冷凍ミカン 2021-06-01 23:53:32 ID:297f5cb80 |
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(/ひとまず新しく絡み待ちを置いておきます!)
魔法使いであることが、そのまま非凡の証明にはならないことを瀧川叶人は知っている。
足が速かったとしても走らなければ意味は無く、歌が上手くとも歌わなければ何にもなりはしない。
結局のところは力を使う人間の使い方次第という話で、その点で見て叶人はあまりにも凡庸な人間であると言えた。
「たーすけてー……」
『昔懐かしい雰囲気』という言葉のオブラートで包んでも隠し切れない物寂しさが漂う、大都会の中にあるとは思えない様なアーケード街。
その一角にぽつんと存在する古い雑居ビルを改装した古本屋の店前で、倒れた棚と崩れてきた本の山に文字通り潰され埋もれた叶人の腕がぴょこんと飛び出している。
「たすけ……おたすけー……たすけてくださーい……」
魔法を使って脱出しようと思えば出来ない訳では無い。
だが一般の人通りがあるかもしれないこの場で魔法を使うことはあまりしたくないのが本音であった。
故に待つ、誰か親切な人がこの惨状に気付いてくれることを。
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