実際は摂取した毒物がようやく体内で薄まったのか、幾らか動ける程には回復していた。時刻は既に午後4時を過ぎているのだが、今からでも署で出来る事はあるだろう。座ったり横になったりしている方が楽なのだが、署にさえ行ってしまえばなんとでもなる。着たまま横になったことで少し皺の入ったジャケットを整え、“少し落ち着いた。今から向かう”と、相手のスマートフォンにショートメッセージを送り。 )






 

  • No.4271 by ベル・ミラー  2024-05-30 11:14:15 





( 総務部の男性職員と会釈を交わし別れてから自席に戻り、確認したがマーティンに特別な前科は無く、とは言え前科が無いから犯罪を犯さないと言う事にはならない。時刻は午後4時を過ぎた頃で大学への再聞き込みとクリスの友人へのアリバイ確認は明日以降になると思案しつつ、今日中にマーティンの自宅へと話を聞きに行こうと。鞄を持ち席を立った時、ふいにスマートフォンが音を鳴らし手に取ればそこには相手からのメッセージが来ており、画面上の時間を確認する。__署に来れるだけの体調を持ち直したのかもしれないがマーティンへの聞き込みは未だ大きな負担になると思えば、“今からマーティンの家に聞き込みに行って来る事、総務部から捜査経費の書類が来ていてなるべく今日中に戻して欲しいとの事”を返事として送り、署を出てマーティン宅へと向かい )




  • No.4272 by アルバート・エバンズ  2024-05-30 23:53:47 

 






( 多少なり回復したとはいえ、未だ捜査に奔走できる状態ではないと判断したのだろう。先に1人で聞き込みに行くという相手の返事を確認すると、タクシーを呼び署へと向かい。---フロアで会った署員たちに特別怪しまれる事もなく部屋に入ると電気をつける。デスクの上には幾つかの報告書と、相手が言っていた捜査経費の書類が置かれていてパソコンを起動するとデスクに置いていた眼鏡を掛けそれらの書類に目を通して。 )






 

  • No.4273 by ベル・ミラー  2024-05-31 08:49:40 





( __【マーティン・スコット】の家に着いた時には既に午後5時近くになっていた。外で遊んでいた子供達がちらほらと家へ帰り始める中で扉を軽くノックすれば、中からは“少し待ってくれ”の言葉が聞こえそれから数十秒後に鍵の開く音と共に扉が開かれ。顔を出した男と監視カメラ映像で確認した男の容姿は同じ。彼がマーティンで間違い無いと判断すれば「レイクウッド署のミラーと言います。リリー・ブラントさん失踪の件で少しお話を聞かせてもらえますか?」胸元からFBIの警察手帳を取り出し見せ。少し考える素振りを見せたマーティンだったが、素直に家の中へと案内してくれて、互いに向かい合う形でソファに腰を下ろし聞き込みを開始する。“リリーに好意があったかどうか”“リリーが失踪した日のアリバイ”の2点を問うてその答えを待ち。__一方レイクウッド署では先程捜査経費書類を持って来ていた派遣職員が再び刑事課フロアを訪れていた。今度は嘘偽り無く総務部からの書類を署員に配る目的だったのだが、先程電気の点いていなかった警部補専用執務室の明かりが灯っているではないか。扉一枚隔てた其処に、自分の盛った毒を何も知らず摂取している相手が居る。…そう思うとどうしてもこの目で様子を見たくなってしまい、ノックの後『…総務部の者ですが、』と声を掛けて )




  • No.4274 by アルバート・エバンズ  2024-06-01 00:48:09 

 





( マーティンは相手の問いに対して、好意はあったと答えた。しかし先に好意のある素振りをしてきたのは彼女の方でストーカー行為をしていたわけではないと主張するあたり、若い女性から仕事上で愛想良くされた事を“好意”と受け取ってしまう、よくある“都合の良い勘違い”のパターンと言えよう。被害者が失踪した日は、昼過ぎにペットショップを覗きに行ったものの、午前中のアリバイは無いという状況で。---書類を確認していると不意に部屋の扉が叩かれる。総務部という言葉に、相手が言っていた先ほどの書類を取りに来たのだろうと思えば入室を許可し、確認を終えてサインをした書類を相手に差し出す。「捜査経費の書類だったな、遅くなった。」と言葉を添えつつも、未だ顔色はあまり良くない。文字を見る限り手の震えのような症状が慢性的に起きている状況ではなく。 )







 

  • No.4275 by ベル・ミラー  2024-06-01 13:34:19 





( マーティンに確かなアリバイは無く、加えて勘違いからの逆上によりリリーを拉致監禁しても可笑しくは無い程に“都合の良い”思考だ。「わかりました。また何かあれば伺います。」と頷き一先ずはその情報だけを持ち帰る事として。___入室の許可が降りた事で男性職員は静かに執務室へと足を踏み入れた。相手から捜査経費書類の話を出されると『いえ、急がせてしまって申し訳ありません。明日の朝でも間に合うようになったとお伝えするつもりで来たのですが、』と、此処に来た最もらしい理由をくっ付けて軽く頭を下げ書類を受け取り。その文字に歪みや薄さは無く表立って毒の影響が出ているのは感じられない。顔を上げて見詰めた相手の顔も、何処と無く顔色の悪さは伺えるが元々が白い為に大幅な変化は無いように思えて。不自然に思われない何気無い小さな動作でデスク上のマグカップを見、中身が入って無い事から毒を塗ってからまだ使用されてない事を知る。早く、何でも良いから飲め、と早る気持ちを抑えつつ『…では、失礼します。』と、再び深く頭を下げて執務室を出、そのまま総務部へと戻って行き )




  • No.4276 by アルバート・エバンズ  2024-06-01 15:06:41 

 






( 明日の朝でも、と言う事だったが早く処理できるに越した事はない。相手の言葉に頷きつつ、また何か必要があれば声を掛けてくれと告げ相手を見送って。_____仕事に行き詰まった時、少し休憩を取りたいと思った時に温かい飲み物を欲するのは極自然な事だろう。少ししてマグカップを手に立ち上がると、紅茶を淹れる為に給湯室へと向かう。マグカップの縁に毒が塗られているなど当然思いもしなければ、無味無臭の其れに気付く事が出来る筈もない。午前中の酷い症状が幾らか落ち着いた事に安堵して、温かい物を飲みたいと思うだけの余裕が生まれた事も更に毒を摂取するきっかけとなった。ティーバッグからお湯に色が染み出すのを眺めつつ、今回の事件で被害者の行方が未だ掴めない事を考える。怪しい人物は数人上がっているものの、皆が皆被害者に好意を持っていて関係性がややこしい。ぼんやりしていて濃く出し過ぎてしまったティーバッグをゴミ箱に捨てると、冷蔵庫に入っている牛乳を入れ再び執務室へと戻り。 )







 

  • No.4277 by ベル・ミラー  2024-06-01 16:14:03 





( __署に戻り、執務室の明かりを目にしたのは相手が紅茶休憩をとった少し後の事。メールにあった通り確りと戻って来る事が出来たのだと思えば一度自席に鞄を置いた後、扉を2度ノックしてから返事を待つ事無く入室し。椅子に座り此方を見た相手の手にはマグカップが握られており、具合の悪さから何も胃に入れる事が出来ていないのでは、と思っていたからこそそれも安堵を助長させた。ふ、と鼻から抜ける様な息を漏らした後に「戻りました。」と一言告げるとデスクを挟んだそこにあるソファへと腰を下ろしつつ「…少し落ち着いた?」未だ顔色が悪い事は悪いのだが、先程までの調子の悪さは少し休んだからか、それとも薬が効いた事によるものか、おさまっていると思えば体調を確認する様に緩く首を傾けて )




  • No.4278 by アルバート・エバンズ  2024-06-02 03:55:57 

 






( 扉がノックされ相手が顔を出すと視線を重ね、体調を尋ねる言葉に小さく頷くと「…あぁ、手間を取らせて悪かった。」と答えて。体調は万全とは言えないものの午前中と比べれば幾らかマシになっていて、紅茶をひと口飲むと相手の聞き込みの成果を聞き。相も変わらず、怪しい人物こそ上がっているものの容疑者を絞り込むに至らない状況に息を吐きくと「…分かった。現時点では、全員被害者に好意を持っていたと言う事以外の情報が未だ薄い。犯人が白昼堂々彼女を誘拐すると言う暴挙に出ている以上…何か事件に繋がる決定打があった筈だ。被害者自身についてもう少し調べる必要がありそうだな。何か犯人を駆り立てたきっかけ______自分の好意を蔑ろにされたと受け取ってしまう状況や、トラブルがなかったか、彼女の友人やペットショップの関係者を中心に広く情報を聞きたい。」と告げて。相手はよく動いてくれている、自分も捜査に集中しなければと。 )








 

  • No.4279 by ベル・ミラー  2024-06-02 09:21:22 





( 謝罪の言葉に「平気。」と答えたのは強がりでも何でも無く素直に問題無いと思えたからで。「流石にマーティンの名前まで挙がるとは思わなかった。被疑者を絞り込む筈だったのに。」ソファの背凭れに軽く体重を掛け、今日新たに登場した被疑者に溜め息を。アリバイがあり直ぐに被疑者枠から除外する事が出来れば良かったものの、彼にアリバイは無く更には“リリーからの好意”を勘違いしてる以上相手の言う事件に繋がる決定打的な揉め事を起こしていても不思議では無い。未だ被害者の行方がわからないのも釈然としなかった。「…大学には昼休みを目掛けて行くとして、朝一でクリスのアリバイ確認もとりたい。」と、要望を口にしつつ、今一度相手の体調を伺う様に視線を向けた後「__エバンズさん、今日泊まってもいい?」と少し声を潜め此処暫く無かったお泊まりを望んで )




  • No.4280 by アルバート・エバンズ  2024-06-02 12:32:48 

 






( 車が見つかったスーパーの監視カメラは店の入り口にしか向いておらず駐車場の状況は記録されていなかった。そのため車を降りてからの彼女の行き先を掴めずにいるのだが、其の捜査も急がせなければと。翌日の聞き込みの計画に同意を示すも、続いた問い掛けには暫し返事に躊躇する。原因こそ分からないものの夜も体調を崩す可能性はある訳で、敢えて相手を巻き込み気を遣わせるのも憚られる。「_____未だ体調が安定しない。お前も捜査の疲れがあるだろう、」と答えて。 )






 

  • No.4281 by ベル・ミラー  2024-06-02 13:20:41 





( 案の定相手はこの要望に言葉を詰まらせ曖昧な表情を浮かべた。特別何も無い状況であるならまだしも、体調面で不安がある以上夜中に目を覚まし此方の眠りも妨げてしまう可能性があるとでも考え首肯しかねて居るのだろう。不安定な遠回しの言葉に少し考えてから「…じゃあ駄目?」と、珍しく相手からの明白な言葉を待つ問い掛けを続けた後、それでも許可が降りる様少しだけ悪戯に笑うと「夜中に目が覚めた時、あったかいホットミルク飲めるよ?」己が居る事による物理的なメリットを挙げて、その答えを待ち )




  • No.4282 by アルバート・エバンズ  2024-06-02 15:09:53 

 






( 駄目だと断言しきる程の事でもないため言葉を詰まらせたものの、相手は引く事をせずメリットもあるのだとばかりに言葉を続ける。「…分かった、好きにして良い。」と、此方が折れる形で家へ来る事を許可すると、この所相手に翻弄される事が増えたと1人溜め息を吐いて。---紅茶を飲んでからちょうど2時間程が経った頃、当然その因果関係には気付いて居ないのだが、突然パソコンのモニターが歪んだように感じてまたかと眉を顰める。頭痛と目眩の症状は未だ午前中ほど酷くはないものの、視界に映るものが二重に歪んで見えて思わず眼鏡を外して眉間を解す。そのまま仕事を続けていたものの、パソコンに打ち込んでいた資料の文字は途中からスペルミスや打ち間違いが増え、誤植を示す赤い波線が表示されているのを見て手を止めて。手が震えてキーボードを上手く打てていないのか、それとも視界が歪んでいるせいでキーボードの正しい位置を認識できていないのか、どちらにせよ正常ではない。既に退勤している者も多くフロアには人が少ない。部屋を出るとそのままトイレへと向かうのだが、入ってすぐの手洗い場の所で酷い目眩に襲われその場へと座り込んでしまい。 )







 

  • No.4283 by ベル・ミラー  2024-06-02 17:06:08 





( 此方に判断を委ねる言葉なれど泊まりの許可が降りれば何処か満足そうな表情で仕事の続きをするべく自席へと戻り。__今日纏めておきたい事件の資料が出来上がり、ガチガチに固まった身体を解すべく両腕を上げぐぐ、と伸びをしてから深く息を吐き出したその時。視界にフロアを出る相手の姿が映れば何となしに頭を向け、僅かに怪しむように目を細めた。それは一瞬であったが苦しげに眉が顰められた表情に見えたからに加えて、何かに耐えるような至極ゆっくりとした足取りに思えたから。一拍程の間を置いて静かに席を立つとフロアを出て廊下へ。辺りを見回しても既に相手の姿は無く、エレベーターの表示も止まっている為乗った訳では無さそうだと思えば、この短い擦れ違いで姿が見えなくなるとなれば直ぐそこにあるトイレに行ったのかと、踵を返す前。何の勘が働いたのか躊躇いがちに一度だけ「…エバンズさん、」と名前を呼び )




  • No.4284 by アルバート・エバンズ  2024-06-02 23:28:36 

 






( 視界がぐにゃりと歪むような酷い目眩の原因に心当たりはなかった。体調を崩すことこそ多いものの、この症状は過去に起因する精神的なものではない筈なのだ。外から聞こえた相手の声、様子が可笑しい事に気付き後を追ってきたのだろう。せめてこの症状を引き起こしたのが家であればと思うものの、此処は職場で自分が居るのは男性用トイレ。相手を呼ぶ事も出来る筈がなく、暫しの沈黙の後に少しばかり目眩の波が引いているタイミングで立ち上がると外へと出て。気を抜けば再びしゃがみ込んでしまいかねない状態で、「______帰りたい、」と、外に居た相手に唐突にもひと言だけ訴える。しかし執務室に戻り、纏めかけの資料を保存してパソコンを閉じた上で荷物を手にし車に向かう、それだけの作業も今は出来そうになく「…車まで荷物を持って来てくれないか、」と言葉を紡いで。 )








 

  • No.4285 by ベル・ミラー  2024-06-02 23:52:19 





( 呼び掛けに返事は無かったものの、程なくして顔面蒼白の相手が廊下に出て来ると、その余りの顔色の悪さに思わず言葉が詰まる。双眸を見開き反射的に伸ばした片手が相手の腕を取るよりも先にたった一言帰宅を訴えられれば「っ、帰ろう、今直ぐ。」と何度も頷き。それから相手に頼まれた通り一度執務室に戻り纏めかけの資料を保存しパソコンの電源を切り、相手の鞄と上着、それから自身の荷物を持って共に車へと乗り込めば、ほんの少しでも気分の悪さが落ち着く布石になれば良いと窓を開け車内に風を入れて。__10分程で相手の家に着くと、先に鍵を借りて荷物を中へ。続いて車に戻り相手を支えた状態で部屋へと入ると、なるべく大きな振動にならぬよう注意を払いつつソファへと座らせ、首元を緩める為にネクタイとワイシャツのボタンを二つ外す。その際首元に手を当て脈を確認したが、脈拍は早く、あの時の車内でおきた状態と酷似してると言えよう。「少し横になる?その方が楽じゃない?」相手の背中を優しく上下に擦りながら、此処は家なのだ、身体を横たえる事だって出来ると促して )




  • No.4286 by アルバート・エバンズ  2024-06-03 04:38:01 

 





( 相手が泊まりに来るという約束は、結果的に功を奏したと言えよう。支えて貰いながら部屋へと入りソファに座ると、午前中に飲んだものと同じ目眩止めの薬を流し込んで。首元が緩み汗の浮かんだ肌が空気に触れると少しばかり楽になるようで、相手の促す言葉に頷いて身体を横たえる。呼吸が乱れている訳ではないものの脈拍は早く、首筋はじっとりと湿っている。視界に映るもの全てが二重に見えるような感覚と強い目眩に目を閉じると、やがて浅い眠りに落ちたようだった_____実際には朦朧とし意識を手放したに近い状態だったのかもしれないが。時間にして30分ほど、ふと目を開けると視界の歪みは幾らか軽減されていた。少量の同じ毒を摂取し続けている事で身体に僅かながらの耐性が出来ていて、中毒症状の起きる時間が短くなっているのだろうが当然その感覚は無い。未だ脈は早く体調は優れないものの、目を開けているだけで辛い状態は落ち着きつつあるようで。 )








 

  • No.4287 by ベル・ミラー  2024-06-03 07:40:26 





( 横になり、程なくして気を失う様に意識を手放した相手を見詰め張り詰めていた緊張が解けたのか息を吐き出す。意識のある中具合の悪さに耐えるのは辛いだろう、僅かでも眠れる事に安堵するが根本的な事が解決した訳では無く、此処暫く続く相手の不調について考え。安定剤を飲まないと言う事は、相手の中で過去に起因する精神的なものが引き金となっている訳では無いのだろう、けれどただの風邪で片付けるには余りにも問題点が多すぎる様に思えるのだ。やはり一度病院に__と、そこまで考えて、相手が目を覚ましているのに気が付いた。上から覗き込む様に合わせた視線、焦点は合っていて平衡感覚がわからなくなる程の酷い目眩は落ち着いていると判断すると「起き上がるのが辛かったら、このままで良いからね。…何か欲しい物ある?」床に肘立ちの状態でそう問い掛けつつ、汗で貼り付く焦げ茶の前髪を軽く払って )




  • No.4288 by アルバート・エバンズ  2024-06-06 22:59:10 

 






( 汗ばんだ身体が気持ち悪い。前髪が払われた事でじっとりとした暑さが少しばかり軽減し、相手の問いには「…水が欲しい、」と答えて。これ程汗をかいたのだからある意味当然ではあるのだが、酷く喉が渇いていた。身体をゆっくりと起こし受け取ったグラスに口をつけて少し水を飲むと、小さく息を吐き出す。サイドテーブルに、まだ水の残ったグラスを置いて再びソファへと横になると、少しの沈黙の後に「______過去が作用してる訳じゃない、」とひと言呟く。「フラッシュバックも起きていない、…記憶に飲み込まれそうな苦しさとも、過呼吸とも違う感覚なんだ、」と言葉を続けて。自分でもこの突発的な体調不良の原因が分からないことに不安感を抱いていた。 )








 

  • No.4289 by ベル・ミラー  2024-06-06 23:43:30 





( 僅かでも水分を補給出来た事は大きい。体調が少しずつ戻って来ている事にも繋がるし、もし万が一吐き気を催しても胃の中にあるそれを吐く事が出来ればただ嘔吐き続けるより楽な筈だ。再びソファに横になった相手に視線を向け唐突に落とされた言葉に耳を傾ける。確かに相手の言う通りこれまでの過去が作用している発作的な調子の悪さとは何処か違うと傍目から見ても思うのだから、相手自身が一番そう感じているのだろう。けれどだとしても原因が不明なのだ。「エバンズさんがそう言うならきっと他の原因がある筈。__頭痛と目眩…熱中症な訳でも無いだろうし。…他に何か症状はある?」先ずは相手の言葉に頷き、続いて考え込む様に視線を床に落とした後、顔を上げ問い掛ける。理由のわからぬ不調はただ不安だけを産み、素人が幾ら考えてもわからぬ時、専門の人に判断を委ねるのが適切だとも思っていれば、「…嫌かもしれないけど、一度病院に行くべきじゃないかな。」と付け足して )




  • No.4290 by アルバート・エバンズ  2024-06-07 18:46:27 

 






( 主な症状は頭痛と目眩、それに加えて心拍数の上昇や発汗がある事を思えば暑さに影響を受けている可能性も排除はしきれないだろうか。「_____脈が早くなって、異常な程に汗をかく。…明日はもう少し水分を摂るようにしてみる、」と答えて。病院に行くべきだという相手の主張はもっともだ。原因不明の、それも日常生活に支障をきたす程の不調が起きているのだから早々に病院に行くべきだろう。しかし今は、それ以上に優先したい事があるのだ。「……捜査の進みが遅い。時間が経つほどに証拠が消えて行く上に、そろそろ何かしらの糸口を掴まなければ人員を削られてもっと追い込まれる事になる。今が踏ん張り時だ、」暗に病院に行くのは捜査に進展が見られて時間が取れた時で、今はそんな事をしている余裕はないと言葉にして。“本当に不味いと思ったら時間を取る”と付け足した言葉は、自分を後回しにする時に誤魔化すようにいつも言っている事。実際これまで自身の判断で病院に行った事は無いに等しいのだが。 )







 

  • No.4291 by ベル・ミラー  2024-06-07 19:58:13 





( 異常な脈拍と発汗は矢張り暑さのせいなのだろうか。けれども真夏でも無いし全く水分を補給してない訳では無いと思うのだ__ならば何故。意識的に水を飲む様にする、との言葉には取り敢えず頷くも、続けられた“らしい”返事には一瞬眉を寄せジットリとした瞳を向け「……」言葉の無い時間が数秒。ふ、と息を吐き出すと「…それ、エバンズさんが言う言葉の中で私が信じられないと思う三つの内の一つだからね。」と、態とらしく肩を竦め。残り二つは、明らかに体調が悪いだろう時の“大丈夫”と、病院に行けと行った時の“後で行く”なのだがそれを態々告げる事は避け。__捜査の進みが悪い事も被疑者の絞込みが上手くいってない事も身をもって理解している事。加えて被害者の女性はまだ見付かってすら居ないのだ。彼女がまだ生きている可能性が残されてる以上捜索に全力を尽くすのが最優先事項な訳で、それ以上今直ぐに、と言葉を続ける事をしなければ「__…リリーを見付けたらその後ちゃんと時間を取って。エバンズさんが病院に行ってる間に証拠を見付けて、犯人逮捕に全力を尽くすから。」これが此方の折れる条件だとばかりに真っ直ぐな瞳を向けて )




  • No.4292 by アルバート・エバンズ  2024-06-11 22:25:55 

 






( 相手にとって自分は随分信用ならないようだと思い僅かに眉を顰めたものの、その“3つ”を問いただす事はしなかった。続いた相手の提案に数度頷くと「分かってる、」とひと言。先ずは失踪した女性の行方を早急に掴むこと、そして捜査線上に上がっている被疑者たちのアリバイを調べ疑わしい人物を絞ることが最優先だ。「_____泊まるなら寝室のベッドを使え。俺は此処で良い、」今夜は泊まるのだと言っていた相手にベッドを使うよう告げると、今は起き出してベッドまで移動する方が億劫だと。 )






 

  • No.4293 by ベル・ミラー  2024-06-11 22:54:22 





( 署から此処まで相手自身もわからぬ原因不明の不調に耐えたのだから、少しの時間眠る事が出来たとは言え体調が完璧に元に戻った筈は無く、今はただ遅れてやって来た倦怠感の様な怠さに襲われているのだろうと思えば、無理にベッドに連れて行く事はせず素直に頷き。__言われた通り直ぐに寝室に移動する事はしなかった。唐突に伸ばした右手を相手の頬にあてるや否や、「…さっきの言葉、怒った?…エバンズさんの事はちゃんと信用してるんだよ。でも心配が勝っちゃうの。」確信は無いものの、何となく何処か機嫌が悪い様に感じると、体調の悪さも勿論そうだろうが、先程の己の言葉も少なからず影響しているのではと思い僅かに首を擡げ。白く、少し冷たくも感じられる頬を掌をあてたまま親指の腹で何度か撫で「心配されるの嫌いだってわかってるんだけどね。」と、言葉を続けた後、「…酷い言い方したね、ごめんなさい。」顔を覗き込む様にして謝罪を送り )




  • No.4294 by アルバート・エバンズ  2024-06-12 04:15:22 

 






( 相手の手が頬に添えられ顔を覗き込まれると、少しばかりバツの悪そうな、不機嫌そうな表情を浮かべ「_____別に怒ってない、」とひとこと。自分にとって優先順位が低い事に関してはその場凌ぎの適当な言葉で流している自覚があるし、相手が“口煩く”言うのも自分を案じての事だと理解はしていた。しかし相手が謝罪を紡いだ事で逆に意固地になっていると言うべきか「上司として信用ならないんだろう、お前の言い分は分かってる。」とぶっきらぼうな言葉を。この所は体調を崩す事も多く、隠していても共に捜査を請け負っている相手には見抜かれる。捜査が思うように進まない要因が、本来捜査とは関係のない自身の体調面にある事が殆どでその事に苛立ちを抱えていた。謂わば自身に対するやるせなさを相手にぶつけている八つ当たりに近いのだが、今回もまたこうして足を引っ張り、相手に余計な業務を増やしている自分自身の“頼りなさ”に、無性に腹が立つのだ。 )







 

  • No.4295 by ベル・ミラー  2024-06-12 13:41:57 






( “怒ってない”と相手は言うがその表情は誰がどう見ても不機嫌そのもので、思わず浮かんだ笑みを誤魔化す様に左手で己の口元を軽く触りつつ「そっか。」と一言だけ答えるに留め。そのまま頬を撫で続けていたが相手は何を思ったのかこの会話を尚も続ける為のぶっきらぼうな“自嘲”を口にした。その言葉に動かしていた指先はピタリと止まり、その緑眼に真剣な色が宿る。「そんな事言ってません。」と、先ずは言葉を真っ直ぐに否定。「__本当に上司として信用出来ないと思ってるなら、捜査の指揮官を違う人に変えて貰います。でも私は今回の事件、2人揃ってないと解決出来ないと思ってる。だから事件解決まで何方も欠けちゃ駄目。」相手の頬にあてているだけの手を静かに引き自身の膝の上へ移動しつつ、相手が必要だと言いながらも変な重圧を掛けぬ様に“2人”と強調して。相手が何故こんな言い方をしたのか、それが何処にぶつける事も出来ない自分自身に対する苛立ちや不甲斐無さから来てるのだと言う事は感じていた。「…エバンズさんじゃなきゃ嫌だ。」今度は伸ばした手で相手の手を取り、そのまま自身に軽く引き寄せ相手の手に頬をくっつけると、何時ぞやも口にした事のある子供の様な言い回しで相手以外は望まないと、悪戯にはにかんで見せて )




  • No.4296 by アルバート・エバンズ  2024-06-13 04:17:15 

 






( 相手が時折口にする、何処か子どもっぽいその言葉は何故か拒絶する事なく受け入れる事が出来た。自分が必要とされているという優越感に浸りたい訳ではないのだが、飾らないその言葉は相手の偽りのない思いのように思えて。少しばかり呆れたような曖昧な表情を浮かべはしたものの、それ以上苛立ちに任せて言葉を紡ぐ事はせず。---その夜は症状が悪化する事はなく、朝を迎えた。しかし少しずつ、確実に体内に溜まっている毒は、摂取した直後の強い症状だけに留まらず身体に不調をきたし始めていた。身体が重たい感覚と指先の強張り。未だ普段の何気ない行動に影響が出る程のものではなかったものの、コーヒーを飲むためにマグカップを手にした時に違和感を感じ。しかし今は捜査に集中すべき時だと、その違和感を口にしたり気にする素振りを見せる事はせず、相手と共に署に向かい。 )







 

  • No.4297 by ベル・ミラー  2024-06-13 13:31:39 





( __相手が感じた僅かな違和感は上手に隠された為に気が付く事が出来ず、署に着くや否やデスクから必要な物だけを持ち再び相手と共に車に乗り込み。「先にクリスの友達の家に行くね。」今日は昼から大学に行き聞き込みの予定。その前にクリスのアリバイの確認を済ませるべく車を走らせて。赤信号で停まる時に不自然にならぬ動作で隣の相手に何気無い視線を向けるも、昨晩の様な明らかな表立っての不調は見られず一先ずは安堵を胸に。__数十分後、目的地へと着くと、車を降りて呼び鈴を鳴らし。中から男性の声が聞こえ、直ぐにドアが開き顔を出したのはクリスに教えられた通りの友人。「…少しお話を聞かせて下さい。」警察手帳を見せ、時間は取らせないと告げてから「…リリー・ブラントさんの失踪の件はご存知ですよね?その日の朝、クリスさんとはご一緒でしたか?」目前の彼を真っ直ぐに見詰め、クリスのアリバイの真偽を確かめて )



  • No.4298 by アルバート・エバンズ  2024-06-14 06:59:06 

 






( 相手の問いに友人は頷くと『その日は久しぶりに集まったメンバーで夜通し酒を飲んでました。みんな潰れて、面白がって撮った写真ならありますよ。』と答え、ポケットから取り出したスマートフォンを操作してカメラロールを遡ると、彼は此方に画面を向けた。たくさんのアルコールの空き缶とテーブルの上にはつまみの残り、床で4人の男が寝込んでいる写真だ。仲の良い男友達同士のその写真が撮影されたのは事件が起きた日の7:38。クリスの顔も確認出来るもので、すっかり酔い潰れて寝込んでいる様子。アリバイは立証されたと言って良いだろう。---礼を述べて戻った車内で、スマートフォンが着信を知らせる。電話先の相手は、聞き込みに奔走している捜査員の一人。リリーの恋人だったジェイが、”リリー以外の女性と付き合っている“という話が出たと言うのだ。証言したのはジェイの知り合い。”ジェイは学生の頃から知り合いだったハンナと5年近く付き合っている。時々2人を見かける事がある”という。「_____分かった。また何かあったら連絡してくれ。」と答えて電話を切ると「有力な証言が出た。ペットショップに向かってくれ。」と、予定の変更を告げると情報を共有して。 )







 

  • No.4299 by ベル・ミラー  2024-06-14 08:51:01 





( 彼に見せられた画面には確かにクリスの姿があり、時間に間違いも無い。クリスの証言通りアリバイは成立され彼が被疑者の枠からほぼ外れる事は決定で。__さて、次は大学へ、とエンジンを掛けシートベルトを締めたその時。ふいに助手席に座る相手のスマートフォンが着信を知らせ、口振りからして恐らく捜査官の誰かと会話しているのだろう事がわかれば、発進する事無く電話の終わりを待ち。__電話を切った相手から共有された情報は思いもよらぬ物だった。ジェイはその事を一言も口にはしなかったし、現在進行形で【ハンナ】と言う女性と付き合っているのなら、邪魔になったリリーを誘拐、殺害する動機は十分有り得るのだ。「…もし本当だとしたら最低。」エンジンを掛け言われた通りペットショップに向かう道すがら、小さな溜め息と共に少しの嫌悪に塗れた言葉を吐き出して )




  • No.4300 by アルバート・エバンズ  2024-06-17 21:35:14 

 





( 恋人がありながらリリーと付き合っていたジェイは、その事実を隠していた。動機があると判断されるのを危惧しての事かもしれないが、捜査員がもたらした情報によってジェイへの疑惑は一気に深まり。---ペットショップに行き恋人の件について問いただすと、暫しの気まずい沈黙の後『……確かに、僕が二股をしていた事は事実です。でも、リリーと適当に付き合っていた訳ではなくて…本気だったんです。事件には関係ないと思って言いませんでした。』と、顔を上げて訴えて。 )







 

  • No.4301 by ベル・ミラー  2024-06-18 13:14:43 





( 事件に関係が無いと思った、では無く保身の為の隠蔽だろうと言わざるを得ない供述に自然と眉根には皺が寄り、その訴えに耳を貸す気など僅かも起きない気持ちになるのは当然だろう。険しい表情のまま「__ではハンナさんの方が遊びだったと?」と、問うた言葉には冷たさが滲み。それを咳払い一つで消し去ると、続いて「ハンナさんは貴方が二股をしている事はご存知ですか?」と尋ねる。__ジェイには十分過ぎる程の動機があるが、逆を返せばハンナにもそれこそ十分過ぎる程の動機がある事になる。ジェイを取り合い口論になり殺害してしまった可能性も…。被疑者が1人減ればまた1人増え、の繰り返しに加えてリリーの行方も未だ不明。思うように進まない捜査の中で相手の体調もまた気掛かりな所であり )




  • No.4302 by アルバート・エバンズ  2024-06-20 22:26:37 

 






( 相手の的を得た言葉に少し言葉に詰まったものの、ジェイはハンナも遊びではないとばかりに首を振った。そして『ハンナは関係ありません。リリーとは面識はありませんでした。』と、二股をしていたことを彼女が知っていたかという問いに対する返事ではなく彼女は事件に関与していないという事の方を訴えて。「関係ないかどうかではなく、ハンナさんが二股の事実を知っていたかどうかです。」間髪入れずにそう尋ねると、ジェイは『…知っていました。少し前にメッセージを見られて…』と答えた。その言葉を手帳にメモしようとしたのだが、上手く手に力が入らずペンを取り落とす。床に落ちたペンを拾い上げ再びジェイに視線を向けたものの、立ち上がった瞬間に貧血を起こした時に近い感覚があり。 )







 

  • No.4303 by ベル・ミラー  2024-06-21 20:30:29 





( 相手からの指摘に言い難そうに答えた言葉で更に2人が疑わしくなった。リリーの存在をハンナが知っていたとなればジェイを取られたく無いと犯行に及んだ可能性もあるし、ジェイとハンナの2人が共謀してリリーに危害を加えた可能性もある。勿論ジェイ個人による犯行である可能性も消えた訳じゃない。「…わかりました。ハンナさんの__、」“住所を”そう続けようとした所で、何かが床に落ちる硬い音が響き自然と頭は下がる。一度僅かに跳ねたそれはペンで、相手が普段使用しているFBIの文字が彫り込まれている物。続いて落ちたそれを拾い上げるべく相手が屈み__特別変わった事では無い。日常的に普通にある事なのに何だかわからない違和感を感じた。それは直感的なもので、こういった、相手に関する事での勘は当たりやすいのだ。調子の悪さを振り返したのではと思えば一度だけ隣に視線をやった後に目前のジェイを真っ直ぐに見詰め「…ハンナさんの住所を教えて下さい。彼女が事件と無関係かどうかは私達が直接話を聞いて確かめます。」真剣な、けれどもやや早口な言葉で以て拒否は認めないとばかりに。少しでも早く車に戻るべきだと思っていて )




  • No.4304 by アルバート・エバンズ  2024-06-22 12:02:41 

 






( 今日はあのマグカップを使っては居なかったのだが、既に摂取して体内に溜まっている毒が恒常的に身体に影響を引き起こしつつあるのだろう。立っていられないほどの目眩ではなかったが、少し気分が悪く視界が揺らぐ。メモ帳に書いた文字は普段よりもガタついていて、同時に少しばかり視界が霞むようで手元が見辛かった。相手の言葉にジェイは曖昧な表情を浮かべ『…でもハンナは関係ないので……』と、尚も煮え切らない態度で言葉を濁したものの、相手からの圧に観念したようでハンナの住所を伝えた。「リリーさんの両親に結婚の挨拶に行って、どうするつもりだったんですか?彼女は自分が浮気相手だなんて思いもしなかったんでしょう。」そう尋ねると、ジェイは“どうするか決められなかったから体調が悪いと言って挨拶を先延ばしにしようとした”と言った。そんな状況まで行きながら、リリーともハンナとも別れる決断が出来なかったと言うなら救いようがない。_____二股をしていたジェイ、そんな彼と長年付き合い浮気の事実を知ったハンナ、ジェイと結婚すると親に挨拶に行こうとしていたリリー_____この三角関係だけでもややこしいというのに、まだ他にも事件との関与を拭いきれない人物たちがいる上、被害者の遺体も、居場所を示す情報も出ていない。調べなければならない事も、やらなければいけないことも未だ山積みだというのに体調が優れない。その場で座り込む事にこそならなかったものの、車に戻る頃には背中に酷く汗をかいていて。 )







 

  • No.4305 by ベル・ミラー  2024-06-22 15:27:06 





( 濁された言葉の後、渋々__と言った様子ながら告げられたハンナの住所をメモに書き留め鞄に仕舞ってから再び視線を向ける。相手の鋭い問い掛けに全く以て救いようの欠片も無い返事をしたジェイを見詰める瞳に嫌悪が滲むも、今は一先ず車に戻る事が先決。__助手席に雪崩る様に座り込んだ相手は矢張りあのペンの落下の時から相当無理をしていたのだろう、気分が悪いであろう事は明白で。「ちょっとゴメンね、」手を伸ばして相手のシャツの第一ボタンを外し、ネクタイを緩める事で少しでも息苦しさを払拭しようと試みた後エンジンを掛け。「なるべくゆっくり走るから。…ハンナさんの家に着いたら少しだけ休もう。」そう声を掛けてから車を走らせたそのスピードは言葉通り揺れを最小限にした速度。窓の外から照り付ける日差しもまた気分の悪さを助長させるかと思えば少し窓を開ける事で車内に風を送り。__そうやって進む事凡そ15分後、ジェイに教えられた通りの家に辿り着くと、車がある事を確認した後に路肩に車を停めハザードを点け。「…ハンナさんに話を聞いて来るから、少し待ってて。__終わったらまた署で供述の照らし合わせを一緒に。」少し温くなってしまっているかもしれないが新品のミネラルウォーターを差し出しつつ、穏やかな笑みと共に暗に相手は此処で休んでいて欲しいと。けれども“何も出来ない”と気に病む事が無い様に、最後一緒にやりたい仕事を付け加えてから車を降りて、ハンナが住む家の呼び鈴を押し出て来るのを待って )




  • No.4306 by アルバート・エバンズ  2024-06-22 17:50:18 

 





( 首元を緩められると相手の言葉に軽く頷き、背もたれを倒す。フラッシュバックによる過呼吸ではない、けれど息苦しさから自然と呼吸が上擦ってしまい身体が酷く重たいのだ。また捜査が相手に任せきりになってしまうという罪悪感は、署に戻ってからの仕事に相手が言及してくれたことによってだいぶ薄れ、「…聞き取りを頼む、」とハンナへの聴取を相手に任せると車に残る事を選び。---インターホンが鳴った事で出て来たハンナは、長髪のブロンドで大人びた、被害者の雰囲気とはまた違った女性だった。相手が手帳を見せた事で警察だと理解はしたものの、何故自分の所に訪れたのかはすぐには思い当たらなかったようで『…何の捜査なの?』と不審そうに尋ねて。 )






 

  • No.4307 by ベル・ミラー  2024-06-22 19:20:44 





( 扉の奥から出て来た女性__ハンナは、写真で見たリリーと比べてやや派手に感じた。それは決して悪い意味では無いものの、異なる2人の雰囲気に果たしてジェイは何方の見た目が好みだったのかと考える。警察手帳を見せた後に紡がれた問いは誤魔化している感じも知らない振りをしている感じも無く、本当に何の用事かわからない、と言った様子なものだから「リリー・ブラントさん失踪の件です。」と、質問に答えつつ話を聞かせて欲しい旨を伝え。不信感はあれど中に通されればソファに腰掛け、さて、内容の核心に迫ろうか。「…リリーさんが失踪した日、貴女は何処に居ましたか?」先ずは彼女のアリバイの確認から徐々に、と。__通されたリビングは窓が大きく開放感の感じられる明るい部屋。ソファに腰掛け少し横を見れば丁度窓の外には路肩に停めた己の車が見える位置で、一度だけ視線を向けて )




  • No.4308 by アルバート・エバンズ  2024-06-22 22:08:16 

 





( ハンナは相手の口からリリーの名前が出ると眉を顰め『あぁ、あの子の事。』と告げると『色んな男をたぶらかしてたんでしょ?何か事件に巻き込まれても可笑しくないわ、恨みを買ったんじゃない?』と、刺々しく言い。『二股されてた私も容疑者って事ね。本当、災難続きだわ。その日なら…家にいた。ジェイは友達と飲みに行ってそのまま泊まるって言ってたから週末は1人だったの。アリバイなら無いわ、野球の中継を見てたけど証言できる人はいないもの。』ハンナはその日、家で1人だったと答えた。しかしジェイはその日リリーと会っていたのだから、彼女に二股がバレて尚、懲りずに関係を続けていた事になる。---ベルが事件の聞き込みを続け、エバンズが車で身体を休めている頃、署では再び書類を持った男がエバンズの部屋に訪れていた。そろそろ身体に不調が出る程には毒を摂取させる事に成功している筈だ。怪しむ事もなく変わらずデスクに置かれているマグカップに内心ほくそ笑みつつ、彼が異変に気づき病院に罹るよりも前に多量の毒を盛ろうと画策する。はやる気持ちを抑えて、今はまだ縁に塗りつけ密かに苦しませるのみだと。 )







 

  • No.4309 by ベル・ミラー  2024-06-22 22:48:17 





( 目前の彼女は未だ発見には至らないリリーを心配するでも無く刺々しい言葉を吐き捨てた。二股されていたのだから勿論怒りはあると思うが、隠す事の無いその態度は寧ろ清々しいとも言うべきか。何にせよアリバイの立証が出来ない以上被疑者の枠から外す事は出来ず、現時点でアリバイのあるジェイに比べ最も事件に関与してる可能性が高い事になる。手帳に証言を書き留めた最後、静かに顔を上げ彼女を見据えると「二股の件でジェイさんと話し合いは?」と、問う。続けて「__貴女は自分の方が本命だと思いますか?」と。全くタイプの違う様に感じられる2人の女性の何方とも選ぶ事が出来ず、中途半端に互いと付き合って居たとなればその行動も、心情も、全く理解が出来ない。__署内で今も尚、エバンズを苦しめるべく毒を使用し続けている男の存在など知る由も無いままに目前のハンナに質問を重ねる時間が続き )




  • No.4310 by アルバート・エバンズ  2024-06-23 00:00:05 

 






( ハンナは相手の問い掛けに『話し合うも何も、10も年下の女にうつつを抜かすなら別れるって言ったわ。向こうは学生でしょ?信じられない。』と吐き捨てて。『____失礼ね、私の方が遊びだったとでも言いたいの?ジェイとは学生の頃からの知り合いで、付き合って5年になるのよ。向こうが遊びに決まってるでしょ、』ハンナは苛立った様子を見せ『貴方も彼氏が居るなら気をつけた方が良いわよ、残業だとか友達との飲みだとか言って女遊びしてる奴なんて山ほどいるんだから。』と続けて。---車内にいるエバンズの元に連絡が入ったのは、その少し後の事だった。隣町の警察署から、女性の遺体が見つかったという通報。身体的特徴からリリー・ブラントである可能性が高かった。体調は未だ回復していなかったものの、直ぐに現場に急行する必要があった。ハンナの家にいる相手に電話をかけると「____ミラー、切り上げて戻って来い。隣町で被害者と思われる遺体が見つかった、」と告げ、ハンナの家の窓越しに相手に合図をする。相変わらず視界は嫌な歪み方をしていて、じっとりと汗をかいている。しっかりしろと自分に言い聞かせつつカーナビに通報があった現場の住所を設定し。 )







 

  • No.4311 by ベル・ミラー  2024-06-23 01:04:32 





( リリーは勿論の事、ハンナの事も遊びでは無いと答えたジェイの言葉を思いだす。何方も遊びでは無く本気だったものの、ハンナに二股がバレた事で“別れる”と真っ向から突き付けられた時彼は果たしてどんな気持ちになり、どう行動するべきだと思ったのか。__リリーの両親に結婚の挨拶をする事を、体調不良を理由に先延ばしにしようとしたそれこそがある意味“答え”ではないのか。そう言えばハンナに飲みに行くと言ったジェイは、その日リリーと会っていたのだから結果的に嘘をついたのだと気が付き、彼女の苛立った言葉を聞きながら3人の関係性について考えを巡らせる。その時、ふいにスーツのポケットに入れたスマートフォンが震え相手からの着信を知らせた。失礼します、そう断りを入れてから通話ボタンを押し視線を窓の外に向ければ、果たして此方に合図を送る相手の姿と__電話口から聞こえる最も最悪な知らせ。嗚呼、生きている姿のリリーと対面する事は出来ないのだと、胸に落ちた重たい苦しさに思わずきつく双眸を閉じた後、軽く頷き電話を切り、再びハンナを見。「__話の途中ですが、事件に進展がありましたので失礼します。…ご忠告どうも。」話を切り上げ立ち上がり、尚も不機嫌そうな彼女に軽く頭を下げてから車に戻るや否や、「間違いであればいいのに。」と、一言だけ言葉にし、相手が設定したナビの案内通りに遺体が発見された現場へと急行して )




  • No.4312 by アルバート・エバンズ  2024-06-23 01:45:45 

 





( 失踪した彼女が生きている一縷の可能性は崩れ去り、事件は紛れもない殺人事件となった。相手の言葉に小さく頷き同意を示しつつも、被害者である可能性は限りなく高いことは理解していた。---現場は山を少し入った所にある川で、車を停められる場所から少し歩く必要があった。それと言って傾斜が急な訳ではないものの、草木の中を歩いて行くのは身体に堪え表情は少しばかり険しいものに。やがて道が開けて現れたのは岩も多くある程度の幅と深さがある川で、既に規制線が張られていた。『お疲れ様です。』声を掛けてきた警官は此方に敬礼すると、ブルーシートで囲われた場所まで移動する。『第一発見者は川釣りに来ていた男性です。被害者は岩陰で故意に川底に沈められていました。身体にナイロンテープが巻き付けられ、ボートを停める時に使用するアンカーで底に固定されていました。遺体の発見を遅らせようとしたものと見られます。』位置関係や発見時の状況を説明されて分かる事は、19歳の少女に対する明らかな殺意と用意周到な隠蔽工作。やるせない気持ちを抱えたまま「…分かった。直ぐに検死に回してくれ、出来る限り早く情報が欲しい。」と告げて。照りつける太陽が川の水面に反射し酷く眩しい。眩しさに引っ張られるように平衡感覚が分からなくなる感覚から既の所でバランスを取り戻し。 )








 

  • No.4313 by ベル・ミラー  2024-06-23 10:49:04 





( 遺体発見現場まで歩くのに苦労する程酷い道のりでは無いものの“今の”相手の体力を奪う事は間違い無いと思われた。けれど相手は足を止める事もせず、表情こそ険しいが気丈に立ち続けるのならば今は口煩く言葉を並べる事はしない。__規制線の向こうでは既に鑑識数名が慌ただしく動き現場は重苦しい雰囲気。それを更に加速させたのは発見された遺体の状態で、“殺す気は無かった”なんて犯人が使うお決まりの言葉すら陳腐な嘘に思える程に明らかな殺意と用意周到さ。相手からの命令に頷いた警官は直ぐにその場を離れていき。__柔らかな風が吹き抜け、川のせせらぎや鳥の声が静かに響くこの場所はきっと“こういう事の為”に使われる場所じゃない筈なのに。既に遺体の状態で運ばれて来たのでは無く、もしこの場所で殺害されたのだとしたら、リリーは生きている間どんな気持ちだっただろうか。照り付ける太陽の陽射しの強さと比例する様に、心が被害者の気持ちに傾く。__と、相手の表情が一瞬険しさを強め、僅かに身体が傾いた気がして空を見上げる。空に浮かぶ太陽を覆い隠す雲は一つも無く場所的には悪い。「__エバンズさん此方、」頭を戻し隣に立つ相手に声を掛けつつ、一度だけ軽く腕を引き呼んだのは、木々が生い茂り陽射しを遮断してくれる森との境目。そこで徐にしゃがみ込むと「…足跡とか、他に何か見落としてる証拠があるかもしれない。…情報が来るまで一緒に。」その状態で相手を見上げ小さく微笑み。“これ”が今の最前の判断だと思っての事で )




  • No.4314 by アルバート・エバンズ  2024-06-23 11:29:50 

 






( 検死の結果が出るのは早くとも明日、死後時間が経っている可能性が高いため明後日、明々後日になる可能性も十分あった。その間に出来る事は現場に残された物を調べる事。不意に相手に手を引かれ向かった先は日陰になっているエリア。しゃがみ込んでいても不自然に思われないようにという配慮だろう、体調がぎりぎりの状態の今はそれだけでもありがたく小さく頷いて。足元は数日前の雨によって少しぬかるんでいる場所もあり、足跡が残っているとは考えにくかった。此処まで車で入ってくる事はできないためタイヤ痕は残っていない。少しすると警官が戻って来て、『検死の手配が出来ました。遺体の状態が良くないので、少し時間が掛かるだろうとの事です。現場に残っていた物は、此方の作業が終わり次第直ぐにレイクウッド署に届けます。』と告げて。検死に時間が掛かるのは遺体発見が遅れた自分たちのせいでもあるため責める事は当然できない。それでも捜査は進展を見せるだろうと、「ご苦労。また何か気になる事があれば携帯に電話をくれ。」と答えて立ち上がり。供述を照らし合わせ、現場に残された証拠品を調べ、検死結果を待つ。今出来る事はそれくらいだと思えば、相手に署に戻る事を促して。 )








 

  • No.4315 by ベル・ミラー  2024-06-23 12:16:29 





( 地面と近くなった事で湿った土と葉の混じる匂いが鼻腔を刺激するがそこに証拠と呼べる物はありそうに無く、ややして小走りで戻って来た警官より検死の手配が出来たとの旨を告げられれば相手と同じく立ち上がり軽く頭を下げる。リリーの両親に彼女の遺体が発見された事を告げなければならないのは酷く気が重かった。__相手に促されるまま来た道を戻り、車に乗り込んで背凭れに後頭部を当て深く息を吐き出す。シートベルトを締めてエンジンを掛け、運転席側と助手席側の窓を少し開けた所で漸く口を開くと「…戻ります。」とだけ一言。__窓の外から入って来る風の香りに“緑”が混じらなくなった頃、景色はレイクウッドの見慣れた街並みに戻っていて、署の近くにあるスーパーマーケットと公園を通り過ぎ、到着した時には夕方近くになっていた。共に刑事課のフロアの扉を潜ればそこに残っていた署員達から労いの言葉を掛けられ、軽く微笑む事で返事とし。相手専用の執務室に入ってソファに鞄を置いた所で肩から力が抜ける。特別な緊張していた訳では無いが矢張り気は張るもので、「紅茶淹れるけどそれでいい?」と、確認を投げ掛けて )




  • No.4316 by アルバート・エバンズ  2024-06-23 13:28:45 

 






( 執務室に戻りデスクに腰を下ろすと深く息を吐く。体調が良くない中で外に出るのはやはり疲れが溜まるもので。紅茶を淹れるという相手に「…あぁ、同じものを頼む。」と頷いてマグカップを手渡して。デスクの上には総務からの書類が置かれていて、それに目を通しつつ必要なサインを済ませて。容疑者は未だ4人から絞り込めていない状況で悠長に構えてはいられない。取り寄せていたマーティンの前科に関する資料に目を通し。 )








 

  • No.4317 by ベル・ミラー  2024-06-23 14:31:38 





( 差し出されたマグカップを受け取り給湯室でお湯を沸かす。アールグレイの茶葉のティーバッグで紅茶を淹れ、出来上がった紅に少しの砂糖とミルクを入れたのは少しでもまろやかに喉を通る様にと言うそれ。二つのマグカップから優しく香る紅茶の匂いは鼻腔を通り胸に落ちる。一度大きく息を吸い込み、今日は長丁場になりそうな予感に気を引き締め直し執務室へと戻れば「お待たせしました。…どんな感じ?」相手のマグカップを手渡しつつ、マーティンの前科の有無が書かれている資料を覗き込み。__今はまだ気が付く事が出来ないで居た。飲み物を淹れると言う何時も通りのその行為が、相手を少しでも休ませられる様にと願うその気持ちが、逆に相手の調子の悪さをより一層酷いものにさせていると言う事に )




  • No.4318 by アルバート・エバンズ  2024-06-23 19:22:18 

 






( 礼を言って受け取ったマグカップに口を付け、まろやかなミルクティーをひと口飲む。相手の気遣い通り飲みやすいそれは仕事の合間の息抜きにぴったりなのだが、実際は身体を蝕む毒を更に取り込んでいる事に他ならない。しかし無味無臭のそれに気付く事など、ここ最近の不調から毒を盛られている可能性に行き着く事など、不可能に等しい。手元の資料を覗き込んだ相手に「マーティンが逮捕された過去はないが、幾つか警察から厳重注意を受けている事案がある。どれも女性への付き纏いやストーカーまがいの行動によるもので、全員何かしらの店で働いている従業員だな。リリーの前は薬局の店員、その前はカフェのスタッフ。警察が介入してからは徐々に大人しくなって、別の店の女性に入れ込む、といった具合か。」と告げて。自分が足を運ぶことのできる店で気に入った女性店員に付き纏うといった迷惑行為を繰り返していたようだと。 )







 

  • No.4319 by ベル・ミラー  2024-06-23 20:09:37 





( 厳重注意は幾度となくされたが逮捕までは至らない、どうせ“これくらい”じゃ警察は逮捕に踏み切れないだろうと調子に乗り迷惑行為を繰り返していた可能性が高いか。茶葉香るまろやかな濁りを一口胃に落とし、相手の僅か後ろで立ったまま資料の下まで目を通して。「__もし犯人がマーティンだった場合、迷惑行為を通報しなかった事をジェイはずっと引き摺るかな、」仮に警察に通報していたとして、危害を加えられて無い以上踏み込んだ対処は出来なかったかもしれないが。気持ちが僅かに別の誰かの心へと向いたそれを、今は捜査に集中しなければと言う思いで引き戻し紅茶をもう一口啜る。それからマグカップを相手のデスクに置きソファに腰掛けたタイミングで手帳を開き。「…検死結果が出ないと何とも言えないけど、ハンナ個人による犯行は難しいんじゃないかな。…別の場所で殺害したとしたも、女性の力であそこまで遺体を運ぶ事は出来ないだろうし、仮に生きてるリリーを車に乗せて2人きりで山までなんて、……面識の無い人に着いて行く?」ページをゆっくり捲りメモした供述を見直しながら、考えを巡らせ、最後、緩く首を傾け相手を見 )




  • No.4320 by アルバート・エバンズ  2024-06-24 02:46:06 

 






( 事件が起きると誰もが過去の一瞬、自分の選択を後悔する。「…そういうものだ。後悔しても過去は変わらない、」とだけ答えて。続いた相手の考察には同意を示すように頷くと「…そうだな、ハンナの単独犯という事は考えづらい。彼女が事件に関わっているなら、誰かしら共犯者がいたと考えるのが普通だろう。被疑者は揃いも揃って4人ともアリバイがない、ただリリーを巡る三角関係と考えると、ジョンだけ毛色が違うな。」と資料を眺めながら口にして。---マグカップに仕込まれた毒薬が効果を示すのは早くなっていた。既に体内にある毒と反応する所為だろうか。汗が浮かび、胸の苦しさを自覚するようになる頃には、資料の文字を追えない程に視界の歪みが酷くなっていて。 )








 

  • No.4321 by ベル・ミラー  2024-06-24 08:09:59 





( “後悔しても過去は変わらない”それは誰より一番相手自身が感じている事か。それ以上何も言う事無く頷くだけに留めると、手を伸ばしデスク上のマグカップを引き寄せ中身を啜り。「…ハンナの共犯者として上げるならジェイが妥当かなって思うけど、…まだ名前の上がって無い友人とかの可能性も拭い切れないし。」今いる容疑者の中でハンナの手助けをするなら1人しか居ないとは思うがそれも憶測。続く相手の言葉に「確かに、」と頷いては「誰も彼も動機があるのも厄介。」と溜め息を吐き出してからマグカップを再びデスクに置き。__互いに供述を照らし合わせ考察を口にしていた時間は凡そ20分。顔を上げた先に居る相手の額に汗が滲み、苦しげに寄せられた眉を見て体調の悪さを感じ取ればソファから立ち上がり駆け寄る。椅子から落ちてしまわぬ様に背中に添えた掌を僅かに押して、相手を前屈みの体勢にする事でデスクとの位置を近付け「待って、今薬出すから!」外には漏れぬ様、けれどやや切羽詰まった声色でそう声を掛け相手の鞄の中から目眩薬を取り出しそれを二錠掌に。近くに水は無く、相手を置いて取りに行くのは適切では無いと判断すると、良くない事ではあるものの温くなった紅茶で流し込む事を選択し「…飲める?」顔を覗き込み、今の状態で飲む事が出来るかの確認と共に軽く背中を擦って )




  • No.4322 by アルバート・エバンズ  2024-06-24 13:17:37 

 







( 被疑者として上がっているリリーに好意があった周辺の男たちに、ハンナが殺害を依頼した____というのは、あまりにこじつけが過ぎるか。そもそも自ら嫉妬に狂いリリーを殺害する事こそあれど、見知らぬ女からの依頼で好意のあった女性を殺害するというのは無理がありそうだ。穿った見方をすればマーティンとならあり得るか。「…ジェイからマーティンの存在を聞いていて、リリーに対する嫉妬や憎しみを煽って殺害させた…というのは無理があるか、」思いつく繋がりを口にしたものの、いまいちピンと来ず首を捻り。---また原因の分からない、耐えようのない身体の不調に襲われ、デスクで顔を覆う。促されるまま何とか錠剤を飲み込んだものの「…喉が痛い、…」と苦しげな声が盛れ。何度も経口で毒を摂取している事で喉にも炎症が起き始めている様子。身体を起こしている事が辛いのだが、此処で横になる訳にも行かない。_____不意に扉がノックされ、扉が開き顔を覗かせたのは総務部の男。幸い外の刑事課の署員たちは異変に気付いた様子はない。部屋の中の様子に『す、すみません…書類をお渡ししようと…』と驚いたように告げたものの、エバンズの様子が明らかに可笑しい事は見れば分かる。この様子ではもう一押しで彼を殺害できると内心思いながら、表面上では慌てたふりをして『書類は置いておきます、』と告げて。 )







 

  • No.4323 by ベル・ミラー  2024-06-24 16:12:33 





( やっとの思いで錠剤を飲み込んだその様子だけを切り取れば安堵出来るのだが問題はその薬が効く迄に時間が掛かると言う事だ。胃に落ちたそれが溶けて体調を回復させるに至る迄、相手はこの原因不明の不調に耐え続けなければならない。掠れた苦しげな声で訴えられた初めて聞く症状に視線は相手の喉元へ落ち。目眩や頭痛に加えて喉の痛み、薬の飲み過ぎかとも思うが、それならばほぼ毎日の様に安定剤を飲んでいる時に同じ症状が出ても可笑しくは無い筈だし、そもそも錠剤を服用して喉の痛みが出るなど聞いた事が無い。相手は続く不調を過去の事件で起きる発作的なそれでは無いと言い切ったのだから、そこに繋がりは無いだろう。だとしたら一体何だと言うのだ。パニックを起こしている訳では無いのだから落ち着かせてどうにかなる状態でも無く、どうしたら良いのかもわからないこの状況が酷く怖くて思わず吐き出した息が震え。だが兎に角何かはしなければ駄目だと。一先ず訴えられた症状を少しでも軽減出来る可能性としてコーヒーや紅茶では無く、矢張り水で喉を潤した方が良いのではと思えば「っ、待ってて、今水を__、!」と、背中から手を離し。扉をノックする音が聞こえたのは正にその時。不味い、と反射的に腕は扉に伸びるのだがそれよりも早く無情にも開いてしまったそこに居たのは以前もこの場所で顔を合わせた総務部の男性。彼だから良いとか悪いとかの話では無く、そもそもこの状態の相手を見られたのが不味い。当然彼も慌てた様子なものだから「ありがとうございます、」と、表面上何事も無くその書類を受け取るが全く誤魔化せていない事は明白で、変に言い訳をしても、誰にも言うなと釘をさしても更に可笑しな状況を産むだけだと思えば何も言える筈も無く、「…なるべく早く目を通してサインするよう伝えます。」結果的にそんな事務的な言葉で彼が居なくなるのを待つしかなくて )




  • No.4324 by アルバート・エバンズ  2024-06-24 19:45:18 

 






( ノックの音がして、この状態を見られてはならないと思いはするのだが、既に平静を装える状態ではなかった。酷い息苦しさと視界の歪み、普段であればなるべく避けたい場所である病院に行ってでも楽になりたいとさえ思う程に苦しく、原因に一切の身に覚えがないのだ。---相手とのやり取りの中で男は『いえ、急がないので…』とだけ気を遣ったように答え、相手の後ろのエバンズに視線を向けたものの言及すべきではないだろうと『失礼しました。』と頭を下げて出て行き。さすがにここまで状態が悪くなれば異変に気付くだろう、長く引き延ばす訳には行かなそうだと明日この地道に重ねてきた作戦を終わらせる事を決め。---酷い症状が少しずつ落ち着くまでには、およそ1時間弱掛かった。相手が部屋にいて、自分の姿を隠すような配置で座ってくれた事で捜査の会議をしているのだろうと室内にまで入って来る者はいなかった。浅い呼吸を繰り返し、ようやく視界が正常な状態に戻り始めるもワイシャツは濡れて気持ちが悪い。「______被疑者逮捕の見通しが立ったら、病院に行く、…」自らそう告げる程に、身体はきつい状態だった。 )







 

  • No.4325 by ベル・ミラー  2024-06-24 20:28:35 





( “何も言うな、早く出て行け”と__自分自身では気が付かないが男を見る瞳にはもしかしたらそんなある種の敵意にも似た色が宿っていたかもしれない。部屋を出る最後の最後迄エバンズを気に掛ける様な素振りこそ見せたが、結局男は小さく頭を下げるだけに留めた。男から受け取った書類をデスクの上に雑に放り、再び相手が調子を回復させる迄の間は物凄く長い時間の様に感じられた。デスクに身体を預ける様な前のめりの体勢で、正常とは程遠い呼吸を繰り返していた相手は、やがて酷く脱力した様子ながらその身体を起こし、例えどんな状況でも開口一番必ず拒否する様な病院へ自ら行くと。それ程迄に原因不明の調子の悪さが限界に達しつつあるのだろうと思えば思わず奥歯をキツく噛み締め「…うん、…絶対に。」と、頷く事しか出来ない。__刑事課の署員達はどうやらこの部屋で捜査会議をしていると思っている様で、それならば好都合。ブラインドをもう僅か閉め殆ど中の様子が見えない様にした所で別に怪しまれる事も無いだろうと。相手の浅い息遣いが酷く大きく聞こえる部屋の中、自身の鞄の中から取り出したのは、見張りの為車で一夜を過ごす事になったとしても問題無い様にと常に持ち歩いているソープの香りがする“汗拭きシート”。それを一枚取り出し「…失礼します。」と、突然触れられる事に驚きや嫌悪が無い様声を掛け、相手の首元を伝う汗を拭い。それからもう一枚を引き抜き__理由があるとは言え流石に“この場所”でこれ以上手を入れる事は出来ないと、シートを相手に握らせ。「検死結果が出ない以上出来る事は限られる。その出来る事は、“今日は”もう終わりでいいよね?」投げ掛けたのは確認の言葉ではあるものの、実際は“NO”の返事は聞くつもりが無かった。「少し休んだら帰ろう。」と真っ直ぐに見据え何がなんでも連れ帰る意志を前面に、後は相手の呼吸が整う迄の間、背中側のシャツを緩く掴み少しでも気持ちの悪さを軽減出来る様にと扇いで )




  • No.4326 by アルバート・エバンズ  2024-06-26 03:32:49 

 






( 不調を感じるようになってから、日が経つにつれて症状は徐々に酷くなっていた。症状に気付いてから悪化するまでの時間がかなり短くなっている事、そして幾らか症状が落ち着いた後にも倦怠感や気分の悪さと言った不調が拭いきれないものになっている。首元にひんやりとした感覚があり、じっとりとした汗の不快さが少しばかり軽減された。手渡されたシートで、緩んだ首元から鎖骨あたりまで、そしてワイシャツの裾あたりから背中の一部を拭って。相手の言う通り検死結果や現場に残された証拠品が上がってこない事には喫緊でやらなければならない事はない。相手の問い掛けに対して“NO”と答えることはなく、軽く頷くと深く息を吐き出して。「……犯人は必ず捕まえる、」そう呟くように言葉にしたのは、最後まで捜査に邁進するという相手に対する宣誓か、或いは自分自身を奮い立たせ言い聞かせるものか。 )







 

  • No.4327 by ベル・ミラー  2024-06-26 07:23:16 





( 自らの意思で病院を望む程に調子が悪くとも、相手は折れない。まるで誓の様な、自分自身に対する言い聞かせの様な音で落とされた言葉に、ただ大きく一度だけ頷いて。__それから凡そ一時間、倦怠感こそあれどある程度落ち着いた様子の相手の顔を覗き込み表情を確認しては、「…帰れそう?」と問い掛けて。今回の様にいきなり体調不良を振り返し今度は倒れてしまっても可笑しくは無いし、身体の調子の悪さと悪夢を見る事によって心の不安定さが同時に訪れるかもしれない。音として伝えてはいないものの、少しでも近くに居たい気持ちのだと、今夜は相手の家に泊まらせてもらおうと考えていて )




  • No.4328 by アルバート・エバンズ  2024-06-26 22:45:20 

 





( 相手の問い掛けに帰れると頷けば、デスクを軽く整えて立ち上がる。立ち眩みこそあったものの、再び座り込んでしまうほどではなく鞄を手にすると相手と共に駐車場へと向かい。送ってくれるという相手の車の助手席に座り、ほんの数分微睡んだものの程なく家に着き。相手がエンジンを切った事で、家に来るつもりなのだろうと思うもその事に何か言うことはしなかった。「…家にあるものは好きに食べてくれ。帰る時に鍵はポストにでも入れておいてくれれば良い。」部屋に入りジャケットを脱ぎながら相手にそう告げると、そのまま寝室に向かいベッドに体を横たえて。 )







 

  • No.4329 by ベル・ミラー  2024-06-26 23:45:51 





( __家に着き、部屋に入って早々に寝室へと消え行く背中を見送る。酷い倦怠感と尚万全に回復した訳では無い調子の悪さを引き摺っているのだろう、今は何よりも休息が必要な様に思えた。好きな様に、と言われた通りにキッチンの戸棚を開けてそこにあったパンを一枚だけ貰いミルクで胃に流し込む。何方かと言えば夜ご飯より朝ご飯的な感じではあるし、量だって少ないのだが余りお腹の空いてない今の状態ではこれくらいが丁度良かった。それから数時間、相手の不調の事やリリー殺害の事件について、何か見逃しや不審な点は無いかと考えを巡らせて。__相手は帰る時に鍵をポストに、と言ったのだが、そもそも今日帰宅する気は無い。痛重たく感じられる皺眉筋を解す様に人差し指の第二関節でグリグリと押し込む様なマッサージの後、静かに立ち上がり相手を起こさぬ様に寝室の扉を開け。暗がりでもわかるシーツの膨らみは、そこに相手がいる事の証明。忍び足で近付きベッドの脇にしゃがみ込む体勢で眠る様子を見詰め、願うのは一日でも早く原因不明の調子の悪さが治まる事。声を掛けるでも無く、けれど再びリビングに戻る訳でも無く、気が付けば瞼は重たく下がり、やがてそのまま座り込む様にして何時しか浅い眠りに落ちていて )




  • No.4330 by アルバート・エバンズ  2024-06-27 13:26:14 

 






( 目眩への対処として応急的に飲んでいる薬は、不調の根本的な解決にはならないものの症状を緩和してくれた。身体に重怠さは残っているものの、身体を横たえると直ぐに眠りに落ちていて。---寝苦しさが助長したのか、その夜見た悪夢は鮮明なものだった。自分が見殺しにしてきた多くの罪なき人たちが、虚で暗い瞳を自分にむけている。そしてその内の1人が____夢とは気まぐれなもので、何故かそれはかつてクラークに見せられた彼の弟ルーカスの姿形をしていたが_____こちらに手を伸ばし、首を掴むのだ。ありったけの力で、自分たちを見殺しにしたお前も地獄に落ちるべきだと。---息が詰まるようなその苦しさと憎しみの籠った瞳に意識は覚醒し、苦しげに喘ぐような声が漏れる。喉が痛い、それに加えて呼吸は狂っていて呼吸の仕方を忘れてしまったかのように肩が上下するばかり。「_____っ、は…ッあ゛、」懸命に酸素を取り入れようとするものの、悪夢によって引き起こされたパニックがそれを阻み。 )







 

  • No.4331 by ベル・ミラー  2024-06-27 17:01:07 





( 床に座り込み頭を垂れる様な体勢で眠り続けていたのは最初。やがてその身体は前のめりになりそのままベッドの縁に頭を預ける様な体勢へと変わり、けれども覚醒はする事無く静かに寝息をたてるだけ。__時計の針が0時を過ぎた頃、間近で喉の奥で息が引っ掛かった様な苦しげな声が聞こえ瞼が持ち上がる。寝起きの鼓膜を震わせたのは酸素を懸命に取り込もうとする狂った呼吸音で、体調の悪化によるものでは無く、悪夢を見た事によるパニック発作だと思えば立ち上がりベッドの縁に腰掛けた状態で相手の背中に掌を宛てがい。「…エバンズさん、」小さく、穏やかに、その名前を呼び掌を上下に動かす事で背中を擦りながらほんの僅かでも呼吸が楽になるようにと。それは何時ものやり方。けれど、今回相手の見ている悪夢にルーカスが関係しているなどとは思いもせずに )




  • No.4332 by アルバート・エバンズ  2024-07-03 22:03:25 

 






( 毒による身体の不調が影響を来たし、結果的に辛い夜になった。喉の痛みが夢にも直結したのだろう。脳裏にこびりついた嫌な記憶を消し去ろうとしつつ喘ぐような呼吸と共に背中が上下して。自分が見た夢のような出来事は今も、そして過去にも起きていない。震える手でシーツを握り締めながら浅い呼吸を繰り返し、思わずベッドの上に置かれた相手の手を握り締めることで今に意識を押し留めようとして。 )







 

  • No.4333 by ベル・ミラー  2024-07-03 22:55:25 





( 苦しみに喘ぐ相手のその痛みを少しでも早く消し去ろうと上下する背中を擦り続ける中、ふいに伸ばされた相手の手が己の手を握り締めると自然と視線はそこに落ち。咄嗟のその行動は考えるよりも先に身体が動いたのだろう、苦しくて、怖くて、近くにあるものに縋りたい時、はたまた“今”に意識を繋ぎ止めておく手段か。「__大丈夫、エバンズさんはちゃんと此処に居る。怖い事は何も無いんだよ。」相手の手ごと握り締められてる己の手をゆっくりと持ち上げ、自らの頬に相手の手の甲を押し付ける。そのまま何度も、何度も、まるで頬から伝わる温もりを相手に流れ込ませるかのように繰り返し動かしながら、一言一言を確りと伝わるように、相手がちゃんと戻って来れるように、言葉を伝えていき )




  • No.4334 by アルバート・エバンズ  2024-07-03 23:35:31 

 






( 脳裏に焼き付いたままだった鮮明なまでの赤が徐々に色褪せ、苦しさの波が引くのにはかなりの時間を要した。それでも相手の手の温度と背中を摩る優しい感触に導かれ、恐怖心も薄らいで。あと少し、犯人逮捕に漕ぎ着けるまではしっかりと立っていなければならない。呼吸を意識的にゆっくりと整えながら、力が篭っていた手から少し力が抜ける。悪かった、と小さく囁くように告げた言葉。まだ起きるには早い時間、捜査に備えてもう少し休もうと無意識ながら相手が休めるようにベッドの半分を空けて。 )






 

  • No.4335 by ベル・ミラー  2024-07-04 00:08:00 





( 相手からの謝罪には首を横に振る事で何も気にしていない事を伝える。例え夜中であれ、早朝であれ、何度目を覚ます事になったとしてもそれを僅かも迷惑だと感じた事などこれまでたったの一度だって無い。恐らく無意識なのだろう、己を気遣う様にして空けられたスペースに静かに横になり此方に背を向ける相手を見詰めれば、一拍程の間の後に「…エバンズさん、此方向いて。」と。相手が寝返りを打つ様に己の要望を叶えてくれたのならば、今度は苦しくない程度にその頭を抱き竦め、自身の胸元に軽く引き寄せる様にハグをしつつ目を閉じて )




  • No.4336 by アルバート・エバンズ  2024-07-04 03:50:17 

 






( 相手に抱き締められ、その心音を聴きながら温もりに包まれる事で心の内に広がっていた恐怖や不安といった負の感情が少しずつ薄れていくのを感じた。そうして気付けば眠りに落ちていて、悪夢で再び呼吸を乱す事もないまま朝を迎えて。---身体には重怠さが残っていて、出来る事ならこのまま休んでいたいと思うような調子の悪さはこびりついて離れない。しかし漸く遺体が発見された局面、きちんと捜査を行い犯人逮捕に向けて動かなければならない。ソファで相手が淹れてくれたコーヒーを一気に煽るようにして気合いを入れると、署へと出勤して。 )






 

  • No.4337 by ベル・ミラー  2024-07-04 07:50:54 





( __相手の調子は朝を迎えても悪そうではあったが、捜査が終わってない以上仕事には行かねばならない。署では検死結果が出る迄の間、ひたすらに被疑者の話の点に可笑しな所が無いか、何か見落としが無いかを今一度確認する作業が続くのと同時に、午前中は遺体発見現場に再び赴き、何か些細な事でも…と情報を集めて。__エバンズとミラーの両方が不在の時を見計らい総務部の男は専用の執務室に来ていた。今迄と同じ様に経費に関する書類を手に、刑事課の誰かに何かを言われても怪しまれないように。そうしてデスクの上にエバンズのマグカップを見付けると、振り返る様に背後の扉に一度視線を向けた後、ポケットに忍ばせていた毒が入った小さな容器を取り出して、今度は今迄とは違いカップの縁に少量塗るのでは無く、明らかな殺意を持って底面にたっぷりと塗りたくり。無色透明のそれは当然気付かれる事が無いだろう。思わず持ち上がった口角を誰に見られている訳では無いものの片手で隠し、壁に掛かる時計を一瞥して思うのはエバンズが倒れる時。即効性のあるものじゃないこの毒が身体を蝕み死に至るのは恐らく夜であろう。その瞬間を目の当たりにする事は出来ないだろうが、1人自宅で倒れれば救急車を呼ぶ事も出来ず朝には冷たくなっている筈。完璧だ、と一度息を吐き出し無表情へと戻れば誰に何を言われる事無く執務室を、刑事課フロアを出て自分の持ち場へと戻り )




  • No.4338 by アルバート・エバンズ  2024-07-06 04:02:00 

 






( 恨みを抱いた1人の男によって普段使っているマグカップに致死量の毒が塗られている事などつゆ知らず、相手に淹れて貰った紅茶を口にしていた。味に違和感を覚えるでもなく、未だ半分以上残っている紅茶に時折口を付けつつ作業を進めていると部屋の扉がノックされ顔を上げる。入って来たのは紙を持った_____男ではあったのだが、彼は総務部の人間ではない。結果が出るのを待ち侘びた検死を担当している人物だと気付けば「どうだった、」と開口一番に尋ねて。監察医は頷くと資料をデスクに置き『被害者の死因は首を絞められた事による窒息死です。手ではなく紐状の物が使われています。それから…被害者は、妊娠していました。亡くなった時には妊娠3ヶ月ほどだったと見られます。』と説明して。思いがけないその言葉に思わず言葉を失う。被害者はまだ学生で結婚もしていない、これ迄の捜査では誰の口からもそんな事実は語られなかった。ただそうなると、付き合っていたジェイの子と考えるのが妥当だろう。被害者の妊娠を知り、それが動機になり得る人物____ジェイとハンナ、この2人への疑惑が一気に強まる事実に、険しい表情のまま資料に視線を向け。 )








 

  • No.4339 by ベル・ミラー  2024-07-06 09:33:15 





( 相手に紅茶を淹れ、一度デスクに戻り再び相手の部屋を訪れ捜査の話をしていた丁度その時。待ち侘びていた検死担当の監察医が来れば自然と視線は彼へと向き。__告げられた検死結果は驚愕するもの。窒息死、とそこまでは驚くべき事では無かったが問題は続けられた“妊娠”の言葉だ。思わず息を飲み相手を見れば、相手もまた言葉を失い険しい表情で資料を見ている所。『失礼します。』と、頭を下げ監察医が執務室を出て行った後。「__妊娠、してたんだね…。」今しがたそう言われた言葉を至極小さな声で呟く様に繰り返すが、相手に向けたと言うよりはまるで独り言の様な響きを持って落ち。「…ハンナは兎も角、ジェイがこの事を知らなかったとは思えない!只でさえリリーとハンナの間でどうしたら良いのかわからないで居たのに、急に子供が出来たって言われて__エバンズさん、明日もう一度2人の所に行こう。他にも何か隠してる事がある筈。」リリーの妊娠の話が出なかった事で一気に疑惑が強まった2人。感情の昂りのままに前半はやや早口で、後半口調こそ落ち着いたものの表情は確実に怒りの色を宿していて )




  • No.4340 by アルバート・エバンズ  2024-07-06 11:22:09 

 






( 相手の言う通りジェイとハンナに話を聞くのは急務と言えよう。遺体が見つかればその事実も公になると分かっていて、発見を遅らせるためにわざわざ錘を付けてまで隠蔽をはかろうとした。身勝手で悪質な犯行である事は間違いない。---夕方になると、現場の捜査が概ね完了し残っていた証拠品などが署に運び込まれた。遺体を沈めるのに使われた錘や遺体に巻きつけられていたナイロン製のロープ、足跡やタイヤ痕の有無に関する資料。それらを確認し、何か容疑者の絞り込みに繋がる証拠がないか見極める作業は何度やっても骨の折れるもの。「…遺体の発見が遅れた事で足跡のような痕跡は全滅だ。」資料に目を通しながら溜め息混じりに告げる。しかしその頃には、視界が眩むような感覚を覚える程に毒は体内に回り始めていて。 )








 

  • No.4341 by ベル・ミラー  2024-07-06 12:18:25 





( 普通ならば見逃しても可笑しくは無い程に微細な証拠だったとしても、人が殺されその捜査にあたる以上“見落としました”は絶対に許されない。“ジェイとハンナは黒”と言う目線だけで証拠品を見極めるのはある意味“別の容疑者”を見逃す可能性に繋がるとは思うのだが、あの2人が事件に無関係だとは到底思えず眉間に皺を寄せた険しい表情で確認作業を続け。時間の経過と共に消えてしまった痕跡はもうどうする事も出来ない。もっと早く発見出来ていれば、と歯痒い思いを抱えたまま「別の証拠を何としても見付け出して明日2人に突き付ける。」尚も真剣な表情で資料を見詰め、今夜は徹夜も厭わない覚悟の言葉を。__感情の昂り、検死結果、届いた証拠品の確認、ある種の使命で相手の不調がほんの一瞬頭から抜け落ちていた )




  • No.4342 by アルバート・エバンズ  2024-07-06 13:46:36 

 





( 証拠品の確認に没頭している間に、フロアからは1人また1人と署員が仕事を終え出て行った。暗くなったフロアの奥にある執務室にだけ煌々と明かりが灯り、相手と共に確認を進めて行く中で息がしづらくなるような、周囲の酸素が薄いような感覚を感じていた。しかしそれは座っていれば耐えられる程度のもので、軽くネクタイを緩める事でやり過ごした。遺体が見つかった地域の周辺でボートを扱っている会社がないか、或いはアンカーが盗まれた船がないか。ナイロン製のロープは何処で購入できるものか。其れらの事に集中して作業を進めている内に、耐えられる程度だった不調は気付けば重いものになっていた。資料から顔を上げると、既に部屋の中の間取りを認識できない程に眩しく感じられるような強い目眩の症状。トイレに立とうとしたものの立ち眩みによって平衡感覚が分からなくなり、咄嗟に身体を支えようと手を置いた場所はファイルと資料の積まれた場所で。 )








 

  • No.4343 by ベル・ミラー  2024-07-06 14:32:47 





( 遺体発見現場に監視カメラは無かったが、そこに続くまでの道路、街中、お店、はたまたタクシーの車内カメラには容疑者としてあがった人達が映り込んで居る可能性がある。港の方まで足を運べばもっと確実な映像を見る事も出来るだろう。しかし今日この時間からでは流石に店も会社も開いていない為、矢張り明日朝一で確認し確実な証拠を手に入れる必要が__と、今は既にこの部屋しか明かりが点いていない事にも気が付かない程に考えを巡らせていた矢先。しん、と静まり返り秒針の音や書類を捲る小さな音しか聞こえていなかった部屋の中、ふいに響いた紙の束が床に落ちる音に反射的に双肩は持ち上がり弾かれた様に顔を上げ。果たしてそこには散らばった大量の資料と__「…ッ、エバンズさん!」そんなものは後で片付ければ良い事。顔面蒼白と言っても過言では無い程に血の気を失った様な顔色で、今にも崩れそうな身体を懸命に支える相手の姿。不調を抱えたままこんなに遅い時間まで仕事をしていた事で、身体に限界が来たのかもしれない、と。立ち上がるや否や倒れてしまわぬ様に相手の身体を抱き支え一先ず床に座らせようと試みる。散らばった書類の上であっても今は構わなかった。「エバンズさん、目を閉じて。直ぐ落ち着くから。」ぐるぐると回る様な目眩にも、ぐにゃぐにゃと歪む様な目眩にも、視界を閉じる事で僅かでも軽減させる事が出来る筈だと背に手を当てたままそう促して )




  • No.4344 by アルバート・エバンズ  2024-07-06 15:06:06 

 





( 呼吸が上手く出来ず、呼び掛ける相手の声も一枚膜を隔てたかのように遠くに聞こえた。酷い目眩に加えて焼け付くような喉の痛み。あまりの苦痛に、このまま息が出来なくなって死んでしまうのではないかとさえ思った。空咳をする度に喉に強い痛みが走り思わず首元に手を添えたものの、息が出来ない苦しさと痛みに加えて不快な感覚が押し寄せる。「…っ、ごほ、…ッ」床に蹲ったまま、咄嗟に口許を覆ったものの床に散ったのは鮮血。多量の出血ではなかったものの、紙が散乱している事でその色は余計に鮮明な赤として主張した。それでも尚視界が歪むような目眩は落ち着く事なく、身体を起こしている事が困難になり。 )







 

  • No.4345 by ベル・ミラー  2024-07-06 16:52:54 





( 相手は此方の声を認識していないようで、目を閉じる事も無く苦しげに眉を寄せ乾いた咳を何度も繰り返した。その度に丸くなる背中が跳ねる様に揺れ一秒でも早く落ち着く様にと背を撫で続けるのだが。「___え……」一層強い空咳の後、床に散乱した白い資料の上、散ったのは“赤”。内蔵に損傷を受け吐き出される大量の血液では無く、それは微量のものだったが量の問題では無い。多かろうが少なかろうがそれは“吐血”だ。身体は硬直し、双眸を見開いたまま薄く開かれた唇から何の言葉も発せないでいる中、蹲り苦しんでいた相手はまるで力尽きた、と言う言葉が正しいか、そのまま床に倒れヒューヒューと浅い呼吸を繰り返す。明らかに、明らかに不味い状況だ。“体調不良”なんて言葉で片付けられる程軽いものじゃない。「大丈夫…っ!今救急車呼ぶから!」半ば叫ぶようにそう言葉にし一度相手から離れ、デスク上の電話で救急病院に連絡をし救急車の手配をする。それからはあっという間だった。救急隊が駆けつける迄の間、これ以上の吐血で呼吸が阻害されぬよう相手の身体を横向きに寝かせ、懸命に声を掛け続ける。そうして救急隊が到着し相手が救急車に乗せられれば共に病院へと向かって )




  • No.4346 by アルバート・エバンズ  2024-07-09 14:10:49 

 





( 救急車に乗せられたのと時を同じくして意識が途切れる。少量の吐血と異常な脈拍、呼吸困難、意識の喪失______酸素マスクを取り付けられ病院に搬送される間に、何かしらの中毒症状が疑われる状態だと病院に情報が共有された。病院に到着するとエバンズを乗せたストレッチャーは直ぐに処置室へと向かい、相手には外の待合室で待つようにとの声掛けがされて。---深夜1時を回った頃、ようやく担当の医師と見られる男性が相手の元へやって来て。『…未だ油断は出来ませんが、今は点滴による処置を行っています。_____多量の毒物を摂取した事による中毒症状で間違いないでしょう。体内から致死量に近い成分が検出されました。あと少しでも多く接種していたら、命を落としていた。…自殺、あるいは悪意を持って毒を盛られたか、その2択しかあり得ない状況です。』声を落として、今回の原因を相手に伝える。毒の成分を中和するために点滴での処置を行っているものの、未だ集中治療室から出られる状態ではないと。『血を吐いた事自体は、幸い命に関わるものではありませんでした。内臓がダメージを受けているのではなく、強い刺激によって喉が炎症を起こした。つまり、経口で毒物を摂取した事は間違いありません。』と続けて。 )








 

  • No.4347 by ベル・ミラー  2024-07-09 16:33:03 





( 救急車の中で辛うじて繋ぎ止められていた意識が途切れたのを見て更なる恐怖から背筋が凍る思いをした。そしてその恐怖は病院に着き、告げられた医師の言葉で更に膨れ上がる事となる。__自殺?毒を盛られた?一瞬頭が真っ白になり目前の医師の顔を見詰めたまま口を開く事が出来なくただただ混乱を呼ぶだけ。「…毒って…でも、そんな__誰が、」漸く唇から僅かな息が漏れ、それに続く様に言葉がぽつ、ぽつ、と落ちるがエバンズが毒を摂取してる場面に身に覚えなど無い。そして絶対的に自殺では無いと言えるからこそ必然的に選択肢の1つは除外される訳で。倒れる前、相手が吐き出し書類に散った血が今尚頭を離れない。だが医師は内蔵の損傷では無く毒の経口摂取による喉への炎症だと説明するものだから、そこに関してだけはまだ唯一、僅か安堵出来るものだろう。「…警部補が口にする物は基本的に限られています。」と、伝えた後、此処で漸く少し頭が働くようになったのか「…警部補の事、よろしくお願いします、」と頭を下げ。__まだ集中治療室を出る事が出来ないとなれば、当然リリーの事件を追う事は不可能。この状況を警視正にも伝え何よりも相手に毒を盛った犯人を並行して見つけなければならない。絶対に許さない、と湧き上がる怒りをそのままに細い息を吐き出して )




  • No.4348 by アルバート・エバンズ  2024-07-16 01:28:20 

 






( 相手から事情を聞いた警視正は、それが署内で起きた毒殺未遂事件である可能性も考慮して、エバンズに関する詳細は周囲に明かさないよう相手に指示した。彼は急遽対応しなければならない案件でレイクウッドを離れた、というのが表向きの理由。そして相手の他に本当の事情を知る存在として、信頼できる刑事に応援要請を打診すると告げて。---その後、早朝に相手のスマートフォンにメッセージを送ってきたのはダンフォードだった。“警視正から話は聞いた。お嬢ちゃんは大丈夫だったか?エバンズと捜査してた案件は俺が引き継ぐ。昼前には着けると思う。詳細は追って聞かせてくれ”と。 )







 

  • No.4349 by ベル・ミラー  2024-07-16 16:27:52 





( “毒殺未遂事件”、それは言葉以上に重たく腹に落ち、その被害者となったのが相手だと言う事もまた負を助長させた。__翌朝、何故だろうか、応援に来るのは【クレア・ジョーンズ】だとばかり勝手に想像していたものだから、ダンフォードからの連絡には一度目を丸くし、続いて“私は大丈夫です。けれど何故エバンズさんが毒を盛られたのか、何もかもがわからない状態のままです。”と返信して。__時刻は午前11時30分を過ぎた頃。約束通り昼前にレイクウッドに到着したダンフォードと顔を合わせるなり、何も解決していないのだが大きな安堵を覚えたのは、きっと彼がどれ程エバンズを思っているか、その心を少しだけ知っているから。気丈に振舞っていた気持ちが僅か揺らいだ時、手が震え、思わず視界が歪みそうになったのを深い深呼吸で立て直す。リリーの事件、彼女が妊娠していた事がわかり一気に捜査は進みジェイとハンナが最重要容疑者として上がった中、今日は2人に話を聞き何としても証拠を見付ける大切な時なのだ。ダンフォードに事件の詳細が書かれた資料を手渡し、これまでの状況を説明しなきゃいけないのに。「…っ、ダンフォードさん…エバンズさんが…!」唇を開いた時、立て直した“と思っていた”不安定な揺れが顔を覗かせた。警部補専用の執務室の中、声量こそは抑えたものの、その震えまでは止める事が出来ずに )




  • No.4350 by アルバート・エバンズ  2024-07-20 02:27:03 

 



ルイス・ダンフォード

( エバンズが何者かに毒を盛られ捜査から離脱せざるを得ないとレイクウッドのウォルター警視正から聞いた時、直ぐには状況を飲み込めなかった。同時にまた彼が謂れのない悪意を向けられ一方的に傷付けられ、苦しまなければならない事に憤りを感じた。そして、ミラーも既に同じ気持ちに苛まれているだろう、と。---事情を知らないレイクウッドの署員たちは応援に入った自分を明るく歓迎してくれたものの、彼女と顔を合わせた時からその不安定さ______なんとか感情を押し殺して捜査に集中しようと必死になっている事には気が付いていた。主人が不在の執務室で相手の声が揺らぎ、本当は一番気掛かりであろう本音が漏れると『……分かってる。あいつに毒を盛った犯人は必ず見つけて刑務所にぶち込んでやる。』と、乱暴な言葉選びながら力強く告げて。自分が知りたかった“詳細”は、担当する事件を差し置いて、エバンズの事。『あいつの一番近くに居たのはお嬢ちゃんだ。エバンズの様子に少しでも違和感を感じた事を全て教えてくれ。あいつは友達が居ない上に職場以外で人と接触する事がない。生活の中で毒を盛るなら、一番可能性が高いのは此の建物の中だ。証拠を消して逃げられる前に尻尾を掴む、』と。そこまで言った所で『少女が殺害された事件を早急に解決さえすれば、並行して何をやっていようが文句は言われないだろう。忙しくなるぞ、2つの事件を同時に担当するなんて本部の超売れっ子刑事くらいだ。』と、やや戯けて付け足して。 )








 

  • No.4351 by ベル・ミラー  2024-07-20 11:50:37 





( 同じ署で働く仲間達にもエバンズの事を言う事は出来ず、あくまでも“何も無い”振る舞い方をしなければならなかったのもまた酷く心の磨り減る要因だった。不安も恐怖も顔に出す事が出来ない時間は余りに長く感じたのだ。だからこそ本当の事情を知るダンフォードと顔を合わせた時感情が溢れ出した。己の情けない揺らぎに、犯人に対して確かな怒りを滲ませた荒く力強い言葉が返って来ればそれだけで張り詰めていた心は幾分も軽くなると言うもの。震える息を一度細く吐き出してから同じ気持ちだと言う様に大きく頷き。「…最初は頭痛からだったんです。丁度天気も悪かったから、気圧の関係か風邪をひいたんだろうって思ってて。でも症状は全然治まらないし、それどころか酷くなる一方で、」エバンズの様子は果たしてどうだったか、最初に不調を訴えた所から遡る様にぽつ、ぽつ、と言葉を落とし。「…身体の震えや、脈が早くなったり酷い目眩がしたり__でも本人は過去に関するフラッシュバックが起きてる訳ではないって言ってました。それとはまた違う、わからない不調だって。」言葉にする事でその時の彼の苦しむ姿が思い出され胸が苦しくなるのだが、記憶している事は全て目前の相手に伝えなくてはならない。そうして最後、倒れた時の姿が鮮明に脳裏に浮かび、その時の息が出来なくなる程の恐怖が蘇りそうな感覚に床を見詰めグッと拳を握り締めてから「……此処で、倒れて病院に運ばれました。血を吐いたけど、それは内蔵の損傷によるものじゃなくて、何度も繰り返し毒を摂取した事で喉が傷付いたせいだって医者は。」病院に運ばれるまでの経緯を説明しつつ、静かに顔を上げ。「違和感は特別何も、…基本的にこの部屋に居るか捜査で私と一緒に外に出てるかで__、」この建物内で毒を盛られたとして、果たして一体誰が、と考えてしまう。一瞬だけクラークの姿が頭を過ぎったのだが、恐らく彼は違うだろう。エバンズを苦しめたい願望は人一倍強いだろうが、それはあくまでも“苦しみながら生きている”姿を見たい為。クラークの歪み切った性格を考えるなら生死に関係する様な手段は選ばない筈だ。無意識の内に眉間に皺が寄り険しい表情になったものの、まるで此方の心を少しでも軽くする様な戯けた言葉が続けられれば思わずぱち、と瞬きをし相手を見詰め。それから自然と持ち上がった口角のままに「エバンズさんが起きたら自慢出来ますかね。」と、同じく明るい戯けた返事を返して )




  • No.4352 by アルバート・エバンズ  2024-07-25 00:57:21 

 





ルイス・ダンフォード

( ひとつひとつ、記憶の糸を辿るようにして紡がれたエバンズの変化。その中には彼の事をしっかりと見て、彼の言葉をしっかりと聞いていなければ記憶に留まらないほど些細なものも含まれていて、エバンズに対する相手の誠実で真っ直ぐな向き合い方を目の当たりにしたような気がした。毒物を摂取し血を吐くほど状態が悪いなら命に関わる可能性もあると一瞬肝が冷える思いをしたものの、内臓の損傷ではないという言葉に思わず息を吐き出す。『外に居る時に毒を盛るのは至難の技だ。煙草のフィルター部分に毒を塗り込んで毒殺を図ったケースを担当した事があるが、あいつは煙草は持ち歩かない。普段口にするものも限られてる…ペットボトルの飲み物や薬くらいだろう。』と、毒の摂取経路について考えを巡らせて。しかしどれも本人にバレずに毒を混入するのはそう簡単ではない。_____ふと、エバンズのデスクに置かれたマグカップに視線が止まる。いつも彼のデスクに置かれているイメージがあるし、此処で話をしている最中彼がマグカップを口に運ぶ姿は何度も見た事があった。『……マグカップなら、気付かれずに毒を混入できるか、』独り言にも近い呟きが溢れて。 )






 

  • No.4353 by ベル・ミラー  2024-07-25 08:47:34 





( 相手の言う通り、署内でも聞き込みをする車の中でも彼が煙草を吸っている姿を見た事は無く、本当にたまに柔軟剤の香りに混じる様に僅かに煙草の香りを感じる事が出来るくらいの認識しかない。薬だって彼が服用している事を知っている人物は限られるのだから、そこを選ぶのは至難の業の筈。残るはペットボトル__と記憶を呼び覚まそうとしたその時。ふ、と溢される様にして落ちた相手の独り言に息を飲み勢い良くデスクに頭を向ける。そこには主不在であっても静かに鎮座する見慣れたマグカップがあり、それを捉えた時にまるで胃液が上がる様な嫌な感覚を覚え思わず片手を口元に宛てがい。「ッ、」この部屋でマグカップに毒を塗る事は簡単だ。彼が捜査で留守にしている間に部屋に入る事は誰でも出来る。このフロアの人物も、別のフロアの人物も、ただ一言“用事がある。”と言えば良いのだから。でも、もし本当に毒物が付着していたのがこのマグカップなのだとしたら__「っは、ぁ…」私は何度、このマグカップで彼に飲み物を淹れた?__自分でもわかるくらいに身体の温度が下がった。勿論毒が付着していると知っていて意図的にそのマグカップを彼にわたし続けた訳では無い。けれどもっと早く気が付き、注意をし、別のコップか何かを選びそれをわたしていれば此処まで酷い事態は避けられたのではないだろうか。喉に息が引っ掛かりそうな感覚に、口元に手をあてたまま俯く。瞳が揺らいだ事で部屋の床が滲み、余りに大きな罪悪感の様な負の感情に飲み込まれてしまいそうで )




  • No.4354 by アルバート・エバンズ  2024-07-30 23:57:29 

 






ルイス・ダンフォード


( 考えられる可能性として何の気なしに口にした呟きだったが、その反応を見て直ぐに、相手がエバンズの為にとマグカップに飲み物を淹れて渡していた事を悟った。おそらく稀に、という訳ではなく定期的に。『______大丈夫だ、俺の目を見ろ。』明らかに動揺している相手の肩を掴み、視線を合わせるようにしゃがんで相手を見つめる。『悪意を持った人間があれに目を付けた可能性はあるが、お嬢ちゃんが悪いことなんてひとつもない。コーヒーや紅茶の一杯二杯、俺だってあいつに飲ませる。それくらいでしか休憩を取らないからな。…非があるとしたら、ふざけた事を考えた犯人だけだ。マグカップを置いていたエバンズも、お嬢ちゃんも何にも悪くない、』言い聞かせるように言葉を紡ぎ、してを落ち着かせようと。ただマグカップに毒の成分が付着しているかは確認する必要がある。しかしエバンズの物だと気付かれない為には、念の為隣町の鑑識に頼むのが最善だろう。ちょうどここから10kmほど離れたカルダーン署には馴染みの鑑識がいるため、今日中にでも依頼をしようと考えて。 )







 

  • No.4355 by ベル・ミラー  2024-07-31 13:14:07 





( 確定した訳では無いものの可能性として極めて高い毒の付着物に頭が真っ白になる感覚を覚えたのだが、ふいに肩を掴まれ顔を上げた事で揺らぐ緑の虹彩が真剣な色を宿した相手の瞳と重なった。そのまま紡がれる言葉は己にも、勿論エバンズにも非など僅かも無く悪いのはあくまでも犯人ただ1人であると言うもの。相槌を打ちながらその言葉を静かに飲み込み心に落とし、頭を数回縦に動かす。__まだ何も確定せず、何も進めていない以上此処で動揺しやるべき事を見失ってはリリーの事件もエバンズの事件も何方も解決する事は出来ない。軽く瞳を閉じ震える息を一度細く吐き出してから再び相手を見詰めた時、虹彩に今さっき迄の不安定な揺れは無く決意が灯り。「__すみません、」先ず初めに口にしたのは取り乱した事への謝罪。続けてマグカップを一瞥し「…もしこれに毒物が付着していたとして、誰にも怪しまれず調べる事が出来るでしょうか。」と。それは正しく相手が依頼先の件で考えていた事と同じ事で )




  • No.4356 by アルバート・エバンズ  2024-07-31 15:23:59 

 





ルイス・ダンフォード

( 相手の瞳にあった不安定な揺らぎは消え、2つの事件の解決に向けてしっかりと自分を持ち直したようだと思えば頷いて力付けるように肩を叩いてやり。『あぁ、その事なんだが。隣のカルダーン署に馴染みの鑑識がいるんだ。事情は伏せて、そいつに頼もうと思う。今抱えてる仕事より先に分析してくれって頼んどくよ。』相手の問いにそう答えると笑って見せ。_____『さて、そうと決まったら俺はまずカルダーン署に行ってくる。悪いがお嬢ちゃんは本線の方の事件を進めてくれ。鑑識にこれを渡したらすぐに合流する。ただ、おそらくだが…被害者が妊娠していた事実は2人とも知らなかったと言うだろうな。知っていたとなれば動機に繋がる、見た目にも分からない状態となれば認めるメリットがない。証拠を突き付ける意外に認めさせるすべはない、後で話そう。』エバンズのマグカップを、証拠品を扱う時のように袋で掴み口を閉じると、相手に指示を出す。しかし相手が話を聞きに行く2人はシラを切るだろうから、新しい話が出なくとも気落ちしないようにと言っておき。そうして10km離れたカルダーン署へと向かって行き。 )






 

  • No.4357 by ベル・ミラー  2024-07-31 19:33:00 





( エバンズが毒を盛られた事は警視正を含めた自分達3人しか知らない事で、“急遽対応しなければいけない事件”の為署に居ない事になっているのだから当然鑑識に疑われる事態は避けなければならず、マグカップに毒物が付着しているか否かを調べるのはかなりリスクを背負う事になる…と思っていたのだが。相手の人脈の広さを此処に来て知る事となり表情からは自然と硬さが取れる。そうして後に続けられた言葉もまた相手の人柄を表しているのだろう、此方が気落ちしない様に、事件解決を急ぐ余り変に気負わない様に。__相手はカルダーン署へ、自身は先にジェイの元へ行き毅然とした態度でリリーの妊娠の件を突き付けるのだが、ダンフォードが考えていた通り、ジェイは“知らなかったし全く気付く事が出来なかった”と言った。そうしてそれはハンナも同じで何方も認める事をせず、現段階では逮捕出来るだけの証拠を提示する事も出来ない為に周囲の再聞き込みの後署に戻り、一先ず相手の帰りを待つ事となり )




  • No.4358 by アルバート・エバンズ  2024-08-08 10:58:40 

 





ルイス・ダンフォード

( カルダーン署で馴染みの鑑識の所まで行くと、随分久しぶりの再会に互いの近況を軽く話し合った後に『頼みたい事ってのは、これの解析なんだ。ちょっと訳アリでな、なるべく早く成分を割り出して欲しいんだよ。昔の顔に免じて、明日までに頼めねぇか?』と。随分急な、それも急ぎの依頼に対して男は溜め息を吐いたものの“お前は昔から変わらねぇなあ”と呆れたように言ってマグカップを受け取った。感謝と共に明日また結果を受け取りに来る事を告げ、相手と合流すべく署に戻る。その途中で、エバンズが捜査に回していた照合の結果がデータで届き、確認した内容に深く息を吐き。---署に戻り執務室へと向かうと、相手の聞き込みの結果を聞くよりも前にスマートフォンの写真を相手に見せる。『被害者の身体に巻きつけられていたナイロンテープが、ジェイの働く会社のものだった。この証拠を突き付ければ言い逃れは出来ないだろう、』と。 )








 

  • No.4359 by ベル・ミラー  2024-08-08 16:15:11 





( 執務室で顔を合わせた相手は酷く険しい表情をしていて、見せられた写真とその絶対的な証拠に此方もまた思わず眉間に皺が寄る。「やっぱり何も知らなかった、だなんて嘘だったんですね。」と、溜息混じりに言葉を落とした後相手と視線を重ね「犯行の動機がリリーの妊娠だと仮定して、ハンナが関わっているかどうか__一先ずジェイを連行します。」主犯はジェイである可能性が高いが、果たしてハンナはその全てを本当に何も知らなかったのか。慎重に見極めないと大変な事になると思いつつ、続けて「…あの、マグカップの分析の方は、」と、様子を伺う様な少しばかりの心配を滲ませた問い掛けを )




  • No.4360 by アルバート・エバンズ  2024-08-08 20:17:32 

 



ルイス・ダンフォード


( この証拠があればジェイを引っ張る事が出来る。彼に証拠を突きつけ、共犯者が居たのかどうかを問い詰めればある程度の事件の大枠は見えてくる筈だと同意を示し。相手にとって何よりも気がかりなのはエバンズの事だろう。マグカップの分析について問われると『安心しろ。昔のよしみで明日には結果を上げて貰える。他のどの分析より優先するように頼んどいた。』と相手の肩を叩き。 )





 

  • No.4361 by ベル・ミラー  2024-08-08 21:41:34 





( 何方の事件の方が大切で、何方の事件の方を優遇する、何て個人意志で勝手に決めて良いものでは無いが矢張り心を支配するのは今尚容態の回復しない上司の事で、それが偽りの無い本心なのだ。だからこそ相手から貰った言葉にわかりやすい安堵の表情を浮かべると「良かった、エバンズさんをあんな目に合わせた犯人を早く捕まえなくちゃ。」結果がどうであれやるべき事をやる、と今一度意気込み。__分析結果が出るのは明日。となれば今日、今やるべきはリリー事件の解決だ。相手と2人で容疑者の取り調べをすると言うのは初めての経験で、エバンズを育てたと言っても過言では無い相手は果たしてどんな進め方をする刑事なのか。ある意味勉強になると思いつつ「取り調べには同席させて下さい。」と、告げて一度署を出て。__向かうは再度ジェイの元。彼は『さっきも言った通り何も知らなかった。』と繰り返したが、此方には証拠品がある。ダンフォードに送って貰った写真を突き付け署への同行を願えば、ジェイは何も言わず素直に車に乗り込み。そのまま署へ、ダンフォードと共にジェイの取り調べに移ろうか )




  • No.4362 by アルバート・エバンズ  2024-08-09 11:46:53 

 




ルイス・ダンフォード


( エバンズの容態が心配なのは当然変わらないが、応援で来た以上引き継いだ事件を滞りなく解決するのが第一に求められる事。相手と共に、任意同行を求めたジェイと取調室で向かい合って座り。録音機を回した後に、ここまでの捜査で尋ねてきたアリバイの有無や被害者との関係性などについて再び確認を取り『リリー・ブラントが妊娠していた事は知っていたのか?』と、一度はジェイが否定した問いを投げ掛ける。知らなかったと首を振る男に向ける視線は、普段の明るく快活な彼らしさが一切消えた厳しいもの。エバンズが取り調べの時に纏うのは鋭く冷たい威圧感、ダンフォードは更に其の圧を重たくしたような、嘘を吐くのを躊躇わせるような言い知れぬ恐ろしさを感じさせる力があった。『それなら、このナイロンテープについてはどう説明するつもりだ?此れは間違いなく、お前の会社で使われているものだ。通販や店で出回ってる一般的なものじゃない。店長のお前なら自由に持ち出せただろうな。』続けて尋ねると、ジェイはモゴモゴと否定していたものの言い訳がましく、説明が噛み合わなくなってくる。ダンフォードの顔を見る事が出来ず、気まずそうに俯いていたものの『分かりやすい嘘をついて俺たちの手を煩わせるな。此処まで証拠が出てるんだぞ、』と告げれば暫しの沈黙の後にやがて、『……俺が、殺しました……』と認める言葉を呟き。 )








 

  • No.4363 by ベル・ミラー  2024-08-09 13:49:38 





( __背筋が凍るとは正にこの事。何も知らなかった、と否定をするジェイに向けられる視線は鋭く身が竦む様な恐怖を与えるものだから、取り調べを受けているのは自分では無いと言うのにその“氣”に当てられそうになるのだ。それ程迄に相手が放つ圧は圧倒的で空気すらも変える。エバンズと似てはいるが微妙な点に置いて違う箇所もある__。“女性刑事”と言うだけで取り調べ相手にナメられる事も多々ある現状の中、相手やエバンズの様な遣り方が出来れば何か変わる事もあるだろうかと、そんな事を一瞬考えた矢先。相手の圧にこれ以上耐えられなくなったのか、言い訳の苦しさに自分でも気が付きもう無理だと判断したのか、ジェイは至極小さな声で自供を口にした。確りと録音されたその言葉で彼を有罪に出来る事は決まったものの、聞かなければならない事はまだある。目前に座り俯き加減のジェイを真っ直ぐに見詰め「ハンナさんはこの件に関与していますか?」と、問い掛けた後「彼女を守りたい、なんて言う考えで嘘をつくつもりなら辞めて下さい。調べれば直ぐにわかる事です。」少しだけ声に冷たさを含ませた静かな声色で言葉を続け、僅かな動揺や隠し事も見逃さないとばかりに尚も彼から視線を外す事は無く )




  • No.4364 by アルバート・エバンズ  2024-08-11 03:35:10 

 




ルイス・ダンフォード


( ジェイ相手に更に共犯者の有無についてを詰めて行く相手の姿を見て、こんな顔も出来るのかと驚く。自分の知っている相手は明朗で表情がくるくると変わる少女のようなイメージ。しかし取り調べをしている様子は女性刑事ながら同年代の男性刑事顔負けだ。同時に後輩であるエバンズにも似た空気を孕む事から、彼の仕事ぶりを間近で見ているからこそ成せる技なのだろうと1人納得して。一方のジェイは、ハンナは一切関わっていないし殺人の事も何も知らないと答えた。ハンナに浮気がばれ、リリーとの関係を精算しないなら別れると言われた直後、学生であるリリーから妊娠を告げられ結婚したいとせがまれた。そこで遊びのつもりだったリリーが邪魔になり、結婚の挨拶に行く予定の朝、車の中で彼女を絞殺した上で山の方まで車を走らせ川に遺棄したと______ジェイはそう証言した。 )








 

  • No.4365 by ベル・ミラー  2024-08-11 10:00:14 





( 一時は“何方も本気”的な事を言ってのけたその口で今度は“リリーの事は遊びだった”と言う。妊娠までさせたと言うのに余りに身勝手で人の心を弄ぶ様な言動に嫌悪感しか湧かず眉間には皺が寄り。言葉に詰まる箇所や、何かを隠そう・誤魔化そうとする不自然な表情の変化は見られないものの、ジェイの言葉を100%信じる事は出来ない。険しい表情のまま一度小さく息を吐き出した後、隣に座るダンフォードに僅か顔を寄せ「…ハンナのアリバイは立証出来ていない状態です。」“家で1人野球中継を見ていた”と答えたハンナの言葉を耳打ちして )




  • No.4366 by アルバート・エバンズ  2024-08-11 20:38:58 

 





ルイス・ダンフォード


( 長く付き合っているハンナと別れるのを回避する為にリリーを手に掛けたという事は、口ではどちらも本気と言っておきながらやはり初めからリリーは“遊びだった”という事なのだろう。ジェイの事は確実に有罪にできるだけの証拠が揃っているが、相手の言うハンナに関しては有罪に出来るだけの証拠がないというのが正直な感想だ。一度断りを入れて部屋を出るとドアの前で声を落としつつ『…今の状況でハンナを引っ張る事は出来ないな。今回の事件のどの証拠を切り取っても、彼女の存在を示す明確なものはない。出来るとして、彼女が履いている靴裏から現場の土砂の成分が検出されるか確認するくらいだろう。』と答えて。 )







 

  • No.4367 by ベル・ミラー  2024-08-11 22:07:03 





( 証言通りジェイの単独犯であるならば、証拠と自供によりこのまま事件解決なのだが。「ですね。__ジェイの逮捕後、もう一度ハンナに会って来ます。」声を潜めた相手の声量と同じ声量で先ずは同意を、続いて僅かでも疑う箇所があるならば再度聴取と彼女の靴を鑑識に、と答え。ジェイに逮捕を告げるべく戻る為に扉に手を掛けその動きを一度止める。傍らに立つ相手に顔を向けると「…ダンフォードさんは、ジェイが嘘をついてると思いますか?、」と問い掛けて。“ハンナは関わってない”と答えたジェイの言葉、相手はどう受け取ったのだろうと )




  • No.4368 by アルバート・エバンズ  2024-08-18 13:15:27 

 





( もう一度ハンナに会いに行くという相手の言葉に頷きつつ、相手の問いには少し考える素振りを見せて。『…ハンナが被害者の妊娠を知っていたのかどうかで流れは変わって来る。まずハンナが本当に被害者の妊娠を知らなかった場合だ。ハンナと別れたくない、という動機でジェイが被害者と別れようとしていたなら、彼女の妊娠を知って殺害に走る決断をするのにハンナは関わっていないだろう。結果として遊びだったとしても、好意を抱いて付き合っていた相手だ。追い込まれて殺害するしかなくなったというのは矛盾しない。あいつの単独犯の可能性が高いと俺は思う。』頭の中で整理していた可能性をひとつずつ言葉にしていく。『ただ、被害者の妊娠がハンナにも伝わっていた場合_____その場合殺害の指示をするのはハンナにもなり得る。勿論ジェイが勝手に動いた可能性も同じだけどあるが、別れたくなければ女をどうにかしろとか、自分の手で始末しろとか、直接手を汚さずにジェイに殺害させる事はできるだろ。その場合は共謀ということになるが、わざわざハンナが一緒に現場に出向いているとは考えにくい。自分が殺しを指示したとハンナが認めるか、実行犯となるジェイが指示されてやった事だと吐くか、或いは殺害を指示した証拠がスマートフォンなんかに残ってるか…それぐらいでしかハンナを有罪にする事は出来ないだろうな。…とするとだ。ジェイが口をつぐみハンナがシラを切れば、何にせよ女の方は証拠不十分で罪に問えない。』全て可能性の話ではあるが、ジェイが彼女の関与を認めない以上、真実がどうであれハンナを有罪にするのはかなり難しいだろうと自論を述べて。 )







 

  • No.4369 by ベル・ミラー  2024-08-18 14:38:04 





( 静かに紡がれていく可能性の話を最後迄聞き、一度頷きを落とす。仮にジェイがハンナの関与を認めたとしても彼女が否定し証拠が無ければそれはただの虚言となる訳で、相手の言う通り彼女を有罪にするのは余程の事が無い限り極めて難しい状況だろう。「……出来る事は全てやりますが、それで証拠が上がらないのなら…__一先ずジェイを逮捕します。」悔しさを滲ませたまま言葉を切り先ずは目前の男を、と相手と共に取調べ室へと戻り。ジェイに逮捕を告げ再び話を聞く為ハンナに会うが彼女の証言は変わらなかった。リリーの妊娠の事は知らなかったを繰り返し、ジェイが犯行を認めた事を話しても一切関与はしてないと。加えて疑いが晴れるならと、渋々ながらにも携帯とスニーカーの提出にも応じてくれて、その靴裏から遺体発見現場の土砂の成分は発見されず、携帯の全てのデータからも今回の事件に関与している様な証拠は見付ける事が出来なかった。__結果的にリリー殺害事件はジェイの単独犯と言う事で無事解決した訳なのだが。__「お疲れ様です。ありがとうございました。」お礼と共にダンフォードに差し出したのは自販機で買った缶コーヒー。“もう一つの事件”が解決していない以上、マグカップでコーヒーを淹れるなんてとてもじゃないが出来ない。自分の分のカフェラテの缶を両手で包みプルタブを見詰めながら「…動機は何なんでしょう、」と呟く。突拍子も無いその言葉だが、解決した以上リリー事件の話をしている訳では無いと言う事は伝わるだろう )




  • No.4370 by アルバート・エバンズ  2024-08-25 22:45:11 

 




ルイス・ダンフォード


( 結果的にジェイの単独犯と言うことで事件にはかたが付いた。労いの言葉と共に渡された缶コーヒーに礼を言って受け取るのだが、それが“自販機で購入した飲み物”である事が今の相手にとっては意味がある事なのだろう。プルタブを開けて中身を呷りつつ相手の呟きに視線を向ける。今回の事件に関してではなく、エバンズの事を言っているのは間違いない。『…あいつは不器用で誤解されやすい。その所為で昔から、周りからの恨みを買いやすかった。あの性格だ、言葉はキツいし一切友好的じゃない。なのに同年代の中では出世頭で、顔も稼ぎも良いだろ?』冗談を交えつつ、一方的に妬みや恨みを買いやすい奴なのだと。しかしその後少しばかり真剣な表情になると手元へと視線を落とす。『ただなぁ、…時々あいつが、自分から周囲に恨まれるように仕向けてるんじゃないかと思うことがあるんだよ。仕事内でのいざこざなんてのはあいつは一切気にしてないから良いんだが、“あの事件”が絡んだ時だ。あれは、あいつが1人で背負うような規模の話じゃない。なのに、あることないこと言われても言い返す事もせず、周囲から恨まれる事が過去への償いかのような顔をして受け入れる。それが俺は気に食わねぇ。』あの一件での誹謗中傷を全て受け入れ、周囲から許される事を自ら避けているかのような彼の態度はどうしても納得がいかないのだと告げて。『動機が何かはまだ分からんが、例の事件絡みじゃなければ良いとは思っちまうな。…ただ、明確な殺意があったのは間違いない。あいつがこれまでに担当した事件関係の恨みか、計画が頓挫した犯罪組織かなんかのターゲットにされたか…考えられる動機自体はそう多くは無さそうだが、絞るのは骨が折れそうだ。』現時点では何故エバンズが標的となり命の危険に晒されたのかは憶測にしかならないと肩を竦めて。 )








 

  • No.4371 by ベル・ミラー  2024-08-25 23:49:48 





( 相手が紡いだ冗談には顔を上げ小さくはにかんで見せる。そうしてエバンズが此処に赴任して来た時を思い出す。__署員達からは“本部から来たエリート様”と呼ばれ、当時彼の纏う威圧感や冷たさから好んで近付く者は疎か、必要な仕事の話ですら行きたがらない人が多かった。皆が萎縮し暫くの間は刑事課フロアに何とも言えない重たい空気が漂っていたように思う。“エバンズの顔が良い”と初めて思ったのは確か【ソフィア】が彼にアプローチをした時だ。あの時“カッコイイ”と言ったソフィアの言葉で確かにエバンズは整った顔立ちをしている、と気が付いたのだ。__何だか最近の様な気もするし、もっともっとずっと昔の様な気もする過去に何故かわからないが目頭が熱くなり、一度相手から視線を落とし再び缶を見詰めるも、ふ、と相手の言葉に真剣な色が滲んだのに気が付き顔を上げる。相手が言う“あの事件”とは間違い無く“アナンデール事件”の事だ。そうして相手が感じる“気に食わなさ”を己もまた同じ様に感じる事が多々あるのだ。「…エバンズさんは何時だって自分を守らない…。本当は痛い癖に、苦しい癖に、…そう言う…“負の感情”全部に蓋をして……悪夢に魘される度に薬を飲んで、それで、っ…エバンズさんだって“遺族”なのに、悪いのはあの時の犯人だけなのに…!」相手が紡ぐ言葉に心が引っ張られたか、思わず言葉の端々が震える気持ちが溢れ出した。もう苦しんで欲しくないのに、痛みから遠い所に心を置いて欲しいのに。“助けて”と口にする事すら躊躇うエバンズは一体何時になれば救われるのか。一体何時になれば彼を“悪”だと言う人達は居なくなるのか。缶を強く握る事で昂った感情を落ち着かせようと努め、深く息を吐き出してから「……もし犯人の動機が“あの事件”に関係しているなら、エバンズさんには伏せたいです。…知ったら、また苦しむ事になる。エバンズさんを狙った訳じゃなくて“誰でも良かった”って…そう、嘘を、」瞳に宿るそれは懇願。その嘘がバレずに時が経つ事なんてほぼ不可能なのに、わかってはいるが、そう願わずにはいられないのだ )




  • No.4372 by アルバート・エバンズ  2024-08-28 02:31:36 

 





ルイス・ダンフォード


( 自分の些細な冗談に、相手が過去へと想いを馳せた事は知る由もなく相手へと視線を向ける。どうやら自分が抱いていたのと同じような“気に食わなさ”を相手もとうに感じていたらしい。『…あいつは生真面目が過ぎるんだ。その上不器用で人に頼るのが苦手で_____全てを背負う必要なんて元から無かった。弱音を吐いても、傷付いている事を叫んでも良かった。なのに誰にも弱い自分を見せようとしない見栄っ張りだ。手の掛かる困った奴だよ、』彼が傷つく度に、それを外に出すまいと必死に自分の中に押し留めようとする様子を見る度に、どうしようもないやるせなさを感じるのだ。もっと楽に生きて良いと、抱え込もうとしているものを吐き出して良いと言ってやらないと潰れてしまいそうで。冷たい表情を浮かべ凛と立っている彼の中に、今にも押し潰されそうな不安な顔をした少年のような姿を見るのだ。だからこそ、平気で彼を傷付けようとする存在が、今回の事件のように見当違いな恨みを一方的に抱いているのであろう人物のやり口が許せない。『……嘘で真実を隠し通すのは難しい。今は犯人の動機がなんだったのか、毒を盛ることができた人物の特定に集中しねぇとな。』相手の懇願に対してそう言葉を掛けて。---スマートフォンが着信を知らせたのはその時だった。成分の解析を依頼していた鑑識官からの電話で、すぐにボタンを押して電話に出ると相手に紙とペンを要求する。詳しい成分はメールに添付したが、毒物が検出されたと。反応が出たのは主にマグカップの飲み口、底にも成分が残っていたが数時間で死に至るような所謂“猛毒”ではない。検出された毒によって殺害を企てたのだとすれば、少なくとも10日以上掛け体内に蓄積する毒物が致死量に達するのを待つという地道な方法になると。“仮にこの毒を毎日同じ量、結果的に致死量近くまで飲んだとすれば最終段階では痙攣やせん妄、呼吸困難などの明らかに異常な症状が出る筈だ。病院にかかる事もなく突然倒れたなら、かなり周到に摂取させる量を調整していた可能性はあるな”と電話の向こうで鑑識官は見立てを伝えて。 )








 

  • No.4373 by ベル・ミラー  2024-08-28 14:27:57 





( 相手が語るそれらは全て真っ直ぐにエバンズを見て確りと心を向けている事が現れているもの。彼は今尚過去に苦しみ、癒える事の無い痛みを抱え生き続けて居るものの、相手の様な存在は彼に絡み付く闇に光を注ぎ、確かな温もりで以て守っているのだろうと感じる。だからこそ「__何時かエバンズさんの抱える痛みが消える事を願ってます。0にはならなくても、僅かでも薄れれば、…その為なら私は何だってするし、例え嫌がられても病院にだって連れて行きます。」前半は確かな意志の籠る言葉で、最後は何かと理由を付けては病院・医師から逃げ回る彼を思い出し少しだけはにかみを交えつつ「…絶対、口煩い生意気な部下だって思われてるでしょうけど。」と、笑みのまま締め。無理だとわかっていた懇願は、矢張り通す事は出来なかった。犯人に嘘の動機を述べさせる事も、供述を書き換える事も、何もかもが出来ない中当たり前と言えば当たり前なのだ。彼を守る為の嘘を並べるより、今やらなくてはいけない事がまだある。相手の言葉に大きく頷いたその時、ふいに相手のスマートフォンが着信音を鳴らし続いた会話で電話の相手が鑑識官なのだとわかれば、要求通りに紙とペンを渡しその内容を見守り。__数十分後、鑑識官と話し終えた相手はその内容を口にした。矢張り毒の付着したマグカップを定期的に使った事が原因で、それには思わず視線が落ちるのだが兎に角犯人を特定しなければ。「署員なら怪しまれず此処に来る事は簡単な筈。…10日__念の為2週間前から遡った防犯カメラの映像を確認します。この部屋の入り口が映るカメラはフロアの角にあるやつだけなので、」例えどれだけの量があろうとも1日も早く、徹夜をしたって関係のありそうな、怪しそうな人達全てを洗ってみせると。後はどうかエバンズが無事に目を覚まして欲しいと願うばかりで )




  • No.4374 by アルバート・エバンズ  2024-08-28 22:08:10 

 





ルイス・ダンフォード


( 昔から付き合いのある自分やジョーンズを除いて、あの事件以降誰に対しても固く閉ざされていた心が相手にだけは開いているような感覚は度々感じていた。そして今は、相手のような存在が彼のすぐ側に居る事に安堵と嬉しさを感じる。防犯カメラの映像を確認すると言った相手の言葉に頷き『皆が退勤した後に防犯カメラの映像を確認するぞ。エバンズの部屋を度々訪れている人間を絞り込む。犯人の目的がエバンズに毒を盛る事だけなら、目的を果たして早々に行方を眩ませる可能性もなくはない。なるべく早く尻尾を掴んで証拠を炙り出せ。』と、相手に指示して。---今はまだ知る由もないがダンフォードの見立て通り、総務課の男は退職の手続きを既に始めている段階だった。“急遽父親の体調が悪化し介護のため地元に帰ることになった”と課の上司に報告し、既に派遣会社からは新しい人材を送る事で話は着いていて。 )








 

  • No.4375 by ベル・ミラー  2024-08-28 23:37:05 





わかりました。警視正には事情を話し、許可を貰っておきます。
( 署員達が全員帰宅した後となれば夜も遅く、加えて朝方まで監視カメラ映像と睨めっこ状態になる。特別大きな問題に繋がる事は無いがその根本的な理由を知る警視正には一声掛けておくべきかと。同時に相手からの指示は何処かエバンズを彷彿させた。声が似ている訳でも口調が似ている訳でも無い筈なのだが、微妙な点に置いて似ていると思うのは矢張り新人だった頃のエバンズを育てたのが相手だったからなのか。__窓の外がだんだんと薄暗くなりつつあるものの、署員達が退勤する時間にはまだ早い。壁に掛かる時計を一瞥し、相手へと視線を戻しては「…エバンズさんは集中治療室から出られたでしょうか。」と、口を開く。勿論己とずっと共に捜査をしていた相手が今のエバンズの状況をわかる筈は無いと思うが、矢張り気掛かりなのだ。「…意識が戻って通常の病室に移動になれば、きっと医師から連絡があるだろうし、それに何も解決してない状態じゃ行ったって余計に不安にさせるだけですよね。」続けた言葉の数々は“彼の傍に行きたい”と願いつつも、それを抑え込む為の言わば自分自身に対する言い聞かせ。気ばかりが焦る中で「皆が退勤する迄の間、何か出来る事は無いでしょうか。」と、問い掛けて )




  • No.4376 by アルバート・エバンズ  2024-08-29 00:16:14 

 




ルイス・ダンフォード



( 刑事課のフロアに居る皆の退勤を待たずとも、何かと理由を付けて監視カメラの映像を取り出す事はできるのだが普段と違う行動に些細な疑念を抱いた者から憶測や噂が広がるのはよくある事。今回はエバンズの一件を誰にも察されたくないため、敢えて夜を待ってから行動する事を選んだのだ。エバンズの執務室で別の書類に目を通しながら、心ここに在らずといった状態の相手に視線を向ける。『病院から連絡がねぇからな、まだ目を覚ましてないんだろ。ここに居たって状況が分からなくてヤキモキするだけだ。お嬢ちゃんが見舞いに行ってやれば良い、追うべき事件は解決したんだ。』相手が自分に言い聞かせるようにして蓋をしようとしていた気持ちをいとも容易く肯定すると、病院に行ってみろと助言する。『あいつの顔を見て、医者に容態を聞いてきてくれ。』と明確な目的を相手に与えるためにそう告げて。 )






 

  • No.4377 by ベル・ミラー  2024-08-29 08:05:31 





( 夜までの間、リリーの事件の報告書を書き上げる事も出来たのだが解決した以上心を占めるのはエバンズの事で。ヤキモキしている己の心を汲み取り何の迷いも無くさもそれが今出来る唯一だ、とでも言わんばかりの淀みない指示が来れば思わず一度瞬き。「…あ、」薄く開いた唇の隙間を縫って出た小さな音は「ありがとうございます!」に続いた。「先に警視正に防犯カメラの事を伝えてから行きます。夜__18時までには戻ります。」深く頭を下げてから執務室を出てノートパソコンの入った鞄を片手に刑事課フロアを出れば先ずは警視正の部屋へ。映像の話をすれば彼はダンフォードが考えた時間帯が適切だろうと頷き、これで誰にも怪しまれず監視カメラの件は解決出来そうだと。__エバンズの入院する病院までは車で数十分。入口を抜けて入院患者の居る病棟までエレベーターで上がり、そこにあるナースステーションの前で医師と遭遇すれば「あの、」と呼び止めた後。「アルバート・エバンズさんのお見舞いに来たんですけど、もう集中治療室から出られましたか?」と問い掛けて )




  • No.4378 by アルバート・エバンズ  2024-08-29 14:29:35 

 






( 相手に呼び止められた医師は、相手の口から出た名前に『アルバート・エバンズさんですね。未だ目は覚ましていませんが、容態は少しずつ安定してきています。つい先ほど一般病棟に移る許可が降りて移動された筈ですよ。』と答えて。集中治療室での対応が必要な重篤な状態は脱したものの、まだ意識は戻っていないという。医師はつい先ほど移ったばかりだという病棟の部屋番号を伝えると、軽く頭を下げて廊下を歩いて行き。---エバンズが移されたという病室は上の階にある個室だった。ちょうど看護師が機械や点滴の調整を行っており、扉が開く音に顔を上げると優しく会釈して。『こんにちは。少しずつ容態も落ち着いてきましたよ。中毒症状はだいぶ改善されて数値も戻ってきましたし、喉の炎症も落ち着いています。』相手を安心させるように告げると、ベッドで眠るエバンズに視線を向けて。未だに酸素マスクと点滴は外れていないものの、倒れた時と比べると顔色の悪さは軽減していると言えよう。『…あの、意識が戻っていなくても、感覚は働いていると言われてるんです。声だったり、手に触れる感触だったり、きっと伝わっているので声を掛けてあげてください。』まだ若い女性看護師は相手を恋人と思ったのか、そう言って少しはにかんだように微笑むとお辞儀をして部屋を出て行き。 )








 

  • No.4379 by ベル・ミラー  2024-08-29 19:05:37 





( 意識は未だ戻っていないが、それでも一般病棟に移されたと言う事は命の危機は無く回復が見込めると言う事だろう。医師の言葉に余りに大きな安堵が胸中を渦巻き、思わず震えた息を吐き出せば深々と頭を下げ。__医師に教えられた番号の部屋には点滴と酸素マスクに繋がれながらもベッドの上で静かに眠るエバンズと、自分と同年代くらいだろうか、柔らかな雰囲気の女性看護師が居た。視線が重なり軽く会釈をすれば、彼女はその雰囲気と同じく柔らかく微笑み此方が望み続けた言葉をくれるものだから、思わず目頭が熱くなる。「良かったです、本当に。ありがとうございます。」沢山の安堵と、同じくらい沢山の感謝を乗せ今一度頭を下げベッドに歩み寄り。見下ろした相手は相変わらず白い顔をしているが、倒れる前の様な酷い顔色の悪さでは無い。酸素マスクが呼吸に合わせて白くなるのもまた確りと息をしている事の証明となる訳だから安堵を助長させ。_と、看護師に声を掛けられ顔を上げる。穏やかな、それでいて何処か可愛らしくも見える笑みで紡がれたのは所謂“希望”。再び相手を見、彼女へと視線を向け直しては、胸に灯った優しい温かさに同じくはにかむ様に笑い「…はい、」と、頷いてその背を見送り。__近くにあったパイプ椅子を引きベッドの脇に。それに腰を下ろし少しだけ距離の近くなった相手の片手を包み込む様に緩く握る。骨張った手の甲を親指の腹で優しく撫でながら「…エバンズさん、」と静かに名前を呼び、「今ね、ダンフォードさんが応援に来てくれてるの。だから何も心配しないで。」まるで起きている相手を前に話している様に、「エバンズさんを苦しめた犯人も必ず逮捕するから、…目が覚めたらまた一緒に仕事しようね。」ゆっくり、ゆっくり、語り掛けを )




  • No.4380 by アルバート・エバンズ  2024-08-29 22:53:50 

 






( 目を閉じたままのエバンズが相手の言葉に反応を示す事こそなかったものの、温度の低い手の甲に柔らかな熱は感じただろうか。一定のリズムでマスクが曇っては小さな呼吸音が漏れる。当初は摂取した毒物がどれほど体内に溜まり異常を引き起こしていたかが分からなかった為、回復にどれくらいの時間を要するかは勿論、後遺症もなく回復できるのかも見通しが立たない状態だった。しかし幸いにも回復が不能なほどに重篤な影響を受けた機能はなく、薬がしっかりと効果を発揮したこともあり、意識が戻り数値が全て正常なものに戻れば後遺症も残らず退院できる見通しが立っていて。---ダンフォードはエバンズの執務室で、相手の言葉を思い返していた。“もしもあの事件を動機にエバンズを狙ったのなら”。もし仮に犯人があの事件を理由にエバンズを狙ったのだとしたら、彼はまた受けるべきではない恨みを向けられて、必要のない苦しみを味わった事になる。あの事件を担当したばかりに。優秀だったからこそ選ばれた、それだけだった筈なのにその時の何気ない決定が一生彼に付き纏う絶望になってしまった。そんな事を考えて、まだあの事件が関わっていると決まった訳じゃないと暗い気持ちを追い遣って。 )







 

  • No.4381 by ベル・ミラー  2024-08-29 23:56:17 





( __静かな語り掛けに対して相手は目を覚ます事も、手を握り返して来る事も、何か言葉を発する事も無かった。それでも“希望”はその光を失う事無く胸に宿り続けるものだから、それから暫くの間も事件の事、日常生活の些細な事、懐かしい過去の話などを語り。そうしている内に窓の外は薄暗くなりあっという間に時刻は17時を過ぎ。“今から戻ります。”と、ダンフォードにメッセージを送った後「…それじゃあエバンズさん、また来るからね。」椅子から立ち上がり握っていた相手の手を離す。その際、仄かな温もりが失われた事に少しだけ不安を感じたものの、次来る時は相手をこんな目に合わせた犯人逮捕の報告を持って来ると誓い病室を出て。__署に戻ったのは17時30分を過ぎた頃。刑事課のフロアにはまだ数名の署員は残っているが、此処を出た時よりは少なくなっている。フロア内をぐるりと見回しそこにダンフォードが居ない事を確認しては、“警部補執務室”の扉をノックし中へと入り。「戻りました。」何時もはエバンズが座るデスクに居る相手と視線が重なり、軽く頭を下げてから向かいのソファへ鞄と共に腰を下ろす。真っ直ぐに相手を見詰めた緑の虹彩には確かな安堵と喜びの入り交じる色が滲み「まだ意識は戻ってなかったんですけど、一般病棟に移る事は出来ました。容態も安定してきてるし、吐血を引き起こした喉の炎症も落ち着いてるって。…後は数値が完全に戻って、目を覚ませばきっと直ぐ退院出来る筈です。」医師と看護師から告げられた“希望”を余す事無く相手にも。最後の退院の話こそ言われた訳では無いが、願望として思わず言葉となり )




  • No.4382 by アルバート・エバンズ  2024-08-30 16:52:20 

 




ルイス・ダンフォード


( 戻って来た相手の顔には先程までの翳りはなく、光を浮かべた瞳を向けて彼の様子を報告する様子に口角を緩めて。『そりゃあ良かった。一般病棟に移ったならひとまず安心だ。見舞いに行って良かっただろ、考え過ぎてネガティブになるより動いた方が良いんだ。』と言いつつ、『お嬢ちゃんは本当に感情が分かりやすいな。尻尾が着いてるみてぇだ、』と笑って。---署員たちが居なくなったのは20時を過ぎてからだった。普段であればもう少し残っている署員が数人いる事も珍しくないのだが、比較的忙しくない日だった事もあり数人で飲みに行く話が持ち上がったようだった。エバンズの執務室の扉が見える監視カメラのデータを取り出しパソコンに落とすと、2週間分の映像を相手と手分けして確認する地道な作業を始める。早送りで映像を見て、執務室が開くタイミングで映像を止め人物を確認する。時折マグカップを持ったエバンズ自身が部屋を出て行く様子も映っていたが、当然それが不調の原因などとは思いもしていなかっただろう。『_____こうして見ると本当にあいつは部屋から出てこねぇな、』23時を回った頃、伸びをしつつぼやくように告げたのは、彼の“引きこもり”具合について。時折出てくる事はあるものの圧倒的にフロアに姿を見せる回数が少ないと。『俺なんて暇がありゃフロアに出てる。急ぎで承認して欲しい仕事がある時に限っていねぇと言われる事もあるが、あいつはその心配は無さそうだな。』その後は出入りがあった人物の顔をデータベースの写真と照合し、名前と回数をカウントしていく作業が続き。 )







 

  • No.4383 by ベル・ミラー  2024-08-30 20:00:25 





( 口角を緩め笑みを浮かべた相手のその表情にも喜びを覚えた。相手からすれば今も尚可愛い後輩であるエバンズの容態の安定は絶対的に安堵に繋がるものだろう。相手の心にもまた光が宿っただろうと感じるから。“考え過ぎてネガティブになるより動く”__すんなりと胸に落ちたその言葉はまた別の角度の“希望”の様に思えた。確かにその通りだ。頭であれこれと考えるより心に従う、行動する、それが時にとても大切な何かを生む時がある。「本当に。…話が出来た訳じゃないけど、エバンズさんの顔見たら元気が出ました。」何処となく気恥ずかしさを覚えつつも、今の気持ちに素直な真っ直ぐな返事をして。と、その後に続けられた言葉には思わず瞬く。感情に乏しい訳では無いが“尻尾”だなんて、そこまで分かりやすいとは自分では思って無かったからだ。「……そんなにですか?」と、些か怪しみを込め僅かに首を傾けはしたものの、何処が、何が、と追求する事は無く。__電気が消され暗くなったフロア内、自分達の居る警部補執務室だけは明るい光に包まれていて、その中で至極真剣な表情で以て映像を確認する。ほんの僅かの違和感も見逃さぬ様に、瞬きすらも忘れるくらい本当に真剣に、それは眠気すらも何処かに追いやるくらい。_肩に力が入っていたその余計な緊張を解したのは相手のぼやきだった。確かにこれだけ長い時間映像を見ていてもエバンズが執務室から出て来たのは片手の指でおさまるくらいの数。何時だって此処に閉じこもり、まともな食事を摂ってるのかも怪しい状況で眉間に皺を寄せた険しい顔で書類やパソコンと睨めっこをし、出て来るのは捜査に行く時、飲み物を淹れる時、トイレに行く時くらいと言っても過言では無い。「その内此処で寝泊まりする様になるんじゃないかって心配で、」と肩を竦め、態とらしく溜め息を一つ。そう思えば相手とエバンズは行動面で言えば真逆かもしれない。“自由人”と、何時かの飲み会の日に聞いた単語を思い出し思わず苦笑いを浮かべ。__その後、映像にはエバンズに用事のある署員達、サラやアシュリー、警視正の姿何かもちらほらと映り、その中でこの事件の犯人である総務課の男性派遣社員の姿も何度も映る事となり )




  • No.4384 by アルバート・エバンズ  2024-08-31 17:27:58 

 




ルイス・ダンフォード


( そのうち執務室に寝泊まりを始めるのではないかという相手の懸念。彼ならやりかねないと、深刻な事態だとばかりに態とらしい真面目な表情を浮かべて同意を示した。まだ全ての映像を確認した訳ではないものの、此処まででも執務室に訪れている回数の多い署員は絞り込めるかもしれないと相手に声を掛ける。当然ながら皆一様にレイクウッド署で働いている一署員。見知った人物の名前が、捜査線上に上がってくるというのは相手にとってもあまり気持ちの良いものではないだろう。『俺が確認した映像で現段階でエバンズの元を訪れている回数が多いのは、刑事課と総務課の署員だな。お嬢ちゃんと警視正は省くが_____サラ・アンバー、ジェイコブ・スミス、サム・テイラー、グレッグ・クーパー。この辺りはほぼ毎日エバンズの元を訪れている。』アンバーとスミスは仕事内容的にも普段からエバンズの元を訪れることが多く、エバンズも2人の名前は把握しているだろう。テイラーは今担当している事件の捜査を始めてからエバンズに報告を求められる事が増え、行きたくないと同僚にぼやきながらもエバンズの部屋を度々尋ねていた。クーパーはここ最近刑事課の経理処理などを担当しているらしく総務課から度々エバンズの部屋を訪れている____あの男だ。 )






 

  • No.4385 by ベル・ミラー  2024-08-31 20:16:03 





アシュリー・ベイルも数回出入りしている様ですが__回数的には除外かと。
( 捜査の為の映像確認とは言え何だか“盗撮”にも似た気持ちも少なからず覚えてしまうのは、同僚であり友人でもある人達を疑いの目で見なければならないからだろうか。自身が確認している映像の中にも相手の方の映像と同じ面々が映っていて、その中にアシュリーの姿もあるが回数的な事を考えれば“容疑者”に加える事は無い筈。「アンバー、スミス、テイラーの3人は刑事課の者ですが、彼は総務課の派遣署員で___、」相手が口にした数名の至極簡単な説明をしようとして、言葉が止まる。画面に映る【グレッグ・クーパー】の姿を見詰め、次に顔を相手に向けては「…一度、エバンズさんの居ない時に此処で顔を合わせました。確かマーティンの名前が新しく容疑者としてあがった時だから、」何処と無く緊張の様な色滲む表情で映像を早送りし、その場面で再生を。そこには書類を持ったグレッグが執務室に入り、それから直ぐに部屋に入る己の姿が。もう少し進めば部屋から出る2人も流れるだろう。「その時は、エバンズさんに渡さなければならない経費関係の書類があるとかで。」つまり、だ。マグカップに毒を塗るとなれば当たり前ながら部屋に誰も居ない時じゃなければならない。エバンズが居て、彼に用事がある時では駄目なのだ。生憎この部屋に監視カメラは無い。名前の上がった他の人達の時はこの部屋の具合がどうだったのかも確認しなければならないと思いつつ )




  • No.4386 by アルバート・エバンズ  2024-08-31 21:17:06 

 





ルイス・ダンフォード


( エバンズの部屋を訪れている回数が多い人物を絞り込む所までは、滞りなく進んだと言えよう。既に日付を跨いでいる訳ではあるが。ただ相手の言うようにエバンズが部屋にいる時では毒をマグカップに仕込む事など出来ない。エバンズが部屋に居ない時に度々部屋を訪れている人物を割り出す必要がある。調べるべき日を更に絞り込んで効率よく確認をする為には_____『…お嬢ちゃん、事件の捜査がどういう日取りで進んでいったか覚えてるか?いつ何の捜査を行ったか、誰に話を聞いたか、何処に出向いたか。そういう大雑把な記録みたいなもんだ。それがあれば、捜査を軸にあいつが体調を崩していた日を思い出せねぇか?』捜査を行う上で、いつ何をしたかの記録があれば、捜査の動向と合わせてエバンズが大きく体調を崩した日を思い出せるはずだ_____相手ならば。どこに行った時、誰に話を聞いた時、エバンズの調子が悪そうだったと、相手ならば覚えているだろうと踏んだのだ。『検出された毒は即効性こそないが、その日の内には効果が出る。エバンズが体調を崩した日、更にその日の捜査に出向く前のエバンズが部屋に居ない時間帯。そこの映像を調べて人物が特定できれば、そいつが黒だ。』と自分の想定を説明して。 )








 

  • No.4387 by ベル・ミラー  2024-08-31 23:12:13 





( リリー殺害事件、最初は比較的スムーズに進むと思っていたのだが途中から容疑者が増え絞込みの捜査にも時間が掛かったのだ。相手の想定通りに行けば確かにこの部屋で1人になる事が出来た人物を__エバンズに毒を盛った犯人を見付ける事が出来る。「待って下さい、聞き取りをしたメモを見れば、」鞄から手帳を取り出しデスクの上に置く。座る相手の隣に立ち開いた手帳には日付け、時間、を最初に聞き込みをした内容が書き記されていて。__リリーの母親への聞き込みから始まり、大学での聞き込み迄は良かったのだ。この後、「…此処が最初です。此処で初めてエバンズさんに鎮痛剤をわたして、クリスへの聞き込みの後、症状が悪化しました。エバンズさんを自宅に送ってから、もう一度ペットショップに戻って聞き込みをして__さっきのグレッグとの遭遇に繋がります。」ページを開き、そこに書かれている自分の字を追う毎にその時が思い出される。事件の事は勿論、同時進行する様に体調を崩すエバンズの苦しそうな表情も。この後、エバンズの家に二回泊まった事は勿論伏せるものの、その前段階としてエバンズがトイレで“家に帰りたい”と訴えた事や、捜査が進む中でどのタイミングでリリーの遺体を見付けたかなども思い出し。メモを巡るのに合わせて監視カメラ映像を早送りする中で、グレッグがまた1人執務室に入る場面があった。それは己が1人でマーティンの家に聞き込みに行ってる時間の事。この時果たしてエバンズは何処に居たのか思い出せないのだが、リリーの遺体を見付けた後の事は覚えている。「…この時、エバンズさんが調子を崩したんですが、グレッグが来て、3人で顔を合わせました。」明らかに調子の悪そうなエバンズを見て、動揺したグレッグの顔を良く覚えていた。その後はエバンズが倒れ病院に搬送されるまでの流れで。「……私達が捜査に出てる時、この部屋に入ったのはグレッグだけ、とはいきませんが回数で考えたら多いと思います。後の人達は比較的エバンズさんが居る時に来てるんじゃないかと。」固い表情で、真剣な眼差しで、一つ息を吐き出して )




  • No.4388 by アルバート・エバンズ  2024-08-31 23:33:13 

 




ルイス・ダンフォード



( 相手の証言があった日付の映像を遡り、総務課の男がエバンズの部屋を訪れているかどうかを確認する。その結果、彼が体調を崩したという日の朝方や捜査に出て不在にしている間に数度グレッグが書類を持って執務室を訪れている事が分かった。『お嬢ちゃんの言うエバンズが体調を崩した日_____この総務課の男は概ね此処に足を踏み入れているな。…此れを見ろ。日中に別の署員に書類を渡してるが、通りすがりにこの部屋を見てる。エバンズが居たんだろう、中には入ってねぇが気になるな。』相手に見せた映像には別の署員と書類を手に話をした後、通りすがりにエバンズの執務室の中を確認するグレッグの様子が映っていた。その日は朝既に書類を手にエバンズの部屋に入っているが、書類を催促する様子はなく刑事課のフロアを出て行っている。『…こいつについては調べた方が良さそうだな。いつからレイクッドで働いているのか…派遣なら履歴書なんかも総務課にあるだろう。』現時点で1番怪しいのはこの男だと仮定すると、素性についても調べる必要があると。 )






 

  • No.4389 by ベル・ミラー  2024-09-01 01:12:25 





( 記憶と、メモの内容と、カメラ映像をまるでパズルのピースを合わせるかの如く当て嵌め導き出したのは矢張りグレッグは現段階決して“白”では無いと言う事。グレー__何方かと言うと極めて黒に近いグレーであろう。執務室を通り過ぎる際に部屋の中を確認しようとしたその行動は果たしてどんな意味があったのか。「…自分が盛った毒がちゃんとエバンズさんに効いているか…様子を見たかったんでしょうか。」睨む様に画面の男を見詰め、確かな怒りの籠る口調でそう言葉を落としてから、グレッグの調査には同意を示す様に頷き。「リチャードさんに頼めば見せてくれるとは思いますが、その理由をどうするかですね。“刑事課の人が履歴書を見に来た。”なんてグレッグ本人に言われでもしたら直ぐに証拠を消されます。」この事を知ってるのは極僅かの面子だけ。確実に彼を調べるならば、理由は伏せるべきだ。少しばかり考える間を空けた後、「__この時間なら総務課も誰も居ない筈です。“考えすぎるより行動”、ですかね?」先程相手が言った言葉の“ネガティブ”の部分だけを省いたそれは、暗に“忍び込み”をチラつかせるもの。この強引ともとれる考えを相手はどう思うか )




  • No.4390 by アルバート・エバンズ  2024-09-01 03:54:09 

 



ルイス・ダンフォード



( 本人に勘付かれる事なく素性を探るというのは骨の折れる作業だと考えていた矢先。相手からの提案に相手へと視線を向け少しばかり意表を突かれたような表情を浮かべると、やがて豪快に笑い。『さすがお嬢ちゃん、相変わらず大胆だな!お堅い警部補なら嫌な顔をするだろうが、生憎俺はそういうのは嫌いじゃない。ハッキングなんかはする訳にいかねぇが、書類を見るくらいならなんの問題もないだろう。』そう言うと立ち上がり、ぐぐっと伸びをしてから相手と共に部屋を出る。真っ暗な総務課のフロアの電気を点け、総務課長のデスク付近の棚へと向かう。『人事やスタッフの契約に関するファイルがどっかにあるだろ。それを探すぞ。あとは本人のデスク周りにも何かあるかもしれねぇ。』そう言いながら棚の引き戸を開けてファイリングされた書類の中身を確認し初めて。 )






 

  • No.4391 by ベル・ミラー  2024-09-01 10:04:41 





( 此方の“匂わせた提案”を汲み取り豪快に笑い、意図も簡単に了承して見せた相手は矢張り不思議なタイプで、これまで共に捜査をして来たどの刑事とも違う様に思えた。だからか、相手と共に総務課に向かう道すがらで“このタイプ”の相手に教育された、まだ新米だった頃のエバンズを想像してひっそりと微笑み。__日付を跨いだこの時間、矢張り総務課には残ってる署員は居らず何時もの賑わいは無かった。相手の言葉に頷き「朝までに見つけられると良いんですけど。」と、危惧したのは恐らく契約の書類などかなりの枚数があると踏んでいるから。相手が書類を探す間、己は先ずグレッグのデスク周りから、と部屋の一番奥に向かい__足が止まった。その理由は“何かの違和感”を感じたからだ。彼のデスクはきちんと整理整頓がされていて、必要な物を直ぐに取り出し易い様になっているが、“綺麗過ぎる”気がする。徐に引き出しを開けるがゴチャゴチャと余計な物は入っておらず、言うならば“何かあれば簡単に纏めて出て行ける”状態。「…ダンフォードさん、ちょっと来て下さい。」棚の書類を探す相手にそう声を掛け、相手が来たのならば「少し綺麗すぎる気がしませんか?…勿論性格なのかもしれませんが、それにしては物が無さ過ぎる気が、」と、呟いて )




  • No.4392 by アルバート・エバンズ  2024-09-01 17:19:32 

 




ルイス・ダンフォード


( グレッグ・クーパーに関する契約書類を探してファイルを確認していると相手に声を掛けられ、それを棚の上に置いて相手の元へと向かう。確かに相手の言う通り彼のデスクはさっぱりとしていて物が少ない印象を受けた。『言われてみりゃそうだな…最近聞くミニマリストってやつか?ここまで物が少ないと仕事にもならなそうだが、』と怪訝そうに口にしてから、デスクの脇に置かれた紙袋へと視線が落ちる。紙袋の中には書類の束が入っていて、その外側には“廃棄”と書かれた付箋。『_____これを見ろ。書類を大量に処分しようとしてる…デスクを明け渡す為に片付けてる最中なんじゃねぇか?』思い至ったのは、このデスクを他の人物に明け渡すために整理整頓を行っている最中なのではないかという事。異動や退職を控えた人物のデスクとして見ればなんの違和感もない、異動期には度々目にしてきた光景だと。 )






 

  • No.4393 by ベル・ミラー  2024-09-01 18:20:28 





…まだ仕事を任されていない新人なら兎も角、
( 監視カメラ映像にもあった通り、グレッグは以前から度々刑事課フロアを訪れ経費に関する書類や様々な仕事に携わった来た筈。腑に落ちない、と僅かに眉を潜めたその時。デスクの脇にある“廃棄”の紙袋に目を留めた相手がその中にある大量の書類を見付けると思わずギョッとし。「明け渡すって……本当にグレッグが犯人だとしたら、証拠もまだ掴めて無いのにこのままじゃ逃げられます。」相手の考えが正しいなら何時から彼は異動の準備をしてきたのか。そうして今話は何処まで進んでいるのか。「明確な証拠があれば…。」と、落とした呟きは思いの外小さかった。「__リスクはありますが、明日の朝一で本人に直接聞くのはどうでしょうか?勿論事件の事では無く、異動の件のみについて。」顔を上げ廃棄書類から相手へと視線を向けては、果たしてどうするべきか、ある意味指示を待つ形を見せて )




  • No.4394 by アルバート・エバンズ  2024-09-01 23:38:13 

 



ルイス・ダンフォード


( 証拠がまだ出ていない疑惑の状態で男に接触するというのは、疑っている事に気付かれ警戒され、一歩間違えれば隠蔽工作によって証拠を見失う可能性もある。『逃したくない気持ちは分かるが…この状況で本人に退職について聞きに行くのはリスクの方が高いだろうな。_____ただ、それを逆手に取るっていうのは無しじゃねぇな…』一度はリスクが高すぎると懸念を示した提案だったが、上手く使えば尻尾を捕まえられるだろうかと考え込みながら独り言を。『……本人に退職について聞けば、疾しい事がある場合俺たちが疑っている事に気付くだろう。警戒されて証拠を消される可能性もある。だがそれを逆手に取って、揺さぶりを掛ける事はできるかもしれねぇ。疑っている事に気付かせて、動くように仕向けるんだ。被疑者に接触した後、行動を監視する。慌てて証拠を廃棄しようとしたり普段と違う行動があれば任意で事情を聞けるって事だ。明日クーパーが退勤した後を尾行する大掛かりな対応にはなるが、』考えていた方法を相手に告げると、自分は警部補代理の仕事もあるため必然的に尾行するのは相手になると付け加えて。 )






 

  • No.4395 by ベル・ミラー  2024-09-02 11:15:06 





( 普段必要最低限の仕事の事でしか会話をしない相手が急に話し掛けて来た場合、少なからず何かあると疑われるのは必然で矢張りリスクが高過ぎるかと視線を落とすが、間髪入れずに続けられたのはそのリスクを逆手に取る方法だった。態と此方が疑っている事を相手に示しその上で出方を伺うなんて__絶対にバレないと言う事だけを考えていた己にとってそれは視野の広がるもので。相手を見詰め一つ瞬き、漏れたのは“成程”という音の代わりの感嘆にも似た息。勉強になる、と素直にそう思えば数回相槌の様な頷きの後「…では明日、午前中の内にグレッグに接触して行動を監視します。」と、少しの緊張も混じる返事を。それもその筈、今や殺人事件はエバンズと共に多く捜査して来たが、尾行の経験は一度だって無い。バレたらその瞬間に何もかもが水の泡になる程重要だとわかっているからこそ、普段の何倍も緊張するのは当然か。視界の端でチラついた自身の髪を見「……目立つかな、」と誰に宛てるでも無く呟いたのは、比較的目に留まりやすい髪色をしていると自覚があるからで )




  • No.4396 by アルバート・エバンズ  2024-09-03 22:46:00 

 



ルイス・ダンフォード


( 突然対象者の尾行という提案をされても動じない辺り、相手もエバンズにしごかれながら数々の事件捜査を潜り抜け経験を積んで来た刑事だけある。タイプは違うがジョーンズを前にしていた時の頼もしさに似たものがあると思いながら少し笑って。『わかってると思うが、間違ってもカツラなんて被って来るんじゃねぇぞ。帽子も怪しいからな、髪は結んどきゃあ大丈夫だ。』尾行と聞いて、そのイメージばかりでカツラや帽子、サングラスを使うと思っている若手が多いのだ。以前自分よりも2回り以上離れている新人に、何の変装を準備すれば良いかと真剣な眼差しで聞かれた事を思い出し相手にも釘を刺しておき。 )








 

  • No.4397 by ベル・ミラー  2024-09-04 08:47:06 





( カツラ…とはまではいかずとも、帽子の存在の事は少なからず考えていた。後頭部で髪の毛を全て括り帽子の中にしまってしまえば目立た無いのでは、と。だからこそ此方の考えを読んだ様な忠告に一瞬ドキッとし思わず薄い苦笑いが表情に滲み。“感情がわかりやすい”と言った相手には恐らく気付かれただろう。「…危なかったです。自然体が一番バレないって事ですね。」下手に隠す事はせず先ずは素直に過ちの告白を。気付かれない様に、気付かれない様に、と変装をした結果、それが一番不自然となり目を引く。もしこの先潜入捜査や尾行の任務が降りて来た時にも思い出す事が出来る様心に刻んで置こうと決め。__グレッグへの接触が明日ならば、今出来る事は契約書類を確認し彼の素性を知る事。先程呼び止めてしまった相手と共に再び棚の引き戸からファイルを物色し、ややして人事や契約関係のファイルを数冊見付けると「ダンフォードさん、これ。」と、声を掛けて )




  • No.4398 by アルバート・エバンズ  2024-09-08 22:11:43 

 



ルイス・ダンフォード


( 相手の表情を見逃す事はなく『お嬢ちゃんの場合は髪を括ってメガネをかけるくらいで良いだろうな。派手な色の服は避けて…後は音の鳴るヒールも履かない方が良い。気を付けるのはそれくらいだ。』と助言しておき。相手が持って来たファイルを開くと、グレッグの履歴書を見つける。以前働いていた会社を一身上の都合で退職して以降は派遣の仕事をしている様子。記載されていた住所を控えておき『俺はこいつの事をもう少し調べてみる。仮にこいつが毒を盛った犯人なら、何かしらエバンズとの接点があったと考えるのが妥当だよなぁ。』と、履歴書を眺めて。 )






 

  • No.4399 by ベル・ミラー  2024-09-08 23:27:06 





( 髪を括る紐も、伊達眼鏡も、底がぺったんこな軽い運動靴もある。黒いTシャツにジーンズを履けば人混みに紛れる一般人そのものだろうと相手の助言に頷き。__グレッグの履歴書は特別不審な点も無く極一般的な派遣社員の様に思えた。勿論履歴書の写真と文字だけで何もかもを判断など出来る筈が無いが、相手の呟く様に落とされた言葉に同じ様に履歴書に視線を落とし。“接点”その単語で一番初めに浮かんでしまうのはどうしたって“あの事件”だ。「…もし彼が“遺族”なら、立派な接点になります。本来恨むべき犯人はもうこの世に居なく、関係者として残されてるのはエバンズさんだけなんだから、」動機としては十二分に有り得ると、まだ決まった訳では無いものの声に少しの怒りや悔しさを滲ませつつ。しかしそれだけを見て後を除外する事は出来ない。「……それ以外の理由なら、例えば過去に逮捕された…注意程度だったかもしれませんが、その事での逆恨みの線はどうでしょうか。」顔を上げ隣の相手に視線を向けた時には、その声色は何時も通りの捜査に向き合う真剣なものに変わっていて、「後者で、それも逮捕まではされていなかった場合、エバンズさんとの接点を調べるのは相当難しいですよね。」と、困った様な息を吐き出して )




  • No.4400 by アルバート・エバンズ  2024-09-09 16:01:43 

 




ルイス・ダンフォード


( 相手の言葉に頷き『あの事件の犠牲者の苗字はさらってみるつもりだが…関係者として残っているのがあいつだけだからこそ、直接接点のない奴から恨みを向けられた線も排除仕切れねぇ気はするな。…嫌な話だが、』と続ける。あの事件の遺族という線は勿論、直接エバンズとの接点がなくとも一方的に恨みを抱く、という状況も考えられなくはないのだ。全ては、あの事件の関係者がもう1人しか残っていないという忌まわしい状況故に。そうなれば接点を見つけるのは至難の業だ。『それも十分に考えられるな。ただ、逮捕までされないような状況なら恨みを募らせるほどの影響はなさそうだ。毒殺しようと目論むほどにエバンズを恨んでいたなら、例えば逮捕された事で職を失ったとか、恋人を失ったとか、そういう背景があるんじゃねぇか?』と想定を口にして。 )






 

  • No.4401 by ベル・ミラー  2024-09-09 18:54:41 





__そうだとしたら…英雄気取りも甚だしい。
( 残っているのが彼だけだから、それがもし今回の事件の動機なのだとしたら。あの事件の“悪”に制裁を加えてやった、そう狂った正義感に満たされてるのだとしたら。見る人が見ればその嫌悪に塗れた表情に驚くかもしれない。反吐が出る、とでも言いたげに眉を潜め吐き捨てた言葉は酷く冷たく刺々しい空気を纏って地面に落ち。続けられた想定の言葉には再び考える素振りを見せる。確かにそうだ、毒殺まで企てたのならば“相当の理由”があると考えるのが妥当だろう。「…“お前のせいで俺の人生が__”って事ですね。」正しく逆恨みの想定理由にやれやれと肩を竦め、「明日、何か掴めると良いんですけど。」と。そうして再びグレッグの履歴書を見詰めては、「…エバンズさんが目を覚まして、何か思い出せれば、」今尚意識の戻らぬエバンズの事を口にして )




  • No.4402 by アルバート・エバンズ  2024-09-10 05:13:13 

 



ルイス・ダンフォード


( 相手の落とした呟きは、まさしく嫌悪感の滲んだもの。エバンズの身に降りかかる様々な不条理を近くで見て来たからこそ、そして彼を大切に思っているからこそのものなのだろう。『あいつもかなりの数の事件を担当してる。クーパーの顔を覚えてるかどうか…とはいえ、仕事の事となると驚異的な記憶力を発揮するからな。覚えがあるかもしれない。普段顔を合わせてる人の顔と名前は全く覚えねぇクセに、事件の事はよく覚えてたりするんだよ。』---翌日。ダンフォードはグレッグの素性を調べながら、署員たちの報告書を見たり捜査の相談に乗ったりと午前中から忙しくしていた。退職を控えたグレッグは、後任を連れて仕事で接点のあった刑事課の事務員などにも挨拶をしに来ていて、今後の経理処理などを後任に引き継ぐ旨などを説明しており。 )







 

  • No.4403 by ベル・ミラー  2024-09-10 07:58:42 





( 仕事の時の記憶力と、そうでは無い時の人の顔と名前による記憶力の違い__【サラ・アンバー】をなかなか覚えなかった時を思い出し内心微笑ましい気持ちを覚えたのは胸にしまっておこうか。__翌日、相手の読み通り退職を間近に控えているのだろうグレッグは、後任の男性を引き連れて挨拶回り件仕事の説明をしていた。刑事課の事務員に話しかけ終わったタイミングを見計らい、胸に巣食う荒ぶりを抑え込んだ笑みを顔に貼り付け歩み寄れば「お疲れ様です。」先ずは無難な挨拶を。彼の隣の後任を一瞥し軽く会釈の後、再びグレッグを見詰めては「…もしかして、辞めちゃうんですか?」と。何とも白々しい問い掛けだがその際貼り付けた笑みの奥、瞳にだけは僅かに怪しむ様な色を意図的に浮かばせて )




  • No.4404 by アルバート・エバンズ  2024-09-10 13:11:10 

 






( グレッグは相手に声を掛けられた時、少なからず驚いたような表情を見せた。それもそうだろう、個別に話をする程の仲でも無ければ、そもそも相手を故意に避けていたのだから。後任の紹介と引き継ぎの為に刑事課に行かなければならない事は決まっていたが、最も顔を合わせたく無かったのが彼の不調を知っていた相手だった。署員の訃報といった話が上がって来ないと言うことは、毒殺計画が未遂に終わったという事は薄々感じていた。病院に運ばれたのなら毒を盛られていた事にも気づかれただろう。捜査の手が及ばぬうちに身を引くため退職の手続きを進め、刑事たちが捜査に出ている事が多い昼前の時間帯に、警部補の執務室から一番離れた入り口からフロアに入ったというのにわざわざ向こうから声を掛けてきた。『お疲れ様です、…えぇ、まぁ。公認は彼なので、引き続きよろしくお願いします。』と当たり障りなく答えて。 )






 

  • No.4405 by ベル・ミラー  2024-09-10 13:33:40 





( 声を掛けた際の微妙な表情の変化、当たり障りの無い受け答え、その数々を貼り付けた笑みの裏側から観察する様に見詰めつつ「寂しくなりますね。…此方こそよろしくお願いします。」と、思ってもいない言葉と共に頷くのだが。勿論そこで話を終わらせる気は無い。右足を一歩前に、グレッグとの距離をもう少しだけ縮めると、表情は変えぬまま周りには聞こえない様に僅かに声を潜め「…そう言えば数日前の警部補の事、私が言うのも変だけど驚かせちゃってゴメンなさい。今はもう元気になったので…一応報告として。」毒物が体内を巡り体調不良を訴えたエバンズと、丁度そこに出会したグレッグ。あの日の出来事を態とらしく切り出し“元気になった”なんて言ってのけた後は、「お仕事中にすみません、お世話になりました。」と__紛れも無い皮肉と共に頭を下げて )




  • No.4406 by アルバート・エバンズ  2024-09-10 15:19:09 

 




( 他愛のない挨拶を済ませて総務課に戻ろうとした時、不意に相手が此方に近づき声を顰めて語った言葉に思わず僅かながら表情が硬くなる。エバンズに盛った毒が効果を発揮している事を確認したあの時の事を敢えて今蒸し返して来ると言うことは、紛れもなく自分を疑っているという事。『…それなら良かったです。お大事にと伝えてください。それじゃあ、私たちはこれで。』作った笑顔を相手に向けるとそう言って総務課へと戻って行き。---刑事課のフロアを離れても、当然心中は穏やかではなかった。自分が彼を毒殺しようとしたことが水面下で暴かれようとしていると思えば行動を起こすのが遅かったと後悔する。家にある毒物を早急に何処かへ捨てて証拠を隠滅しなければと焦る気持ちを表に出さないように押し留めて仕事を続け。 )







 

  • No.4407 by ベル・ミラー  2024-09-10 18:27:46 





( 互いに心の内はどうあれ表面上は取り繕った笑顔で別れた。彼の後ろ姿が刑事課フロアから消えるのを見届け途端に冷たさを帯びた真顔に戻ると、足早にダンフォードが仕事をしている執務室へと向かいノックの後中へ。「__やはり退職の方向で進んでいるみたいです。理由は言いませんでしたが、既に後任の男性も決まっているので、居なくなるのも時間の問題かと。」溜め息混じりにそう告げては「何が何でも今日中に証拠を掴みます。」今一度強い意志の籠った言葉を送り、後はグレッグが退勤するであろう時間までリリー殺害事件の報告書を仕上げたり、別の仕事を片付けたりと仕事を進ませて )




  • No.4408 by アルバート・エバンズ  2024-09-11 05:54:41 

 





( 総務課の署員たちが退勤する時刻まであと1時間ほどに迫った頃、相手の電話が着信を知らせた。それは病院からのもので、エバンズの意識が戻ったという知らせだった。『良かったな。会いに行ってやりたい所だが…どうする、グレッグの尾行は俺が変わるなりするか?』ダンフォードがそう尋ねたのは、ようやく目を覚ました彼に会いに行くことを優先させた方が良いかと悩んだから。実際グレッグに声を掛けて行動を起こした以上、明日以降に後ろ倒すのはリスクが高い。今日証拠を隠滅されてしまえば計画の意味がなくなるため、相手が病院に行くなら自分が尾行をする必要があるかと。 )






 

  • No.4409 by ベル・ミラー  2024-09-11 07:48:04 





( “エバンズの意識が戻った”電話口から聞こえたその看護師の言葉は、己が何よりも聞きたかった言葉だった。思わず涙ぐみそうになるのを堪え大きな安堵を抱えたまま、此方を気遣う相手と向かい合う。今直ぐ病院に向かい陽の光を受けて確りと輝くだろうあの褪せた碧眼を見詰め、もう大丈夫、と声を掛けたい。それは紛れも無く優先したい望みなのだが。__「私がやります。」唇の隙間を縫って出た言葉は当初の予定通りの進みだった。__セシリアの命日を控え、精神的に不安定だったエバンズを残し1人で出張に行った何時かの日、FBIとしては失格であろうが捜査中も彼の事ばかりを考えまったく集中する事が出来なかった。解決してもいない捜査を途中で切り上げ、1秒でも早く彼の元に戻りたいと心底切望したのだ。けれど彼の傍にはあの時クレアとダンフォードが居てくれた。クレアは此方の気持ちを肯定した上で踏み留まる事の出来るあたたかい言葉をくれた。2人の存在はとてつもなく大きく、エバンズとはまた違う角度から勇気や安心を与えてくれるから、きっと今回この決断が出来たのかもしれない。「…犯人を逮捕して、全てを終わらせた状態でエバンズさんに会いに行きます。」相手を真っ直ぐに見詰める緑眼に揺れは無く、力強くそう言葉を続けて )




  • No.4410 by アルバート・エバンズ  2024-09-12 00:56:06 

 






( 当初の予定通り自分が捜査を請け負うと答えた相手は普段以上に頼もしく、エバンズの為にも刑事としての責務を全うしようとしているようだった。写真や物的証拠を持ち帰る事ができればと願いつつ相手を送り出し。---グレッグは退勤すると、車に乗って自宅へと戻って行った。家に入ってから暫く動きはなかったものの、家の扉が開いたのは2時間ほど経ってから。鞄を持ち再び車に乗ると署とは反対方向に車を走らせ、町を出た郊外まで。30分ほどして到着したのは、所謂ゴミの最終処分場。誰でも粗大ゴミやその他のゴミを持ち込み捨てる事が出来る場所だった。グレッグは暗い中車を降りるとカバンを手に奥へと入って行き______捨てたのは、口を固く縛ったビニール1袋。中にはプラスチックの容器と大量の濡れたキッチンペーパーのような紙が入っている。毒薬を染み込ませて紙ゴミとして処分しようとした為だった。 )







 

  • No.4411 by ベル・ミラー  2024-09-12 08:11:10 





( __グレッグが家から出て来るまでの2時間はとてつもなく長く感じた。もし証拠の一つ持ち帰る事が出来なければ幾ら彼が怪しくとも逮捕は出来ないとわかっているから。目を覚ましたエバンズは今頃何をしているだろうか、喉の炎症が完治していればご飯は確り食べられるだろうか、ダンフォードは仕事を一段落させて彼の傍に居るだろうか、そんな様々な…けれど全てエバンズに関係する事ばかりをグルグルと考えていた矢先、玄関の扉が開き鞄を持ったグレッグが出て来れば表情には緊張が滲み、それはこの尾行がバレては不味いと言う気持ちの現れか、眼鏡越しに緑の虹彩を無意識に下げ。それから彼が運転席の扉に手を掛け乗り込もうとした所の写真を一枚、間に別の車を挟みある程度の距離を空け追跡した先で、ゴミの最終処分場に入る所を一枚撮り。物陰に隠れる様にして様子を伺えば、彼は鞄の中から一つのビニール袋を取り出しそれを他の人のゴミ袋の奥に押し込める様に捨てた。袋は決して大きくは無く、態々それだけを此処まで捨てに来たのは明らかに怪しい。その行動を確りと写真におさめては、彼がゴミ処理場から出たのを確認した後、指紋が付着せぬ様手袋をはめビニール袋を引っ張り出し固く結ばれた口を開いて。__無臭ではあるが、濡れたキッチンペーパーとプラスチックの容器。これが何かを今判断する事は出来ないものの、鑑識に回して毒物だと判断されれば逮捕に踏み出せる。逸る気持ちを抑えそれを持ち車に乗り込むと、“証拠品が入っていると思われる袋を見つけました。これから署に戻るので合流をお願いします。”と、ダンフォード宛にメールを送信して )




  • No.4412 by アルバート・エバンズ  2024-09-12 12:51:21 

 





( 結果的に、相手の持ち帰った証拠はグレッグを犯人と確定させるに十分事足りるものだった。鑑識による鑑定の結果、袋の中に入っていた液体は紛れもなく毒物で、即効性こそないものの摂取する事で体内に蓄積して身体を蝕む植物性の毒薬と断定された。一方ダンフォードによる捜査の結果、グレッグ・クーパーという名前は全くの偽名である事が明らかになった。派遣に登録した段階から名前を偽っており本名は【ジョシュ・ベラミー】____彼には犯罪歴があり、そのいずれもが飲酒した状態での暴行やDVといったもの。担当という程の役割を果たした訳でもないものの、その事件の担当刑事がレイクウッドに赴任したばかりのエバンズだった事が明らかになり。---相手の厚労により逮捕されたジョシュは取り調べ室で俯いたまま口を閉ざしていた。 )






 

  • No.4413 by ベル・ミラー  2024-09-12 13:49:21 





( グレッグ__【ジョシュ・ベラミー】が起こした今回の殺人未遂事件。捜査の中で過去にエバンズに逮捕された事があると言う事が明るみになり動機としてはその線が色濃いものの、それはあくまでも推測でしかなく本人の口から直接聞き出さなくてはならない。彼の目前に腰を下ろして尚俯いたまま視線を合わせようとしない相手を一拍程黙したまま見詰めた後、「…もう一度聞きます。警部補を殺害しようとした動機は何ですか。」と、問う。それでも口を開こうとしない相手に一度小さな溜め息を吐き出すと、続けて「過去の暴力事件で貴方を逮捕したのが警部補だった。…貴方はその事をずっと根に持ち続け、今回の事件を起こした。…違うのなら否定して下さい。」視線を逸らさず真っ直ぐに見据えたまま、答えを聞く迄は絶対に解放しないとばかりの態度で )




  • No.4414 by アルバート・エバンズ  2024-09-12 16:49:08 

 



ジョシュ・ベラミー


( 相手の問い掛けにようやく顔を上げると『……そうですよ、その通りです。あの時逮捕された所為で俺は全てを失った。職も、恋人も何もかも…なのに人の人生をめちゃくちゃにしておいて悪びれる様子もなく冷たい言葉を吐き捨てられて、憎しみに駆られました。』と答えた。謂わば逮捕された事に対するただの逆恨みだ。『でも、』とジョシュは言葉を続けた。『出所してしばらくして、週刊誌の記事を見たんです。ショックでした。俺はあんな人間に断罪されたのかと…彼は俺に罪を突き付けて全てを奪った。でも本当はあの人こそ、裁きを受けるべき存在だったんです。なのに当の本人はのうのうと、俺のように檻の中に入ることもなく過ごしてる。それで復讐を思いついたんです。俺が味わった苦しみを与えてやろうって。それで此処に来ました。気付かれない程度の毒を少しずつ与えて、一番近くであの人が蝕まれていく様子を見て、気持ちが晴れました。』淡々と、業務について説明している時のような口ぶりでそう言葉を紡いで。 )






 

  • No.4415 by ベル・ミラー  2024-09-12 18:48:55 





( 案の定“過去の逮捕”が今回の犯行動機で、ダンフォードが想定した通りその事で職も恋人も失った所謂逆恨みだった訳だが__。“その動機”に絶対に抱いてはならなく、間違いではあるが一瞬でも安堵した心は次の瞬間、鋭利な刃物で滅多刺しにされたかの如く血を流した。勿論比喩ではあるがそれ程までの衝撃だったのだ、彼が続けた言葉は。一瞬にして頭に血が上るのを感じ、喉の奥で引き攣った息が出口を探して彷徨う。…またか。また、エバンズは悪意ある言葉に、態度に、傷付けられるのか。こんな奴に。何がショックだ、何が裁きを受けるべき存在するだ、何を持ってしてそんな巫山戯た言葉を吐けると言うのだ。言いたい事は山ほどあるのに無意識の内に噛み締めた奥歯が怒りで小さく鳴るだけ。ややして震える息の合間、漸く開いた唇からは「……本気で言ってますか、」と、たった一言。それだけが漏れて )




  • No.4416 by アルバート・エバンズ  2024-09-12 22:27:17 

 




ジョシュ・ベラミー


( 『本気じゃなかったら此処までしませんよ。俺の人生をめちゃくちゃにした報いをようやく受けたんです。“此方側”の筈なのに俺を断罪したことを悔いれば良い。あと少しでも多く毒を塗っておけば良かった、』---ジョシュは歪んだ身勝手な思想のままそう言葉を紡いだ。収監される事は確実だと自暴自棄になっているのだろう、聞かれていないことまでやや感情的に言葉にして、毒殺が失敗した事に対する悔しさを滲ませて。『あなたに声を掛けられた時、焦って行動したことを後悔しています。尾けられてる事も考えておけば良かった。もっと早くレイクウッドを出ていれば…』紡いだのも自身の行動に対する後悔ではなく、捕まった事への後悔で。 )








 

  • No.4417 by ベル・ミラー  2024-09-12 23:34:14 






( 音声録音装置には相手が自暴自棄に告げた自供も、反省の色が僅かも見えない身勝手極まりない後悔も余す事無く確りと録音されただろう。机の下で血が滲んでも可笑しくは無い程に握り込んだボールペンは、後どれくらいの時間その身を保っていられるだろうか。「もし貴方があと数日早く此処を出ていたとしても、私が逮捕を諦める事は無い。」相手が自身の行動の遅さに嘆き後悔した所で、最終的に行き着く結末は何も変わる事が無いと冷たい声色で吐き捨てると同時、持っていたペンを机に叩き付ける様に置いて。これで相手の有罪は確実。警察官相手に殺害を企てたのだから、幾ら未遂で終わったとは言え当分の間牢屋から出る事は出来ないだろう。最後の最後まで冷たい無表情を貫き、椅子から立ち上がり部屋を出る前。一度だけ振り返ると「…“最初”じゃなくて良かったですね。」そう吐き捨て。その言葉の意味を相手はどれだけ考えてもわからないだろう。“最初”はクラークが身を持って体験した。“次”はどれだけ怒りに震え、例え我を忘れたとしても最後まで“刑事らしく”と、他でもないエバンズと約束したのだから。__取り調べ室を出て真っ直ぐに向かうのはダンフォードが居る執務室。ノックの後部屋に入れば「…犯行動機も身勝手な後悔も、全て録音されています。エバンズさんには明日報告を兼ねて会いに行く予定です。」と。その声色は抑揚の無い冷静沈着なもの。しかし普段より少しばかり早口である事、ダンフォードと視線を合わせずやや俯き加減である事が、纏う空気が普段と違う事を表していて )




  • No.4418 by アルバート・エバンズ  2024-09-18 23:13:17 

 




ルイス・ダンフォード


( 聴取を終えて戻ってきた相手の様子が可笑しい事には直ぐに気が付いた。それは此れまで幾度となく目にして来た、感情を必死に押し留めようとしている表情だ。未だ若かったエバンズやジョーンズも同じような表情を見せる事があった。自分自身もやりきれない感情を外に出すまいと上辺でだけ平静を装うあの気持ちを知っているからこそ、相手の置かれている状況も直ぐに理解した。『……正しい対応をしたな。ふざけた主張に耳なんて貸さなくて良い。どれだけ自分が正しいと喚いていたとしても、相手は歪んだ思想を持つだけのれっきとした犯罪者だ。そいつらごときの言葉に心を揺さぶられる必要なんてねぇ。』---まるで相手の心の内を見透かしたように告げる。『エバンズもお前を誇りに思ってるだろうな。』彼の為にと事件を解決した相手にそう言って笑いかけ。 )







 

  • No.4419 by ベル・ミラー  2024-09-19 00:14:54 





( 報告を終え、一度だけ頭を下げてから部屋を出る筈だった。踏み出し掛けたその足を止めたのは相手からの労いの言葉と肯定。心を殺し感情を押し留める筈だったのに__気が付けば大粒の涙が次から次へと頬を濡らし、顎先を伝った滴がボタボタと床に落ちていた。悔しかったのだ。犯行動機こそ“あの事件”とは無関係だったが、最後の最後、ベラミーが傲慢にも語ったのは結局“あの事件”に結び付く事。エバンズを悪だと罵り、勝手にショックを受け、あまつさえ“犯罪者”だと言う。「…誰もエバンズさんを見ない…っ。」俯いたまま、震える唇から絞り出した言葉は悲痛な色を纏い落ちる。目前の相手への言葉では無く、ベラミーに、世間に、マスコミに、彼を“悪”だと言う全ての人に向けたもの。__吐き出す息が乱れる中、相手の言葉に柔らかさが宿ったのを感じ顔を上げる。涙で歪む視界には笑顔の相手が居て、その相手が言う通り、誇らしい部下だと、そうエバンズが思ってくれていたらどれ程嬉しいか。「早く、エバンズさんに会いたいです。」赤くなった目を僅かに細め、同じ様に笑い返しては、揺れた感情を落ち着かせる為に一度大きく深呼吸をして )




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