下級妖怪 2021-05-06 19:39:12 |
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「……ッげ……っ」
こうなったら仕方が無い。どんな化物が出て来ても知らん、はり倒そうと腹を決めたゆとりはバッと海老みたく上半身を起こし、蛙のよう飛び上がって立つ。
ぱちっと伏せていた眼を開ければ目の前には鋭利なナイフを持って威圧的な瞳を向けてくる男が「動くな、この不審者が」と言ってきてゆとりは瞬きを繰り返してからわざとらしい笑みを浮かべ空気をすうっと凄まじい引力で吸って。
「……、……あのねええ不審者はどう見たってあんたでしょーが!!」
そんな危ないもの持ってんじゃないわよ、と鬼のような形相で怒気高まった声で叫んで。
「ていうかゲッて、ゲッて……失礼じゃない! そんなコンバットを食べた仲間を共食いしちゃって死んだGを目撃したような声出さないでよ、わたし華の女子高生!!」
と頬膨らまして一生懸命に口を開くゆとりは男の爪先から旋毛までじろじろと観察し、手に持っている光に目を止める。
「その提灯……」と呟いて。
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