R 2021-05-06 00:07:27 |
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あー、あのスーパーか。良いよ、そこにしよう。
(相手の発言から前に買い出しに出かけた事のあるスーパーだと思い当たる。ここからの道順も覚えているはずだから疑われる要因にはならないだろう。それに確かにあの場所なら基本的な物なら何でも揃いそうだ。快諾すれば相手もフードを深く被って準備が出来たようだ。玄関で靴を履き外に出るが改めて屋外だと2人を繋ぐ鎖がよく目立つ。人目のある場所は危険がない一方で“この状態”を一般市民が見ればそれこそ異様な目で見られるのは避けられない。それならば、と鎖を短くなるように持って軽く相手と手を繋いでしまう。これも注目を集めそうな状況だが仕方ない。「じゃあ行こうか」と何も気にしてないと如く爽やかな笑み浮かべればスーパーに行こうと歩き始め)
──おい、待て。どうして手を繋ぐんだ、離せよ。
(部屋から出た途端さも当然のように枷ごと手を絡め取られて咄嗟に理解が及ばず、唖然としていて。そのまま何食わぬ顔でスーパーへ向かおうとする相手に流されて自分も1歩、2歩と踏み出してしまうもののこれ以上は進ませてたまるか、と慌てて立ち止まり。何が悲しくて男同士で、それも現状の発端となった相手と手を繋いで歩かなくてはならないんだろう。外出が出来る喜びで一旦は落ち着いていた恨みやら警戒の心に再び炎が灯り。…一方でここで揉め事を起こせば近隣の住人が駆けつけてくるかもしれない。他人の視線を恐れ下手に声を荒げたりはせずジト目で探偵を睨むだけに留め、)
流石に鎖丸出しで外歩くわけには行かないでしょ。こうした方がまだ注目を集めないと思うけど
(立ち止まった相手に引き止められる形で足を止める。此方だって好んで手を繋いでいる訳ではない。容疑者と直接接触するというグレーに近い捜査方法を行っている以上あまり目立つ訳にはいかない。それはきっと相手も同じ事だろう。小さく溜息をつけばこの状況に至った理由を説明し、相手にもメリットがある事だと主張する。繋いだ手はそのままで、だ。少し考え込むフリをしてから「……嫌だった?」と1歩引いて気遣う言葉と共に首傾げ)
───、
(このまま歩いたら目立つ、確かに相手の言う通りだ。もっともな正論に何も言い返せないのが悔しくて苛立ちに拍車が掛かり、元から険しかった表情が余計に不服げに歪んで。…嗚呼、こんなことなら大人しく部屋にいれば良かった、と己の浅慮な言動を激しく後悔しつつ渋々観念し、相手の手ごと纏めてパーカーのポケットに拳を突っ込み。それから露骨に嫌悪感を示してる奴に、嫌かどうか訊ねてくる彼に冷めた声で「…言ったところでどうせ離してくれないだろ。」とだけ述べさっさと買い物を終わらせるべく歩き出し、)
…ん、大分俺の事理解してくれてるんだ? まあほんの数十分だからさ。
(初めて会った時の青少年の面は何処へやら、不満を全面に出した表情をしている。好意的な対応でないが下手に取り繕われている時よりはやりやすい。渋々と言った様子で引き込まれたポケットの中は思ったより温かくて少しビックリしてしまう。殺人犯なのに温かいんだな、なんて何処かズレた感想抱きつつも冷たく指摘された事に対してはへらりと軽い笑みと共にわざと前向きな捉え方をして。歩き出した相手を追いかけるように隣に並んでマンションを降り、道に出る。世の中の人はさほど他人には興味が無いようで通りかかりの人から特別好奇な視線に晒されることもなく、スーパーが見えてくるとこまで歩いてきて)
(伝え聞いていた通りマンションからスーパーまでの道のりはそう遠くは無くあっという間に着き。とはいえ、おたずね者の自分にとっては短い距離でも命懸けの大冒険であり、前方から人が歩いてきた時の居心地の悪さと言ったら…。更にこれから人が多いところに行くと思うと気が重くなり、知らず溜め息がこぼれる。ここまでは特に何とも無かったが、混み合う店内では流石に人の目を避けては通れず時折こちらに投げられる興味の視線が痛い。フードを被っている自分はともかく隣にいる相手は顔を隠していない。オマケに端整な顔立ちが余計に人目を引き、相手の後ろを歩く事でさり気なく盾にしつつ、)
荷物、半分持つから飯以外の物もまとめて買おう。こんなところ毎日通うなんて絶対にゴメンだ。
了解。…そんなにこの状況イヤ?俺は案外楽しくなってきたけど。
(店内は大型スーパーということもあって人は随分と多い。男同士で手を繋いでいる状況など本当の自分の家の近所なら御免だが見知らぬ土地という事もあってそこまで気にはならない。それどころか注がれる興味の視線から隠れようとする相手の行動を見るのが面白いとさえ思う。それが仕事の情報収集の域なのかこじんしての興味なのかはハッキリとしないが。そんな相手と繋いだ手をもう一度握り直しては揶揄うように声を掛ける。周りの目など気にせず堂々と店内を歩けばひとまず当初の目的だった食料品コーナーに辿り着き。「なんか食べたいのとかある?」と食品を前にして今一度問いかけて)
生憎アンタと違って変態…っと、失礼。スリルは楽しめない、平々凡々な人間なんでね。
(売り言葉に買い言葉。体を張って追いかけるに値しない、つまらない人間なのだと暗に伝えることで彼の探究心が他の対象に逸れることを切に願いつつ、人混みを潜り抜けてゆき。お目当ての食品コーナーにやって来たところで、何故か同じ問いを投げ掛けられた為訝しげな表情を浮かべて。「さっき言っただろ。それより飯選びなよ、まだ決まってないんだろ…?」いくつかある寿司パックの中から好みの物を手に取り、買い物カゴに入れれば人の事を気に掛ける相手にぶっきらぼうに言葉を掛け、)
(/私情でバタついていましてお返事が遅くなってしまい大変申し訳ございません…!)
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