とある国のもの 2021-09-26 16:50:35 |
通報 |
「次は教会か!分かった!」
(相手の言葉に頷き相手が歩き出すタイミングで己も一緒に歩きだす。双子の兄なら絶対やらないだろうが素が出てしまい脇に立ち頭を下げる妾の女性に通り過ぎるさい会釈し)
…(視界の端、相手が自分の妾に会釈をしたのが視認でき。勿論これは相手の素なのだろうと安易に予測ができて。言動が所々で合わない所をみつつこれでよく騙し通そうと思ったな、なんて思考の隅で思いつつもそれは口には出さず相手と共に馬車の待つ城の前へと向かい)
…教会への道のりは恐らく民衆が道を開けつつ俺たちを見るために集うだろう。声をかけられれば手を振るなどしてやれ(城を出て直ぐ、城前に停まっている屋根の無い純白の車体に家紋の印された馬車があるのを視認すれば相手と共にその馬車まで向かい。そして先に席の右側へと座るため乗り込めば相手の方へ乗り込む補助のため手を差し伸べつつ目的地までの道中で国民が道のりの両端で待っているだろうからと話し)
「そうなのか?手を振ればいいんだな!」
(相手の言葉に返事をしつつさし伸ばされた手を取り己も乗り込み相手の隣りに座る。前の国でもこちらに来ても部屋に閉じ込められていたので外に久しぶりに出た気がした。
馬車が走り出し進んでゆくと相手の言った通り民が両脇に分かれていた。声を掛けられれば微笑みながら手を振る)
(馬車が走る大通りは案の定、道の両脇に沢山の国民が自分たちの事を一目見ようと集まってきていて。そして隣に座る相手は笑顔で国民の「ルエン妃ー」という声に手を振り返して、自分も普段と変わらぬ表情ではあったが「オグル王子ー」と名を呼ばれれば手を振り返し。しかしそんな声援のような声はごく一部であり、自分へと向けられる声の大半は「あんな王子の嫁にされるなんてルエン妃も運の無いお人だ」「何てったってあの残虐王子だものな。隠れてルエン妃に酷い扱いしてるんじゃないか?」「冷酷王子ならしそうだな」なんていう謂れの無い相手の扱いに対するもので。勿論反応こそしないものの自分の噂が此処までとは、と改めて実感してしまうもので。確かに相手の姿をギリギリまで隠すために部屋に基本いるよう指示こそしたが、国に関する授業も出来るだけ飽きられぬよう分かりやすく教えてきたつもりだし、この国の料理に不慣れな可能性も考慮し少しずつ慣れて貰おうと指示もしたりしてきていて。それでもそんなことは国民には一切知る事は当然無くて。さまざまな酷評や噂、それから考えられる酷い扱いをされてる(という噂)相手を慮る声、それらを無言で聞きつつも一切反論はしないまま大通りを抜け長閑な丘の上に建つ教会への道に入れば、沿路の人数もすっかり減って殆ど無くなってきており)
(己を呼ぶ声と勿論相手を呼ぶ声もあるがそれはいい声ではなくマイナスのものばかりだ。己も最初は噂を聞いていたため冷酷な人だと思っていたが一緒に過ごしたらあまりそうは思えなくて…それに自分の方が民まで騙している訳で胸が痛くなる。何ともいえない気持ちでいると徐々に人が少なくなって来て静かになるとほっと息をついた)
…とりあえず、お前は歓迎されていたようで何よりだ(長閑な風景が続き、自分と相手以外は国が直接雇用している信頼の厚い馬車を操っている馭者のみとなったタイミングでポツリと変わらぬ表情ながら声色は何処か安堵しているようで。事実、相手がミーナス国の王子であることやその名前は公開こそされていたが、相手に対する悪評のような声は一切聞こえてきていなかったこと、相手への結婚への祝福の言葉に加え、自分の正妻となったことを憐れみ、憂い、慮る言葉が時折聴こえてきた事から少なからず国民は相手を歓迎している事は明白で。勿論自分への批評が多いことは死傷者を多く出してしまってる点からも致し方ないとは考えていて。それでも負傷した兵には見舞金、亡くなった兵の遺族への弔慰金等も欠かしていないが、逆にそれが悪評にも繋がってる事には薄々気付いてはいて。それでも自分に出来ることしか出来ないからこそ、その悪評を受け入れるしかなく)
…これから行われるのは俺とお前の2人だけでの式とはなるが…俺はお前と式を挙げれる事、とても幸せに思う(王城より距離は離れ、王都の郊外にありつつも周囲に聖魔法で魔物避けが施されてる事で平和を保たれている立派な造りの教会前に辿り着けばそこを見上げながらそう話して。元よりこの国では万が一にも沙汰が起きてはいけないため王家の結婚の式は新郎新婦、そして国が信頼を置く神父のみで執り行われるのが通例であり、それは兄らにおいても同じことで)
「…そうなのか?俺も嬉しいぞ!」
(苦しい気持ちのまま教会に着いてしまった。王族の結婚式はもっと華やかなものだと思っていたからこそ相手にこの国の結婚式について聞いた時驚いた覚えがある。元より自分は外の景色も教会も初めて見るものが多かったが。相手の言葉にまた罪悪感がわく。だが明かすわけにも行かずそれが己の首を絞めつけるが笑顔を貼り付け相手に返す)
(相手の嬉しいという言葉、それが本心なのか、それとも自分を騙そうとしているのか…どちらかは分からずともそういう気持ちを出してくれることは真偽問わず嬉しくて。そして乗り込んだ時の反対側からも降りれるためそちらから馬車から降り相手に手を貸し降りて貰い、改めて相手と手を繋ぎ教会内へと足を踏み入れ。自分と相手の足音が静かに響く教会内部は無音ながらも荘厳な雰囲気であり、建国の頃からあると教わってきたからこそ、もし相手が素直に告白してくれたのなら、これまでの通例を無視してでも盛大に、と思っていただけにやはり残念だな、なんて思いながら相手と共に礼拝室へと続く扉を開けてその中へ入り)
…あぁ、俺はコイツのみを生涯愛することを誓おう(相手と共に礼拝室の奥…祭壇の所まで歩けば、既に待機していた牧師の進行により二人だけの静かな式が始まり。そしてつつがなく式は進んで行き、牧師より相手を愛することを誓うか問われれば変わらぬ表情ながらも本心からあの第二王子の仮面を被ったままの相手を、その中身を愛する、その意味を込め誓いの言葉を告げて)
(相手に手を引かれ馬車を降り教会へと入ると2人だけでの静かな式が始まる。祭壇で牧師の言葉を聞き向き合い誓の言葉へと入る。己を偽りだと知らぬまま愛を誓う相手に胸が痛み、少しでもその言葉を本当の己に向けて欲しいと思ってしまった事に嫌悪する。自分はもう自分には戻れない。突き通せば偽も真となる。
今度は牧師が己に問う。相手の言葉の本当の意味に気づかないまま数日で身についた笑みを浮かべ相手に愛を誓った)
「…俺も愛することを誓うんだぞ!」
(相手の愛の誓いも終わり、結婚した証である指輪を相手に身に付けさせる時を迎え。神父の手により取り出されたケースの蓋が開き、中から姿を見せたるは幾つかの希少価値の高いとされる宝石が埋め込まれてるデザインとしてはシンプルながらも価格は時価とすればどこかの自治区の年間予算程である可能性すら有り得る金の指輪であり、自分が相手の眠る合間にコッソリ指に合うサイズを採寸し作らせた世界に一対しかない指輪でもあり。その片方を片手で優しく掴めば相手の左手を優しく手に取り、その薬指に優しく嵌めれば丁寧な採寸をしたかのようなフィットしたサイズであることに普段の表情から僅かに嬉しげに口角が上がり)
(相手により指輪をはめられていく瞬間を見ながらこの指輪は自分には相応しくないとおもった。相手が双子の兄を思って作った指輪。軽くて何故か己の指にピッタリなのに重く感じた。
次は己の番で右手で指輪を受け取り相手の自分より大きな左手に優しくふれゆっくり薬指に指輪を通し)
(相手の指に宝石の輝く指輪が収まれば、その次として相手が自分の指へ嵌めてくれ。その指の動きを無意識に目で追っていれば、やはり相手が正体を明かしてくれない事が不満で仕方なく。勿論正体を明かしてくれないからこそ神父が呼ぶ相手の名前は元々の予定であった王子の名前であり、内心で神父の呼ぶ相手の名を訂正しつつ告げられた誓いの口付けの進行に両手で相手の身体を優しくも手離すことはしないと言わんばかりの力強さで自分の方へ正面から抱き寄せればその唇に自分のそれを重ね合わせ。しかし、やはり相手への不満は心の奥に蔓延ったままであり、相手の唇の間に割り込むように舌を滑り込ませて。本来であればせずとも良いのだが深く口付けを交わし、今日日まで相手の身体を抱く回数以上に交わしてきたからこそ相手の深い口付けの時の弱いポイントもしっかり分かっているからこそそこを舌先で愛でる事で相手の身体をここまでにしたのが自分であると相手に教えるように途中息継ぎもしやすいようにしながらも相手への深い口付けをしており)
「…っ!?」
(誓のキスをとの声がけありするといきなり抱き寄せられ触れるだけの口付けを想像していたら深い口付けで驚く。牧師の前でもあり神の前でもある為恥ずかしく離れようと相手の腕の中で少しもがく)
…可愛い反応ばかりしなくても、お前の事はもう手離さない。お前だから愛してるんだから(深く口付けをしつつチラと横目で神父の方を見れば、神父は何時からかは分からずとも此方へ背を向けておりなら気にすることもないか、なんてまた相手の息継ぎのしやすいように深く口付けを続け。それから十数分が経過した頃、ゆっくりと舌を相手の口内から抜き取り、唇を離せば、互いの唇を伝う銀糸を舐め取ってから変わらず相手が抜け出せぬよう、それでいて相手が痛くないよう抱き締めたまま相手が神父の方を向かぬように相手の耳元へそう囁いて)
「…っ///」
(抵抗は意味をなさず相手との長い口付けに、生理的な涙が目尻に溜まる。満足したのか相手が離れる時に銀の糸が引きなんだか恥ずかしくなる。長い口付けだった為少し酸欠ぎみでボーッとなっていると相手に耳元で愛を囁かれ己に向けた言葉では無いとわかっていても顔が朱に染まり言葉につまってしまう)
…さぁ、戻るぞ?俺たちの城にな(相手の朱に染まった顔に満足げに微笑めばチラと神父の方へ視線を送れば丁度此方へ振り返ったタイミングであり、コクリともう大丈夫だと言ってるようであったためそう相手に告げては相手の身体を抱き締めていた腕を離しこそしたものの相手の腰に手を回し、帰ろうと相手に伝えればタイミングよく神父が「オグル王子とルエン妃の結婚が神により祝福されたことが今確認されました。オグル王子とルエン妃に幸多からんことお祈り申し上げます」と告げてきたためそれを聴きながら相手と共に神父に背を向け歩きだし)
「…お、おう!」
(まだ、顔が火照ったままでそれを隠すように少し俯きながら、相手に誘導されながら祭壇に背を向け歩き出し教会をでると心地よい風が吹いており熱を持った身体にはちょうど良かった。そのまま馬車の方へ歩いていき)
…これで俺達は正式に夫婦となった。今後とも俺の傍に居続けてくれよ?我が妻よ(教会を出て心地よい風が吹けばまるで天が自分たちの結婚を祝福しているようであり、馬車のところまで歩けば行きの時のように共に乗り込み、馬車が走り出し。そして走り出して少しすれば静かにそう話し掛けながら相手の腰に手を回すも、あくまでも相手の事を本来娶る予定の男の名前で呼ぶのは何だか不満でしかなく、それでいて相手には自らの意思で本当の名前を告げてほしい、その気持ちがあったからこそあくまで相手の呼び方は我が妻に留まって)
「もちろん!当たり前だろ!」
(相手の言葉に胸が痛む。本当の事が言える訳もない為どうすることも出来ないが罪悪感は湧くわけで、それに相手が己の兄の名前を呼んだこと無いなとふと思う。名前を呼ばないことに意味があるのだろうか?と思うもののその理由も分からず考える事を止め、視線を相手にうつし)
どうした?(相手と共に教会から城までの道を行きと同じ道をそのまま馬車で戻るその道中、相手からの視線は気付いてはいたものの本当の名前を言おうかどうかを悩んでいるのかと思い相手の方をチラと見やりながら問いかけて)
トピック検索 |