無口でクールな先輩。
親しく誰かと接している所なんて見た事がない。
仕事上で必要な事以外は喋らないし、飲み会にも来ない。そんな先輩の直属の後輩な私。
家の鍵を会社に忘れて取りに帰れば、暗くなった社内で一席光る場所が見えた。それは無口でクールな先輩の席。きっと私を帰らせて、ひとり残業してくれているんだと思う。珈琲でも淹れようか、手伝わせてくださいって言ってみようか、迷惑だろうか、そう考えているうちに先輩の携帯が鳴った。
「 もしもし、……今?絶賛残業中。うん、うん、あー、新人にこんなダルい残業やらせんの可哀想やん。__…いや全然東京に染まってへんけど? 俺大阪帰りたいねん。東京無理やわ、やっていけん。と言い続けて早五年目。はは、...俺、会社で浮かんよう標準語めっちゃ練習すること五年やのに、まだ取得できひんくてクールキャラで通ってんねんで?すごない?…ほんまはクールのクの字もあらへ、……ん。……… あかん、かけ直す。 」
「 初めて 」と言っても過言ではないほど、ばっちり目があった。
無口でクールな印象しか無かった先輩、実は五年経っても標準語を取得出来ない関西弁男子でした(これを機に先輩大好きな後輩ちゃんに育ってくれると嬉しい、という背後の独り言である。)
《 関西弁オカン系先輩 と 先輩大好き後輩ちゃん 》
>1 レス禁止