28063募集主 2022-01-12 17:11:13 ID:ec3fcc4f4 |
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【世界観設定(暫定)】
平安~江戸時代程度の何処か(応相談)電子機器・近代兵器は存在しない。
極東の島国「日ノ本(ヒノモト)」。
四方は海に囲まれ、個人や地方レベルでの諸外国との貿易はあるが公にはされていない。
京(現代でいう京都にあたる場所)には尊き「ミカド神」が坐すというが、下々の人間に姿を見せることはないという。(「神」自体は日本書紀・古事記をはじめとした似たような神々の信仰は一般的に存在している。「鬼」の中には、この「神」の類に含まれる存在も居るらしい)
人が持つ異能や忍、術者という存在は下々の一般人には基本的に知られていない。その為、人が持つ異能の力は忌避の対象となりがち。
現在、各地方を一括して纏める大きな力を持った勢力(幕府・政府のようなもの)は存在しておらず、地方の各有力者達がそれぞれを取り仕切りながら勢力争いをしている状態。もちろん平穏な所も存在する。かつては一国を纏める程の強大な勢力があったというが、ある時、斃れてそのまま現在に至る。
【鬼】
「日ノ本」に棲まう人間とは異なったモノ。日ノ本以外にも名前は違えど存在しているらしい。
いつからかも分からない古くより「日ノ本」に存在し、現在どれくらいの数が存在しているのかは分からない。
「鬼」と名付けたのは人間のため、いわゆる「妖怪」と呼ばれる類、零落した古い神、更に人為的に生み出された「何か」も、「鬼」と一纏めに呼称される場合も。
姿形、人語を解するか解さないか、人を襲うか襲わないか、あらゆる点に対して「鬼」と一口に言っても千差万別。ただ、多くが優れた身体能力や人ならざる異能の力を持つ。
※募集板には「鬼」が人を食らう、と書きましたが、喰ったりはしないが人を襲う鬼も居るだろう、ということで。失礼いたしました。
【提供C詳細】
「ととさん、ととさん。ぼく、山菜採って来てん。えらかろ?ととさん、褒めよって」
「……なぁ、なぁ、ととさんは、ぼくの、やろ?何でほかの、考えよるん?」
名前:当麻(とうま)
見た目8~10歳、身長130cm
肩に掛からない程度の短く艶の無い黒髪と、些か緩くも丸い目は淀んだ泥のような灰色に僅かに金の虹彩が混じっている。丸みを帯びた幼さの強い顔立ちと指先まで骨張って痩せた小柄な体躯。
非常に落ち着いていて同年代らしい子どもと比べても表情が大きく動く方ではなく、表情による表現は乏しいが言葉として出す自身の主張は明瞭としている。見た目以上に幼く何処とも分からぬ訛りが混じった話し方をする。
自分に関することやそれまでの記憶が無い。
しかし常人ならば知る筈の無い知識を持ち、陰陽術にも近い異能の術を使いこなす。
なお、基本的に能動的に使うのは何処かの様子を探る、天候を予測する、などほぼ殺傷能力が無くほとんど生活の知恵の延長線上のもので、そういった類の中でも飛び抜けて優れている訳でもない。ただし「当人に自覚の無い無意識下」では全くの正反対。
募集Cのことを「ととさん」と呼ぶ。一人称は「ぼく」。
募集C以外の鬼は見たことが無い(記憶に無い)筈であるが、鬼に対して従属させたい、使役したいという仄暗い欲動がある。ただ現状、当人にその自覚は無く父性を求める感情の方が強い。
(/参考のロルにつきましては少々お待ち下さい。申し訳ありません)
( / 主様
募集版よりお声掛けさせて戴きました者です。
まずはトピック建設お疲れ様でございました。それから、お声掛けの方にお返事も戴きありがとうございました。
異形蔓延る和風の日本。見た目は幼子でも中に眠る少し仄暗い息子様。今からとても胸踊る限りばかりでございます。
さて、それでは当方のpfを提出致しますので改善点や要望点などありましたら遠慮なく仰って下さいませ。 )
「戯れに伸ばした手に、お前の小さな手が触れた事を誇りに思いたい」
名前 : 青鈍 (あおにび)
年齢 : 外見20代後半程度 / 実年齢不明(100越えと予想)
種族 : 鬼
性別 : 男
容姿 : 濡れ羽色の艶のある髪は襟足が脹脛の辺りまである程の長さがあるものの、頸の辺りで段が入っておりそれから上は短めの髪が揺れ横髪と前髪は襟足同様に長く、前髪は左側から分けているため右目は見え隠れ。髪の毛全体は緩い癖を持っており少しふわふわ。襟足だけは時折結紐で1本に束ねていたりもするが基本はそのまま。
切れ長の涼し気な印象を与える目元、長めの睫毛に抱かれる双眼は普段は深い朱で瞳孔はやや細め。通った鼻筋と薄い唇の隙間から見えるのは鋭い犬歯。
一見細身に見える身体は引き締まっていて無駄が無く、少しばかり骨張ったさもある。しなやかな指先、やや細長く伸びた爪は黒く塗りつぶされている。
裸体を隠す服は狩衣が多く基本的には落ち着いた黒や紺色などを好み、足元は素足に草履というあべこべさ。身長は170程
性格 : 一言だけで云うならば寡黙。と言っても全く持っての無口という訳ではなく、多くを語らないというだけ。必要なコミュニケーションは取れるし話言葉にもたつきはない。落ち着いた言動が多いものの、紡がれる言葉はどこか含みがあり飄々としているものが多い。喜怒哀楽の感情ももちろんありそれを表に出すことも厭わないが、あまり怒ることはないそうな。時折聞かれる年老いたものは長く生きてきた所為だとも。
相手を揶揄ったり悪戯めいた言動を取るのも好きだとか。
他 : 一人称「私」二人称「お前」
妖怪の種類の1種の鬼。普段は人と変わらぬ姿で擬態しているが鬼へと変化すると左の額から黒く太い角が1本生え、身体もひと回り大きくなり双眼は黄金色に輝く。
人間とは異なる五感を持ち、力や速さも尋常なものではない。
長く長く生きてきた中で、貴伽羅を拾い育てている事は自分の中では“戯れ”だと表現している。それでも芽生えた感情に戸惑いながらも大切に大切にと育てているとか。
>>3
(/返事が少々遅れまして申し訳ありません。改めまして、当募集にお声掛けいただきありがとうございます。
ならびに素敵なC様の提供ありがとうございます。
寡黙ながらも慈しみを感じさせる御方、こちらこそ共に物語を紡いでいけたら嬉しく思います。
さしあたって、展開や描写の回しはじめに希望等はあるでしょうか?
こちらの想定では、「出会った(発見された)直後」もしくは「共に過ごしてから幾らか経過した」状態から始めていこうかと考えておりますが……
また、始めるにあたり、生活状況は
1:人里から離れた場所
(↑山奥、辺境の僻地など。人間との接触は少ない)
2:村や街の中
(↑人に混じって暮らす。鬼と明かしているかは自由)
3:旅・放浪の最中
(↑住まいを持たない。何らかの理由で追われている等)
上記のどれを希望・考えておられますか?
こちらは「1:人里から離れた場所」で拾われた際もその辺りを考えていたため、ついうっかり説明が不足した状態となってしまいましたが、1~3のどれかの中、または他の希望の状況のどれも設定としては問題なく進められますので。
なお、2の場合は、ほのぼの展開のみ希望以外では遅かれ早かれ恐らく村を焼きます。
話によっては何処かに遠出して、という展開も考えたいと思っております。
他の周辺の詳細情報もある程度決めてはありますが、都度状況に応じて確定していただいて構いません。
※当C参考、接触ロルについては現在作成中のため、御迷惑をお掛けいたしますがもう少々お待ち下さい。
( / 主様
お返事等はお手隙の際で構いません。ご都合宜しい時に戴ければ十二分にございます。
お恥ずかしながら、pfを褒めてもらい嬉しく思います。此方も今から紡がれるであろう展開に心踊っています。
始まりに関しては何方も捨て難いものがありますが…、共に過ごして幾ばか過ぎた頃の方が良いでしょうか。その中で初期の出会った頃について語り合う…なんてのも通ですね。
村を焼いてしまうとはなんとまぁ勇ましいばかりで怖さが遠のきますね。しかしながら私の方も人里離れた山や森等(鬼の住んでいる森等)で拾い、そのままそこに住んでいる…、と解釈していたので解釈の一致という事で良いのではないでしょうか。 )
>>5
(/村は焼くもの。というのはさておき、御返答ありがとうございます。また、御寛大なお言葉嬉しくも申し訳なく……
では、回しはじめは「共に住んでから暫く経過した状態」かつ、住まいは「人里から離れた場所に在る」という設定にて。
↓はこちらの接触、参考ロルとなりますが、あくまでも参考のため状況を無視して新たに始めていただいても構いません。住まいは山にも近い森の中、を想定しております)
(朝には些か遅く、昼にはまだ早く。朝方に降りた露は既に溶け込んで、空気の一部となったそれを吸い込んで空を仰ぐ。周囲は緑豊かな木々ばかりで当然のことながら自らよりも丈の短い木々などなく、青々とした葉を生やす枝の隙間から陽光が差し込む様に少しだけ目を細め。それから光が目に眩しく感じ過ぎる前に顔を上から下へと向けるとちょうど視界に映った地面に落ちている小ぶりな乾いた木の枝を拾って背負った背負子に放り積んで背筋を伸ばすと、まだ多過ぎない量の薪は背負うには苦労はなく、少々の重さを感じながら肩口の布地に手を添えて。片方の手は上衣の裾を外向きの袋状に畳み込んで握り込みつつ、整備もされていない地面を履いている少しくたびれかかった草鞋で軽く蹴って日々の住まいへと戻ると住まいの裏手側から、きょろきょろと辺りに視線を巡らせ)
ぼく、戻うた。ととさん、居りよる?居りよらん?
(/↓更に下記、こちらはもう一つのロルパターン提示として、「拾われる際の状況」を。
こちらも別にこの状況ではなく他の状況で拾い育てた、という形でも構いません。参考までに)
青々とした木々の間に挟まれるようにして流れる一筋の清流。
そこの流れが少しだけ緩やかになる曲がり組んだ箇所、他よりも些か大きな岩の上に引っ掛かるようにして上半身を被せているのは、小さな人の姿をしたもの。
下半身はいまだ川の中に浸かり、その上半身も頭のてっぺんまでしとどに濡れて。身に纏うのはボロよりも少しマシな程度の麻の布着で、それも今は水をたっぷりと含んで重たくなった状態。水に濡れた髪の毛だけでなく着衣も肌に張り付いて、浮き上がらせる身体の輪郭は青白く骨ばったもので。
その中で、不意に滲んだ気配に緩やかに瞼が震えたのは気配を感じたためか、それとも他のためかは分からぬまま。
ただ小さく震えた瞼はそこから緩やかに持ち上がり、冷えた石の上に持ち上がらない頭を置いたまま。それでも持ち上げた視線は、違い無く感じた気配の方を見据えて。
「――ととさん」
ぽつり、と。
投げ掛けた音はひとつだけ。身体の動きよりも、思考よりも、更に呼吸よりもただそれだけを先に紡いで。
感情を滲ませない無表情に在る双眸に混じった黄金の虹彩がそれ以外を縁取った色に溶け、見開いて焦点を結んでいたのはひとときのみ。それからは岩へ引っ掛かっていただけの上半身が川の中へ沈み始めるのと同じように、目は再び揺らいで重力に従って伏せられて――
(/当方、初心者のために一般的なロル形式というものがまだ理解不足ですが……大体の文章遣いや癖は上記の通りになるかと。基本、心情描写はほぼありません。
苦手なもの(萎え・不可項目)はほぼないので、そちらの希望に合わせてロル形式も合わせて回しますので。ロル文字数も上限設定なく、行動が分かる程度であれば短くても構いません。こちらが合わせる形で増減させます。
ロル形式も、()含め改行あり、無し、「」使い、終止形止め、など特にこだわりもありません。
他、スタートに関してはそちらの都合のいい時で構いません。他に御質問・指摘・提案・希望などがありましたら、やり取りの最中でも構いませんし、他の疑問点を解消させてからスタートということでも構いません)
( 肌寒さと湿ったさを乗せた朝方の空気は肌にしと、と張り付くようでそれらは確かに清々しいものの個人的に思うのはもっとからりとした空気。まだ日も登り始めぬ、朝白にぽくと浮かぶ白く小さな月が浮かぶ中、のそりのそりと床を抜けて立派な家とは言えないものの雨風は凌げるように大層な樹齢の木々を遣わせてもらい立てたぶっかこうなそれではあるが、さらりと戸口の布を払いのけて外に出ていき。かさりかさりと草履も履かずに出てきてみれば足裏に擽る草花が何処か可笑しい。まだ眠っていた“子”を後に、少し離れてはいるが近場にある小川へと足を伸ばすときらり、と光るそれを鷲掴み、跳ねる様を見つめていたがしばらくして大人しくなるのを待って2つ大きな手にすっぽりおさめて。 )
──。嗚呼…此処に居るよ、私の異種子。
( 小川で顔を洗い、手近にあった薬草を見つけるとそれもひとつふたつ摘み、遠くに獣の気配を感じながらも既に捉えた魚はふたつ。充分だとゆっくり立ち上がり帰路につくがあちらこちらと少し道草をしていたらいつの間にか起きて外に繰り出していたようで、遠くから鼓膜へと届く小さな吐息と心音に僅か口元を緩めつつ戸口から顔を出しては相手の声に応えて。 )
( / 主様
素敵なロルで感服いたします。
こちらは心情ロル等使いますが、主様は主様のやりやすいようでロルを回して頂いて構いません。せっかくの素敵なロル回し、大切にして下さいませ。やりにくいとも感じませんので、そのままで大丈夫です。情景が広がるとても分かりやすいものですよ。
久々故に駄文続きではありますが、良いものになれるように精進していきますので宜しくお願い致します。 )
(大分高くなった陽の下、特に研ぎ澄ませる訳でもなく巡らせた視界で寝起きする住まいの板壁、屋根から垂れ下がった蔓草、今ここでは見えない人里に続く細い道、更に微かに薪を拾って来た方面とは別の方向の茂みが僅かに揺れたのを視界の端で捉えながらも、聞こえて来た呼び声に意識は直ぐにそちらへ向いて。姿を視認するとそちらへ双眸が留まってゆっくりとした瞬きひとつ経てから、急ぎはしないがわざわざ鈍くもしない軽い足取りで歩いていって)
薪、拾うて来た。ととさん、は……洗濯?
(直ぐには中へと入らずに戸口の前で立ち止まって相手と向かい合う形を取り、少し身を捻って示したのは背負子に積んだ枝々。足下は草木の中を分け入っていた為に傷の類いは無いものの足の裾や爪先が擦れ、片方の手で握っていた上衣の裾端を離すとそこも土と砂でやや薄く汚れた様相で、そこを掌で雑に擦りつつ何処となく感じる湿った気配にやや斜め上方向に視線を投げてから、そちらとは反対方向に首を傾げ)
(/ありがとうございます。こちらも、其方様に御迷惑をお掛けしないよう努めますので宜しくお願いいたします。
他、至らない所は多くあるかと思いますが、設定の方はもちろん描写に関しましても分かり難い点などありましたらいつでもお申し付け下さい。)
──薪か、偉いな。私は顔を洗っただけだ。それと……、
( がさりと遠くの何処かで音が聞こえてきた気がするがまさか人でも来たのか、否、遠すぎて上手くその呼吸や気配を認知出来ずただ遠くを見つめること少しだけ、顔を覗かせた相手の声が鼓膜へ届いて暫くしてから向き直り眼下に佇む姿に視線を下ろし答えては緩く頭を撫でて、向けられた問いにゆっくりと顔を傾け自分が今まで歩いてきた道の方へと視線だけ向けて答えを教えつつ、片手に持っていた2匹の魚を掲げ )
これ──、朝餉としよう。……足、後で薬を塗ってやろう。
( するりと糸のように小さな頭から手を離して横を通り過ぎては家の中に入り、どさりと腰を下ろしては小さな囲炉裏に火を灯し細い木の枝に魚を串刺ししては灰殻の所へ刺し、定位置のそこにある肘置きに右腕を預けては魚と一緒に適当に摘んできた薬草を潰そうと擂鉢を引き寄せながら相手のまだ小さく、何処か頼りないその足先へと視線を落とし )
……ぼく、嬉しゅう。ととさんに褒められた。良きこと。
(自分よりもひとまわり以上大きな掌に傾けた頭が元の高さに戻ると吐息と共に顔が綻んで、草木の間を分け入っていた際にいつの間にか髪間に入り込んでいたらしい葉が一枚零れて地面へと落ちていきながら相手の視線につられてそちらを見ると、そちらは湿った気配を感じた通り小川に繋がる方面で)
芝刈り、してたんに、洗濯やないんね。……それ、よぅ沁みるの。やけん、いや。
(戻した視界に入れた新鮮さが残る魚に納得と了承の首肯をしつつも、次に自分は芝刈り、ならば、と何処かの昔話をなぞった言葉は緩く半閉じの瞼と共に温度を持たない声音で。中に入る前にもう一度手や裾に付いた砂やら土を軽く払ってから住まいへと入り、屋内で使うために外の薪置き場から持って来て一時的に保管している隅へ拾って来た枝を上から積んで足し、背負子もその隣に置いてから、きっちりと脱いだ草鞋も戸口近くに並べて置いて板の間へ。そこからちょうど目に映ったすり鉢の中にあるまだ潰されていない草の形状と色合いから種類を類推して深くもない擦った程度に使うには沁み過ぎると、必要ではない事と普通に嫌という拒否の意味できっぱりと首を振り)
──褒めたばかりだというのに…厭、か。
( 摘んできた薬草と備蓄してある薬味やらを混ぜ合わせながら鈍い音を立てて擦っていれば視界の傍らで綺麗に荷を整えて上がってくる相手を捉えつつ、嫌だと言葉を聞けば僅かに口の端を緩めて。善い子だと褒めたばかりだったが、何処か人の子にしては違くて歳の割には聡明であまり我儘も言わずに育ってきた子ではあるが否、最初の頃は心を開いていなかったから我儘も何もなかったのかもしれないがこうして意見をはっきりと言うようになったかと、困ったような言動は表向きに内心では何処から得たのか親心が支配しており。擦り終わり、粘り気を含んだそれを小皿へと移しては擂鉢を後方へとやり緩く片膝を上げて座り直しては相手へ視線を向け片腕で手招きをし )
おいで。──人間は脆い、小さな傷ひとつで死に絶えるものだ。治しておきなさい。
( 優しく、されど有無を云わせない小さな圧の音を乗せた言葉で数回手招きをすればその手を引っ込め、目元をすぅと細め相手の足元へ視線を落とすと指を向けつつそれも引っ込めては傍らに控える煙管へと手を伸ばし )
沁みよるけん、って言うたんに。薪拾うとった時、むかご、あってん。行きとうから、おんなじになる。
(空気を通して伝わる圧に表立った顔にはあまり出ていないものの鼻を少しばかり膨らませて渋々とした態度は滲ませつつ、その上にどの道、また草木の中に分け入っていく気で居るのだから繰り返し同じような事になる、と。普段通りの抑揚はあまり無い口調で言葉も達者なまま、相手の許へと向かって足指から膝辺りまでを見せる姿勢で座り)
煙、混じりよる。他……あ、よもぎ、ありよる、それ巻くんに、それにしよ。
(囲炉裏の傍で焼く魚に煙が混ざり込むから、と然して強く力も籠もっていない上に仮にそうだとしても痛くもないであろう程度に煙管へと伸びる手を自分の掌で距離を遠ざけるように押し、煙管を吸うなら煙草の葉ではなく、他の草で、と擂り鉢の近くにあった備蓄用の他の薬草に目を留め、もう片方の手で引き寄せた使い古した麻の手拭いのややほつれた布端部を裂いて小さなハギレを作り)
また怪我をした時は私が治してやろう。
( 堂々巡りだ、と言いたい相手の言葉に少しだけ困ったような笑みを浮かべつつそれでも大人しく近寄ってきて座る相手の行動には心底愉快そうに僅かに肩を揺らして笑い。空いた片手で小さく脆いその片足を冷たい掌で易易と軽く持ち上げては傷の程度を確認していき、確かに大袈裟かと思われようが何処からか沸いた情に今更手を振ることなんて出来ずにいて。確認を終えて手を離すとそのままの動作で擂鉢を引き寄せて指先に少し取りこれくらいか、と量を調整して再び相手の方へと向き直りいざ塗ろうかと少し身体を屈ませるように距離が縮まれば煙たいからと小さな掌で押し返されれば大人しく少しだけ上体を戻し、空に向かって紫煙を吐き出せば眼下でせっせと作り始める相手に目尻を細めるも、薬のついた指先を構わず擦りむいたその傷口に塗り込んで )
私の嗜好だ──他の葉では物足りん。
そいなこと、ずるか。……ととさん、沁みる。沁みよる。
(川へと行っていた名残か、それとも別の理由か少し冷たさを感じる手は心地良く静かに目許を緩める一方で傷自体は深くもない掠り傷程度ではあるがそれでも手製の薬はよく肌を通して沁みて、つい引っ込みそうになる脚を留めつつ抗議は何度も口に出しながらも抑揚はあまり無く面には微かに眉根を寄せるに留め。煙管を取る腕を押した手を擂り鉢の近くにあった乾燥蓬をひとつまみしてから引っ込めて先程裂いた小さなハギレに細かな蓬の葉を包んでからハギレをくるくると巻いて、指で摘まみ持ち上げて腕力は無いものの教えられたら大体のことは小器用にこなす性質のためにそこそこ良い出来になった仕上がり具合を眺めながら幾度か頷き)
沁みるてこない言うたんに。これにしたん良かと、に……葉、ぜんぶ取っかえたろ。
──できた。……お前は手先が起用だね、気が向いたら葉は取り替えておこう。
(少し冷たい己の手は相手にとったら少しばかり引っ込めたくなるものだったろうか否、沁みるために引っ込めたくなったものだろうか。ちろり、と僅かに動いた目線で相手も見遣るも我慢したのだから偉いと心底満足しつつ塗り終えて手を離せば手近にあった手拭いで指先に残った薬を拭い去り、少しばかり距離を置いてやると器用に指先を動かして作っていく様を見詰めては詳しく教えたつもりも無いのに見様見真似とも言い難いそれの如く何でもこなしていく様はやはり普通の人の子とは違うだろうにと眼下でせっせと働く相手を何処か冷たい視線で見下ろし。今まで嗅いできた人の子とは初めて出会った時から異なっていると確信はしていたものの、何故そんな異種子として迎え入れたのか己自身でも未だに理由は分かり兼ねるが。ぼんやりとその様子を眺めつつ少しだけ物思いに耽っていると相手の声で我に返り、満足気に頷く相手にひとつ笑みを浮かべては軽く頭を撫でて、どうやらすぐには変えたくないらしくすぅーっと煙管を持つ手を引っ込めて)
……ん、おおきに。よきこと、ととさんが教えてくれよるからに、あっ、魚、もう焼けとう?
(薬草が擦り潰された独特の匂いが掠めつつ微かに手当が終わると折角塗ったばかりの薬が取れない程度に少し足を崩して床の間に座り直し、指と指の間に出来上がったものを丸めながらも耳にした言葉は古今東西アテにするにはあんまり信用ならなさ溢れる常套句だと、たとえ自らの残る記憶が乏しかろうとも察するには充分で。髪の毛に触れる掌は変わらず心地良く幾度も覚え慣れたかのように自分からも頭を傾けて僅かに表情が柔く緩まる傍ら、視界に入ったのは囲炉裏の傍で串に見立てた木の枝に貫かれた魚。囲炉裏の灰殻の上、赤々とした火に焼かれてそろそろちょうど良い焼け具合になっているように思われる魚の状態を見て取ると、意識の対象を魚の方へ向けさせようと声を掛けながらも視線は度々自分の手が届く距離から若干遠ざかってしまった煙管の方へ向いていて、隙あらばもう今の内から葉を差し替えてしまおうと蓬の葉を丸めた布ハギレを離さず手にしたまま静かな攻防戦を仕掛けて)
ほら、ほら。早ぅ取っとりんと。
……分かった。葉は替えておこう──ほら、朝餉を食べてなさい。2匹とも食べて良い。
(燻る紫煙を眺めつつやけに突飛抜けた言動が多々ある中でも時折見せるそれはやはり子供のそれ。あちらこちらと視線が動き、口から紡がれる言葉が次のものへと変わるのを確認してはやはりまだ幼いと内心思うが瞳の奥にまだ眠る好奇心と喜々は燻っているようで。肘掛にだらしなく体重を預けては魚の方へと見遣ったかと思ったのにまた煙管の方へ向いたのとどうしても葉を替えさせたいそれに参ったのか僅かに眉尻を下げながら瞼を伏せて承諾しつつこれ以上魚を焼いておくと丸焦げになりそうで。すぅ、と骨張ったい冷たい手を相手に伸ばせばぷくりとしている頬を撫でてやりその手を離すと相手の小さな手から作ってくれた葉を受け取り煙管の葉を1度捨ててはそれを詰めては満足気にひとつ笑みを浮かべとりあえずはと煙管を置いて)
ん、よか、よか。2尾は、ちぃと多いんの。……いただきます。
(頬に当たる指に流石に分かり易過ぎた自らの視線の行き方に気付いてやや目を逸らしつつも、目論見が叶うとつい口の端が緩んで満足げに頷いてから程良く焼けた魚へと手を伸ばして。すっ、と背筋から正した居住まいで短く食前の挨拶を述べながらも朝餉の前から薪拾いで身体は動かしたものの体躯には量が些か不釣り合いになりそうで。焼かれた魚の串を手に取り特段大きい訳でもないが小魚という大きさでもない、木の枝に刺して焼いただけの簡素なもので、はらわたは勿論、骨も取り除かれていないそれを特に苦にする訳でもなく床の板の間に零す事も口の周りを不器用に汚す事もなく黙々と食べ進めていき)
(礼儀正しく囲炉裏の方へと向き直ったかの子は姿勢を正して決して厳しく教えたつもりは無いものの否、己に人間の礼儀等無いに等しいしこうきて人型で人間と同じ営みを送っているのも心底不思議でしかない。何時までこの時間が続くか、奇しくも人の子を拾い育てここまでやってきたものだが何時かは手元を離れる時もくるだろうとぼんやり考えていると器用に小さな手を動かして魚を食べる姿を肘掛に頬杖をつきながらぼんやり見つめ。ふと、視線を戸の外側へと向ければ僅かながらに細めそれから再びかの子へ戻すと緩やかに口元に笑みを浮かべよいせと動作重く立ち上がると部屋の隅に掛けられていた狩衣をするりするりと着ていき、だらしなく床に垂れた長い髪を肩口あたりから緩い三つ編みでひと束にして毛先の方で結紐で縛り。囲炉裏の側まで戻ってきては串に刺されたそれを持ち上げ大きな口を開けると鋭い犬歯が覗き、そのままひと口で放り込むとバリバリと骨の噛み砕く音を響かせながら咀嚼して嚥下。満足そうに串を置き相手の頭を撫で乍ひとつ提案をして)
──、どうやら人の町で花市をやっているようだ。お前さんの新しい服でも買いに行こうぞ。
(食べている最中は喋る事もなかったが、然して大きなものではないが小魚とも言い難い大きさのを一口で骨を残さずに自分が食べきれないといった分を食べる様とそこから覗く人非ざる部分に、じぃ、と見据えるのは揺らぎもしない輝きを落とした濁り灰に近い色合いの眼差しで。それも頭に柔らかく掌が触れた頃には瞬きひとつで元の僅かに金を残した和らいだ双眸に戻り、少し遅めの朝餉をややゆっくりと食べ終えてから少し首を傾げて袖元を持ち上げてみたり身を捻ってみたりして今着ている物を眺めてみるものの確かに元々別段上等でもない布地は更に随分と摩耗してきているとはいえ、大きく破れて損なわれている部分がある訳でもなし、着衣に関して質の頓着も持ち合わせてないのでまだまだ着る分には全く問題無さそうにしか思えずにきっぱりと首を横に振って不必要を示し。ほぼ骨のみになった魚の残骸の廃棄と串の片付けに一旦囲炉裏の側を離れながら、ついでに瓶の中を覗いて溜めてある物の残り具合を確かめていき)
いただき、ました。……べつに要らん。けんど、塩、少のうなってよった。醤は……まだある、思う。
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