下級妖怪 2021-05-06 19:39:12 |
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ぎし、ぎし誰かが近付いてくる足音が聞こえる。仰向けからうつ伏せに体勢を俊敏に変え死体を演じているゆとりは咄嗟に立ち上がりそうになりぐっと堪え、叫んでしまいそうになる唇を噛み締める。
「……。……死んでいる、だと?」足音の主は不可解そうに言う。
「いや、生きている……のか?」
急に顔を近づけてきたのかお互いの呼吸が絡み合う。
(ひぁああああぁああっ!! 顔に、耳に、息掛かってる!! いや近い近い近い!!)
と心では叫んでいるゆとりだったが仏像の如く表情を変えず目をつぶっており。
腑に落ちない声を片耳で聞いてまだ疑ってるの? どっか行ってよ、そろそろこの体勢も辛いんだよ!! と皺が眉間に刻まれてくる。
「あひぃ……ぐほっっ」
限界に超し息を吸うのが困難になって来る。もう無理だとゆとりはもぞもぞ気持ち悪い虫のように動き出し。
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