黒の軌跡〆

ふぇ…？あ…知らないうちにあたし眠っちゃって…やっぱりトレーナーさんの隣に乗ってると安心しちゃうみたいです
(しばらくの間気持ちが落ち着かず、目を閉じても眠れそうになかったが、眠れずにいると相手が知ればまた心配をさせると思い目を閉じて眠ったふりをしていて、そうしている間に気がつけば眠ってしまっていたみたいだと、声をかけられ起こされたことで初めてそこで理解し、なんだかんだでやはり相手のそばにいることで心が安らぐんだろうなと自覚し、ほんの少しだけ気持ちも晴れたようで表情綻ばせ)

そう言われると少し照れるな…あ、これ。コンビニでおにぎりとかパンたくさん買っておいたから後で食べてね
(自分の隣が安心すると言われれば嬉しそうにしながらも照れており、思い出したかのように後部座席からコンビニのレジ袋を取りキタちゃんに渡し、夜も遅くキタちゃんも寝ていたのでまともなご飯食べれてないからたくさん食べ物買っておいたと伝えて)

わっ、こんなに沢山…！トレーナーさんはいつも優しいですね、あたしトレーナーさんのウマ娘になれて本当に良かったなって思います…！あたしもトレーナーさんに走りでちゃんと恩返ししますね！…それじゃあ休み明けにまた…！
(ビニール袋いっぱいのおにぎりやパンを受け取り、中を見ては目を丸くしてから相手に向き直りお礼を述べて、色々自分のために良くしてくれる相手への恩は走りで返そうと自らを奮い立たせ言い聞かせるよう宣言しては、時間も時間なため手短に別れを告げて寮の中へと入っていき)

……キタちゃん、大丈夫？緊張……してるよね？いや、俺の方が緊張してるかも…
(数日後の中山、ついにクラシック初戦の皐月賞の日がやってきて、車を降りてから既にたくさんのお客さんがおりこの観衆が見守る中キタちゃんは走るのだから緊張してるよねと話しかけるも、まさかトレーナーになってからすぐにこんな大舞台に来るとは思わず動揺しており)

……あ、はい！あたしは大丈夫です…！今日までしっかりトレーニングしてきたんですから…！
(胸中にしこりを残したまま本番を迎えてしまい、若干の寝不足と考え事とで相手からの声掛けにほんの少しの間が出来てしまって、自分自身に改めて言い聞かせるような形で、トレーニングでやってきたことをしっかり出し切るだけと胸元で握り拳二つ作って気合い入れるが、かえって無理に元気を出そうとして入れ込んでしまっているような風でもあって)

…とりあえず勝負服に着替えてきて、受付は済ませとくから。レースは夕方だから少しリラックスしててね
(遊園地に行った時からキタちゃんの様子が少しおかしいのは気づいており、少しでもリラックスして本番に望んで欲しいと勝負服が入った袋を渡して控え室で着替えてきてと指示し)

…どうしちゃったんだろう？あたし…テイオーさんも勝った大事なレースの前なのにこんな…
(言われた通り控え室へと移動してから勝負服へと着替えを済ませて、トレーナーに余分な心配をかけさせないよう気を張っていたが、ここにきて一人になったことで自分では原因がわからず全く消化し切れる気配もない感情を口にしながら、椅子に座って深く溜息ついて)

おまたせキタちゃん、やっぱりその勝負服いいね。キタちゃんにピッタリって感じで、レースでも映えると思うよ。
(少ししてから控え室に入室し、勝負服着たキタちゃん見るやべた褒めし、何とか元気の無いキタちゃんを元気づけようとして)

トレーナーさん、ありがとうございます…！……あたしの走りとこの衣装をお客さんの目にしっかり焼き付けるためにも勝って盛り上げて来ますね…！
(控え室へとやってきた相手に衣装を褒められれば嬉しげに瞳を輝かせ、自分にとってもお気に入りのこの衣装を観客にもしっかり見て欲しいと思い、そのためにはやはり勝つのが一番だろうと考えるも、いよいよ本番の時間を迎えても胸の内のつっかえは取りきれず不安を抱えたままのレース出走となってしまって)

キタちゃんなら大丈夫…だってあんなにも頑張ってくれてたんだから……
(パドックでの反応もそこそこ良く、前哨戦のスプリングステークスを勝ってるからか4番人気と上位人気にもくい込んでおり、きっと今までの結果を出してくれると信じてスタンドから出走を見守り)

『勝つんだ…勝たなくちゃ…あたしにとってこれはテイオーさんに近づく為のレースなんだから…！』
(いよいよ出走のファンファーレが鳴りゲートに入れば、ここまできてこれ以上余計なことを考えないようにしようとするが、そうすればするほどに今度は勝たなければという気持ちばかりが先行してしまい、やや掛かり気味のスタートからそのまま2番手追走の展開となって)

よし、バテることなく進めてる！これなら追い上げができる…なっ……嘘だろ！？
(最終コーナー直前まで掛かっている様子ではあったが2番手をキープしており、持ち前のスタミナからか最後の追い比べができるくらいには体力も残っていそうだったのでそのまま声援を送るが……『おおっとと、ぶつかったぶつかった！弾き飛ばされたのはドゥラメンテ、不利がありました！』実況され、明らかにタイムロスがあったドゥラメンテが戦闘に向かって猛追を始めて)

『勝ちたい…！あたしの夢の第一歩なんだから…！』……あっ……
(スタートで少し消耗し過ぎた部分はあったものの持ち前のスタミナと、最後は気持ちで最終直線で前に出たがまだ成長途上であること、序盤に消耗したことなどが重なって最後の粘りが足りず後ろから猛追するドゥラメンテとリアルスティールにもかわされてしまい、3着という結果になってしまい)

……惜しかったね、でも今回ばかりは色んな要素があったから切り替えて、次のダービーに備えようか
(レース後のウイニングライブを終え、2人で控え室にいる中沈黙を破るように口を開き、ドゥラメンテの無理やりなレースやキタちゃんの調子も良くなかったことが重なったからこそ今は切り替えて次の日本ダービー勝利を目指そうとキタちゃんに伝えて)

……あたし、これで本当にテイオーさんみたいなウマ娘になれるんでしょうか……
(終わってしまったものは仕方がない、頭ではわかっていても簡単には割り切れないもので、不調の理由も自分ではよくわからず、よくない方向にどうしても考えてしまえば小さくポツリと、まだ涙の跡が残る赤い目をしながらつぶやいて)

わかんないよ、キタちゃんはもしかしたら遅咲きのウマ娘なのかもだし……とりあえず数日はトレーニング軽めにしてリフレッシュしないとだね
(絶対になれる…とは言いきれず、夏を乗り越えて成長するタイプなのかもという希望を持つという考えしか出てこない自分に苛立ちを覚えながら、とりあえずしばらくはリフレッシュさせて心機一転するしかないなと話し)

…そうですよね、テイオーさんだって苦しい時期も逆境も全部乗り越えたんですから、あたしがここで折れちゃダメですよね。…なんとか調子を戻さないと
(この敗戦で全てが終わった訳じゃないと相手の言葉で思い直し、自分の目標とする彼女は今の自分よりももっと大きな壁を乗り越えてきたのをこの目で見たはずだと次のダービーに向けてしっかり準備をしなければと心機一転し、何をどうすればこの不調を解消出来るのかはまだわからないが、なんとか乗り越えようと意気込んで)

(/この後の展開ですけど、リフレッシュがてらまたお出かけイベントやりますか？そこでまたブエナに遭遇してキタちゃんの様子がおかしくなったのを見てブエナがようやく理由を察して自分たちはそういう関係じゃないと説明して…的な感じを想像してますがどうでしょう？ちなみにこのタイミングでキタちゃん側からの恋心は確定させるつもりです)

…とりあえずまたお出かけでもする？キタちゃんの行きたいとこや食べたいものがあったらなんでも付き合うよ
(キタちゃんと出会ってから、こんなにも元気の無い姿を見た事は無かったので自分でもかなり焦りを感じており、リフレッシュということでまたお出かけなんでどうだろうかと提案してみて)

(/その流れでお願いします！告白イベは菊花賞のあたりでよろしかったでしたっけ？)

…！はい、ぜひ行きたいです！あ…でも、あたしのためにそこまでしてもらっちゃって良いんですか…？
(相手からの提案にハッと顔を上げれば瞳に輝きを取り戻し、また一緒にお出かけできる事への嬉しさを滲ませるが、相手には相手の仕事があるだろうし私的なことにここまで付き合ってもらったりしてもいいのだろうかと少しだけ遠慮がちになって)

(/そうですね、菊花賞勝ってからキタちゃんから伝える感じにしましょう)

キタちゃんのメンタルケアだって仕事のうちだからね。まぁ俺とのお出かけで改善されるならいいんだけど
(不調で困っているキタちゃんのメンタルケアだって立派なトレーナーの仕事だと自信満々に言うも、自分とのお出かけで良くなるならいいんだけどと少し苦笑いして)

(/了解致しました)