くたびれバーテンダー 2021-05-23 21:50:03 |
通報 |
……うん。
(珍しくしおらしい様子でコクリと頷いて、しかしありがとうを口にするにはどこか照れ臭いため別の刺々しい言葉で誤魔化して)
オッサン、マジで優しすぎなんじゃない?俺は善良な若者だから良いけどさ、そのうち悪い奴に漬け込まれるよ。
…は?だから子供扱い───、
(ムキになってカウンターに手をつき立ち上がると目眩がして、へたり込むようにしてその場にしゃがみ込み蹲って)
なんか気持ち悪、…酔ってきた、かも。
大丈夫ですか…!
(目を丸くし、珍しく大声を出したかと思えばカウンターから飛び出てきて。蹲る相手に駆け寄って背中を心配そうに擦り)
は、大袈裟…。
(大丈夫だと言い張りながら、急に動いたからか先程よりアルコールが回ってきて。意識を失う程ではないため自力で立ち上がろうとするが、思わず相手に寄りかかってしまい)
マジで大丈夫だから、久しぶりに飲み過ぎただけだし。
(一人暮らしの自分を迎えに来てくれる者などいない、と否定しかけたところでマネージャーの存在を思い出し)
…あー、マネージャーが車で来てくれるかも。
マネージャーさん、ですか。無理そうでしたらご連絡をしてくださいね。
(心配そうな表情のままカウンターに戻り、グラスを磨く作業に戻って)
(連絡を寄越そうかと迷ったが悪酔いした事を自ら白状するようで躊躇われ、再度カウンター席に座ると項垂れるように机に突っ伏して一息つき)
別に呼ぶ程じゃないし、もうちょい休んでから自分で帰る。
…オッサンってさ、ここのマスターでしょ?もし客が酔い潰れて誰も迎えに来なかったら、どうすんの?
(お酒が回りぼんやりとした頭でふと酔い潰れた客の扱いについて気になり、興味本位で問いかけて首を傾げ)
そうですね…ご自宅を知っているお客様は私がお送りしますよ。ご自宅が分からない場合は一晩店にお泊めしますが。
(にこりと微笑みながら答え、「一条様のご自宅は知らないので…酔い潰れてしまったらマネージャーさんに迎えに来ていただくか、店に泊めることになるでしょうね。」と考え込むような仕草を見せ)
それヤバくない?俺は男だから良いけどさ、女の客だったらどうすんの?
(突っ伏していた顔をゆっくり上げては怪訝そうな表情で問い詰め)
あー、なんだ。まぁそりゃそっか。
(些かつまらなさそうな表情で納得しつつ、女性関係と言えばついでに気になった事を酒の勢いで聞いて)
オッサン結婚とかしてないの?
ええ。お恥ずかしながら、この年まで独身です。(少し自虐的に微笑みながらも答え、「かと言って今更結婚する気はありませんね。年も年ですから。」と付け加え)
…へー。
(「寂しくないわけ?」と生意気な口をきこうとした瞬間携帯電話が鳴り響き、ディスプレイに映し出されるマネージャーの名前に溜息を吐いて応答し。一言二言相槌を打って電話を切ればふらつく身体を踏ん張って立ち上がり財布から札を取り出し) 近くまでマネージャーが迎えに来てるっぽいからもう行く。…そう言えば愚痴、聞いてくれてありがとう。
トピック検索 |