白む空に燻る紫煙 ---〆

白む空に燻る紫煙 ---〆

刑事A  2022-01-18 14:27:13 
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  • No.4523 by ベル・ミラー  2024-10-17 23:35:30 





アダムス医師



( かなり譲った妥協案なのだから、そこはYESの返事一択の筈だと困った様に微笑むが、薬の件に関して約束をしてくれたのならば今回ばかりは良しとする。__食事も済ませ互いに頼んだ飲み物も飲み干した。既に時刻は21時半を過ぎていて、店内にちらほらと居た他の客の姿も見えない。比較的遅い時間までやっているこの店だが、既にラストオーダーは終わっていて後20分やそこらで閉店となるだろう。『久々の再会です、此処は私に。』と、一言。そのままレジで会計を済ませる筈だったのだがその一瞬、相手の手が不自然にテーブルにつき、その身体を支える役目を果たしたのを見逃さなかった。ものの数秒で体勢を立て直し、まるで何事も無かったかの様に振る舞うつもりだろうが。『…2人分をカードで、』支払いを済ませるや否や、先ずは相手と共にレストランを出て駐車場に停めておいた車に乗り込む。相手が助手席に座ったのを見て問答無用でその手を取ると、手首に親指を押し付け脈拍をはかり。『__不整脈は出ていませんね。』一定の感覚で脈打つのを確認し、手首を離せば『何時から調子悪かったんですか?』と、問い掛けつつホテルまで車を走らせて )




  • No.4524 by アルバート・エバンズ  2024-10-18 00:46:54 

 






( 流石は医者と言うべきか、相手はほんの僅かな異変に目敏く気が付いたようだった。スムーズに会計を済ませるや否や有無を言わさず相手の車の助手席へと連れられ、車内で脈拍を測られる。食事中から無理をしていた訳ではないのだが、立ち上がったあの一瞬の目眩が引き金となったようだった。「_____ずっと具合が悪かった訳じゃない、」とだけ答えると背凭れに身体を預けて。車窓を流れる街路灯の灯りを瞳に映しつつ、自分の意に反して少しずつ上擦り始める呼吸を押さえ付けるように浅く呼吸を繰り返して。今発作が起きて終えば、効きが悪くなっている薬を飲んだところで落ち着くまでにどれくらい掛るか分からない。一度目を閉じると自分の呼吸に意識を向けながらホテルまでの道のりをやり過ごして。 )






 

  • No.4525 by ベル・ミラー  2024-10-18 07:30:28 





アダムス医師



( 何だかんだと皮肉を口にしながら食事をしていた相手の呼吸音に異常こそ無かったし、顔色も酷く悪かった訳では無い、そうなると相手の言う通り最初から具合の悪さを抱えて居た訳では無く、恐らく急に立ち上がった時の一瞬の目眩だったのだろう。しかし今は違う。その目眩が引き金となり明らかに先程迄の落ち着いた呼吸音では無くなっているし、それを無理矢理押さえつけ様としているものだから身体に力が入っている事もわかる。懸命に耐える相手に時折様子を伺う様な視線を向けながら数分で到着したホテルの駐車場に車を停め。『部屋は直ぐです。』此処で発作が起きてしまえば、出来る処置も限られる。普段より遅い歩みの相手と共にホテル内を移動し、エレベーターに乗り込めば5階のボタンを押し。静かな機械音を響かせ上へと上がる箱の中で、相手の斜め後ろに立ちその首筋にうっすらと汗が滲んでいるのが確認出来た。箱の扉が開き部屋迄の道のりは長くは無かったが、歩く事さえしんどいだろう。やがて廊下の奥の部屋に辿り着くと鍵で扉を開ける。相手を促す様にソファに座らせ、再度脈を測ってから『__エバンズさん、』と名前を呼び、確りと此方を見る事が出来るか、その焦点があっているかの確認を )




  • No.4526 by アルバート・エバンズ  2024-10-21 17:41:47 

 





( 必死に酷い発作が起きないようにと呼吸を押さえ付けていたものの、その甲斐もなく徐々に呼吸は肩が上下するような苦しげなものへと変わっていく。いつのまにか車は駐車場に停まっていて、相手に身体を支えられながらせめてホテルの部屋まではと身体が力を失わないように力を入れた。暗かった部屋に明かりが灯り、足元は柔らかな絨毯の感覚に変わる。そうして綺麗なビロードのソファに身体を預けると、少しでも呼吸が楽になるようにと僅かに震えのある指先でネクタイを解き乱雑に首元を緩めて。呼び掛けられた事で目を開けて相手へと視線を向けるものの、瞳は苦しげに揺らいでいるだろう。ゆっくりと繰り返す事を意識していた呼吸はそれに逆らい徐々に浅いものに変わっていて、ソファの肘置きについた手に力が籠る。「……っは、ぁ____っは、……苦しい、…」背中が浅く上下して、額を肘置きに押し付けると未だ呼吸が完全に狂ってしまう事に抗いながら背中を丸めて。 )






 

  • No.4527 by ベル・ミラー  2024-10-21 20:24:45 





アダムス医師



( 此方の呼び掛けに顔を上げた相手の瞳は苦しげに揺らいでは居るものの、焦点が合わない訳でも過去を彷徨って居る訳でも無い。その事を確認して今はまだ声が届くと判断すれば、絨毯に膝を着く体勢で相手の背中に片手を添え。『…ゆっくり呼吸をして、…大丈夫です。“過去”では無く“今”を考えられるものを思い浮かべて下さい。最近食べた物でも、見た景色でも、貴方が一番最初に思い出す事の出来るものを、一個ずつ、思い出して。』まるでメトロノームが一定の間隔で音を鳴らす様に、狂い掛けている呼吸を元の位置に戻す様に、背中を軽く叩きながら静かに語り掛ける。呼吸が苦しくてパニック状態になると人は元に戻ろうと懸命に呼吸をする。けれどそれが上手くいかないと、更に恐怖心は倍増し余計に何も判断をする事が出来なくなる。“呼吸をする”と言う事に意識を向け過ぎると余計に発作が酷くなる時、考えなければいけない事は全く別の事だ。何か違う事を考え、何か違う事に意識を向け、そうしている内に人の身体の何と不思議な事か、自然と呼吸の仕方を思い出す。__その様子を静かに見守りながら、この先の治療方針を考えて )




  • No.4528 by アルバート・エバンズ  2024-10-24 07:37:43 

 





( “過去ではなく今に目を向ける”______苦しさの中で届いた言葉は、自分にとって難しい提案だった。気を抜けば事件の記憶や妹の姿に引っ張られて深い後悔が渦巻く暗い所に引きずり込まれてしまう。懸命に“今”の記憶を探るのだが、ワシントンでは仕事に没頭するばかりでそれ以外の記憶は殆どない。記憶の中を彷徨っている内に喉に息が引っ掛かり、呼吸は乱れを引き起こす。「_____っ、は…ぁ、」思わず縋るように相手の腕を掴んだものの、ペースの狂った呼吸は息ができなくなってしまうのではないかという恐怖心を誘った。---過去に引き摺り込まれそうなぎりぎりの狭間で、相手の静かな言葉に誘われふと脳裏を過ったのはいつか見たステンドグラスの鮮やかな色。その色はレイクウッドを離れる時に贈られた小さな花束の記憶へと繋がる。花を貰って喜ぶようなタイプでもなければ寧ろ移動するのに邪魔だとさえ思ったのだが、ワシントンに着いてから少し萎れた花を適当な瓶に入れて眺めたのだ。マグカップに入った紅茶の色、手渡された缶コーヒー、車窓を流れる緑。なんとか思い出す事の出来る景色は全てレイクウッドのものだった。一瞬、自然と肺に届いた細い呼吸が、狂いを徐々に元に戻す手助けをする。首筋には酷く汗をかいていて、唇から僅かに掠れた音が漏れるものの、過去に沈み込んでしまわないように相手の腕を掴んだままで居て。 )






 

  • No.4529 by ベル・ミラー  2024-10-24 11:01:41 





アダムス医師



( 相手が“今”を見るのが苦手な事は知って居た。それが難無く出来て居るのならば、過去の罪悪感や罪の意識に縛られる事無くもう少し楽に生きる事が出来ている筈だから。けれど自力で絡み付く恐怖や発作から脱する為には必要な事。まるで縋る様に掴まれた腕に視線を落とし一度背中から手を離すとその相手の手の甲を撫でる。数回撫でてから次は肩を擦る様に掌を移動させ『必ず戻れますよ。』と声を掛け。__長い時間を掛けて木枯らしが吹く様な不安定だった呼吸が幾らか元に戻った頃、静かに立ち上がり簡易冷蔵庫から新品のミネラルウォーターを取り出すとキャップを緩めてから相手に手渡す。『…もう少し落ち着いたら、少し診察をしましょうか。』と穏やかな口調で切り出しつつ、再度相手の肩を軽く擦ってから近くに置いておいた自身の鞄を開け、中から数種類の錠剤が入った袋や常に持ち歩いている聴診器何かを取り出して )




  • No.4530 by アルバート・エバンズ  2024-10-24 12:10:22 

 





( 呼吸が狂わないように押さえ付ける事ではなく、自分が“今”の記憶として思い出す事が出来ると気付いたレイクウッドの記憶を呼び起こす事に意識を向ける。どれ程の時間を要したか、やがて呼吸の乱れは収まり後には酷い倦怠感と疲労だけが残った。相手の手を掴んでいた指先からようやく力が抜け、手が離れて。ソファの肘置きに頭を預けた状態のまま、ゆっくりと呼吸を繰り返し不足していた酸素を取り込む事に務める。しかし胸の奥か鳩尾か、発作に苦しんだ後には重たい痛みが残る事が増え身体を起こす事が億劫だった。反対にその痛みから不調が引き起こされる事もあった。「……時々、身体に痛みが出る。それがきつい、」と、僅かに掠れて疲労を含んだ声で告げて。此れまで、体調が思わしくない時には倦怠感や目眩、呼吸がし辛いような感覚を感じる事があった。しかし最近はそれに加えて身体の痛みが出る事があったのだ。ストレスが掛かっている事によるものか、日中にその症状が出ると仕事にも支障を来たしてしまう。ワシントンには、自身が過去のトラウマと不調に苦しんでいる事を知る者は少ない。誰かに縋る事も出来ない。大きな署で気を張っている事は、気付かぬ内に少なからず身体に良くない影響を与えるようだった。 )







 

  • No.4531 by ベル・ミラー  2024-10-24 13:56:14 





アダムス医師



( __暫くして重たい語調ながら此処最近の身体の不調を訴えられると、軽く頷きつつ鞄から出した聴診器を耳にあて。『発作の後に起きる痛みなら身体に無理な力が入った為とも考えられますが、そうじゃない時にもある痛みは精神的なもの以外に心臓に何らかの症状が出ている可能性もあります。』そこまで言ってから『失礼しますね。』と一言断りを入れワイシャツの下から直接素肌にチェストピースを当てる。先ずは胸に、そこから下に降り鳩尾付近から肋骨の横まで、鼓膜に届く音に注意を払い。ややして静かに聴診器を抜きそれを消毒した後に鞄に戻すと相手に向き直り。『…軽いものですが心雑音があるようです。ただ、今の段階では診断を下す事は出来ません。先程の発作が尾を引いている可能性もあるからです。』真剣な、けれども変な恐怖は与えぬ様穏やかな声色のまま、規則正しい心音の中に度々混じった雑音を指摘し。『近い内に大学病院で検査をしてもらった方が良いですね。それと、』この場所では心電図などの詳しい検査は出来ない。今の相手には必要な検査だとしつつも、一度言葉を切り相手の手を取り『不整脈を調べるのはエバンズさん自身も出来る事なので、1日に数回、手首のこの位置で脈を測って下さい。15秒間、規則正しい感覚で脈を打っているか。もし感覚がちぐはくな様なら、もう15秒__その後は必ず病院に行くように。』簡単な不整脈の確認方法を教え、一先ずは精神的なものでは無い病気の話をするが、ワシントンに来て気を張り続けて居る事が大きな要因になっている可能性が極めて高いとも思っていた。『…悪夢を見る頻度は、レイクウッドに居た時と比べて変わりましたか?』と、夜の問い掛けを )




  • No.4532 by アルバート・エバンズ  2024-10-25 03:02:45 

 





( 肌に触れるひやりとした感覚を感じるのは久しぶりの事の様に感じた。ソファの背凭れに身体を預け、特段の抵抗も見せる事なくゆっくりと呼吸を繰り返す。相手が聴診器を外すと軽くワイシャツの裾を整えつつも“大学病院での検査”という言葉には、少しばかり嫌そうな表情を浮かべて。「大学病院は待ち時間が長い。…不味いと思ったら行く、」大勢の患者が集まる大学病院は待ち時間が長く、精密な検査などを行えばあっという間に半日過ぎてしまう事があると難色を示しつつ、受診を先延ばしにするような常套句とも言える言葉で答えて。鳩尾辺りを軽く摩ったものの其処に触れただけでは心臓の音までは分からない。続いた問い掛けには「……睡眠薬を服用する回数は増えた、」と答えて。レイクウッドでは睡眠薬を飲む回数がかなり減っていたのだ。夢見が悪く魘される事は多々あったが、自然と眠れていた______特に相手のいる暖かい布団では。しかしワシントンに戻って数ヶ月後から眠りにくくなり、睡眠薬を使う事が増えた。だからと言って深い眠りで悪夢を見ないという訳でもなく、魘されて目を覚ます事も多々あった。事件が起きた直後に通っていたのは今と同じ通勤路。事件の数日後、妹を失った事実を受け入れられないまま重い身体を引き摺って署へと向かい、記者たちに囲まれたのと同じ道だという事を時折思い出しそうになる。あの事件に関する記憶が、ワシントンには未だ鮮明に残り続けている事を思い知らされた。 )







 

  • No.4533 by ベル・ミラー  2024-10-25 13:24:40 





アダムス医師



( 案の定の顔を見せた相手に小さく溜め息を吐く。“待ち時間が長い”も“不味いと思ったら”も最早相手のお決まりの台詞だ。『何だろうと不整脈が確認された場合は必ず行って下さい。』今回ばかりは大目に見る、で帰す事はしないと今一度同じ言葉を繰り返しつつ、鞄から取り出したのは白く小粒の錠剤が2週間分入った袋。『…鎮痛剤です。安定剤や睡眠薬と服用しても大丈夫な軽いものですが、依存性が0な訳では無い。無闇矢鱈に飲まないように。』それを相手に手渡し、何度も聞いたであろう注意事項を告げてから少しばかり思案する間を空ける。相手の目下に鎮座し続けている隈は濃く纏まった睡眠をとる事が困難な状態にあるのはわかるのだが、どうしてもその何もが“此処”に来た事による悪化だと思わざるを得ないのだ。だからと言って睡眠薬を強い物に変える事は出来ない。『__本来なら睡眠薬を飲まずに眠れるのが一番です。薬をこれ以上強いものに変えるのも、それだけ副作用が大きくなり起きている時間帯に支障をきたす。』副作用の事を考えると、相手にとってのベストな強さ、量は今処方している物だ。『…眠る前に好きな音楽をかけたりアロマも時には効果を発揮します。とは言え、貴方にとっては気休めでしか無く症状がそれでおさまるとは思えないのも事実、』告げられる事はありふれた療法で、けれど本来相手に一番効果的なのはそれじゃないとも思う。言葉を切り、相手を真っ直ぐに見詰め少しだけ表情を緩めると『…貴方が話したいと思った時、今回の様に電話を下さい。それは私だけではなく、きっと貴方の周りに居る人達も皆そう思っている筈です。』暗に“誰かに頼れ”と。それこそ難しい事だろうが、これが大切な事だと思うからこそで )




  • No.4534 by アルバート・エバンズ  2024-10-27 04:14:03 

 






( 少しの期間であっても鎮痛剤を処方して貰えたのは有難い事だった。痛みが強い時、仕事中に痛みが起きた時などに重宝するだろうと思えば、無闇に飲みすぎないようにという念押しに大人しく頷いて。本部の刑事課のフロアに居る時、其処で通報の電話が鳴るのを聞いた時、或いはセシリアと食事をしたレストランの近くを通った時______日常のふとした瞬間に、過去の記憶が湧き上がるような不安感を感じる事があった。“あの時”に自分が居た場所に居るのだから、記憶が直結して思い出す事が増えるのは当然の事と言えるだろう。体調が優れない時は尚更、署内でフラッシュバックを起こす事だけはしないようにと気を張っている。誰かに頼るように、と暗に告げる相手の言葉に対して「…レイクウッドは、案外恵まれてたのかもな。」と言葉を紡いでから、軽く肩を竦めて見せる。手を差し伸べ、1人で背負わなくて良いのだと寄り添ってくれるミラーの存在。町は穏やかで、自分の事をよく理解している馴染みの医者もすぐ近くにいた。思えば、気を張りすぎる事も言いようのない不安を抱えたままでいる事も、今と比べれば格段に少なかったと言えよう。「_____悪いが、朝まで此処で休ませて貰っても良いか、」と相手に尋ねる。身体には重たさが残っていて、今家まで戻るのは辛い状態。ペットボトルの水で唇を湿らせると再び身体を横たえて。 )







 

  • No.4535 by ベル・ミラー  2024-10-27 10:09:32 





アダムス医師



( 相手が落とした呟き、レイクウッドを離れた事に対する後悔の色こそ見えなかったが懐かしむ様な色は僅かにチラついた気がした。『__離れた理由をあれこれ探るつもりはありませんが、戻りたいと思った時はその気持ちに蓋をしないように。…貴方は心の声より頭で考える事を優先しがちだ。確りと考え決める事はとても大切ですが、心を蔑ろにして良い事にはなりません。』長い年月、片時も傍を離れず見守った…と言う訳では無いが主治医として少なからず心を寄せて来た。その中で見えた相手は理性的で、自身の優先順位がとても低いのだ。次いだ望みには直ぐに頷く事で許可を返し。『勿論ですよ。…まさか医者の目の前でソファで一夜を過ごせると思っていないですよね?ベッドで寝て下さい。』身体を横たえた相手を見、次はそこでは駄目だと首を横に振る。相手が遠慮無くベッドに行ける様にと僅かに片眉を上げ続けたのは、“医者と患者”を強調したそれで )




  • No.4536 by アルバート・エバンズ  2024-10-27 22:17:06 

 






( 医者として“口煩い”のは変わらないと、渋々ながらも一度横になったソファから身体を起こすとベッドへと向かった。朝には幾分体調も落ち着いていて、痛みが強なったり発作が酷くなったりした時には直ぐに病院に掛かるよう釘を刺す相手に何度か頷いて、また連絡すると約束するとホテルまでタクシーを呼び家へと戻ってから出社する事となり。______その少し後。痛みが強い時にと飲んでいた、アダムス医師から貰った薬もあと数日分を残すのみになった頃、レイクウッドから本部に出張で来る署員が居ると警視正から聞かされた。一緒に働いて居たとはいえ、名前と顔が一致していない者も多いため、誰が来るにせよ久しぶりの再会を待ち遠しく思う、なんて感情とは無縁で普段通りに専用の執務室でパソコンに向かっていて。 )






 

  • No.4537 by ベル・ミラー  2024-10-27 23:29:57 





サラ・アンバー



( __警視正からワシントン本部に出張の命令を出されたのが一週間前の事。一番最初の気持ちは“何故ミラーじゃない”だった。エバンズが此処を去り既に半年以上が経過していて、その間ミラーは一度だって彼と会ってない筈なのだから、長くバディとして組んでいた彼女に声が掛かっても良い筈__と。気持ちの公私混同を認めながらも勿論命令に背ける事も無くワシントンに飛んだのが今日この日。__“本部”と言うだけあり建物は大きく中で働く署員の数もレイクウッドと比べ物にならない程。皆が何処か忙しなく動いていて、田舎から此処に不妊した刑事は慣れる迄に相当な時間が掛かるだろうというのが第一印象だ。警視正に紹介され刑事課のフロアに居る署員に挨拶を済ませた後、執務室に相手が居ると教えられ扉をノックする。中から入室の許可が出れば静かに扉を開け半年ぶりの相手をその目に映し『…お久し振りです、警部補。』と、挨拶をして )




  • No.4538 by アルバート・エバンズ  2024-10-28 01:18:32 

 





( ノックの音に入室の許可を出し顔を上げると、其処に立っていたのはよく見知った刑事だった。「______レイクウッドからの出張要員はお前だったのか、…アンバー。」出張に来るのがミラーなら何かしら事前に連絡があると思っていたため、今回は顔と名前の一致していない男性署員が来るだろうという想定から外れ、ある意味思いがけない人物の来訪。彼女なら当然覚えがあった。ミラーと仲が良かったと思いつつ、記憶にあった名前を呼び。半年ぶりというのは、懐かしさを覚える程ではないが久しい感覚はあるもの。相手自身に大きく変わった様子は見られないと思いながらも「…レイクウッドは変わりないか。」と尋ねて。 )








 

  • No.4539 by ベル・ミラー  2024-10-28 08:48:00 





サラ・アンバー



( 相手が署員の顔と名前を覚えるのを苦手とする事は知っていた。だからこそ“ミラーの友人の刑事”くらいの認識があれば良い方だと思って居ただけに確りと自身の名がその口から出れば失礼ながらも少しの驚きの色を瞳の奥にチラつかせ。『はい。…当たり前ですが、大きい所ですね。想像していた以上の広さでした。』頷きつつ、後ろ手に扉を閉めて中に入れば少し迷った後に相手の座るデスクの反対側に鎮座する椅子に腰掛けて。半年振りの相手はパッと見変わった様子は無い様に思えた。容姿が変わった訳でも、表情が柔らかくなった訳でも無い。相変わらず眉間に皺を寄せパソコンの画面から顔を上げない所もある意味懐かしい。それでも“レイクウッド”の事を問われればまだ相手の中に僅か残る懐かしさがあるのではと口角を緩め。『新しい警部補が赴任して来て、とても忙しくなったくらいです。後は…ミラーが、恐らく過去一番とも言える大きな事件を担当しました。』相手が去った後、後任として新しい警部補が地方から来た。相手より10以上年上の男性で、それなりの経験があるからこそ警部補になった筈なのだが、これまた少しばかり__否、大分厄介な人物だ。仕事と言う仕事の殆どを署員達に押し付け、何処をふらふらほっつき歩いているのかなかなか姿を見せない。かと思えば明らかに警部補の確認漏れの様な事も署員のせいにしてくる始末。お陰で署員達は朝から晩まで気を休める事も無く働き、兎に角忙しいの一言に尽きるのだ。愚痴の一つでも言いたいのを堪え、聞かれてはいないがミラー個人の担当した仕事の話も最後に付け足して )




  • No.4540 by アルバート・エバンズ  2024-10-28 11:25:14 

 





( 相手の言う通り、地方の署で働いている刑事たちにとっては本部はかなり、想像以上に大きく感じられるものだろうと頷く。長年働いていた自分でさえ、数年ぶりに戻って改めてその規模を実感したのだから。相手の訴える忙しさは“良い忙しさ”なのか“追い込まれる程の忙しさ”なのか自分では判断が付かないが、上が変わったからと言って其処まで環境が変わる程の業務量ではなかった筈だ。少なくとも人手不足という訳ではなく、事件に余裕を持って刑事を割けるだけの人員は居た訳で。続いた言葉は思いがけないもので、相手に視線を向けた。“過去一番とも言える大きな事件”_____離れている以上、ミラーから連絡を貰う義理も無ければ其れを待ち望んでいる訳でもない。むしろ相手と関わりを持つ事を未だ何処かで恐れ、連絡をしていないのも自分だ。けれど、それ程の大きな出来事があれば、相手なら連絡をしてくると思ったのだ。しかし今は本部のワシントンの警部補とレイクウッドの刑事。そういう関係でもないと思い直せば「……大きな事件を任されるのは、刑事として信頼されている証だ。積み重ねてきたものが評価されているんだろう、」と答えて。 )







 

  • No.4541 by ベル・ミラー  2024-10-28 13:53:33 





サラ・アンバー



( 言葉の頭に少しの間が空いた事、相手の顔が画面から持ち上がった事で事件の話を彼女から直接聞いていない事を察した。__けれど不思議だ。ミラーならば真っ先に相手に報告をしても良い筈なのに。__と、そこまで思って矢張り何かしらの壁が出来たまま2人は離れたのでは無いかと疑った。ミラーはあの事件、刑事として犠牲者を最小限に抑える為の最善の選択をし、他の署員達からも労われた。けれどそれを誇る事は出来なかったに違いない。相手の言葉に頷きつつも『…何だか少し心配で、』と、切り出す。『無理に頑張りすぎて、何時か動けなくなってしまうんじゃないかって。』実際此処最近でミラーから悩み相談をされた事も無いし、疲れ果てた様子を見た訳でも無い。忙しい業務の中、アシュリーも入れた3人でご飯も何度も食べに行き、特別変わった様子は無い様に思えるのだが、何故かわからない、小さな不安の芽が顔を出している気がするのだ。『理由は無いんですけどね。』と、軽く微笑んでから一度視線を下方に落とす。そうやって数十秒、意を決した様に顔を上げ相手を見ると『__警部補、』と呼び掛けた後『…何で、レイクウッドを離れたんですか?』相手がこうして根掘り葉掘り聞かれるのを好まないとわかっていながらも、あの急なタイミングでワシントンに来た理由を知りたいのだと )




  • No.4542 by アルバート・エバンズ  2024-10-28 15:46:44 

 





( ミラーが無理をしている時、普段と同じように振る舞っているつもりの行動や表情のふとした所から、心の中に押し留めようと躍起になっている感情を垣間見る事があった。今は顔を見ていない為、其れを察するのは不可能だったがいつも近くにいる同僚であり友人の相手が“不安”を口にするのだから、事件が何かしらの影をミラーに落としているのだろうと思えた。かと言って、相手にアドバイスする事も出来なければ、自分が何か連絡を取るべき立場でもない。「……1人で背負い込み過ぎる事があるからな、」とだけ告げるも、呼びかけられれば再び相手へと視線を向ける。続いた問いは何度も周囲から聞かれたもので、少しばかりうんざりしたような、其れでいて少しばかり表情を緩めるようにして溜め息を吐くと「______そればかり聞かれる、」とひと言。「…レイクウッドには長く留まり過ぎた、それだけだ。本部に戻るにはちょうど良いタイミングだったんだ、ひとつの場所に長く留まるのは得意じゃない。」と答えて。 )





 

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