匿名のなめ 2021-12-25 22:01:06 |
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※こちら、ふと思い立って書いてみた幕間のようなものです。時系列は、初対面時の数時間から数日後。捏造が多々ありますが(なのでアレクについてもこの先ノナメ様側で捏造いただいて全然大丈夫ですむしろ大歓迎です)、これからシャルと親しくなって彼女に甘くなっていく前のアレクの様子のひとつとして、暇つぶしにでもおつまみください。
完全趣味ゆえ、ご感想やお返しを求める類のものではございません。先ほど投稿した背後の挨拶含めて蹴り可ですので、お気遣いなく!
──────
「厳密にはうちの女じゃないから、いくらでも手はつけ放題だぞ」
遠くくぐもって聞こえる喧騒の間から、笑いの滲んだ声が聞こえた。
直後に銃声一発。電話越しでも耳をつんざく甲高い悲鳴が上がり、ガラスの砕け散る音が響く。
「その辺りの〝お代〟も踏まえたうえでの人選だからな。だがくれぐれも、使いものにならなくするのだけは勘弁してくれよ。あれでもかなり重宝してる」
「……あのなりを見て、そんな気を起こすものかよ」
煙草の火を灰皿で潰し、ため息一つで苛立ちを押し殺した。
ギャランテのなかでもこいつは比較的に気さくな男だが、それが過ぎてかえって疲れるのも困りどころだ。
ソファーに腰を下ろし、こめかみに手を当てる。
「御託はいい、さっさと話せ。ペーチャはどういう人間だ?」
「19歳。ルーツは日本。7、8年ほど前だったか、『スピーヴ』で自分をオークションに出してたのを、シモンが拾いあげてきた」
「ダークウェブの人材販売サイトか。……そのころはまだ子どもじゃないのか?」
「そう。日本の養護施設の化石みたいなパソコンから、死ぬ気で這い出てきたらしい。あれは絶対に捕まえておけってあいつがうるさいもんで、わざわざ面倒な養子縁組や袖の下を通してまでこっちに引っ張ってきたんだよ。でもま、大正解だった。4年前のあの大掛かりな脱獄作戦の軍資金、だれが調達したと思う?」
「……」
心当たりを覚え、当時の記憶を細かに探る。
あの頃は確か、デンマークの大企業の口座から一億ドル相当の金が消える事件があった。手垢も足跡も何一ひとつ残さない完全犯罪、しかしその企業の不正のオンパレードを白日の下に晒す置き土産だけが堂々残されていたこともあり、随分世間を賑わせていた。
だがあれは、半年ほど経って、世界的に有名なハッカー集団の仕業だと警察が結論付けていたはずだ。
「察したな」
愉快そうな声。同時に、相手が立ち上がった気配がし、移動する物音も聞こえてきた。
向こうが随分騒がしいからだろう。手負いの獣めいたひとりの男の呻き声、それを冷やかすような複数の笑い声、それに何やら金属棒やらドラム缶やらを扱っているらしい音が、こちらにもずっと届いている。
響き具合からして、通話相手がいるのはどこかの広い室内らしい。が、そこで何をしているのか邪推するのは放念しておくことにした。
「あれの立役者がペーチャだ。彼女のそういう実績は、ほかにもいくらでもある。ここで言えないようなものもな。おまけにプロ意識も一流だ。仕事を落とすこともなければ、成果は毎回120%以上のものをきっちり仕上げてくる。ハッキングとクラッキングにかけちゃ掛け値なしに天才だよ。ま、問題がないわけじゃないが」
「というと?」
「甘ちゃんなんだ。惜しいほどにすこぶる甘い。彼女はうちの飼い猫になって尚、人の心を捨てまいと頑張って、自分の有能さを盾に仕事の選り好みをしてる。そのおかげで古株のハッカーと食い合いにならずに済んでもいるが。しかしまあ、いかんせん健気だよなあ……どうせいずれは火付け役に慣らされるしかないのにさ。うちに関わるってのはつまりそういうことだって、早く学んでほしいもんだ」
「……なあ、嫌な予感がするんだが」
「おまえの物わかりの良さを、俺は本当に愛しているよ」
思わず眉間に皺が寄る。額に手を当てながらうつむき、深く長く息を吐いた。
、、、、
「その辺の情操教育までやれと……?」
「絶対ではないさ。その辺りはきちんとした依頼じゃないから、大した結果が出なくても別に問題はない。ま、お上はそれを期待しておまえを選んだみたいだ、ってのも否定はしないが。いったいどうやってあの爺さん連中を誑し込んだんだ? 俺にも教えてくれよ、おまえのそういう手練手管」
「死ぬほど面倒くさいんだが……」
「諦めてくれ。ペーチャに必要以上の金をかけるわけにもいかないんだ。少なくとも2ヵ月はおまえのところにいさせなきゃならない。何せ、ヘマやらかしたバカの尻ぬぐいでこっちは大変でね。今もヤキを入れてるが、それでどうにかなる問題じゃなくなっちまってる」
ああ、と妙に合点がいった。鈍く響いている苦悶の声に聞き覚えがあると思ったが、道理で。
今拷問されているのはギャランテの下っ端だ。名前は覚えちゃいないが、何度か顔を合わせたことがある。自分のファミリーのやりかたをよく知っているだけに、自分がどういう末路を辿るか否応なくわかってしまい、恐怖のどん底にいるのだろう。……同情はまったく沸かないが。
「そういうわけで、しばらくはそっちで頼む。どうせお前も休みに入ってるんだろ。ペーチャのほうにももう数日は仕事を振ることもないから、彼女とゆっくり過ごしてくれ。というか、今彼女はどうしてるんだ? 家だろ?」
「シャワー中だ。じゃなきゃさすがにこんな話はできやしない」
「女のシャワーは長いっていうよな。なあ、彼女は歴代の中で何番目くらいになるんだ。ジャクリーンが2時間とかだったよな?」
「……とりあえず、ペーチャについておまえが言える情報はこれくらいということでいいか」
「まあな。彼女はあくまで飼い猫で、うちの身内じゃない。だからとりたてておまえに隠しておくようなこともないよ。ああでも、ひとつだけ」
相手が歩きだした気配。そういえば、呻き声が途絶えているのにふと気づいた。ほかの男たちの笑いさざめく声もしない。
「ペーチャはどうにも不安定なところがあるらしい。俺が直接見たわけじゃないが、過去に引き取らせたうちの人間の何人かからそういう報告が上がってる。養護施設育ちだし、まあそういうことなんだろう。自傷癖はないみたいだが、衝動的にいろいろ壊したこともあるという話だから、怪我は──特に両目と両腕だけは──させないよう心がけてくれ。折檻の程度は任せる」
真剣に聞き入っていた次の瞬間、ぱあん、と高い打擲音がした。次いで、先ほどまで私刑を受けていた男の、喉を振り絞るような情けない絶叫。まだ生きていたらしい。
顔をしかめ、携帯を少し耳から離す。
「……聞かずにいようと思ってたが、何してるんだ」
「ん? これか、そうだな。それこそ折檻だよ、愛ゆえの。俺がわざわざ出張ってきたのも、このお楽しみのためだけだったわけだしな。ほら、締まりが悪いと気持ち良くないの、おまえだってわかるだろ? まずは何度か鞭打って──」
「いい、いい。やめろおまえの変態話は。クソ、最後の最後で大事な話をしやがって……とにかく、わかった。もう切るぞ」
「ああ。再来月に飲みにでも行こうぜ、アレク。お互いの──今夜の──お楽しみの話でも──しながら──」
再び繰り返されはじめる、打擲音と男の悲鳴。聞き苦しさのあまり、何も答えず、無言で通話を切った。……耳を削ぎ落したい気分だ。
おまけに頭も痛かった。突然の来訪を受け、責任者の権利としてこうして確認してみれば、やはりペーチャは厄介な性質の女らしい。
情緒不安定な女、とはいえ雇い主の重宝する相手。そんな人間の面倒を見なければならないのは、正直気が重かった。彼女は文字通り世界を股にかけているのだ、桁外れの有能さを推し量れるだけに質が悪い。簡単に追い出してしまえたら楽なものを。
ため息をつき、天井を仰いだ。しばらくそうしていたのち、そばに置いていた箱を拾い上げ、ジタンの新しい一本を取り出す。
ライターで点火。深呼吸して、心地よいむず痒さをもたらす煙を肺のなかに満たしていく。目を閉じ、深く味わいながら、己のなかに澱のようにたまった雑念とともに吐く。ぼんやりと眺めてみればれば、白い渦はかすかな気流に乗って部屋の中を流れ動いた。……浴室の方へ。
「……」
切り替えるしかないと割り切る。どうせしばらくの辛抱だ。ギャランテのほうが落ちつき次第、新しい居候先のほうへ出て行ってくれるだろう。
しかし、それまでは自分の責任下。とりあえずなにか食わせるか、と重い腰を上げた。冷蔵庫にベーコンや卵が残っていたはずだ。パスタ一品で充分だろう、などと考えながら、キッチンに入っていった。
──────
>あのなりを見てそんな気を起こすものかよ
☆紛うことなきフラグ──……!
……へえ、聞いたことない名前。もしかして別のおうちのパパ?
(己の生殺与奪を握られていて尚、人形めいた少女はその瞳を愉快げに動かす。半月の中に閉じ込められた射干玉は、黒の純度でいえばまだ世を知らぬ幼子のソレのよう。勿論、『アニエロ』という名の人物がギャランテにおいて虚偽の存在であることは理解している。只、目前の暗殺者は『雇われ』。覆面の可能性も完全に否定はできない。故に無邪気な視線を巡らせ、自然な疑問を装って言の葉を返す。続いて「そうでなくとも飼い主の名前を違えるなんて、とんだ駄犬ね」と零した。とは言えど相手の言葉が完全に偽かとなると答えは否。指摘されたコインは確かに所持している。電波飛び交う時代にアナログ手法、しかもこんな安易な物品とは何処か馬鹿らしさもあるが、上の爺たちはやけに信を置いている。終いにはこの男も たかが金属円盤一枚を頼りにしているのだから行先が思いやられるのはある意味事実だ。間違っても一緒に堕ちることはないけれど。後ろに手を組むと質問に返答する。要求されたものもお目にかけよう。ただし文句と条件を添えて。)
コインね、ええ持ってるわ。でも渡す相手は決まっているの、知らない人には渡せないわ。
それに……客人の来訪にはせめて出迎えの言葉くらいあるものと思うけれど。この銃は歓待のお心算かしら?
夜分に失礼いたします~*
丁度一段落したところで素敵なお返事の数々を頂戴して、幸な気持ちなりました~、ありがとうございます!
そして予定が思ったよりも早く片付いてしまったので、お返事も平常に近いペースでできそうです。温かいお言葉ありがとうございました~!お菓子持って行きますのでみんなで映画パーティーでも催しましょう!( )
本名イベントについて承知しました!シャルへのご配慮もありがとうございます。折角なのでここのニュアンスの変更で「幹部やお偉い方、危険人物、同業者の情報は粗方調べ尽くしており、その他構成員についてはまだ基本情報のみ(いずれ手をつける予定)」という体にしていただければと思います…!電子レポートやオーダーなどの連絡網はまるっとハックしているイメージです。非常に私特(シャル得)な設定ですが…よろしくお願いいたします。
葉っぱやコイン、ねむ様の用いられるモチーフはどれもオシャレでその都度背後がウワ~~~~~~!!!と悶絶しております(合掌)……一つ質問があるのですが、このコインはギャランテ内における証明書的なものでしょうか…?それとも今回限定のものでしょうか……?
幕間、拝読いたしました。シャルとの交流外でのアレクさんを覗き見することができて終始ニマニマしておりました( )
また、ねむ様の中でシャルが可愛がられているのが感じ取られて、とても嬉しい気持ちになりました~!!浅い闇に漂う子猫、この業界だからこその純真無垢という捉えられ方が解釈一致で頭抱えました……。いいように利用されて絶望しているシャルも見たくなりました…( ) このように素敵に綴っていただいて本当にありがとうございます……!!(親馬鹿)
アレクさんの気になる台詞然り、個人的には、『白い渦はかすかな気流に乗って部屋の中を流れ動いた。……浴室の方へ。 』の箇所がオシャンと情緒が溢れ出ていて、この文章を拝めただけでも幸せ者です、ありがとうございます…………………(土下座) 『今夜のお楽しみ』も唆られるワードで、その後を想像するだけでエヘエヘしちゃいますね……( )
後半は重度気味なオタクと化してしまいましたが( )、素敵な物語をありがとうございました…わたしはねむ様のオタクです……、こちらもアイデアの産声を聞き次第幕間や独白といった形式で少しずつ紐解いていければと思っております……!
ところで『シャワー』というお言葉でふと考えたのですが、ノーメイクのシャルとの邂逅って、アレクさんにとってはかなりカルチャーショックだったりギャップを感じたりするでしょうか……?もし需要あれば教えていただければ……!
……、いいだろう。そこに掛けろ。
(こちらのかけたはったりを、しかし女は笑みながらさらりと唾棄。嘘の在りかを正確に見抜いているのが否応にもわかる声だ。しかも女はそれだけでなく、彼女のほうでもこちらをただでは信用しない、という堂々たる態度を返してみせた──大した度胸の持ち主と言えよう。
少なくとも、直近の危険はない。そう見て取り、銃を下ろすと、そこで初めて彼女から視線を外した。壁際のスイッチを押して部屋の電気を点ければ、薄橙のナイトランプで照らされたそこには、カーペットの上に男ひとりが寝そべれるほどの大きさのソファー、ローテーブル、座椅子がひとつ、向かいにテレビ、その横に小棚。すべて質の良い暗い材質と色調でまとめた、ごく簡素な空間が広がる。
とりあえずは手で示して女に座るよう促し、自分も座椅子を引き寄せて真向かいに腰掛ける。開いた両膝に肘を預け、やや身を乗り出したそのままに、彼女の黒い瞳をまっすぐに捉え。胸元から取り出した古い金貨を机上に置き、彼女の方へと滑らせる──おそらくペーチャは、雇われの暗殺者が与えられている今の数字かも知っていよう。)
ギャランテの専属〝技師〟、クラネオだ。この家はモレロの厚意で、サウロ・フリアス名義で借りている……代わりに、向こうの都合次第で人の面倒を見ることもある。
俺のがこれだ。そっちも出せ。交換して数字を確認、それでいいな。
お帰りなさいませ! 喜んでいただけたようで何よりです。またお忙しい件が早いうちに片付いたとのこと、おめでとうございます、お疲れ様でした! 物騒な舞台の裏で背後も含めのんびり過ごせて、やりとり開始以来とても和んでおります。
ニュアンスの変更、了解です。その辺りの設定はこちらがアレクを動かすうえでほとんど支障がございませんので、この先も追加・変更・削除のいずれもお構いなく。また個人的な考察として、ハッカーとしての専属の暗殺者を長期で雇えるギャランテは枝葉の大きなファミリーでしょうから、末端の構成員まで含めれば2000人ほどの規模ではないかとみています。
コインについて、文中でも少し匂わせましたが、一応の背景として以下を考えておりました。なのでシンプルに回答すると、ギャランテ独自の本人確認方法です。が、いかんせんふんわりとしたイメージですので、シャル側における別事情設定や改変など、是非お好きにしていただきたく!
・1900年代に贋金造りをしていた名残でファミリー独自のコインを所有し、数量限定で保管・配布している(末端構成員には決して配られない)。新規の製造はもうなされていない。ひとりが自分専用の1枚を長年保持することもあれば、機密保持のため定期的に交換させたり、或いは必要に応じて一時的に所持させてから返還させたりするケースもある。いずれもギャランテ上層部における権力や重要度に依る。
・表面にはファミリー創設者の肖像。裏面にはファミリーの紋章のほか、三桁の続き番号を打ち込んでおり、いざ提示させた際にギャランテ上層部が割り振った番号と所有者が一致しなければ、何らかの問題が発生したとわかるようになっている。
・続き番号によってコインの意味が若干異なる。特定の台の数字であれば、ギャランテ若頭、幹部、もしくは彼らに信頼を置かれた者である証であり、野心ある者にとってその数字のコインを得ることがある種の象徴でもあった。ただしこの数字は、やはり機密保持のため一部例外(特定の権力者、または名誉として永遠にその番号の所有者が定まった場合)を除き不定期で変更される。同様に、ギャランテに認められたという証ではなく、ギャランテ専属の外部の人間であることを示す桁も存在し(これも不定期で変更される上、若頭や幹部のコインと混同されない数字であれば、象徴する数字の桁は十の位や一の位であることも多かった)、このコインは信頼の証というより本人照合の意味合いが強い。
そして幕間へのご感想、ありがとうございます。相も変わらず驚くほど速く返してくださっただけでも嬉しいのに、お褒めの言葉の数々があまりにも冥利に尽きます……。アレクとシャルの物語はノナメ様とだけ共有して楽しめるものですので、この先も筆を遊ばせたいときに気まぐれに書くつもりです。ノナメ様のも楽しみにしております……!
シャワーについてですが、おそらくシャルとの好感度によるのではないだろうかと考えています。常に気だるげな上最近恋愛に飽きてすらいたアレクは、女性に対し男のロマンを強く投影するタイプではなさそうな……。普段のシャルを見知っているため「一気に地味になったな」という失礼な考えはナチュラルに持つと思うのですが、元々シャルは顔立ちがかなり整っているでしょうし、好感度が低い状態でも、初見の印象を不気味がっていただけに「こっちのほうが人間味があるな」くらいの感慨かもしれません。
無論、シャルのことを気に入るようになってからはメイク姿も素直に綺麗だと捉えると思うのですが、すっぴんに関してもこう……メイクを落としている=そのまま寝落ちる準備ができている=一晩中付き合わせて美味しい思いをしても構わない、的な意味を見出すようになるのではないかと()。
>また個人的な考察として、ハッカーとしての専属の暗殺者を長期で雇えるギャランテは枝葉の大きなファミリーでしょうから、末端の構成員まで含めれば2000人ほどの規模ではないかとみています。
「ハッカーとしての」は「ハッカーや」です。他にも誤字はございますが、文意を損なう程度の大きさを見て、取り急ぎこちらのみ訂正いたします。
(曰く心理学や認知科学の領域では、見つめ合う秒数で得られる所感や印象についての研究があるらしい。世間では『7秒見つめあうと好意を抱く』という仔羊のための戦略もポピュラーだそうだ。…この場においてそれらが適用されることはなかったが。敵意の弾は発砲されず、少女の額は解放された。男の視線が外れた時、彼女の表情はまるで水のようであった。後ろ姿を目で追い、スイッチに手がかけられると同時に片方を瞑って明順応に備える。どこか温かみのある照明は瞼を柔らかくなぞり、またシンプルなインテリアたちを浮かび上がらせる。生活感があるようで、ない。そんな様子に無意識に、ほんの少しだけ、心を許してしまっていた。暗色で整えられた空間を双眸で観察し、やがてエスコートに従って腰を下ろす。「どうも、ミスター。」コインを取り出すにあたってもこちらへの注意を絶やさないのは彼の職業柄か。データにおいて人物を掌握することは可能だが、このような『生物』は全く予測がつかない。その点においては興味が引かれるというか、何というか。ここで要求に応えない場合の反応も気になってしまう___欲求やら癖をとどめて巾着に手を伸ばし、駒を指すように2枚提示した。生命を天秤に掛けて余計なリスクを背負う時ではない、まだ。瞬きをひとつ。差し出された硬貨を一応手に取り、眺めるが対して時間をかけず直ぐに盤上に戻した。欠伸でもしそうな雰囲気、瞼は先ほどよりも重たげ。)
ふうん、そう。
…確かに。それで、そちらは構わないかしら?
こんばんは~!
詳細のご説明、ありがとうございます。コインは使い回し、もしくは金庫等から引き出して利用しているということですね。承知しました。
シャワーの件について。お返事ありがとうございます。なるほど、ではお風呂上がりなどの描写は好感度上げてからの方が効果ありそうですね。夜の意味が甘く蕩けそうなほど素敵なのでいつかその絡みができればと思います……!
( お返事蹴り可* )
( 労いのお言葉、痛み入ります…!確認ミスでお返事抜けておりました、ご無礼をお詫びいたします。改めまして、シャルロット共々よろしくお願いいたします* )
……ああ、充分だ。
(人形のような女が見せてきたのは、通例とは異なる2枚のコイン。どういうことか、と眉をひそめながら順々に確かめてみれば、1枚は自分と同じ600番台──ギャランテに長期雇用されている〝技師〟を意味する数字であり、これはまったく問題ない。しかしもうひとつは、滅多にお目にかかることのない900番台。つまり彼女は「ギャランテの子ども」、血縁以外の理由で幼いころよりファミリーの庇護を受けてきた者ということだ。
それは確かに有力な証拠だった。ペーチャの正体は謎めいているが、前代のカポ・レジームのひとりが引き取り、電脳戦の隠し球として守り育ててきたという情報なら自分も聞きかじっている──成長した先の姿がこの奇妙な出で立ちの女だとは、さすがに思いもよらなかったが。くわえて、900番台のコインの存在は、ここ数十年という範囲で見てもごく一部の人間しか知らされていない。そもそも、イレギュラーな2枚目を出すこと自体、その意味が通じる者が見なければ完全に不可解なはずだ。実際、自分もこうして久々に目にするまではそのやり方があることを忘れていた。
とにかく、彼女はペーチャ本人だ。後で念押しの電話を入れる必要はあるものの、モレロからコインを預かったのは間違いない。あの男は、こちらが彼女についていくらか知っているのを見越して、揺るぎない本人証明としてこの2枚目を持たせたのだろう。「そのうち子守を頼むかもしれない」という以前に伝えられた言葉も、この特殊なコインで納得がいく。
……つまり、いきなりこの女の身元を引き受ける羽目になったのは否定しようのない事実だという、すこぶる面倒な状況変化が確定してしまったわけだ。
ここまでの思考回路を巡らせるのにかかったのは、彼女の退屈そうな問いかけを耳にしてから3、4秒のこと。目頭を揉みながら絞り出すように唸り、彼女のほうにコインを押し返すと、半身を起こして座椅子に大きく背を預ける。
今夜どころかこの先しばらくの休みの計画が狂ってしまった億劫さは、煙で誤魔化すほかあるまい。青い箱から一本取りだし、向かいの女に何ら遠慮せず火を点けて吹かしながら、数ヵ月ぶりの慣れた口調でまずは説明。──相手がうら若い娘といえど、憩いの地である自分の寝室を譲る気は毛頭ない。生活領域の区別、やむにやまれぬ同居生活であることをはっきりさせるかのように、淡々と告げていき。)
詳しい話はモレロに俺から確認するが……ペーチャ、おまえの生活拠点がしばらくここになるということでいいな。
ベッドはレジデンスの管理人に来客用のそれを持ち込ませるが、今はもう対応時間外だ。だから今夜のところは、とりあえずそこのソファーで寝てくれ。掛けるものは貸す。
空きのクローゼットは玄関の左、バスルームはそこを入って右だ。食事は好きに摂れ、冷蔵庫の食糧が不満なら買い出しは自分でするように。ここを降りてエントランスを出た向かいに店があるから、生活用品はそこで揃えればいい。
リビングで寝起きしてもらうことになるから、仕事のための配線を引く必要があるならこの部屋に頼む。……ほかに質問は?
……把握したわ。ありがとう。
(目の前の男が硬貨を眺め、思考し、そして嘆息する__その一部始終がなぜか面白くて、深い唸りに加えて鈴のような笑い声が場に残される。コインの裏に振られた数桁の番号、これが身分証明の意であることは薄々察している。さっき確認した彼のものは600番台であったから、自分をここへ流した男…モレロと言ったっけ…との間に何か共通点があるのだろう。クラネオと名乗った相手は自分を技師と呼んだ。だが、電子報告書に記された内容はどう汲み取ってもアサシン、他者の命を生業とするものだった。記憶を辿ってモレロのソレを脳裏に開くと人事的な書類もありつつ、中身は似通ったようなモノ。二人の人物だけで解を導き出すのは甚だ早計だが、可能性として保管しておくのは非ではないだろう。彼が苦悶より這い出て所以をこちらへ戻したのをきっかけに考察を中断、再度巾着にしまう。顔を上げるとそこには層雲。やがて大気と混じり霧散した向こうに、煙草を咥える男の姿。…………にしてもやけに鼻につく残り香だ。そういえばこの部屋には独特のにおいがあると感じていたけれど、これ故か。…あ、待って、ちょっとクラクラする、「失礼」、ポケットから綿のハンカチを取り出し、何時ぞやの避難訓練のごとく鼻口を覆う。邪魔している状況においてまさか文句を言えるまい、ただ…馴染むのには幾分か時間が必要そうだ。マスク買っておこう…。いつの間に右下にあった視線を正面へ移し、そんな気も知らず次の説明を始める相手に隠れて口を真一文字にさせた。いかにも回数を重ねた口ぶりは生活の最低限を伝えるもの。つらつらと並べられた言葉をそのまま分析機関に焼き付け乍ら、女に配慮しているような紹介に認知機関はとある仮定を打ち出した。)
二つ。まず、あなたの生活する部屋はどこ?断じてそんな趣味はないけれど、仮に間違えて入ったとしてプライバシーを詮索されるのはいい気持ちじゃないでしょう?それとネットショッピングの宛名をここに変更したいのだけれど。
(どちらも同居人のプライバシーへの保険。裏社会では情報ひとつ重大なピースとなり得るからこそ、こうした断りは当然生じるものだ。にしても前者は、一見矛盾のようにさえ感じられる。他人の裡に滑り込み、あらゆる秘匿を収集する__その行為を否定するというのは自身を否定することではないか。しかしこの理論で詰め寄った時、彼女はたったの一言で問者を跳ね除けるだろう。
「芸術家と犯罪者を同じ秤にかけるなんて、精神性を疑うわ。」)
(女は一言断りを入れ、口元を布で抑えた。やはり煙がきついのだろう、気遣うつもりはさらさらないが。
それにしても随分と上品な所作だな、と密かに彼女を観察する。見かけだけ装っているのではない、昔から身につけているのが見て取れる自然なしぐさ。はたして生まれか、ギャランテの仕込みか、あるいは彼女自身の資質から来るものか。いずれにせよ、奇抜な見た目に反して教育は受けている、もしくはそれに類する素養の持ち主であるらしい──と、同居人に関する情報を頭の中に追記していく。なにかしら信頼できる点をまずひとつ見いだせたのは、悪くない。
こちらの説明を聞き終えた彼女ははたして、想定にたがわず思慮深い質問を投げかけてきた。二つ目の質問には、やはりどうしても危機感から正直に顔をしかめてしまう。だがしかし、それこそ改竄や隠蔽を生業とするプロ相手に不用心を懸念するのは、あまりに無粋な思考だろう。ギャランテの様々な家主の隠れ家を転々としているという噂が本当ならば、その手の備えにも慣れているはず。ゆえに、視線を外し、うなじを軽く?きながら信用の旨を告げる。)
俺の部屋なら、そこの黒いドアの向こうだ。見ても大したものはないが、そうだな。無遠慮に踏み込まれるのを歓迎しているわけでもない。
買い物のほうは……〝今まで通り〟の措置をしてくれれば、取り立てて文句は言わない。とは言え、大きく嵩張るもの、俺の許可しない業者を入れる必要があるものは不可だ。そのあたりは、だいたいはわかるな。
(と、言うだけ言ってしまうと、反応を待つでもなく口元に手を添え、再び深々と一服。それからやおら立ち上がり、質問を受け付けたのだから話は終わりだと言わんばかりに、浴室の方角へ頭をわずかに傾け。彼女の端正な顔──最初のあの瞬間よりは異様な印象がいくらか和らいでいた──を最後にちらと一瞥すると、就寝の挨拶もなく自室に姿を消してしまい。)
今夜はもう遅い。シャワーを浴びるなら先にしてくれ、その間にそこに毛布を出しておく。……何か困ったら起こしてくれ。
確定ロルじみた展開で一日目の終了を示唆してしまいましたが、ストーリーを進めるためのものとしてご容赦いただければ幸いです。ノナメ様のほうでもこの先同じようにしていただいて構いません、むしろ大歓迎です。
また、現段階のアレクのシャルに対する好感度はごくわずかに上がった程度ですが、二日目以降は背後も展開づくりにより励み、様々なきっかけで彼女にどんどん甘くなっていく結果、まずは例の口移しに至る予定です。出会いのころだけはどうしても遅々とした進みですが、親しくなるまでの実は短いレア期間ということで一緒にお楽しみいただければ……!
(___翌朝。未だ目に新しい部屋の様子と、カーテンの隙間から差す白い光に幾度か瞬きをする。黒い色調を森と喩えるならば固く結ばれた腕の中にPC、ほのかに演出された寝顔の脇に携帯端末を寝かせる少女は機械仕掛けの姫君か。彼女は小さな従者を手に取る…朧な視界で確認するに今日もまた仕事の予定はなく。このまま誰とも知らぬ救い他人を待って二度寝に耽るのも妙案だが、その望みをかけられるほどの存在も、また自身の気性も持ち合わせていない。神様も何も助けてくれないことは身に痛く刻まれていた。…ふとソファーに顔を埋めて染み付いている人工的な自然のにおいを鼻腔に満たしてみるが、やはり押さえ切れない声が 覆った手のひらの下より咽び出ただけ。そうしてゆるり背を浮かせた行動的な眠り姫は最低限の身嗜みを整え、改めて自身の形を整える。相伴に適当なクラシック音楽を選り、音量を調節して据え流しにさせた。優雅で完璧な音楽と、それを理想とする不完全な自分。夢見心地でいつづけられたらいいものを__酔いが醒めてしまう前に、急いで。もう一度魔法をかけた。その額に、目に、頬に、口に。朝の7時、窓の外ではコマドリが軽やかに鳴いている。
甘く、それでいて艶やかに描かれた作品はその小さな唇に露をのせて完成した。鏡という額縁に収まったかんばせはわたしだけのモナ・リザ。誰よりも愛らしく、誰からも愛される美しさに微笑みを。)
(優しく髪を梳き重力を侍らせる。そしてラフなルームウェアから普段のシャツワンピースへと着替えた。机上には幼い頃に隠し取った焼き菓子の空缶の宝箱。今は所有するアクセサリーたちのお家となっているソレから、いくつかの子を摘み上げて外界へ導く。ぱさり。ぱちん。静かな空間に響くどこか官能的な音。最後の一つが止めば、猫の如く背伸びを。吐息、荷物から数種類サプリのボトルを取り出し、バーテンダーの真似をして並べてみたり。水を持ってこようと台所へ。)
こちらもサクッと飛ばさせていただきました~!なかなかパーソナルスペース固そうな二人ですもんね…、どんなアレクさんも総じてすきである確信しかなくて、少しだけ名残惜しい気分です()
ですが甘々になったアレクさんに意地悪してみたいなぁ、なんて邪な考えも浮かびつつあるので、牧羊犬のごとくじわじわ囲みつつ物語を進めていきたく思います。一先ず料理スキルの露見フラグを立ててみましたので、よろしければご活用ください~!
(仄かに聴こえてくる壮麗な音色で目覚めた。夢を見ていたはずだが何も思い出せない。流石に初日とあって一応は警戒し、仕事明けにも拘わらず浅い眠りにとどめていたせいだろうか。
倦怠感を覚えながらもブランケットを軽く?いで半身を起こし、手始めにゆったりとした一服。朝食後に吸うつもりの二本目も予め取り出したところで、壁の向こうで流れる音楽にふと意識が向く。なんだったか、バレエ曲の……眠れる何たらのワルツだったか。再生しているのは当然ペーチャだろう。あの女はクラシックが好きなのか、とまたひとつ知識を得ながら、しばしのあいだ、煙が渦を巻く中で優雅な調べに耳を澄ます。
だがしばらくするうちに空腹をおぼえ、昨夜は夕食を食いっぱぐれていたと思い出した。数日は休みになることだし、突然の居候相手に必要な対処をとっていくうえでも腹ごしらえは重要だ。久々にしっかり作ろう。そう決めると、習慣によって上には何も着ないままベッドを降り、部屋のドアを押し開けてリビングへ。
弦の美しい音色が奏でられるなか、まず目に入ったのは、ローテーブルの上に並べられた、錠剤入りのボトルの数々だった。瞬間、顔がこわばり、それまでの寝起き特有の茫洋とした気分が吹き飛ぶ。大股でずんずん歩み、断りもなくそれらを手に取った己の脳裏に浮かぶのは、白目を剥いて嘔吐しながらのたうち回る女の姿だ──護衛のため迎えに行った晩、大量のMDAでオーバードーズし血反吐を吐き散らかしていた、ギャランテの男の愛人。
結局は徒労に終わった介抱、死体の処理に部屋の清掃、報告に釈明、火消し。あのときはとにかくすべてが大変だった。昨夜のペーチャの様子からはそういった方向の気配は全く窺えなかったが、しかし、まさか。ラベルの情報に目を走らせ、オピオイドやベンゾジアゼピンといった決定的な文字は見当たらないのを確認する。……どうやらペーチャの所持する錠剤は、いずれもビタミンやカルシウム、鉄分などを摂るためのただの栄養剤らしい。とはいえ、中身が本当にその通りならばの話ではあるし、これらだって大量に服用すれば危険がないとも限らない。
彼女の気配がするキッチンの方向へ顔を向けると、私物に触れたことを詫びる様子もなく、詰問するような声。)
……おい、ペーチャ。これは何のためのものだ? 何かしらの持病があるなら俺に話せ、重要事項だ。
フラグありがとうございました! 少々シリアスな反応をしておりますが、まだ彼女をよく知らない+裏社会では錠剤の悪い使い方のほうを身近に見てきた、ということでご容赦いただければ幸いです。
また、いただいた展開を受け、今後の展開について提案です。あまりガチガチに決めるのも……と思っているので、様子次第では路線変更やアドリブももちろんアリアリとしつつ、美味しいシーンを楽しむためのガイド線のようなものとしてご検討いただければと。
ここをこう変えたい、こういう展開はどうだろう、といったご要望ももちろん大歓迎です。
?シャルの料理スキル解明後のアレクは、 ①好感度がまだ高くはない ②生来の面倒嫌いな気怠い性格 という理由から、自分が食事を作ったついでに食わせる程度はするものの、彼女の食生活に干渉するか否かまではまだ決めあぐねる状態。
?しかし翌日シャルが熱を出し(※なのでもし諸々が採用の場合、季節は初秋頃?)、彼女用のベッドの取り寄せがまだできていないことから、さすがにアレクのベッドで寝かせることに。この成り行きから互いの体に触れたり、アレクの寝室に呼んだりすることへのハードルが低下。
?シャルの体調不良は極端な食生活による免疫低下だとアレクは判断。 ①アレクが仕事で家を空けることもある以上、ひとりで倒れたりするのは困る②毎食作ってやるほどの面倒は見ない という理由から、シャルに料理を教えることに。
(生命感の不存在はリビングルームに限ったものではなかった。更に奥地へ踏み入れた彼女、その面に浮かぶのは唖然、やがて感心。稼業の特徴もあり成程ミニマリストじみているとは感じていたものの食器の類も含まれるとは予想外だった。のっぺりとした印象のキッチンに乾燥したシンク…どれも清潔であるがその様子は暗殺者の雰囲気をそれとなく想像させて…………考えすぎか。数瞬間思考のために立ち尽くした後、収納の戸をいくつか引いてコップを探す。調味料、調理器具、三つ目に手を掛けた時___事件は起こった。
これまで面倒をかけた相手たちは何となく夜型が多く、それ故コミュニケーションは殆どなかった。別に期待し、歓迎していた訳でもないが。邪魔しているとはいえ裏社会の人間。「深淵をのぞく時、深淵もまたこちらをのぞいているのだ」というニーチェの言葉然り、必要以上の関わりは不要。相手の名を知っていながら、当たり障りのない敬称で呼称するのも同様の理由だ。今回もその判断基準に則した上で顔を上げ挨拶をした__しようと思った__男が裸体でなければ。彼の名誉にかけて言うと上裸である。しかし彼女の視点からはキッチンの構造上、下半身は見えなかったのだ。要するにダビデ像に似たものを思い描いてしまったそうだ。その方面の免疫は皆無に近い。彼女を許してほしい。)
随分早いのね、おはよ……ってちょっ、ちょっと服着て!まっ、はれんち!!!
(上記叫んではそれだけで顔は赤い風船をそのまま膨らませたようになったが、追い打ちをかけるように想起した…机の上に宝箱を置いたままにしていたことを。幼きフラッシュバックが過ぎる。それからは雷光のごとき速さ。昨夜の緩慢な方針とは真反対にターゲットを奪取、及び安息の地への帰還。リアルFPS、距離にして往復数メートルもないだろうに様々なショックが所以して息も絶え絶え。合間を縫ってようやく聞こえた、「なんのためのもの」?えっ、あぁ、自分の食事を何か深刻そうに観察しているらしい。正直言ってこちらは即返事ができるほど穏やかな状況ではないのだが、聞けば声色が声色だ。脳内ウィンドウはエラーとパニックで文字通りショート寸前、半ばオートシステム化した理性が回答を編む。)
何って、食事よ。疾病は特にないわ。
(胸式呼吸をする毎に慣れない空気が肺胞を満たす。余り大袈裟にしたくもないので、深い呼吸を繰り返して誤魔化そうと試みる。端末からは只のびのびとワルツが流れていた。)
アレクさんの錠剤へのシリアスなお返事に対し、こちらはシャルのピンク免疫皆無による怒涛かつギャグじみた返事になってしまったこと、深くお詫び申し上げます。。。オーバーロードで発熱展開を考えておりました…
もしご気分を害されたり、萎に該当したりすることがございましたらお申し付けくださいませ。即座に訂正させていただきます!!
看病シチュエーションということでしょうか…?是非ぜひ!むしろ私得すぎる展開で、構わないのか恐れ多い気持ちです…() ねむ様のお好きな仕草やシャルにしてほしいことがあれば何でも仰ってくださいませ!!
解明後の流れもご提案のままに進めていただければ…!お料理教室から、シャルの手作りイベントなども発生させられそうですね!! (鼻息)
(振り返ってこちらを一瞥──途端に大きく見開いたその瞳をちらり、おそらくは反射的に下げてしまったらしい彼女は、顔を真っ赤にして甲高い悲鳴をあげた。その予想外の反応に、思わず唖然と立ち尽くす。すると少女は不意に静止。虚空を見つめて顔色を失ったかと思えば、電光石火の身のこなしでキッチンを飛び出し、ローテーブルに置いていた私物らしき箱をかっ攫うと、そのまま再びカウンターの奥へ引っ込んだ。……まるで警戒心の高い野良猫が、獲物を咥えて逃げ帰ったかのようだ。
本気でわけがわからず、肩で息をする彼女を前にして露骨に眉をひそめてしまう。なんだ、こいつは。昨夜対峙したペーチャと、本当に同一人物か? 少なくとも見かけだけはそのはずだ。異様に作り込まれて見える美貌も、愛玩人形じみた独特の系統の華美な服も、数時間前闇の中にいたあの女と確かに変わらない。だが今、カウンターキッチンの向こうで必死に呼吸を整えている彼女、その狼狽えた横顔には、プロの殺し屋すら硬直させたあの強烈な魔性はなかった。ただの、どこにでもいるごく普通の少女。なぜ己の部屋にいるのかわからないくらい、あどけない生娘だ。
なんだか毒気を抜かれてしまい、調子が狂うのを誤魔化すようにボトルを置いてうなじを掻いた。とにかく判明したことがある。この様子を見る限り、彼女は別段、不穏なことをしでかそうとしていたわけではないのは明らかだ。その返答を聞くにしても、どうやら一日の必要栄養素を普段からこれで賄っているらしい。まるで理解はできないが。錠剤をボリボリ齧って腹を満たす、ということでもなかろう。
食事とは単に栄養が摂れればいいというものではない、ということを教えてくれたのは、15の頃に世話になった台湾人の老爺だ。……錫山爺さんなら、若い娘が粗食以下で済ませる横で、大の男である己だけが湯気の立つ料理を頬張るなど決して許さないだろう。先ほど彼女が血相を変えて回収した箱の中身が気になりはするが、とりあえずは後回しでいいと判断。ため息をついてペーチャに目を戻し、有無を言わさぬ口調で宣言。)
……10分待て、今から飯を作るから。流石にその「食事」を知った後じゃ、俺の朝食が不味くなる。アレルギーの類は?
(言いながら、彼女から己がどう見えているかには頓着せず──上裸如きで大騒ぎするのは流石に箱入りが過ぎるだろう──キッチンに向かう。完全に切り替わった頭はまだ冷蔵庫にある食材を思い出すのに忙しく、少女の様子を深く顧みることを忘れて。)
萎えどころかギャップで激萌えですし大爆笑でしたwwwww 「彼の名誉にかけて言うと」の下りから文才が飛びぬけててもうずるい、優雅なワルツを一気にギャグ要素に取り込んだのもお見事すぎて。何度も楽しく読み返させていただきました!
看病シチュ派まさにそうです、ノナメ様にとって得なのでしたら是非思いっきり堪能してくださいませ。要望についてですが、最初は自分でどうにかしようとしてふらつきながら動いたり、しかし本格的に弱ってきたら心細さをぽろっと見せたりするなどの「幼かったころの孤独なアレク自身を彷彿とさせる要素」があると、乙女ゲーでいう好感度が軒並み爆上がりする予定です。
提案採用もありがとうございます。手作りイベントとても楽しみ……美味しくてもやっぱり芸術的()でもそのころのアレクはもう楽しむのが間違いないんだな……。あとはいずれ、逆にアレクが倒れたケースでシャルに療養食を作ってもらうという展開もできたらいいなあと願望を膨らませております……!/蹴可
(ただの空き缶とも見て取れる宝箱を、まるで己の命そのものだと言わんばかりに胸に抱く少女。帰りっぱなしで壁の方を向き顔を俯かせていたが、男の気配が近付くのを感じ取ってはこの状況を続けられないことを予感する。先程の疾風迅雷の身のこなしによってひとつ懸念は取り除けた。しかしもうひとつ、瞼にこびりついている悪夢。相手の裸体を目の当たりに羞恥十割で隠れられていれればある意味純粋ともいえようが、そうはさせないトラウマがあった。それはまだ生家にて養われていた頃、父親から受けた性的虐待の記憶。あれから10年経ち、復讐にギフトを贈ったりと少しは精神的にも立ち直れたものの、まだまだ道のりは長い。……でも、それでも、ここで蹲って震えているというのはあの毒親に今なお縛られていることの提示に相違ない。悔しい。何より腹立たしい。腹の温度が沸々と上昇していくのを感じる。女は、激闘に立ち向かうように歯を食いしばり膝を立てた。呼吸はだいぶん落ち着いたが、最後に深呼吸を。くるりと振り返った表情___その面に白い牙は見られず、ただほのかに赤い痕がのこっているだけ。だってそんなの、可愛くないもの。)
(そうして世界に踏み出した彼女……の目は瞑られている。これが最後のささやかな抵抗。この部屋とキッチンは何度も観察したし、大体レイアウトは把握している。だからと言ってセルフお化け屋敷ではあるまいし…百歩譲って愛嬌と呼んだとしても余りに素っ頓狂な様子である。けれども彼女にとってはこれが最善手であり、手を突き出して光の中を歩くというのも勇姿なのだろう。転げはしないものの覚束ない足取りでキッチンを脱出、手探りでキャスターケースの近くまで歩み寄ると静かに手の中の我が子を寝かせる。次にソファーへ向けてのろのろと出発し、昨晩寝る用にと貸されたブランケットの感触を得ればしっかりとそれを手にして。最後に飯を作るという宣言の音源を辿り、体操隊形に開いた直後の距離を測る動作を行って相手とのディスタンスを確保。むんずと握った掌ごと目の前(おそらく)に差し出してこちらも負けじと宣言した。)
ないわ。でもその前にその露出をどうにかして。はしたなくてとても見てられない。
ああ……それと、うさぎりんご。よろしくね?
(瞼を閉じているからウインクはできないけれど。そう見えるかのように口角を上げた。)
わーー!!様々な嬉しいお返事に安心を通り越して心がジャンプしました…。今回もですが、過去描写などで少し重暗かったり生々しかったりしてしまう可能性がどうしても生じてしまいますので、もし「うっ」となってしまわれたらお声かけいただければと思います…!
ご要望承りました~!次レスから少しずつ熱っぽい様子を織り交ぜていく予定です*
バレンタインやクリスマス、もしくはお誕生日やなんてことない日のサプライズでも、どの場面でもキャーとなります ( ) アレクさんの看病……想像するだけでエヘエヘしてしまいますね………その頃にはシャルも人間の食べ物を作れるはず……筈です!(
こんばんは、お久しぶりです!
現在リアルが忙しく返事が予想以上に遅れてしまいそうなため、まずはそのご連絡をさせていただきます。申し訳ありません、今しばらくお待ちくださいませ。
重い設定は大歓迎ですのでお気になさらず、むしろガンガン作りこんでいただければと思います……!/蹴可
ねえ、わたし、とっても ふしぎにおもうの。どうして、みんな とうめい なのって。
おそら ってとうめいなの。
いっぱいてをのばしてもとどかないの。すきとおる、ってゆうんだって。
いたい ってとうめいなの。
ほっぺたがじーんってするのって、むしょく なの。からだがきゅってするのもだよ。
すき ってとうめいなの。
あったかくて、ぽかぽかするんだって。めにみえないんだって。もしかして、いたい って すき なのかな?
どうしてとうめいなのかな。もしも いろ があったら、たいせつにしたりだれかにあげたりできるのに。どうしてなんだろう。
ねえ、あなたはどうして とうめい なの?
(覚えたてのようなどこか歪な文字が身を寄せ合って言葉を紡ぐ。特に「ね」は一画目の縦線に山頂が急接近していた。文章は2Bの鉛筆で書かれたようで、一番最後には何やら消しゴムを用いた跡が。僅かに滲んでいるその箇所は、はっきりと判別できないまでもおおよそ7~8文字だろうか。紙はところどころ淡朽葉色に染まっている。)
-きらきら星変奏曲 モーツァルト
(連投失礼いたします)
お忙しい中ご連絡くださりありがとうございます…!
何かお洒落な文章でも…とあれやこれや捏ねくり回していたらお返事が遅くなってしまいました……。文章については追憶ということで、独白やら休日の様子の類とは趣が異なりますが、シャルロット・セディフという人間を紐解く材料としてお楽しみいただければ幸いです*
ご多忙の旨、かしこまりました。お帰りゆるゆるお待ちしておりますので、どうぞご無理なさりませんよう…!最近は一段と冷え込む日々が続いていますから、ぽかぽかあったかくしてお過ごしください。ホットチョコレートとかいいなぁと思いつつ、甘すぎるようでしたらモーツァルトでマティーニでも…なんて( ) ではでは、失礼いたします~!
お久しぶりでございます………!
先日ふっとこのお部屋のことを思い出して、懐かしくなりコメントしました…!
約半年ほど経ちましたが、シャルとアレクさんの物語も、2人のことも、ねむ様も全て大切な存在です~!改めまして素敵なご縁をありがとうございました (!)
冬から夏へと季節が移り、真夏日の続くこの頃ですがどうぞお体にはお気をつけてお過ごしください。もし叶うなら、またお会いできますように*.
バレンタインが近いから なんて完全な言い訳で、ただの自己満足でこれから告白を重ねること、どうかお許しください。
お元気…ですか?この頃は三寒四温どころか 更にスパンを短くしたような、不安定なお天気ですね。お身体など壊されていないでしょうか。わたしの方は、首が埋まるほどの厚着をして外出して、やっぱり震えています (
月日の流れは本当に早く、もう3年。まだ3年。毎日とは言わずとも、このアプリを再インストールするといつもブックマークの1番底にある此処を確かめていました。文字にすれば二ヶ月程のやりとりだったのに、なぜか帰ってきてしまうんです。溢れそうになると各所に呟いてみたりして。こんなに執着してしまって、ごめんなさい。ごめんなさい、大好きなんです。
ねむさんから生まれる言葉がだいすきです。まるで映画を見ているようなテンポと空気感、言葉のチョイスひとつひとつがまるで彫刻物のように立体的で、アレクさんの生活を構成している。同時にぬくもりもたっぷりで、ねむさんのお話の中に出てくる皆さんは生き生きとしていて温かいんです。たとえ非道の最中でも、彼が浮かべる表情や心象を想像すると、ちょっぴり楽しくて親しみを感じてしまう。ねむさんの中で生きている彼らが、そしてその姿を捉えて紡がれるねむさんのことばが、大好きです。
アレクさんが、大好きです。お声掛けくださった時のたった一文の人物像に今なお心を奪われています。次いで端正に考え抜かれたPFを拝見した時、全身を貫いたあの衝撃を、わたしは一生忘れられないでしょう。ハードボイルドの中を器用に歩む背中と無意識の情の働き__おかげさまであの日からずっと年上のイケおじ好きになってしまいました。( アレクさんはピチピチのアラサーですが…!! )責任とってください、なんて。( 笑 )
でも……アレクさんのパスタ 食べたいですし、一緒に眠りたいし、副流煙で肺を満たしてみたい。そんなことばかり考えてしまいます。シャルとアレクさんの過ごす時間を___、
ねむさんが大大大好きです。ねむさんの内にある世界と見せてくださる景色が、本当にだいすきで、幸せで。ホーム画面の1番上にここの名前を見ては何度胸を弾ませ、お返事を読んで幾度神やら全世界に感謝したことか。物語の方では緊張漂う雰囲気なのに対し、背後会話ではたくさん笑ってときめいて、救われて。リアルでどんなに辛い出来事が起きても、ここにはアレクさんとシャルがいて、何よりもねむさんの言葉と存在があったから今日のわたしがあります。ねむさんと出会えたこの喜びを言葉で表すことがとても困難なくらい。感謝してもしきれません。
だから、ねむさんが健やかで温かな暮らしの中にいらっしゃるのなら、わたしにとってこれ以上嬉しいことはないのです。どうか今も、これからもそうあってほしいと願っています。( ネット上の人間にこんなこと言われても戸惑ってしまいますよね、ごめんなさい )
3年前の残像を追いかけて一方的にお気持ちを浴びせた挙句、ねむさんとの このお部屋に特大のお荷物を据え置くことになり、……どのようにお詫びしたらいいのやら、と今更。もし億が一の可能性でここまで読んでくださったとしたら、どうか記憶の邪魔ににならないよう対処いただけると幸いです。(
見てくださり、そして愛おしいあの時間を、ありがとうございました。
……やっぱり嘘です。とってもお話ししたい。シャルとアレクさんの日々を綴ってみたい。ねむさんに会いたい、です!( 重 )
進行の速度なんてどうでも良いです、以前と何かが変わっていたってなんの障害にもなりやしません、
もし、気が向いたら__、もしねむさんの幸福のご迷惑にならなければ_____お待ちしています *.
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