>33 「……葉月。」 口に含む様にゆっくりと言葉を練り込めば鋭い眼光が葉月さんを上から見つめる。それは威圧にも見えたかもしれないが違う。前髪に隠れた瞳の反射が煌めいている。 「葉月、だな。宜しく。」 もう名前を知られてるのだと分かればほんの少し微笑みしっかりとした若い男の腕が差し出さられた。