トピ主 2021-09-01 18:06:46 |
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キルティは、もうすぐ鏡舎に着くところだった。しかも、用事が用事なため、メールに気付かなかった。
キルティ)道中会わないと言うことは、移動魔法、あるいは既に鏡舎から寮に戻ったかもしれない。まずい。
キルティ)その可能性があったか。なら、セベク。君は、軽音部の方に行ってみて。シルバー、君は私と一緒に。一度、寮に戻ろう。
セベク)お任せください。
キルティ)急いで厨房に行こう。
キルティは走って厨房に向かった。
その頃、セベクは軽音部が使っている部室に来た。
セベク)失礼します。リリア様はおられますか?
キルティ)あれ、厨房にはいない。
キルティは、冷蔵庫も開けた。(リリアが勝手に作った)作り置きも入っていない。
キルティ)寮には帰ってきてないようだな。
キルティは安心した。
セベク)さ、サイエンス部に!何故、また?
ケイト)早急に作らなければいけない物が出来たとか言って、行っちゃったよ。何を作るのかは詳しく知らないよ。
セベク)分かりました。ありがとうございます。
セベクは、急いで、シルバーに電話を掛けた。
シルバー:もしもし?
(一方その頃、リリアは)
モブ:ぎゃーー!!(逃げ惑っていて)
トレイ:リリア、それは食べさせるとまずいんじゃ…
ルーク:リリアくん、できればその辺に……
セベク)シルバー、リリア様の居場所が分かった。キルティ様と実験室に来てくれ!
セベクは、そう言って実験室の前に来た。
セベク)(既に禍々しいオーラを実験室が纏っているように見える。そして、悲鳴も聞こえる)
セベクは入りたくなかったが、意を決して、少しだけ扉を開けて様子を見た。
シルバー:わかった。キルティ様、リリア様は実験室にいるそうです
リリア:ふふふ、わしの手にかかればあっという間じゃぞ~
モブ:ぎゃー!(変な料理の犠牲になって)
リリア:薬品を間違えたか、わしのお手製の飯にこれを加えれば良くなると思っていたのじゃが…
キルティ)学校にいたのか。分かった、行こう。
キルティ達はディアソムニアを後にしたが、キルティは鏡舎の前で足を止めると
キルティ)一応、これを。
キルティは置き手紙と袋に魔法を掛け、麗奈の部屋の窓に届くようにした。オルトが部屋にいる為、気付くと思ったのだろう。
キルティ)よし、急ごう。
オルト)手紙と袋?えーっと、安全で栄養のある食べ物だ。人の子が食べれるようであれば食べさせてくれって書いてある。差出人はキルティ・フォルンさんだね。でも、何だか文章が不穏だね。
オルトは文章を見ながら言った。
セベク)(地獄絵図が広がっている!)
セベクは叫ぶのを必死に堪えて、目の前の光景をただただ、そっと見ることしか出来なかった。というより、今入ったら、二の舞になるから、入ることが出来ないというのが正しい。
オルト)そうだね、起きたら食べさせよう。
セベク)も、もう少し、お待ち下さい。もう少しで、シルバーとキルティ様が・・・
キルティ)セベク!
キルティ達は、ようやく実験室に着き、セベクに声を掛けた。
キルティ)すまない、遅くなった。状態は?
セベク)お待ちしておりました。ご覧のとおりです。
キルティは、実験室を見たが、ぎょっとした。
キルティ)(あのルークがここまで狼狽えるなんて)
キルティは普段見ないルークの顔を見てびっくりした。そして
キルティ)とにかく、リリアを止めるんだ。そして皆口を閉じておけ!無理矢理料理を突っ込まれたくなければな。
と、キルティは全員に言った。
モブ:は、はいいぃぃ~~!!
トレイ:リリア!(ドアを叩いて)
リリア:トレイか、もうちょっと待っておれ。これは麗奈が作った薬品か。上出来じゃ(調合やらなんやら終わって麗奈の薬品を見て)
キルティ)リリア、人の子のご飯は、既に私が用意してしまったんだ。だから、それは必要ないぞ。あと、ここのものは、いつもお茶してるし、私もセベクもシルバーも先ほど、トレイからお菓子もらって食べたから、お腹いっぱいなんだ。だから、それはリリアが食べて構わないよ。
キルティは嘘を言った。勿論、リリアに見えないようトレイに合図を送って。
シルバー:はぁ、よかった…
ルーク:そういえば、麗奈くんが来てないね?
トレイ:エースたちから聞いたけど、なんでも授業中に鼻血を出したとか
キルティ)ん?イデアからメールが来てる。人の子は、過労が原因。暫くは授業を休ませるべし。って授業を休ませたら、テストがまずいと思うんだが?それに人の子は違うところから来た、なら、こちらの言葉だけでは理解出来ない言葉も少なからずあるだろうに。
キルティはイデアからのメールにようやく気づき、文章を読んだ。
キルティ)悪いな、麗奈は体調が優れないから学校は早退したんだ。また改めて来てくれるか?
キルティはルチウスの言葉を聞き、動物言語で、ルチウスに言った。
ルチウス:……オ゛ア(しっぽが下がって)
トレイン:ルチウス、こんなところにいたら危ない
ルチウス:……
トレイン:ルチウス、江崎に会いたかったのかい?
ルチウス:オ゛ァ……
トレイン:フォルン、せめて顔をみせるぐらいはできないだろうか?
キルティ)そうだな・・・ルチウスだけでは、心配だったが、主人であるトレインが一緒なら別だ。人の子はディアソムニアで休んでいる。会いたいのなら、案内しよう。
キルティはニッと笑った。そして
キルティ)シルバー、セベク、君達はそこで倒れている生徒の介抱を頼む。
そう言って、トレインと実験室を後にした。
セベク)とにかく、医務室に運ぼう。
セベクは倒れた生徒を2人担いで言った。
キルティはトレインを連れてディアソムニアに再び戻ってきた。
キルティ)ここだ。人の子入るぞ。
キルティがそう言うと、オルトが扉を開けた。
オルト)キルティ・フォルンさん、お帰りなさい。あれ、トレイン先生とルチウスもどうしたの?
キルティ)ルチウスが人の子に会いたがってね。顔を見せるぐらいならと、私が許可したんだ。人の子は、休んでるな。だが、流石に起こそう。人の子、起きてくれ。
キルティは麗奈を揺さぶった。
麗奈:ん?(目を覚まして)
トレイン:江崎、すまないね。ルチウスが君に会いたいって言ってるんだ
ルチウス:オ゛アァ!(麗奈のベッドに乗って。他の猫たちも続いて)
麗奈:あら、かわいい~(至福の時)
オルト)兄さんがいたら、興奮してたかも。そうだ!
オルトはカメラモードを起動して、猫と戯れている麗奈の写真を撮った。
オルト)よし、これを兄さんに送って、゛メールの送信が完了しました゛
オルトは、イデアの反応を待った。キルティはオルトの様子を見て
キルティ)(イデアは麗奈も好きだし、猫も好きだから、写真なんて見たら発狂か仰け反るのどっちか、あるいは両方の可能性があるな。椅子に座った状態で見たら、仰け反った時、確実に後ろに倒れるぞ)
と、そんなことを思っていた。
イデア:んがっ!(案の定、かわいいが死因で倒れ)
麗奈:よしよし
ルチウス:オ゛ア(撫でられて幸せ)
トレイン:よかったな、ルチウス
キルティ)(やっぱり)
キルティはイデアの驚く声が聞こえ、顔を抑えた。
オルト)キルティ・フォルンさん、どうしたの?
キルティ)いや、思っていたことが的中したみたいでね。
キルティは、フッと笑った。
麗奈:あら、他の子も連れてきてくれたの?
ルチウス:オ゛ア
麗奈:うふふ、癒される(ルチウスや他の猫を撫でて)
トレイン:これが江崎の部屋、なんだ!? このノートの山は!?
トレイン:こんなに…
麗奈:だからこんな体になっちゃったんです…
学園長:話は聞きましたよ!(ドアを開けて)
トレイン:学園長!?
学園長:トレイン先生の猫とその他猫たちが一列になって歩いていたものだからつけてみたら、ディアソムニアに、しかも麗奈さんの部屋にお邪魔してるではありませんか。私も彼女が心配だったのでついでだからお見舞いに来たんです
トレイン:学園長、江崎は未だ体調が優れないんです。退室願います
学園長:トレイン先生はよくて私はダメなんですか? しくしく(ウソ泣き)
キルティ)嘘泣きなのは分かってるぞ。それに、人の子の体調が悪いから、早退させたほうがいいと学園長が言ったんだろう。だから、ここにいるんだよ。それにトレインがいるのは、ルチウスの主人だからだ。
キルティはやれやれと言った。そして学園長にこっそり
キルティ)恋情を抱いているのは分かるが、日を改めてくれ。あと、もし気持ちを伝える気でいるなら、よく考えてからすることだ。後々、学園長がどうなっても、私は知らないよ。
と、言った。
学園長:おや、抜け駆けですか? あなたがたばかりがいい思いをするなど、ずるいではないですか?
麗奈:学園長…?
学園長:失礼しました。麗奈さん、体調はいかがですか?
麗奈:この通り、しばらく授業は……けどテストとか…
学園長:そこは私が何とかいたします。私、優しいので! あなたが普段真面目に授業を受け、部活動でも活躍できているのは耳に入っています。その証拠にあなたのこの山のようなノートの数々。貢献しようとしていることは伝わっています。しかし、当の本人が体を壊してしまっては元も子もありませんから、今はゆっくり休んでくださいね(ニコニコ)
キルティ)私達だけではない。他の者からもやられるぞと言っているんだ。いくら、学園長と言えど、全生徒を自分一人で捻じ伏せることは出来ないだろう?中には魔力が強いもの、無力化させるもの、世界屈指の魔法士もいるんだから。
キルティは、学園長に、続けてこっそり言った。学園長が麗奈に思いを伝え、それが広まれば、麗奈に思いを寄せている生徒の怒りを買うことになる。だから、キルティは気をつけろと言ったのだ。
学園長:まあ、その時は覚悟しますし、あなた方にもしてもらいましょう
ルチウス:ゴロゴロ…
麗奈:よしよし(2人のやりとりなど知るはずもなく、ずっと撫でていて)
キルティ)他の者の怒りを買ったら、私達が守ると思っているのか?悪いがそこまで甘くないぞ。盾になる気はないからな。学園長なら、学生を止めて学生を守るのが仕事だろう?こっちに丸投げしないでくれ。
キルティは、こっそりそう言った。
学園長:はいはい
麗奈:すやすや…
ルチウス:すやすや…(みんなで眠りについて)
トレイン:ルチウス、そろそろ帰るよ?
ルチウス:zzz
キルティ)ふぅ、眠っているのなら、邪魔はしてはいけないな。そろそろ他の者の帰ってくると思うし、今日はもう戻っていいよ。オルト、看病ありがとう。
オルト)大丈夫だよ。また何かあったら呼んでね。
キルティ)もちろん。
キルティ)あぁ、それじゃあ。
キルティは玄関で見送ると扉を締めた。
キルティ)さてと、さっさと帰って決まったし、寮服に着替えて、談話室でゆっくりするか。シルバー達ももうすぐ帰ってくるだろう。
キルティはそう言って、自室に戻った。
キルティ)リリア、シルバー、おかえり。人の子は過労が原因。暫くは授業を休ませる方がいいらしい。だが、勉強が出来ないと、テストの点数が低くなる。そうなれば、そこに追い打ちを掛けるような、生徒も現れるだろう。一応、学園長が何とかするとは言っていたけど、あの学園長のことだから考えてない可能性もないとは言い切れない。まぁ、勉強なら私達だって教えられるから、あんまり心配はいらないと思うけどね。
リリア:本人があんなことになってしまったから、仕方ないがの
シルバー:学園長のことだから、麗奈は授業を受けたことにしてしまうとか?
キルティ)学園長の権限でそこまで出来ないと思うよ。それに、学園長が生徒に対する授業を受けてほしい気持ちは本当だろう。じゃなきゃ、しつこくレオナに授業を受けろと言わない。なら、尚更、授業を受けたことにするという、偽造はしないだろう。人の子も困ると思うし。何より、この学園に泥を塗ることになるからな。それだけは避けたいだろう。
キルティは、考えながら言った。
キルティ)しかし、それではいずれ倒れる。しかも、魔力を持っていない人間。命が脅かされる病に倒れたら、私達は治すことが出来ない。私達の治癒魔法は怪我の治療だからな。
キルティ)ルチウスが麗奈に会いたがっていて、他の猫も連れて来たんだよ。猫だけでは止めたけど、トレインが一緒なら、うちに来るのを許可したんだ。人の子はさっき猫と戯れていたよ。ところで、シルバー、医務室に運んだ者たちは?
キルティ)そうか、気がついたなら良かった。なら、そろそろセベクも帰ってくるかな・・・
キルティがそう言うと
セベク)ただいま戻りました。
セベクも帰ってきた。
マレウス)戻った。ああ、3人は既に帰ってきていたか。あとは人の子か。最後とは珍しい。
キルティ)お帰りなさい。実は・・・
キルティは麗奈のことを話した。
マレウス)そうか、確かに勉強のあたりは教えられる。暫くは、休ませよう。
マレウス)随分と懐いているな。
マレウスは、麗奈と猫の様子を見て、フッと笑った。そして
マレウス)人の子、体調の方はどうだ?
キルティ)げっ!
キルティは会いたくないやつに会ってしまい思わず?嫌な顔をした。
マレウス)キングスカラー、見て通り人の子は体調が悪い。帰ってくれるか?
レオナ:見舞いにきただけだ
麗奈:レオナ先輩に来てくれてありがとうございます
レオナ:(匂いを嗅いで)もしかして、猫でもいたか?
麗奈:よくわかりましたね
レオナ:匂い撒き散らしてりゃすぐわかる。それにお前の毛布に毛がついてるしな
麗奈:あ、あははは
レオナ:とりあえず、こいつでも食っとけ(鉄分と亜鉛が摂れる食べ物)
キルティは、帰っていくレオナを見て
キルティ)随分、素直に帰っていきましたね。いつもなら、居座ろうとするのに。
マレウス)人の子に早く回復してもらいたいのだろう。一応見たが、見舞いの贈り物も何の魔法も掛かっていなかった。食べれるなら、食べたらどうだ?
キルティ)あんな態度だから誤解されやすいかもしれませんが、心配するときはしますし、感謝するときはちゃんとしますもんね。素直じゃないですが・・・
キルティは見舞いの品を見ながら言った。
セベク)シルバー、遅いですね。まさか、また倒れて寝ているのか!若様、シルバーを探してきます。
マレウス)ああ、分かった。
セベクはマレウスにそう言い、シルバーを探しに言った。キルティはレオナのことをまだ考えていた。
キルティ)(素直に言えば、こっちだって普通に歓迎するし、紅茶でもてなすのに)
セベク)シルバー、こんなところにいたのか!
セベクはシルバーを見つけ、声をかけた。
マレウス)どうした、人の子。
マレウスは麗奈に近づき妖艶な笑みを見せた。キルティは麗奈の言いたいことが分かり、ニヤッと笑うと
キルティ)リリア、紅茶淹れて上げるから、談話室に行こうか。
と、二人きりにするよう、リリアに合図を送った。
セベク)全く心配を掛けさせるな。若様の護衛たるもの、いついかなる時も、しっかりと責任を持って・・・
セベクは、シルバーに護衛の責任を持つよう注意していた。そして一つ一つが長い・・・
キルティはリリアと談話室に向かっていた。そして
キルティ)紅茶を淹れるのは退室するための口実だったが、ちょうど喉も渇いていたからな。せっかくだし、全員分を私が用意しよう。リリアも私の淹れる紅茶は好きだったろう?
セベク)こら、シルバー!僕の話はまだ終わってないぞ!
セベクは寝るシルバーを起こした。
キルティ)任せて。
キルティはニヤッと笑った。
マレウス)僕がそれを拒むとでも?
マレウスは麗奈の頬を撫でながら言った。
セベク)若様の護衛なのだから当然だろう。お前だって護衛ならちゃんと責任を持て。それに、若様もリリア様も心配なさるに決まっている。キルティ様も然り。
セベクは、はっきりそう言った。
マレウス)心配するな。お前の為なら、いくらでも時間を使おう。
マレウスは妖艶な笑みで麗奈を見た。それを、厨房で紅茶を作りながら聞いていたキルティは
キルティ)(使うのは構わないけど、使いすぎたら、リリアに叱られるって思わないのかな?今まで、別のことに使いすぎる度に、リリアに注意されてるのに懲りないな)
キルティは、そう思いながら紅茶を用意していた。
セベク)早く戻るぞ。
キルティはティーポットとティーカップ、そして砂糖や蜂蜜、フルーツなどを台に乗せてやって来た。
キルティ)お待たせ。
キルティ)自分で好きなフレーバーティーが作れるように色々持ってきたよ。ミルクに蜂蜜、ドライフルーツから普通のフルーツ。好きに取ってね。
キルティはそう言って、ティーポットに魔法をかけた。自動で紅茶を注いでくれるようにしたのだ。
キルティ)折角だから、自分の好きなフレーバーティーを見つけてみたらどうかな?無理にとは言わないけど・・・
マレウス)面白そうだな。
セベク)僕も作ってみます。
マレウス)そうだな・・・
セベク)初めてですね・・・
麗奈以外の5人はこれが初めてでは無かった。麗奈がゴーストに取り憑かれた後、麗奈の部屋の惨状を見たことがあるのだ。しかし、麗奈には言わないことにした。あまりにも酷かったから。
キルティ)たまにはいいね。こうやって集まるのも
皆は自然にそう話した。
マレウス)(人の子に映るものは綺麗な物や、美しい物だけでいい。恐ろしい物など見せない)
セベク)(人間の心に残る記憶は、楽しいことだけだ。辛いことや悲しいことなど忘れさせてやる)
キルティ)(人の子、必ずハッピーエンドを見せてやる。お前のお前だけが紡ぐお前だけのハッピーエンドをな)
マレウス)顔色も良くなってきているし、大丈夫そうだな。
マレウスは麗奈の様子を見て安心した。
キルティ)人の子、部活中、休憩の為にお茶をするだろう。ちゃんと、休憩は取ってるのか?まさか、他の者は休憩してるのに、自分はしていないわけじゃないよな?
キルティは、麗奈に聞いた。
キルティ)なら、いいけど。
キルティは心配していた。
セベク)キルティ様、クルーウェル先生にトレイ先輩やルーク先輩もいるんです。人間が休憩を入れてなければ、必ず声を掛けますよ。
セベクは手をグッと握って言った。
キルティ)それもそうだな。
キルティは、不安が杞憂だったので、安心したのか、笑った。
マレウス)そうだな。大釜も使うときがあるだろう。あれを混ぜるのには、確かに体力が必要だ。
マレウスは、紅茶を飲みながら言う。
キルティ)2人とも休憩の時には、本当にお茶会を開いている様に見えるからね。また、ハーツラビュルとは別な感じかな。
セベク)どうしてご存知なのですか?
キルティ)たまに、温室とか行くと、お茶会の様子を見かけるの。ルークは楽しそうに歌ってるし、トレイは慣れた手つきで紅茶を注いだり、ケーキを切ったりしてるからな。お邪魔はしてないけど。
キルティは、ティーポットに紅茶を注いでもらいながら言った。
美月)体調が万全になってからで構わない。楽しみにしている。あと、オルトとイデアから連絡があったんだけど、人の子にはしばらく休息が必要とのことだ。1週間、バイトを休むように言ったけど、もう少し休んでもらうよ。
麗奈:わ、わかりました…
リリア:落ち込むでない。もし出かけることがあればまた小遣いを渡してやる
麗奈:そういうわけには…
マレウス)おやすみ、人の子。
マレウスは麗奈のおでこにキスをしようとした。
キルティ)リリア、セベクの目を隠すぞ。抑えてて。
キルティはセベクの目を隠した。
セベク)あっ!キルティ様、何するんですか!
キルティ)安心しろ、暴れなければすぐ離す。シルバー、悪いけど死角を作って。万が一、セベクが暴れた時に手が目から離れたらまずいからな。
マレウスはセベクに見えていないのを確認すると、麗奈のおでこにキスをして髪を撫でた。
マレウス)良い夢を
マレウスはそう言って、妖艶な笑みを浮かべた。キルティはマレウスの様子を見て
キルティ)もう離していいな。
キルティはそう言って、手を放した。
キルティは、飲み終わった紅茶を洗っていた。
キルティ)よし、全部洗い終わったな。
手を拭き、一息つくと、談話室のソファに座った。
キルティ)少し、休憩してから、就寝するか。流石に、移動魔法使うのも勿体ないしな。
キルティ)よく眠れるココア。父様と母様が私が眠れない時に作ってくれた私の一番好きなもの。
キルティは、そう言うと二人分のココアを作り始めた。
キルティ)そりゃ、ココアだからな。甘い香りがして当然だよ。
キルティはそう言って、温かいミルクを注ぎながら、ココアをかき混ぜた。
キルティ)出来た。はい、シルバー。
キルティ)だといいな。
キルティは窓から見える月を見た。綺麗な三日月が輝いている。まるで誰かが不敵に笑っているのか、口をつり上げながら。
キルティ)見守ってくれてるといいな。
キルティはそう言いながら月を見つめた。
キルティ)そんなに褒めてくれるなんて・・・ありがとう。流石父様と母様のレシピだね。
キルティもココアを飲んで言った。
キルティ)アイスココアも美味しいけど、私はホットの方が好きだね。アイスは氷も入れるから、時間が立つと氷がとけて味が薄くなっちゃう。ホットならそれはない。時間が経ってもかき混ぜれば味は戻るからな。大事なものはじっくり味わって飲みたい。
キルティは、ココアを見て言った。
キルティはカップを片付けると、あくびをした。
キルティ)私ももう寝よう。
キルティは部屋に戻ると、さっさと寝巻きに着替えて、就寝した。
セベクは目を覚まし、水を飲みに行こうと部屋を出た。そして、前方に人影を見かけ
セベク)だ・・・
セベクはいつもの大声で声を掛けようとしたが、前にキルティに就寝後は少し、声を小さくすることを言われたのを思い出し、出来る限り、声を小さくした。
セベク)だ・・・誰かいるのか?(普通の声の大きさ)
セベク)全くだ。若様に心配をかけるなといつも言っているだろう。でも、だからと言って、無理もするな。勉強するときはする。休むときは、休む。睡眠時間を削る必要はない。
セベクは、大事なことを言った。そして
セベク)ところで、目が覚めたのはベッドだけか?他にもあるんじゃないのか?
セベクは、麗奈を見つめて言った。
セベク)この季節に外に出るのは危険だ。しかも、まだ体調も万全ではない時に、出れば悪化するぞ。外に出るのはやめておけ。水ぐらいなら用意してやる。
セベク)ふん、ついでだ。
セベクはそう言うと、コップに水を入れた。そして
セベク)落ち着いて飲むんだぞ。
そう言って、麗奈に水を渡した。
セベク)本当に珍しいな、いつもすやすやと眠る貴様が眠れないなんて・・・
セベクは驚いていた。その頃、キルティも同じような目に合っていた。
キルティ)おかしい・・・父様と母様のココアを飲んだのに、分量も絶対に間違えてないのに・・・どうしてあまり眠れなかったんだ!おかしすぎる!
キルティは、部屋でそう言っていた。
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