政府産審神者〇二 2021-08-19 00:38:02 |
通報 |
>19 黄泉さま
(視界の中で己の靴の先に掛かるように銀糸が揺れて見える、脳天に刺さるような視線はきっと目の前の審神者のものなのだ。鋭くて冷たいその視線と裏腹に、鼓膜の奥へ流れ込んでくるのは柔らかで穏やかな声音_ぐずりぐずりと傷を抉るような吐き気。衣擦れの音に顔を上げ…本当に、これは、ついて行っても、良いのかと)
お邪魔いたします__黄泉さま。有難いお誘いです、初めて、その、鬼の気を知ったもので恥ずかしながら酔ってしまって。
(それでも、此処で引き返すわけに行かないのは事実だった。靴を並べ、廊下へ踏み込めばまとわりつくような知らない気配。何と居心地が悪いことか。揺れる緋色の髪を追いながら、嘘と本音が五分五分の言葉で唇を濡らし…確かに近侍の気配はするというのに、どうしてこんなにも歪んで知らない気配に紛れてしまうのか。必死に細い糸を手繰り寄せるような感覚は、泥水に溺れる時の様で頭が痛い。眉を寄せ、赤い瞳を歪めながら、重たい脚を動かし。)
トピック検索 |