ink. 2022-01-01 23:49:38 |
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目を閉じれば、今もあの歌声が耳に蘇る。
それは貝殻を耳に当てて波の音を聴くのによく似ていた。
彼女の掠れ声が遠くからさざなみのように押し寄せて、気がつくと全身が音の海の中に沈んでいる。
らららら ららら らららららら
らららら ららら らららららら
らららら ららら ららららららら
あの日、夕暮れの校舎裏で、初めて彼女の歌を聴いた。
漏れ聞こえる声に誘われるように足を向けたその先で、彼女は歌っていた。
眩いほどの夕陽をその身に受けて、顔のない真っ黒な影になった彼女は、怪物じみた恐ろしさすら感じさせる。
それでも僕は、その姿から目が離せない、目が離せない、目が離せない──
意識がぼんやりと浮上した頃にはもうそこに彼女の姿はなくて、彼女のなぞった音階だけが耳に残った。
その時から、どうしようもなく僕の心はあの鮮烈な光景に囚われている。
彼女の歌う姿を描き出したい衝動に駆られる。描き出さずにはいられなくなる。
それ以外のことが何も考えられなくなる。
らららら ららら らららららら
らららら ららら らららららら
らららら ららら ららららららら
絵筆に白い絵の具を乗せる。
彼女を描くならきっと白だと思った。
今も耳元で彼女の声が響いている。
僕はもっと深いところへと沈んでゆく。
キャンバスの上にあの日が蘇る。
心臓が激しく音を立てている。
眩むような茜色の光線と掠れ声の海に溺れる。
僕はもう、このまま息が尽きたって構わなかった。
【歌う睡蓮】
駿河先輩は一階渡り廊下の自販機横のベンチにいた。
かすかに湯気の立つスチール缶のブラックコーヒーを片手に、遠くの青空をぼんやりと眺めている。その姿は、空気に溶けて消える白い吐息がはかないせいか、今捕まえなければそのままどこかへ消えてしまいそうに見える。
「駿河先輩」
私が声を掛けると、駿河先輩はゆっくりとこちらを振り返る。それから、たった今夢から醒めたみたいに「……ああ、庶務ちゃん」と言った。
「生徒会長が抜け出しちゃっていいんですか?」
「新会長がいるし、いいんじゃない」
駿河先輩はいつものように興味なさげに答える。
今も体育館では生徒会が企画したクリスマスパーティーが行われているはずだ。しかし全校生徒の賑やかな声も、この場所までは届いてこない。
「その新会長が気にしてましたけど」
近づいて指先でそっと触れてみると、彼の座るベンチは驚くほど冷たい。しかし構うことなく隣に腰を下ろす。十二月の心寂しい冷気がスカート越しに肌に伝わった。
「なんだ、会長命令か。庶務ちゃんが自発的に探しに来てくれたのかと思ったのに」
「自発的ですよ、もちろん。駿河先輩がいなくなったのだって、私の方が夜野くんより先に気付いてました」
意味もなく夜野くんに張り合う様が可笑しかったのか、駿河先輩がふっと小さく息を洩らす。
「ほんと、庶務ちゃんは俺を見つけるのが早いよな」
湯気のほとんど見えなくなった缶コーヒーに視線が落ちて、あてのない呟き声が続く。「いつも庶務ちゃんに見つかる」
「いつも必死で走り回ってるだけですよ」
褒められているわけでもないのに何だかむず痒い心地がして、照れ隠しのようにそう返す。ついでに苦情の一つでも付け足してやろうかと考えるけれど、聞いたこともないような優しい声で「分かってるよ」と返答されると、何を考えていたのかすら一瞬忘れてしまう。
「……今日で最後だなんて、まだちょっと信じられないです」
自分の爪先を見つめながら小さく零した声は、思っていたより幾分か寂しげに響いた。一呼吸ぶん間を置いて返った駿河先輩の「そうだね」の声もどこか感傷的で、そのことに少し驚く。
「……あの、駿河先輩。……もしかして、退任で感極まってたりしますか?」
憎まれ口の一つも叩かない彼に違和感を覚えて、おずおずと口を開く。
なんだか様子が、と付け足して隣を窺うと、その先で駿河先輩が言われて初めて気が付いたかのように目を丸くしていた。
「……え」
私が声を漏らすと、駿河先輩は決まり悪そうに視線を横に逃がして、それから伏せる。
「……まあ、それもあるけど」
観念したのか溜め息混じりにそう前置きして、彼は続けた。「緊張してんだよ」
「えっ」
「……庶務ちゃん、さっきと反応同じ」
「いやいや、実はちょっと違うんで……いや、……え?」
揶揄うように言いながら、その顔にはいつもみたいな余裕の表情は浮かんでいない。口を開いては閉じ、開いては閉じを繰り返した後に、困惑した私がかろうじて言葉にできたのは「……な、なんで」の一言だけだった。
「今から好きな子に告白するから」
狼狽する私とは裏腹に、駿河先輩は早々と普段のペースを取り戻したらしい。何でもない事のようにさらりと答えると、いよいよ何も言えなくなった私を横目で見て、小さく息を吐き出す。目の前で浅い白が頼りなげに揺れた。
「……あの時の約束は、もう果たしたわけだけど」
駿河先輩は助走をつけるみたいにゆっくりと話し出す。慎重に言葉を選んでいるのが分かる話し方だった。
「この一年が終わっても、俺が卒業しても、この先どんな進路に進むことになっても。変わらず近くで庶務ちゃんの毎日が楽しくなるように、頑張る……ので」
一言ごとに驚きが予感に、予感が確信に変わって、徐々に鼓動が速くなってゆく。かすかに息を吸う音がして、私を見つめる瞳と目が合う。
「……これから、俺と新しい約束、してみませんか」
きっと私にしか伝わらないような迂遠な言い回しも、珍しく言い淀む様子も、ほんのわずかに震えた言葉尻も。その全てが愛おしく思えて、胸がぎゅっと締め付けられる。
答えなんて最初から決まっていたのだけれど、溢れ出した感情が喉の奥で渋滞を起こして、なかなか言葉が出てこない。
「……じゃあ、次は、無期限でお願いします」
ようやく口にした言葉は自分でも呆れるほど短絡的で、駿河先輩にも「大きく出たな」と笑われる。
「……後悔しても知らないよ」
「しないですよ」
その気持ちに嘘はなかった。何の確信もないけれど、ただそう言い切れる自信があった。
「……庶務ちゃん、もしかして感極まってたりする?」
うっすらと目に涙を浮かべる私に、駿河先輩が顔を覗く素振りをしながら意趣返しのように尋ねる。
「ちょっと泣きそうです」
正直に答えると、そっと鼓膜を撫でるような声で「泣いてもいいよ」と返ってくるから、余計に泣きそうだ。しかし、それをきっぱりと拒否して、彼の方へと向けて口の両端を持ち上げて見せる。
「いいえ。嬉しい時は、ちゃんと笑っていたいんです。……駿河先輩が、安心してくれるように」
文化祭の日、壊れ物に触れるように、けれどしがみつくように抱き竦められた腕を思い出す。心痛を堪えるように吐き出された切ない吐息を思い出す。ただ生きているだけで誰かを傷付けることが恐ろしいと、だから私がそばで笑っていると安心するのだと言った彼の声を、思い出す。
あの時よりはずっと上手く笑えているはずだ。
「……今のはさすがに感極まった」
駿河先輩は戯けたような言葉を選びながら、しかしその表情にも声にも存外言葉通りの色を滲ませている。煙に巻くような言動が彼の一種の照れ隠しであるということは、もう知っていた。
「泣いてもいいですよ」
駿河先輩の真似をして、ほんの少し揶揄うような調子で返してみる。
「しばらく戻れなくなるけどいい?」
「新会長がいるから、きっと大丈夫です」
柔らかな息遣いが聞こえて、雪の降り積もる音にさえかき消されてしまいそうな「うん」の声が落ちる。私たちはそれきり黙り込んだ。ひどく冷えたベンチの上でどちらともなく手を握って、いつまでも止まない細雪を眺めていた。
どれくらいの時間そうしていたのだろう。雪が解けるみたいに手が離れ、「そろそろ行こうか」と駿河先輩が立ち上がる。私も彼に倣って立ち上がろうと手をつくと、あんなに冷たかったベンチも、すっかり温かくなっていた。
「 まただめだった~…… 」
「 よしよし 」
「 うう……もう○○が彼氏になってくれたらいいのに…… 」
「 うん、俺もそうできたらいいのになって思った 」
「 ……、あんまりそういうこと言わない方がいいと思う。好きになりそう 」
「 ええ……、○○から言ったのに 」
「 皆にそう言ってるんでしょ 」
「 うーん、まあ、他の子の話も聞いたりはしてるけど 」
「 えっ。聞いてない 」
「 え、なんで言わなきゃだめなの 」
「 だってそれは……なんか、なんか嫌だ……わたしだけがいい…… 」
「 わがまま…… 」
「 え~、だめ……? 」
「 いいよ。○○が嫌なら○○だけにする 」
「 ……っ、……ほんとそういうとこ…… 」
「 ○○はわたしのこと好きにならないの~? 」
「 俺のこと好きなの? 」
「 そういうわけじゃ……、ないけどさぁ…… 」
「 なんだ 」
「 だって好きになられたら困るでしょ? 」
「 まあ……そうだね 」
「 困るのかよ~!! 」
( 面倒くさいな、この子…… )
( / 恋愛感情分からない男の子と恋多き女の子。話聞いてもらってるうちに好きになっちゃうっていうあれ。下心のない優しさと昔馴染みの特別扱いで落とされて片想いに突入します。 )
「 絶対傷付くって分かってる人好きになっちゃった…… 」
「 ばかだねえ 」
芦屋姉弟のお兄ちゃん:芦屋 湊( あしや みなと )
大学生。現在彼女と同棲中で、実家には住んでいない。生来の大らかさと能力があるが故の余裕が常にある。他者への許容範囲が人並外れていて、驚くほど怒らない。そんな性格でいて、バリバリの理系であってほしい。
芦屋湊の彼女:真莉亜( まりあ )さん
大学生。グローバル系学部在籍。湊くんとは同い年でも年上でも年下でも美味しい。黒髪ロングで目鼻立ちのはっきりとした美人。おまけにスタイルも良い。ただし人並外れた自由人で、思い立ってふらっと一人で海外旅行とかに行っちゃう人。脱いだ服は脱ぎっぱなし、お風呂上がりの髪は濡れっぱなし、物はどこかに置き忘れがち、と興味のあること以外には無頓着。彼氏に全面的にお世話されている、いわゆる残念美人。しかし本人は特に気にしていない。自由に振る舞う代わりに、位置情報共有アプリで知り合い全員に位置情報を公開している。護身術と武術の心得が一通りあるらしい。
芦屋莉生の彼女:愛( あい )ちゃん
莉生と中学三年生の頃からお付き合いしている同級生。現在遠距離恋愛中。ショートボブのふわふわした可愛らしい女の子だけれど、芯の通ったしっかり者。精神的にかなり強い。彼氏との関係は毎日夜に数十分ビデオ通話するほど順調。円満。彼氏のことは「莉生ちゃん」呼びで、最初のうちだけ若干嫌がられたが許容されている。絶対に他の人には呼ばせないので、それが逆に特別感があって当分やめる気はないらしい。モテる男女が順当にくっついた構図。お互い初カレ初カノではない。
\ 雇われ管理人ちゃんの逆ハー(?)共同生活! /
「 管理人の大家です! 」
「 紛らわしい名前してんな 」
「 すみません…… 」
管理人ちゃん:大家 絢香( おおや あやか )
年齢:18~20歳
職業:高校生か大学生
【 オーナーさん編 】
オーナーさん:
年齢:不詳(たぶん20代)
職業:不明
四葉荘の所有者。管理人ちゃんの雇い主。食っちゃ寝、食っちゃ寝して、たまにどこかへ出掛けてゆく謎の多い人。童顔。バイトの募集要項は『家事ができて、他の奴ら(入居者)と揉めなきゃいい』とのこと。
「 あっ、オーナーさん。おはようございます 」
「 ……、飯は? 」
「 残してありますよ。すぐに用意しますね! 」
「 頼む 」
「 ──……お待たせしました、どうぞ 」
「 ………… 」
「 ? どうしました? 」
「 ……おまえ、アレみたいだな。ねこ…… 」
「 猫? 」
「 猫……の、ボタン押すと餌が出てくるやつ 」
( 自動餌出し機だと思われている…… )
採用決定後、ルームツアー中:
「 ……で、ここが…… 」
「 ……!? 」
「 シェルター 」
「 シェルター……!? 」
「 危なそうな奴が来たらここに入っとけ 」
「 く、来るんですか……? 」
「 ……できるだけ来させないようにする 」
( 来るんだ……大丈夫かな、この職場…… )
「 あっ、オーナーさん(わりと童顔だし)高校生の制服着てもまだ全然行けますよ! 」
「 嬉しくねーんだよ 」
全員集まった食卓にて:
「 住み込みで、食費も水道光熱費もオーナー持ちで、手取り20万ってなかなかのバイトじゃない? 」
「 単純に娯楽費が20万ってことだもんなあ、その辺のどーなの? 減給とか考えねーの? 」
「 ……減給してコイツが他のバイト掛け持ちしだしたら、誰が俺の飯作るんだよ 」
「 い、いや、掛け持ちしてもここの仕事はちゃんとやりますよ! 」
「 ……じゃあ減らしてもいいか 」
「 いやおい 」
管理人ちゃんが皆に気に入られすぎて気になるパパ:
「 ……大家 」
「 はい 」
「 あんまり他の奴らに好きに触らせるな 」
「 ……はい? 」
駿河:スタンダードに(?)額とか頬とか耳とかの顔周り
香月:遠いところから慣らしてくイメージで指先
佐倉:初手「好きだよ」を伝えるために唇
直江:不意打ちで始まることが多そうなので背中
蜂谷:ひしって抱きつかれながらの肩口とかがいい
七條:欲望に忠実そうだし心臓的な意味でも胸元とかなんじゃないか
( / 多分御伽話パロ以外でキスの描写すらしたことないのに久々の更新がこんなのでいいのか感はあるけど、始まりのキスの場所。何とは言いませんが。センシティブのラインって難しいよね…これはセーフだよな…? )
『 ルームシェア? 』
『 そう。したいなーって 』
『 ふぅん、じゃ俺しよっか 』
『 ……え? いやいやいや…… 』
『 なに 』
『 身の危険を感じる 』
『 ……は、そこまで飢えてねーよ 』
「 ……って言ってたのに 」
「 そんなん信じる? ふつう 」
「 ねぇ、このあと男友達と遊びに行ってきていい? 」
「 なにそれ、俺が行くなっつったら行かないの? 」
「 行くけど 」
「 じゃあ聞くなよ 」
「 ……行かないなら行くなって言うの? 」
「 言うけど 」
「 …………、 」
「 ……今日行くのやめとく? 」
「 ……うん 」
( / 恋人でもなければただの友達でもない男女のルームシェア。遊び慣れた肉食系したい。日常しつつ重すぎない感じでちゅっちゅしたいだけみたいなところもある。 )
《アストライア》
かつての英雄、生ける伝説の元に、彼を慕う冒険者達が集まってできた正統派ギルド。所属メンバーは十人十色で、どんなクエストを受けるかも個人の裁量によるが、正義感や人助けが原動力となることが多い。チームワークを重んじ、自己研鑽と切磋琢磨を好む、生粋の冒険者達。
ギルドマスター:伝説の英雄(50代ほどの男性)
《ノーウェア》
精霊の加護を授かった大魔導士メアを筆頭に、世界の謎を解き明かすことを目的とした探究ギルド。所属メンバーは言わずもがな研究者肌や魔導士が多く、ダンジョン攻略も非常に戦略的。敵前逃亡への抵抗感もまるでない。基本は薬売り等で生計を立てているが、目的のついでだったり金銭的な事情でクエストもこなす。歴史の古いギルドにもかかわらず、ギルドマスターは代替わりしていないとか。
ギルドマスター:大魔導士メア(見た目は7歳ほどの幼女)
《アルケミスト》
一代で財を成した大商人が設立した、営利第一の商人ギルド。個人主義の者が多く、ギルドへの帰属意識は皆無と言っていい。職人や鑑定士、料理人等、特定のスキルに秀でており、強さは二の次。ただし傭兵といった腕の立つ者も所属しているため一概には言えない。最近できたばかりの新設ギルドで、ギルドマスターも若いため立ち回りに苦心しているらしいが、商人らしい食えない性格と交渉術のせいか傍目にはそんな雰囲気は感じられない。
ギルドマスター:若手の大商人(20代ほどの男性)
《ハーミット》
水面下で暗躍する隠密ギルド。表舞台に姿を見せることは滅多になく、他ギルドとの交流も基本的にはない、謎に包まれた異色の存在。公には依頼できないクエストを受注し、ギルドマスターもお飾りで実質的なリーダーは他にいる、と怪しさ満点だが、実際はただ事情を抱えてひっそりと暮らしたい者達の集まり。ただし身の安全のためには悪事にも手を染めがちであるため、ギルドマスターの善性による最終判断は絶対である。
ギルドマスター:無名の一般冒険者(20代ほどの女性)
《ギルド管理協会》
全ギルドを管理、監視、統括する組織。
( / これは私がギルドものやりたかった時のやつ。メアだけ過去創作の子。ここにぽんぽんキャラクター入れてくのが楽しい。 )
①逆十字に愛を誓って
「 俺の行く末を案じるのなら、祝福をくれよシスター。どうか俺だけに微笑んで 」
禁欲のきの字もない背信の悪魔祓い × 彼の恋人であること以外は敬虔なシスター or 彼に好意を寄せるシスターに憑いた悪魔
舞台は西洋。ファンタジー近代の、キリスト教っぽい宗教。提供は悪魔祓いの能力と大司教のコネだけで司祭まで上り詰めた男。「俺は人質だから」の言通り、平たく言えば大司教の隠し子で、そのことを母親に口止めするため教会に囚われている。教会に反感を覚えていながらも逃げ出せない境遇。軽薄なように見えて愛が重い。
愛するシスターの延命のため憑いた悪魔を見逃しているパターンでも、悪魔の方に恋してシスターの好意を利用し逢い引きするパターンでも。悪魔祓い見習いとして引き連れて一緒にお仕事したり、教会内政治したり、甘々したり。主従/師弟/敵対/異種族/年の差…要素てんこもりの欲張りシチュエーション。
②幽冥を駆ける
「 客? あー……いま手離せないから30分後に来て 」
( がっつり女のひとの胸掴んでるけど、手離せないってそういう…… )
「 ……本当に来たんかよ。……で? 何したらそんなに憑かれるわけ 」
金にも女にもだらしない刹那主義の祓い屋 × 引き寄せ体質の女子学生
現代和風ファンタジー。他の祓い屋でぼったくられ済みの学生が最後の頼みの綱で訪れたマンションの一室。そこで払えない額を提示されるも、途方に暮れたのを見かねて「…ここなら結界張ってあるし、困った時はつかえば?」で無事避難所に。一緒に過ごすうちに惹かれてみたり、一悶着あったり。
提供は19歳くらい。女の子は大学生か高校生。未成年でも平気で手出す倫理観のなさなので、年齢は障害にならない。最後の最後に年齢が明かされて「年下じゃん…!」の展開もおいしいなあとか。物心ついた頃から背負っている〝お役目〟のおかげで別に働かなくても生きていけるだけの収入はあるらしく、仕事への熱意も特にない。投げやりに生きているものの、根のお人よしが度々滲み出る人。
〝お役目〟とは土地の守り神に自分の人生を明け渡すことであり、土地の安寧が約束される引き換えに関わった誰もが自分のことを忘れるため、本人曰く「守り神の身代わりで生きているだけ」の人生。隣の部屋に飾られた赤地に金刺繍の羽織は〝お役目〟を担う生贄の目印で、仕事着。女の子が知らずに羽織るとひどく動揺する。
祓い屋が〝お役目〟を果たす際、彼のことを忘れてしまわないよう女の子が一か八かで以前連れ去られた黄泉の国に自ら潜って、必死で彼女を連れ戻しに行くシーンがクライマックスであったらいいなとか。女の子の引き寄せ体質の原因が守り神と関係あって、双方がお役目と厄介な体質から同時に解放されるとかもアツい。お役目関連はめちゃくちゃシリアスだけど、他は軽めのコメディ路線だと楽しい。
( / 没にした次案供養。まだまだあるけど、疲れたのでとりあえず今日はここまで。 )
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