下級妖怪 2021-05-06 19:39:12 |
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どうやら本当に敵でもなんでもない様子に少し安堵したのか力を抜いて、体勢を体育座りに変えては雷斗へと目を落とし。先程は楽しそうにしていたのに、今はどこか切ない雰囲気を漂わせていて、自分は歓迎されていないことを実感する。左手の拳をぎゅっとスカートの上で握りしめる。雷斗、とその名前を小さく呟いて、深呼吸した。
頑張れ、と自分で自分を応援しつつ、なにを言うべきかを考える。とりあえず名乗り返そう、と考えて。しばらく黙り込んだ後、雷斗を見下ろしながら少し沈んだ口調でゆっくり喋りかける。
「……わたしは星莉。正木星莉だよ。中3、ってこればどうでもいいかな……。あの、雷斗。余所者、ってことは、やっぱりここに人間はいないんだね。答えにくいこと聞いちゃってごめん……代わりってわけじゃないけど、雷斗のこと教えてほしい。ううん、別に無理して知りたいわけじゃないんだけど……つまり雷斗は喋れる動物的な感じなの? さっきの人間? 二足歩行? のもわたし結構好きだけど」
最後の方はほんの少しだけ笑って、一旦口を閉ざすが、なにか付け加えるようにもう一度口を開いて。
「でも、最初に会ったのがあなたで良かった、かも。雷斗は私のこと、取って食べたりしなさそうだし」
段々慣れてきたのか、最初よりもずっと滑らかな口調で冗談交じりにそう言えば。雷斗を見下ろしながら、今度こそ明確に笑って
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