僕の手帖

よく聞く話、魔女の瞳は嫉妬の色らしいと。
緑が嫉妬の色だと僕は思わないけど。
好奇心旺盛な少女の瞳、人に恋した人の瞳。

僕の瞳は緑じゃないけどとても嫉妬深い。
彼女の瞳は綺麗な碧だったけど、だれにも執着なんてせずに。
瞳の色で性格なんて判断するもんじゃないな。出来るもんじゃない。ただ並べて満足するだけで良い。

彼女の瞳が欲しいと思うのは同族の贔屓目なのか、それとも単純に彼女の瞳がとても美しいからなのか。
でも同族だからこそ酷い事はしたくないなとも思う。
彼女の美しすぎる瞳は魔力故？異常に僕を惹きつける瞳。憎たらしいまである。
でも彼女は髪の毛も肌も爪まで美しいから、狙ってる奴は多いんだろうな。
魔の力さえ美しい彼女が妬ましく羨ましく。恋では無いけど焦がれてる。

人間の癖に魔法を使いたいなんて、とんだ身の程知らずだね。
僕に縋ってくる奴も身の程知らず。哀れで愚かで可愛い身の程知らず。
僕に縋るくらいなら悪魔にでも縋った方がマシだと思うけどな。親切で言うけど。

僕みたいなのがいるかと期待してきたんだけど、別にそうでもなさそうだね。
志高い人間はいるようだけど。

夏は頻度こそ少ないけど、稀に大き目の世界の歪みが出る時期だ。頑張ってほしいね、人間が単体でどこまでいけるのか興味あるよ。
人間の力だけで時空を超えようなんてそれこそとんでもない身の程知らずだけど、僕はそういう無謀な身の程知らずは嫌いじゃないな。可愛いから。

そういえば前に別の世界に送り込んだ人間が僕にくれた名前、これ手帳って意味らしいね。どうせ僕が手帳ずっと持ってたからそうつけたんだろうけど、安直すぎじゃないかな。
日本語でつけてくれるって話だったのに全然日本語じゃないし。
まあ気に入ってるからそこまで文句は言わないけど。

安直馬鹿元気かな。もうこっちに戻ってこれないだろうけど。気持ち悪いくらいの笑顔で去って行ったし、あれでへこたれてたら笑えるけど。
もしまた戻ってこれたら今度こそ日本語で名前つけてもらおうかな。

凄い忘れてたけど竜王だか竜神だかの娘を探しにきたんだった。
何かの巡り合わせでもし万が一奇跡的にここ覗いてたら連絡よろしく、第４だか第５だかの王女だかなんだか忘れたけど女。アンタのパパさんに迷惑してます。

僕の予想だと月をまたいだ、数日後あたりにまた歪みが出るんじゃないかと思う。
夏は月夜はもちろんの事、真昼間の炎天下でも可能性あるね。夏の夢。
人の想いは人に繋がる、人のいる場所に行きたいなら人のいる場所からがベストだろう。