トピ主 2021-09-01 18:06:46 |
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セベク)女に慣れてないだけだ。それもあんな楽しそうな笑顔を向けられれば、貴様も赤くなるだろう。
セベクは精一杯声を小さくして言った。
キルティ)お客様、只今のお時間でラストオーダーとなりますが、追加注文ございますか?
キルティは、時間を見て、気づき、マレウス達に声をかけた。
キルティ)かしこまりました。じゃあ、これを1つずつどうぞ。
キルティは籠に入ったマシュマロゴーストを見せた。先ほどまでラップされていたのに、いつの間にか、キャンディみたいにラッピングされている。
キルティ)(グレードアップ?)
キルティは、誰がしたのか知らないので、少し不思議そうな顔をしていた。
キルティ)3人も驚いていたし、凄く好評だったよ。
マレウス)ほう、これがさっき言っていたサービスか。マシュマロをゴーストの形にするとは、考えたな、キルティ。
マレウス)では頂くとするか。
マレウスは、マシュマロを食べた。すると
マレウス)ふむ、とても美味いな。甘さもいいし、食感もいい。
セベク)ひんやりしていて、美味しいです。
キルティ)良かった・・・はっ!
キルティはそこで気づいた。マシュマロは、リリアの苦手だったことを。キルティはリリアの方を見た。(リアルで今思い出したよ)
キルティ)えっと・・・その・・・えっとね・・・(リリアの苦手なものを忘れてたなんて言ったら、何されるか、分かったもんじゃない・・・絶対お仕置き食らう・・・)
キルティは、何とか言い訳を考えたが、マシュマロと同じく白いものでもう一つ作れるものを思いついたのだ。
キルティ)り・・・リリアには今から直ぐに作るから待ってて。私がリリアの苦手なものを忘れるわけが無いだろう。そういうわけで厨房借りるぞ!
キルティはそう言って、厨房に行くと、マシュマロゴーストのマシュマロの部分をホワイトチョコにした。中はブラックチョコで外側をホワイトチョコでコーティングしているのだ。苦味があるブラックチョコとホワイトチョコの独特の味を合わせると甘さは控えられる。後はチョコペンで、同じように作ればホワイトチョコゴーストの出来上がり。勿論マシュマロゴーストの時に使った粉床でしっかりも粉もつけ、余分な分はしっかりはけで取った。急いで、リリアの元に戻ると
キルティ)はい、リリアの為のホワイトチョコゴーストだよ。これなら、食べれるだろう。
キルティは息を切らして言った。
キルティ)ブラックチョコをホワイトチョコでコーティングしている。ブラックチョコはそもそも余り甘みがないからな。ホワイトチョコの独特の味と合うと思ったんだ。マシュマロにチョコペンで甘さをカバーしたのと同じようにチョコレートの足りない甘みはチョコペンでカバーさせてもらったぞ。
キルティは、作った物の説明をした。
キルティ)(何とか助かった・・・)
キルティは心底安心した。
マレウス)(キルティ、絶対に忘れていたな)
マレウスは、分かっていた。
アズール)また来てくださいね。
アズールも笑顔で手を振った。
マレウス)先に帰っているぞ、キルティ。
キルティ)はい。
キルティは皿を片付けながら言った。
リドル:キルティ先輩、とても楽しかったです
トレイ:働きすぎないようにな
デュース:もしバイトが一緒になったときはよろしくお願いします
キルティ)そろそろ解けるようにしている。
キルティが看板を片付けながら言うと、効果が切れたのか、フロイドの服はいつもの寮服になった。
キルティ)ね?戻っただろ。
キルティ)私のイタズラと気づいてたんじゃないのか?それとジェイド、皆を休憩室に集めておいて。
キルティは、そう頼みジェイドに続けた。
キルティ)服を変えるかどうかは私の気分次第だぞ。
と言った。
キルティ)安心しろ、そっちが妙な真似さえしなければ、こっちだってしないよ。
キルティは、そう言ったが
キルティ)気分によるけど。
と、付け足した。
アズール)皆さん、お疲れ様でした。
モブ)はい・・・(毎回すげー疲れる)
モブ)マドル結構取れましたね(マジでキツイ)
キルティ)皆、お疲れー。私からの賄い食だよー。
キルティが魔法でお盆を浮かせながら言った。
アズール)えっ?
キルティが浮かせたお盆には、ジャック・オー・ランタンの顔が描かれた紫色の入れ物がたくさん並べられていた。
キルティ)ジェイドに口では話したけれど、これがもう一つの案。中に入れるタイプのパンプキンプリンだよ。
キルティがニコッと笑った。
モブ)うまそ~
アズール)ありがとうございます。これも考えてくれていたのですね。
キルティ)ジェイドと図書室で会った時に新作メニューの1つでこれが浮かんだんだ。
キルティ)私は君達と違って飲食店を営んでるわけでもないからね。必要な知識は、取り入れるけど、そうでなければ、取り入れない。必要のない知識を身に着け、本当に必要な知識を身につけることが出来なくなるのは困るからな。
キルティは、ニッコリ笑った。するとプリンを食べてるモブが
モブ)めちゃくちゃうめぇ。キルティ先輩、さっきも創作料理っぽいの作ってたけど、センスあるんじゃないですか?
キルティ)そうだね。気付かれなかったら、実行するよ。
キルティは少し含みのある言い方をした。これは、ジェイドに話したことだ。キルティが夜中にこっそり創作料理を作っているのを毎回マレウスに見つかったことをキルティは悔しく思っているのだ。
キルティ)ああ!また利用させてもらうよ。
アズール)キルティさん、今回のバイト代です。
アズールはキルティにマドルを渡した。
キルティ)ああ、ありが・・・
キルティは、違和感を覚えた。それはマドルが入っている封筒がずっしりと重かったのだ。
キルティ)(変だな、いつもより重い。それに封筒もいつもより膨らんでいる。まるで大金でも入ってるようだ)アズール、ちょっと中身確認するよ。
アズール)ええ、構いませんよ。
キルティは、封筒を開け、少し中身を見た。中に入っていたのは、札束だった。
アズール)いえ、これには訳があるんです。今回のバイト代とその他諸々も込みで渡しているんです。
キルティ)その他諸々とは?
アズール)少し前になりますが、オーバーブロットの件のお詫び、それから素晴らしいショーを見せてくれたお礼、更には、飛ぶのが苦手な僕達に翼がはえる魔法薬と可愛らしい人形をくださったお礼、最後は、新メニューを考えてくれたお礼とバイト代です。
キルティ)それでこんなにもらっていいのか?結構な額だぞ。
キルティはかなりの額のマドルを見て言った。
アズール)僕からのお詫びとお礼ですので、遠慮なさらず。
アズールはニッコリ笑った。
キルティ)まぁ、そこまで言うのならありがたくいただくよ。あと、今回のパンプキンプリンの作り方のメモも厨房に貼っておいたから、良ければ、それぞれで作ってみてくれ。それじゃあ、私は帰るよ。
キルティは、魔法で制服に着替えるとオクタヴィネルを後にした。
アズール)本日は手伝ってくださってありがとうございました。
キルティ)ありがとう、ゆっくりさせてもらうよ。
キルティは、笑ってその場を後にすると、部屋から着替えを持つと、風呂に向かった。
マレウス)そうか、もう少し一緒にいたかったが、眠いなら仕方ないな。
マレウスは、少し残念そうにした。
キルティ)ふぅ、疲れた後に入る風呂は格別だな。
マレウス)そうか。それは楽しみだ。
マレウスは、ワクワクしていた。なぜなら、前回は既に姫からの贈り物があったからだ。なので、まっさらな状態で見るのは今回が初めてなのだ。
セベク)僕もそろそろ休みます。おやすみなさい、若様、リリア様、シルバー、人間。
セベクはそう言って、部屋へ戻っていった。
キルティ)ふぅ、さっぱりした。
キルティは、風呂から上がって廊下を歩いていた。そして談話室の部屋を開けたが電気が消えていた。
キルティ)何だ、皆戻ったのか。なら、私も戻ろう。
キルティはそう言って自分も部屋に戻っていった。
マレウス)今日は人の子の部屋で朝まで一緒だな。
マレウス)確かに、僕の部屋と人の子の部屋では、スペースは狭いが、その分、お前と近くいられる。
マレウスは、麗奈の背に手を添えながら言った。
マレウス)それでも自分で考えて作るだけでも、素晴らしいと僕は思うぞ。そういうのはなかなか思いつくものではないからな。それに、調合の順番を間違えなくても、魔法薬の相性が悪く、そのせいで爆発が起こることもある。なのに、人の子は、爆発をさせず一度で完成させたのだろう?他のものが驚くのも頷ける。
マレウス)確かにそうだが、転寮するためには、転寮届が必要だ。そして、現在のいる寮の寮長と副寮長の許可がなければ無理だ。ここで言うと、僕とリリアだ。僕らが許可をしない限り、人の子は転寮出来ない。
マレウスはゆっくり言った。
マレウス)そうか、人の子は前にフェルミエの部屋でどんな部屋か一度見たことがあったな。
マレウスは思い出したように言った。そして
マレウス)人の子、安心しろ。この寮がどこよりも安全な寮だ。だから、この寮で過ごした方がいい。勿論、たまに泊まりがしたいなら言ってくれて構わない。ただし、必ず届けを出すことだ。
マレウス)そうか?
マレウスは、そう言うと立ち上がりこう言った。
マレウス)なら、僕は用意を済ませてから向かうとしよう。
そして、麗奈の部屋を後にした。
セベク)早く用意しろ、リリア様が厨房に着いたら終わりだぞ。
セベクは、シルバーにそう言った。
キルティ)ヴ~ん、よく寝た。
キルティは、伸びをしながら言った。
セベク)先に行っているからな。寝るなよ。
セベクはシルバーにそう言うと、厨房に向かった。すると、麗奈を見かけ
セベク)人間、起きていたのか・・・って、どうした!?
セベクの声が聞こえ、今の声で寮にいる殆どのものが驚き、目が覚めた。
モブ)なんだなんだ?
モブ)今のセベクじゃねぇか?
モブ)げっ!もう朝!用意しねぇと。
セベク)とりあえず、パンから離れろ!血が付くだろ!それと、ど、どうやって止めればいいんだ!
セベクは、あたふたしていた。
マレウス)セベク、何の騒ぎだ?
セベク)若様、おはようございます。実は人間が鼻血を出しまして・・・
マレウス)鼻血?
マレウスは麗奈を見た。
麗奈:……(パタパタと制服を汚し)
リリ:あなや!? どうした!?
麗奈:突然出てきちゃって…
シルバー:あとは俺がやっておくから、とりあえず部屋に戻れ
マレウス)リリア、人の子を部屋に連れてってくれ。セベクとシルバーは朝食の準備だ。
マレウスは、それぞれに指示を出した。
キルティ)おはようございます、マレウス様。どうかなさいましたか?
キルティは一足遅く、マレウス達の元へ来た。
マレウス)キルティ、制服のブラウスを直ぐに綺麗にしてくれ。
キルティ)はい?分かりました・・・
キルティは、突然言われたことにびっくりしたが、冷静に対処した。
セベク)急ぐぞ!
セベクはシルバーと朝食の準備に取り掛かった。キルティは、魔法で麗奈のブラウスを綺麗にした。すると、血の飛沫は綺麗さっぱりに無くなった。
キルティ)よし、これで大丈夫だな。
セベク)分かっている。
セベクもせっせと作っていた。キルティは服を綺麗にしたので、麗奈の部屋にやって来た。
キルティ)人の子、ブラウス綺麗にしたぞ。血は止まってきたか?
キルティ)流石に止めてからの方が良くないか?それでも行くと言うのなら、仰向けのまま、運ぶぞ。さぁ、どちらにする?私はどちらでも構わないぞ。
キルティは、不敵な笑みを見せ言った。
キルティ)よろしい。エースとデュースに連絡するよ。いつもはエースだけど、たまにはデュースにかけてやるか。
キルティはイタズラ心が芽生え、デュースに電話を掛けた。
キルティ)う~ん、出直した方がいいか?
キルティは困った笑顔で言った。すると電話の向こうから
エース)デュース、まずズボン履けよ。それで、片方履いて部屋跳ねられても困る。
と、同室のエースの声が聞こえた。
キルティ)(そういうことだったのか・・・)
キルティは、状況を察知した。
キルティ)おっ!キリが良くなったか。実は、朝から人の子が鼻血を出してしまってな。止まったら、登校させようと思ってるんだ。だから、そのことを先生に伝えてほしいんだ。頼めるか?
キルティ)それじゃあ。
キルティは電話を切った。そして麗奈の部屋へ向かった。
キルティ)失礼するぞ。リリア、人の子の様子はどうだ?
キルティ)無理無理してるってまた無茶したのか?
キルティは、首を傾げた。
中の人)トピ主さん、大丈夫だった?成りすましされてたけど?昨日の夜中に気づいたから、急いで通報したんだ。まさか、こっちのチャットにまで被害が出るとは思わなかったよ。今まではもう一つのチャットだけだったからさ。
キルティ)つまり、体力はかなり疲弊していた。そういうことか。
中の人)よかった。なんかギリギリ危ないこと書かれてたんで、結構腹立ってたんですよ。トピ主さんがあんなこと書かないし。
麗奈:た、多分…
リリア:キルティ、これでは麗奈が自覚なく倒れてしまうかも知れぬ。何か楽させる方法を探さねばならんぞ
中の人:それ以前にこれ私じゃねー! でした
キルティ)リリア、それは勿論だが人の子は、無意識もあるが突然ゴーストに取り憑かれた後の反動が残ってるのかもしれない。それに、あのあと、大量の魔法薬を被り、赤ん坊になったのだ。身体を乗っ取られた反動と、魔法薬の反動は魔力のない人の子には、かなりのしんどいのだろう。
中の人)自分も成りすまされたことあるんで、嘘書くなって思ったことありますよ。文章間違えずに読むようにしてたから、気づけた感じです。でも、ここまで来ると本格的に対処を考えたほうがいいのかもしれませんね。
リリア:麗奈は責任感が強い。下手に気を遣えばこちらが気を遣われる側になりかねん
中の人:でもこれ、どうすればいいんですかね? 鍵もつけられませんし…
キルティ)そこが問題だな。私も案が浮かんでいない。
キルティも腕を組んで考えた。
中の人)通報されるチャットを書いた人は、主にチャット荒らしが目的、あるいはアンチですね。なので自分達のチャットを守るよりも、乗っかってやろうかと考えていますが、逆にこっちも通報されそうなので、難しいところです。
キルティ)そうだな。治ってきたならよかった。
キルティは、麗奈の方を向くとそう言って、頭を撫でた。
中の人)そうですね。今のところ、明確な手立てはそれしかありません。特定も出来なきゃ、発見も出来ませんから。
麗奈:ふぐ…
リリア:麗奈、今日は部活は休んで、授業は終わり次第寮に戻るのじゃ
麗奈:?
リリア:副寮長命令じゃ
麗奈:は、はい
デュース:おはよう。朝からびっくりしたぞ
麗奈:おはよう。もう大丈夫だよ
デュース:ズボンはいてる最中にそんな連絡きたから慌てたぞ
キルティ)タイミングが悪い時に掛けて済まなかったね。いつもエースだから、たまにはデュースに掛けようかなって思って掛けたんだ。
キルティは困った笑顔で言った。
エース)今日は俺が良かったと思いますよ。俺はその時、スート書き終わるところだったので。
マレウス)そろそろ、授業が始まるな。スペード、トラッポラ、人の子を頼んたぞ。
マレウスは、エース達に言った。
エース)分かりました。
キルティ)少しでも具合が悪くなったら、遠慮せず言うように。無理は禁物だ。
キルティも、そう言って、その場を後にした。
デュース:はい
ルーク:おはよう。麗奈くん、エースくん、デュースくん
麗奈:ルーク先輩、おはようございます(そうだ、今日は3年生と合同だったんだ)
レオナ:麗奈、お前どっかケガしたのか? 血の匂いがするぞ
麗奈:朝から鼻血が出ちゃいまして…
エース)(流石鼻が利くなぁ。極力距離を取らねぇと)麗奈、こっちの席座ろうぜ。ほら、デュースも。
エースは麗奈とデュースの手を引いて、レオナから離れた。
デュース:ああ
ルーク:麗奈くん、今日は私と組まないかい?(ずい、と出てきて
麗奈:え!? は、はい!(反射的にうなずいてしまい)
エース)(ルーク先輩は容赦ねぇ!しかも、勝てねぇ!)
エースは、見事に麗奈を取られて落ち込んだ。
エース)俺、今日が命日かも。マレウス・ドラコニアに雷落とされるかも・・・
エースは顔を抑えてか細く言った。
クルーウェル)仔犬ども、始めるぞ。
クルーウェルは、教団に登ると、授業を始めた。
その頃、キルティはリリアのクラスと合同で飛行術だった。
キルティ)寒い・・・
キルティ)寒いよ。仕方ない、温度調節魔法を使うとしよう。今回は、使えるからな。
キルティは温度調節魔法を使った。前回、キルティは、自分にカラスの羽が生えたせいか、温度調節魔法が使えなくなり、寒すぎて、ハーツラビュルで倒れたことがあった。
キルティ)(結構前なのに、鮮明に覚えてるんだよなぁ)
リリア:倒れぬようにな
麗奈:えーと、鍋を3回混ぜて…
ルーク:ボーテ、素晴らしい! ここまで失敗せずにできるなんて、すごい才能だ(麗奈をベタベタ褒めて)
レオナ:うるせぇ…(イライラして手が震え)
モブ:ひいぃぃー!(レオナと組んでいるモブ。早く授業終わってくれ)
キルティ)あんな羽の生えていない私ならヘマなんでしないよ。
キルティは、笑った。
クルーウェル)駄犬、褒めるのはいいが、後にしろ。褒めすぎて、魔法薬を爆発でもさせたら、補習だからな。
クルーウェルは、ルークの背後で言った。
エース)俺、いくら麗奈と組めてもルーク先輩入ってきたら無理かも。集中できねぇ。
エースは、デュースと組んでいて、2人の様子を見ながらこっそり言った。
エース)レポートも書けたし、渡しに行こうっと。
エースは、魔法薬とレポートを持って、クルーウェルに渡しに行った。
エース)出来ました。
クルーウェル)グッドボーイ…今回はよくやったな。
麗奈:先生、こちらもお願いします(レポートを提出。ところが、また鼻血を出してレポートを汚してしまい)
ルーク:麗奈くん!?
麗奈:え…、また?(しかもかなりの量が出て)
クルーウェル)仔犬、どうした?
クルーウェルも突然のことにびっくりしていた。
キルティ)ん?
その頃キルティは血の匂いがして、顔をしかめた。そして、匂いを辿ると、ちょうど麗奈達が授業を受けている教室だった。
キルティ)まさか・・・
キルティは翼を広げた。(勿論、運動着は破けてます)
ケイト)キルティちゃん?
キルティ)悪いが、少し抜ける。
キルティはそう言い、麗奈達が授業を受けている教室の窓目掛け突っ込み、スタントマンばりの姿で窓をぶち壊し教室に侵入した。
ガッシャーン
キルティ)人の子、どうした!
リリア:キルティ、いかがした!?
麗奈:……あ(フラフラと倒れ込んでしまい)
ルーク:麗奈くん!?
レオナ:麗奈!? しっかりしやがれ!
デュース:麗奈!
キルティは、麗奈を抱き上げると周りの様子を見た。
キルティ)外傷なく大量の血液、となると怪我を負わされたわけではないな。今朝から出した鼻血の再発の見て間違いないだろう。今朝より多く出したという事は、貧血を起こしたか。人の子は私が医務室へ運んでおく。心配しないでくれ。
キルティはそう言うと、部屋を出ていった。そして、割れた筈の窓も綺麗に治っていった。そして、クルーウェルは深呼吸すると
クルーウェル)仔犬ども、取り敢えず、作業に戻れ。レポートは明日までだ。
キルティ)学園長、今は話している暇はない。話がしたいなら、医務室に来てくれ。私は魔法で行く。
キルティはそう言って移動魔法で、医務室に来た。
キルティ)失礼するぞ。
キルティ)とにかく、仰向けに寝かせて、ティッシュで血を拭いて、止血をしないと。
キルティは、手際よく麗奈を介抱した。そして
キルティ)何で医務室にいつも人いないんだろ?タイミンがいつも悪い。
と、言った。
麗奈:う……
学園長:失礼しますよ。麗奈さん、大丈夫ですか?
麗奈:…(とうとうぐったりして)
学園長:フォルンくん、ここは麗奈さんを寮に連れ帰った方がよさそうです。ここは他の生徒も来ますから安心して休めません
キルティ)頼んだぞ。
キルティは、電話を切ると麗奈を抱きかかえ
キルティ)さっさと寮に戻って休ませよう。
そう言って、移動魔法を使い寮に戻った。
キルティ)イデア、急で済まないが、オルトにこっちに来るよう言ってもらえないか?人の子が朝から鼻血出して、一度止まったが再発してしまってな。しかもかなりの量が出たらしく、貧血で倒れてしまったんだ。出来れば、プレシジョンギアで頼む。あれなら、適切な処置を施せると思うし。一応、応急処置は済ませたけどね。
オルト)はーい。
オルトはプレシジョンギアで直ぐにディアソムニアに来た。
オルト)こんにちは、キルティ・フォルンさん。
キルティ)こんにちは、オルト。実は、人の子が今朝から体調が悪くてな。早退はさせたが私が授業があるから、オルトに看病を頼みたいんだ。構わないか?
オルト)任せて。応急処置もしてくれているから、凄く助かるよ。
キルティ)ありがとう、それじゃあ頼んだぞ。
キルティはそう言って魔法で消えた。
オルト)スキャンしたところ、過労が原因みたいだね。あとは栄養バランスのとれた食事も必要だね。
オルトは麗奈を見て言った。
キルティ)リリア、人の子がまた鼻血を出してね。それで倒れたから、今日は早退させて部屋で休ませたところなんだ。一応オルトをそばにいさせているよ。
キルティはリリアに今までのことを話した。
キルティ)(嫌な予感・・・)
リリアが早く帰ると言うことは、早くに厨房に着くことを意味している。つまり、人の子の命が危険に晒されるのだ。更に、キルティは昨日、モストロ・ラウンジで自分の作った特製のお菓子を用意した。キルティに限らず、マレウスやシルバー、セベクが料理で素晴らしい物を作ると、リリアも料理をしようとする。今、リリアの料理への意欲は、極限状態だろう。
キルティ)(料理の事となると、絶対に聞かないけど、押さえつければ・・・)リリア、私は急用を思い出したから、失礼するね。
キルティはそう言って、走ってその場を離れた。そして、急いでシルバーに電話を掛けた。
セベク)むっ、シルバー?
セベクはシルバーの着信に気づき通話ボタンをタップした。
セベク)シルバー、どうした?
オルト)兄さん、ぐったりしてるよ。また何か無茶しちゃったのかな?
シルバー:セベク、麗奈が早退したんだ。そしたらリリア様が部活を早めに切り上げて、飯を作ろうとしてる!
イデア:麗奈氏、ずっと稼働してるっていうか…もっと僕みたいに労ってよ!
麗奈:ラウンジのバイトは週一にしたし、足りない素材があったら一から育てたりしてるし、あとはそこの机にノート兼メモしたり…(机には山のようにノートが乗せられていて)
オルト)これ全部そうなの!すごい量だね。でも、もしかして睡眠時間削ったんじゃないの?素材も作るために体力の方も無茶したんじゃ・・・
オルト)麗奈さん、麗奈さんが頑張りやさんなのは分かるよ。でもそれで体調を崩しちゃったら、元も子もないよ。やりたかったことが、結局出来なくなっちゃうでしょ。大変なこととか、1人じゃ難しいことは、誰かを頼っていいんだよ。麗奈さんだって友達がいるし、マレウス・ドラコニアさん達だっている。皆、麗奈さんを大切にしてるんだよ。
オルトは麗奈の手を握った。そして
オルト)僕は壊れても、兄さんに直してもらえれば、動けるけど、麗奈さんは違う。僕は、麗奈さんにいなくなって欲しくない。麗奈さんの今の課題は誰かを頼ることを覚えることだね。
オルト)(折角邪魔者がいなくなって、心置きなく仲を深められるのに、いなくなったら、困るんだよね)
オルトは、内心そう思っていた。
キルティは、もうすぐ鏡舎に着くところだった。しかも、用事が用事なため、メールに気付かなかった。
キルティ)道中会わないと言うことは、移動魔法、あるいは既に鏡舎から寮に戻ったかもしれない。まずい。
キルティ)その可能性があったか。なら、セベク。君は、軽音部の方に行ってみて。シルバー、君は私と一緒に。一度、寮に戻ろう。
セベク)お任せください。
キルティ)急いで厨房に行こう。
キルティは走って厨房に向かった。
その頃、セベクは軽音部が使っている部室に来た。
セベク)失礼します。リリア様はおられますか?
キルティ)あれ、厨房にはいない。
キルティは、冷蔵庫も開けた。(リリアが勝手に作った)作り置きも入っていない。
キルティ)寮には帰ってきてないようだな。
キルティは安心した。
セベク)さ、サイエンス部に!何故、また?
ケイト)早急に作らなければいけない物が出来たとか言って、行っちゃったよ。何を作るのかは詳しく知らないよ。
セベク)分かりました。ありがとうございます。
セベクは、急いで、シルバーに電話を掛けた。
シルバー:もしもし?
(一方その頃、リリアは)
モブ:ぎゃーー!!(逃げ惑っていて)
トレイ:リリア、それは食べさせるとまずいんじゃ…
ルーク:リリアくん、できればその辺に……
セベク)シルバー、リリア様の居場所が分かった。キルティ様と実験室に来てくれ!
セベクは、そう言って実験室の前に来た。
セベク)(既に禍々しいオーラを実験室が纏っているように見える。そして、悲鳴も聞こえる)
セベクは入りたくなかったが、意を決して、少しだけ扉を開けて様子を見た。
シルバー:わかった。キルティ様、リリア様は実験室にいるそうです
リリア:ふふふ、わしの手にかかればあっという間じゃぞ~
モブ:ぎゃー!(変な料理の犠牲になって)
リリア:薬品を間違えたか、わしのお手製の飯にこれを加えれば良くなると思っていたのじゃが…
キルティ)学校にいたのか。分かった、行こう。
キルティ達はディアソムニアを後にしたが、キルティは鏡舎の前で足を止めると
キルティ)一応、これを。
キルティは置き手紙と袋に魔法を掛け、麗奈の部屋の窓に届くようにした。オルトが部屋にいる為、気付くと思ったのだろう。
キルティ)よし、急ごう。
オルト)手紙と袋?えーっと、安全で栄養のある食べ物だ。人の子が食べれるようであれば食べさせてくれって書いてある。差出人はキルティ・フォルンさんだね。でも、何だか文章が不穏だね。
オルトは文章を見ながら言った。
セベク)(地獄絵図が広がっている!)
セベクは叫ぶのを必死に堪えて、目の前の光景をただただ、そっと見ることしか出来なかった。というより、今入ったら、二の舞になるから、入ることが出来ないというのが正しい。
オルト)そうだね、起きたら食べさせよう。
セベク)も、もう少し、お待ち下さい。もう少しで、シルバーとキルティ様が・・・
キルティ)セベク!
キルティ達は、ようやく実験室に着き、セベクに声を掛けた。
キルティ)すまない、遅くなった。状態は?
セベク)お待ちしておりました。ご覧のとおりです。
キルティは、実験室を見たが、ぎょっとした。
キルティ)(あのルークがここまで狼狽えるなんて)
キルティは普段見ないルークの顔を見てびっくりした。そして
キルティ)とにかく、リリアを止めるんだ。そして皆口を閉じておけ!無理矢理料理を突っ込まれたくなければな。
と、キルティは全員に言った。
モブ:は、はいいぃぃ~~!!
トレイ:リリア!(ドアを叩いて)
リリア:トレイか、もうちょっと待っておれ。これは麗奈が作った薬品か。上出来じゃ(調合やらなんやら終わって麗奈の薬品を見て)
キルティ)リリア、人の子のご飯は、既に私が用意してしまったんだ。だから、それは必要ないぞ。あと、ここのものは、いつもお茶してるし、私もセベクもシルバーも先ほど、トレイからお菓子もらって食べたから、お腹いっぱいなんだ。だから、それはリリアが食べて構わないよ。
キルティは嘘を言った。勿論、リリアに見えないようトレイに合図を送って。
シルバー:はぁ、よかった…
ルーク:そういえば、麗奈くんが来てないね?
トレイ:エースたちから聞いたけど、なんでも授業中に鼻血を出したとか
キルティ)ん?イデアからメールが来てる。人の子は、過労が原因。暫くは授業を休ませるべし。って授業を休ませたら、テストがまずいと思うんだが?それに人の子は違うところから来た、なら、こちらの言葉だけでは理解出来ない言葉も少なからずあるだろうに。
キルティはイデアからのメールにようやく気づき、文章を読んだ。
キルティ)悪いな、麗奈は体調が優れないから学校は早退したんだ。また改めて来てくれるか?
キルティはルチウスの言葉を聞き、動物言語で、ルチウスに言った。
ルチウス:……オ゛ア(しっぽが下がって)
トレイン:ルチウス、こんなところにいたら危ない
ルチウス:……
トレイン:ルチウス、江崎に会いたかったのかい?
ルチウス:オ゛ァ……
トレイン:フォルン、せめて顔をみせるぐらいはできないだろうか?
キルティ)そうだな・・・ルチウスだけでは、心配だったが、主人であるトレインが一緒なら別だ。人の子はディアソムニアで休んでいる。会いたいのなら、案内しよう。
キルティはニッと笑った。そして
キルティ)シルバー、セベク、君達はそこで倒れている生徒の介抱を頼む。
そう言って、トレインと実験室を後にした。
セベク)とにかく、医務室に運ぼう。
セベクは倒れた生徒を2人担いで言った。
キルティはトレインを連れてディアソムニアに再び戻ってきた。
キルティ)ここだ。人の子入るぞ。
キルティがそう言うと、オルトが扉を開けた。
オルト)キルティ・フォルンさん、お帰りなさい。あれ、トレイン先生とルチウスもどうしたの?
キルティ)ルチウスが人の子に会いたがってね。顔を見せるぐらいならと、私が許可したんだ。人の子は、休んでるな。だが、流石に起こそう。人の子、起きてくれ。
キルティは麗奈を揺さぶった。
麗奈:ん?(目を覚まして)
トレイン:江崎、すまないね。ルチウスが君に会いたいって言ってるんだ
ルチウス:オ゛アァ!(麗奈のベッドに乗って。他の猫たちも続いて)
麗奈:あら、かわいい~(至福の時)
オルト)兄さんがいたら、興奮してたかも。そうだ!
オルトはカメラモードを起動して、猫と戯れている麗奈の写真を撮った。
オルト)よし、これを兄さんに送って、゛メールの送信が完了しました゛
オルトは、イデアの反応を待った。キルティはオルトの様子を見て
キルティ)(イデアは麗奈も好きだし、猫も好きだから、写真なんて見たら発狂か仰け反るのどっちか、あるいは両方の可能性があるな。椅子に座った状態で見たら、仰け反った時、確実に後ろに倒れるぞ)
と、そんなことを思っていた。
イデア:んがっ!(案の定、かわいいが死因で倒れ)
麗奈:よしよし
ルチウス:オ゛ア(撫でられて幸せ)
トレイン:よかったな、ルチウス
キルティ)(やっぱり)
キルティはイデアの驚く声が聞こえ、顔を抑えた。
オルト)キルティ・フォルンさん、どうしたの?
キルティ)いや、思っていたことが的中したみたいでね。
キルティは、フッと笑った。
麗奈:あら、他の子も連れてきてくれたの?
ルチウス:オ゛ア
麗奈:うふふ、癒される(ルチウスや他の猫を撫でて)
トレイン:これが江崎の部屋、なんだ!? このノートの山は!?
トレイン:こんなに…
麗奈:だからこんな体になっちゃったんです…
学園長:話は聞きましたよ!(ドアを開けて)
トレイン:学園長!?
学園長:トレイン先生の猫とその他猫たちが一列になって歩いていたものだからつけてみたら、ディアソムニアに、しかも麗奈さんの部屋にお邪魔してるではありませんか。私も彼女が心配だったのでついでだからお見舞いに来たんです
トレイン:学園長、江崎は未だ体調が優れないんです。退室願います
学園長:トレイン先生はよくて私はダメなんですか? しくしく(ウソ泣き)
キルティ)嘘泣きなのは分かってるぞ。それに、人の子の体調が悪いから、早退させたほうがいいと学園長が言ったんだろう。だから、ここにいるんだよ。それにトレインがいるのは、ルチウスの主人だからだ。
キルティはやれやれと言った。そして学園長にこっそり
キルティ)恋情を抱いているのは分かるが、日を改めてくれ。あと、もし気持ちを伝える気でいるなら、よく考えてからすることだ。後々、学園長がどうなっても、私は知らないよ。
と、言った。
学園長:おや、抜け駆けですか? あなたがたばかりがいい思いをするなど、ずるいではないですか?
麗奈:学園長…?
学園長:失礼しました。麗奈さん、体調はいかがですか?
麗奈:この通り、しばらく授業は……けどテストとか…
学園長:そこは私が何とかいたします。私、優しいので! あなたが普段真面目に授業を受け、部活動でも活躍できているのは耳に入っています。その証拠にあなたのこの山のようなノートの数々。貢献しようとしていることは伝わっています。しかし、当の本人が体を壊してしまっては元も子もありませんから、今はゆっくり休んでくださいね(ニコニコ)
キルティ)私達だけではない。他の者からもやられるぞと言っているんだ。いくら、学園長と言えど、全生徒を自分一人で捻じ伏せることは出来ないだろう?中には魔力が強いもの、無力化させるもの、世界屈指の魔法士もいるんだから。
キルティは、学園長に、続けてこっそり言った。学園長が麗奈に思いを伝え、それが広まれば、麗奈に思いを寄せている生徒の怒りを買うことになる。だから、キルティは気をつけろと言ったのだ。
学園長:まあ、その時は覚悟しますし、あなた方にもしてもらいましょう
ルチウス:ゴロゴロ…
麗奈:よしよし(2人のやりとりなど知るはずもなく、ずっと撫でていて)
キルティ)他の者の怒りを買ったら、私達が守ると思っているのか?悪いがそこまで甘くないぞ。盾になる気はないからな。学園長なら、学生を止めて学生を守るのが仕事だろう?こっちに丸投げしないでくれ。
キルティは、こっそりそう言った。
学園長:はいはい
麗奈:すやすや…
ルチウス:すやすや…(みんなで眠りについて)
トレイン:ルチウス、そろそろ帰るよ?
ルチウス:zzz
キルティ)ふぅ、眠っているのなら、邪魔はしてはいけないな。そろそろ他の者の帰ってくると思うし、今日はもう戻っていいよ。オルト、看病ありがとう。
オルト)大丈夫だよ。また何かあったら呼んでね。
キルティ)もちろん。
キルティ)あぁ、それじゃあ。
キルティは玄関で見送ると扉を締めた。
キルティ)さてと、さっさと帰って決まったし、寮服に着替えて、談話室でゆっくりするか。シルバー達ももうすぐ帰ってくるだろう。
キルティはそう言って、自室に戻った。
キルティ)リリア、シルバー、おかえり。人の子は過労が原因。暫くは授業を休ませる方がいいらしい。だが、勉強が出来ないと、テストの点数が低くなる。そうなれば、そこに追い打ちを掛けるような、生徒も現れるだろう。一応、学園長が何とかするとは言っていたけど、あの学園長のことだから考えてない可能性もないとは言い切れない。まぁ、勉強なら私達だって教えられるから、あんまり心配はいらないと思うけどね。
リリア:本人があんなことになってしまったから、仕方ないがの
シルバー:学園長のことだから、麗奈は授業を受けたことにしてしまうとか?
キルティ)学園長の権限でそこまで出来ないと思うよ。それに、学園長が生徒に対する授業を受けてほしい気持ちは本当だろう。じゃなきゃ、しつこくレオナに授業を受けろと言わない。なら、尚更、授業を受けたことにするという、偽造はしないだろう。人の子も困ると思うし。何より、この学園に泥を塗ることになるからな。それだけは避けたいだろう。
キルティは、考えながら言った。
キルティ)しかし、それではいずれ倒れる。しかも、魔力を持っていない人間。命が脅かされる病に倒れたら、私達は治すことが出来ない。私達の治癒魔法は怪我の治療だからな。
キルティ)ルチウスが麗奈に会いたがっていて、他の猫も連れて来たんだよ。猫だけでは止めたけど、トレインが一緒なら、うちに来るのを許可したんだ。人の子はさっき猫と戯れていたよ。ところで、シルバー、医務室に運んだ者たちは?
キルティ)そうか、気がついたなら良かった。なら、そろそろセベクも帰ってくるかな・・・
キルティがそう言うと
セベク)ただいま戻りました。
セベクも帰ってきた。
マレウス)戻った。ああ、3人は既に帰ってきていたか。あとは人の子か。最後とは珍しい。
キルティ)お帰りなさい。実は・・・
キルティは麗奈のことを話した。
マレウス)そうか、確かに勉強のあたりは教えられる。暫くは、休ませよう。
マレウス)随分と懐いているな。
マレウスは、麗奈と猫の様子を見て、フッと笑った。そして
マレウス)人の子、体調の方はどうだ?
キルティ)げっ!
キルティは会いたくないやつに会ってしまい思わず?嫌な顔をした。
マレウス)キングスカラー、見て通り人の子は体調が悪い。帰ってくれるか?
レオナ:見舞いにきただけだ
麗奈:レオナ先輩に来てくれてありがとうございます
レオナ:(匂いを嗅いで)もしかして、猫でもいたか?
麗奈:よくわかりましたね
レオナ:匂い撒き散らしてりゃすぐわかる。それにお前の毛布に毛がついてるしな
麗奈:あ、あははは
レオナ:とりあえず、こいつでも食っとけ(鉄分と亜鉛が摂れる食べ物)
キルティは、帰っていくレオナを見て
キルティ)随分、素直に帰っていきましたね。いつもなら、居座ろうとするのに。
マレウス)人の子に早く回復してもらいたいのだろう。一応見たが、見舞いの贈り物も何の魔法も掛かっていなかった。食べれるなら、食べたらどうだ?
キルティ)あんな態度だから誤解されやすいかもしれませんが、心配するときはしますし、感謝するときはちゃんとしますもんね。素直じゃないですが・・・
キルティは見舞いの品を見ながら言った。
セベク)シルバー、遅いですね。まさか、また倒れて寝ているのか!若様、シルバーを探してきます。
マレウス)ああ、分かった。
セベクはマレウスにそう言い、シルバーを探しに言った。キルティはレオナのことをまだ考えていた。
キルティ)(素直に言えば、こっちだって普通に歓迎するし、紅茶でもてなすのに)
セベク)シルバー、こんなところにいたのか!
セベクはシルバーを見つけ、声をかけた。
マレウス)どうした、人の子。
マレウスは麗奈に近づき妖艶な笑みを見せた。キルティは麗奈の言いたいことが分かり、ニヤッと笑うと
キルティ)リリア、紅茶淹れて上げるから、談話室に行こうか。
と、二人きりにするよう、リリアに合図を送った。
セベク)全く心配を掛けさせるな。若様の護衛たるもの、いついかなる時も、しっかりと責任を持って・・・
セベクは、シルバーに護衛の責任を持つよう注意していた。そして一つ一つが長い・・・
キルティはリリアと談話室に向かっていた。そして
キルティ)紅茶を淹れるのは退室するための口実だったが、ちょうど喉も渇いていたからな。せっかくだし、全員分を私が用意しよう。リリアも私の淹れる紅茶は好きだったろう?
セベク)こら、シルバー!僕の話はまだ終わってないぞ!
セベクは寝るシルバーを起こした。
キルティ)任せて。
キルティはニヤッと笑った。
マレウス)僕がそれを拒むとでも?
マレウスは麗奈の頬を撫でながら言った。
セベク)若様の護衛なのだから当然だろう。お前だって護衛ならちゃんと責任を持て。それに、若様もリリア様も心配なさるに決まっている。キルティ様も然り。
セベクは、はっきりそう言った。
マレウス)心配するな。お前の為なら、いくらでも時間を使おう。
マレウスは妖艶な笑みで麗奈を見た。それを、厨房で紅茶を作りながら聞いていたキルティは
キルティ)(使うのは構わないけど、使いすぎたら、リリアに叱られるって思わないのかな?今まで、別のことに使いすぎる度に、リリアに注意されてるのに懲りないな)
キルティは、そう思いながら紅茶を用意していた。
セベク)早く戻るぞ。
キルティはティーポットとティーカップ、そして砂糖や蜂蜜、フルーツなどを台に乗せてやって来た。
キルティ)お待たせ。
キルティ)自分で好きなフレーバーティーが作れるように色々持ってきたよ。ミルクに蜂蜜、ドライフルーツから普通のフルーツ。好きに取ってね。
キルティはそう言って、ティーポットに魔法をかけた。自動で紅茶を注いでくれるようにしたのだ。
キルティ)折角だから、自分の好きなフレーバーティーを見つけてみたらどうかな?無理にとは言わないけど・・・
マレウス)面白そうだな。
セベク)僕も作ってみます。
マレウス)そうだな・・・
セベク)初めてですね・・・
麗奈以外の5人はこれが初めてでは無かった。麗奈がゴーストに取り憑かれた後、麗奈の部屋の惨状を見たことがあるのだ。しかし、麗奈には言わないことにした。あまりにも酷かったから。
キルティ)たまにはいいね。こうやって集まるのも
皆は自然にそう話した。
マレウス)(人の子に映るものは綺麗な物や、美しい物だけでいい。恐ろしい物など見せない)
セベク)(人間の心に残る記憶は、楽しいことだけだ。辛いことや悲しいことなど忘れさせてやる)
キルティ)(人の子、必ずハッピーエンドを見せてやる。お前のお前だけが紡ぐお前だけのハッピーエンドをな)
マレウス)顔色も良くなってきているし、大丈夫そうだな。
マレウスは麗奈の様子を見て安心した。
キルティ)人の子、部活中、休憩の為にお茶をするだろう。ちゃんと、休憩は取ってるのか?まさか、他の者は休憩してるのに、自分はしていないわけじゃないよな?
キルティは、麗奈に聞いた。
キルティ)なら、いいけど。
キルティは心配していた。
セベク)キルティ様、クルーウェル先生にトレイ先輩やルーク先輩もいるんです。人間が休憩を入れてなければ、必ず声を掛けますよ。
セベクは手をグッと握って言った。
キルティ)それもそうだな。
キルティは、不安が杞憂だったので、安心したのか、笑った。
マレウス)そうだな。大釜も使うときがあるだろう。あれを混ぜるのには、確かに体力が必要だ。
マレウスは、紅茶を飲みながら言う。
キルティ)2人とも休憩の時には、本当にお茶会を開いている様に見えるからね。また、ハーツラビュルとは別な感じかな。
セベク)どうしてご存知なのですか?
キルティ)たまに、温室とか行くと、お茶会の様子を見かけるの。ルークは楽しそうに歌ってるし、トレイは慣れた手つきで紅茶を注いだり、ケーキを切ったりしてるからな。お邪魔はしてないけど。
キルティは、ティーポットに紅茶を注いでもらいながら言った。
美月)体調が万全になってからで構わない。楽しみにしている。あと、オルトとイデアから連絡があったんだけど、人の子にはしばらく休息が必要とのことだ。1週間、バイトを休むように言ったけど、もう少し休んでもらうよ。
麗奈:わ、わかりました…
リリア:落ち込むでない。もし出かけることがあればまた小遣いを渡してやる
麗奈:そういうわけには…
マレウス)おやすみ、人の子。
マレウスは麗奈のおでこにキスをしようとした。
キルティ)リリア、セベクの目を隠すぞ。抑えてて。
キルティはセベクの目を隠した。
セベク)あっ!キルティ様、何するんですか!
キルティ)安心しろ、暴れなければすぐ離す。シルバー、悪いけど死角を作って。万が一、セベクが暴れた時に手が目から離れたらまずいからな。
マレウスはセベクに見えていないのを確認すると、麗奈のおでこにキスをして髪を撫でた。
マレウス)良い夢を
マレウスはそう言って、妖艶な笑みを浮かべた。キルティはマレウスの様子を見て
キルティ)もう離していいな。
キルティはそう言って、手を放した。
キルティは、飲み終わった紅茶を洗っていた。
キルティ)よし、全部洗い終わったな。
手を拭き、一息つくと、談話室のソファに座った。
キルティ)少し、休憩してから、就寝するか。流石に、移動魔法使うのも勿体ないしな。
キルティ)よく眠れるココア。父様と母様が私が眠れない時に作ってくれた私の一番好きなもの。
キルティは、そう言うと二人分のココアを作り始めた。
キルティ)そりゃ、ココアだからな。甘い香りがして当然だよ。
キルティはそう言って、温かいミルクを注ぎながら、ココアをかき混ぜた。
キルティ)出来た。はい、シルバー。
キルティ)だといいな。
キルティは窓から見える月を見た。綺麗な三日月が輝いている。まるで誰かが不敵に笑っているのか、口をつり上げながら。
キルティ)見守ってくれてるといいな。
キルティはそう言いながら月を見つめた。
キルティ)そんなに褒めてくれるなんて・・・ありがとう。流石父様と母様のレシピだね。
キルティもココアを飲んで言った。
キルティ)アイスココアも美味しいけど、私はホットの方が好きだね。アイスは氷も入れるから、時間が立つと氷がとけて味が薄くなっちゃう。ホットならそれはない。時間が経ってもかき混ぜれば味は戻るからな。大事なものはじっくり味わって飲みたい。
キルティは、ココアを見て言った。
キルティはカップを片付けると、あくびをした。
キルティ)私ももう寝よう。
キルティは部屋に戻ると、さっさと寝巻きに着替えて、就寝した。
セベクは目を覚まし、水を飲みに行こうと部屋を出た。そして、前方に人影を見かけ
セベク)だ・・・
セベクはいつもの大声で声を掛けようとしたが、前にキルティに就寝後は少し、声を小さくすることを言われたのを思い出し、出来る限り、声を小さくした。
セベク)だ・・・誰かいるのか?(普通の声の大きさ)
セベク)全くだ。若様に心配をかけるなといつも言っているだろう。でも、だからと言って、無理もするな。勉強するときはする。休むときは、休む。睡眠時間を削る必要はない。
セベクは、大事なことを言った。そして
セベク)ところで、目が覚めたのはベッドだけか?他にもあるんじゃないのか?
セベクは、麗奈を見つめて言った。
セベク)この季節に外に出るのは危険だ。しかも、まだ体調も万全ではない時に、出れば悪化するぞ。外に出るのはやめておけ。水ぐらいなら用意してやる。
セベク)ふん、ついでだ。
セベクはそう言うと、コップに水を入れた。そして
セベク)落ち着いて飲むんだぞ。
そう言って、麗奈に水を渡した。
セベク)本当に珍しいな、いつもすやすやと眠る貴様が眠れないなんて・・・
セベクは驚いていた。その頃、キルティも同じような目に合っていた。
キルティ)おかしい・・・父様と母様のココアを飲んだのに、分量も絶対に間違えてないのに・・・どうしてあまり眠れなかったんだ!おかしすぎる!
キルティは、部屋でそう言っていた。
セベク)リリア様、おはようございます。
マレウス)おはよう。
キルティ)おはよう・・・皆。
マレウスとキルティも起きてきたが、キルティだけは浮かない顔だった。
キルティ)いや、寝る前に父様と母様のココアを飲んだのに、あまり眠れなかったから、不思議で・・・こんなこと一度も無かったから。誰と飲んでも、別に眠れなかったことなんかないから・・・理由も全く分からなくて・・・本当になんで?
キルティは頭を抑えた。
キルティ)何一つ間違えていないのに・・・
キルティはその言葉を聞いて、耳がぴくっと動く。
キルティ)本当?
キルティの目は輝かせた。そして、シルバーの手を取り、なら、今夜一緒に寝よう。
と、小さい声で約束した。
キルティ)元気になってよかったな。
キルティは笑った。
セベク)だが、無理はするなよ。病み上がりには変わりない。取り敢えず良かった。
と、少し微笑んだ。
中の人)No.12862は間違いです。削除依頼中なので、気にしないでね。
本文はこっちです。
マレウス)確かに、自分の好きなものを挟むのは楽しいな。
マレウスもサンドイッチを食べて言った。
セベク)リリア様、トマトジュースです。
キルティ)マレウス様、紅茶が入りました。
セベク)朝はいつもこれを飲んでいますから。
セベクは、笑顔で言った。
キルティ)マレウス様も朝は紅茶ですね。
マレウス)ああ、コーヒーは午後に飲むことが多い。
シルバー:麗奈、授業は出られるのか?
麗奈:まだ本調子じゃないですけど…
リリア:それならやめておいたほうがいい。疲れが溜まっていることに自分でも気づいてないのが一番危険じゃ
キルティ)そうだな、昨日みたいにまた急に鼻血か出ても大変だし。
キルティも、休むことには賛成していた。
マレウス)また小さいシュラウドに頼まないといけないな。
セベク)僕がイデア先輩に連絡します。
セベクはイデアに電話をかけた。
オルト)麗奈さん、まだ体調悪いの!分かった、プレシジョン・ギアで行ってくるよ!兄さん、手伝って!
オルトは、イデアの腕を引っ張った。
オルト)だって僕の体は兄さんが作ったんでしょ?不具合が無いか見て欲しいんだよ。麗奈さんを見てるときに不具合が起こったら大変でしょ?
オルトは不思議そうな顔をした。
オルト)何言ってるの、兄さん?今不具合が無いか見てもらったら、後は大丈夫でしょ?だから、確認し終わったら、僕一人で行ってくるよ。兄さんは、学校に行って大丈夫・・・というより、行かないと駄目でしょ?
オルトは、イデアにそう言った。
キルティは麗奈の部屋に食べ物や飲み物を用意した。
キルティ)体調が悪くても、食べないと悪化する。消化にいい、すりおろしリンゴやゼリーを用意したよ。あと、水分も取らないといけないから、スポーツドリンクも数本用意した。
キルティは魔法で、スポーツドリンクや、ゼリーを出して言った。
オルト)してもいいけど、絶対あとでバレると思うよ。麗奈さん、そういうこと話しそうだもん。
オルトは、ため息をつきながら言った。
キルティ)あとは、着替えかな?汗をかいたら、必ず下着も替えることだ。タオルも置いておく。
キルティは、必要なものを用意していった。
イデア:そ、そうだね。正直なところが麗奈氏のいいところではあるけど、愚かなところでもあるからね。僕たちにとっては都合はいいけど
シルバー:マレウス様、キルティ様、イデア先輩とオルトが来ました
マレウス)来たか、シュラウドと小さいシュラウド。
マレウスは玄関で出迎えた。
オルト)おはよう、マレウス・ドラコニアさん。麗奈さんの部屋に案内してくれる?
マレウス)あぁ、こっちだ。
キルティ)このくらいだな。
キルティは必要なものを確認していた。するとドアをノックする音が
マレウス)人の子、シュラウドと小さいシュラウドが来たぞ。
麗奈:オルトとイデア先輩ですか? おはようございます
イデア:麗奈氏~、来たよ~(ルンルン)
シルバー:(やけに楽しそうだな)
キルティ)イデア、オルトと一緒に来てくれてありがとう。
キルティはにこやかにイデアに言った。そしてにこやかな顔のままイデアの肩を持つと
キルティ)じゃあ、後はオルトに任せて私達は学校に行こうか。同じクラスなのだから、一緒に行ってもおかしくないよな?
と、言った。
オルト)キルティ・フォルンさんもこう言ってるんだし、あとは僕に任せて、兄さんは行かないと駄目だよ。留年したくないでしょ?
イデア:わ、わかったよ~…麗奈氏、この前オレンジゼリー美味しかったって言ってたから、また買ったよ
麗奈:ありがとうございます! やったー!
キルティ)それじゃあ、イデア行こうね。寒くないように温度調節魔法広げてあげるから。
キルティは、そう言うと温度調節魔法を使い、周りを心地良い温度にした。
マレウス)人の子を頼んだぞ、小さいシュラウド。
オルト)皆、いってらっしゃーい。
マレウス達は、部屋を後にし、部屋にはオルトと麗奈だけが残された。
オルトはそれを聞いて腕を組んで考え込む顔をした。
オルト)う~ん、もし僕たちが麗奈さんと同じ存在なら、兄さんも時間を決めてゲームをしたかもしれない。考えも同じだったかもしれない。でも、僕たちは麗奈さんと同じ存在じゃないからなぁ。
麗奈:そうだよね…
レオナ:よお(窓から来て)
麗奈:レオナ先輩、またサボりですか?
レオナ:トレインの授業は退屈だからな。ふわぁ、それにまだ眠いし
オルト)全然。むしろ、体調が少し回復して、お喋りできて嬉しいから。
オルトはニコッと笑った。(ゴーグルなので口だけが笑っている)
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