三丁目のミケネコさん 2021-09-10 12:59:26 |
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(流石は魔法少女、そう簡単にボロは出さない。一通り会話を終え、またパトロールへと戻ったであろう彼女の背を見送る。この調子だと当分戻ってくることは無いだろう、今日こそは邪魔されずに__。周りに誰も居ないことを確認すると、ブレスレットに手を翳した。)
今日くらいは邪魔するなよ、ラブフラワー…
(身体全体が黒煙に包まれたかと思えば、そこに現れたのは黒いマントに包まれた男の姿。魔法少女が居た際の和やかな雰囲気とは違う、張りつめた空気が駅前全体に広がっていく。有り余る魔力を使って駅の屋根に飛び乗ると、手始めに側の針葉樹へ向けて黒光りする光線を撃ち込んだ。)
……っなに!?
(駅から遠く離れたビルの屋上で、周囲の人々が思い思いに過す様を眺めていた。すると、先程いた駅の方向からまだ日が傾いたばかりの空に黒い光線が映る。
こんな時に…まさか昨日の今日で再びやってくるなんて。
立ち上がって瞬時にその方向へ飛躍するが、悲鳴や木々から上がる炎が大きくなっていく。
飛躍を続けながらも人々へ避難を促し、魔法を駆使して火種が広がるのを阻止する。)
いつでもどこでも駆け付ける!
それがアタシ、ラブフラワーよ!
(騒動の中心に立つ宿敵を視野に入れれば、飛躍の勢いのまま右脚を振りかぶって挨拶の言葉と共に振り下ろした)
(黒煙が上がると同時に聞こえてくる悲鳴の数々、慌てふためく人々の様子を空から眺めるのは面白いものだ。けらけらと笑って混乱が円上に広がっていくのを見届けていた__が、遠くのビルの屋上。此方に向かって来る一筋の光。間違いない。もう戻ってきたのか…と顔を歪ませた。)
随分と早いご登場だな、
(吐き捨てるように呟いて相手の一撃をすんでの所でかわすと、迂闊にダメージを食らわないよう数メートルほど距離をとる。その際次の攻撃防止として小さな円盤状のエネルギー弾を、憎き宿敵に向かって連射した。)
あら、来るのはわかっていたでしょ?
アタシの事はアナタが1番よく知っているはずだもの
…それに、アナタこそ昨日の今日なのに随分元気なのね。
(いい事でもあったのかしら。と微笑みかけると、相手からの攻撃を瞬時な察しアクロバティックにかわしていく。魔法少女たるもの、華麗に美しく。しかし、魔法で負担が軽減されているにしろ体力の消費には変わりない。駅から離れずにいるべきだった…。 ツインテールに結った髪を円盤がかすめ、ピンクに染まった髪が風に流れていく。
…ところで、彼はいつからこの周辺に居たのだろうか…。
そんな事を考えながらも、銃型を表した右手で敵を捉えれば、“ラブリーショット”の声と共に閃光のように眩い光が放たれる。)
邪魔をするなラブフラワー。お前の事なんて知りたくもない、虫酸が走る。
(片手を前に突き出し、簡易的バリアで光の束を受け止める。なかなかの威力……抑えきれず漏れ出る光がじわじわと身体を侵食していき、確実に体力は減らされているのが分かった。
それでも耐えきって軽く息を整え、その一瞬のうちに軽く周りを見渡す。つい先程までの大騒ぎをしていた人々はもう居ない。随分と静かだと思ったが、目の前のコイツがいつの間にか避難指示を出していたようだ。
他にも手を打っておくべきだったか、後悔したところでもう遅い。今はそんなことよりも魔法少女を倒さなくては。この体力尽きぬうちに__相手の背後にまわって蹴りを一発繰り出す。)
もう、辛辣だわっ…
(相手の言葉に尚も口角を上げながらそう呟き返す。その時、ふとこのやりとりに見覚えがあって徐に目の前の敵を見つめてしまう。いや、何度も対戦しているし見覚えぐらい…
その時、彼の手首に光る赤い宝石とブレスレットが目に入った。あれは、奴がいつも持ってるブレスレット。いや、それ以外にどこかで…。)
…………うっっ!
(気を緩めている隙に背に蹴りを喰らい、前方へと蹴り飛ばされる。かろうじで受け身を取るが、昨日の疲れが残っているのは此方も同じだ。1度隣のビルへと飛躍し、相手を見下ろす。破損や街への被害は出したくない、そうなれば彼を捕まえるのみ…)
この程度の攻撃も避けられないとは、幾ら魔法少女と言えども大したことはないな。
(二日連続での戦いが身体に響いているのかは知らんが、思いの外あっけなく弾き飛んだ魔法少女。所詮こんなものかと、逃げるように隣のビルへ移った彼女を目で追いながら馬鹿にするように話し掛ける。どうやら相手の体力はかなり消耗されているらしい。まだ半分以上魔力の残っている此方の方が圧倒的有利なのだ。殆ど勝ちを確信した状態で、さてどうやって始末してしまおうかと思考を巡らせていた。)
そんなこと言って…いつも逃げ遂せているのは誰かしら
(相手の憎まれ口にも絶えぬ笑顔でそう返せば、徐に腰ベルトに付いたホルダーから携帯を取り出し、何をするかと思えば目の前の宿敵をそのカメラに収めた。
シャッター音の直後もう一度携帯を仕舞えば、1つ息を吸って視線を刺した)
アタシはアナタになんて倒されない。
…それに、少し気になる事も増えたしね。
この携帯に収まった以上、逃がさないんだから
(そこまで言えば、とびきりの笑顔で飛躍し指を鳴らす。すると彼の足元に無数の花が芽生え、生えた傍からそれは小さな爆薬と化す。大きな破損が生じないように殺傷威力はないが、翻弄するには十分だろう。なにせ彼のいる場所触れる場所に花はどんどん咲いていくのだ。)
所詮は花、こんなもの枯らせてしまえば……っ
(対抗するように出現させたのは、数メートルほどの大きな雨雲。そこから降り注ぐ墨のように真っ黒な雨は、己の周りの花たちを容赦なく枯らしていく……が、いかんせん数が多すぎる。枯らしても無限に増え続けていく花、花、花。
大規模な魔法の長時間使用の影響で、魔力の消費がとてつもなく激しい。半分以上あった筈の魔力は残り三割程までに減少し、体力的にもそろそろ限界が見えてきた所だ。雨雲も徐々に弱々しく、小さくなってきたかと思えばその数秒後には消滅してしまった。それでもまだ増えている花達。ぱんぱんとあちこちで爆発音が響く中、遂には膝から崩れ落ちてしまった。)
観念しなさいアスタロッド!
(此方の狙い通り、奴は大規模な魔力を使って攻撃を防ごうとし体力を消費していく。消費しているのはお互い様だが、殺傷能力の低い魔法とそうでない魔法でも随分と消費量は変わってくる。
一定の距離を保ちながら隙ができるタイミングを見計らい、彼の膝が崩れた刹那、背後へと回り込ま右手首を掴めば背中へと回しうつ伏せ状態に取り押さえる。
思えば、こうして側近で取り押さえる事はあまり無かったように感じる。改めて奴のブレスレットや姿を見つめる。先程見かけたあの背中にやはり似ている。)
…アナタ、、私を、知ってるわね?
(勿論、幾度となく対戦してきている故にラブフラワーを知らないわけはない。しかし、きっとこの言葉は違う意味を指す。)
だったらなんだと言うのだ…
(全てアイツの思惑通りだったという訳か。抵抗する隙も無く押さえ付けられてしまい、小さく呻き声が漏れる。
今まで戦ってきて、ここまで追い詰められたのは初めてだったかもしれない。回復したように思えたがまだ昨日の疲れが残っているか、はたまた勝利を過信してしまったか、相手の弱みを握ったことで隙が生まれてしまったか__。何にせよ、今この状態が圧倒的不利なことには変わりはない。
上から問い掛けられた含みのある質問に対し明確には答えず、残りの魔力を使って相手の手に電流を走らせた。どうにか拘束を解き、此処を逃げ出さなければ__。)
…とにかく、いい加減に…、…っっ!
(肯定も否定もしない言い分に眉をピクリと動かせば、もう一度手首を掴む手に力を込めた。
不思議な魔力を使う上に民には身元が分からないため、一般の政府では扱いきれないのが現状である。その為に警察も安易に拘束したり追跡したりできない。だからこそ、自分がいるのだ。
ここまで拘束できたのには大きな意味があるし、このまま警察に引き渡せれば…。
しかし、もし自分の考えが当たっていたとして、、引き渡した後彼はどうなってしまうのか。
一瞬、甘い考えが過ぎった直後、相手を掴んだ手から電流が全身を駆け巡り拘束が緩まってしまった。すぐに立て直そうとするが、痺れて思うように体を動かすことが出来ず取り逃してしまうことになったのだ…)
残念だったなラブフラワー!
(一瞬の隙をついて拘束を振り切ると、最後の力で距離を置いて浮遊する。もう体力も魔力も殆ど残っていない。まだ余裕を残した捨て台詞を残すと、マントを翻して足早に姿を消した。)
……っは、
(駅前から遠く離れたとある路地裏。魔力を使い果たしたのか、変身が溶けて何時もの制服姿に戻った。なんとか逃げたとはいえ、今日の戦いは本当に苦しいものだった。最初、ライバルを前にして見せていた余裕なんてもう何処にもない。
逃げ込んだものの直ぐに動けるわけもなく、肩で息をしながらその場にへたり込んでしまった。目の前の無機質な壁を眺めつつ、あの時交わした会話を思い出してみる。"私を知っているのか"というあの質問の意図は__。
明日学校に行ったら、アイツは一体どんな反応をするんだろうか。確信は持ってないにしろ、恐らく勘づかれてはいるのだろう。
……なんて考えているうちに、体力も大分戻ってきた。まだ痛む身体を立ち上がらせると、自宅までの道を歩いた。)
…………。
(手足が痺れ、身動きが取れない間に敵を逃してしまった。
消えてゆくその姿を見届ければ、今回も逃してしまったなと小さくため息をついた。静まり返った駅前には段々と野次馬が集まりだし警察もやってくる。
悔しくても色んな考えが頭を巡ろうとも、今は正義の魔法少女ラブフラワーでいなければいけない。多少の痺れを残しながらも立ち上がり、笑顔を見せる。なんだか今日は一段と疲れた気がする。
結局、家に帰れたのはすっかり日が沈んだ頃だった…
やはり、気になるのは彼、早瀬の存在だ。今まではただのクラスメイトだったのに、そういうわけにもいかなくなってしまった。脳内で何度も早瀬とアスタロッドの姿が重なり、疲れているのにまったく眠れる様子はなかった…。)
…無理。しんど。
………マジ、授業とか…無理ぃ…。
( 結局昨晩は考え込みすぎて寝れず、家にいても落ち着かないのでまだ誰もいない教室で机に突っ伏し、正直すぎるぐらいにその怠さを口に出していた。
今朝、駅は未だ異常がないか調査中だとニュースでみた。直後にインタビューされていた自分の姿が今の自分と違いすぎて、朝から眩しく鬱陶しく感じた。)
へぇ、今日は五月蝿くないんだ。
(朝。目覚めは悪くない。しかしまだ魔力体力の全回復とはいかないようで、本調子とはいえないまま自宅を出る。きっと昨日力を使い過ぎたせい、という自業自得ではあるもののやはり不便だ。通学路途中、まだ人通りの少ない道で溜息を吐いた。
まだ微かに身体の痛みが残る中、ガラガラと扉を開けて登校すると、教室には春風一人のみ。昨日の戦いの影響かどうかは知らないが、明らかにテンションが低く感じる。
鞄を机に置く前に彼女の机に近寄ると、背後から皮肉っぽく声を掛けてみた。)
……うわっ!びっくりした…
……そっちこそ、アンタから話しかけられるなんて意外すぎ。
(微かに足音は聞こえたが、突然背後から声を掛けられ飛び起きる。勢いよく振り返るとずっと脳裏に焼き付いている姿が目の前にあった。嬉しいのか嬉しくないのか…眉間に皺を寄せ、明らかに機嫌は良くないらしい。
雑にポニーテールを結った頭を掻けば、ふと思い出したかのように相手の目を見つめる。)
そういえば昨日、駅前で探してた"お友達"は見つかったの?
(眠れない頭でずっと考えていた。何故彼は執拗に警戒し携帯を返そうとしなかったのか…。あれがラブのものだと知っていたにせよ、ただ知っているだけの一般人があそこまでするだろうか?嘘をついた挙句に様子まで見に来て、その直後に奴は現れた。考えることが苦手でも、自分はそこまで馬鹿ではないらしい。…まぁ、半分は勘のようなものだが。)
別に。昨日先に話しかけてきたのはお前だし。
(警戒……されているんだろうか。この会話で特に違和感を覚える所もないが、まだこの状態では分からない。だが、この後に来る核心的な彼女の問いによって、笑顔が消えることになる。)
……何が言いたい?
(人を探している、なんて話は変身後のアイツだけにしかしていない。となるとこれで彼女は「私がラブフラワーだ」と認めたも同然だ。
そして今のこの質問。まるで此方を試そうとでもしているかのような言い方に、きゅ、と瞳を細めて問い掛ける。)
もう、そんな怖い顔しないでよ…
疑り深いって顔しちゃってさ、身に覚えあるんでしょ。
…色々と。
(どのみち、昨日嘘に引っかかりまんまと駅前に姿を現した時点で此方の正体はバレていただろう。今から下手に弁解するより開き直る方を取ったらしい。それに、ただの一般人になら1人にバレたぐらいどうにかなる。周囲の人間に言いふらすような性格では無さそうだし…。
だが、彼の反応を見る限り、これは此方の正体を確信しただけのリアクションでは無さそうだ。明らかに警戒心が強くなっているのが分かる。)
でもね、私は正直、なんか分かったからってあれこれ考えて行動できるほど出来た奴じゃないの。面倒くさいのよ。
それに、下手に動かなくても…
ほら、もう私 "撮っちゃった" から
(しかし、真剣に問い掛ける相手を他所になんとも魔法少女らしからぬ脱力した声で面倒くさいと話せば、椅子の背に肘を掛け頬杖をつく。
だが、その次にはまるで悪戯をした子どものように口角を上げ、胸元をトントンと叩いて見せる。戦闘時に撮影した奴の姿…攻撃の為だけに撮っていたわけではない。この携帯は普通と異なる…やろうと思えば写真からも情報の収集が可能である。まだ、今のところ何もできてはいないが。)
……はは、もうお互い隠し事は無しってこと?
(相手の確信したような言い方。"撮った"と言われてもそれが何なのか、どんな証拠を握られたのか、どちらも定かではないが、この調子だと自分の正体がバレるのも時間の問題だろう…。
それを察すると真剣な表情から一変、開き直ってけらけら笑ってみせる。そっちがそう出るなら此方もそれ相当のもので返すと言うのも礼儀ではないか。
鋭い視線で相手を見据え、我が宿敵、その名前を呼んでやる。口調や姿は違えど、これまで散々戦ってきた相手、自然と変身後の姿と重なる部分もあったのだろう。一瞬瞳に赤い光が宿った気がした。)
今日は何もしないから。安心しなよ、"ラブフラワー"。
まぁ、そんなとこね.。
……このままずっと何もしないでいてくれると楽なんだけど!でも、どのみち、いつか私が其れを壊してあげるんだから、覚悟してなさいよ、“アスタロッド”
(一瞬、奴の姿が眼前に見えた気がしたが、右手の其れを指させば此方も自然といつもの笑顔になっていた。
毎日通う学校、ここだけは非日常的な戦闘も、敵も居らず、平凡過ぎるほどの日々を過すだけだと思っていたが、この瞬間から意識せずには居られない相手が出来てしまったようだ。
しかし、幾ら敵だと言えど、色々考え抜いた疑念が晴れた事で呑気な欠伸が1つ漏れてしまう。敵の正体を目前にここまで気を緩めていいのかと問われれば確かにそうだが、そこまで気にはしていないようだ。
しかし、その代わりに1つ閃いたように拍子抜けに明るく声をかける)
ねぇ、“早瀬”の写真撮らせてくれない?
ね、いいでしょ?
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