下級妖怪 2021-05-06 19:39:12 |
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興味なさそうに通り過ぎられ、周はへたりとしゃがみ込んでしまう。
「…………、また、……俺、やっちまった……」
鼻水を啜り、涙を堪えるつもりが溢してしまう。
潜らなければ良かった。
軽く下唇を噛みながら、後悔を積もらせていく。
あの女が遠くに行ってしまう。
そうしたら、今度こそ自分はあの女に言われた通り他の奴らに殺されてしまうだろう、と周は息を呑む。
プライドが、プライドが又もや傷付くかもしれない。
けれど。
生きる為には仕方がないと踏ん切りをつけるとすくっと勢いよく立って走り始める。
「……、あのッ……さっきは、暴言を吐いてすいません……でッ、でした……ッ」
手を優しく掬い取って振り向かせると、周は空気を切るように頭を下げる。
まずは、謝罪する。
で、頼み込む………!!!!
________「お願い、します……ッ。お、俺を助けて下さい……」
捨てられた子犬のように眉を吊り下げ、うるうると涙の浮かぶ眼をした周はずたずたっと音を立ててプライドを傷付けられる感覚をおぼえながらも、ジッと女を見つめる。
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