Mr.Hc 2021-04-23 19:21:03 ID:7848a5538 |
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なんだ、覚えてなかったのか?
( 己は言われたことを確りと覚えていたが彼奴はそうでもなかったらしい。思い出したように告げる彼奴に少し悔しく思いながら確認するように訊ねており。
「 ばっ…な訳ねぇだろ、大好きなのは左馬刻の方だろ。 」
彼奴に元気を取り戻して欲しくて巫山戯たように彼奴が俺に言ってくれたことをそのまま伝えた。すると彼奴はいつもの調子に戻ってきたのか巫山戯たように俺様のこと大好きかよと返してきた。表情もすっきりしている様子に大丈夫そうだと判断し安堵して。大好きと言うのはあの時彼奴のことを尊敬していたし、あながち間違っていないのかもしれない。今もそれは残っている。が、あの時からこの想いは心に閉じ込めた。そのため己も巫山戯たように抱き締めてきた彼奴の方が俺のことが大好きだろうと言い返して。 )
嗚呼、今 思い出した 。 あの頃の記憶は全部 しまっちまったから 、
( 睫毛を伏せ上記を述べる。楽しかった頃の記憶は少ない方が良いと、脳味噌が勝手に頭の奥深くにしまってしまったのだ。だってその方が、後々辛い亊があっても、幸せだった亊に知らんぷりすれば 、ほんの少しだけ辛くなくなるから。でも、そのせいで幸せの形を思い出せなくなってしまったのだから、何とも言えないが なんて苦笑いを浮かべる。
“ おー?まぁ、大好きだぜ いちろぉクン? ”
けらり、と 心底愉快そうに笑う。貴方を煽る様に素直に言葉を肯定してみた。まぁ、嘘なんだが という何処か既視感のある台詞を脳内で呟く。昔の亊もあり、貴方は照れてくれるだろうかと 少々の期待を胸に灯して 、)
そうか…。まぁそうなっても無理はねぇな。
( 忘れてしまっていたのは頭の奥深くにしまっていたかららしい。あの頃は楽しいことも沢山あったがそれと共に仲間との別れなど辛いことも沢山あった。己も彼奴への嫌悪の気持ちが強くなっていた事もあり、想いを違えた時からあの頃の記憶は薄れてきていたかもしれない。そう思い彼奴の言葉に同意をして。)
「 な、っ…嘘言うなよ。 」
( 否定をするだろうと思っていたが、予想と反して彼奴は愉快そうに笑いながら大好きだと肯定してきた。予想と異なる答えに思わず動揺して照れてしまう。冗談だとは分かっているものの大好きだと言われたのは嬉しくて口元を腕で隠すようにして赤くなる頬を隠しながら嘘をつくなと言って。 )
珍しいな 、 大体こういうのは 酷い っつって怒られるもんなんだが 、
( そんな事を言って、嘗ての取り乱した女達を思い出す。出会った日から一年だとか、別に興味の無い女との記念日なんぞ覚えていないのに、そういう物は大切にするものらしい。だが俺だって、本当に大切で大事な人との記念日とやらは覚えているらしい。確かもう直ぐ、貴方と顔を初めて合わせた日になるか、と ほんの少し嬉しそうに目を細める。昔だけではなく、今でも貴方の亊を少なからず大切だと思っているらしい。
“ 嘘じゃねぇよ?昔から、好きだ ずっと ”
本音とも、嘘とも取れないそんな言葉を吐く。微かに赤く染まる頬の貴方が何故だかもっと見たくて、するり と 顔が隠している腕を撫でる。この好きがどの好きなのかは自分でも分からぬが、好きという亊に変わりはなく、ふっ と笑みを溢し )
恋人同士なら怒ってたかもな。
( 彼奴は怒られた経験があるのか珍しいなと言われた。彼奴なら興味のない奴の記念日や思い出などは覚えていないことなど多々ありそうだと想像出来る。そういうことは無いと思うがもし己が此奴と恋人であったら、お互いに想い合っているのに大切な思い出や記念日を覚えていないなどショックだろうと思う。そういえばもうすぐ彼奴と初めて出会った日になる。彼奴は覚えているだろうかと考えていると彼奴が嬉しそうに目を細めているのに気付いて。気になれば彼奴の顔を覗き込み
「 どうした?嬉しそうな顔してるな。 」
と訊ねて。
冗談を言うなと伝えると彼奴は昔から好きだと言ってきた。彼奴の表情を見るに嘘を言っているようには見えない。しかしその好きが己と同じ意味での好きだとは判断出来なくて
「 そんなこと言われたら…期待しちまうぞ… 」
と腕を撫でられ顔から腕を離し本音をぽろりと零して。 )
ハッ 、 そりゃ怖いこったぁ 、
( 貴方が本気で怒ると怖い事は、俺が良く知っていると思う。恋人だったら、と述べた貴方に、そういう解り易い線の引き方が 何処か優しさに溢れていて、貴方らしいなと何故か微笑ましさを感じる。大雑把に見えて、思ったよりも此奴はしっかりしている。記念日とかはきっと、大切な恋人と盛大に、否 細やかに 祝うのかも知れない。そう思うと、きゅ と胸が締め付けられる感覚がして。自分でも良く解らず、独りでに頭に疑問符を浮かべていれば、嬉しそうな顔だな、と指摘され問われた。特に恥ずかしがる理由も、隠す理由も無いので、素直に
“ …もう直ぐ、てめぇと初めて会った日だと思ったら つい、な。 ”
と告げる。己は感情の起伏が静かな分、何を考えているのか解らないと良く言われる。然し、僅かな己の表情に気付いてくれる事が嬉しくて、先程とは打って変わった柔和な雰囲気を纏っていて。
期待してしまう、と述べた貴方に驚き、思わずぱちくりと瞬きを数回する。若しやとすると存外此奴は己の事を好いているのかも知れない。命よりも大事だと言い張る物を誰よりも傷付けた俺が、此奴は 好きなのかもしれない。そう思うと悪戯心が芽生えてしまい、ついこんな事を口走る。
“ へぇ?いちろぉクンは期待すんのが怖ぇのか。以下にもガキらしいなぁ、 ”
けらりけらりと笑い乍、まるで期待してみろよ、と言わんばかりの態度で貴方を煽り、)
覚えてたのか?
( 恋人同士であるならショックで本気で怒るだろうと伝えると怖いこったと彼奴は言った。本気で怒れば彼奴の言うように怖がられてしまうだろう。彼奴が恋人なら怖がられることもないだろうが。そんなことを考えてしまい慌てて頭の中で打ち消して。そうしていると彼奴が僅かだが嬉しそうに目を細めているのに気付いた。気になり訊ねると己と初めて出会った日だと気付き嬉しそうにしていたらしい。驚き思わず訊ねながらも心の中では覚えていたということは特別な気持ちを抱いていると期待しても良いのだろうかと考えていて。
「 こ、怖ぇ訳ねぇだろ!…期待してやるよ。アンタが俺と同じ気持ちだってな。 」
けらりと笑いながら期待するのが怖いのかと煽ってきた。その言葉に挑発だと分かっていても悔しく思い、睨むように彼奴を見ると煽りに乗ってやると考え期待してやると告げて。)
何故か、な 。 不思議な事にてめぇとの事は覚えてるみてぇだ 。
( 眉を顰めて困った様に笑う。何をしただとか何をされただとか、そう言った記憶はしまっている筈なのに、記念日とやらは覚えているなんて 自分でも可笑しな話だと思う。だが、其れだけ貴方は己に影響力があったと言う事。其れは今も昔も変わらぬという事だ。逆目に、己は貴方にとって影響のある人物と成れただろうか。長い道のりの道標を付けるが出来ただろうか。其の答えは明白で、先程から己の放った言葉を口にして呉れているのだから、多少なりとも影響はあったのだろうと想像すると、矢張り嬉しいものは無く、更に緩みそうになる頬に内心叱責していて。
“ 俺様も楽しみにしてるぜ? 一郎 、 ”
くしゃりと愉しそうに顔を歪めて笑い、わしゃわしゃと荒々しく貴方の頭を撫でてやる。誰かの頭を撫でるなど久し振りで忘れてしまいそうだが、貴方相手となるとどうやら体が覚えている様だ。此方を睨みつけ乍期待すると宣言した貴方に、楽しみにしていると、意味深な答えを返した。早急でも、ゆっくりでも、貴方なら別に何でも良いと思う、なんて少し女々しい思考を巡らせていて。
)
折角なら記念になんかするか?
( 他のことは忘れてしまったのに記念日は覚えていることに彼奴は困ったように眉を顰め笑いながら不思議だと彼奴自身も何故か分かっていないようだった。他の奴らのことは覚えていないと言っていたのに己のことは覚えているなんて嬉しいことこの上ない。頬が緩んでしまうのをなんとか押さえながら冗談っぽく笑みを浮かべ記念になにかするかと訊ねる。冗談っぽく言ってはいるが彼奴が嫌ではないなら何かしたいと考えていて。
「 !…、望むところだ。 」
くしゃりと笑った彼奴は荒々しく己の髪を撫でてきた。頭を撫でられたのはいつぶりだろうか?あの日から兄として2人を立派な男に育てると決意してから弟達の頭を撫でてやることはあったが己が撫でられることは無かった。荒々しいが心地よい手に嬉しく思うも平静を装い顔を上げ彼奴の紅い瞳を見つめるとニヤリと好戦的に笑みを浮かべて。)
ふっ、良いじゃねぇか 。 其の話乗ったぜ 、
( 冗談めかして貴方は何かするかと言ったが、中々良い話かもしれない。何か此奴に贈ってやるか、と考えた時 一番最初に出てきたのはピアスだった。然し、確か ピアスを贈る意味としては『自分を身近に感じて欲しい』や『束縛』なんて意味があったか、と思い出すも、別に此奴なら良いか。と呑気に考えており。昔は、自分の瞳と同じ赤いピアスを贈ってやったから、今度は髪色と同じ銀色の物を贈るか、と 思考を巡らせていて。
“ お前らしいな、 ”
好戦的に笑う此奴に、ぞくりと背筋に何かが走る。狩られるな、と何故か確信した。昔から此奴は、相手が強ければ強い程燃える男だった、相手が己となると尚更か。と多少自惚れた思考を巡らせ乍も、心底愉快そうに、面白そうに笑みを浮かべる。翡翠と紅を見詰め返せば、面白半分で今は何も付けられて居ないピアスホールへと、ちゅとリップ音を立ててキスを落とし )
何してくれんだ?
( 冗談めかして記念に何かするかと提案すると思いのほか彼奴は乗ってくれた。予想と反した彼奴の返事に驚きつつも嬉しくて頬を緩ませて。そういえばあの頃は彼奴と同じ赤いピアスをプレゼントしてくれ己は己の瞳と同じ赤と緑のブレスレットをプレゼントした記憶がある。あの時嬉しくてずっと付けていたし彼奴も喜んでくれ付けていてくれた。当時は気にしていなかったが今思えばブレスレットには『 あなたを私のもとから離さない 』や『 独占、束縛 』という意味が込められている。無意識でそう思っていたのだろうが彼奴は気にしていないだろう。それにピアスにも似たような意味が込められている。深く考え過ぎず前回好評だったのなら今回も贈り物をするのも良いかと考えて。しかし、彼奴は記念に何をしてくれるつもりなのだろうと気になり訊ねて。
「 …っ!…な、にすんだよ…っ… 」
お前らしいと彼奴は愉快そうに笑った。その笑いはあの頃の笑いのままでドキッと鼓動が跳ねるのを感じつつ見詰めていると耳に顔を寄せた彼奴は耳朶にキスをした。突然の事で驚き頬に熱が集まるのを感じ弾かれるように離れると耳を押え。キスをされた箇所から熱が広がり赤くなっていくのを感じ顔を隠すように逸らしていて。 )
俺の 髪色の ピアスでも やるよ 、
( 頬が緩んだ此奴を見ていると、此方まで緩んでしまう。心底嬉しそうな笑みだから、きっと 此奴は何をしても喜んでくれるだろう。贈る、で思い出したが 昔此奴には 赤と緑のブレスレットを貰ったか。自分が求められている気がして、嬉しくて あの頃は ずっと付けていた。 自分の右腕には、何時も母と妹のお守りが付けてある。かなり昔に貰ったお守り。思えば、アクセサリーを付ける事で強く意思を持てるという母の訓えから、こんなに耳に穴を開け ピアスを通した。過去の人間の話など縁起の良いものでは無いが、其のお守りの中に嘗て此奴から貰ったブレスレットも入れるか と 内心嬉々していて。訊かれたは良いのだが、此奴だけ答えないというのに少々腹が立ち、
“ お前は 俺様に 何をしてくれんだよ? ”
と 訪ねて 。
“ したくなったからした 、 其れだけだわ ”
赤くなった初心な反応を見せてくれる此奴に、くくっ と 笑みが漏れる。顔を逸し、何をすると訊ねた此奴に上記を淡々と述べるが、其の声色は心底愉快そうだというのには 己でも解る程だった。赤く染まった顔が間近で見てみたいと半ば加虐心で 跳び退けて己から離れた此奴の顔を除き込み 、
“ いちろぉクンは 随分と 初心な反応 してくれまちゅね 、 ”
と お得意の 赤ちゃん言葉で にんまり 笑い。 )
前もピアスくれたよな。また開けねぇとな。
( 彼奴に何をしてくれるのか訊ねると以前贈ってくれたピアスを贈ってくれるようだ。以前は瞳の紅色と同じだったが今回は髪色と同じ銀色のピアスを贈ってくれるらしい。彼奴が傍に居てくれるような気がして嬉しく思い。今はピアスの穴は塞がってしまった。これを機にまた穴を開けるかと考えていると彼奴が何をしてくれるのかと訊ねてきた。彼奴がピアスなのならば己もピアスにするか。彼奴と己と同じ紅色のピアスを。そう思いつけば
「 俺もピアスやるよ。左馬刻と同じ赤色のな。 」
と告げて。
「 べ、別に驚いただけだ。…つーか、見んじゃねぇ…! 」
何をするんだと訊ねた己にしたくなったからしただけだと言った彼奴は愉快そうに笑っているのが声色だけで分かる。顔を逸らしていたはずなのに彼奴は覗き込み、赤ちゃん言葉で初心だと言ってきた。悔しくてふつふつと腹が立ってきてはムッとして赤いであろう顔のまま睨むようにしながら素直でない言葉を告げれば再度顔を背けて。 )
俺が 開けてやろうか? ピアッサーならウチにあるしよ 、
( ピアスを贈ると述べれば、昔も呉れたという事とまた開けるかという感想が返ってきた。昔贈った事を覚えてくれていた嬉しさが込み上げてくる。それと同時に、ピアッサーがあるからという真っ当な理由で 自宅へと招く機会が生まれた。まぁ此処で 断られてしまえばお終いなのだが、どうしても 期待を圧し殺す事は出来ない。なんて 淡く儚い思いを抱けば 、先程何をしてくれるのかという問いの答えが帰ってきた。此奴もピアスを贈るという。しかも赤色の。之では此奴と俺がお揃いみたいではないか。でも … それも悪くないかもしれない。
“ ふっ 、 楽しみにしてんぜ ”
と 、 柔和な笑みを見せて 。
“ 其れにしちゃ 、 随分と真っ赤じゃねぇか。 やっぱ いちろぉクンは ガキだなぁ。 ”
初心だとからかうと、驚いただけだと此奴の弁明があった。然し、其れは無視できる程に此奴の顔は赤く染まっていて、まるで良く熟れた林檎の様だ。触るなと言われると触りたくなる様に、押すなと言われると押したくなる様に、見るなと言われると見たくなるのが人間の性だ。己が見るという事を静止しようとしたのだろうが逆効果で、更にまじゞと貴方の顔を見ようと首を伸ばし、)
良いのか?じゃあ、頼む。
( ピアスを贈ってもらい彼奴と共に過ごし仲違いしてしまってからはピアスは外し今に至る。穴が塞がってしまったためピアスを贈ってもらうことを機に穴を開けるかと思い告げると彼奴がピアッサーがあるため開けてくれると言った。断る理由もないし開けて貰えるなら手間が省けて助かるし寧ろ彼奴の家に行けることも嬉しい。そう思えば断る選択肢はなく任せることにして。何をしてくれるのかと問われ赤いピアスを贈ることを伝えると彼奴は楽しみにしていると言ってくれた。お揃いの様なもののため嫌だと言われても可笑しくは無いが彼奴は喜んでくれているようで自然と笑みを返して。
「 が、ガキじゃねぇよ。あの頃とは違ぇんだ。見るなつったろ! 」
見るなと言ったのに彼奴は覗き込もうとしてくる。何時までも餓鬼扱いする彼奴にあの頃とは違い成長した事を教えるべく彼奴を壁まで追いやり所謂壁ドンをして赤い顔のまま睨むように彼奴を見詰めていて。 )
おう 、 任せとけ
( ピアッサーがあるから来るかという己の問いに此奴からは頼むという二言返事が返ってきた。己の家に行くという事に悩む事無く承諾してくれた事に舞い上がりそうになる。此奴には銀のピアスを贈ると言ったが、金属種は白金にしようか。謂わばプラチナという奴だが、合歓が一度宝石言葉とやらにハマった時、延々と「この宝石はね 、 」と聞かされていた覚えがある。特に白金は言葉が多く、全て覚え切れていないが『精神力を高める』や『これまでの常識を覆す』は印象に残っている。此奴にピッタリだ。『傷付いた心を癒やす』純粋な銀より、此奴には白金が似合う。そういえば、己が世話になっているアクセサリー店に白金はあっただろうか、と楽しそうに思考を巡らせれば、ふと貴方を見ると 笑みを浮かべていて。此方も同じように笑みを溢すと 目を細めて。
“ ッ … !? て、てめぇは何時迄経っても 俺にとっちゃ ガキだわ ”
少しからかい過ぎただろうか。至近距離の真っ赤な顔で睨まれいたたまれない気持ちになるが、問題は其処ではない。己が此奴に壁ドンされているという事実が問題なのだ。己がされる側に回ってみるとは思いもしなかった。その事に、驚いて目を見開き返答が遅れる。此奴がこうやって大きく出たのだから、己もなんとかして返さなければという謎のプライドからか、煽る様な事を述べるも 動揺が隠せず言葉に覇気が無い。それどころか、何だか顔が熱いし 目を合わせるのが気恥ずかしいからと、睨む貴方の瞳から逃げる様にゆっくりと目を逸らし、)
じゃあ、当日に此処で会うってのはどうだ?
( 彼奴からの提案に悩むことも無く二言返事で賛成をした。そして贈り物を赤いピアスなど己とお揃いのようなものだが嫌がることなく楽しみだと言う彼奴に嬉しさを感じ頬を緩ませていると彼奴も任せとけと目を細め笑みを零した。その柔らかな表情に心臓が跳ねるのを感じるも平静を装いつつも己もピアスを当日までに準備をしないとなと思案をして。当日のことを思いつけば此処で会うのが良いだろうと考え提案をして。
「 本当か?顔赤くして目逸らされて言われても説得力ねぇな。 」
何時までも餓鬼扱いされることが悔しくてふつふつと怒りが沸いてきて彼奴を壁に追いやり所謂壁ドンをした。すると彼奴はされたことがなかったのか顔を赤くし顔を逸らしながら依然餓鬼だと言い返してきた。その様子が可愛らしく加虐心が沸いてくると形勢逆転、ニヤリとしながら顔を覗き込んでいて。 )
そうだな 、 そうするか
( 此奴は二言返事で己の思案を飲み、何故か柔和な笑みを浮かべたものだから己も釣られて笑みを浮かべてしまった。此奴の笑みは何故だか胸が締め付けられる様な気さえする程、伝説と呼ばれた頃とは違っていた。昔は子供の無邪気な笑みだったのだが、今は何処か大人びている。年相応のあどけなさが残ってはいるが、矢張り雰囲気は変わり、そして其れを知っている己に何処か優越感を抱いた。何かと物事を誘うのは己からだったものだから、此奴から誘いの言葉を吐かれるというものは存外嬉しいものだと、浮足立ちそうな気持ちを必死に抑制し、此奴の意見に賛成の意を見せ。
“ るせぇ … 俺にこんな事したって何も面白くねぇだろうが、 ”
顔を覗き込んで来る貴方を静止しようとするが、見るなと口に出す事は出来なかった。先程初心だとからかい過ぎて、自分の逃げ場さえ失っている。説得力が無い、なんてさっきの仕返しだと言わんばかりの態度の此奴に一寸した苛立ちは覚えるも、差恥心の方が勝ってしまい、何も言い返せない。おずおずと覗いて来た此奴と目線を仕方なく合わせれば、つーん、と 子供が拗ねた様な態度で半ば自虐的な発言をして。)
じゃあ決まりだな。
( あの頃は彼奴を尊敬していて後ろをついて回ったり彼奴から誘ってくることが多かった。しかし今は成長し彼奴の隣に並べられるくらいに頑張ってきたつもりだ。彼奴もそう感じてくれていたら良いがと考えつつ彼奴から賛成の言葉が返ってきた。約束を取り付けまた会う事が出来ることを嬉しく思い。しかしそう言えば此処は初めて訪れた場所のため道を把握していなかったことを思い出して。しかし彼奴にこんな事を言えば餓鬼扱いされてしまう。そう考えながら周りを眺めていて。
「 そんな餓鬼みたいな反応するのが面白ぇんじゃねぇか。 」
先程の態度とは打って変わって子供のように拗ねた様子で言い返してくる彼奴が可愛らしく思うと更に加虐心が沸いてきて。己を餓鬼だと言ってきたが此奴の方が餓鬼じゃねぇかと考え悪戯っぽい笑みを浮かべながらじっと見詰め返していて。 )
?、何きょろきょろしてんだよ?
( また会える核心的な約束を取り付け、浮き足立ちそうな自分が妙に気恥ずかしく、ちらりと貴方を見やるときょろきょろと辺りを見回していた。一体何をしているのだろうか、まさか此の場所が初めてだとかは...コイツなら有り得るかもしれない、と少々お茶目な貴方を心配し、自分の考えはあくまで憶測である為一応、と問い。
“ お、俺様は餓鬼じゃねぇ……!…多分。 ”
どうやら其処まで言われてしまうと不思議な事に自信がなくなってしまうもので。段々と語気が小さくなるし、多分なんて自分らしくない言葉まで吐いてしまった。悪戯に笑う貴方が、なんだか妙に色っぽくて。一旦目を合わせたものの、恥ずかしく ふいと顔を逸らして。)
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