下級妖怪 2021-05-06 19:39:12 |
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ざくざくと馴れたように進む環の足音と恐る恐る後を尾いていく自分の足音が暗闇に鳴り響く。
恐怖を煽ってくるような街灯のない田舎のような夜道にびくびくしていても何故か不安を隠すように、息を潜めてしまう。
環にはこんな夜道、恐がっていると思われたくはないのが本音だった。出会って最初に泣きべそをかいているのを見られてしまっていたしこれ以上、男らしくないところを見せたくはない。
輪郭のない道に転びそうになって声を上げてしまいそうになるも慌てて舌を噛み、冷静を保とうとしてする。そうしようとしている時点で手遅れだと自分でもわかっているが。
自分の持つ提灯を持つ手がカタカタと煩わしいくらいに震えるのが光に当たって見える。
提灯を足元にかざしてみれば環の足があって、良かった、近くにいると安心感が胸に流れ込んでくる。
歩く速度を幾分か緩くした環はこちらに顔を向けて、
「……周くん。ちゃんとついて来ていますか?」
そう問いかけられ、周は提灯を声のする方へと提灯を持つ手を上げてみる。
やんわりと優しい光に当たってちゃんと環の美しい顔が見えた。
確認するような声音と心配と不安の感情が表れ出ている猫のような瞳を瞬かせて。
「尾いて、来ていますよ」
おどおどした声に自分でも恥ずかしくなるが恐怖心を環に悟られないように笑って見せるが彼は自分の頬が羞恥心から赤らめて、恐怖からかその提灯を持つ手と身体が無意識のうちに細かく震えていることに気づかないでいて。
環の瞳は暗闇にいる追いかけてきた猫のように爛々と輝いていて、その奇麗さからドキッと胸が高鳴り、周は息を呑んだ。
奇麗なのにもこの世界の不気味さと恐怖が表れているようでぞわっと肌が粟立つのを感じ一歩後退りをしてしまい。
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