刑事A 2022-01-18 14:27:13 |
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( 言い方こそ悪いが遺体が出て無い以上確かに母親の言う通りまだ生きている可能性は0では無い。突然失踪した娘の安否を信じ語気を強める彼女の肩を軽く擦り相手の言葉に同意するように数回頷いて。続けられた供述を手帳にメモする中“恋人”の単語が出ればペンを走らせる手を止める。両親への挨拶を翌日に控えて居た幸せな女性の失踪__彼女の恋人が何かを知っている可能性が強いと思えば「リリーさんの恋人は“ジェイ・マレック”さんで間違い無いですか?」と尋ねる。予め受け取った資料には【ジェイ・マレック】の名前と共に、付近にあるペットショップの店長と書かれていて。母親が肯定すれば次に話を聞くのは彼だろうと )
( 相手の質問に母親は『…えぇ、ジェイと呼んでいました。バイト先の店長だって。』と答えて。---ジェイ・マレックは彼女が働くペットショップの店長。相手と共にペットショップを訪れると、子猫や子犬、鳥などがゲージに入った店内に足を踏み入れる。「_____ジェイ・マレックさんですね。レイクウッド署のエバンズです。此方はミラー。リリー・ブラントさんの件で少しお話を伺えますか。」と、声を掛けて。ジェイは少し気落ちした様子ながら、要件を直ぐに理解すると奥の事務所へと案内され。『リリーは未だ見つかっていないんですか?彼女が失踪する理由なんて…』ジェイは椅子に座ると手元へと視線を落として。 )
( __動物特有の香りがする店内の奥、事務所へと案内されれば開口一番リリーの安否を確認するジェイに頷き「今、全力で捜査にあたっています。」と答え。それから手帳を取り出し彼を真っ直ぐに見詰め「貴方とリリーさんは恋人同士で、ご両親の家に挨拶に行く筈だったとお聞きしましたが、彼女と最後に会ったのは何時ですか?」続けた質問を。リリーの姿を最後に見た場所を、人物を、特定し早急にと思うのは、捜査こそ殺人事件として進めているが生きている可能性の希望がまだ残っていると思っているからで )
( 「僕が最後にリリーに会ったのは、ご両親に挨拶をしに行く日の朝です。」と、ジェイは答えた。此れまではその前日の目撃情報が最後だった為、少なくとも彼女は挨拶を予定していた日の朝までは事件に巻き込まれる事もなく過ごしていた事になる。---両親への挨拶の朝、リリーはジェイを家まで迎えに来たと言う。しかしジェイは体調が悪かったため、リリーは一度1人で両親の元へ向かったと言うのだ。しかしその日リリーは家に戻っていないため、ジェイの供述が正しければ、彼の家を出た後に何かしらの事件に巻き込まれた事になる。 )
( 彼の供述が正しいのならばリリーは両親への挨拶の朝、ジェイの家から両親の家に行く迄の少しの時間で失踪した事となる。ジェイは本当にリリーと朝会ったのか。両親は本当に朝娘に会って無いのか。__今の段階では何方の供述も確実では無く情報が足りない。一先ずジェイの話を手帳に書き記しはするがこのまま次なる情報を取りに行くか、署に戻り先の進みを話し合うか。「…エバンズさん、」その判断は指揮官である相手に従おうと小さく名前を呼び軽く視線を向けて )
( ジェイからはそれ以上の供述は出ず、同時に体調不良で家で休んでいたと言う以上アリバイも立証されない。もう少し他の被疑者についても調べる必要があると思えば「…また改めてお話を伺います。」と告げ、一度署へと戻る事とし。---「被害者に好意を持っていた人物がジェイとの関係を知り、暴走して連れ去った可能性も考えられるな。」署の執務室で相手と向かい合い、考えられる他の可能性について言及し。 )
そうだね。…ジェイの話が真実か確かめるのと同時に、もう少し情報が欲しい。
( 相手が言及した“他の可能性”に頷き同意を示せば次なる被疑者に話を聞く必要があると書類を捲り。__署を出る前、証拠品の纏めを終わらせてからと思っていた為に後回しにした昼食をとり損ねた事を思い出したのは小さくお腹が鳴ったから。「何か食べないと頭が働かない。」と一言呟きデスクに置かれている相手のマグカップを勝手に持ち部屋を出れば、給湯室に置かれている自分のマグカップと二つに紅茶を注ぎ。一度デスクに立ち寄り引き出しの中に入れて置いたチョコレートを掴み再び相手の部屋に戻る。相手にマグカップを手渡しつつ、「5分だけ休憩させて。」と、チョコレートの包み紙を破いて )
( 先ずは彼女に好意を持っていた人物が居ないか、最近何か悩んでいる事はなかったかなど、大学とバイト先でそれぞれ聞き込みをすべきだろう。同時にまだ見つかっていない本人を早急に探す必要もある。そんな事を考えながらパソコンの視線を向けているとマグカップを差し出され、視線を相手へと向けると温かな紅茶を受け取る。自分もデスクの引き出しからアーモンドチョコをひとつ取り出すと其れを口に放り込んで。---先ずは大学で聞き込みをしようと、その後再び相手の車に乗り彼女が通っていた大学へと向かい友人を探し。 )
( __大学に着けば正面玄関で教授が出迎えてくれた。リリーの失踪の件で生徒達に話を聞きたいと告れば既に大学間では周知の事実で、教授は然程悩む事も無く『彼女のクラスでしたら後数分で授業が終わりますので、その後なら。…そこの突き当たりの教室です。』と答え廊下の奥に視線を向け。広い大学内、手分けした方が効率が良い筈だと思えば「私は他の生徒達に話を聞いて来ます。」と、彼女のクラスは相手に任せ別の階へと進む事とし。__授業終了のチャイムが鳴ったのは丁度相手が教室の前に来た時。ザワザワと騒めく生徒達の中、数人のグループが相手の姿を見てヒソヒソと何かを話、続いてその内の1人が不謹慎にも何処か楽しげな笑みを浮かべ『ブラントの失踪事件を担当してる警察ですか?コイツ、ジョンって言うんですけどブラントに好意があったんですよ。』と話し掛けて来て。彼に話題とされた男子生徒は何処か困った様な表情で相手を見上げ )
( 授業が終わり教室から出てくる学生たち。学校のような場所では、普段校内では見掛けない刑事の姿に好奇の目が向けられる事も多いため、其の反応には慣れていた。しかし不意に声を掛けられると、ニヤついた表情の男子学生と視線が重なる。リリーに好意を持っていたという男子学生は何処か気弱そうで、彼に言い返す事も出来ない様子だった。「…そうか。君自身はどうだ、何か彼女に関して知っている事______彼女とはどう言う関係だ?」ジョン、と呼ばれた男の存在を把握し話を聞くと決めた上で、何処かヘラヘラしている男に視線を向けたまま話を聞こうと、にこりとする事もなく問いを投げ掛け。 )
( 微笑む事も無く、誰がどう見ても極力話し掛けたくは無い無表情の相手を見て流石に男子生徒も口元のだらしない笑みを引っ込めた。そうして相手の圧に何処となく居心地の悪そうな表情で『…まぁ、俺は別に何も無いですけどね。』とぼそり呟くと、もうこれ以上話は無いとばかりに先程までの威勢の良さは何処へやら、そそくさとその場から離れて行き。一方取り残されたジョンは相変わらず困った表情のままに去って行った男子生徒と相手を交互に見遣った後、『__リリーに好意があったのは本当です、』と控え目ながら話を切り出し。この場を去る事も出来たのだが、結局後々話を聞かれるだろうと思っての事で )
( 友人を面白おかしく差し出しておいて自分は何も語らないのかと冷ややかな目を向けたものの、引き留める事をしなかったのは現時点で被害者との繋がりはかなり薄いだろうと判断したから。逃げる事をせず、彼女への好意を認めたジョンと向き合い手帳にメモを取ると「彼女に恋人がいる事は知っていたのか?」と尋ねて。ジョンは、恋人が居ることは知っていたと答えた上で『…でも、リリーは時々僕とデートをしてくれました。誕生日の日やバレンタインデーの時だって、花やプレゼントを受け取ってくれたんです。』と告げて。果たしてそれは純粋な好意だったのだろうか。いつしか彼女が自分の物にならない事に怒りを覚え、手を掛けるまでに至った可能性はないか。_____相手の供述をメモに取りながら、急に刺すような頭の痛みを感じこめかみ辺りを抑える。ズキズキとした痛みは思考の邪魔をして、彼に何を尋ねれば良いのか一瞬分からなくなった。「……彼女はどういう反応だった。」と少しの間を置いて尋ねると、『とても幸せそうでした。僕もリリーが隣にいてくれて幸せだったんです。…でも、恋人がいるからと告白に答えてくれる事はありませんでした。』と。 )
( 相手の表情が一瞬僅かに変わった事で、ジョンは何か気に触る様な事を言ってしまっただろうかと不安げに瞳を揺るがしたのだが、調子の悪さまでを感じ取れる事は無かった。__一方ミラーは他所のクラスの人達や教員に話を聞きに回っていた。教員達はリリーの事を“優しくて真面目な生徒。”と答え、生徒達は“可愛い人、結構モテてる印象。”と答える人が大半だった。これと言って特別彼女の行方に関係する証言は得られなかったものの、一先ず聞き込みした情報を引き連れ相手の所まで戻れば、話を聞かれている男子生徒と目が合い軽く会釈をし。相手の半歩後ろで話の続きを聞こうと )
( 失踪した彼女の遺体が見つかっていない以上詳細な犯行時間は絞り切れないが、彼女が失踪したと見られる日の朝の行動を尋ねるとジョンは『その日は休みだったので、お昼頃まで1人で寝ていました。』と答えた。一人暮らしのためアリバイの立証は出来ない。「…また話を聞きに来る。何か思い出した事があれば連絡してくれ。」そう告げると彼を残して踵を返し、隣の相手に「…ジョンとリリーの関係に対する客観的な意見が欲しい。」と、クラスメイトに聞き込みをしたい旨を伝えて。それと同時に「_____鎮痛剤を持ってないか、」と相手に尋ねる。普段薬が必要なほどの頭痛に悩まされる事は然程多くないため、市販の鎮痛剤は持ち合わせていなかった。 )
( アリバイの立証が出来ない以上彼もまた被疑者の枠から除外する事は出来ない訳で。次の授業の準備の為小走りで去って行く背中に数秒の視線を向けた後、相手の要望に首を縦に振れば「わかりました。…彼女、結構人気だったみたい。ジョンの他にも好意を寄せていた人がまだ居るかもしれません。」先程の聞き込みの中、多くあがった“モテる人”と言う情報を伝えつつ。続けられた問い掛けには思わず「え、」と声が漏れた。それは安定剤以外の薬を求められた記憶があまり無かったからかもしれない。「あるけど__、調子悪い?」取り敢えず常備している市販の鎮痛剤を鞄のポーチから取り出し、2錠を手渡して。その際最早癖のようなものになっているのか、相手の顔色、それから頭の天辺から足の爪先までザッと視線を流して )
( 相手から手渡された鎮痛剤を受け取りつつ礼を述べると「_____いや。気圧か何かの影響だろう、頭痛がする。」と、体調には問題が無い事を告げて。普段頭痛に悩まされる事は然程多くはないものの、今日はこめかみの辺りがズキズキと痛む。痛む箇所に指で軽く圧を掛けつつ、車に戻ったら薬を飲もうとジャケットのポケットへと薬のシートを滑り込ませて。---その後、食堂で先程のヘラヘラしていた男子学生の姿を見つけ、談笑しているグループの元へと近づいて行くと彼はギョッとしたような、バツの悪そうな表情を浮かべた。ジョンとリリーの関係性について尋ねると、彼と話していた女子学生が『…正直ちょっとキモかった。だいぶしつこく言い寄ってたから、あの子も断りきれなかったみたいだし。』と答え、彼も自分の証言は間違っていなかったとばかりに頷いて。その後数人のクラスメイトに話を聞けたものの、ジョン本人の感じ方と他の学生からの意見はあまり一致しない結果となり、署に戻るべく相手と車に戻って。 )
明日から雨らしいし、その影響かな。…無理しないでね。
( 頭痛とはこれまた珍しい、とは思うのだがそう言えば今朝のニュースで此処数日は雨が続く予報だとやっていたのを思い出し特別重要に捉える事も無く。__ジョンとリリーの関係についての客観的な意見は彼が話したのとは掛け離れているようだった。彼にとっては純粋な好意だったのかもしれないがそれが行き過ぎた可能性は拭い切れ無い。相手と共に車に戻り先程の錠剤を飲む様子を見ながら「…自覚の有る無しに関わらず、ストーカー行為に発展してた可能性もあるよね。」と、告げ署へと車を走らせて。__相手専用の執務室にて2人で聞き込みの内容を整理する。証言を書き留めた手帳を捲りながら「ジェイはジョンの存在を知ってたのかな?……もし知ってたなら、自分と付き合っていながら確り断る事も無く曖昧な接し方をしてたリリーと口論になって、思わず殺害してしまった可能性も。怒りが男性側に向かない人も居るし。」考えられる可能性を口にし、言葉の終わりに顔を上げ相手に視線をやり )
( 署に戻り聞き込みして得られた情報を整理している最中、相手が可能性のひとつとして上げた一例に手元のメモから視線を上げ、少しばかり興味を引かれたように相手を見つめる。もっとも其の些細な表情の変化に気付く者はごく僅かなのだが。「…彼女に言い寄っていた男じゃなく、言い寄られていた女性の側に怒りが向く_____確かにな、」何処か納得したような言葉を紡いだのは、自分自身の考察にその可能性が漏れていたから。相変わらず恋愛事には疎く、女性に対する男の心情も自分に置き換えて考えた所でもっぱら“興味がない”のだから、なんの参考にもならないのだ。相手の言うようにジョンに言い寄られていた事を知ったジェイが、彼女の曖昧な態度に激昂した可能性は考えられる。「……お前は、男女の痴情の縺れには詳しいな。」と、手元に視線を落とすとかなり語弊のある言い方で冗談混じりに告げて。 )
( 此方を見詰めた相手の表情がほんの僅か変化したのを見て直ぐに、興味が唆られた様で何よりだ、と言いたげに肩を竦めたのは“恋愛事”に余りに疎過ぎると言っても過言ではない相手の事を長く見て来たからか。「お前の曖昧な態度が相手を付け上がらせるんだー、みたいなね。」全くと言って良い程感情の籠らぬ棒読みで男側の意見を勝手に代弁し、再び手元の手帳にその可能性を書き記すのだが。その最中珍しい冗談が相手の口から飛び出せば思わず顔を上げ。「…ちょっと、それは語弊がある。」片眉を僅かに持ち上げあからさまに不満そうな表情を浮かべるが勿論本気で気を悪くした訳では無い。「私は何時だって円満なお付き合いをして来たんだから。」相手にとっては此方の過去の恋愛事情など別に興味無いであろうが、態々わざとらしく“円満”を強調した辺り軽口で。続けて「そんな冗談が言えるなら頭痛は心配無いようだね。」と、密かに心配していた大学での相手の頭痛の話を持ち出し再び小さく肩を竦めて見せて )
( 語弊がある、と言い返されるも反応を示す事はなく無視を決め込む。しかし、自分のこれまでの恋愛は円満だったという言葉には呆れたように顔を上げ「_____お前の話は聞いてない。捜査の役に立つような経験じゃない事は分かった。」と告げて。関係が円満なのは当然良い事なのだが、捜査の役に立つものではないと穿った視点からのなんとも失礼な返答を。頭痛の事を持ち出されると、今は強い痛みではないため「…薬が効いてる。気圧にやられたんだろ、」と頷いて。刺すような痛みを感じた瞬間もあったものの、今は鎮痛剤により抑えられる程度の痛み。少量の毒は症状を引き起こしはしたものの、未だ水面下で蓄積するのみで異変に気づく事はなく。 )
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