匿名さん 2021-09-25 00:19:04 |
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( 朝起きて一番最初の仕事は掃除。やってもやってもキリが無く、綺麗になった所を見て誰が喜んでいるのだと言う話なのだが“求められている”のならば。バケツと雑巾数枚を用意して、いざ冷たい水を__と、まだ起きても数人のはず。大はしゃぎという訳でも無いがいつもの朝にしてはどうにも物音や声が多い気がする。どうしたのだろう、まだぼんやりとした働かぬ頭で思考を巡らせた丁度その時、スパンと荒々しい音と共に襖が開き見た事も無い男と目が合えば状況が理解出来ないと言うように双眸真ん丸に見開き。無言が数秒。「__殺しに来たの?」“誰を”の主語は無い。ただ目の前の相手の纏う空気、ピンと糸の張った様な緊張感、歪ながらも孤高の光放つ瞳、そのどれもがただの一般人とは到底思えず、また、自身を買った此処のトップ何かとも比べ物にならないのだ )
( / かしこまりました。展開等で話し合いたい時が出て来ましたら声を掛けさせてもらいます!改めてよろしくお願い致します! )
(瞬きの間を裂いたのは何とも危機感の感じられぬ彼女の言葉、一見するに慰めにより稼ぎを得ている者では無いのは確か。売買による強制的な肉体労働を強いられた手駒にも劣る道具とでも云うべきか、痩せた女でも使えるものは何でも使おうと目論む当主の嗜好には甚だ呆れる。その当主も今頃捕らえられ、征服を余儀無くされているところだろう、金に目が眩んだのが運の尽きだ。さて眼前にて此方を見上げる娘をどうしてやろうか。野兎の様に腱を酷使し逃げ回れば良いものを恰も定めと言わんばかりにその場に踏み止まっている。「肝が座った女は嫌いじゃない、三つ数える間に消え去るか、バラされ売られるか選択肢をやる」さあさあ目に物を魅せてもらおうと懐から現れる拳銃、圧倒的な体格差にて彼女を見下ろしながら僅かに目を細め)
っ、連れてって!私ちゃんと役にたてるよ!掃除も出来るしご飯も作れる……、あ!ボスの居場所だって言えるよ。
( 一言で言ってしまえば“魅了された”から。しんと静まり返った一直線上で向かい合う中、相手が静かに発したその言葉は冷たく威圧的なのにそれ以上に惹き付ける何かがある。懐から取り出された拳銃に一度ちらりと視線を向けるもすぐにまた真っ直ぐ見つめ返せば逃げる事は疎か、一歩、また一歩と裸足の足を前へと歩ませ。それと同時に早口で紡ぐ言葉は今置かれているこの状況では到底考えられないもの。そうして瞳は期待と歪で盲目的な懇願の色をありありと滲ませており。最後、「お願い」と付け加えれば果たして願いは叶うのか、はたまたその銃で撃ち殺されてしまうのか、黙したまま再び相手の唇が開くのを待って )
https://uploda1.ysklog.net/uploda/5e9cd7313a.png
( / 城月の何となくこんな感じ画像を作ってみました!髪の毛の色がやや灰色すぎる気もしますが、…! )
____はッ、お前が?
(怯むどころかその脚で歩み寄る相はまるで藁に縋る様、とんだ偏物ぶりに笑いが込み上げ、短くも吐息と共に吐き出され。瞳に浮かぶ偏執的なまでの懇願、奇人とも酔狂人とも取れる病的な願いは、長らく失われていた心を揺すぶられる想いが芽生え。生死の狭間に置かれた小娘に面白いと感じる日が来るとは、向けられた銃口は静かに床と対峙して懐へと帰って行き。期待を裏切るならばバラしてしまおう、未だそんな考えを脳裏にチラつかせるながら蛇の様な眼光でついてこいと目配せを。畳みを軋ませる二人の驚きを鼓膜に届けながら、すっかりと荒れ果てた室内を一瞥し。花瓶は無惨にも破られて、襖には穴が空き、掛け軸は床に落ちて、所々血痕が付着している。娘の生脚を気に掛ける素振りはなく、悠々とした態度で外へと出るなり、既に事を済ませた部下は各々の車や持ち場に付いていて。徐にライターを彼女へと渡し。)
後悔しても後戻りが出来ないように、やる事は分かっているよな?
(/わ!なんと可愛らしい…!!こんな可愛らしい娘さんになんと卑劣な事をさせるのだと胸が痛む思いです…!此方はイラストメーカーさんでしょうか?当方も時間のある時に作成しておきますね!)
( 己の素っ頓狂な発言に対して見せた嘲笑いにも似た笑み。それにすら胸の奥の奥から熱と共にふつふつと泡ぶくのように湧き上がってくる一種の崇拝的感情、それを両の足に乗せて幾らも体格差のある相手の後ろを小走りで着いて行き。昨日までとは雲泥の差の荒れ具合となってしまった屋敷の中、ツン、と鼻腔を刺激する鉄の匂いは最早慣れてしまった。骨ばった裸足に無数の切り傷を付けそこから新たな赤が生み出されるのを気にも止めず従うままに外に出れば、途端に差し出されたライターを反射的に受け取り。少しの時間無言でそれを眺めてから火を灯す。ゆうらり、ゆうらり、と風を受けて揺れる炎を見やり、そうして屋敷へと視線を向けては揉み合った際に開け放たれた窓から落下したのだろう書類の一枚を徐に手に取り火を付け。「__バイバイ、ボス。」炎の燃え広がった書類を草木の生い茂る庭へ、ライターを窓から室内へと投げ込むその瞬間まで表情は少しも変わらない真顔で。そうやって相手へと向き直れば「これで私の帰る所、ぜーんぶ無くなったねぇ。ボス、ボスが望むなら人だって殺.せるよ」今一度己がどれだけ使えるのかを危なっかしい声色で力説して )
( / なんもなのです!夜も背後もシリアスや荒さは大好物なのでお気になさらず…!そして仰る通りイラストの女の子メーカー様にお借りしたものです。鬼頭さんは主様が書いてくださったプロフィールがとても詳しくわかりやすかった為とてもよくイメージ出来るので、本当にお時間ある時作りたいなと思った時に見せてもらえたら嬉しいです!では、背後は失礼致します。 )
(敢えて具体的な言葉で示さず、反応を伺っていた。不暗がりの中物言わず立ち上がった小さな炎がセピアの色彩を持つ彼女の瞳を照らし露となるその表情、重責を負う身にしては随分と淡白で狂気さえも感じられ。無理強いとは異なる、自ら漆黒のドブに嵌っていくかの様に、後戻りの出来ない選択を選んだその横顔を眺めて。炎色は書類をなめる様に這い、鬼頭 宗介やがて心無い手向けの言葉と共に細い手から放たれた後はあっという間に草木を飲み込み、木材へと燃え移り赤い海が生まれた。何処からか火災警報の音が鳴り響く中、此方を見上げる瞳と視線を絡め「彼奴がお前をバラさずに世話役として置いた気が何となく分かる。____頭のおかしい奴は好きなんだよ。」今後殺人を犯す事になるかは別として、風変わりな娘を観察するのも悪くない。根腐った日常に花を持たせるような気分で、踵を翻し車へと乗り込む。勿論彼女を引き連れて。運転手は言葉一つ発さず、恐らく察したようで、部下達が撤退した頃にはサイレンの音が夜町を騒然とさせ。窓ガラスからは熾盛煙塵は天を突く様子が暫く見られ、車が停車する頃にはすっかりと夜は明けて、都市の一角にあるタワーマンションの駐車場に降り立ち)
さっさと出ろ、今日から此処がお前の家だ。
__でもお母さんとお父さんは好きじゃないってさ。
( ガラガラと音を立てて崩れていく建物の内部からはまだ息があった人達の断末魔が聞こえる。まるで踊り狂うように舞い上がる火花を背に此処が普段寛ぐリビングかの如く、お茶を飲みながらする世間話の如く、当事者である事を薄れさせるようなあっけらかんとした口調で己を売り飛ばした両親へ恨み言とも取れる言葉を吐き捨て。それから車に乗り次なる居場所へ到着するまでの時間はとてつもなくあっという間。眩しい朝日が世界を照らすとはまさにこの事か。車から下りるや否やその光に一瞬眩しそうに目を細めるも、光の中からぼんやりと輪郭を象るように浮び上がるタワーマンションの壮大さは心を躍らせる以外何も無く。「ボス!ねぇボス!お部屋は何階?此処にはボスの部下がたくさんいる?」出会った時と同じ好奇心に満ち溢れた煌々とした光宿る瞳をマンションへと向けたまま矢継ぎ早に質問を重ねて )
(最終的に吐き捨てられた言葉からやはり肉親に売買された娘であるという事は予測出来て、同情も悲観も己にはそんな感情を持ち合わせてはおらず、寧ろ都合が良いと捉えていて。降りた途端、遊園地にでも連れて来られた子供のようにはしゃぐ甲高い声に一瞬眉間の皺を深めるが咎める事はせず、早々に歩み始め。「行けば分かる、下の連中が俺と同等な場所に住めると思うか?」車に残された運転手は二人の背が見えなくなるまで深々と頭を下げていたようで、反社会者といえどその丁重な扱いはまるで何処かの有権者同様で。広々とした駐車場を抜けて、正面玄関とは別の裏口からマンション内に入ると中世ヨーロピアン風のエレベーターホールが現れて、中へと乗り込み。「外で俺の事をボスと言うな。不自然だろ。利口な頭ならその意図が分かるはずだ。」最上階のボタンを押すと扉はゆっくりと閉まって暫し密閉空間に二人からという状態となり。徐に懐からシンプルな名刺入れを取り出すと、そこから一枚、彼女へと渡し。“ 鬼頭 宗介”と書かれたそれを落とすなと念を押すように一瞥した後、到着の合図と共にエレベータの扉は開かれ。エントランスの前方は一面ガラス張りとなり、床は大理石が敷き詰められ良く磨かれている。観葉植物が場を映えさせており、その一角にあるオートロック式の玄関扉を開いて室内へと彼女を招き入れ)
思わない。だってボスはこの組織の中で一番強くてキラキラしてるもん。それに…私の事ちゃんと連れてってくれたから。
( すん、と鼻翼を動かして内部の香りを確かめる。己が今まで居た所の埃っぽくじっとりとした匂いとは違う言うなれば高貴な香りを鼻腔いっぱいに吸い込んだ後、果たして今さっき出会ったばかりの相手の何を知っているのか弾むような口調そのままにあまりに純粋で恐れを知らぬ言葉を落とし。目前の扉が閉まりしんと静まり返った密室空間の中エレベーターが静かに動き出すタイミングで咎めの言葉と一枚の名刺を差し出されれば、あぁ、己にもこんなに確りと対応してくれるのか。そこにはただ“ボス”と呼ぶなと言う意思のみが存在しているのかもしれないが都合良く解釈してしまう。静かに両の手を伸ばし指先を僅かに震わせながら名刺を受け取り小さく頭を縦に動かしては「__宗介、さん?」そこに書かれた名前の下にきっちりとした敬称を付けつつ顔色を伺うように視線だけを持ち上げて。静かなエレベーター内に響く到着の合図音。同時に扉が開きエレベーターホールよりも何倍も広く豪華絢爛なエントランスが現れれば叫び出しそうな気持ちを抑えるかの如く一度ゴクリと唾を飲み込み。ぎこちない動作で以て相手の後ろを歩み、室内に入ってそこで漸く「どうしようボス!私今日から此処に住むんでしょ?ここの所ね、ずっとずっと凄いドキドキしてるよ!」手に持っている名刺を思わず強く握り込んでしまう勢いで言葉捲し立て反対側の手で胸の当たりを示して )
退屈凌ぎになると思っただけだ、それ以外お前を連れてきた理由は無い。
(瞳を星空のように輝かせ無垢な子供の如くはしゃぐ娘を一瞥、丹念に磨かれた調度品も汚れ知らずのブランド品も己には何の価値もないガラクタにしか過ぎず。さもそれを宝の山でも見たかのように喜ぶ姿に口から出る言葉はなんとも冷淡なもので。裏を取れば彼女こそこの退屈な日々を塗り替えられるとほんの僅かな期待を抱いているのだが。名刺より名を覚えたようで、窺う視線に今一度応えると一度だけ頷き肯定を。小さな唇で小鳥の囀りのような声色で名を呼ばれるのは悪くない。室内まで案内すれば興奮からか再び”ボス”と呼ぶ声に気付くと、眉間に皺を寄せて踵を翻し向かい合うなり、ずいっと強面の顔を近付け「ボス…そう言うなと言っただろ?次言えば部屋から閉め出す」子猫の首根っこを掴むように彼女の後ろ襟を掴むと、軽く持ち上げて先ずはシャワールームへと引き摺っていき。数ある内の一つの扉を開き、大理石の洗面所に連れ込めば彼女はシャワールームに放り込み自身は上着を脱いで洗面台に掛かると腕捲りをし)
まずはその汚れを落とさないとな。
じゃあ私、何か芸を覚えなきゃいけないねぇ。
( “退屈凌ぎ”は果たして相手にとってか己にとってか。どちらにせよ役目があるという事に少なからず陶酔感を覚えればクスクスと控え目な笑い声を漏らしつつ小さな戯言を落とし。されどそれも束の間、興奮によって思わず口から飛び出した呼び名を拾われ咎められてはしまったと言うようにピシャリと硬直し何度も何度も頭を縦に動かして。結果的に引き摺られ放り込まれた場所はカビ一つ無いだろう艶々と輝くシャワー室。え、え、と目を白黒させ戸惑うも目前の相手が上着を脱ぎ袖を捲った事、同時に紡がれた言葉とでこの先身に起きる出来事を理解しては「ボス、…じゃなかった。宗介さん!私ちゃんと自分で洗えるよ?」再び間違えた呼び名をすぐ様訂正しつつゆうるりと小首を傾け。「__服、脱がなきゃだし…」それなりの恥は持ち合わせている。少しばかりの戸惑いを含んだ間の後に困ったようにはにかんで )
______あぁ。
(再度例の単語を言い掛けた様子にぴくりと片眉が動くも、すぐに訂正が入れば追及する事はなく、焦る彼女とは裏腹に淡々と準備を始め。バスタオル一枚とフェイスタオル二枚、彼女の体格には大きすぎるバスローブを一着に戸棚からは幾つかのシャンプーとコンディショナー。ボディソープはシャワールームに設置されており、隅にはアロマが焚かれた後がある。それら一式をバスケットに収めれば、いよいよズボンの裾も捲り彼女の元へと歩み寄ろうと「…?」眉を顰めたまま僅かに首を傾ける。所有物をどう扱おうが己の勝手だろうといった精神であったがどうやら彼女は違うらしい。下手すれば父と子の差もある相手に此方としては何と感じていない、然し思えば彼女は年頃の娘。羞恥心の一つや二つ、あるのも不思議では無い。そう、数秒間の沈黙を経てから再び歩き出し、彼女の前を過ぎて浴槽の近くにあるパネルへ。幾つかのボタンを押せばパネルから機械音の音声が流れ浴槽内にお湯が流れ始め)
終わったら扉を出て突き当たりの部屋に来い、パムとハムぐらいは用意してやる。
( 己の意図を汲んでくれたのか相手が出て行けば広いシャワールームに残されたのは一人。途端に声が無くなったそこはコポコポとお湯の流れ出る音が響くのみ。その妙な静けさに言い様の無い不安を感じれば乱暴に衣服を脱ぎ捨て、徐にシャワーの取手を捻り。叩きつけるように降り注ぐお湯を頭から浴びて深い深い息を一つ吐き出せば胸の奥の奥から湧き上がるのはこれから先の生活への喜びと相手の心変わりの焦燥感。「…捨てられないようにしなきゃ。」ぽつりと落とした言葉はお湯の音によって掻き消された。前髪からボタボタとお湯を滴らせたまま、たっぷりの泡で髪の一本一本まで念入りに洗い、続いて体も洗えば泡という泡を丁寧に洗い流し丁度良く溜まったお湯の中へと身を沈め。それからは早いもの。数分浸かるだけであっという間にあがれば用意されたバスタオルで全身の水気を拭き取りだぼだぼのバスルームに身を包み、そうしてバタバタと裸足の足音を響かせ指定された部屋の扉を勢いよく開け放ち。「宗介さん、見て!野良犬みたいじゃなくなったよ!」キャンキャンと吠え立てる様はまさに“犬”。どうだとばかりにその場で一度くるりと回って見せては静かに近付いていき )
(彼女がシャワールームを堪能してる間に広々としたリビングへ、シンプルな部屋で唯一ダイニングを飾るのは小さな観葉植物のみ。清潔感があるも何処か閑散としている、恐らく生活感があまりにも無いからだろう。カーテンを開けば朝日が差し込み、室内は白昼のように明るく、思わず顔を顰めながら朝食の支度へと向かった。ダイニングに設置されたタブレットの電源を付け、ニュースを適当に流しながら非常に簡易的な食事を作り。スクランブルエッグに粗挽きウィンナー、マッシュポテトにトースト、それぞれ皿に盛り付けている間にも端末からは殺人や誘拐などといった内容が流れている。然しまだ先刻までの火事騒ぎは取り上げられていないようで、当人である男は残虐をしたと思えぬ程穏やかな時間を過ごし、やがてバタバタと騒がしい足音が聞こえてくるのと端末の電源を落として。普段ならばみすぼらしい娘など売り捌いていた所だが、悲惨な目に合ってきたにも関わらず、反社会の己に縋り付いてきた危うさに興味が湧いたのは事実で。「煩い、静かに開けろ。」寄せた眉と低くしゃがれた声、相変わらず威圧的な態度で一喝。背後から付いてくるのを一度確認してから彼女をソファーへと案内すると座れと目配せし。「お前の名前は?」一旦その場から離れ、使い古した救急箱を片手に戻れば足元に座り、その細くて白い足首に手を添えれば、ガラスの破片でも踏ん付けていれば取り除いてやろうと足裏を確認し始め。)
( 扉を開け放った先に相手はちゃんと居る。その事が酷く大きな安堵感として身体を巡れば、己の興奮を咎め鎮静化させるその声に両手の指先をピシッと伸ばしい所謂“きをつけ”の姿勢を。続けて促されるままにソファへと静かに腰を下ろせば己の存在に向けられた問に「夜。城月夜」と名を名乗り、一度はその場を離れた相手が救急箱を手に戻って来た事、そうしてお湯で流れたとはいえ硝子の破片や小石を踏み付けて傷だらけになってしまった片足を気遣うような素振りに、ぐっと言葉を詰まらせ。「宗介さん、汚い、よ。」掴まれた箇所から確かに感じる人の熱。それは火傷をしてしまいそうな位に熱い温もりで。何故かはわからない、が。不安やそれに比例しない安堵、切なさ、確かな安らぎ、その他たくさんの感情が胸の奥の奥で渦を巻き溢れ出した時、視界はぐにゃりと歪み、ぽたぽたと大粒の涙が膝を濡らし。それを慌てたように止めようとすれば次は欲求に忠実なお腹は部屋中に充満したご飯の匂いに耐えきれないとばかりにぐぅ、と鳴り。「__忙しいねぇ」自身の事ながらどこか他人事のような感想を呟いては、涙で濡れた睫毛をしぱしぱと瞬かせつつ楽しそうな笑い声を上げて )
夜か、そうか_____。
(色褪せた夜明け前に出会った娘が”夜”とは、ただの偶然とはいえ何かの縁にも感じられる名を静かに復唱し海馬を通過させる。傷の状態を確認し縫う程の大怪我では無いと分かれば、包帯と消毒液を取り出し手当てをしようとした刹那、震える声色が耳に届くとぴたりと手を止めて。顔を上げ膝元を見れば幾つかの雫が、伝って見上げれば自己の所有物は管理をする、ただそれだけの行為であったがブラウンの瞳から溢れんばかりの涙が溢れているではないか。この期に及んで自身に恐怖を覚えたか、犯罪に手を染めた罪悪感からか、涙を流すに至る理由を直ぐには思い付かず「…何故泣く?」など無神経な言葉を発して。次に彼女の腹の虫が鳴く音と共に、愉快な笑い声が聞こえれば、コロコロと変わる表情の変化に若さを感じ、一度止まった手を再度動かして。彼女に興味が湧いたからただ管理下に置くだけ、そんな思いで引き取ったはずがもう少し慎重に扱わなくては、と口にはせずに無言で両足の傷を手当てし。終わればさっと立ち上がり、ダイニングテーブルを指差して)
泣く暇があったら食え、腹が減ってるんだろう。
(/遅くなり申し訳御座いません!諸事情により暫くお返事にムラがあるかと思います、ご不便をおかけしますが何卒宜しくお願い致します…!)
あ、あのね。私、宗介さんに拾ってもらえてこんなに嬉しいのにここの所がザワザワってして、置いていかれるのが怖くて、そしたら涙が出てきたの。
( 頬をつたい流れる涙の理由を聞かれれば震える唇と喉を震わせ懸命に言葉を紡ぐ。喜びの中にあるとてつもなく大きな不安を、恐怖を、キリキリと締め付けられるように痛む胸元の服をぎゅうと握り締め。そうこうしているうちに至極丁寧に進められた手当は終わり。真っ白の新品の包帯を巻かれた足は何だか自分の一部では無いような気がして擽ったい気持ちを覚えては立ち上がった相手に吊られるように立ち上がり、少しばかり庇うような歩き方でダイニングテーブルへと移動して。「っ、」目の前に置かれた豪華すぎる食事の数々。前のボスの所に居た時は適当なパンだけの時もあったというのに。再びぐぅ、と腹の虫が盛大に鳴いたのを合図に飛び付くようにしてフォークを手にしてはまるでお腹を空かせた野良犬の如くやや荒っぽい動作で次から次へと食べ物を口にして。__と、ぷくりと浮かんだ疑問。口内いっぱいに詰め込んだスクランブルエッグをごくんと飲み込んだ後「…宗介さん、ここでずっと一人で暮らしてるの?寂しくないの?」ゆうるりと首を傾けつつ今一度広すぎるくらい広い部屋を見渡して )
( / いえいえ、お気になさらないで下さい!こうして宗介さんと絡ませて貰えてるだけでとても楽しいので。お互い無理のないペースという事で。それと、夜に関してなのですが性格や話し方等何か気になる事は無いでしょうか?今の所かなり人懐っこく明るい感じで動かしているのですが、もう少し大人しくや闇要素多め等…変えて欲しい所がありましたら是非教えて頂けると嬉しいです…! )
(彼女の涙の意味は至ってシンプルだが、反社会の人間からすれば理解には程遠く。何故ならば己も同様に暴力的な権力で彼女を引き取った身であり、ほんの少し前までは彼等と同様に使えなくなれば捨ててしまおうと考えていたから。予想外にも懐かれている事に悪い気はしない、恐らく家族にも捨てられた身は分離不安のような病的なものが心に潜んでいるのかもしれないが。飽きれば捨てようなど_____魔が差した。好奇心に駆られ拾った娘は、居場所を見つけて喜びそして焦り涙を流す一人の人間であると、そう改めて理解した。が、口にする事はなくダイニングテーブルの席に着き、早速食事に食らい付く様子を前方に座って眺め。「…喉に詰まらせるなよ。」と言っても空腹には抗えないかもしれないが。香ばしい珈琲をカップから啜り、熱が体内から広がるのを感じながら暖かな光が差し込む長閑な空間に浸り、昨日から睡眠をとっていなかった分の疲労を感じ始めてきた頃、彼女が此方へ質問を投げかけている事に気が付けば、カップをテーブルへと置き。「自宅はよく変えるが、此処数年はここに住んでいる。」寂しいかとの問い掛けに対しては、そもそも考えた事が無く暫く間を置いて、「プライベートまで他人と過ごそうと考えた事がない。失ってばかりのお前とは違って、俺には失うものがないからな。」モラルのない発言に我ながら言い過ぎただろうかとちらりと彼女へ視線を向けつつも、訂正の言葉は後には続かず己自身も皿からトーストを千切れば口の中に放り込み)
(/温かいお言葉有難う御座います、無事に帰ってこられましたのでお返事を残しておきますね!夜ちゃんはこのままで大丈夫ですよ、明るくて懐っこい性格に背後も宗介も癒されております…。今は冷たい態度ばかりなのですが少しずつ夜ちゃんに対して色んな思いを抱いていければ良いなと思います、何かやりたい事があればなんでも仰って下さいね。また宜しくお願い致します!)
( 見る人が見れば行儀のなっていない食べ方。お腹を空かせた野良犬が与えられた食べ物を疑いもせずに貪る様。口の端についたケチャップを人差し指で掬い取り、それをペロリと舌で舐めつつ掛けられた労りともとれる言葉ににんまりと口角持ち上げた笑みを浮かべ。目の前の椅子に腰掛け珈琲を呷る相手の姿は洗礼され、孤高の光を放つように見える。目が離せないとはまさにこの事。流れるような一つ一つの動きを少しも見逃さないよう、じぃ、と穴が空いてしまいそうな程に見つめ。そうやって返って来た言葉に一度頭を縦に動かしては「__私、宗介さん失いたくない。」強い強い意志の光が宿る瞳を真っ直ぐに向ける。そのまま視線少しも外す事無く手元にあるナイフの柄を右手で握り締めれば「もしね、宗介さんの所から連れ出そうってする人が居たらこれでグサッてしちゃうよ」ケラケラと言葉とは似つかわしく無い笑い声を。相手の発言には気にした素振りを見せないまま次はそのナイフをウインナーに突き刺しあろう事かそのまま口にして )
( / お帰りなさい!またお話出来る事がとても嬉しいです…!そしてお優しいお言葉ありがとうございます!私も宗介さんの冷たく荒っぽいけれど時折見えるさり気ない気遣いに癒されております。今すぐに、という訳では無いですがいつか敵対する組織との争いや、誘拐、かなり瀕死の宗介さんとかも見てみたいです…!後は夜を売った両親との再会、何かの事情で宗介さんが何日も帰って来ないのも見たいです!やりたい事がたくさんで…!こちらこそまた宜しくお願い致します! )
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