| 夕陽に照らされ赤く染まった廃遊園地からの脱出。
疲れた体に電車の揺れはまるで揺り籠のよう。柔らかな声で告げられる駅到着間近のアナウンス、女性グループの世間話、赤ちゃんの泣き声。全てが遠く遠く聞こえてはいつの間にか眠ってしまっていた。次に目が覚めた時、電車は既に何処かの駅へ停車していて、空は夕陽で不気味なほどに赤く染まっている。
現在何駅にいるのか、それを確認するため足早に外へ出れば、私が出るのを待っていたかのように不愛想に電車の扉は一瞬で閉まった。
「 ! 」
手ぶらな事に気が付いたのは、電車が閉まり、鈍い音を立てて動き出した瞬間。
電車が無慈悲に通り過ぎ、呆然と立ちつくす私の目の前に現れたのは不気味に光る遊園地の入り口だった。
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