鍵 2021-11-12 01:02:10 |
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あー、銀さんはあっちのが好みだけどな。ちゃんと肉食って肉つけなさい( 彼女が何かを言いかけたのも、分かりやすく話題を変えたのも胸に引っ掛かるが、話の内容が無いようなだけに拒否の言葉でも出されたらたまったもんじゃないと言葉を飲み込んで。性急すぎたかという僅かな焦り、彼女の様子を見ても周りの状況を見ても今追及するには場が悪く、慌てる彼女に調子を合わせるように間延びした声を。そのままやや遠くにある肉売り場を指し、いつものように演技染みた声色で。物理的にも近付き過ぎたかと肉売り場に向けて進むように一歩彼女から距離をとり )
私もお肉、好きですよ。最近食べる機会が何回かあって、それでちょっと太りましたし( 相手の胸の内などつゆ知らず、上手く話題を変えられたと、手に持った人参を元の場所に戻しつつそっと小さく安堵の息を吐き。それから視線を相手へ移すと、彼が傍から離れていることに気が付いて。後を追い、いつでも彼の服の袖を掴めるくらいの距離まで近付けば、再び埋まった距離感にほっと一安心。何だかここひと月で肥えたような気がする頬を片手でおさえながら、穏やかな口調でゆるゆると言葉を続けて )
えっ…どのへんが?神楽もそうだけど、今時の子って体型分かんないもんだよなぁ…( 並べられている肉を見てじゅるりと涎を溜めつつ、気付けば再び隣にいる彼女に僅かに安心したように肩の力を抜いて。とりあえず避けられるような事は無さそうだと、普段通りの彼女の様子に安心しつつ、肉から彼女の体へと視線移せば考え込むように顎に手を添えながらしみじみと。自身から見た彼女はまだまだ華奢であり、もしかしたら着物の下の見えない所に増えているのだろうかと想像すれば、少し邪な感情も視線に乗せながら )
今時の子って、言い方が何だかおじさんみたいです……銀さん?( 彼だって二十代、十分今時の若者なのに、妙にしみじみとした調子で言うものだから、ついくすすと笑い声を漏らし。頬に置いていた手を口元に持って行き、可笑しそうに、けれど彼を揶揄うような気配は微塵も無いトーンで素直な感想を。言い終えたところでちらりと相手を見上げると、そこには彼の複雑そうな表情があり、もしかして売場の冷気に再び身体が冷えてしまったのだろうかと推察し。それがまさか此方の着物の内に考えを巡らせている面持ちだとは1ミリも思っていない、真っ直ぐな眼で心配そうに相手の顔を覗き込んで )
──えっ?あ、あぁ~、そろそろ行くか、次行くぞ次。何買う?焼酎?( 真剣に彼女の体、着物を見つめて脳内に邪な想像を巡らせるのに集中すれば彼女の声は届かずに。しかし視界に彼女の顔が映り込み、視線の先が彼女の目とかち合えばはっと我に返ったように顔を上げて抜けた声を。心配そうな視線、何処までも純粋なその綺麗な目に見つめられれば先程までの思考への罪悪感が積もっていくというもの、その視線と罪悪感から逃れるようにてきとうに目に入った酒売り場を指さして冷や汗流しつつ )
焼酎は私には大人の味過ぎて…。飲むならこういう甘いお酒が好きです( どこか慌てた様子の相手を不思議そうに見上げていたものの、彼が指をさした方向が気になれば、ふいとそちらに顔を向け。柔らかな口調で焼酎の可能性にやんわりと首を横に振るも、視線の先、陳列された色とりどりの缶に興味を惹かれ吸い寄せられるようにそちらへ歩き出し。商品の前まで来ると、桃サワーや林檎サワーなどほとんどジュースに等しいような物ばかりをひとつひとつ指差しながらにっこりと相手へ笑いかけ )
あぁ~、っぽい。ぽいわー、凄くぽい。…いや、あんま飲んでるとこ見た事ねーな。つか一緒に飲んだ事あったっけ( 自身の汚い感情を悟られていないようで良かったと、彼女のなんともない様子から一安心。彼女が指さす品はどれもこれも可愛らしい、まさしく若い女性が好むような甘い物ばかりで解釈一致ですとばかりにこくこくと頷いて。その中の一つを手に取り可愛らしいそれを眺めつつ、ふと酔っぱらった彼女の姿を脳裏に浮かべようとするもそれはただの妄想であり、もしや実際見た事がないのでは、と。酒の席で浮かれて此方の記憶が飛んでいる可能性もあるが、そのまま口に出せば確認のように彼女を見て )
いえ、まだ無い、ですよね。そうだ、よかったら今度一緒に飲みに行きませんか?普段銀さんがどんなお酒の飲み方をしてるのか、私すごく気になってたんです( 頷く相手に、何故かちょっぴり恥ずかしそうにはにかんでから、彼が手に取った商品を一緒になって覗き込んで。「わ、これも美味しそう」と胸の内にてぽつんと呟いたタイミングで頭上から問いかけが降ってくれば、数秒記憶を辿った後に相手を見上げ、緩く首を横に振りつつその答えを。と同時に、これまでに何回か見かけたことのある、彼が二日酔いに苦しむ姿が目に浮かび、ぱっと思い付いたように両眉を上げては、懐っこい笑顔を向けてお誘いしてみて )
えっ。あ、あぁ~、飲みね、飲み……ちなみに行きたいメンバーとか、ある?( 彼女の返答に、酔って忘れてしまったわけではないようだと一安心。息をついたのも束の間、次の瞬間には彼女からのお誘いの言葉にどきりと心臓を鳴らし、頭の中に浮かぶのは先程までの妄想、酔いで赤くなった彼女の姿。目の前の彼女の純粋な笑顔に必死に邪念を消しながらなるべく自然な笑顔を作りつつ、少しの空白。彼女と飲みに行くのは願っても無い事だが、彼女の酔い姿を他の男に見せてなるものかと、いつもの騒がしい面々を思い浮かべながら問いかけ )
銀さんと2人で、って思ったんですけど、そうですね、確かに神楽ちゃんに新八くん、お妙さんもいたらきっともっと楽しいですもんね( 2人だけでと考えていたものだから、彼からの問いについきょとんと瞳を丸くしたものの、すぐにその目を少し下に伏せ、顎に軽く片手を添えながら思考を巡らせて。そのまま思い浮かんだことをゆっくりと言葉にしていくうちに、彼が心から大切に思っている人達に囲まれて楽しそうにお酒を飲んでいる姿が想像されて、その賑やかな光景に心はぽかぽかと暖かくなってゆき。彼の頭の中が此方の酔った時のことでいっぱいになっているとはやっぱり気が付けないまま、再びほんわかとした表情で相手を見て )
そ、そうだな!酒の席は楽しい方が良いし、……まぁ、最初は2人だけ、とかでも、全然、良いと思うけどね?( よ、余計な事を言わなければ良かった──!彼女の発言による第一声をぐっと飲みこみ、余計な事を言わぬようにと更に両の拳へと力を込め。自分の失言にぎゅうと唇を噛むも、彼女が挙げた名前にゴリラやオタクはいても野郎共はいなかった事に果てしない安心感。きっと自分と関わりが深い人物を挙げただけだとは思うが、それはそれとしても彼女から酒の席に男を誘うような言葉が出なくて良かった、と分かりやすく肩の力を抜き。緊張と緩和、少し疲れたような抜けた笑顔を浮かべつつ。ほんの少しの希望にてちらちらと彼女の様子を窺いながらも最初に言い出した手前、今更やっぱり2人で、なんて誘う事も難しく、誘うというよりは軽い提案、くらいに留めながら )
本当ですか?それならぜひ、2人で行きましょ。今日は銀さんと色々約束ができて嬉しいです。また甘味を食べに行くのと、お酒を飲むのと( 大人数でのわいわいと賑やかな宴会も勿論絶対楽しいけれど、内心密かに兄のように慕っている彼と一対一でお酒を飲めるのはすごく嬉しいし、何よりも、先程の返答の初めにぽつりと何気なく呟いた此方の言葉を取り零すことなく掬ってくれたことも嬉しくて。その嬉しさが渋滞を起こした結果、辺りにほわほわと無数の花を散らさんばかりに表情を綻ばせては、にっこりと提案に同意して。そのままふいと視線を自身の手元に落とせば、弾む声音で思い返しながら、ひとつ、ふたつと指を折ってみて )
だな!うん、まず最初は2人でこうゆっくりと……そう、だな。んじゃ今日はもう遅いし、次に備えてとっとと帰るか。あと何買うんだ?( 彼女の言葉には、彼女にバレないようにと腰より下で拳を握り小さなガッツポーズを。裏表の無いような反応、愛らしい表情とその仕草に、彼女も此方と同じ気持ちでいてくれているのだろうか、なんてほんの少し期待すればつられるように頬を緩ませて彼女の指を目で追いつつ。ふと硝子窓の向こう、空が大分暗くなっているのが目に入れば、彼女の持つ買い物かごを覗きながら問いかけて )
わ、いつの間にか、もうあんなに暗くなってたんですね。もう買う物は無いので、私、お会計してきます( 彼の視線を追って自身も同様に、外はもうすっかり日が暮れてしまっていることに気が付くと、その想定外の空の色の濃さに驚きの声を漏らし。時間を忘れるくらいに楽しかったというのは、きっとこういうことなのだろう。けれどただの買い物にこんなに長く付き合わせてしまった罪悪感もあって、慌てた口調で精算の旨を伝えれば、ぱっとその場を離れレジに並び。会計と袋詰めを済ませ、お店の出入り口で待つ彼に「お待たせしました」と声を掛けては言葉を続け )今日はとっても楽しかったです、本当にありがとうございました。約束の日程はまた今度合わせましょ。気を付けて帰ってくださいね
*向こうに書き込みしました*
気を付けてってこっちのセリフだろ。まっすぐ帰れよ、そんじゃ。( 此方の言うべき台詞を彼女にとられてしまえば思わずふはと笑いながら。日が落ちたせいか室内にいたせいか、先程よりも身に沁みる寒さに小さく震えながら長く留めるべきではない、と一緒にいたい気持ちを振り切り別れの言葉を。最後に小さく笑みを向け、ちらと彼女の背中を振り向き確認すれば此方も帰路へ )
・・・・・
寒ぃよォ…帰りてぇよォ…( 昨夜から急に気温が落ちたのか、非常に冬らしい景色となっていた今日。年相応にはしゃぐ神楽に強請られせがまれ新八と共に綺麗な銀景色が広がる公園へと連れてこられたは良い物の、想像以上の冷気とはしゃぎまわる子供たちのテンションについていけずにマフラーへ顔を埋めながらベンチへ座り。公園の中心に出来ていくネオアーム…を眺めながら、口から出てくるのは弱音ばかりで )
銀さん、こんにちは。あの…、ねおあーむすとろんぐ何とかって、何ですか?( 積もった雪がきらきらと目に眩しい中、バイト先の茶屋で大量に貰った蜜柑をお裾分けしようと万事屋を目指し歩いていると、通りに面した公園から雪にはしゃぐ聞き慣れた声を耳にして。顔をそちらに向け3人の姿をみとめると同時に、神楽ちゃん新八君と視線が合い、にっこりと笑顔を浮かべては片手を上げて手を振って。会話ができる距離まで歩みを進めながら、皆で雪遊びなんて本当に仲が良いなあと内心ほのぼのしたのも束の間、園内中央のよく分からないけれど完成度の高い雪像が目に留まれば、ぎょっと息を呑んで。かぶき町で生活している身には、それが明らかに青少年の精神衛生上あまりよろしくない形をしていることは一目瞭然。手前にいた2人と暫く言葉を交わした後、両腕で蜜柑の入った風呂敷を大事に抱え足元に注意しながらゆっくりと、雪と同じ銀色の髪をした彼の元へと向かっては、挨拶もそこそこに恥ずかしそうに眉を歪めながら疑問を投げ掛け )
え"ッ……どうしても知りたいってんなら、銀さんが特別にあったかい部屋で教えてやっヘブァ!?( 寒さ故にマフラーに顔を埋め眉を寄せ、身体を震わせながら耐えていると耳に入る声がいつの間にか増えており。また別のガキが来たか、どうかそのまま神楽の相手をしてやってくれ。そんな事を思いながらもちらと顔をあげて声の方を見ればそこにいたのは見知った彼女で、いつの間にと驚きでぴしりと固まって。そのまま彼女が此方へ向かい話かけてくれば、なんともないようにゆっくりと姿勢を正しながらも、そのまま彼女の次の言葉に再び固まりながら。しかし恥ずかしそうな彼女を見ればもしや分かってて聞いてるのか?と。その仕草にまでぐっとくれば立ち上がり、キリリといつかのように表情を作り彼女の手を取ろうとするも、故意か偶然か此方に飛んできた雪玉に顔面を殴られそのまま無様に蹲り。耳に入ってくる2人の笑い声に青筋たてて地面の雪を握りながら )
!! 大丈夫ですか!銀さん、怪我は…( 立ち上がった彼を依然下がり眉で見上げていた時、突然目の前で白い何かがきらきらと勢い良く弾け。次の瞬間、彼の姿が視界から消え、あまりに突然の出来事に目を見開いたままただただ呆然と立ち尽くし。けれどすぐに状況を理解すると雪の上、彼のすぐ側に両膝をつき、雪像を目にした時より十数倍慌てた様子で声を掛け。返答を待つ間、自宅からここまで歩いて来たおかげでぽかぽかと熱を帯びている手で、沸々と怒りを滲ませている彼の髪の毛や頬に付いている雪をそっと払いながら、その顔に傷などが無いかを確認しつつ心配そうに覗き込んで )
あんのクソガキッ……銀さんは大丈夫、強い男の子だから。でもちょっと心が痛いから先に帰ろう( 地面の雪を大きな拳で固く握り、けらけらと此方を笑っている奴らへ復讐を、と思った矢先。蹲った隣にかかる影と優しい手付きで其方へと顔を向けると、雪景色のせいもあるのだろうか、それとも自身への心配のせいか、普段より数倍増しできらきらと輝くような彼女がそこにおり。これがゲレンデ効果、いや惚れた弱み。思わず握りしめた雪をぼろりと零し、冷たいであろうその手を彼女の手に添えればそのまま暖かなその手をきゅっと握り。先程の続きかのようなキメ顔で言い放ち立ち上がれば、既に何か喚いている様子の2人の事は眼中に無く )
でも、いいんですか、2人を置いていって…( 触れた手の、体の芯まで冷え切ってしまっているようなその冷たさに一瞬驚くも、どうやら本当に怪我は無いようだし、彼の表情からは既に怒りが消えていることに気がついて、内心で深く安堵…をしたのも束の間。もとは蜜柑を届けに来たのだから、このまま一緒に彼の家に行けるのであればそれを断る理由は無いのだけれど、気掛かりなのは此方に向かって何やら賑やかに声を発している2人のこと。ついさっきまで一触即発の雰囲気だったとはいえ、せっかく3人で遊びに来ていたのだ、彼だけ抜けてしまっては寂しいのではないか、と。相手につられるように立ち上がり、両者の間で視線をあわあわと数回往復させてから、無意識で未だ繋いだままでいる手指に微かに力を込めつつ気遣わしげに問いかけて )
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