神埼梨花 2021-12-06 17:05:41 |
通報 |
かなめ「…ずっと、そんな幸せな日常が続いていくんだと、誰しもが信じていた。だけど…結局、それも最初から計算し尽くされたことだったんだ」
小雨「最初から計算されてたって…どういう…」
かなめ「さっきの神巫女の話を覚えているな?神巫女は神格の神性を受け止めてくれる、神巫女と共にいれば人前に出る事も出来ると。安曇町では毎年、町の繁栄を願う祭りが行われていてな。余も彼奴の幼馴染も人目につかぬように姿を隠しながら安曇町に訪れては、4人でよく出店を周ったものだ。
その日も本当なら毎年のように4人で祭りを楽しむ予定のはずだったのだが、幼馴染の村が突然盗賊に襲われたのだ。しかもその盗賊は幼馴染が山で保護していた妖怪達に呪術を掛け、妖怪達を洗脳状態にし村を襲わせたんだ。使い魔からその情報を受け取った余達は村を守るためにその日は祭りに参加せずに幼馴染の村へと向かっていった。
そして、彼奴らはたった2人で祭りに遊びに行ったのだが…その時点で、余達は奴らの思い通りに動かされていたのだ」
晃「!おい、それってまさか…!」
かなめ「…盗賊と妖怪を殲滅し終わった余達は呪術の出処を探る為に盗賊の主犯格を拷問にかけて問いただしていた。その時、余達は信じられない一言を聞いた。
「安曇町の町長に頼まれた」と、そう言われたのだ。
元々奴は呪術師の家系だった事もあり、呪術に関して誰よりも長けていたらしかった。そして、町長は彼奴が守り神となる前、世界を混沌に落としてしまった時の話を知っていた。そこで余達は気づいたのだ、奴の本当の目的は彼奴の神格権限なのだと。
しかも、安曇町では毎年、祭りの終わりに巫女の姿をした女性が守り神に感謝の意を込めて壇上で演舞を踊る決まりがあった。その年の巫女役に彼奴自身が選ばれていた。
余達は、全て最初から仕組まれていたんだと気がついた。彼奴が神社の巫女ではなく白継之御霊その人である事も、余達が彼奴と仲がいいことも、自分の孫が神巫女である事も、そして神巫女が傍にいれば神性を制御することが出来ることも、あの町長は全てを知った上で今まで演技をしてきたのだと言うことに、そんな信じたくもないような真実に気がついてしまった。
余達は大急ぎで安曇町に戻り、2人を助けに行ったのだが…そこにあったのは…
町一帯を覆い尽くす程に巨大な黒い氷棘に貫かれた村人達の無惨な姿と、その氷棘の中心で真夏の亡骸を抱え嘆き叫ぶ彼奴の姿があった。
そして、その時には既にもう、彼奴は神格から妖怪へと堕ちてしまっていた」
かなめ「その後、奴は姿を消した。余達がどれだけ彼奴を説得しても、彼奴の心には全く届きはしなかった。妖怪に堕ちた彼奴は暴虐の限りを尽くし、いつしか彼奴は三妖の白狐と呼ばれ、周りに恐れられてきた」
かなめ「彼奴は転生した真夏を見つけるまで殺戮を止めることはないだろうと確信した余は、彼奴に取引を持ち掛けた。余が真夏を見つける手助けをするから、これ以上人間を襲うのはやめてくれと。彼奴はそれを承諾し、それ以降人里を荒らす事はなくなった。今の彼奴は人間不信を克服して人間の娯楽に没頭するぐらいには心の余裕が出来た様だが、昔の彼奴は感情所か魂が本当に宿ってるのかも疑わしい程に心が凍てつき、真夏の面影を求めて彷徨い歩くだけの亡霊となっていた。神格権限を真夏に譲渡したのは真夏の転生者であるというマーク付けでもあるし、自分が居ない時でも真夏を守ってくれるようにという意味合いも込められているんだそうだ。ほんと、ここまで愛情深い奴は彼奴ぐらいのものだ」
かなめ「そうか、それならば良かった。あぁ、それと、この事は真夏には秘密にしといてくれ」
椿「は?なんで秘密にせなあかんねん。当の本人が何も知らされないなんておかしいだろ」
かなめ「突然そんな話をされても混乱するだけだ。こいつの前世の記憶はこいつ自身で呼び起こすしか方法が無いんだよ」
グレン「それは一理ある。前世の記憶なんてものは第三者から教えられるものではない」
サーシャ「…………そうだね、それは私も同意見」
グレン「それにしてもだ、どうにも敵側の動きが早すぎる……統制力と計画力……未来視でもこちら側に使える人間がいれば____あぁ、いや、ダメだな…」
ビビ「そーだよ、みらいをみれたらどうにかできるんじゃないかー?」
グレン「いや、おそらく未来視は封じられる……煽争の天災が来てしまった以上、何かしらの妨害を敷いてくるはずだ……だがこのまま一手を打ち出せないままでは確実にこの世界諸共私達は死滅する」
ビビ「じゃあどうすんだよー!?」
グレン「……禁じ手だが、こちらも天災の手を借りる他あるまい……だが、【奈落の天災】の手と【叡智の天災】の手は借りられない…となったら限りなく望み薄だが【虚数の天災】をこちら側に引き入れるしかないな……」
嘉久治「虚数の天災……?」
グレン「……【十大審判-ネメシス-】創設者にして【真祖-イヴ-】である神格から堕落し魔神となった存在___『シャムル・アヴニール』……奴を味方につけるしかない」
サーシャ「シャムル・アヴニール……!?」
かなめ「ヴっ、シャムル・アヴニール…(顔が青ざめる)」
紗雪「どうした、顔色が悪いようだが」
かなめ「いや…思い出したくもない奴を思い出してしまったというか…まぁ、そいつの居る場所なら既に特定出来てるから安心しろ。というか、今日から余ともう1人の暴食娘がそこに侵入しに行くんだけどな」
あさひ「は?転入って、どういうこと?」
かなめ「なんつったっけなぁ…確か、高ノ織中学校だったか?」
小雨「えっ、そこって…!」
清春「彩ちゃん達が通ってる学校だよ!」
サーシャ「ふぬふぁ!?!?!?」
嘉久治「場所特定できてんなら話は早いじゃん!!」
ビビ「しかもほかのまほーしょうじょもいるみたいだなー」
グレン「…………」
サーシャ「え、何を考え込んでるの」
グレン「いいや、天災で真祖ともあろう奴が一体何を考えて年齢のサバ読みをして中学に潜り込んでいるのか、と思ってな」
サーシャ「そこどうでもよくなぁい!?」
(するとスマホの画面が切り替わり極が映し出される)
極『ヨォ、オマエらァ、第二回戦はどうだったヨ?オレはつまらなかっタ、まさかあんなに鬼が腑抜けとはナ……とはいえダ、このゲームで死んだ民間人はおよそ二十!!よってペナルティとしテ……カウントダウンの二十秒減少を課すことにけってーーーーイ!』
サーシャ「え…二十秒……?」
グレン「おそらく、今回の結果は思わしくなかったんだろう……逆に言えば、今回は甘くペナルティをつけられてるに過ぎないと思った方がいい」
サーシャ「っ!……そっか、それに……」
極『ソ・レ・ニィ~?脱落者もどんどん出始めたみたいだしナァ?まぁもうちょっと頑張ってちょーヨ☆…ほんじゃあ今回はここマデ!次回もお楽しみニィ!!!(画面が消える)』
サーシャ「……っ!!」
御波「…………ふーん、まぁ、割とこんなもんなんだ……(スマホの画面で各地の様子を見ていたが飽きたらしく机に突っ伏す)」
夜千与「……ふーむふむふむ……(登校しながらスマホを見ていた)…なんか大変なことになっちゃったなぁ……まぁ、みんなには頑張ってもらわなきゃだし……ってやっばーい、遅刻遅刻」
清春「っ…くそっ…!」
紗雪「…奴らの中には、たった1人で一区画の魔法少女全員を殺せる力を持った者達が居るってことだ。下手すると…管理者以上に厄介な存在かもしれないな」
椿「はっ、おもしれぇ。そんな奴らとやれるんなら願ったり叶ったりや!」
晃「…つーか、お前ら学校の方は大丈夫なのか?」
全員「…あっ」
あさひ「やばっ!?今何時!?」
紗雪「時間は…8時くらいだな」
清春「やばっ!早く行こ小雨!作戦会議は放課後ね!」
小雨「あっ、待ってよキヨちゃんっ!(それぞれ学校に向かっていく)」
かなめ「ふっ、全く慌ただしい奴等だな…」
みかり「全くですわ、遅刻如きで慌てるなどこれだから庶民は…」
晃「いいからお前らもさっさと学校行けぇ!!!!!」
椿「そういや、ヒカリエの方結構やばい事になってるけど、行かんくていいんか?」
晃「…あっ、そっちもあるの忘れてたぁー!!!」
彩「(スマホを見ながら歩いている)脱落者が出たって…他のみんな、大丈夫かな…」
梨ナ「あいつらなら大丈夫だろ。しょーじき、他の魔法少女よりかは強えとは思うし」
露乃「えぇ、そうね。けど、少し気掛かりな部分があるのよね…」
彩「え?」
露乃「朝霧さん、昨日あの人に部屋に呼び出されたのに何もされなかったって言ってたわよね。あの人の事だから、何か企んでるんじゃないかと思って」
彩「お兄ちゃんが…確かに、今日はいつもより出掛けるのが早かったし…いつもより機嫌よさそうだったし、一体どうしたんだろ…」
サーシャ「じゃ、じゃあ私!!空間転移でちょっぱやで先にちょっと行ってこよっか!!!」
綺月「むむ……(彩達の背中を見つけると静かに駆け寄ってくる)……お、おはようございます(唐突に声をかけてみる)」
晃「気をつけろよー!」
遥輝「(リーナに猛攻撃を仕掛けるが、その全てを軽くいなされてしまう)くっ…!」
リーナ「ふふっ、どうしたの?私を倒さなきゃ、魔獣の増殖は止まらないわよ?(遥輝に大鎌を振り翳す)」
遥輝「あっぶなっ!(紙一重の所でかわし、距離を取る)」
ガルム『おい遥輝、俺ら今完全に遊ばれてるぞ。さっきの大鎌の振り方…わざと交わせるように大袈裟な動作が入っていた。玩具として見られてるぜ、俺達』
遥輝「くっそー…舐めやがって…!そもそも、Messiah Projectって救済を目的に作られた物じゃないの!?」
リーナ「えぇ、そうよ。だからこれも救済の一つなの。悪く思わないでね、ぼーく♪」
遥輝「(遥輝の額に血管が浮かぶ)私はぁ…女だゴラァ!!!!(リーナに斬り掛かる)」
リーナ「(遥輝の攻撃をニコニコしながら受け流していく)あらあらごめんなさい、言葉遣いが荒いからてっきり男の子なのかと思ったわ」
遥輝「どっからどう見ても女だろうがぁ!!!!!」
ガルム『服装に関しては女らしくねぇぞお前』
梨ナ「おっ、綺月じゃねぇか!おっはー!」
彩「綺月さん、おはようございます。そういえば今日から転校してくるんでしたね」
サーシャ「まっかせーい!(転移する)」
空狐「というか、そもそも安い挑発に乗るな阿呆!!(灰色の炎が四つの狐の顎になりリーナに襲い掛かる)」
綺月「はいっ…!全身全霊で頑張る所存です……!学校でもよろしくお願いします…!」
リーナ「おっと(体が無数のコウモリとなって別れていき、別の場所で体が再構築される)今のはちょっと危なかったわねぇ」
遥輝「今の何処が危なかったの!?体をコウモリにしてかわすなんてズルだズル!!!!!!」
リーナ「えぇ?だって、真正面からかき消す方が面倒でしょう?」
遥輝「こんのぉ…!」
ガルム『こんのバカ…ほんと煽り耐性皆無だな…』
梨ナ「そう固くなるなって!楽しくやってこうぜ!」
露乃「(校門に近づいていくと、何やら生徒達が校門の周りで黄色い声を上げていた)…ん?なんだか騒がしいわね」
女子生徒「ねぇねぇ、あの美人な人誰!?新しい先生!?」
女子生徒「絶対にモデルでしょあの人、スタイルいいし何より横顔が綺麗だし…!」
ヴェリス「ん?(営業スマイルで女子生徒達に手を振る)」
女子生徒達「キャー!!!」
彩「す、凄い綺麗な人…誰だろう、あの人」
露乃「転入生にしては大人すぎる気がするし…新任の先生かしら?」
ヴェリス「(学校の方に視線を戻す)…ここに、シャム様が…」
空狐「コウモリ……まるで吸血鬼だな、あの女……」
サーシャ「ふぎゃっ!(空中に転移してしまい床に尻もちをつく)うあーーー、いっったーーーい!!!」
綺月「とても美人さんです……」
夜千与「本当だねぇーー……」
綺月「……うわっ……!?だ、誰ですか……」
夜千与「あ、驚かせたー?めんごめんごー、そんで朝霧さんたちおっはー」
トピック検索 |