主(賢さG) 2021-12-15 19:00:34 |
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ふむ、なるほど…概ね予想通りといったところか。…であれば、まずはカフェは自分の走りの特性を完璧に理解する事から始めなければならない
(夜のグラウンドで見かけた時のお友達を追いかける事に固執していた彼女の走りを思い出して。あれこそが今の彼女の本質であり、レースにおいても地力の強さとその本能に任せた走りであそこまでの実力を発揮し選抜レースの勝利に繋がった。自身が立てていた仮説通りの返答に納得して頷くと手元のノートへと今得た情報やらを書き込んでいき。「感覚や本能、勝ちたいという闘争心はレースにおいて力になるし、そういったものを頼りに走って勝ててしまうウマ娘というのがいるのも確かだ。だがカフェ、君には是非とも己自身を知った上で律し、レースの流れを支配出来るようなウマ娘になってもらいたい」いわゆる感覚派のようなウマ娘は間違いなく存在するし、そういったウマ娘の中にも高い実力を備えたウマ娘がいることも疑いようのない事実だが、彼女には今のスタイルを脱却しそれらとは一線を画す存在になってもらいたいと言い。そのために己の限界や走りの性質といったものを完璧に理解した上で与えられた作戦を遂行するための走りを体現出来る様になって欲しいと言い)
私の特性を理解し、
レースの流れを支配する、ですか…。
( それが今の自分に必要な、最初の目標だと知ると、正直ぱっと考えても何をすればいいのかわからない。それにずっと彼女のために走ってきたのに、未だ自分の走りなどを理解できない自分としては、その目標というのを前に少し先への不安が出てくる。でも、自分には下がれる道などもうないことは理解しているし、最初から困難が出てくることくらいは覚悟していた。下を向けていた顔を上げ「…わかりました、頑張ってみます。」と真っ直ぐそう答えた )
…でも、その為には何を…?
( 頑張るとは言ったものの、やはり具体的に何をすればいいのかわからなかった。彼にはもう既に何か案など出ているのだろうか、と首を小さく傾けながら )
その為に必要なのは時計の感覚を徹底的に身体に教え込むことだ…そこで、だ…カフェ、今日からでも明日からでもいいがこれから毎日トレーニングとは別に自主的にグラウンドを五本走り込んでこの目標タイムに近い走りが出来るように試行錯誤をしてもらいたい。そして、そのタイムを毎日記録して俺に提出してくれ。ちなみに速過ぎても遅過ぎてもダメだ、やれるか?
(最終的な目標はそうなることが理想だが、勿論いきなりそんな風になるのは難しいということは、彼女自身のいまいちピンときていない様子からも明らかであり、それはこちらも理解しており。慌てず少しずつステップアップしていくつもりであることを説明し、その為に必要な力を身につけるための自主練習を提案すればタイムを記録するためのノートと目標タイムを記したメモを手渡して。メモに書かれたタイムはレースをそれほど走ったことのないウマ娘でもわかるぐらいには大して速いタイムではなく、トレセン学園に入学を許されたウマ娘であれば誰でも出せる程度のタイムが記されていて。「君はこれまでお友達を追って走ってきた…それがいきなり自分自身の走りと己の力のみで向き合わなければならない、これは見かけ以上に難しいぞ」恐らくタイムを見て彼女も疑問を覚えることだろうと思い思考を先回りしようと、これまでとは正反対のことをさせようという意図があると説明を付け加えて)
難しい…そうでしょうね、今まで私は…私を見てこなかった、見ようとしなかった。…そんなのがいきなり、己の力だけを頼りにしろ…何て、無理な話です。
( お友達を追い掛けない走りをする、目標への達成に必要なものを得るにはここから未知のことばかりが待っていることだろう。ただもしここでやらない、投げ捨てた方がもっと怖い。また自分を閉じ込める様に狭く暗い場所に、何もかも塞ぎ込む様に閉じ篭ってしまったら…それがきっと走るウマ娘としての姿も、これから生きていくウマ娘としての姿も終わりを迎えてしまうだろう。彼女も二度と現れなくなってしまうかもしれない。そんな道を走るくらいなら、と答えは決まっていた。「…それでも、やります。やってみせます。」と真っ直ぐ、はっきりとそう返した )
…今日から、やりましょうか。
( 明日からでもいいと言われたが、今日からそれを試したいといった様子で。やる気の方も、体調も問題ない。朝から飲めなかった珈琲も飲めたので、トレーニングもスムーズにできるだろうと )
高過ぎるハードルを置いてしまったかと思ったが…そうか、やってくれるか。…君は君自身と向き合うことでまた一つ強くなる、その先で君のお友達は待っていてくれるはずだ
(ある意味ではこれまでに彼女がやってきたことを真っ向から否定してしまったような格好になる。仮にこんなやり方を容認出来ないと言われてしまえばそれまでであり、また別のやり方を考えなければとも思っていたが彼女が無事難しい道を歩む選択をしてくれたことに満足げに、うんうんと頷いて。確かにこれからやろうとしていることは今の彼女にとっては中々に酷な道ではあるが、それでもきっとこれによってまた一皮剥けるという確信もあり、そうして一歩ずつ着実に進んだ先で彼女のお友達は待っている、関係ないように見えて繋がっているはずだと、彼女のお友達のことについてはまだよくわからないことも多いがなんとなく彼女の成長を楽しみにしていてくれているような気がしてそう言って)
…はい、きっと…彼女はその先に…。
( お友達はその先で待っている、その彼の一言に小さく微笑む。出して貰った珈琲を最後までゆっくりと飲み終えると。「…ご馳走様でした。」と軽く頭を下げては、今後のやるべきことが決まれば、早速今からまずはトレーニングに打ち込むことにしようとソファーから立ち上がって )
…あの、気になっていたのですが…
トレーナーさんは、科学者でもあるのでしょうか。
( 最初に会った時から聞くかどうかと迷っていたことを、今ここで聞いてみる。トレーナー室であり、研究室としてもあるこの場所、そして白衣姿の彼からしてそう考えるのが自然だった。もしかしたら勘違いかもしれないというのもあり、そこをはっきりさせようと首を傾けながら彼からの返答を待ち )
ん?そうだな、似たようなものだがどちらかといえば研究者とでも言うべきか…ウマ娘のポテンシャルを科学や運動学などのあらゆる方面からのアプローチでいかにして引き出すかを研究している。…トレーナー業はその研究の正しさを証明する場だ。実践なくして説得力のある理論は完成しないというのが俺の考えだからな
(彼女からの問いかけに少しだけ考えるような仕草をした後、広義的には科学者というのも間違いではないと答えた後で自分が普段この研究室でどのようなことを研究をしているのかを簡潔に説明してやり、トレーナーとしての仕事は自身の研究の成果を実践するための場でもあると話して。「…そして、トレーナーとして最高のウマ娘を育て上げるのは俺自身の夢でもある。カフェ、君が大きく成長しお友達の背中をつかまえることは俺の夢にもなったんだ」それでもトレーナー業が研究の片手間であるかといえばそうではなく、最高のウマ娘を育てたいという情熱と、最高のウマ娘の定義とはウマ娘自身が胸に抱いている夢や理想の自分に追いつき形にするということだと熱意を持って語り、共にその夢を見ようと表情を僅かながら綻ばせて)
…なるほど。はい、トレーナーさんの夢への想い…伝わりました。お友達と、貴方に置いて行かれない様に…最後まで、頑張ります…その夢を、皆で見るために。
( 共にその夢を見る、これ以上心強い言葉はないだろうなとその時思った。ずっと自分一人だけの夢だったものが、今この時から彼と同じものだと知り、一層その夢の先の景色を見たくなった。この人とならば叶う、彼でなければ叶わない。ようやく夢への第一歩をしっかりと踏み込めた気がした、それと同時に退路が完全になくなった気もした。ここから先は一方通行、止まることさえ許されない。彼女の背中は、一度見失えば見つけることは不可能だと感じていた。そんな終わりを迎えない様に、最後までやり遂げてみせると真剣な表情で改めて誓った )
…それでは、そろそろトレーニングを始めましょうか…?
( では早速、とこれからトレーニングに取り組もうかと首を小さく傾けて返事を待つ。本当なら、もう少し陽が傾いてからが…とは思ったが、それは口にはしなかった )
ああ、そうだ…カフェはこれまで夜間の自主トレをメインにしていたようだが、あの時間を選んで行っていたことに意味はあるのか?
(トレーニングへ向かおうという彼女の言葉に首肯してから、自分が彼女が走っているのを見たのはいつも決まって日の落ちた夜中だったことを思い出してあの時間を選んでいたのには何かしらの理由があったのではないかと思い尋ねてみることにして。「どんな些細な理由でも構わない、だがそれがカフェのモチベーションを左右するものであるならば俺はその時間を選択しトレーニングに当たるべきだと思っている。まずは何よりカフェ自身が一番気持ちよく走れること、それが大事だからな」そこにどんな理由があるのかは不明だが、彼女にとって意味のあるものであるのならトレーナーである自分はそれを最大限に汲んで予定を合わせるべきであり、トレーニングだからこそ彼女が一番力を発揮できる環境に置き、効率を高めることを第一に考えていると伝えて)
意味…そうですね。陽の光が眩しいのを避けてたというのもありますが…夜の方が、お友達の姿がよく見えますので…。
( 何故夜に自主トレをしていたのかを聞かれると、夜だと眩しくないし風も気持ちが良い。そして何より、お友達の姿も昼間と比べると夜の方がよく見えていた。だから決まって夜にグラウンドへ出向き、彼女を追い掛ける様に走っていた。今日からお友達を追い掛けない走りをするとしても、昼間よりも夜の方がトレーニングとしてはやり易いだろう。「…どうしましょうか。私はどちらでも構いません…トレーナーさんの判断に委ねます。」どちらがいいかは彼の判断に任せることにした。昼だからといって練習効率が落ちる訳でもない、彼が自分のトレーニングに付き合いやすい方を選んで欲しいと小さく頷いては )
ふむ…そういうことならこれまでのやり方を踏襲するべきだろう。他のウマ娘も請け負うことになっているなら考える必要もあったが、カフェの専属だからな。わざわざこれまでのルーティンを崩す必要もない
(理由を聞き納得すれば、どちらでも構わないと彼女自身は言っているが、それでもやはりこれまでの活動時間に合わせた方が多少なりとも彼女的にやりやすかったりするのではないかと考えて。元より今の自分の最優先事項はトレーナーとして彼女を育て上げることであり、他に時間を割くべき事もそれほどないとなればこれまでの彼女のサイクルを崩さない形でのトレーニングを行うことに決めて。「せっかくだから、今度試そうと思っていたプランを今日行うことにしよう。今夜までに準備すれば間に合うからな…大体いつもと同じぐらいの時間にまたグラウンドへ来てくれ」ひとまず夜にトレーニングは先送りにすることを決めると、本来であれば準備に時間が必要であったプランを夜までの猶予が出来たことで前倒しして行うと言い、これまでと同じぐらいの時間に来るように告げて)
プラン、ですか…?あ、はい…
わかりました、いつもの時間に…ですね。
( 彼の言うそのプランとは何なのかと不思議そうにしながらも、またいつもの時間にグラウンドへ集合すると指示を受け、こくりと頷いた。夜まで時間ができたが、何をしていようか考える。彼のはその準備とやらで忙しくなるため、此処に残るというのも悪い。となると、やはり別の場所で時間を使おうかと考え。「…トレーナーさん、もし私に用があるなら旧理科準備室に…大抵は、そこに居ますので…。」…あの人も居ますが、と最後の方だけポソリと小声で呟く様に。とにかく何かあればそこに来て欲しいことを伝えた後。それでは失礼します…また夜に、と頭を下げこの部屋から去っていくことにして )
……さて、そろそろ時間か
(彼女を見送ってから早速研究室にこもりっきりでずっと一人で黙々と作業を続けており、ようやくひと段落ついて時計を見やるとそろそろ待ち合わせ場所に向かわなければいけない時間となっていて。トレーニングに必要なものなどを詰め込んだリュックサックを背負えば約束の場所へと向かって。グラウンドへとやってくるとベンチへと腰掛け、リュックサックを脇へと置いて中からノートPCを取り出して電源を入れると彼女がやってくるのを待つ間に最後の仕上げの作業を行っていて)
…?…何か、違う様な…。
( 時間になり、いつも通り夜のグラウンドへ出た。しかし何だかいつもより何かが違うという違和感を感じる。見える景色も、音も特に変わっていないが、確かに何か変わっている雰囲気だった。その謎の違和感の正体はわからない、気のせいかと一度置いておき、今はそれよりトレーナーの所に向かわなければとグラウンドを見渡し、一人ベンチに座っている彼を見つけ )
──お待たせしました。
( スッと現れる様に、ベンチに座って何か作業をしている彼の背後から声を掛けた。何やらPCを使って作業をしている姿を見て、何をするのだろうか首を傾げては )
来たようだな、待っていた。さて、まずはこれを見てくれ
(背後から声をかけられると、声だけで相手を判別し返事を返してから振り返って。それから、早速彼女へと自身の考えたトレーニングプランについての説明をする前にまずはその為に必要なものがあるため、それを見せるべくリュックの中を漁り、中から小さな木箱を取り出して蓋を開けて見せて。中に入っているのは普通の蹄鉄よりもかなりの厚みのあるもので、見た目だけでもかなりの重量のありそうな代物であって。「とりあえずこれをつけて走ってみてくれ。それからこれはカフェの交渉次第だが、君のお友達にも力を借りられればありがたい…と、いってもただいつも通り一緒に走ってもらうだけだが」彼女にはそれを装備して走るよう指示を出し、更にはトレーニングにおいては彼女のお友達の力も借りられればと考えていて、唯一交渉が出来るであろう彼女にそう打診して)
蹄鉄…ですか?
…それも、普通のとは違いますね…。
( 相手が見せてきたその蹄鉄は、普通のものよりも厚く重量があるものだった。これを使っての練習から、彼は何をそこから見出すのか疑問に思いながらも、こくりと頷きその指示に従うことに。そしてもう一つ、お友達の力を借りたいという頼みにもまた頭にハテナを浮かばせる様な表情を浮かべる。「…ええ、大丈夫ですよ。…うん、彼女も構わない…と。」その蹄鉄の装着、そして彼女と一緒に走ることも問題ないと返した。そしてその蹄鉄を装着し、お友達の様子を確認して準備が整った様子を見せる。注意するところは、彼女と一緒に走るだけであって、追い掛ける様に走ってはならないこと。これは自分を知る為の練習、そこだけは間違ってしまわない様にと再度しっかり自分に言い聞かせた )
準備が出来たら始めてくれ。順当にいけばこれまで以上に彼女との差は開くことになるだろう。ショックは計り知れないだろうがそれでも後ろから彼女の走りをよく見ておくんだ…これは冷静に戦局を見極める目と精神の強さを養うためのトレーニングでもあるからな
(スタート位置についた彼女の姿を見れば自身もストップウォッチ片手にコース脇に立ち、このトレーニングの意図と今装着した蹄鉄は間違いなく彼女にとっての枷になるであろうことを予め伝えておき、追いつけないことは折り込み済みとしつつその上で自分の走りを貫くこと、前を走る相手の実力を見極めることに注力するように指示して。とはいえ、いきなりでそれが出来るようになるとは思っておらず、長期的な努力目標として考えていて。「……走り始めた瞬間に違和感に気づくことになるだろう。その蹄鉄はそれそのものの重さよりも厚みによる芝への沈み込みこそが曲者なんだ。まるで雨の日の重馬場を走っているようなそんな感覚に襲われるはずだ……」指示だけ出して彼女を送り出せば、足元の違和感に今頃は気づいている頃だろうかと一人呟き)
──ッ、…これは…!
( スタート位置につき準備を終え、彼に合図を出した三秒後に走り出す。明らかに、いつもと違う違和感が足元から感じられたのはその瞬間からだった。ただ重いだけではない、何だか足元を掴まれている感覚で、すごく走りにくい。いつものスピードも出ない、スタミナもいつもよりも奪われている…そして何よりも、彼女との距離がいつも以上に開いていた。それを見てしまったからか、焦りが出て乱れてしまいそうになる。それでも自分の走りを貫くこと、それを忘れず自分に何度も言い聞かせた…しかし、縮まらない距離、走っても大きく離されていく光景を前に最後は結局自分のペースを忘れ、冷静さを欠いてしまった走りでゴールしてしまった )
はぁ…はぁ…
…すいません、冷静さを…維持できませんでした…。
( 想像以上に辛かった。雨天の重馬場の様に走りにくく、いつもより大きく距離を開けられる彼女の姿…この蹄鉄を付けているとはいっても、ショックは大きいものだった。一度深呼吸をしてから、息を整えこの結果を受け入れてから。申し訳なさそうに、コース脇で測っていた彼の前でそう小声で呟いた )
気にすることはない、これも想定の範囲内だ
(ムラのある走り、やはりというべきかいつも以上に離れていくお友達の背中に焦りが招いた結果だろうということは明らかで。他の対戦相手ならばともかく、彼女が目標として走ってきたお友達が相手ではこの結果はある程度想定出来ていたため、彼女を責めたりはせず最初はこれでいいと頷いて。「走ってみてどうだった?相当走りにくかっただろう」この蹄鉄を装備して走ってみての感想を尋ねるが、走り終えた後の疲労具合からして敢えて負荷をかけて走らせることによる走力の強化というもう一つの目標は達せられていそうだなと考えては、フッと笑いかけて)
はい、とても…
…何者かに脚を掴まれている感じ…と例えるべきでしょうか。
( 走った感想を聞かれ、想像以上の走りにくさに驚いたと返した。脚を上げることが困難で、体力も奪われやすかったこと。いつもの走りが出来ないことで冷静さを保つことさえ困難だった。何とか最後まで走り切れたが、タイムも良い結果とは言えないものだろう。「…それにしてもこの蹄鉄、どうやって…?」この蹄鉄は普通のものではないと装着し走ってわかったが、こんなものどうやって準備したのかと疑問を首を傾げながら口にした )
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